様式第十三(第4条関係)
新事業活動に関する確認の求めに対する回答の内容の公表
1.確認の求めを行った年月日
令和6年7月17日
2.回答を行った年月日
令和6年8月6日
3.新事業活動に係る事業の概要
照会者は、eformsignサービス(以下「本サービス」という。)を国や地方公共団体等の契
約書、請書などの各種文書の作成・署名の使用を想定し、提供を予定している。具体的には、
以下手順により契約締結を行う。
【契約締結までの流れ】
本サービスは、利用者の指示に基づき照会者が提供する署名鍵(秘密鍵)により暗号化を行
う事業者署名型の電子契約サービスである。署名依頼者は本サービスアカウントが必要であり、
契約相手は本サービスアカウントがなくても電子署名を行い、契約を締結することができる。
具体的な手順に関しては以下の通りである。
1 署名依頼者(以下、
「送信者」という。)は、本サービスにログインして契約書ファイルを
アップロードする。契約書ファイルとして PDF、Office 文書(Excel、Word、PowerPoint)、
画像ファイル(jpg、png)を使用することができる。
2 アップロードした契約書に送信者と契約相手(以下「受信者」という。)が署名する位置と
領域を指定し、各受信者に対して本人認証オプション及び署名順序を設定する。本人認証
オプションとしてはパスワード、メール認証コード、SMS 認証コードを提供している。
3 各受信者のメールアドレス・携帯電話番号を入力して送信ボタンを押すと、送信者の情報
を利用した電子署名が付与されることを案内した後に当社の署名鍵で暗号化して契約書に
長期署名形式の電子署名を付与し、最初の受信者宛てにメール・SMS を送信する。
4 受信者は、契約書を確認・署名することができるウェブページのリンクを含んだ契約書署
名依頼案内メール・SMS テキストを受信する。
5 当該リンクをクリックすると、受信者本人認証オプションにより本人認証を求める画面が
表示される。本人認証に成功すると、電子契約同意書が表示され、同意を求める。
6 同意が完了すると契約書が表示され、受信者は内容を確認する。受信者は契約書上に定め
られた署名位置に署名することができる。受信者は自分の"印鑑画像(印影)
"、"手書き
署名"、"テキスト署名(キーボート)
"の中から選択して署名を行うことができる。
7 署名を行い、送信ボタンを押すと、本サービスは受信者の情報を利用した電子署名が付与
されることを案内した後に照会者の署名鍵で暗号化して契約書に長期署名形式の電子署名
を付与する。契約書を送受信する際は、TLS セキュリティプロトコルを使用して通信を行
う。
8 受信者が複数の場合にも、各受信者が署名を完了した後、提出ボタンを押すと、同様に長
期署名形式の電子署名を付与して次の段階に進む。
9 最後の受信者が署名を終え、提出ボタンを押すと、本サービスはすべての署名が付与され
た完了文書を PDF/A 形式で保存し、同時にすべての文書処理履歴と署名情報を含む監査証
跡証明書を生成する。最後に、送信者を含むすべての契約当事者に契約締結完了の案内メ
ール・SMS が送信される。
10 契約当事者は、受信した契約書完了の案内メール・SMS に記載されるリンクを押すことで
完了した契約書を確認し、監査証跡証明書と同時にダウンロードすることができる。
11 PDF/A 形式の完了した契約書ファイルは、Adobe Acrobat など PDF リーダーの「署名パネ
ル」で当社の署名鍵で暗号化された電子署名を確認することで、完了した契約書が改ざん
されていないオリジナルであることを、10 年以上の長期間にわたって証明することができ
る。
監査証跡証明書には以下の内容が含まれる。
⚫ ファイル名
⚫ 文書タイトル
⚫ 文書番号
⚫ 会社名
⚫ 完了日時
⚫ SHA-256 ハッシュ値
⚫ 署名者の氏名
⚫ メールアドレス
⚫ 携帯電話番号
⚫ IP アドレス
⚫ 署名日時
⚫ 署名のイメージ画像
⚫ 文書に対して行われたすべての処理履歴
4.確認の求めの内容
(1)照会者が提供する本サービスを利用して契約書等の電子データをクラウドサービス上にア
ップロードし、契約当事者がインターネットを通じて契約締結業務を行う仕組みが、契約事
務取扱規則第28条第2項に規定する方法による「電磁的記録の作成」に該当し、契約書、
請書、その他これに準ずる書面、検査調書、見積書等の作成に代わる電磁的記録の作成とし
て利用可能であることを確認したい(以下「本照会1」という。)。
(2)本サービスを用いた電子署名が電子署名及び認証業務に関する法律第2条第1項で定める
電子署名に該当し、これを引用する契約事務取扱規則第28条第3項に基づき、国の契約書
にも利用可能であること。また、地方自治法施行規則第12条の4の2に定める総務省関係
法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則第2条第2項第1号
に基づき、地方公共団体の契約書についても利用可能であることを確認したい(以下「本照
会2」という。)。
5.確認の求めに対する回答の内容
(1)本照会1についての回答
ア 結論
本サービスによって契約書ファイルをクラウド上の本サービスにアップロードし、利用者
双方がインターネットを通じて本サービスに接続して契約締結業務を行うことは、同規則第
