成人式の時期や在り方等に関する報告書
成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議
成人式の時期や在り方等に関する分科会
令和2年3月2内容
成人式の時期や在り方等に関する報告書 ................................... 1
1 はじめに........................................................... 3
2 祝日法における成人の日の意義と民法の成年年齢の関係について............. 6
3 全市区町村を対象とした成人式の実施に関する調査の結果について ........... 6
(1) 現在の成人式について ............................................. 6
(2) 成年年齢引下げ後の成人式について ................................. 8
4 成年年齢引下げに関する世論調査の結果について........................ 10
(1) 成年年齢引下げの成人式の対象年齢 ............................... 10
(2) 成年年齢引下げ後の成人式の実施時期について....................... 11
5 一般社団法人全国高等学校PTA連合会によるアンケートの結果について .... 12
6 公益財団法人日本財団による意識調査 ............................... 12
7 分科会において実施したヒアリング及び意見交換における意見................ 13
(1) 成人式の意義について ............................................ 14
(2) 成年年齢引下げ後の成人式の対象年齢及び在り方について .............. 14
8 結語 ............................................................ 1631 はじめに
(1) 成年年齢の引下げ等を内容とする民法改正
平成 30 年6月,民法の一部を改正する法律(平成 30 年法律第 59 号)によ
り,令和4年4月1日から民法(明治 29 年法律第 89 号)の定める成年年齢が
18 歳に引き下げられることとなりました。
我が国における成年年齢は,明治9年の太政官布告第 41 号以来,20 歳とされ
てきました。民法は,明治 29 年の制定以来,成年年齢を 20 歳と定めていますが,
これは,この太政官布告の規律を引き継いだものといわれています。20 歳という年齢
が選ばれた理由については,制定当時の日本人の精神的成熟度や平均寿命のほか,
諸外国における成年年齢等を総合的に考慮した結果であるといわれています。以来,
我が国においては,法律の世界のみならず,一般国民の意識においても,20 歳とい
う年齢が大人と子供の範囲を画する基準とされてきました。
しかし,近年,憲法改正国民投票の投票権年齢や公職選挙法の選挙権年齢な
どが 18 歳以上と定められ,18 歳,19 歳の若年者を大人として扱うという政策が進
められてきました。こうした政策は,18 歳,19 歳の若年者が国政の重要な事項に関
して判断力を有することを前提とするものであり,このことを踏まえると,市民生活に関
する基本法である民法においても 18 歳以上の方を大人として取り扱うのが適当である
と考えられます。また,世界的にも,成年年齢を 18 歳とする国が多いのが実情です。
こうした状況を踏まえ,平成 30 年 3 月 13 日,成年年齢を引き下げること等を内容
とする「民法の一部を改正する法律案」が第 196 回国会(常会)に提出され,同
年6月 13 日,法律として成立しました(平成 30 年法律第 59 号)。これにより,
18 歳,19 歳の若年者は,契約を締結する判断能力を有する主体として位置づけ
られるとともに,親権に服さないこととなり,親権者による監護・教育の下から離脱する
ことになります。急速な少子高齢化が進む現代の日本社会においては,我が国の将
来を担う若年者が,社会・経済において積極的な役割を果たすことが期待されていま
す。成年年齢を 18 歳に引き下げることは,18 歳,19 歳の若年者に早くから社会の
構成員としての自覚を持たせることにつながり,また,若年者を将来の国づくりの中心
