1関係者ヒアリング結果概要
1 日時
令和6年3月14日(木)10時32分〜11時27分
2 場所
オンライン
3 対象者
神戸市
市長室国際部国際課 課長 永峰 正規 氏
係長 竹村 淳史 氏
前田 大樹 氏
公益財団法人 神戸国際コミュニティセンター
総務部長兼事業部長 甲斐 隆弘 氏
事業部事業課 事業担当課長 喜多村 直子 氏
事業部事業課 多文化共生コーディネーター 山本 祐子 氏
4 対応者
出入国在留管理庁政策課外国人施策推進室 平林室長 ほか
5 内容
(平時の外国人への防災情報の提供等について)
しろまる 神戸市においては、在留外国人支援及び多文化共生施策の全体を国際部で
所管しており、現場での活動を公益財団法人神戸国際コミュニティセンター
(以下「KICC」という)が担当し、外国人の相談対応や情報発信等を
行っている。
しろまる 平時における外国人への防災情報の提供としては主に二つの取組を行って
いる。
しろまる 一つ目は各種災害が起こった際にとるべき行動をコンパクトにまとめた防
災カードの作成・配布である。
しろまる 防災カードは11言語で作成しており、外国人住民の方が転入された際に渡
したり、外国人コミュニティや学校を通じて、あるいはイベントの際などに
外国人住民の方に配布したりしているほか、PDFデータをKICCのウェ
ブサイトでも掲載している。
しろまる 転入の際にはほかの必要な資料もまとめて渡すことになるため、その後防
災カードを見ることがない又はもらったことも覚えていないということもあ
り得る点が課題だと感じている。
しろまる 二つ目は、防災に限ったものではないが、神戸市が発行している広報紙か
ら、外国人に関連のある情報を毎月ピックアップして、やさしい日本語、英
語、中国語、ベトナム語に翻訳して発信する取組である。 2しろまる 何か防災情報で伝えるべきことがあれば、SNSも活用しており、市の公
式SNSでは、Xで英語による情報発信、Facebookでベトナム語に
よる情報発信をしている。
しろまる そのほか、緊急時に備えた取組として、外国人支援団体、総領事館、外国
人コミュニティ、外国人学校及び留学生を受け入れている大学等に対して、
災害が起こった際に連絡を取り、情報を発信できるよう、情報提供先リスト
を作成している。
しろまる また、緊急時に外国人コミュニティなどから外国人住民に情報が伝わるよ
うに、外国人コミュニティの事務所や外国人学校に防災行政無線用の受信機
を設置している。
しろまる 来日する外国人の方の多くは、日本は災害が多いという認識を持ってはい
るものの、実際に何に気をつけたらよいのかが分からないという声も聞かれ
るところである。
しろまる そのため、災害時にするべきことを知るきっかけになるよう、防災に関す
る研修会を実施し、防災カードやハザードマップの見方などについて説明し
ている。
しろまる 来日当初は防災意識が高い方が多いが、日本の生活に慣れていくとだんだ
んと意識が薄れていくのが課題だと思っている。
しろまる 今年度は大学コンソーシアムひょうご神戸と共同で、来日して半年以下の
方をメインターゲットとした、楽しみながら防災について学べる機会を2回
提供した。
しろまる 災害時研修では、外国人に対し防災に関する情報をどうやって入手する
か、緊急時にはどのような行動をとるべきかについて座学で学んだ後に避難
所体験を行い、避難所で受けられる支援について外国人当事者の方に知って
いただいた。また、避難所運営に関わる職員には多言語支援センターの設置
や避難所での聞き取りについて訓練ができるようになった。
しろまる 災害時研修では留学生の参加が多いと思われたが、KICCにおいてチラ
シで積極的に広報を行ったところ、日本語教室に通っている「家族滞在」の
方や、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で働いていらっしゃる方な
ど、様々な在留資格の方に参加いただくことができた。
しろまる 地域の防災訓練に留学生等と一緒に参加することによって、日本人と外国
人の双方に気づきが生まれるような働きかけも行っている。
しろまる その他臨時の取組として、今年神戸市においてパラ陸上選手権大会が開催
される予定であるところ、大会に備えて化学テロが起こった場合の訓練を
行っており、その中で外国人住民の方にも参加いただいたことがある。
(災害時通訳ボランティアについて) 3しろまる KICCでは災害時のための通訳翻訳ボランティアを登録している。
しろまる 登録時にはテストや面接で合否を決める等はしてはいないが、毎年研修を
行い、災害時の翻訳作業の体験や通訳の練習をしている。
しろまる 登録ボランティアだけでなく、KICCの多言語スタッフも災害時には活
躍してもらうべく、研修参加等している。
