12 0 2 1 年 6 月 23 日
若年者への消費者教育の推進に関する
4省庁関係局長連絡会議申合せ
「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」進捗状況
(2020年度【令和2年度】末時点)
1 高等学校等における消費者教育の推進
(1)学習指導要領の徹底【文部科学省】
現行学習指導要領の趣旨の周知・徹底を図り、社会科や公民科、家庭科
を中心に各教科等において充実した消費者教育を推進するほか、法教育、
金融経済教育等も充実を図った。
新学習指導要領においても消費者教育の内容の更なる充実が図られてお
り、2019年度、2020年度の全国の都道府県教育委員会の指導主事等を対象
とする会議において、新しい小・中・高等学校学習指導要領の趣旨の徹底
を図った。
2020年度以降においても引き続き学習指導要領の趣旨の徹底を図ってい
く。
民法の改正による成年年齢引下げを踏まえ、2020年度以降の高等学校入
学生が、成年となる第3学年よりも前の第1学年及び第2学年のうちに家庭
科の消費生活に関わる内容を学習することとなるよう高等学校学習指導要
領における家庭科の履修学年に関する改正を行ったことから、このことに
ついても併せて引き続き周知を図る。【文部科学省】
(2)消費者教育教材の開発、手法の高度化【消費者庁・金融庁・法務省・
文部科学省】
消費者庁で2016年度に高校生向け消費者教育教材「社会への扉」を作成
した。2017年度は、徳島県の全高等学校等(56校、6,900人)で「社会へ
の扉」を活用した授業を実施し、活用事例集を作成・公表した。
2018年度は、全国で同様の授業を実施することを目指して、全都道府
県への働き掛けを行った。
2019年度においても、全国で実践的な消費者教育の授業を実施するこ
とを目指し、都道府県への働き掛けを行った。2020年度は、集中強化期
間の最終年度に当たることから、都道府県に対し実践的な消費者教育の
授業実施に向けた一層の取組促進の働き掛けを行うとともに、成年年齢
引下げに伴う消費者教育の取組について、関係団体に働き掛けを行った。
また、2019年度においては、教員等の授業支援として、地方公共団体が
作成した実践事例の消費者庁ウェブサイトでの公表を行った。2020年度
における「社会への扉」等の活用実績は下記表のとおりである。2021年
度の活用に向けては、47都道府県の高等学校等に「社会への扉」を発送済
みである。
さらに、2019年度には、学習成果の定着促進のため「社会への扉」の
確認シート(契約編)や、特別支援学校のための支援ツールを、2020年度
においては、「社会への扉」の確認シート(お金・暮らしの安全編)、
資料2−32消費者教育の機会確保と高等学校等の教師の指導に資するよう、「社会
への扉」の内容等を学習することができる生徒向け・教員向け動画コン
テンツ、契約・デジタル取引等に関する事項を学習することができる特
別支援学校向け教材や中学校向け教材、デジタル取引・サービスに関連
する最近の消費者トラブルについて、具体的事例を学べる若年者向け教
材を作成・公表し活用を促している。【消費者庁】
(表1)2020年度における「社会への扉」等の活用実績
消費者教育教材活用校/域内の高等学校等数 都道府県の数
90%以上 27
80%以上〜90%未満 12
70%以上〜80%未満 6
60%以上〜70%未満 2
50%以上〜60%未満 -
50%未満 -
合計(注1) 47
(注1)全高等学校等での活用実績:86%
(表2)学校種別における活用実績 【単位:都道府県の数】
消費者教育教材活用校
/域内の高等学校等数
国公立
高等学校等
私立
高等学校等
特別支援学校 高等専門学校
90%以上 41 14 18 26
80%以上〜90%未満 4 7 13 -
70%以上〜80%未満 2 5 8 1
60%以上〜70%未満 - 8 3 2
50%以上〜60%未満 - 6 1 4
50%未満 - 7 4 9
合計(注1) 47 47 47 42(注2)
(注1)学校種別における活用実績:国公立 95%、私立 65%、特別支援学校
81%、高等専門学校 69%
(注2)5県については高等専門学校がないため集計対象としていない。
全国の教育委員会関係者や校長、教員、私立学校関係者等が集まる会
