様式第九(第4条関係)
新事業活動に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定に係る照会書
令和 4年 2月 25日
内閣総理大臣 岸田 文雄 殿
総務大臣 金子 恭之 殿
法務大臣 古川 禎久 殿
財務大臣 鈴木 俊一 殿
経済産業大臣 萩生田 光一 殿
東京都中央区明石町 8 番 1 号 聖路加タワー26 階
日鉄日立システムエンジニアリング株式会社
代表取締役社長 堀 洋之
産業競争力強化法第7条第1項の規定に基づき、実施しようとする新事業活動及びこれに関連
する事業活動に関する規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定の解釈並びに当該
新事業活動及びこれに関連する事業活動に対する当該規定の適用の有無について、確認を求めま
す。記1.新事業活動及びこれに関連する事業活動の目標
当社はこれまで、統合電子帳票ソリューション等にて大量の紙帳票を電子化して社会に
貢献してまいりました。今後は、社内の帳票だけなく、契約書等の取引先とやりとりする
文書も電子化することで、ビジネスのスピードアップと業務の効率化を進めたいと考え、
いわゆる「立会人型の電子契約サービス」である「DocYou(ドックユー)」の提供を始め
ました。
現在、B2B(企業対企業)の取引電子化を推進しておりますが、国・地方公共団体にも
DocYouを提供することで、国・地方公共団体での業務効率化とスピードアップに貢献する
と同時に、取引全体の電子化による社会経済全体の効率化に資することを事業活動の目標
としております。
2.新事業活動及びこれに関連する事業活動により生産性の向上又は新たな需要の獲得が見込
まれる理由
「新たな役務の開発又は提供」に該当します。
当社は電子契約サービスをすでに民間企業には提供しておりますが、国・地方公共団体
での利用が認められることにより、以下のような新たな需要(売上、シェア)を獲得でき
ると考えております。
サービス導入に伴い、導入先に対し、下記生産性の向上が見込まれます。
・書面による契約締結までの事務作業軽減
Web上の簡単な操作だけで契約を締結することができ、郵送などの作業が不要となります。
・契約締結までのリードタイムの短縮
電子契約であれば、クラウド上でデータを確認し、合意したその場で契約締結を実現
するため、契約締結までの時間短縮になります。
3.新事業活動及びこれに関連する事業活動の内容
(1)実施事業主体
サービス提供事業者:当社
電子署名実施事業者:セイコーソリューションズ株式会社
(セイコーソリューションズ株式会社の長期署名クラウドサービスeviDaemon
<エビデモン>にて、当社名義の電子証明書による電子署名を実施しています。)
サービス利用者:当社DocYouサービス顧客
(2)事業概要
「DocYou(ドックユー)」は、電子署名・タイムスタンプ・個人認証などの機能を持つ
「立会人型電子契約サービス」です。専用のサーバーや契約当事者の電子証明書の取得な
どが不要なため、低コストですぐにご利用いただけます。「DocYou」導入により、コスト
削減や業務効率化、コンプライアンスの強化、テレワーク/リモートワークの推進を実現
します。
<システム概要>
契約情報の記録(当事者の操作による自動記録)は、下記処理フローにより行われます。
1 利用者(契約元)甲はDocYouにログインして書類アップロードします。
2 利用者(契約元)は受信者(契約先)乙を指定して送信ボタンを押下します。
3 DocYouは自動的に契約書をDocYou内のデータベースに保管し、利用者(契約先)乙
に通知します。
4 利用者(契約先)乙はDocYouにログインし、契約書を確認・記名し、同意ボタンま
たは却下ボタンを押下します。DocYouは同意・却下の結果を自動的にDocYou内のデ
ータベースに保管します。
5 同意の場合には、利用者(契約先)乙の契約意思を記録した上で、DocYouは契約意
思に関与することなく自動的に、当該契約書の情報を電子署名実施事業者(セイコ
ーソリューションズ株式会社)の長期署名クラウドサービスeviDaemon<エビデモン
>にて、当社の秘密鍵による暗号化処理を実施します。
6 DocYouは同意・却下の結果を利用者(契約元)甲に通知します。
7 利用者(契約元)甲はDocYouにログインし、結果を確認の上、同意ボタンまたは却
下ボタンを押下します。DocYouは同意・却下の結果を自動的にDocYou内のデータベ
ースに保管します。
8 同意の場合には、利用者(契約元)甲の契約意思を記録した上で、DocYouは契約意
思に関与することなく自動的に、当該契約書の情報を電子署名実施事業者(セイコ
ーソリューションズ株式会社)の長期署名クラウドサービスeviDaemon<エビデモン
>にて、当社の秘密鍵による暗号化処理を実施します。