とするという国の決意を示すものです。
(2) 成人式に関する情報発信の必要性
他方で,成人式については,その実施の具体的な方法が法律で定められているわ
けではなく,その対象年齢を何歳とするか等,成人式の在り方については,地方公
共団体の判断で決められるものです。したがって,成年年齢が 18 歳に引き下げられた4ことにより,必然的に成人式の対象年齢が 18 歳に引き下げられるわけではありません。
しかしながら,成年年齢の引下げによって,成人式の対象年齢など,その在り方等
について事実上の影響を及ぼす可能性があり,国会審議の場においても,このような
観点から,様々な問題点が指摘されました。例えば,成年年齢の引下げを受け,従
来は 20 歳の方を対象として1月に行われていることの多い成人式が,仮に 18 歳の
方を対象として1月に行われることになると,対象となる方の受験期と重なり,出席
者が減少するのではないか等の問題が指摘されました。
成人式は主催者である地方公共団体の判断で行われるものであるため,一律に,
成年年齢の引下げに伴う成人式の時期や在り方等について統一的な指針を示すこと
は必ずしも適切ではありません。しかしながら,各地方公共団体が成年年齢の引下げ
後の成人式の在り方を検討するに当たって独自に参考となる情報を収集することにな
ると,地方公共団体によっては,大きな負担となるおそれがあります。そこで,政府とし
て,関係者との意見交換などを通じて関係者の意見や各地方公共団体の検討状況
を取りまとめ,各地方公共団体がその実情に応じた対応をすることができるよう,取り
まとめた情報を発信することとなりました。後述の「成人式の時期や在り方等に関する
分科会」(以下単に「分科会」といいます。)は,このような情報の取りまとめや発信
を目的として設置されたものです。
(3) 分科会の設置及び活動内容等
成年年齢の引下げについては,消費者被害が拡大するのではないか,自立に困難
を抱える若年者がさらに困窮するのではないかなどの指摘があり,施行までの間に,成
年年齢を引き下げる環境を整備する施策を実行する必要があります。このような施策
は複数の府省庁の所管分野に関わることから,関係行政機関相互の密接な連携・
協力を確保し,総合的かつ効果的な取組を推進するため,平成 30 年4月以降,
「成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議」を継続的に
開催していくこととなりました。成人式の時期や在り方もこの連絡会議のテーマとして取
り上げられ,その検討のため,同年9月,分科会を開催することが決定されました。
分科会には,関係府省庁の担当者が構成員として参加しているほか,成人式に関
わりのある団体等にオブザーバーとして参加していただき,成人式の当事者である若年
者を含む関係者からのヒアリング,市区町村に対するアンケート調査,有益と思われ
る調査結果等の情報の共有や,これらを踏まえた意見交換などを行ってきました。分
科会の構成員は別紙1のとおりであり,分科会の開催経緯は別紙2のとおりです。5な お , 各 回 の 配 付 資 料 , 議 事 録 に つ い て は 全 て 法 務 省 ウ ェ ブ サ イ ト
(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00234.html)に掲載されていま
すので,ご参照ください。
(4) 本報告書の目的
本報告書は,成人式の在り方についての統一的な指針を示すものではありません。
各地方公共団体が成年年齢引下げ後の成人式の時期や在り方等について検討する
に当たって参考にしていただくため,分科会におけるヒアリングの場で関係者が述べた意
見や,市区町村に対するアンケート調査の結果など,分科会において収集した情報
を取りまとめたものであり,各地方公共団体に向けてこれらの情報を発信することを目
的として作成されたものです。62 祝日法における成人の日の意義と民法の成年年齢の関係について
「国民の祝日に関する法律」(以下「祝日法」といいます。)は,昭和 23 年に議員
立法によって制定されました。「成人の日」は,同法の制定当初から国民の祝日の一つ
として規定されています。成人の日の時期は,以前の元服や裳着(もぎ)が1月に行
われることが多かったこと等を踏まえ,1月 15 日とされました。
その後成人の日は,平成 10 年の祝日法改正(議員立法)により,「1月の第2
月曜日」と改められました。
祝日法において,成人の日は,「おとなになったことを自覚し,みずから生き抜こうとす
