様式第十三(第4条関係)
新事業活動に関する確認の求めに対する回答の内容の公表
1.確認の求めを行った年月日
令和4年4月6日
2.回答を行った年月日
令和4年4月27日
3.新事業活動に係る事業の概要
照会者は、「freee サイン」という名称の電子契約サービスを事業者、個人向けに提
供しているところ、利用者の指示に基づき照会者の署名鍵により署名を行うサービス(以下で
は、freee サインのサービスのうち、利用者の指示に基づき照会者の署名鍵により署名
を行うサービスを「立会人型freee サイン」という。)を提供することとし、これによ
り利用者が電子契約サービスである立会人型freee サインを利用することで国の契約書、
請書その他これに準ずる書面、検査調書等への押印を代替する用途として提供することを新規
事業として検討している。
利用者の間で立会人型freee サインを利用して電子契約を締結する場合は、以下手順
により契約締結を行う。
1 利用者である送信者は、freee サインにログインし、「電子署名の利用に同意します
がよろしいですか?(注記)電子署名は1通送信するごとに料金が発生します」との画面上の表示に
同意の上、契約内容を記載したファイル(PDF、Word、Excel、PowerPoi
nt)をfreee サインの契約するクラウドサーバー上にアップロードする。
2 送信者は、freee サインの画面上で、受信者である相手方(三者間契約の場合など受
信者である相手方が複数人の場合もあり得るが、各受信者について同様のプロセスで受信者側
に下記6の署名が付加される。)に関する情報(氏名、メールアドレス等)を指定して、受信
者への送信に同意する(送信に同意する内容のボタンをクリックする。)。
3 freee サインは、自動的に受信者の電子メールアドレスに対して、送信者から受信者
宛に電子契約書が届いた旨とfreee サインのクラウドサーバー上にアップロードされた
電子ファイルにアクセスするためのURLとが記載された電子メールを送り、受信者はかかる
電子メールを受け取る。
4 受信者は送信された電子メールに記載されたURLをクリックすることにより、freee
サインのクラウドサーバー上にアップロードされた電子ファイルにアクセスする。
5 受信者が電子ファイルの内容を確認して、freee サインの画面上に表示された「電子
記録及び電子署名の利用に同意する」旨の画面上の同意ボタンにチェックを入れた上で「署名」
のボタンをクリックする。なお、上記がなされた時点で、freee サインのクラウドサー
バー上にアップロードされた電子ファイルがいずれの形式であっても、PDF形式に変換され
ている。
6 上記5がなされると、freee サインのクラウドサーバー上にアップロードされた電子
ファイルに自動的に受信者側の署名(照会者の署名鍵によるもの)が付加される。
7 上記6がなされると、自動的に送信者及び受信者の電子メールアドレスに対して受信者の署
名がなされた旨の通知がなされ、送信者がfreee サイン上で最終確認として「締結完了」
のボタンをクリックし、契約締結が完了する。
8 上記7がなされると、freee サインのクラウドサーバー上にアップロードされた電子
ファイルに自動的に送信者側の署名(照会者の署名鍵によるもの)が付加される。
4.確認の求めの内容
(1)照会者が提供する立会人型freee サインによる署名が、電子署名及び認証業務に関
する法律(平成12年法律第102号。以下「電子署名法」という。)第2条第1項に規定
する電子署名の要件を充足し、これを引用する契約事務取扱規則(昭和37年大蔵省令第5
2号)第28条第3項に基づき、国の契約書が電磁的記録で作成されている場合の記名押印
に代わるものとして利用可能であることを確認したい。
(2)照会者が提供する立会人型freee サインにおいて、契約書、請書その他これに準ず
る書面、検査調書、見積書等(以下「契約書等」という。)の電子データをクラウドサーバ
ーにアップロードし、送信者と受信者の各利用者がログインして双方の契約締結業務を実施
する仕組みが、契約事務取扱規則第28条第2項に規定する方法による「電磁的記録の作成」
に該当し、契約書等の作成に代わる電磁的記録の作成として、利用可能であることを確認し
たい。
5.確認の求めに対する回答の内容
(1)についての回答
照会者が提供する立会人型freee サインによる署名は、電子署名法第2条1項に規定
する「電子署名」の要件を充足し、これを引用する契約事務取扱規則第28条3項に基づき、
国が当事者となる契約書についても利用可能であると考える。
(理由)
電子署名法における「電子署名」とは、電子署名法第2条第1項に規定されているとおり、
デジタル情報(電磁的記録に記録することができる情報)について行われる措置であって、
(1)当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであるこ
と(同項第1号)及び(2)当該情報について改変が行われていないかどうかを確認すること
ができるものであること(同項第2号)のいずれにも該当するものである。
本照会に係るfreee サインについて、照会書には、「契約書等のPDF形式のデータ
そのものに別途署名鍵によって署名を施す措置をとるものである」との記載があり、この記載
を前提とすれば、「電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置」の要件を
満たすことになるものと考える。
次に、事業者署名型による措置につき、令和2年7月17日に総務省、法務省及び経済産業
省において公表している「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号
化等を行う電子契約サービスに関するQ&A」では、以下の解釈が示されているところである。
・電子署名法第2条第1項第1号の「当該措置を行った者」に該当するためには、必ずしも物
理的に当該措置を自ら行うことが必要となるわけではなく、例えば、物理的にはAが当該措
置を行った場合であっても、Bの意思のみに基づき、Aの意思が介在することなく当該措置
が行われたものと認められる場合であれば、「当該措置を行った者」はBであると評価する
ことができるものと考えられる。
・このため、利用者が作成した電子文書について、サービス提供事業者自身の署名鍵により暗
