001319325


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平成31年及び令和元年における「人権侵犯事件」の状況について(概要)
〜法務省の人権擁護機関の取組〜
法務省の人権擁護機関(以下「人権擁護機関」という。
)は,人権侵犯事件調
査処理規程(平成16年法務省訓令第2号,以下「処理規程」という。
)に基づ
き,人権を侵害されたという方からの申告等を端緒に,その被害の救済及び予防
に努めている。
平成31年及び令和元年(暦年)における取組状況は,以下のとおりである。
しろまる新規救済手続開始件数 15,420件
しろまる処理件数 15,404件
【新規救済手続開始件数からみた特徴】
1 インターネット上の人権侵害情報に関する事件数が,平成29年に
次いで過去2番目に多い件数(1,985件)を記録
2 セクシュアル・ハラスメントに関する事件数が445件で,前年に
引き続き増加(対前年比 8.5%増加)
1 人権侵犯事件数(新規救済手続開始件数・処理件数)の動向
(1) 新規救済手続開始件数(図1)
新規に救済手続を開始した人権侵犯事件数は15,420件であり,前年
から3,643件減少した。
(内訳)
だいやまーく 公務員等の職務執行に関する人権侵犯事件数が4,483件
だいやまーく 私人等に関する人権侵犯事件数が10,937件
(2) 処理件数(図2)
処理した人権侵犯事件数は15,404件であり,前年から3,532件
減少した。
(内訳)
だいやまーく 公務員等の職務執行に関する人権侵犯事件数が4,512件
だいやまーく 私人等に関する人権侵犯事件数が10,892件
処理内訳別にみると,「援助」(注1)
が13,823件(全処理件数の89.7
%)で最も多く,次いで「要請」
(注2)
が508件(同3.3%),「説示」
(注3)
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が99件(同0.6%),「調整」
(注4)
が41件(同0.3%)となっている。
このほか,
「措置猶予」
(注5)
が17件(同0.1%),「侵犯事実不存在」
が5件(同0.03%),「侵犯事実不明確」が694件(同4.5%),「啓
発」
(注6)
を行ったものが34件(同0.2%)ある(注7)。(注1)法律上の助言を行ったり,関係行政機関や関係ある公私の団体等を紹介した
りすること。
(注2)被害の救済又は予防について実効的な対応ができる者に対し必要な措置を
執るよう求めること。
(注3)相手方の反省を促し善処を求めるため事理を説き示すこと。
(注4)当事者間の関係調整を行うこと。
(注5)事案の軽重や反省の程度,懲戒の有無等を考慮して措置を講じないこと。
(注6)事件の関係者や地域社会に対し,人権尊重に対する理解を深めるための働
きかけを行うこと。
(注7)事件は1件で複数の措置を講ずる場合等があるため,処理件数と処理内訳
の合計件数は必ずしも一致しない。
(3) 特別事件
新規に救済手続を開始した人権侵犯事件数のうち,特別事件(処理規程第
22条に規定されている重大な人権侵犯事件)の件数は1,598件で,前
年から17件増加した。
2 人権侵犯事件の類型別新規救済手続開始件数の動向
(1) 学校におけるいじめ事案(図3,4)
学校におけるいじめ事案は2,944件で,前年から11件減少したもの
の,全事件数の19.1%を占めており,最も高い割合となった。
(2) 暴行・虐待事案(図3,5)
暴行・虐待事案は2,298件で,全事件数の14.9%を占めている。
このうち,児童虐待事案の割合が18.0%(413件)を占めている。
(3) プライバシー関係事案(図3,6)
プライバシー関係事案は2,197件で,全事件数の14.2%を占めて
いる。
このうち,インターネットによる事案の割合が74.0%(1,625件)
を占めている。
(4) 労働権関係事案(図3,7)
労働権関係事案は1,836件で,全事件数の11.9%を占めている。
このうち,パワー・ハラスメントに関する事案の割合が70.1%(
1,287件)を占めている。
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(5) 住居・生活の安全関係事案(図3,8)
住居・生活の安全関係事案は1,828件で,全事件数の11.9%を占
めている。
このうち,相隣間における騒音等の相隣関係から生じる事案の割合が48.4
%(884件)を占めている。
(6) 強制・強要事案(図3,9)
強制・強要事案は1,647件で,全事件数の10.7%を占めている。
このうち,セクシュアル・ハラスメントに関する事案の割合が27.0%
(445件,対前年比8.5%増加)を占めており,前年に引き続き増加し
た。