る青年を祝いはげます」日と定められています。この「おとな」の年齢については,立法当
時の国会での議論を経て明確な定義を設けないこととされたという経緯があり,民法の
成年年齢と必ずしも一致するものではありません。また,祝日法において,成人式に関
する規定はありません。
3 全市区町村を対象とした成人式の実施に関する調査の結果について
分科会においては,各地方公共団体における検討の参考とするため,全ての市町
村及び特別区(合計1,741)を対象として,「成年年齢引下げ後の成人式の実施に
関する調査」(以下「本調査」といいます。)を実施し,現在成人式を実施しているかど
うか,その対象年齢や時期,成年年齢引下げ後の成人式の対象年齢や時期に関す
る検討状況について調査を行いました(回答期間は令和元年 6 月 4 日から 14 日ま
で)。その結果の概要は,以下のとおりです(より詳しい結果は,法務省ウェブサイト
(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00234.html)に掲載されていま
す。)。
(1) 現在の成人式について
本調査によれば,回答した 1,037 市区町村全てにおいて成人式が実施されており,
その実施主体,対象年齢や実施時期は,以下のとおりでした。
ア 実施主体について
現在の成人式の実施主体については,下記の表のとおり,「教育委員会」の割合
が最も高く,次いで「教育委員会と新成人らによる実行委員会の合同開催」,「首
長部局,教育委員会及び新成人らによる実行委員会による合同開催」,「首長
部局と教育委員会の合同開催」の順でした。新成人らによる実行委員会が実施主
体として参画しているのは全体の約5割でした。7回答数 %
全体 1037 100.0
1 首長部局 47 4.5
2 教育委員会 306 29.5
3 首長部局と教育委員会の合同開催 140 13.5
4 首長部局と新成人らによる実行委員会の合同開催 44 4.2
5 教育委員会と新成人らによる実行委員会の合同開催 239 23.0
6 首長部局,教育委員会及び新成人らによる実行委員会による合同開催 179 17.3
7 新成人らによる実行委員会 42 4.1
8 その他 40 3.9
イ 対象年齢について
現在の成人式の対象年齢は,下記の表のとおり,「20 歳」が最も高く9割を超えて
おり,次いで「21 歳」という結果でした。
回答数 %
全体 1037 100.0
1 20歳(年度中に20歳に達する人=19歳の者と20歳の者が対象となる) 969 93.4
2 21歳(年度中に21歳に達する人=20歳の者と21歳の者が対象となる) 65 6.3
3 その他 3 0.3
ウ 実施時期について
実施時期は,下記の表のとおり,「1月(成人の日を含む三連休)」が最も多く,
次いで「1月(成人の日を含む三連休以外)」であり,回答全体の約9割が1月
に実施しているという結果でした。1月以外の時期では,「8月(お盆の時期など)」
が 9.3%で最多でした。なお,「1月(成人の日を含む三連休以外)」との回答は
九州・沖縄地方や四国地方の市区町村に多く,「8月(お盆の時期など)」との回
答は東北地方や中部地方の市区町村に多く見られました。
また,成人式を「1月(成人の日を含む三連休)」に実施する理由として最も多か
ったのは,「成人の日が1月に設定されているから」(90.1%)で,1 月の成人の日
を含む三連休に実施しない理由として最も多かったのは,「対象者が集まりやすい」
(70.9%),次に多かったのが「年末年始に帰省後,仕事や学校等でUターンした8後に再び帰省することが対象者にとって負担が大きい」(65.1%)というものでした。
回答数 %
全体 1037 100.0
1 1月(成人の日を含む三連休) 776 74.8
2 1月(成人の日を含む三連休以外) 143 13.8
3 3月(春休みなど) 3 0.3
4 4月・5月(ゴールデンウィークなど) 12 1.2
5 8月(お盆の時期など) 96 9.3
6 その他の時期 7 0.7
(2) 成年年齢引下げ後の成人式について
本調査によれば,各市区町村の成年年齢引下げ後の成人式の対象年齢及び実
施時期の検討状況は,以下のとおりでした。
ア 成年年齢引下げ後の成人式の対象年齢に関する方針決定の有無について
成年年齢引下げ後の成人式の対象年齢については,下記の表のとおり,「現在
検討中である」との回答が最も多く,次いで,「検討していない」との回答でした。す
