令和6年3月7日
自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会 御中
危険運転致死傷罪の条文見直しを求める会
大西 まゆみ
土居野 優
自動車運転による死傷事犯に係る罰則への要望について
1 高速度による危険運転について
2018年12月29日の夜、三重県津市国道23号線での大事故で息子朗を亡くしました。雪混じ
りの雨が降る年末の夜でした。加害者は、高級外車で車線変更をくり返し、他の走行車を追い
越し加速し続けたあげく、時速146kmで息子達が乗ったタクシーの側面に衝突させました。
タクシーの運転手を含む3名は、外傷性大動脈破裂などによる出血性ショックにより、即死
の状態でした。
息子朗は、救命センターで必死に生きようと頑張りましたが、6日目の1月3日、多臓器不
全のため亡くなりました。
瀕死の重傷を負わされた方も、命はとり留めたものの加療期間不詳の傷害で今なお後遺症に
苦しむ毎日です。 事件後、警察の事情聴取で「三重県でこんな酷い事故は今までなかった。」、「言葉は悪い
ですが、必ずおとしまえはつけます。」と声をふるわせて言ってくれました。法律からする
と、相当難しいことであったと思います。
上司の許可も出ましたのでと、危険運転致死傷罪で送致されました。
第一審で、検察からこれでもかという程の立証がされました。大量のスライド資料を使い、
故意の立証でした。
名古屋高裁での判決には、危険であるという言葉が何回もありました。
・公道である本件道路をあたかも自分1人のためにあるが如き感覚で走行するという身勝手極
まりない運転が常識的にみて「危険な運転」であるということは言うまでもない
・被告人の運転が危険な運転であることは明白である
・殊更な無謀運転
・事件の結果が誠に重大
・故意犯に準ずる非常に危険で悪質な行為である
・本件事故は専ら被告人の常軌を逸した高速度運転に起因するもの
・本件の犯情の悪質さは、他の過失運転致死傷事案との比較において類を見ない
・傍若無人な被告人の行為はあまりにも危険であるばかりか、そうした危険性に対する被告人
の意識の低さ感覚の鈍さは相当に問題と言わざるを得ず、その過失は極めて悪質重大である
・その上4名を死亡させ、1名に瀕死の重傷を負わせたという重大な結果が生じたのも高速度 / 1 5
走行の故である
これほどまで、被告人の運転が危険だと断言しながら、過失にしか問えない法律。一つひと
つの判決の言葉が、不自然に過失と言わざるを得ない法律とは。
第一回の法制審議会の冒頭に、何度も社会通念に従って決する、という言葉が出てきます。
社会通念では、時速146キロは、危険運転とほとんどの人が認めます。息子の事件では、こ
れほど危険な運転なのにどうして過失なんだと、皆が怒りをあらわにします、
事件からまる5年たった今でも、誰もが胸のモヤモヤは消えません。
路地を80キロで走る危険な運転をできる人はほとんどいないと思います、でも時速80キロで
も100キロでも危険運転ではない。ぶつかるまでまっすぐ走れたら運転を制御できていたと、
危険運転にはならない、など到底市民感覚では理解できません。
衝突する前に止まれてはじめて運転を制御できたと言えるのではないでしょうか。これが社
会通念です。
道交法で定められた制限速度は、何の為にあるのでしょうか。それ以上の速度で走れば、重
大な事故を起こす危険性があるということではないでしょうか。
それを守らず、死傷事故を起こせば、危険性を犯したということで危険運転に問われるべきで
はないでしょうか。
適用範囲を拡大しない為に謙抑的に、適用しやすいようにと解釈を加えた法ということです
が、尊い人命を守るという最重要の視点が抜け落ちているのではないでしょうか。
近年、時速146キロ、160キロ、194キロと暴走する車が増えています。人の命より自分がス
ピードで楽しむことしか考えていない人権を無視した人間が増えています。
一度ならず二度も死亡事故をおこす輩もいます。適正にキケンな運転をキケン運転で裁き、
長い懲役という不利益を被ることしか抑止力にならないと思います。
