ベトナム法制度整備支援
新規プロジェクト記念式典における
オープニングスピーチ1こんにちは(シン チャオ)
1 ただいま御紹介に預かりました上川陽子でございます。
2 この度,JICA による新規プロジェクトとして,
「法整備・執行の質及び効率性向上プロジェクト」が開始
される運びとなり,そして,本日,ロン大臣を始めとする
関係者の皆様とともに盛大な記念式典を迎えるに至った
ことにつきまして,まずもって心よりお祝いを申し上げま
す。
3 ロン大臣とは,
2017年5月,
私が自民党の司法制度
調査会長としてベトナムを訪問したときにお会いし,
両国
の法務・司法分野における協力について有意義な意見交換
をさせていただきました。
それから3年半の時を経て,このような喜ばしい機会
に再会できましたことを大変うれしく思います。
来年3月には京都コングレスを控えており,そのよう
な機会も通じ,ロン大臣との協力関係を更に発展させて
いくことを楽しみにしています。24 我が国は,本日御列席の森嶌昭夫先生の御尽力により,
ベトナムに対する法制度整備支援を開始し,
以後,
25年
以上にわたり,
ベトナムの関係者の皆様と緊密に協力し合
いながら,
互いに手を取り合って,
ベトナムの基本法令の
整備や人材育成,実務の運用改善に取り組んできました。
5 日本の法務省といたしましても,
法務総合研究所を中心
に,1994年以降,関係省庁や JICA を始めとする関係
機関と連携しながら,
長期専門家の派遣や研修の実施など
に力を注いでまいりました。
6 このように積み重ねられてきた両国の協力により,
ベトナムにおいて,民法,民事訴訟法などの重要法令が
制定されたほか,行政実務担当者や法曹実務家の人材育
成が図られるなど,大きな成果を上げることができまし
た。
7 この間,日本から,ベトナムに37名の長期専門家が
派遣され,ベトナムから,延べ870名の法律専門家な
どが日本の研修に参加されました。
本日同席している竹内審議官もベトナムに派遣された3長期専門家の一人でございます。
8 さらに,
法学を専門とする留学生が我が国に多数留学す
るなどしており,日本とベトナムの人的交流の裾野も広
がってきております。
特に,ロン大臣におかれては,1999年にJICA
長期研修員として来日され,名古屋大学で国際法を学ん
で博士号を取得した経歴をお持ちであり,その後も両国
の協力関係の発展に多大な貢献をされています。
9 このように,長年にわたる法制度整備支援を通じ,
確固たる人と人とのつながりが築かれ,法務・司法分野
における両国の協力関係が強固なものとなっているこ
とは,何物にも替え難い極めて大きな成果であり,両国
の貴重な財産であると考えております。
10 本年10月19日,
菅内閣総理大臣が初の外国訪問と
してベトナムを訪問した際,
菅内閣総理大臣及びフック
首相の立会いの下,
山田駐ベトナム日本国大使とロン司
法大臣によって,
日本の法務省とベトナムの司法省との
間の協力覚書の交換が行われました。411 これは,法制度整備支援を通じて培われてきた
法務・司法分野の連携が両国の関係全体を支える重要な
インフラであり,
更なる発展が期待されていることの証
左であると考えており,
これまで御尽力されてきた両国
の関係者の皆様に敬意を表するとともに深く感謝申し
上げます。
そして,
我が国の法制度整備支援の成果がベトナムの
著しい成長を支える基盤となったのであれば,
非常にう
れしく,また,誇りに思います。
12 来年1月に開始される新規プロジェクトにおいては,
これまでの成果,両国間の強固な協力関係を礎として,
新たに,
法令間の整合性の確保や,
制定された法令の適
切かつ統一的な運用などの課題から重要なものを選別
し,両国で取り組んでいくものと承知しています。
13 新規プロジェクトの開始は,
法務・司法分野にとどま
らず,
両国の協力関係が新たなステージに進んでいくた
めの大きな一歩であると考えており,
日本の法務省とし
て全面的に協力してまいる所存です。514 私とロン大臣はもちろん,
両国の関係者が育んできた
強固な友情・信頼関係を基に,両国の法務・司法分野に
おける連携・協力関係がより一層強化されることを祈念
して,私の挨拶とさせていただきます。
改めまして,
新規プロジェクトの開始にお祝い申し上
げます。