(7) 教育職員関係事案(図3,10)
教育職員関係事案は983件で,全事件数の6.4%を占めている。
このうち,体罰事案の割合が14.3%(141件)を占めている。
(8) 差別待遇事案(図3,11)
差別待遇事案は636件で,全事件数の4.1%を占めている。
内訳では,同和問題(部落差別)に関するものが221件,障害者に関す
るものが163件,外国人に関する事案が72件,高齢者に関する事案が
32件,HIV感染者等に関する事案が16件となっている。
このほか,
性的指向に関する事案が6件,
性自認に関する事案が6件ある。
3 その他特徴的な新規救済手続開始件数の動向
イ ン タ ー ネ ッ ト 上 の 人 権 侵 害 情 報 に 関 す る 人 権 侵 犯 事 件 ( 図 1 2 ) は
1,985件(対前年比3.9%増加)で,平成29年に次いで過去2番目に
多い件数(注8)
を記録した(詳細は別添6)。(注8)インターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件は,統計報告要領で
定められた区分とは異なる区分で件数を集計している。
4 添付資料
(1) 平成31年及び令和元年中に法務省の人権擁護機関が救済措置を講じた具
体的事例(別添1)
(2) 「人権侵犯事件」統計資料(平成31年及び令和元年)
(別添2)
(3) 「女性の人権ホットライン」統計資料(別添3)
(4) 「子どもの人権110番」統計資料(別添4)
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(5) 「インターネット人権相談」統計資料(別添5)
(6) 特集「インターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件について」
(別添6)
図3 人権侵犯事件の種類別構成比の比較
21,500 22,072
22,694 22,172
21,718 21,044
19,553 19,722 18,936
15,40405,000
10,000
15,000
20,000
25,000
平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 平成31年・
令和元年
(件)
人権侵犯事件の処理件数の推移図221,696 22,168
22,930 22,437
21,718 20,999
19,443 19,533 19,063
15,42005,000
10,000
15,000
20,000
25,000
平成22年 平成23年 平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 平成31年・
令和元年
(件)
人権侵犯事件の新規開始件数の推移図1学校におけ
るいじめ
2,955
15.5%
暴行・虐待
2,749
14.4%
プライバシー
関係
2,257
11.8%
労働権関係
2,106
11.0%
住居・生活の
安全関係
3,730
19.6%
強制・強要
2,281
12.0%
教育職員関係1,1065.8%差別待遇6153.2%
特別公務員
関係1670.9%
その他の公
務員関係2871.5%
社会福祉施
設関係1350.7%
刑務職員関係400.2%その他6353.3%
平成30年
平成30年
新規開始件数
19,063件
学校におけ
るいじめ
2,944
19.1%
暴行・虐待
2,298
14.9%
プライバシー
関係
2,197
14.2%
労働権関係
1,836
11.9%
住居・生活の
安全関係
1,828
11.9%
強制・強要
1,647
10.7%
教育職員関係9836.4%差別待遇6364.1%
特別公務員
関係2561.7%
その他の公
務員関係2421.6%
社会福祉施
設関係1090.7%
刑務職員関係580.4%その他3862.5%
平成31年・令和元年
平成31年・
令和元年
新規開始件数
15,420件
3,883
3,371 3,169
2,955 2,94401,000
2,000
3,000
4,000
5,000
平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 平成31年・令和元年
(件)
学校におけるいじめ事案の推移図43,761 3,616
3,219
2,749
2,29801,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 平成31年・令和元年
(件)
暴行・虐待事案の推移図52,297
2,472
2,705 2,257
2,197
1,586
1,805
1,998
1,614 1,6250500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 平成31年・令和元年