9 契約の結果(契約書と合意証明書)は利用者(契約元・契約先)双方から常時参照
可能となります。また、ダウンロードし印刷も可能となります。
<契約意思を示す本人の特定について>
「DocYou」の利用開始にあたっては、下記2つの方式により本人と所属組織の確認を行い
ます。
1 利用者の申込時に当社が本人と所属組織の確認をおこない登録する
2 利用企業が取引先を招待する際には、本人と所属組織の確認をおこない、連絡先に
招待URLを通知する。
「DocYou」上で契約書に対する操作を行うためにID/パスワード及びワンタイムパスワー
ドによる二要素認証を実施し、利用時の本人確認を行っております。
(3)新事業活動を実施する場所
当社オフィスよりクラウドサービスにて提供します。
東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー26階
4.新事業活動及びこれに関連する事業活動の実施時期
民間企業向けには、2020年10月1日より開始
国・地方公共団体向けには、回答受領後、ただちに実施
5.解釈及び適用の有無の確認を求める規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定・電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)(平成12年法律第102号)
第2条第1項
この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人
の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機に
よる情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報に
ついて行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
1 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであ
ること。
2 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるもので
あること。
・会計法(昭和22年法律第35号)
第49条の2
この法律又はこの法律に基づく命令の規定により作成することとされている書類等
(書類、計算書その他文字、図形その他人の知覚によつて認識することができる情報が
記載された紙その他の有体物をいう。次項及び次条において同じ。)については、当該
書類等に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知
覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による
情報処理の用に供されるものとして財務大臣が定めるものをいう。同項及び同条第一項
において同じ。)の作成をもつて、当該書類等の作成に代えることができる。この場合
において、当該電磁的記録は、当該書類等とみなす。
2 前項の規定により書類等が電磁的記録で作成されている場合の記名押印については、
記名押印に代えて氏名又は名称を明らかにする措置であって財務大臣が定める措置
をとらなければならない。
・契約事務取扱規則(昭和37年大蔵省令第52号)
第28条
次の各号に掲げる書類等の作成については、次項に規定する方法による法第49条の
2第1項に規定する財務大臣が定める当該書類等に記載すべき事項を記録した電磁的記
録により作成することができる。
1 契約書
2 請書その他これに準ずる書面
3 検査調書
4 第23条第1項に規定する書面
5 見積書
2 前項各号に掲げる書類等の作成に代わる電磁的記録の作成は、各省各庁の使用に係
る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と契約の相手方の使用に係る電子計
算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用して当該書類等に記載す
べき事項を記録する方法により作成するものとする。
3 第1項第1号の規定により契約書が電磁的記録で作成されている場合の記名押印に
代わるものであつて法第四十九条の二第二項に規定する財務大臣が定める措置は、
電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条
第一項の電子署名をいう。)とする。
・地方自治法(昭和22年法律第67号)
第234条
5 普通地方公共団体が契約につき契約書又は契約内容を記録した電磁的記録を作成す
る場合においては、当該普通地方公共団体の長又はその委任を受けた者が契約の相
手方とともに、契約書に記名押印し、又は契約内容を記録した電磁的記録に当該普
通地方公共団体の長若しくはその委任を受けた者及び契約の相手方の作成に係るも