でに方針を決定しているとの回答をしたのは 67 市区町村であり,割合は6.5%
でした。
回答数 %
全体 1037 100.0
1 決定している 67 6.5
2 現在検討中である 683 65.9
3 検討していない 287 27.7
イ 成年年齢引下げ後の成人式の対象年齢について
成年年齢引下げ後の成人式の対象年齢を決定していると回答した 67 市区町村
の中では,下記の表のとおり,対象年齢を「20 歳」とするのが最も多く,9割を超え
ていました。「18 歳」「19 歳」を対象年齢とするのは合わせて3市区町村でした。
対象年齢を 20 歳または 21 歳することとした理由(複数回答可)としては,「18
歳の1月に実施すると,受験と重なり,出席者が減少するから」が 73.4%(47 市
区町村)と最も多く,「18 歳で成人式を実施すると,実行委員会の活動時期と受9験などの準備期間が重なり,新成人らが実行委員会に参加することが難しくなるから」
が 53.1%(34 市区町村),「対象者が集まりやすいから」が 40.6%(26 市区
町村),「民法の成年年齢と成人式の対象年齢は必ずしも一致させる必要がない
から」が 39.1%(25 市区町村),「現状を変える必要がないから」が 35.9%
(23 市区町村)でした。
他方,対象年齢を 18 歳または 19 歳とすることとした理由(複数回答可)として
は,「民法の成年年齢が18歳に引き下げられたから」が100%(3市区町村),
次に多かったのが,「法律上,「大人」として扱われることになる年齢の前後で成人
式をすることにより,若者の自覚を促すことができるから」で 33.3%(1市区町村)
となりました。
なお,成人式の対象年齢を 18 歳又は 19 歳とすると,成年年齢の引下げが施
行される令和4年4月以降に実施する最初の成人式においては,複数の年齢を
対象として行うことになりますが,これに対する対処方法として最も多かったのは,「複
数日程で開催する」で 66.6%(2市区町村)でした。
回答数 %
全体 67 100.0
1 18歳(年度中に18歳に達する人) 2 3.0
2 19歳(年度中に19歳に達する人) 1 1.5
3 20歳(年度中に20歳に達する人) 61 91.0
4 21歳(年度中に21歳に達する人) 3 4.5
5 成人式は実施しない 0 0.0
6 その他 0 0.0
ウ 成年年齢引下げ後の成人式の実施時期に関する方針決定の有無について
成年年齢引下げ後の成人式の実施時期については,下記の表のとおり,「現在
検討中である」との回答が最も多く,次いで,「検討していない」との回答でした。す
でに方針を決定しているとの回答をしたのは 94 の市区町村であり,割合は9.
1%でした。
回答数 %
全体 1037 100.0
1 決定している 94 9.1102 現在検討中である 610 58.8
3 検討していない 333 32.1
エ 成年年齢引下げ後の成人式の実施時期について
成年年齢引下げ後の成人式の実施時期を決定していると回答した 94 市区町村
の中では,下記の表のとおり,実施時期を「1月(成人の日を含む三連休)」とし
ている市区町村が最も多く,次いで,「8月(お盆の時期など)」,「1月(成人
の日を含む三連休以外)」の順でした。なお,すでに方針を決定している 94 市区
町村の実施時期は,全て現在の実施時期と同じ時期であり,成年年齢の引下げ
に伴って成人式の実施時期を変更した市区町村はありませんでした。
回答数 %
全体 94 100.0
1 1月(成人の日を含む三連休) 68 72.3
2 1月(成人の日を含む三連休以外) 7 7.4
3 3月(春休みなど) 0 0.0
4 4月・5月(ゴールデンウィークなど) 1 1.1
5 8月(お盆の時期など) 18 19.1
6 その他の時期 0 0.0
4 成年年齢引下げに関する世論調査の結果について
内閣府は,平成 30 年 11 月 29 日から 12 月 24 日にかけて,成年年齢引下げ
に関する世論調査を実施しました。これは,16 歳から 22 歳までの年齢層 3,500 人
と,40 歳から 59 歳までの年齢層 1,500 人の合計 5,000 人を対象として,成人式
の対象年齢や実施時期を含め,成年年齢の引下げについての意見を調査したものであ
り,有効回収数は 16 歳から 22 歳までの年齢層 1,802 人,40 歳から 59 歳までの
年齢層 958 人でした。
その結果の概要は,以下のとおりです(より詳しい結果は,法務省ウェブサイト