大事なことは皆がルールを守るということです。制限速度をたまに少し超えることもありま
す。+10km/時なら過失です、それ以上超えて死傷事故をおこせば危険運転に問いたい。
そして故意の認識ですが、息子の加害者も「何キロで走っていたか」の問いに「スピードメ
ーターを見ていなかったので分からない。80キロくらいは出ていたか」と答えていました。日
常的に暴走していたので体感でわかるはずです。まして146キロ出すには相当アクセルを踏み続
けないと出ません。
第二審で裁判長が、その危険性を認識できないことが問題であると言いました。故意の認識
など、本人がなかったと言えば、それを立証するために検察は膨大なエネルギーと時間を費や
さなければなりません。それで認められなかった場合をくり返すと、検察官は燃えつきるので
はないか。また最初からさっさと危険運転に問うことを避けてしまうことになるのではないか
と思います。
息子の裁判では、高検の検察官も判決後、怒りで小刻みにふるえるような様子でした。必ず
上告してくれるものと信じていました。上告期限の前日に高検の担当検事が被害者遺族5軒を
一軒一軒訪れ、上告断念の説明がありました。「上告の理由がみい出せない」と顔をまっ赤に
して、本当に悔しそうでした。 / 2 5
私もこれで終わりなのかと、いたたまれず「負けてもいいから上告していただけませんか」
とお願いしましたが「無理なんです・・・」としぼり出すような声で深々と頭を下げられまし
た。その姿に検察も本当に苦しんだ後の答えなのだと、その姿に懲役7年(過失運転致死傷
罪)それ以上はないんだなと、悔しく残念な、息子達に申し訳ない気持ちでした。
2月で判決からちょうど3年。その間法改正の思いを忘れた日はありません。
忘年会の2次会に向かうタクシーで事件にまき込まれました。両足を切断された体でも生き
ていて欲しかった。しかし春に結婚するはずだった婚約者と家族を残して旅立たなければなら
なかった息子朗の「こんなんありえへんよなあ、おかん」と声なき声に今日も戦っています。
社会通念に従い、適用しやすく誰もが納得できる法改正を切に望みます。
2 アルコールによる危険運転について
(1)はじめに
令和元年5月5日の子どもの日、飲酒運転の加害者に小学4年生の息子の命を奪われまし
た。加害者は義理の父である勤務先の社長等と飲酒し、社長を滋賀県高島市内から京都市内ま
で送り届けた後、同県高島市内にある勤務先の宿泊施設に戻る途中で事故を起こしました。
私どもの事件は、自動車運転死傷行為等処罰法第3条第1項で起訴され、加害者に懲役4年
(危険運転致死罪)の実刑判決が下されましたが、危険運転致死傷罪における構成要件の立証
が非常に困難であること、同罪が適用されたとしても被害者が一人の場合は軽い量刑しか与え
られないことに愕然とさせられました。
(2)危険運転致死傷罪適用の困難性
私どもの事件の公判において、検察は、「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」で
あったことや「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」に陥ったことを証明するた
め、道路カメラ映像、飲食店店員や後続ドライバー等の証人尋問に加え、ウィドマーク法によ
る血中アルコール濃度の推定を行い、またこれらに加え、裁判所主導による現場調査も行われ
ました。
これら客観的な証拠に対し、加害者と被告弁護人は、危険運転致死罪を否定するために飲酒
量を「生ビール中ジョッキとウイスキーロックを各3杯づつから各1杯程度づつ」へと少なめ
に変遷させたり、「飲酒運転はしたが、アルコールが事故の原因ではない」という反社会的な
主張や「約700mに渡るS字カーブに横断勾配がついているから居眠りしたままでも意識的にハ
ンドル操作せずに対向車線を逆走できる」という旨の非合理的な主張を繰り返したりするな
ど、激しく争ってきました。
私たち遺族は、判決確定に至るまでに初公判から1年8ヶ月、事故発生から2年8ヶ月もの
長期間にわたり、息子を失った悲しみや苦しみに加え、全く反省の態度が見られない加害者と