のであることを示すために講ずる措置であつて、当該電磁的記録が改変されている
かどうかを確認することができる等これらの者の作成に係るものであることを確実
に示すことができるものとして総務省令で定めるものを講じなければ、当該契約は、
確定しないものとする。
・地方自治法施行規則(昭和22年内務省令第29号)
第12条の4の2
地方自治法第二百三十四条第五項の総務省令で定めるものは、総務省関係法令に係る
情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則(平成十五年総務省令第四
十八号)第二条第二項第一号に規定する電子署名とする。
・総務省関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則
(平成15年総務省令第48号)
第2条
2 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによ
る。
1 電子署名 電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法
律(平成十四年法律第百五十三号)第二条第一項又は電子署名及び認証業務に関す
る法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名をいう。
6.具体的な確認事項並びに規制について規定する法律及び法律に基づく命令の規定の解釈及
び当該規定の適用の有無についての見解
(1)確認事項
1 当社の電子契約サービスDocYouが、電子署名法第2条第1項に規定する技術的基準の
要件を満たしていることを確認し、これを引用する契約事務取扱規則第28条3項に基づ
き、国の契約書についても利用可能であることと、地方自治法施行規則第12条の4の2
に規定する総務省関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行
規則第2条2項第1号に基づき、地方公共団体の契約書についても利用可能であることを
確認したい。
2 当社の電子契約サービスDocYouにおいて、契約書、請書その他これに準ずる書面、検
査調書、見積書等(以下「契約書等」という。)の電子データをクラウドサーバーにアッ
プロードし、それぞれの利用者がログインして双方の契約締結業務を実施する仕組みが、
契約事務取扱規則第28条第2項に規定する方法による「電磁的記録の作成」に該当し、
契約書等の作成に代わる電磁的記録の作成として、利用可能であることを確認したい。
(2)確認事項に対する当社の考え
<1について>
電子署名法第2条第1項には、要件として電磁的記録に記録することができる情報につい
て行われる措置であること、措置を行った者が作成に係るものであることを示すためのも
のであること、改変されていないことが確認できることが述べられています。
DocYouは下記の対応により、電子署名法第2条第1項に規定される技術的基準の要件を満
たしていると考えています。
1)電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であること
DocYouは、アップロードした契約書の電子データ(PDFファイル)に対して、クラウド
上でISO32000に定める標準規格「PAdES(PDF Advanced Electronic Signatures)」に準
拠した長期署名フォーマットを採用したタイムスタンプ署名を当該PDFファイルに付与し
ます。
電子データはPDFファイルのみを受け付け、そこに秘密鍵による暗号化を付与する方式
を採用しているため、電子文書ファイルに署名データを付加する措置である要件を満たし
ます。
2)措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること
署名を施す処理は、署名者の指図に基づきクラウド上で機械的に行われ、サービス提供
事業者である弊社の意思が介在する余地がなく、署名者の意思のみに基づいて署名を行い
ます。
具体的には、セイコーソリューションズ株式会社の長期署名クラウドサービス
eviDaemon<エビデモン>において電子署名を付与します。
電子署名は署名者が承認ボタン押下を実施することで、処理が実施されます。
当該、署名指示にあたり、署名者の端末と弊社サーバー間の通信と、弊社サーバーとセ
イコーソリューションズ間の通信については、TLS通信により暗号化していることから、
通信途上のなりすまし、盗聴、改ざんを防止しています。
また、弊社開発者が、サービス利用者の意図とは異なる電子署名等、悪意を持った本番
の改変が行わないように、以下のように開発体制、運用体制、監査体制に担当を分離し、
組織的にサーバーへのアクセス制御を実施しています。
開発者は専用の開発環境にて開発作業を行います。開発者は本番環境へのアクセスは不
可となっています。