議、研修等において、「社会への扉」を周知し、活用の推進を図った。
【文部科学省】
法務省では、教育関係者、法曹関係者等で構成する法教育推進協議会に
おいて、発達段階に応じた法教育教材を作成しており、同教材では、消費
活動の前提となる私法の基本的な考え方についても取り上げている。同教
材を2018年度から順次、全国の小中学校、高等学校、教育委員会、社会科・
公民科の教職課程を有する大学の学部、教員研修施設、都道府県の消費者
行政担当課等に配布している。
また、これらの教材を利用した法教育の実施について教員研修での講義
を行っているほか、2019年度は、教材の利用促進を図るため、教材の活用
事例をモデル授業例として法務省ウェブサイトで公開したほか、法教育の担
い手である教員が法教育の具体的な実践方法を習得することを通じて法教育3の推進を図るため、教員向けの法教育セミナーを実施した。
2020年度は、成年年齢の引下げに向けた環境整備の一環として、高校生向
け法教育リーフレットを作成し、全国の高等学校、教育委員会等に配布した。
なお、2021年度においても、全国の高等学校、教育委員会等に同リーフレ
ットを配布予定であるほか、8月中旬に教員向けの法教育セミナーを実施予
定である。
これらの取組等を通じて、学校現場における実践的な消費者教育の推進
を図っている。【法務省】
金融経済教育については、金融庁や、金融広報中央委員会等の関係団体
から構成される金融経済教育推進会議において、大学生・社会人等を対象
とした金融リテラシーに係る教材である「コアコンテンツ」を策定したほ
か、金融広報中央委員会において、成年年齢引下げに関する中高生向けの
動画や契約関連内容をまとめたパンフレットを新たに作成し、学校等に配
布している。また、金融庁において、金融経済教育や資産形成に関するシ
ンポジウム等のオンライン開催、大学生等の若年層向けの金融経済に関す
る解説動画の作成、高校生及び教員向けの授業動画等の作成などを行った。
【金融庁】
(3)実務経験者の学校教育現場での活用【消費者庁・金融庁・文部科学
省】
「学校における消費者教育の充実について」(平成28年4月28日消費者
教育推進会議提案)等を踏まえ、消費者教育の推進に関する基本方針の変
更において、消費者教育コーディネーターの育成・配置に向けた支援を行
うことを記載した。
「若年者の消費者教育分科会」取りまとめ(平成30年6月)において、
消費者教育コーディネーターの役割等が提示された。
また、「地域における消費者教育の充実に向けた連携に関する分科会」の
取りまとめ(令和元年7月)において、消費者教育コーディネーターの活用
の在り方等が提示された。
加えて、「全世代における体系的な消費者教育に向けた連携に関する分科
会」の取りまとめ(令和2年10月)において、消費者教育コーディネーター
を活用した事例を整理するとともに、消費者庁ウェブサイトでの公表や消
費者教育コーディネーター会議での事例紹介を通じ、取組を促した。
消費者教育コーディネーター育成のため、独立行政法人国民生活センタ
ーにおいて、消費者教育コーディネーターに求められる役割等について学
ぶ消費者教育コーディネーター講座を実施した。
令和2年度地方消費者行政の現況調査の結果によれば、34都道府県におい
て、消費者教育コーディネーターが配置されている。
消費者庁ウェブサイトにおいて、外部講師を活用した高等学校等におけ
る実践事例を紹介した。
消費者教育コーディネーターの育成、消費生活センターを含む地方公共
団体等の取組促進のため、消費者教育コーディネーター相互の意見交換の
場として消費者教育コーディネーター会議を開催し、実務経験者等を外部4講師として活用した事例等の紹介を通じ、取組を促した。【消費者庁】
文部科学省が開催する消費者教育フェスタにおいて外部の専門家等を活
用した授業等についての事例発表を行うなど実務経験者の学校教育現場で
の活用の推進を図っている。【文部科学省】
(4)教員の養成・研修【消費者庁・文部科学省】
若年者の消費者教育分科会において、大学の教員養成課程、現職教員研
修、教員免許更新講習等における消費者教育に関する取組について検討を
行い(平成30年6月取りまとめ)、消費者教育推進会議での報告・意見聴
取を踏まえ、今後の取組方針を決定した(「若年者への消費者教育の推進