被告弁護人の主張などに対して激しい怒りを抱くとともに、危険運転致死罪が無罪となった
り、過失運転致死罪が適用され執行猶予がついてしまったりするのではないかという何か得体
の知れない強い恐怖や不安にさらされ続けました。
最終的には検察官及び警察官の方々に必要な証拠をそろえていただき、裁判官がそれを適切
に精査されたことにより実刑判決を勝ち取ることができましたが、何か証拠が一つでも欠けて
いれば、あるいは一つでも否定されていれば、危険運転致死罪は適用されず過失運転致死罪と
して裁かれていたと思います。例えば、飲食店店員の証言が無ければ飲酒量が分かりません
し、後続ドライバーの証言が無ければ道路カメラで捉えることのできない異常な運転状況も分 / 3 5
かりません。呼気検査ができなければウィドマーク法による血中アルコール濃度の推定もでき
ませんし、直線道路での事故ならば居眠りの可能性を否定できなかったかもしれません。
公判を通して、裁判官が認めるような構成要件を満たす客観的な証拠を集めることが非常に
困難であること、過失の執行猶予狙いのために加害者は非合理的な主張でも構わずに言い逃れ
をしてくることを強く認識させられました。
(3)飲酒運転に過失運転はない −飲酒運転は全て危険運転−
公判を通していろいろなことを強く疑問に思いました。それは、飲酒運転そのものが危険な
運転行為であるにも関わらず、危険運転致死傷罪の適用をめぐって事故の原因がアルコールの
影響か否かを長期間に渡り加害者と争うことが合理的かつ意味のあることなのか、罪から逃れ
るために非合理的な主張を繰り返す加害者に反省や更生などできるのだろうか、ということで
す。
『アルコールは少量でも脳の機能を麻痺させ、安全運転に必要な情報処理能力、注意力、判
断力などが低下している状態になる』ことが知られ、『飲酒運転の死亡事故率は、飲酒なしの
約7.1倍(令和4年)と極めて高い』ことも分かっています(参考資料1)。また、『アルコー
ルは運転に必要な技術や行動に対して極めて低い血中濃度から影響を与え、例えば集中力・多
方面への注意・反応時間などは、日本の道路交通法により検挙される濃度(血中濃度0.03%)
より低い濃度から障害される』ことも分かっています(参考資料2)。
重大な結果を招く危険性が高いから飲酒運転が法律で禁止されているにも関わらず、敢えて
自らの意思で選択した飲酒運転という危険な運転行為により発生した死傷事故を過失としてよ
いのでしょうか?飲酒運転で大切な人の命を奪われたとき「正常な運転に支障が生じるおそれ
がある状態だと認められなかったから」、「正常な運転が困難な状態に陥ったとは認められな
かったから」、「危険な運転行為が認められなかったから」等の理由で、「これは過失運転で
す」と言われて納得できるでしょうか?アルコールの影響下にある運転であるということは、
すなわち正常な運転に支障が生じるおそれがある状態であり、危険な運転行為であるというこ
とではないでしょうか?一見異常ではない運転に見えたとしても、研究結果で明らかな通り、
脳の機能や安全運転に必要な技能はアルコールの影響を受けているのです。(参考資料2)。
以上をふまえ、少なくとも酒気帯び運転相当以上(呼気0.15mg/l以上)のアルコールを体
内に保有し死傷事故を起こした場合、危険運転致死傷罪を適用する条文へと変更すること(飲
酒運転による死傷事故に過失運転はないものとすること)を強く要望します。
(4)3条1項の法定刑の引き上げ
禁止された行為を敢えて行って、人を死傷させたのならば、相応の罰を受けるべきです。過
去に3条1項が追加されたおかげで私どもの事件は危険運転致死罪として裁かれ安堵しました
が、その一方でわずか4年の実刑しか与えることができず悔しい思いもしました。突然終わら
せられた人生と比較した時、残念ながら交通犯罪においては「殺された者負け」なのだという
ことを痛感させられました。人によってはこれでもかなり重い罰と言われますが、被害者やそ
の遺族の持つ物差しとの差に大きな隔たりがあると思わざるを得ません。私たちにとっては軽
い量刑としか思えないのです。危険運転であろうが、過失運転であろうが、禁止された飲酒運
