事 務 連 絡
令 和 4 年 3 月 2 日
都 道 府 県
各 指 定 都 市 児童福祉主管部(局) 御中
児 童 相 談 所 設 置 市
厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課
民法の一部を改正する法律
(平成 30 年法律第 59 号)
の施行に係る留意事項(Q&A)の送付について
児童福祉行政の推進については、平素よりご尽力をいただき、厚く御礼申し
上げます。
民法の一部を改正する法律(平成 30 年法律第 59 号。以下「改正法」という。)については、平成 30 年6月 20 日に公布され、その内容については「
「民法の一
部を改正する法律」の公布について(通知)」(平成 30 年6月 20 日子発 0620
第2号厚生労働省子ども家庭局長通知)においてお示ししたところです。
改正法は、民法(明治 29 年法律第 89 号)第4条に規定する成年年齢を 20
歳から 18 歳に引き下げるものであり、
平成 16 年4月2日以降に生まれた者は、
施行日以降満 18 歳で成年に達することとなるところ、
児童福祉施設等への入所
措置等に係る留意事項を別紙のQ&Aのとおり整理しましたので、内容につい
て十分御了知の上、
関係者、
関係団体等に対し、
その周知徹底を図るとともに、
その運用に遺漏なきよう、お願いいたします。
資料6−11民法の一部を改正する法律(平成 30 年法律第 59 号)の施行に係る留意事項(Q&A)
問番号 Q A
A.成人した者に対する施設入所等措置、一時保護の実施について
1 入所者(里親に委託されている者を含む。以下
同じ。
)が 18 歳に到達したとき、令和4年3月 31
日以前に施行されている児童福祉法(以下「現行
児童福祉法」
という。)と同様、
20 歳に達するまで
在所期間を延長することは可能か。
令和4年4月1日(以下「施行日」という。
)以降においても、児童福
祉法第 31 条第2項又は第4項の規定に基づき、満 20 歳に達するまで措
置を延長することが可能である。
2 18 歳に到達した入所者の親(入所者が 18 歳未
満であったときに親権を行う者又は未成年後見人
であった者をいう。以下同じ。
)に対して、入所等
の同意取得は必要か。
また、18 歳に到達している児童の親が入所等の
同意を撤回した場合の取り扱いについては如何
か。
18 歳に到達した入所者については、措置につき親の同意を得る必要は
なく、本人の意に反しない限り入所等を継続できる。
(したがって、親が
不同意であっても家庭裁判所に審判を申し立てる必要はない。)ただし、
成人した後でも、
入所者の親が入所者の処遇等に関わっている
こともあるため、必要に応じて入所者の親にも入所の継続等について説
明するなどといった対応を行うことが望ましい。
3 18歳に到達した入所者が入所等措置の継続に同
意していない場合、措置の継続は可能か。
入所者が 18 歳到達により成人となり、民法上、親権者の親権に服さな
くなることに鑑み、成人した入所者の意に反して措置を継続することは
できない。
ただし、
措置の解除を希望する入所者に対しては、
退所によって当該入
所者の自立や健全な成長を損なうことのないよう、本人の置かれた状況
を踏まえつつ、
本人の真意を確認したり、
必要に応じて関係者と相談する
など、本人の最善の利益を考慮した対応を行うことが望ましい。
4 現行児童福祉法では、
児童が一時保護中に 18 歳
に到達した場合には一時保護の継続が可能とされ
ているが、成年年齢の引下げ後もこの点に変更は
ないか。
児童福祉法第 33 条第8項に変更はなく、施行日以後も現行どおり一時
保護を継続することができる。
5 成人した者について2ヵ月を超えて一時保護を 一時保護の延長等にあたって親の同意は不要であり(本人の意に反し
(別紙)2行う場合、親の同意を得る必要はあるか。 ない限り一時保護の延長が可能)
、親が不同意であっても家庭裁判所に審
判を申し立てる必要はない。
6 一時保護中に成人した児童から一時保護解除の
申出があった場合、その取扱は如何か。
成人した者について、本人の意に反して施設入所等措置を行うことは
できないとする趣旨を踏まえれば、本人の意に反した一時保護を行うこ
とはできないと考えられ、本人から一時保護の解除の意向が示された場
合は、一時保護を解除することが適当である。
ただし、
一時保護の解除を希望する者に対しては、
一時保護を解除する
ことによって本人の安全等を損なう結果とならないよう、本人の置かれ
た状況を踏まえつつ、
本人の真意を確認したり、
必要に応じて関係者と相
談するなど、本人の最善の利益を考慮した対応を行うことが望ましい。
7 児童福祉法第 28 条第1項、第 33 条第5項等に
基づく審判の申立て中に児童が 18 歳に到達した
場合、審判の取扱はどうなるのか。
また、申し立てていた処分を行うことはできる
のか。
一時保護の延長や施設入所等措置に係る承認審判の係属中(抗告審係
