2 0 2 0 年 7 月 14 日
若年者への消費者教育の推進に関する
4省庁関係局長連絡会議申合せ
「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」進捗状況
(2019年度【令和元年度】末時点)
1 高等学校等における消費者教育の推進
(1)学習指導要領の徹底【文部科学省】
現行学習指導要領の趣旨の周知・徹底を図り、社会科や家庭科を中心に
各教科等において充実した消費者教育を推進するほか、法教育、金融経済
教育等も充実を図った。
新学習指導要領においても消費者教育の内容の更なる充実が図られてお
り、全国の都道府県教育委員会の指導主事等を対象とする会議において、
新しい小・中・高等学校学習指導要領の趣旨の徹底を図った。
2020年度以降においても引き続き学習指導要領の趣旨の徹底を図ってい
く。
民法の成年年齢引下げを踏まえ、2020年度以降の高等学校入学生が、成
年となる第3学年よりも前の第1学年及び第2学年のうちに家庭科の消費生
活に関わる内容を学習することとなるよう高等学校学習指導要領における
家庭科の履修学年に関する改正を行ったことから、このことについても併
せて引き続き周知を図る。【文部科学省】
(2)消費者教育教材の開発、手法の高度化【消費者庁・金融庁・法務省・
文部科学省】
消費者庁で2016年度に高校生向け消費者教育教材「社会への扉」を作成
した。2017年度は、徳島県の全高等学校等(56校、6,900人)で「社会へ
の扉」を活用した授業を実施し、活用事例集を作成・公表した。
2018年度は、全国で同様の授業を実施することを目指して、全都道府
県への働き掛けを行った。
2019年度においても、全国で実践的な消費者教育の授業を実施するこ
とを目指し、都道府県への働き掛けを行った。また、教員等の授業支援
として、地方公共団体が作成した実践事例の消費者庁ウェブサイトでの
公表を行った。2019年度における「社会への扉」等の活用実績は下記表
のとおりである。2020年度の活用に向けては、47都道府県の高等学校等に
「社会への扉」を発送済みである。
さらに、学習成果の定着促進のため「社会への扉」の確認シート(契
約編)や、特別支援学校のための支援ツールを作成・公表し活用を促し
ている。【消費者庁】2(表1)2019年度における「社会への扉」等の活用実績
消費者教育教材活用校/域内の高等学校等数 都道府県の数
90%以上 3
80%以上〜90%未満 16
70%以上〜80%未満 9
60%以上〜70%未満 7
50%以上〜60%未満 7
50%未満 5
合計(注1、2) 47
(注1)新型コロナウイルス感染症拡大に伴う臨時休業により、活用を計画し
ていたものの、実施できなかった高等学校等があった。
(注2)全高等学校等での活用実績:67%
(表2)学校種別における活用実績 【単位:都道府県の数】
消費者教育教材活用校
/域内の高等学校等数
国公立
高等学校等
私立
高等学校等
特別支援学校 高等専門学校
90%以上 23 4 9 20
80%以上〜90%未満 9 4 3 ―
70%以上〜80%未満 6 3 5 ―
60%以上〜70%未満 3 6 4 2
50%以上〜60%未満 1 6 7 2
50%未満 5 24 19 18
合計(注1、2) 47 47 47 42(注3)
(注1)新型コロナウイルス感染症拡大に伴う臨時休業により、活用を計画し
ていたものの、実施できなかった高等学校等があった。
(注2)学校種別における活用実績:国公立 79%、私立 43%、特別支援学校
55%、高等専門学校 54%
(注3)5県については高等専門学校がないため集計対象としていない。
全国の教育委員会関係者や校長、教員、私立学校関係者等が集まる会
議、研修等において、「社会への扉」を周知し、活用の推進を図った。
【文部科学省】
法務省では、教育関係者、法曹関係者等で構成する法教育推進協議会に
おいて、発達段階に応じた法教育教材を作成しており、同教材では、消費
活動の前提となる私法の基本的な考え方についても取り上げている。同教
材を2018年度から順次、全国の小中学校、高等学校、教育委員会、社会科・
公民科の教職課程を有する大学の学部、教員研修施設、都道府県の消費者
行政担当課等に配布している。
また、これらの教材を利用した法教育の実施について教員研修での講義
を行っているほか、2019年度は、教材の利用促進を図るため、教材の活用
事例をモデル授業例として法務省ウェブサイトで公開したほか、法教育の担
い手である教員が法教育の具体的な実践方法を習得することを通じて法教育
の推進を図るため、教員向けの法教育セミナーを実施した。
これらの取組等を通じて、学校現場における実践的な消費者教育の推進
を図っている。【法務省】