号化を行うこと等によって当該文書の成立の真正性及びその後の非改変性を担保しようとす
るサービスであっても、技術的・機能的に見て、サービス提供事業者の意思が介在する余地
がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化されたものであることが担保されてい
ると認められる場合であれば、「当該措置を行った者」はサービス提供事業者ではなく、そ
の利用者であると評価し得るものと考えられる。
・そして、上記サービスにおいて、例えば、サービス提供事業者に対して電子文書の送信を行
った利用者やその日時等の情報を付随情報として確認することができるものになっているな
ど、当該電子文書に付された当該情報を含めての全体を1つの措置と捉え直すことよって、
電子文書について行われた当該措置が利用者の意思に基づいていることが明らかになる場合
には,これらを全体として1つの措置と捉え直すことにより、「当該措置を行った者(=当
該利用者)の作成に係るものであることを示すためのものであること」という要件(電子署
名法第2条第1項第1号)を満たすことになるものと考えられる。
この点、立会人型freee サインによるサービスは、利用者の指示に基づき、利用者が
作成した電磁的記録について、利用者自身の署名鍵ではなく、サービス提供者である照会者の
署名鍵により暗号化等を行うサービスであるため、以上の解釈を基に電子署名法第2条第1項
第1号の「当該措置を行った者」の該当性を判断すべきであると考えられる。
以上を踏まえて本件について検討すると、
照会書には、「上記aからoについては、全て当社のシステム及びそれとAPI連携したi
Trustリモート署名サービスのシステム上で自動的に処理されており、電子文書は、当社
の意思が何ら介在する余地がなく、利用者である送信者及び受信者の意思のみに基づいて機械
的に暗号化されております。また、受信者又は送信者の端末と当社の契約するサーバーとの間
の通信及び当社の契約するサーバーとサイバートラスト株式会社が運用管理するサーバーとの
間の通信は、TLS通信により暗号化されており、盗聴、改ざん、なりすましの防止が図られ
ています。
また、当社の開発者が悪意をもってfreee サインの利用者の意図とは異なる電子署名
を行うようなことがないよう、組織的にサーバーへのアクセス制御を行っています。
照会書の記載内容を前提とすれば、立会人型freee サインにおいて、「当該措置を行
った者」はサービス提供事業者ではなく、その利用者であると評価し得るものと考えられる。
また、照会書には、「立会人型freee サインにおいてPDFファイルに付与された利
用者の電子署名のデータについては、利用者の氏名・メールアドレスを含む利用者の当事者情
報と署名時刻に係るタイムスタンプ情報の2つが記録され、これらがPDFの署名パネルで確
認可能です。」との記載があり、立会人型freee サインについては、電子文書に付され
た当該情報を含めて全体を1つの措置と捉え直すことによって、電子文書について行われた当
該措置が利用者の意思に基づいていることが明らかになると考えられ、この記載を前提とすれ
ば、立会人型freee サインの提供するサービスは、電子署名法第2条第1項第1号の
「当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること」
の要件を満たすことになるものと考えられる。
さらに、「いわゆる公開鍵暗号方式を利用したデジタル署名の場合には、秘密鍵で暗号化さ
れた暗号文を公開鍵で復号化して得られた情報と、電子署名の対象となっている電子文書等と
を照合することにより、改変がなされているかどうか確認することができる」との照会書の記
載及び「立会人型freee サインにおいては、署名に使用される暗号アルゴリズムとして、
ハッシュ関数SHA-256、2048ビットのRSA方式を用いています」との照会書の記
載を前提とすれば、立会人型freee サインの提供するサービスは、「当該情報について
改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること」の要件を満たすこと
になるものと考えられる。
以上に鑑み、立会人型freee サインの提供するサービスを用いた電子署名は、電子署
名法第2条第1項における「電子署名」に該当すると考えられる。
(2)についての回答
照会者が提供する立会人型freee サインにおいて、契約書、請書その他これに準ずる
書面、検査調書、見積書等(以下「契約書等」という。)の電子データをクラウドサーバーに
アップロードし、送信者と受信者の各利用者がログインして双方の契約締結業務を実施する仕
組みは、契約事務取扱規則第28条第2項に規定する方法による「電磁的記録の作成」に該当
し、契約書等の作成に代わる電磁的記録の作成として、利用可能であると考える。
(理由)
契約事務取扱規則第28条第2項は、同条第1項各号に掲げる書類等の作成に代わる電磁的
記録の作成について、「各省各庁の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)
と契約の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用
して当該書類等に記載すべき事項を記録する方法」によることを規定している。
「立会人型freee サインは、契約当事者がそれぞれの電子計算機からインターネット
を経由して、当社がクラウドサーバー上で提供する電子契約サービスであるfreee サイ
ンにアクセスし、処理を行うものであり、また、契約当事者である送信者又は受信者は、fr
eee サイン上で契約書等をアップロードし、内容を確認し、同意を行うもの」であること
から、同項各号に掲げる書類等に記載すべき事項を記録する方法により電磁的記録を作成する
ものであれば、これに該当するものと認められる。
(注)
本回答は、確認を求める対象となる法令(条項)を所管する立場から、照会者から提
示された照会書の記載内容のみを前提として、現時点における見解を示したものであり、
もとより、捜査機関の判断や罰則の適用を含めた司法判断を拘束するものではない。

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