転で大切な命を奪われても5年にも満たない実刑とは一体なんなのだろうか、というのが遺族
としての実感なのです。どれだけ裁判長が厳しい言葉を被告人に投げ掛けても、そこに相応の
量刑が伴わなければ、空虚なものとなってしまうのです。
私は、3条1項の「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」で運転し続けること自 / 4 5
体、別の意味で2条1号の「正常な運転が困難な状態」な運転よりも悪質であると考えます。
それは、2条1号の状態よりも冷静な判断が可能であるにも関わらず、禁止された飲酒運転を
やめるという判断を選択せず危険な運転行為を継続した結果、死傷事故を起こすものであり、
その意味において悪質性が高いと考えられるからです。また、禁止された飲酒運転の結果の死
傷事故という点では、3条1項も2条1号もなんら変わらないと思料します。その意味におい
ても3条1項の法定刑は2条1号に匹敵してもよいものと考えます。
危険運転致死罪の上限は20年や15年で、現状、複数人亡くならないとそのような量刑とはな
らないものと認識しておりますが、一人の人間の命の重みというものを考えていただきたいの
です。大きな量刑を与えられないのは、暴行による傷害致死傷罪など他の法律とのバランスな
のかどうかはよく分かりませんが、もしそうであればそもそも同罪などの刑罰自体が軽いと思
わざるを得ません。
以上をふまえ、(3)で述べた通り飲酒運転は全て危険運転とした上で上限は2条1号相当
の法定刑としつつ、一人の死亡でも大きな量刑を与えられるよう法定刑の下限を引き上げてい
ただくことを要望します。
(5)公平な社会で安心して暮らすために
平成14年以降、飲酒運転の厳罰化、飲酒運転根絶に対する社会的気運の高まり等により飲酒
運転の事故件数は減少してきていますが、平成20年以降はその減少幅が縮小してきています。
令和4年中における飲酒運転による交通事故件数は、年間2,167件で、そのうち死亡事故件数
は120件であり、毎年、尊い命が失われています。(参考資料1)
飲酒運転を撲滅するためには、様々な対策を総合的に進めていく必要がありますが、車とお
酒がある限り、飲酒運転を減少させることはできても、撲滅することは不可能ではないかと
思っておりますし、それは他の危険な運転行為についても同様と考えます。そうだとすれば、
私たち国民がより公平な社会で安心して暮らしていくためにも、悪質な犯罪者には相応の罰が
与えられる法にすべきだと思いますし、それは道路交通社会や人々の意識の変化とともに改善
していく必要があると思います。
これ以上、怒り、悲しみ、絶望など様々なネガティブな感情で苦しめられる人たちを生み出
さないように、あるいはその苦しみなどを少しでも軽減するために、飲酒運転については、前
述の通り現行の酒気帯び運転に相当する0.15mg/l以上であれば危険運転致死傷罪を適用する
(飲酒運転に過失運転はないものとする)、また3条1項の危険運転致死傷罪の法定刑を引き
上げるような条文変更としていただくことを強く要望いたします。 / 5 5
2024/02/23 17:03 みんなで守る「 飲酒運転を絶対にし ない、 さ せない」 |警察庁Webサイ ト
https://www.npa.go.jp/
bureau/
traffic/
insyu/
info.html 2/7罰則
車 両等を 運転し た者
酒酔い運転を し た場合
5 年以下の懲役又 は10 0 万円以下の罰金
酒気帯び運転を し た場合
3 年以下の懲役又 は5 0 万円以下の罰金
車 両等を 提供し た者
(運転者が)酒酔い運転を し た場合
5 年以下の懲役又 は10 0 万円以下の罰金
(運転者が)酒気帯び運転を し た場合
3 年以下の懲役又 は5 0 万円以下の罰金
酒類を 提供し た者又 は同乗し た者
(運転者が)酒酔い運転を し た場合
3 年以下の懲役又 は5 0 万円以下の罰金
(運転者が)酒気帯び運転を し た場合
2 年以下の懲役又 は3 0 万円以下の罰金
アルコ ールは"少量"で も 脳の機能を 麻 痺さ せま す!