28条第2項が規定する方法による「電磁的記録の作成」に該当し、契約書、請書及びその
他これに準ずる書面、検査調書、見積書等の作成に代わる電磁的記録の作成として利用可能
であると考える。
イ 理由
契約事務取扱規則第28条第2項は、「前項各号に掲げる書類等の作成に代わる電磁的記
録の作成は、各省各庁の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と契約の
相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用して当
該書類等に記載すべき事項を記録する方法により作成するものとする。」としている。
この点について本サービスは、利用者がPC、タブレット、スマートフォンなどのコンピュ
ータから契約書や請書など契約事務取扱規則第28条第1項に規定された文書に関する電磁
的記録(契約書などの文書ファイル)を本サービスにアップロードし、利用者双方がインタ
ーネットを通じて本サービスに接続した後、署名者が契約書に署名して契約締結業務を処理
する仕組みである(照会書9ページ参照)ことから、同条第2項の方法に該当するものと認
められる。
(2)本照会2についての回答
ア 結論
本サービスによる電子署名は、電子署名法第2条第1項に規定する電子署名に該当すると
認められる。したがって、契約事務取扱規則第28条第3項に基づき、国の契約書が電磁的
記録で作成されている場合の記名押印に代わるものとして、利用が可能であると考える。
また、地方自治法施行規則第12条の4の2に定める総務省関係法令に係る情報通信技術
を活用した行政の推進等に関する法律施行規則第2条第2項第1号に基づき、地方公共団体
の契約書が電磁的記録で作成されている場合の記名押印に代わるものとして、利用が可能で
あると考える。
イ 理由
電子署名法における「電子署名」とは、同法第2条第1項に規定されているとおり、(ア)
電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって(同項柱書)、(イ)
当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること
(同項第1号)及び(ウ)当該情報について改変が行われていないかどうかを確認すること
ができるものであること(同項第2号)のいずれにも該当するものである。
(ア)電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置の該当性
本サービスは、「契約内容が記録された電磁的記録(PDFファイル)に各署名者が電
子署名をすると、サービス提供事業者である当社の署名鍵で暗号化を行い、当該PDFフ
ァイルへの電子署名の付与と同時に、署名者の氏名、メールアドレス・携帯電話番号を
記録、タイムスタンプを付与する仕組み」(照会書10ページ参照)であることを前提
とすれば、「電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であること」
との要件を満たすことになると考える。
(イ)当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのもので
あることの該当性
本サービスでは、契約内容が記録された文書ファイルをクラウドサーバーにアップロ
ードし、契約当事者双方がそれぞれ画面上で同意し、契約締結業務を実施する仕組みと
なっている。この場合、契約当事者双方の当該操作の後に、サービス提供者である照会
者により暗号化等されるサービスであるため、電子署名法第2条第1項第1号の「当該
措置を行った者」が利用者であると評価し得るかどうかが問題となる。
この点、令和2年7月17日に総務省、法務省及び経済産業省において公表している
「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契
約サービスに関するQ&A」(以下「Q&A」という。)では、以下の解釈が示されてい
る。
・ 電子署名法第2条第1項第1号の「当該措置を行った者」に該当するためには、
必ずしも物理的に当該措置を自ら行うことが必要となるわけではなく、例えば、
物理的にはAが当該措置を行った場合であっても、Bの意思のみに基づき、Aの
意思が介在することなく当該措置が行われたものと認められる場合であれば、
「当該措置を行った者」はBであると評価することができるものと考えられる。
・ このため、利用者が作成した電子文書について、サービス提供事業者自身の署名
鍵により暗号化を行うこと等によって当該文書の成立の真正性及びその後の非改
変性を担保しようとするサービスであっても、技術的・機能的に見て、サービス
提供事業者の意思が介在する余地がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に
暗号化されたものであることが担保されていると認められる場合であれば、「当
該措置を行った者」はサービス提供事業者ではなく、その利用者であると評価し
得るものと考えられる。
・ そして、上記サービスにおいて、例えば、サービス提供事業者に対して電子文書
の送信を行った利用者やその日時等の情報を付随情報として確認することができ