金融経済教育については、金融庁や、金融広報中央委員会等の関係団体3から構成される金融経済教育推進会議において、大学生・社会人等を対象
とした金融リテラシーに係る教材である「コアコンテンツ」を策定したほ
か、金融広報中央委員会において、成年年齢引下げに関する中高生向けの
動画や契約関連内容をまとめたパンフレットを新たに作成し、学校等に配
布している。【金融庁】
(3)実務経験者の学校教育現場での活用【消費者庁・金融庁・文部科学
省】
「学校における消費者教育の充実について」(平成28年4月28日消費者
教育推進会議提案)等を踏まえ、消費者教育の推進に関する基本方針の変
更において、消費者教育コーディネーターの育成・配置に向けた支援を行
うことを記載した。
「若年者の消費者教育分科会」取りまとめ(平成30年6月)において、
消費者教育コーディネーターの役割等が提示された。
また、「地域における消費者教育の充実に向けた連携に関する分科会」の
取りまとめ(令和元年7月)において、消費者教育コーディネーターの活用
の在り方等が提示された。
消費者教育コーディネーター育成のため、独立行政法人国民生活センタ
ーにおいて、消費者教育コーディネーターに求められる役割等について学
ぶ消費者教育コーディネーター講座を実施した。
令和元年度地方消費者行政の現況調査の結果によれば、26府県において、
消費者教育コーディネーターが配置されている。
消費者庁ウェブサイトにおいて、外部講師の活用を含めた実践事例を紹
介した。
消費者教育コーディネーターの育成、消費生活センターを含む地方公共
団体等の取組促進のため、消費者教育コーディネーター相互の意見交換の
場を設け、実務経験者等を外部講師として活用した事例等の情報共有を図
ることとする。【消費者庁】
文部科学省が開催する消費者教育フェスタにおいて外部の専門家等を活
用した授業等についての事例発表を行うなど実務経験者の学校教育現場で
の活用の推進を図っている。【文部科学省】
(4)教員の養成・研修【消費者庁・文部科学省】
若年者の消費者教育分科会において、大学の教員養成課程、現職教員研
修、教員免許更新講習等における消費者教育に関する取組について検討を
行い(平成30年6月取りまとめ)、消費者教育推進会議での報告・意見聴
取を踏まえ、今後の取組方針を決定した(「若年者への消費者教育の推進
に関するアクションプログラム」(2018年2月20日若年者への消費者教育
の推進に関する4省庁関係局長連絡会議決定。同年7月12日改定。)別紙)。
現職教員に対する講習、研修における取組として、2019年度において、独立
行政法人国民生活センターが大学に協力して、教員に対する免許状更新講習
を実施した。全国から教員を一箇所に集約しての実施ではなく、各地域の
実情等を踏まえた開催が効果的であることから、免許状更新講習を実施す4る複数の大学に協力する形で実施した。
また、文部科学省が都道府県教育委員会等に発出した免許状更新講習に
係る通知に、独立行政法人国民生活センター等への協力要請について記載
するとともに、消費者庁から地方公共団体の消費者行政部局に対し、講習
等への講師派遣協力依頼の通知を行った。
さらに、独立行政法人国民生活センターが現役の教員を対象として、授
業等で消費者教育を取り扱うためのノウハウを学ぶ研修講座を地方公共団
体との共催により複数回開催した。また、消費者教育推進会議の下、2019
年12月から開催している「全世代における体系的な消費者教育に向けた連
携に関する分科会」において、免許状更新講習を実施している地方公共団
体にヒアリングを行う等、実践事例を踏まえた議論を実施した。引き続き
検討を進め、必要な情報発信を図る。
外部人材等の活用及び育成の取組として、講座開設等の支援となるよう、
大学講師経験者等の人材の情報収集を実施した。
また、消費者教育コーディネーターの能力向上による質的保証のため、
独立行政法人国民生活センターにおいて、消費者教育コーディネーターに
求められる役割等について学ぶ消費者教育コーディネーター講座を地方公
共団体と共催で実施することにより、開催地及び開催回数を増加させると
ともに、内容の充実を図った。2020年度中に消費者教育コーディネーター
相互の意見交換の場を設け、知識の向上等を図る。
なお、消費者教育コーディネーター配置促進のため、地方公共団体の消費
者行政部局に対して、消費者庁の地方消費者行政強化交付金の活用を促した。
有機的に連携した継続的な体制の構築の取組については、教員育成協議
会で消費者教育を扱っている地方公共団体の事例を収集し、情報発信する
ことで、他の地方公共団体での取組の促進を図ることとする。
また、文部科学省において、免許状更新講習の申請要領を示した大学等