(件)
プライバシー関係事案の推移 プライバシー関係事案
うちインターネットによるもの図6 2,488 2,119 2,064 2,106
1,836
1,418 1,314
1,290 1,378
1,2870500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 平成31年・令和元年
(件)
労働権関係事案の推移 労働権関係事案
うちパワハラに関するもの図72,756
2,446
2,909
3,730
1,828
1,555 1,443
1,367 1,1378840
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 平成31年・令和元年
(件)
住居・生活の安全関係事案の推移
住居・生活の安全関係
うち相隣間に関するもの図82,173
2,002 2,022
2,281
1,647
336 335 303
410 4450500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 平成31年・令和元年
(件)
強制・強要事案の推移
強制・強要
うちセクハラに関するもの図9 1,736
1,909
2,217
1,910 1,985
1,041
1,189 1,141
849 1,045
485 501746667 5170500
1,000
1,500
2,000
2,500
平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 平成31年・令和元年
(件)
インターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件の推移
インターネットによる人権侵犯
うちプライバシー侵害
うち名誉毀損
図1274168378561563602004006008001000平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 平成31年・令和元年
(件)
差別待遇事案の推移
図11
1,511
1,356 1,284
1,10698349444826320114102004006008001,000
1,200
1,400
1,600
1,800
平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 平成31年・令和元年
(件)
教育職員関係事案の推移 教育職員関係事件
うち体罰
図10
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(別添1)
平成31年及び令和元年中に法務省の人権擁護機関が救済措置を講じた具体的事例
(学校におけるいじめ事案)
事例1 特別支援学校におけるいじめへの不適切な対応
特別支援学校に通う中学生が,他の生徒らから,必要以上に凝視されたり,
つきまとわれたりするなどの嫌がらせ行為を継続して受けたことにより,不登
校になったとして,被害者の親から法務局に相談がされた事案である。
法務局の調査の過程において,いじめについての認識が親と学校側とで相違
することがうかがわれたため,法務局は,被害者の親及び学校側に対し,被害
者の現在の状況,被害者に対する学校側の対応について,話合いの場を設ける
ことを提案した。
話合いの場は,法務局担当者も同席して行われ,学校側は,被害者の担任教
師に対し,被害者の気持ちに寄り添った対応をするよう指導するとともに,学
校全体で再発防止に取り組む旨を約束し,両者の間に信頼関係を構築すること
ができた。
(措置:
「調整」)事例2 中学校におけるいじめ
学校で開催された人権教室により人権相談窓口を知った中学生から,友人が
転校先でいじめを受けて自殺を考えているとして,インターネット人権相談受
付窓口に相談がされた事案である。
緊急性が高い事案であると判断した法務局は,直ちに被害者の転校先の中学
校に連絡を取り,被害者の状況を確認するとともに,情報提供を行い,被害者
に対する見守り等,必要な対応を要請した。法務局はその後も被害者の状況把
握に努めていたところ,被害者が精神的に安定し,自殺をする兆候がみられな
いことが確認できた。
(措置:
「援助」)(暴行・虐待事案)
事例3 母親による子に対する虐待
小学生から,母親から食事を満足に与えられない,長時間ベランダに締め出
されるなどの虐待を受けているとして,
「子どもの人権SOSミニレター」が
送付された事案である。
緊急性が高い事案であると判断した法務局は,直ちに小学校と児童相談所に
連絡を取り,被害者の状況を聴取するとともに,情報提供を行い,必要な対応
を要請した。その後,児童相談所は被害者を一時保護するに至った。