属中の場合も含む)に児童が成人した場合の当該審判手続の扱いについ
ては、最終的には各裁判体の判断によることと承知している。
もっとも、
児童が成年に達したことを理由として、
仮に申立てが却下さ
れ、あるいは申立てを却下する原決定が確定することとなった場合であ
っても、問A1に対する回答のとおり、成年に達した児童(延長者・保護
延長者)に対する一時保護の延長や施設入所等措置が妨げられることは
ない。
B.入所者等に対する施設長等の権限等について
1 児童福祉法第 47 条第1項及び第2項に基づく
児童福祉施設の長及び児童相談所長の親権代行
は、18 歳以上の一時保護対象者及び入所者に対し
ても適用されるのか。
成人した者は民法上親権者の親権に服しなくなることを踏まえて、民
法等の一部を改正する法律(平成 30 年法律第 59 号)による児童福祉法
の改正により、同法第 47 条中の「児童等」の文言は「児童」と改められ、
施行日以降は、延長者に対しては施設長等の親権代行の規定は適用がな
くなる。
ただし、
親権を行うことがなくなった後も、
施設長等は当該施設等の入
所者を適切に養護することが求められることから、引き続き必要な支援
を行うこと。
2 成人した入所者について、施設長等が引き続き 成人した入所者については、財産管理は原則本人が行うものとなるが、3金銭管理等を行うことはできるか。 本人との合意に基づいて、従前から施設長等が管理していた金銭を退所
まで引き続き管理することは差し支えない。
その場合、
施設等や入所者個
人ごとに財産管理に係るルールを定める、当該入所者に係る金銭の収支
を明らかにする帳簿を整備するなど、適切な財産管理に努めること。
3 民法第 877 条に基づく扶養義務者は、3親等以
内の親族とされており、これに基づき入所措置に
かかる費用負担金徴収先が設定されているが、入
所者が 18 歳に到達した後についても費用負担金
の徴収は従来通りとなるか。
児童福祉法第 56 条第1項及び第2項において「本人又はその扶養義務
者」
から徴収するとされていることから、
費用負担金の徴収は従来どおり
となる。
C.面会通信制限について
1 施行日以後は、延長者(児童福祉法第 31 条第4
項に規定する延長者をいう。
)に関しては、児童虐
待の防止等に関する法律(以下「虐待防止法」と
いう。)に基づく面会通信制限や接近禁止命令の処
分をとることはできないが、保護者が強引に面会
要求した場合等の対応は如何か。
民法の一部を改正する法律による虐待防止法第 16 条の規定の削除によ
り、同条の規定に基づき延長者に関して同法第 12 条及び第 12 条の4の
規定を適用することができなくなるため、同法に基づく面会通信制限や
接近禁止命令の処分をとることはできない。
延長者に関し、
親が強引に面会要求等を行う場合には、
児童福祉法第 31
条第4項の規定により行う同法第 27 条第 1 項第2号の指導の措置によっ
て対応すること等が考えられる。
D.18 歳を迎えるときの手続等について
1 児童が 18 歳に到達する前から行っている一時
保護又は入所等措置を 18 歳到達後も継続すると
きは、
児童が 18 歳に到達した時点で親権者等宛て
に措置・一時保護解除決定を行い、本人に対して
新たに措置期間延長・一時保護決定を行うのか。
処分の内容に変更はないと考えられ、必ずしもお尋ねのような手続を
とる必要はないが、
ケースワークを円滑に進める観点から、
児童が成人す
ることにより親には親権者等としての地位はなくなり、児童相談所が親
の意向に関わらず一時保護や入所等措置が行えるようになること等を保
護者に説明することは差し支えない。
2 現行では、措置延長の通知は保護者にすること
としているが、施行日以後は誰に通知することと
なるのか。
問A2に対する回答のとおり、18 歳に到達した入所者については、本
人の意に反しない限り入所等を継続できるものであることから、18 歳に
到達する以前に措置延長することをあらかじめ決めた場合も含め、措置
延長に係る通知は入所者本人宛に行うこと。
ただし、必要に応じて本人に加えて入所者の親に連絡することも差し4支えない。
E.審査請求について
1 成人した者が一時保護若しくは入所等措置をさ
れた場合又はこれらの措置を解除された場合に、
保護者が審査請求(行政不服申立て)を行うこと
は可能か。
成年した者への一時保護等は本人を名宛人とするものであるから、保
護者が審査請求を行うことはできない。
2 児童が一時保護又は施設入所等措置をされてい
る間に 18 歳に到達した場合、
既に行われている保
護者からの審査請求(行政不服申立て)の取扱は
如何か。
一時保護等をされている者が成人することにより、請求の利益が消滅
し、請求は却下されるものと考えられる。
3 成人した者に係る一時保護又は施設入所等措置
に関して、当該成人した者は審査請求を行うこと
ができるか。
処分の名宛人であるため審査請求を行うことができる。