本番環境にアクセスして作業を行う必要がある場合は、作業担当者と作業確認者を分離
した体制で行います。事前に責任者にてレビューを実施した手順書をもとに作業を行いま
す。
監査部門の監査担当にて運用体制の第三者チェックを定期的に行い、改善が必要な事項
が発生した場合には運用の改善を行います。
承認済み契約書の電子データに付与された電子署名のデータは、Adobe Acrobat等のPDF
リーダーの「署名パネル」で確認でき、サービス提供事業者である弊社の電子証明書の内
容が記録されています。署名者の会社名・氏名・メールアドレス・時刻については別途発
行される合意証明書に記録されており、合意者双方で確認できます。
なお、合意証明書は分離可能な付属データであり、ユニークな番号を振ることによって
当該契約書と排他的に紐づけられています。
以上から、措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものである要件を
満たし、かつ令和2年7月17日付「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署
名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法2条1項に関する
Q&A)」で示された、『技術的・機能的に見て、サービス提供事業者の意思が介在する余
地がなく、利用者の意思のみに基づいて機械的に暗号化されたものであることが担保され
ている』及び『サービス提供事業者に対して電子文書の送信を行った利用者やその日時等
の情報を付随情報として確認することができるものになっているなど、当該電子文書に付
された当該情報を含めての全体を1つの措置と捉え直すことよって、電子文書について行
われた当該措置が利用者の意思に基づいていることが明らかになる場合には、これらを全
体として1つの措置と捉え直すことにより、「当該措置を行った者(=当該利用者)の作
成に係るものであることを示すためのものであること」という要件(電子署名法第2条第
1項第1号)を満たすことになるものと考えられる』という解釈にも適合します。
3)改変されていないことが確認できること
改変を検知する機能を備えるための技術として、公開鍵暗号方式による電子署名及びタ
イムスタンプを付与する機能を有します。契約締結したPDFデータには「署名済み」であ
る こ と を 示 す 署 名 者 情 報 と 、 ISO32000 に 定 め る 標 準 規 格 「 PAdES ( PDFAdvanced
Electronic Signatures)」に準拠した長期署名フォーマットを採用したタイムスタンプ
署名を付与します。
署名者情報とタイムスタンプには証拠力を維持するため、改ざん防止の措置((注記)1)が取
られており、不正な処理が行われると、 PDFファイルの改変の検知が可能であることから、
改変されていないことが確認できる要件を満たします。
(注記)1:改ざん防止の措置
PDFファイルには、事前にPDFファイルをハッシュ関数で求めたハッシュ値を秘密鍵で処
理した暗号文を付与しています。この暗号文を公開鍵で復号化したハッシュ情報は、本来、
PDFファイルを再度ハッシュ関数でハッシュ値にしたものと合致するようになっています。
万が一、PDFファイルが変更されていると、ハッシュ値が合致しないため、改ざんが検知
できる仕組みとなっています。
<2について>
契約事務取扱規則第28条第2項では、同規則第28条第1項各号に掲げる書類等の作
成に代わる電磁的記録の作成は、各省各庁の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。
以下同じ。)と契約の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情
報処理組織を使用して当該書類等に記載すべき事項を記録する方法により作成するものと
規定しています。
DocYouは契約書等の電子データを当社が提供するDocYouのクラウドサーバーにアップロ
ードし、それぞれの利用者がDocYouにログインして双方の契約締結業務を実施することに
なります。
このようにDocYouは、契約当事者がそれぞれの電子計算機からインターネットを経由し
て、当社がクラウドサーバー上で提供する電子契約サービス(DocYou)にアクセスし、処
理を行うものであるため、これは「各省各庁の使用に係る電子計算機と契約の相手方の使
用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織」に該当し、契約事務
取扱規則第28条第2項に規定する方法による「電磁的記録の作成」に該当し、契約書等
の作成に代わる電磁的記録の作成として、利用可能であると考えます。
7.その他
特になし。

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