しろまる そのほか、自治体国際化協会(CLAIR)の近畿ブロックに所属してい
る9団体で災害時の相互協力のための協定を結んでおり、例えば和歌山県の
国際交流協会の研修の際には、神戸の通訳翻訳ボランティアの方がどのよう
に翻訳、通訳等の遠隔地支援ができるかを実地訓練する等の取組も行ってい
る。
しろまる 通訳翻訳ボランティアは現在65名(令和6年2月末時点)登録している
が、言語的な偏りが大きく、英語話者が圧倒的に多い状況であるというのが
課題である。ただし、ここ数年、外国人当事者の方の登録も少しずつ増えて
おり、今後更に裾野が広がり、当事者の方も支援に参加していただけるよう
になると有り難いと感じている。
(災害時の外国人相談窓口について)
しろまる 神戸市では、震度5弱以上の地震等、大きな災害が発生した場合又は発生
するおそれがある場合には災害対策本部を作るとされており、災害対策本部
が設置された際には、災害の状況に応じて国際課で判断の上、KICCに外
国人の専用相談窓口を設置するとしている。
しろまる 平時の一元的相談窓口は相談員3名と多言語スタッフという体制で運営し
ているが、大規模災害が生じた際は一元的相談窓口の職員だけでなく、KI
CC全体の職員で運営していく必要があると考えている。
(災害時外国人支援情報コーディネーターについて)
しろまる 総務省の行っている災害時外国人支援情報コーディネーターに係る研修を
受講したことにより、KICCで研修を企画する際に、研修で学んだことを
活用している
しろまる 地域には外国人の方も住んでいるのだという認識を地域住民に啓発する際
に災害時の話をすることがあり、そのときには災害時に外国人を支援する役
割をKICCが持っていることを伝えている。
しろまる KICCにおいて、災害時外国人支援情報コーディネーターを中心に災害
時の多言語支援センターに関するマニュアルを作成しているところである。
しろまる 災害時外国人支援情報コーディネーターの認証を受けた後も、受講者に対
して継続的に災害に特化した情報を共有いただけるようになれば有り難い。 4(災害時の対応について)
しろまる 神戸市において策定している防災計画の中には外国人対応として四項目が
記載されている。
しろまる 一点目は領事館や外国人コミュニティ、外国人学校等に対して被災の状況
や安否確認等の情報収集を行うというものである。
しろまる 二点目は外国人相談窓口の設置である。
しろまる 三点目は外国人への広報活動であり、被災外国人へ情報提供を行うために
多言語で広報資料を作成し、ホームページやSNS等を通じて発信するとい
うものである。また、神戸市内には外国語のFMラジオ番組があり、協定を
結んでいるため、災害時には情報発信に協力してもらえるようになってい
る。
しろまる 四点目は通訳翻訳ボランティアである。通訳者の手配、派遣に係るもので
あり、KICCで登録されているボランティアの方々への支援等も防災組織
計画に記載されている。
(地方公共団体に対する外国人に関係した情報提供について)
しろまる 「地域経済分析システム」(RESAS)について、詳しくは知らない
が、データを視覚化したり、他の自治体と比較したりできるようなものがあ
れば便利なのではないかと思っている。
しろまる これまでも、出入国在留管理庁において公表している在留外国人統計で、
他都市に特定技能の方がどれぐらいいるか等は参考にしているところなの
で、これらが視覚的に分かりやすく見られるのであれば有り難い。
(外国人の孤独・孤立の状況)
しろまる 窓口に相談に来る方は、何らかの問題を解決するために来られているの
で、寂しいというだけで来られる方はあまりいない。ただし、抱えている問
題について相談対応をしていく中で、多方面の相談に結びつくということは
ある。
(その他、国への意見・要望等)
しろまる 最近、神戸市内にある総領事館から、災害が発生した際の外国人住民の安
否確認をどうするかについて相談を受けた。有事の際には各国の総領事館に
おいて独自に自国民の安否確認をすることになるが、病院等に問い合わせて
も個人情報の問題等で教えてもらえないので、神戸市においてシステマチッ
クに外国人住民の安否確認及び情報提供ができないかというものである。関
西のほかの総領事館でも同様の問題が生じているかもしれないと感じてお 5り、国において在関西の総領事館等を集めて、特に安否確認が難しいであろ
う外国人観光客のことも含めて、災害時の対応について議論するような場を
設けるのも有意義ではないかと感じている。
しろまる 受入環境整備交付金について、今後も是非引き続き予算枠を確保して、継
続して支援をいただければ大変有り難い。

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