るものになっているなど、当該電子文書に付された当該情報を含めての全体を1
つの措置と捉え直すことよって、電子文書について行われた当該措置が利用者の
意思に基づいていることが明らかになる場合には、これらを全体として1つの措
置と捉え直すことにより、「当該措置を行った者(=当該利用者)の作成に係る
ものであることを示すためのものであること」という要件(電子署名法第2条第
1項第1号)を満たすことになるものと考えられる。
本サービスは、上記Q&Aの適用を前提に、「当該措置を行った者」(電子署名法第
2条第1項第1号)の該当性を判断するべきであると考える。以上を踏まえて本件につ
いて以下のとおり検討する。
本サービスは、「利用者の指示に基づき当社(注:照会者)が提供する署名鍵(秘密
鍵)により暗号化を行う事業者署名型の電子契約サービス」(照会書2ページ参照)で
あり、具体的には、本サービス利用者は、本サービスにログインして署名を受ける文書
ファイルをアップロードし、署名を行う「各受信者のメールアドレス・携帯電話番号を
入力して送信ボタンを押すと、送信者の情報を利用した電子署名が付与されることを案
内した後に当社の署名鍵で暗号化して契約書に長期署名形式の電子署名を付与し、最初
の受信者宛てにメール・SMSを送信する」(照会書3ページ参照)仕組みとのことであ
る。
また、受信者は、上記メール・SMSに記載されたURLをクリックすると、本人認証が始
まりそれに成功すると、電子契約同意書への同意を行うことができるようになる。受信
者は、あらかじめ指定された署名領域を選択し、手書き署名や、自身の印影画像の添付
などを行い、「提出」ボタンを押すと、「受信者の情報を利用した電子署名が付与され
ることを案内した後に当社の署名鍵で暗号化して契約書に長期署名形式の電子署名を付
与」(照会書5ページ参照)する。なお、「文書ファイルに対する暗号化措置に利用す
る当社の署名鍵は、HSM(Hardware Security Module)によって管理されているため、当
社や当社の開発者・運用管理者から暗号化措置について言及する余地がない領域であ
る。」(照会書11ページ参照)とのことである。
全ての受信者が提出ボタンを押すと、本サービスは「すべての署名が付与された完了
文書をPDF/A形式で保存し、同時にすべての文書処理履歴と署名情報を含む監査証跡証
明書を生成する。最後に、送信者を含むすべての契約当事者に契約締結完了の案内メー
ル・SMSが送信される。」(照会書5ページ参照)とのことである。
以上より、本サービスが適用する電子署名は、利用者の指示に基づき、照会者や第三
者の意思が介入する余地なく機械的に、サービス提供事業者である照会者の署名鍵によ
り暗号化処理が実行される仕組みであり、本サービスは、「技術的・機能的に見て、サ
ービス提供事業者の意思が介在する余地がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に
暗号化されたものであることが担保されている」ことが認められる。
(ウ)当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるもので
あることの該当性
照会書によれば、「本サービスは、署名がすべて完了した文書の最終版PDFファイル
に対してSHA-256ハッシュ値とRSA-4096bit暗号化アルゴリズムによるハッシュ値を算出
して保存し、監査証跡証明書にも記録する。ある完成文書のコピーが原本と同一で改変
されていないか確認するためには、同じアルゴリズムによってコピー文書のハッシュ値
を算出し、監査証跡証明書に記録されている原本のハッシュ値と比較することで改変の
有無を確認することができる。もしコピーが改変されている場合は、ハッシュ値が原本
と一致せず、Adobe AcrobatなどのPDFリーダーでも変更ありと通知が表示されるため、
改変されているか検知することができる」(照会書14〜15ページ参照)とのことか
ら、「当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるもので
あること」(電子署名法第2条第1項第2号)の要件を満たすことになるものと考えら
れる。
以上から、照会者の提供する本サービスを用いた電子署名は、電子署名法第2条第1項に
おける「電子署名」に該当すると考えられる。そのため、同項を引用する契約事務取扱規則
第28条第3項に基づき国の契約書についても利用可能であると考えられる。
よって、地方自治法施行規則第12条の4の2に定める総務省関係法令に係る情報通信技
術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則第2条第2項第1号に基づき、地方公共団
体の契約書についても利用可能であると考える。
(注)
本回答は、確認を求める対象となる法令(条項)を所管する立場から、照会者から提
示された照会書の記載内容のみを前提として、現時点における見解を示したものであり、
もとより、捜査機関の判断や罰則の適用を含めた司法判断を拘束するものではない。ま
た、電子署名サービスの安全性を担保するものではない。

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