法制審議会第196回会議配布資料 民2-2
戸籍法等の改正に関する中間試案の
概要及び中間試案に係る意見の概要
令和3年9月
読み仮名の法制化を諮問
戸籍には「氏名」を記載するよう規定されている(戸籍法13条)が、
読み仮名を付する・付さないを明確にした規定はない。
※(注記)住民基本台帳事務処理上の利便のため、出生の届書に「よみかた」を付した様式を
標準様式として通達により定めているが、戸籍事務では使用していない。
「2024年からのマイナンバーカードの海外利用開始に合わせ、公証された氏名の読み仮名(カナ氏
名)に基づき、マイナンバーカードに氏名をローマ字表記できるよう、迅速に戸籍における読み仮名
(カナ氏名)の法制化を図る。これにより、官民ともに、氏名について、読み仮名(カナ氏名)を活用
することで、システム処理の正確性・迅速性・効率性を向上させることができる。」
「政府は、行政機関等に係る申請、届出、処分の通知その他の手続において、個人の氏名を平仮又
は片仮名で表記したものを利用して当該個人を識別できるようにするため、個人の氏名を平仮名又
は片仮名で表記したものを戸籍の記載事項とすることを含め、この法律の公布後一年以内を目途と
してその具体的な方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」
【甲案】 氏名を平仮名で表記したもの
【乙案】 氏名を片仮名で表記したもの
【甲案】 戸籍法には規定を設けず、法の一般原則による
※(注記)権利濫用の法理や公序良俗の法理など
【乙案】 国字の音訓若しくは慣用により表音され、
又は字義との関連性が認められるもの
【丙案】 国字の音訓又は慣用により表音されるものでなくて
も、字義との関連性その他法務省令で定めるもの
読み仮名を戸籍の届書(出生、国籍取得、帰化等)の
記載事項とし、これを戸籍に記載する。
一定の期間内に市区町村長に読み仮名の申出をしなけれ
ばならない。
一定の期間内に申出がない場合には、市区町村長が職権
で読み仮名を戸籍に記載する。
【甲案】 家庭裁判所の許可を得て、その旨を市区町村長
に届け出る。
【乙案】 甲案に加え、成年に達した時から1年以内に変更
する場合には、家庭裁判所の許可を得ないで、
その旨を市区町村長に届け出ることができる。
読み仮名とともに家庭裁判所の許可を得て、その旨を市区
町村長に届け出なければならない。
令和3年11月〜
戸籍法部会における調査審議
(部会長:窪田充見・神戸大学大学院
法学研究科教授)
※(注記) 令和4年5月までに6回開催
5月27日〜
パブリック・コメント開始
デジタル社会の実現を図る上では、
行政機関の保有するデータ等をいかに効率的にデータベース化して
活用できるかが鍵 (例:給付金の支給など)
⇔ 行政機関が保有する「氏名」のデータは、大半が漢字
→ 外字など多様で複雑なため、データベース化の作業も複雑に 例:斉・斎・齋
【甲案】を支持する意見 23件
・ 社会通念上、許容されないものでない限り、命名権は尊重
されるべき
・ 既に音訓や字義との関連性がない読み方の者はおり、規制
は不可能
【乙案】を支持する意見 7件
・ 音訓や慣用のほか、字義との関連性までは認めるべき
・ 氏名が持つ公益性、社会性の面を重視すべき
【丙案】を支持する意見 10件
・ 我が国には命名文化があり、字義との関連性以外にも一定
の範囲を許容すべき
・ 外国語の字義や音訓との関連でもよい
【文字の音訓(又は慣用)以外は認めるべきではない】
とする意見 41件
・ 漢字の読みと異なるものは認めるべきではない
【現に使用している読み仮名は認められるべき】
とする意見 9件
・ 現に使用している読み仮名を変更させることは相当でない
【甲案】を支持する意見 11件
・ (漢字)氏名の変更と同様の制度とすべき
・ 変更の理由や動機は、裁判所で審査されるべき
【乙案】を支持する意見 16件
・ 漢字は既に定まっており、変更しても大きな問題は生じ
ない
・ 1年の期間を更に伸長すべき
【賛成】 11件
・ 読み仮名は氏名の文字表記と一体であり、変更の判断
は、文字と読み方と一体で行っているはずである
【反対】 2件
・ 届出のみで変更を可能とすべき
【甲案】を支持する意見 12件
・ 日本語は、通常漢字と平仮名で表記される
・ 片仮名は似た文字(「ン」と「ソ」、「ス」と「ヌ」など)がある
【乙案】を支持する意見 25件
・ 外国又は外来語に起源を有する者の表記に適している
・ 既に金融機関等の民間企業でも片仮名が使用されている
届書の記載事項とすることに 【賛成】12件
【反対】 1件
申出・職権記載によることに 【賛成】 5件
【反対】 5件
【その他の意見】
(申出)
・ マイナポータルを活用した申出を認めるべき
・ 申出がない場合に、罰則を科すことには反対
(職権記載)
・ 市区町村長が職権で戸籍に記載する前提として、市区
町村が保有するフリガナ情報を国民に事前に通知すべき
・ 申出によらないと情報の正確性が担保されない