に関するアクションプログラム」(2018年2月20日若年者への消費者教育
の推進に関する4省庁関係局長連絡会議決定。同年7月12日改定。)別紙)。
現職教員に対する講習、研修における取組として、2019年度、2020年度共に、
独立行政法人国民生活センターが大学に協力して、教員に対する免許状更新
講習を実施した。
また、文部科学省から都道府県教育委員会等に対し、免許状更新講習に
関し、消費者教育について取り扱う講座の積極的な開設を促すとともに、
消費者庁から地方公共団体の消費者行政部局に対し、講習等への講師派遣
協力の依頼を行った。
さらに、独立行政法人国民生活センターが現役の教員を対象として、授
業等で消費者教育を取り扱うためのノウハウを学ぶ研修講座を地方公共団
体との共催により開催した。また、「全世代における体系的な消費者教育
に向けた連携に関する分科会」の取りまとめ(令和2年10月)において、
大学等と連携して免許状更新講習を実施している地方公共団体の事例を整
理するとともに、消費者庁ウェブサイトでの公表や消費者教育コーディネ
ーター会議での事例紹介を通じ、取組を促した。
また、消費者教育コーディネーターの能力向上による質的保証のため、
独立行政法人国民生活センターにおいて、地方公共団体と共催で消費者教
育コーディネーターに求められる役割等について学ぶ消費者教育コーディ
ネーター講座について、内容を充実させて実施した。
消費者教育コーディネーター相互の意見交換の場として、消費者教育コ
ーディネーター会議を開催し、実務経験者等を外部講師として活用した事
例等の紹介を通じ、取組を促した。
さらに、2019年度、2020年度共に消費者教育コーディネーター配置促進
のため、地方公共団体の消費者行政部局に対して、消費者庁の地方消費者行
政強化交付金の活用を促した。
また、文部科学省において、免許状更新講習の申請要領を示した大学等
の講習開設者に向けた通知の中で、消費者教育を含む成年年齢引下げに関
する事項を取り上げた講習を必修領域や選択領域において開設できること
を示した上で、開設を推進しており、免許状更新講習の「選択領域」にお
ける消費者教育に係る講習の開設数が増加した。【消費者庁、文部科学省】
消費者庁が2016年度に作成した高校生向け消費者教育教材「社会への扉」
の積極的な活用を促すため、独立行政法人教職員支援機構において、同教材5を活用した消費者教育についての教員用研修動画を作成しウェブサイト上
で公開するとともに、文部科学省において、全国の研修担当者等に対し研
修動画の活用等を促した。
また、教職員研修実施に関する主な提言等をまとめた通知(令和2年7
月)を発出し、「消費者教育の推進に関する基本的な方針」等を踏まえた
研修の充実を全国の教育委員会に促した。
さらに、「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」
の改定を踏まえた通知を発出し、全国の教育委員会や教職課程を置く大学
等に対して、教員の養成・研修等における消費者教育に関する内容の充実
等を促した。【文部科学省】
2 大学等における消費者教育の推進
(1)大学、専門学校等と消費生活センターとの連携、消費者被害防止に関
する情報提供、取組の普及啓発等を行う。【消費者庁・文部科学省】
大学進学等によって若年者が新生活を始めるに当たって、特に注意が必
要な事項や、成年年齢引下げによって、18歳から一人で有効な契約が結べ
るようになるといった消費生活上の基礎的な事項等をまとめた啓発資料を
関係4省庁で作成し、消費者庁ウェブサイトで公表するとともに、関係団
体に周知、配布した。
また、2019年度、2020年度共に地方公共団体の消費者行政部局に対し、
成人式で活用できる啓発資料、他の地方公共団体の取組事例の情報発信を
行い、成人式での取組を促した。
さらに、消費生活上の基礎的な情報や消費者被害防止に資する情報をま
とめた動画コンテンツを作成・公表し、活用を促した。
大学、専門学校等と地元の消費生活センターとの連携の支援を含め、地
域における消費者教育の充実に向けた多様な主体の連携体制の構築のため、
消費者教育推進会議の下に設置された「地域における消費者教育の充実に向
けた連携に関する分科会」の取りまとめ(令和元年7月)において、消費