後日,一時保護された被害者の状況を児童相談所に確認したところ,健康状
態は良好であり,法務局からの被害者に対するミニレターの返信について「励
- 2 -
まされた気がする。」と述べている旨を確認することができた。
(措置:
「援助」)事例4 母親による子に対する虐待
中学生から,母親から殴る,蹴る,刃物を突きつけられるなどの虐待を受け
ているとして,インターネット人権相談窓口に相談があった事案である。
緊急性が高い事案であると判断した法務局は,直ちに中学校及び児童相談所
に連絡を取り,被害者の状況を確認するとともに,中学校を通じて被害者と面
会し,被害状況を確認したところ,より深刻な状況にあることが認められた。
そのため,児童相談所に対応を引き継ぐとともに,関係機関において情報を共
有する体制を構築した。
法務局は,児童相談所への引継後も,被害者にメールを送り,継続して被害
者の状況を把握することに努めていたところ,関係機関からの働きかけや,父
を交えて家族内で話し合いをしたこと等により,母の暴力がなくなり,家庭環
境が改善したことが確認できた。また,今後も,関係機関において,被害者の
見守りを続けていくことを確認した。
(措置:
「援助」)事例5 父親による子に対する性的虐待
中学生から,父親から性的虐待を受けているとして,
「子どもの人権SOS
ミニレター」が送付された事案である。
緊急性が高い事案であると判断した法務局は,直ちに中学校及び児童相談所
に連絡し,その後の方針について協議するとともに,学校において,児童相談
所担当者とともに被害者との面談を行うこととした。法務局がミニレターを受
領した2日後,被害者は児童相談所に一時保護されるに至った。
その後,被害者の両親が離婚し,被害者は母親と共に転居して生活している
ことや,学校,犯罪被害者支援センターなどの関係機関から適切な支援を受け
る体制が構築されていることが確認された。
(措置:
「援助」)(強制・強要関係)
事例6 私立幼稚園園長の教諭に対する行き過ぎた指導
私立幼稚園の教諭から,園長から業務時間外にもかかわらず,業務連絡のL
INEメッセージを頻繁に送られる等のパワーハラスメントを受けている旨の
申告がされた事案である。
法務局が調査した結果,園長が被害者に対し,業務時間外にもかかわらず,
頻繁に緊急性のない業務連絡のLINEメッセージを送ったり,業務上の指導
を行う際に,被害者を萎縮させる叱責や人格を否定する発言をたびたび行った
りした事実が認められた。そこで,法務局から園長に対し,今後,同様の行為
を行わないよう説示した。
(措置:
「説示」) - 3 -
事例7 職場の上司による部下に対するセクシュアル・ハラスメント
職場の上司から,職場の新年会の帰りに,性的発言を繰り返すセクシュアル
・ハラスメントを受けたとして,法務局に相談がされた事案である。
法務局が調査した結果,上司は,被害者に対し,本件行為について謝罪はし
たものの,セクシュアル・ハラスメントに対する認識が不足していることが認
められた。
そこで,法務局は,上司に対し,本件発言が被害者個人の尊厳を傷つけると
ともに,就業環境を害する行為であり,今後,同様の行為を繰り返すことのな
いよう説示した。
(措置:
「説示」)(教育職員関係事案)
事例8 中学校教諭による体罰
中学校教諭が体罰を行っている旨の「子どもの人権SOSミニレター」が複
数の生徒から法務局に送付された事案である。
法務局が調査した結果,当該教諭が,複数回にわたり,忘れ物をするなどし
た生徒に対し,授業中に椅子の上で一定の時間,正座をさせた事実が認められ
た。
そこで,法務局は,教諭に対して,当該行為は教育上の指導の限度を超える
体罰に該当するものであり,その不当性を認識し,今後,二度と体罰を行わな
いよう説示するとともに,校長に対して,職員に対する指導をより一層徹底す
るよう要請した。
(措置:
「説示」
「要請」)(差別待遇事案)
事例9 映画館における障害者に対する不適切な対応
障害者から,映画館において障害者割引チケットを購入して入場しようとし
たところ,従業員から,周囲に多くの来館者がいる中で,障害者手帳の提示を
求められたとして,法務局に相談がされた事案である。
法務局の調査において,同映画館の支配人は,対象者を誰も見ていない場所
に案内して確認することはできない旨述べたが,法務局から,入場ゲート以外
の窓口において確認することなどの対応を提案したところ,支配人はこれを了
承した。
法務局は,被害者に対し,同映画館の対応について伝えたところ,被害者の
理解が得られた。
(措置:
「調整」)事例10 外国人に対する公園利用の妨害行為
公 園 で 遊 ん で い た 外 国 人 の 子 ど も が , 近 隣 住 民 か ら 英 語 で 「 う る さ い
(Noisy!)」,
「帰れ(Go home!)