(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00234.html)に掲載されていま
す。)。
(1) 成年年齢引下げの成人式の対象年齢
この世論調査によれば,成年年齢引下げ後の成人式の対象年齢について,下記
の表のとおり,16 歳から 22 歳までの年齢層と 40 歳から 59 歳までの年齢層のいず11れの年齢層においても,20 歳の方を対象に実施するのがよいと思う者の割合が最も
多くなりました。いずれの年齢層においても,18 歳の方を対象に実施するのがよいと思
う者の割合が 20 歳に次いで高く,その次に 19 歳の方を対象に実施するのがよいと思
う者の割合が高いという結果となりました。
16 歳〜22 歳の年齢層 40 歳〜59 歳の年齢層
回答数 % 回答数 %
全体 1802 100.0 958 100.0
1 18歳(年度中に18歳に達する人) 341 18.9 330 34.4
2 19歳(年度中に19歳に達する人) 135 7.5 60 6.3
3 20歳(年度中に20歳に達する人) 1295 71.9 527 55.0
4 21歳(年度中に21歳に達する人) 11 0.6 6 0.6
(2) 成年年齢引下げ後の成人式の実施時期について
成年年齢引下げ後の成人式の実施時期については,下記の表のとおり,16 歳か
ら 22 歳までの年齢層,40 歳から 59 歳までの年齢層のいずれの年齢層においても,
「1月(成人の日など)」に実施するのがよいと思う者の割合が最も高くなりました。い
ずれの年齢層においても,次いで「3月(春休みなど)」に実施するのがよいと思う者
の割合が高く,その次が「4月・5月(ゴールデンウィークなど)」との結果となりました。
16 歳〜22 歳の年齢層 40 歳〜59 歳の年齢層
回答数 % 回答数 %
全体 1802 100.0 958 100.0
1 1月(成人の日を含む三連休) 1142 63.4 535 55.8
3 3月(春休みなど) 434 24.1 182 19.0
4 4月・5月(ゴールデンウィークなど) 130 7.2 87 9.1
5 8月(お盆の時期など) 53 2.9 86 9.0
6 その他の時期 25 1.4 45 4.7
なお,対象年齢についての回答と実施時期についての回答との関係については,20
歳を対象年齢とするのがよいと回答した方の中では,1月に実施するのがよいという方
が 16 歳から 22 歳までの年齢層で 70.0%,40 歳から 59 歳までの年齢層で1269.1%,18 歳を対象年齢とするのがよいと回答した方の中では,1月に実施するの
がよいという方が 16 歳から 22 歳までの年齢層で 49.3%,40 歳から 59 歳までの
年齢層で 39.7%という結果でした。
また,成人式の実施時期と成人の日の関係については,基本的に同じ時期である
ほうがよいという回答が,16 歳から 22 歳までの年齢層においても,40 歳から 59 歳
までの年齢層においても,約6割を占めました。
5 一般社団法人全国高等学校PTA連合会によるアンケートの結果について
一般社団法人全国高等学校PTA連合会は,平成 30 年 12 月から平成 31 年
1 月にかけて,加盟する 3,963 の高校PTAの会長に対して成人式に関するアンケー
トを実施し,そのうちの 2,183 の高校PTAの会長(約 55%)が回答しています。そ
の結果の概要は,以下のとおりです(より詳しい結果は,法務省ウェブサイト
(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00234.html)に掲載されていま
す。)。
このアンケートによると,成人式の意義について尋ねたところ,「大人になった自覚を促
す」との回答が 72.4%,「人生の節目として,将来について考える機会となる」との回答
が 72.2%,「地元の友人と再会したり地域の人と触れ合ったりすることで,地元への愛
着を育む」との回答が 53.8%,「地域をあげて未来を担う新成人を祝い励ます」との回
答が 39.8%,「同窓会としての意味がある」との回答が 25.2%,「袴や振袖を着るな
ど,日本の伝統文化に触れるきっかけとなる」との回答が 18.8%,「成人式には意味が
ない」との回答が 2.9%でした。
成年年齢引下げ後の成人式の対象年齢は何歳とするのがよいか,という問いに対し