飲酒運転は、 ビールや日 本酒な どの酒類やアルコ ールを 含む飲食 物を 摂取し 、 アルコ ール
分を 体内に保有し た状態で 運転する 行 為で す。
アルコ ールには麻 痺(ま ひ)作用 があり 、 脳の働き を 麻 痺さ せま す。 一 般に「 酔う 」 と は、
血 中のアルコ ール濃度が高 く な る こ と によ り 、 大 脳皮 質(理性や判断を つかさ ど る 部分)の活
動を コ ン ト ロ ールし て いる 大 脳下部の「 網様体」 が麻 痺し た状態を 言 いま す。 お酒に酔う
と 、 顔が赤 く な る 、 多弁にな る 、 視力 が低下する な どの変化が現れ始め、 さ ら に知覚や運転
能力 を つかさ ど る 部分が抑制さ れる こ と によ り 、 同じ 話を 繰り 返し たり 、 足 元がふら ついた
り し ま す。
飲酒運転根絶のリ ーフ レ ッ ト ( 表) 飲酒運転根絶のリ ーフ レ ッ ト ( 裏)
飲酒運転はなぜ危険か?
参考資料 1
参考資料11/2 2024/02/23 17:03 みんなで守る「 飲酒運転を絶対にし ない、 さ せない」 |警察庁Webサイ ト
https://www.npa.go.jp/
bureau/
traffic/
insyu/
info.html 3/7 こ のよ う に、 飲酒時には、 安全運転に必要な 情報処理能力 、 注意力 、 判断力 な ど が低下し
て いる 状態にな り ま す。 具体的には、 「 気が大 き く な り 速度超過など の危険な 運転を す
る 」 、 「 車 間距離の判断を 誤る 」 、 「 危険の察知が遅れたり 、 危険を 察知し て から ブ レ ー
キペダルを 踏むま で の時間が長 く な る 」 な ど 、 飲酒運転は交通事故に結びつく 危険性を 高 め
ま す。
ま た、 酒に弱いと 言 われる 人 だけで はな く 、 酒に強いと 言 われる 人 で も 、 低濃度の アル
コ ールで 運転操作等に影響を 及ぼすこ と が各種調査研究によ り 明ら かにな っ て いま すので、
飲酒し たら 絶対に車 両等を 運転し て はいけま せん!
参考資料
科学警察研究所交通安全研究室
公益財団法人 交通事故総合分析セン タ ー
飲酒運転によ る 交通事故の発生 状況( 令和4 年中)
令和4 年中の飲酒運転によ る 交通事故件数は、 2,16 7件で、 前年と 比 べて 減少(前年比 -31
件、 -1.4 %)し 、 そのう ち 、 死亡事故件数は、 120 件で、 こ ち ら も 前年と 比 べて 減少( 前年
比 -32件、 -21.1%) し ま し た。
飲酒運転によ る 死亡事故は、 平成14 年以降、 累次の飲酒運転の厳罰化、 飲酒運転根絶に対
する 社会的気運の高 ま り 等によ り 大 幅に減少し て き ま し たが、 平成20 年以降は減少幅が縮小
し ていま す。 飲酒有無別の死亡事故率( (注記)
) を 見 る と 、
くろまる 飲酒運転の死亡事故率は、 飲酒な し の約7.1倍
と 極めて 高 く 、 飲酒運転によ る 交通事故は死亡事故につな がる 危険性が高 いこ と が分かり ま
す。
((注記)
) 死亡事故率=×ばつ
100 %
「 低濃度のアルコ ールが運転操作等に与える 影響に関する 調査研究」 (76 KB)
「 アルコ ールが運転に与える 影響の調査研究の概要」 (29 3KB)
飲酒運転によ る 交通事故の発生 状況等2/2 2024/02/24 17:24 アルコ ールの運転技能への影響 | e-ヘルスネッ ト ( 厚生 労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
information/
alcohol/
a-06-006.html 1/2情報提供メ ニュ ー
e-ヘルスネッ ト > 飲酒 > アルコ ールと 社会問題 > アルコ ールの運転技能への影響
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飲酒と 暴力
アルコ ールの運転技能へ
の影響
厚生 労働省 生 活習慣病予防のための健康情報サイ ト
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アルコ ールの運転技能への影響
アルコ ールは運転に必要な技術や行 動に対し て極めて低い血 中濃度から
影響を与え、 血 中濃度が高 く なればその分影響も 強く なるこ と が知ら れ
ています。 例えば集中力 ・ 多方 面 への注意・ 反応時間などは、 日 本の道