」などと言われ,公園の利用を妨害されたと
して,母親から法務局に相談がされた事案である。
- 4 -
法務局が調査した結果,近隣住民は外国人を差別する意識はないものの,騒
音及び夜の公園利用についての配慮を望んでおり,被害者にその真意を伝えて
ほしいとの意向が示された。
そこで,法務局は,被害者に対してその真意を伝えたところ,被害者は理解
を示し,近隣住民も,法務局の対応に納得し,安心した旨及び感謝の意が示さ
れた。
(措置:
「調整」)事例11 インターネット上における同和地区の摘示
特定のウェブサイト上に,
差別解消目的を標榜し,
紀行文の体裁を取りつつ,
特定の地域の風景や建造物の写真とともに,地名を記載し,当該地域が同和地
区であるなどと指摘する記事が掲載されているとして,法務局に情報提供がさ
れた事案である。
法務局が調査した結果,当該記事は,個人のプライバシー,名誉,不当に差
別されない法的利益等を侵害するおそれが高く,人権擁護上問題があると認め
られたため,法務局から当該記事を掲載した者に対して,当該情報を摘示する
ことの不当性を認識し,十分自戒するとともに,人権尊重の理念について正し
い理解を深め,今後,二度と同様の行為を行うことのないよう説示した。(措置:
「説示」)(住居・生活の安全関係事案)
事例12 地縁団体の役員らによる嫌がらせ
地縁団体の役員らが,その総会において,出席者に対して被害者を誹謗・中
傷する文書を配布したり,被害者に会議資料を配布せず,また,意見を述べよ
うと挙手した被害者を無視したりするなど,役員らから嫌がらせを受けたとし
て,被害者から法務局に相談がされた事案である。
法務局が調査した結果,当事者間の紛争は,当該地縁団体を運営するための
規約が発端となっているものと認められたことから,法務局が仲介して,双方
の話合いの場を設けたところ,当事者間の対立が解消され,紛争の解決に至っ
た。
(措置:
「調整」) (別添2)
「人権侵犯事件」統計資料(平成31年・令和元年)
中止 移送 啓発
総 合 計 16,481 1,061 15,420 7,885 7,221 - 128 141 45 15,404 13,823 41 508 99 - - - 17 5 694 237 13 45 34 1,077
公 務 員 等 の 職 務 執 行 に 伴 う 侵 犯 事 件
4,770 287 4,483 1,804 2,601 - - 73 5 4,512 4,198 10 110 82 - - - 13 - 159 4 10 5 11 258
特別公務員に関するもの
警察官に関するもの 269 22 247 204 42 - - 1 - 252 224 - - - - - - - - 27 - 1 - - 17
その他の特別公務員に関するもの 9 - 9 5 4 - - - - 9 8 - - - - - - - - 1 - - - - -
教育職員関係
体罰 220 79 141 57 38 - - 46 - 187 84 - 90 71 - - - 5 - 8 - - - - 33
その他 904 62 842 427 398 - - 17 - 839 767 4 15 9 - - - 5 - 46 1 - - 10 65
学校におけるいじめ 2,977 33 2,944 902 2,035 - - 7 - 2,933 2,902 4 4 2 - - - 3 - 11 3 4 - - 44
刑務職員関係 84 26 58 53 3 - - 2 - 42 13 - - - - - - - - 24 - 5 - - 42
その他の公務員に関するもの
国家公務員に関するもの 79 31 48 37 6 - - - 5 38 24 - - - - - - - - 9 - - 5 - 41
地方公務員に関するもの 205 31 174 104 70 - - - - 191 159 2 1 - - - - - - 29 - - - - 14
その他 23 3 20 15 5 - - - - 21 17 - - - - - - - - 4 - - - 1 2
私 人 間 の 侵 犯 事 件
11,711 774 10,937 6,081 4,620 - 128 68 40 10,892 9,625 31 398 17 - - - 4 5 535 233 3 40 23 819
人身売買
売春関係 3 - 3 1 2 - - - - 3 3 - - - - - - - - - - - - - -
児童ポルノ 5 - 5 2 3 - - - - 5 5 - - - - - - - - - - - - - -
暴行・虐待
家族間におけるもの