ては,「20 歳」が 53.7%と最も多く,次に「18 歳」が 26.6%,「19 歳」が 12%とい
う結果となりました。
また,仮に成年年齢引下げ後の成人式の対象年齢を 18 歳とする場合,成人式は
どのような時期に実施するのがよいか,という問いに対しては,「1月(成人の日など)」
が 31.7%と最も多く,次に「3 月(春休みなど)」が 25.8%,「4 月・5 月(ゴールデ
ンウィークなど)」と「8 月(お盆の時期など)」が共に約 13%という結果となりました。
6 公益財団法人日本財団による意識調査
公益財団法人日本財団は,平成 30 年 12 月 3 日から 6 日にかけて,全国の 17
歳〜19 歳の男女 800 人を対象として,成人式に関する意識調査を実施していました。13その結果の概要は,以下のとおりです(より詳しい結果は,法務省ウェブサイト
(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00234.html)に掲載されていま
す。)。
この調査によると,成人式のあり方について思うことは何か,との問いに対して,「人
生において大切な行事」,「節目」,「伝統行事」などの回答が多数みられたほか,「成
人になったことを自覚する場」,「同級生に会えるのが楽しみ」という回答もみられ,一方
で,成人式で騒ぎが起こることに対する否定的な意見や,成人式自体に興味がない旨
の回答もみられました。
成人式に出席したいかという質問に対しては,全体で 70.6%(男性 69.3%,女
性 72.0%)が出席したいと回答し,その理由としては,「同級生に会えるから」が
66.4%(男性 67.9%,女性 64.9%)で最も多く,次いで,「成人式で祝うことで
人生の節目としたいから」54.3%(男性 56.7%,女性 52.1%),「着物・振り袖を
着られるから」32.6%(男性 7.2%,女性 56.9%),「式典に出席することで,成
人になったことを自覚すると思うから」31.3%(男性 27.4%,女性 35.1%)などが続
きました。
また,何歳で成人式を行うのがふさわしいかとの問いに対しては,「20 歳」が 74.0%,
「18 歳」が 23.9%となりました。「20 歳」とした理由については,「18 歳だと受験に重な
る時期だから」との回答が 62.8%,「18 歳だと成人式に合わせてお酒を飲んだりタバコ
を吸ったりできないから」との回答が 38.2%,「18 歳だと(進学のため)金銭的に余裕
がない時期だから」との回答が 33.6%,「18 歳だと就職の準備がある時期だから」との
回答が 23.8%でした。
「18 歳」とした理由については,「引き下げられた成人年齢である 18 歳がふさわし
い」との回答が 62.8%,「18 歳で成人になるのに,成人式が違う年齢だと混乱するか
ら」との回答が 39.8%,「18 歳でも成人になったと自覚できるようになると思う」との回答
が 30.9%,「20 歳だと就職の準備がある時期だから」との回答が 4.2%でした。
7 分科会において実施したヒアリング及び意見交換における意見
分科会においては,成人式の当事者である若年者を含む関係者の意見を聴取する
ために,関係者や関係団体のヒアリングを実施するとともに,これらのヒアリングによって得
られた意見を基に意見交換を行いました。具体的なヒアリング対象者については,別添
2の「成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議 成人式の
時期や在り方等に関する分科会の開催経緯等」を御参照ください。14これらのヒアリング等を通じて,成人式の意義や,成年年齢引下げ後の成人式の対
象年齢をどのように考えるかについて,様々な意見が出されました。その内容は次のとおり
です。
(1) 成人式の意義について
成人式の意義については様々な捉え方が示されましたが,その主なものは次のとおり
です。
・人生における大きな節目であり,若年者に対し,責任ある大人としての自覚や社
会参加を促す厳粛な儀式
・若年者が大人になるまで様々な形で支えてくれた周囲や社会に対して感謝する機会・地域社会や家族が若年者の大人としての門出を祝福する機会
・親にとって,これまで子ども扱いしていた子を一人前として扱う節目としての意義
・若年者が日本の文化と伝統に触れる機会
・実行委員会という形で若年者が関与してみんなで作り上げる集いの場としての意義
このほか,進学,就職等により地元を離れている若年者が地元に戻ることにより,