の講習開設者に向けた通知の中で、消費者教育を含む成年年齢引下げに関
する事項を取り上げた講習を必修領域や選択領域において開設できること
を示した上で、開設を推進しており、免許状更新講習の「選択領域」にお
ける消費者教育に係る講習の開設数が増加した。【消費者庁、文部科学省】
消費者庁が2016年度に作成した高校生向け消費者教育教材「社会への扉」
の積極的な活用を促すため、独立行政法人教職員支援機構において、同教材
を活用した消費者教育についての教員用研修動画を作成しウェブサイト上
で公開するとともに、文部科学省において、全国の研修担当者等に対し研
修動画の活用等を促した。
また、教職員研修実施に関する主な提言等をまとめた事務連絡を新たに
発出し、「消費者教育の推進に関する基本的な方針」等を踏まえた研修の
充実を全国の教育委員会に促した。
さらに、「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」
の改定を踏まえた通知を発出し、全国の教育委員会や教職課程を置く大学
等に対して、教員の養成・研修等における消費者教育に関する内容の充実
等を促した。【文部科学省】52 大学等における消費者教育の推進
(1)大学、専門学校等と消費生活センターとの連携、消費者被害防止に関
する情報提供、取組の普及啓発等を行う。【消費者庁・文部科学省】
大学進学等によって若年者が新生活を始めるに当たって、特に注意が必
要な事項をまとめた啓発資料を関係省庁と作成し、消費者庁ウェブサイト
で公表するとともに、関係団体に周知した。
さらに、地方公共団体の消費者行政部局に対し、成人式で活用できる啓
発資料、他の地方公共団体の取組事例の情報発信を行い、成人式での取組
を促した。
大学、専門学校等と地元の消費生活センターとの連携の支援を含め、地
域における消費者教育の充実に向けた多様な主体の連携体制の構築のため、
消費者教育推進会議の下に設置された「地域における消費者教育の充実に向
けた連携に関する分科会」の取りまとめ(令和元年7月)において、消費
者教育コーディネーターの活用の在り方等を示し、大学との連携の支援を
含めた地域における消費者教育の充実に向けた事例を紹介している。
また、この推進会議においては、平成28年度消費者教育に関する取組状
況調査(文部科学省実施)を基に作成した、消費生活センター等の他機関と
の連携により実施している大学等における講義・ゼミでの消費者教育の事
例に関する資料を提示し、その後、消費者庁ウェブサイトにて公表するこ
とにより、情報を提供している。【消費者庁】
大学、専門学校等と地元の消費生活センターとの連携を支援し、被害事
例に関する情報共有を実施しており、全ての大学の学生に対するガイダン
ス等での指導・啓発の推進を図っている。【文部科学省】
(2)大学、専門学校等と地元の消費生活センターとの連携を支援し、出前
講座等を実施する。【消費者庁】
大学等と消費生活センター等が連携した事例を含め紹介している、令和
元年度消費者教育に関する取組状況調査(文部科学省実施)について、地
方公共団体の消費者行政部局宛て周知を行った。
消費者教育コーディネーターの育成、消費生活センターを含む地方公共
団体の取組促進のため、消費者教育コーディネーター相互の意見交換の場
を設け、大学等と連携した出前講座の事例等の情報共有を図ることとして
いる。【消費者庁】
(3)大学における講義実施等を通じた正しい金融知識の普及【金融庁】
金融庁・財務局職員による、大学を含む学校向けの出張授業を抜本的に
拡充し、金融経済教育推進会議において策定した、大学生・社会人等を対
象とした金融リテラシーに係る教材である「コアコンテンツ」も活用しつ
つ、大学等における講義を実施した。また、金融経済教育の推進に向けて、
都道府県教育委員会に働き掛けを行ったほか、大学の教員養成課程や教員
向け研修等においても、金融リテラシーに係る講義を実施した。【金融庁】63 その他
(1)消費者教育推進計画・消費者教育推進地域協議会の策定・設置【消費
者庁】
「消費者教育推進計画」は47都道府県、18政令市で策定済み。「消費者
教育推進地域協議会」は47都道府県、19政令市で設置済み。【消費者庁】
(2)大学等及び社会教育における消費者教育の指針の見直し【文部科学
省】
2010年度作成の「大学等及び社会教育における消費者教育の指針」につ
いて、文部科学省の消費者教育推進委員会において、同指針を改訂
(2018年7月)し、全国の大学等及び教育委員会へ通知を行った。また、
地方公共団体や大学等からの求めに応じ、それぞれが抱える課題等に対
し、指導・助言を行う、文部科学省消費者教育アドバイザーを派遣する
とともに、教育委員会や大学関係者が参加する消費者教育フェスタを開
催した。【文部科学省】