夫の妻に対するもの 794 1 793 317 474 - - 2 - 793 793 - - - - - - - - - - - - - 1
妻の夫に対するもの 44 - 44 16 28 - - - - 44 44 - - - - - - - - - - - - - -
親の子に対するもの 672 13 659 342 314 - - 3 - 663 657 2 - - - - - - - 4 - - - - 9
子の親に対するもの 202 - 202 76 124 - - 2 - 200 200 - - - - - - - - - - - - - 2
その他 246 2 244 108 136 - - - - 245 242 - - - - - - - 1 2 - - - - 1
家族間以外のもの 365 9 356 180 176 - - - - 364 353 - 1 - - - - 1 - 10 1 - - - 1
私的制裁 3 - 3 1 2 - - - - 3 3 - - - - - - - - - - - - - -
医療関係 142 8 134 80 54 - - - - 140 122 - - - - - - - - 17 1 - - 2 2
人身の自由関係
67 5 62 49 13 - - - - 62 57 - - - - - - - - 5 - - - - 5
その他 9 - 9 2 7 - - - - 9 9 - - - - - - - - - - - - - -
社会福祉施設関係
施設職員によるもの 99 9 90 48 41 - - 1 - 94 81 1 - - - - - - - 12 - - - 3 5
その他 20 1 19 12 7 - - - - 19 16 - - - - - - - 1 2 - - - - 1
村八分 11 - 11 3 8 - - - - 11 11 - - - - - - - - - - - - - -
差別待遇
女性 20 1 19 9 10 - - - - 19 18 1 - - - - - - - - - - - 1 1
高齢者 32 - 32 15 17 - - - - 32 31 - - - - - - - - 1 - - - - -
障害者 180 17 163 102 60 - - 1 - 169 145 6 - - - - - 1 - 13 4 - - 3 11
同和問題 263 42 221 15 7 - 125 34 40 99 19 1 20 5 - - - - - 8 4 - 40 3 164
アイヌの人々 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
外国人 73 1 72 45 23 - 2 2 - 64 55 2 - - - - - - - 5 - - - 5 9
HIV感染者等 16 - 16 8 8 - - - - 15 15 - - - - - - - - - - - - - 1
刑を終えた人々 13 2 11 9 2 - - - - 11 9 - - - - - - - - 2 - - - - 2
ホームレス 2 - 2 2 - - - - - 1 - - - - - - - - - 1 - - - - 1
性的指向 6 - 6 6 - - - - - 6 6 - - - - - - - - - - - - - -
性自認 10 4 6 5 1 - - - - 9 5 - - - - - - - - 4 - - - 1 1
その他 98 10 88 49 39 - - - - 88 70 1 - - - - - - - 16 - - - 1 10
参政権関係 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
プライバシー関係
報道機関 5 - 5 3 2 - - - - 5 5 - - - - - - - - - - - - - -
インターネット 2,062 437 1,625 1,425 193 - 1 6 - 1,569 819 - 297 1 - - - - - 299 155 - - 1 493
私事性的画像記録 232 123 109 88 15 - - 6 - 186 33 - 78 - - - - - - 19 56 - - - 46
相隣間 206 7 199 142 56 - - 1 - 206 192 1 - 2 - - - - - 10 1 - - - -
その他 275 16 259 150 109 - - - - 268 232 1 - - - - - 2 1 26 6 - - - 7
集会,結社及び表現の自由関係 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