路交通法により 検挙さ れる濃度( 血 中濃度0 .0 3 % ) より 低い濃度から 障
害さ れます。 当然のこ と ながら 素面 ( し ら ふ) の状態より アルコ ールの
存在下の方 が技術が向上すると いう 証拠は全く あり ません。
アルコ ールの急性効果の中心 は脳に対するも のです。 こ の効果は血 中濃度がゼ
ロから 上昇するにつれて、 脳の様々な機能に影響し ていき ます。 個人 差は認め
ら れるも のの、 アルコ ールは運転に必要な技術や行 動に対し て極めて低い血 中
濃度から 影響を 与え、 血 中濃度が高 く なればその分影響も 強く なるこ と が知
ら れています。 素面 ( し ら ふ) の状態より アルコ ールの存在下の方 が、 技術が
向上すると いう 証拠は全く あり ません。
表は実際の運転に必要な個々の技能に対し て、 どの位の血 中濃度から アルコ ー
ルの影響が出てく るかを まと めたも のです[1][2][3]。 表の血 中濃度は主に欧米
の研究結果をも と にし ています。
運転技能 血 中濃度
集中力 が下がる 0 .01 % 未満
多方 面 への注意力 が向かなく なる 0.0 2 %
反応時間が遅れる 0 .02 %
ト ラ ッ キング技能が阻害さ れる 0 .02 %
ハンド ル操作がう まく でき なく なる 0 .03 %
視覚機能が阻害さ れる 0 .04 %
参考資料 2
参考資料21/2 2024/02/24 17:24 アルコ ールの運転技能への影響 | e-ヘルスネッ ト ( 厚生 労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
information/
alcohol/
a-06-006.html 2/2こ のサイ ト について
〒10 0-8 9 16 東京都千代田 区霞ヶ 関1-2-2
© M inistry of Health , Lab our and W elfare, All Rig hts Reserved.
運転技能 血 中濃度
規制を無視し 始める 0 .05 %
表のよう に安全運転に必要な様々な技能は、 かなり 低い血 中アルコ ール濃度
で影響を受け始めるこ と がわかり ます。 またかなり 少ない飲酒量で、 その血 中
濃度に到達する可能性があるこ と も 理解し ていただけたと 思います。 表中にト
ラ ッ キングと 耳 慣れない用 語が出ています。 こ れは運転シミ ュ レ ータ のスク
リ ーンまたは実際の運転で、 道路に沿っ て物体を追っ ていく 技能で、 実際の車
のコ ント ロールに似た技能と 考えら れています。
日 本の道路交通法では血 中濃度0 .0 3 % 以上が「 酒気帯び運転」 で検挙さ れま
す。 し かし 表から わかると おり 、 実はこ れより 低い濃度から アルコ ールは運転
技能を 障害し 始めます。 こ れら のデータ は欧米 人 に対する実験結果をも と に
し ています。 日 本人 の約半数は、 少量の飲酒で顔面 紅潮・ 心 悸亢進などのフ ラ
ッ シング反応を 示 し ます。 こ れら の人 々は、 表の数値より 低い濃度から 影響
を受ける可能性があるかも し れません。
( 最終更新日 : 20 21 年10 月 1 9日 )
樋 口 進
ひぐ ち すすむ
独立 行 政法人 国立 病院機構 久里 浜医療センタ ー 名誉院長 ・ 顧問
参考文 献
1. M oskowitz H, Burns M , W iliam s AF.
Skills perform ance at low blood alcohol level.
J Stud Alcohol 4 6 : 4 8 2-4 8 5 , 1 9 85 .
2. M oskowitz H, Burns M , Fiorentino D et al.
Driver Characteristics and Im p airm ent at various BACs.
Report HS 8 0 9-07 5, National Hig hway Traffi c Safety Adm inistration, Sprin
g fi eld, VA, USA, 2 0 00 .
3. Og d en EJD, M oskowitz H.
Eff ects of alcohol and other d rug s on driver p erform ance.
Traffi c Inj Prev 5 : 1 85 -19 8 , 20 04 .2/2

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