者教育コーディネーターの活用の在り方等を整理し、大学等と連携した支
援事例など、地域における消費者教育の充実に向けた事例を紹介し、取組
を促した。
また、この推進会議においては、平成28年度消費者教育に関する取組状
況調査(文部科学省実施)を基に作成した、消費生活センター等の他機関と
の連携により実施している大学等における講義・ゼミでの消費者教育の事
例に関する資料を提示し、その後、消費者庁ウェブサイトにて公表するこ
とにより、情報を提供している。
さらに、「全世代における体系的な消費者教育に向けた連携に関する分科
会」の取りまとめ(令和2年10月)において、大学生等と連携した取組事例
を整理するとともに、消費者庁ウェブサイトでの公表や消費者教育コーデ
ィネーター会議での事例紹介を通じ、取組を促した。【消費者庁】
大学、専門学校等と地元の消費生活センターとの連携を支援し、被害事
例に関する情報共有を実施しており、全ての大学の学生に対するガイダン6ス等での指導・啓発の推進を図っている。【文部科学省】
(2)大学、専門学校等と地元の消費生活センターとの連携を支援し、出前
講座等を実施する。【消費者庁】
大学等と消費生活センター等が連携した事例等を紹介している、令和元
年度消費者教育に関する取組状況調査(文部科学省実施)について、地方
公共団体の消費者行政部局宛て周知を行い、取組を促した。
消費者教育コーディネーターの育成、消費生活センターを含む地方公共
団体の取組促進のため、消費者教育コーディネーター相互の意見交換の場
として、消費者教育コーディネーター会議を開催し、外部講師を活用した
大学における講座の取組事例や大学等と連携したイベント開催等の取組事
例を紹介し、取組を促した。
また、都道府県に対し、財務局と連携して大学での講座を実施した事例
を紹介しつつ、大学等における出前講座等の取組を促した。【消費者庁】
(3)大学における講義実施等を通じた正しい金融知識の普及【金融庁】
金融庁・財務局職員による、大学を含む学校向けの出張授業を抜本的に
拡充し、金融経済教育推進会議において策定した、大学生・社会人等を対
象とした金融リテラシーに係る教材である「コアコンテンツ」も活用しつ
つ、大学等における講義を実施した。また、金融経済教育の推進に向けて、
都道府県教育委員会に働き掛けを行ったほか、大学の教員養成課程や教員
向け研修等においても、金融リテラシーに係る講義を実施した。【金融庁】
3 その他
(1)消費者教育推進計画・消費者教育推進地域協議会の策定・設置【消費
者庁】
「消費者教育推進計画」は47都道府県、18政令市で策定済み。「消費者
教育推進地域協議会」は47都道府県、18政令市で設置済み。【消費者庁】
(2)大学等及び社会教育における消費者教育の指針の見直し【文部科学
省】
2010年度作成の「大学等及び社会教育における消費者教育の指針」につ
いて、文部科学省の消費者教育推進委員会において、同指針を改訂
(2018年7月)し、全国の大学等及び教育委員会へ通知を行った。また、
地方公共団体や大学等からの求めに応じ、それぞれが抱える課題等に対
し、指導・助言を行う、文部科学省消費者教育アドバイザーを派遣する
とともに、教育委員会や大学関係者が参加する消費者教育フェスタを開
催した。【文部科学省】
令和3年度は、成年年齢引下げに向けた最後の1年となることから、アクション
プログラムに掲げられた取組も含め、関係4省庁の連携を強化し、地方公共団体・
大学等、関係団体、メディア等も巻き込んだ重層的な取組を行うことを内容とする
「成年年齢引下げに伴う消費者教育全力」キャンペーン(以下「キャンペーン」と7いう)を、令和3年3月22日に若年者への消費者教育の推進に関する4省庁関係局
長連絡会議で決定した。
令和3年度はキャンペーンに基づき、1地方公共団体・大学等への働き掛け、2
関係団体への働き掛け、3イベント・メディアを通じた周知、4コンテンツの充
実・活用の促進に取り組むこととする。
キャンペーンの取組として、関係4省庁連名で地方公共団体、教育委員会、大学
等に対して、一層の消費者教育の充実に向けた働き掛けを実施した。また、消費者
庁ウェブサイトに「18歳から大人」特設ページを作成するとともに、消費者庁「18
歳から大人」Twitterアカウントを開設し、情報発信等を行っている。