信教の自由関係 7 - 7 2 5 - - - - 7 7 - - - - - - - - - - - - - -
教育を受ける権利関係 7 - 7 2 5 - - - - 7 7 - - - - - - - - - - - - - -
労働権関係
不当労働行為 13 - 13 8 5 - - - - 13 13 - - - - - - - - - - - - - -
労働基準法違反 73 1 72 33 39 - - - - 73 72 1 - - - - - - - - - - - - -
その他 1,778 27 1,751 980 769 - - 2 - 1,757 1,705 - - 1 - - - - - 46 2 3 - 1 21
住居・生活の安全関係
自力執行 8 - 8 6 2 - - - - 7 7 - - - - - - - - - - - - - 1
相隣間
小公害 273 1 272 79 192 - - 1 - 271 269 - - - - - - - - 1 1 - - - 2
その他 630 18 612 254 358 - - - - 621 589 11 - 6 - - - - 1 13 1 - - 2 9
公害 14 - 14 6 8 - - - - 14 14 - - - - - - - - - - - - - -
不動産 179 - 179 67 112 - - - - 178 178 - - - - - - - - - - - - - 1
その他 749 6 743 406 337 - - - - 744 737 1 - 1 - - - - - 5 - - - - 5
強制・強要
家族間におけるもの
夫の妻に対するもの 257 - 257 87 170 - - - - 257 257 - - - - - - - - - - - - - -
妻の夫に対するもの 34 - 34 10 24 - - - - 34 34 - - - - - - - - - - - - - -
親の子に対するもの 124 1 123 62 61 - - - - 124 123 - - - - - - - - 1 - - - - -
子の親に対するもの 82 - 82 27 54 - - 1 - 82 82 - - - - - - - - - - - - - -
その他 156 - 156 64 92 - - - - 155 155 - - - - - - - - - - - - - 1
セクシュアル・ハラスメント 448 3 445 243 196 - - 6 - 447 443 - - 1 - - - - - 3 - - - - 1
ストーカー 185 - 185 97 88 - - - - 184 184 - - - - - - - - - - - - - 1
ホームレスに対するもの
性的指向に対するもの 1 - 1 - 1 - - - - 1 1 - - - - - - - - - - - - - -
性自認に対するもの 2 - 2 2 - - - - - 2 2 - - - - - - - - - - - - - -
その他 370 8 362 253 109 - - - - 367 354 1 - - - - - - 1 10 1 - - - 3
組織又は多衆の威力関係 16 - 16 15 1 - - - - 16 16 - - - - - - - - - - - - - -
交通事故 10 - 10 4 6 - - - - 10 10 - - - - - - - - - - - - - -
犯罪被害者 6 - 6 5 1 - - - - 6 6 - - - - - - - - - - - - - -
その他 114 1 113 59 54 - - - - 113 110 1 2 - - - - - - - - - - - 1
総 計
総 計計件 名
通告 告発
人権擁
護委員
の通報
新 受
北朝鮮当局によって拉致された被害者等に
対するもの
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
関係
総数 旧受
申 告
職員受計援助
処 理
侵犯
事実
不存在侵犯
事実
不明確勧告
委員受 調整
未済
関係行
政機関
の通報
情報 移送
措置
猶予打切り措 置
要請 説示
(別添3)
しろまる 設置目的
しろまる 各年の利用件数と主な相談内訳(平成27年〜平成31年・令和元年)
1 暴 行 ・ 虐 待 1,727 1,591 1,108 1,006 905
2 強 制 ・ 強 要
( セ ク ハ ラ ・ ス ト ー カ ー 除 く )
1,413 1,202 1,068 839 783
3 セ ク ハ ラ 378 368 338 496 649
