16 人権の擁護
アイヌの人々に対する理解を深め、偏見や差別をなくすことが必要
です。
アイヌの人々❻ アイヌの人々は、
固有の言語や伝統的な儀式・祭事、
「ユカラ」
などの多くの口
承文芸等、
独自の豊かな文化を持っていますが、
近世以降のいわゆる同化政策
等により、
今日では、
その文化の十分な保存・伝承が図られているとは言い難い
状況にあります。
特に、
アイヌ語を理解し、
アイヌの伝統等を担う人々の高齢化が
進み、
これらを次の世代に継承していく上での重要な基盤が失われつつあります。
政府は、
平成19年9月に採択された
「先住民族の権利に関する国際連合宣
言」
や、
平成21年7月の
「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」
による報
告を踏まえ、
総合的かつ効果的なアイヌ政策を推進しています。
また、
令和元年5月に施行された
「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実
現するための施策の推進に関する法律」
では、
アイヌの人々が民族としての誇り
を持って生活することができ、
その誇りが尊重される社会を実現することを目的
として、
アイヌの人々への、
アイヌであることを理由とした差別の禁止に関する基
本理念や、
アイヌ政策を総合的かつ継続的に実施するための支援措置などが定
められています。
政府は、
同法に基づき、
従来の文化振興や福祉政策に加え、地域振興、
産業振興、
観光振興を含めた施策を推進しています。
令和2年7月、
アイヌ文化の復興・創造の拠点として、
北海道白老郡白老町に
「民族共生象徴空間」
(愛称:ウポポイ)
が開業しました。
こちらは、
アイヌの暮
らしや伝統芸能を様々な視点から体感することのできる場となっています。
法務省の人権擁護機関では、
アイヌの人々に対する理解と認識を深め、
アイヌ
の人々に対する偏見や差別の解消を目指して、
啓発動画を配信するなどの様々な
人権啓発活動に取り組んでいます。
また、
令和4年5月から
「アイヌの方々のため
の相談事業」
との連携を開始するなど、
人権相談や調査救済活動に取り組んで
います。
人権の擁護 17
20 40 60020 40 60 800●くろまる内閣官房・内閣府「アイヌに対する理解度に関する世論調査」
アイヌの人々に対する差別や偏見の有無
差別や偏見があると思う理由 差別や偏見が「あると思う」と答えた者に、
複数回答(%)(令和4年11月調査)
から1345
令和2年0令和3年0令和4年1アイヌの人々に対する
差別待遇
平成30年 令和元年0 0■しかくアイヌの人々に対する差別待遇に関する人権侵犯事件の
新規救済手続開始件数
■しかくアイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律
(平成31年法律第16号)
第4条 何人も、アイヌの人々に対して、アイヌであることを理由として、差別
することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。
啓発動画
「アコロ青春 a=kor
アコロ
〔アイヌ語で「私たちの」〕」2特集 人権擁護に関する世論調査
経済格差や教育格差があるイメージがあるから
【27.9%】
友人・知人など身近な人が差別を受けているから
【2.3%】
報道などを通じてアイヌの人々が差別を受けているという話を聞いたことがあるから
【62.8%】
昔、
学校の授業でアイヌの人々が差別を受けていると聞いて、
今もそのイメージがあるから
【27.6%】
自分のこどもから、
学校の授業でアイヌの人々が差別を受けていることを学んだと聞いたから
【1.5%】
漠然と差別や偏見があるイメージがあるから
【39.9%】
わからない
【49.7%】
あると思う
【21.3%】
ないと思う
【28.7%】