日弁連市民のための法教育委員会事務局次長 張江亜希先生
成年年齢引下げの環境整備に関するヒアリング結果概要
○しろまる (法務省作成の特設ウェブサイトについて)ざっと拝見した限り、契約に関
する法的な知識は網羅されていると思うが、
法教育的な観点からいえば、
契約
締結のための「情報の分析・評価」といった資質・能力の育成という視点が若
干欠けているように感じられた。
※(注記)前提として、法教育とは、人が社会の一員として、法や司法制度及びこれら
の基礎となっている価値を理解し、
それらを使って、
物事を多角的に捉え、
考え、判断する力(
「生きる力」
)を育成することを目的とするもの、と考え
ている。
○しろまる 成年年齢に達すれば契約を締結することができるようになるが、契約とは
複数の選択肢から契約締結の目的に合う目的物や相手方を
「選択すること」であると考えている。
色々な条件・情報がある中で、何を選択するか、その選択の判断材料となる
情報のうちどの情報を重視・信頼するか(
「情報の評価」
)というのは若い人た
ちに習得してほしい資質・能力と考えている。
○しろまる 2022年に学習指導要領が改訂され、
公共の科目が導入されるが、
その改
訂においては、
1生きて働く知識・技能の習得
2未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力等の育成
3学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性等の滋養
との方向性が示されている。
このうち、契約の締結(
「何かを選択すること」
)に関する資質・能力を身に
つけることは、1や2に対応するものと考えられる。
○しろまる 成年になるということは、自立した社会の構成員になることである。
色々なことが自分の判断でできるようになるが、
その反面、
どういった判断
をするのかということが重要になる。
今の若い人たちは、
直感で判断をしているような場面もあるようだが、
自己
の判断にどのようなメリットやリスクがあるのか、
その上でより良い結論はど
れかということを考え、判断する能力を習得してほしい。
資料8−1
○しろまる 成年年齢引下げに向けた学校教育現場においては、上記のような観点も取
り入れた取組
(法教育授業の全国的な展開)
をすることが重要なのではないか
と考えている。