若年者が地域の人とふれ合う機会になり,また,地元が活性化する機会になるとの
指摘もありましたが,このような意義はあくまで副次的なものであるとの意見もありました。
(2) 成年年齢引下げ後の成人式の対象年齢及び在り方について
分科会におけるヒアリングにおいて,成人式の関係者から意見を聴取し,意見交換
を行ったところ,その内容は,118 歳の方を対象として,成年に達したことの自覚を
促すための教育的な行事や取組を行うことが望ましい,2成年年齢引下げ後の成人
式の対象年齢については,18 歳にすべきとの意見と 20 歳にすべきとの意見の双方が
出されたが,これまでと同様に 20 歳の方を対象として実施するという意見が多数であ
った,と要約することができます。
以下では,それぞれの意見の理由及びそれぞれの意見を採用した場合の成人式の
在り方について,ご紹介します。
ア 成年年齢引下げ後の成人式の対象年齢を 18 歳とすべきとの意見
(ア) 対象年齢を 18 歳とする理由
対象年齢を 18 歳とすべきであるとの意見の理由として,次のようなものが挙げら
れました。なお,ヒアリングを行った地方公共団体の中には,夏に実施することを
前提として 19 歳を対象年齢とするという意見もありました。15・成年年齢が 18 歳に引き下げられたことから,成年となったことの自覚を促すた
めの機会として,できるだけ早い段階で成人式を実施した方がよい。
・成年年齢の引下げから数年が経過し,18 歳でおとなになるという認識が社会
に定着すれば,成人式の対象者も 18 歳とすることが自然になると考えられる。
・対象者が 18 歳に達する年度の1月に成人式を実施すると,対象者が受験
や就職を控える時期に参加することとなって適切ではないという問題については,
その翌年度(対象者の全員が 18 歳となった年度)に実施することや5月などに
実施時期を変更することによって解決することができる。
・成年年齢引下げ直後の成人式に 18 歳〜20 歳の新成人が参加することとな
るため会場確保が困難という問題については,日程を複数回設けることなどで対
処予定である。
このほか,成人式の対象年齢を 20 歳とすべきとの意見を有する参考人におい
ても,成年年齢引下げ後の成人式の対象年齢を 18 歳とすることのメリットとして,
20 歳の方と 19 歳の方が参加者に混在することで発生し得る未成年飲酒の問
題が激減する,制服での参加等によって家庭の経済的負担が軽減する点を指
摘する意見もありました。
(イ) 成人式の在り方
成人式の対象年齢を 18 歳とするのであれば,対象者が参加することができるよ
うにするため,5月などに実施時期を変更する必要があるとの意見がありました。
また,成人式を成人の日に合わせて1月に実施するのであれば,参加すること
ができない対象者が多いことに鑑み,式典自体の実施を見直すことも検討課題
になり得,式典に代えて税金や年金に関する知識を記載したパンフレットの送付
などを行うことも考えられるとの意見がありました。
イ 成年年齢引下げ後の成人式の対象年齢を 20 歳とすべきとの意見
(ア) 対象年齢を 20 歳とする理由
・大学生や社会人としての経験を積むことにより,社会の規範をより深く理解し,
より深い自覚を持って社会に貢献することができるようになるため,20 歳の方を対
象とする方が成人式がより意義深いものになる。
・20 歳を対象とすることにより,参加者本人だけでなく家族も含めて落ち着いた
環境で成人を祝うことができ,家族,旧友,地域社会とのつながりをしっかりと確
認することができる。16・一度その地域を離れた人が成人式を機会に帰省し,同窓生と交流することで,
Uターン就職のモチベーションが生まれ,地域の活性化につながる。
・飲酒や喫煙などは 20 歳になるまで禁止されており,20 歳で大人として扱われ
る環境が整う。
・成人式の対象年齢を 18 歳として1月に成人式を実施した場合,対象者の
多くが大学受験や就職の準備等で時間的・精神的・経済的余裕がないため,
成人式への出席者が少なくなる。その結果,若年者が新成人として一堂に集う
習慣がなくなり,成人式という日本の文化が失われる。
・成人式の対象年齢を 18 歳とすると,大学入学のための準備などで家計の負
担が増える時期と成人式が重複することになり,家庭の経済的負担が大きくなる。
・成人式の対象年齢を 18 歳とすると,成年年齢引下げ直後の成人式には,
18 歳から 20 歳までの新成人が参加することとなり,主催する地方公共団体等
