議長総括
第3回東京イミグレーション・フォーラム
2023年12月20日〜22日、東京にて
1. 2023年12月20日から22日までの間、出入国在留管理庁が主催
する、第3回東京イミグレーション・フォーラムが、東京で、オースト
ラリア、ブルネイ、カンボジア、カナダ、中国、フランス、ドイツ、香
港、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、韓国、
シンガポール、タイ、アメリカ及びベトナムの計18か国・地域の入国
管理等関連当局の代表(高級実務者)の参加を得て、対面で開催され
た。本フォーラムには、このほか、国際移住機関(IOM)、国連難民
高等弁務官事務所(UNHCR)及び日本国内の関係省庁が参加した。
2. 小泉龍司法務大臣が、開会の挨拶を行い、参加した入管当局が、適切な
国境管理、国内での共生社会の確立にあたって直面している様々な課題
に立ち向かっていくため、各国・地域間でベストプラクティス及び直面
する課題に関する情報を共有し、緊密に連携し、協力して立ち向かって
いくことが、国際社会に対して大きな貢献になると述べた。
3. 次に、本フォーラムの議長である日本の出入国在留管理庁の菊池浩長官
から挨拶を行い、相互理解と価値観の共有のためには、継続的に対話を
することが不可欠であり、毎年開催している本フォーラムが継続的な対
話の機会を提供し、次世代も見据えた連携構築に資することを期待する
と述べた。
4. 続いて、国際移住機関(IOM)のエイミー・ポープ事務局長による基
調講演が行われた。事務局長は、現在の世界的な移住の状況と、その傾
向をよりよく理解し、国際的な移住の原因となっている構造的な要因に
深く関与する必要性について説明した。そして、事務局長は、包括的で
効果的に運用できる実効性のある権利に根ざした身分管理システムに基
づく国境を越えた移動の必要性を求めた。また、移住者を適切に保護す
る正規の労働移住の経路の強化を訴えた。さらに、加盟国や関係者と協
力していく IOM の決意を改めて表明した。
5. 全体会合の議題「出入国在留管理行政における外国人の人権保護」で
は、「厳格かつ適切な出入国在留管理」と「外国人の基本的人権の尊
重」との両立が求められる中で、参加した入管当局が直面している課題
やその対応について、パネリストや参加国による議論が行われた。
6. 2日目に行われた分科会では、「最近導入した出入国在留管理上の施
策」、「出入国在留管理行政における国内外に向けた情報発信」、「難
民・避難民の保護の在り方」及び「非正規移住者を含む不法入国防止の
対策」の4つのテーマに関して、参加者間で課題の共有や意見交換が行
われた。
7. 午後の分科会の前には、UNHCR のエリザベス・タン国際保護総局長から
のビデオメッセージ及び UNHCR の伊藤礼樹駐日代表による講演が行われ
た。タン総局長からは、難民、避難民及び無国籍者を取り巻く今日の世
界情勢、地域レベルそして地域間の強制移動がもたらす課題、また、政
府及び IOM を含むステークホルダー間のより緊密な協力関係及び強制移
動に対する各国の包括的な取組みがいかに難民保護や難民問題の解決の
強化に資するかについて、UNHCR の考察が共有された。また、伊藤駐日
代表からは、難民に関するグローバル・コンパクトについての紹介と、
12月13日から15日にジュネーブで行われた第2回グローバル難民
フォーラムに関して、フォーラムでの議論の要旨と今後の期待が寄せら
れた。
8. 参加者は、小泉龍司法務大臣が述べた本フォーラムの目的・意義に支持
を表明し、本フォーラムが入管当局間の国際的なプラットフォームとし
ての役割を果たしていることを評価した。また、各国・地域は、今回の
フォーラムで議論されたテーマも含め、引き続き入管当局間において課
題の共有と意見交換を行っていく必要性を確認した。
9. 議長は、全ての参加者による本フォーラムに対する支援と貢献に感謝す
るとともに、今後も本フォーラムを定期的に開催し、来年に次回フォー
ラムを東京で開催したい旨述べた。