が混乱する。
(イ) 成人式の在り方
式典としての成人式の対象年齢を 20 歳とする場合であっても,18 歳の者を対
象として,民法上の成年に達したことを自覚させるため,何らかの教育的行事
(記念講演など)を実施することも考えられるという意見がありました。
また,「成人式」における「成人」と民法上の成年とは必ずしも一致しませんが,
文脈によってはこれが同じ意味で用いられる場合もあることに鑑み,成年年齢引
下げ後に成人式の対象年齢を 20 歳とするのであれば,「はたちを祝う会」など,
「成人式」という名称を変更することも考えられるとする意見もありました。
8 結語
本報告書においては,分科会において実施した,市区町村の検討状況に関する調
査をはじめとする各種調査の結果と,分科会において実施したヒアリングや意見交換で
出された,成年年齢引下げ後の成人式の当事者である若年者を含む関係者の意見を
とりまとめました。
これらの情報が,各地方公共団体における成年年齢引下げ後の成人式の在り方に
関する検討に資することとなれば幸いです。17(別紙1)
成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議
成人式の時期や在り方等に関する分科会の開催について
平 成 3 0 年 9 月 3 日
成年年齢引下げを見据えた環境整備
に関する関係府省庁連絡会議議長決定
平 成 3 0 年 1 0 月 3 0 日
一 部 改 正
1 成人式は,
その時期や在り方等について法律上の定めはなく,
各地方自治体の判断で実
施されているものの,民法の成年年齢の引下げによって様々な影響が生ずることが予想
される。
今後の民法の成年年齢引下げを見据え,
成人式の時期や在り方等について,
各地
方自治体における検討に資するための情報発信を行うため,成人式の時期や在り方等に
関する分科会(以下「分科会」という。
)を開催する。
2 分科会の構成は,次のとおりとする。ただし,座長が必要があると認めるときは,関係
者の出席を求めることができる。
座 長 法務省民事局参事官(成年年齢担当)
座 長 代 理 内閣府大臣官房総務課管理室長
文部科学省総合教育政策局地域学習推進課長
構 成 員 総務省大臣官房企画課長
オブザーバー 厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課長
経済産業省製造産業局生活製品課伝統的工芸品産業室長
全国市長会
全国町村会
全国都市教育長協議会
全国市町村教育委員会連合会
全国町村教育長会
3 分科会の庶務は,内閣府及び文部科学省の協力を得て,法務省において処理する。
4 前各項に定めるもののほか,
分科会の運営に関する事項その他必要な事項は,
座長が定
める。18(別紙2)
成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議
成人式の時期や在り方等に関する分科会の開催経緯
○しろまる 第1回分科会 平成 30 年 10 月 31 日(水)
・分科会設置の趣旨,今後の会議の進め方についての説明,意見交換等
○しろまる 第2回分科会 平成 30 年11月26日(月)
・参考人からの意見聴取
(1) 奥山 功氏(日本きもの連盟会長理事)
(2) 堀 恵介氏(協同組合日本写真館協会理事)
(3) 米倉 美寿々氏(中央区新成人のつどい実行委員会OBOG会会長)
(4) 上田 廣久氏(京都市子ども若者はぐくみ局子ども若者未来部長)
・意見交換
○しろまる 第3回分科会 平成 31 年2月1日(金)
・参考人からの意見聴取
(1) 二川 哲男氏(全日本美容業生活衛生同業組合連合会常務理事)
(2) 内田 志づ子氏(一般社団法人全国高等学校PTA連合会常務理事・事務
局長)
・意見交換
○しろまる 第4回分科会 平成 31 年3月 20 日(水)
・内閣府が実施した世論調査の結果の報告
・自治体に対するアンケート調査の項目の検討
○しろまる 第5回分科会 令和元年6月 27 日(木)
・自治体に対するアンケート調査の結果の報告
○しろまる 第6回分科会 令和元年7月 29 日(月)19・自治体に対するアンケート調査の結果(クロス集計結果)の報告
・参考人からの意見聴取
真城 孝之氏(大分県国東市教育委員会社会教育課長)
○しろまる 第7回分科会 令和元年 10 月 30 日(水)
・意見交換
○しろまる 第8回分科会 令和2年3月(持ち回り開催)
・取りまとめの報告(成人式の時期や在り方等に関する報告書)