4 ス ト ー カ ー 306 321 346 395 365
5 そ の 他 17,299 15,824 16,796 16,415 14,626
合 計 ( 件 ) 21,123 19,306 19,656 19,151 17,328
しろまる 利用件数の推移(平成22年〜平成31年・令和元年)
31年・元年
注) 1から4までの件数は,女性を被害者とする相談の件数を計上している。
平成29年 平成30年
平成31年
令和元年
男女共同参画社会基本法の制定を踏まえ,性差別に起因する人権侵害の被害者
の救済を推進するため,平成12年7月3日,全国50の法務局・地方法務局の
本局に,専用相談電話「女性の人権ホットライン」を設置し,夫やパートナーか
らの暴力,職場等におけるセクシュアル・ハラスメント,ストーカー行為等様々
な女性の人権問題をめぐる相談を専門的に受ける体制を整備したもの。また,相
談者の利便の更なる向上のため,平成18年4月から電話番号を全国共通として
いる。
「女性の人権ホットライン」統計資料
平成27年 平成28年
相談内訳
23,289
22,008 21,720 21,119 21,033 21,123
19,306 19,656 19,151
17,32805,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
22年 23年 24年 25年 26年 27年 28年 29年 30年 31年・
元年
(別添4)
しろまる 設置目的
しろまる 各年の利用件数と主な相談内訳(平成27年〜平成31年・令和元年)
相談内訳
1 暴 行 ・ 虐 待 674 624 511 482 459
2 い じ め 3,657 3,020 3,029 2,955 2,858
3 体 罰 等 2,857 2,703 2,756 2,714 2,722
4 そ の 他 18,007 16,970 15,826 15,200 15,091
合 計 ( 件 ) 25,195 23,317 22,122 21,351 21,130
しろまる 利用件数の推移(平成22年〜平成31年・令和元年)
31年・元年
注) 1の件数は,18歳未満の者を被害者とする相談の件数を計上している。
「子どもの人権110番」統計資料
子どもをめぐる人権問題は,周囲の目につきにくいところで起こっていること
が多く,被害者である子ども自身も,身近な人に話しにくいといった状況がある
ことから,子どもが発する信号をいち早くキャッチし,その解決に導くため,全
国50の法務局・地方法務局に,専用相談電話「子どもの人権110番」を設置
し,いじめ,体罰,児童虐待等をはじめとした子どもの人権問題をめぐる相談を
専門的に受ける体制を整備したもの。また,相談者の利便の更なる向上のため,
平成18年4月から電話番号を全国共通とし,平成19年2月からフリーダイヤ
ル化している。
平成27年 平成28年 平成29年 平成30年
平成31年
令和元年
27,710
25,914
28,384 28,847
25,711 25,195
23,317 22,122 21,351 21,13005,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
22年 23年 24年 25年 26年 27年 28年 29年 30年 31年・
元年
(別添5)
しろまる 設置目的
しろまる インターネット人権相談受付窓口(https://www.jinken.go.jp/)
しろまる インターネット人権相談種類別構成比の比較
しろまる インターネット人権相談の特色
若年層を中心に広く電子メールサービス等インターネットが利用されている状況を踏ま
え,相談しやすい体制の強化を目的として,平成19年2月から,インターネットを利用
した人権相談受付システムを導入,運用している。
「インターネット人権相談」統計資料
インターネット人権相談は,24時間いつでもフォームに入力して送ることができ,比
較的気軽に人権相談のできる手段である。
人権相談の類型別内訳を見ると,他の手段も含めた全人権相談と比較して,プライバ
シー関係の相談の割合が高い(平成31年及び令和元年では,全人権相談におけるプライ
バシー関係の相談の割合は4.6%)。これは,プライバシー侵害,名誉毀損といったイ
ンターネット上の人権侵害情報に関する相談について,インターネット人権相談を利用す
ることが多いためと思われる。
そのほか,相談者の年齢構成で見ると,高齢者の割合が極めて低く,18歳未満の児童
の割合が高い。
なお,平成31年及び令和元年の特徴として,暴行・虐待に関する相談が前年から
61.4%増加の857件となった。
受付窓口は,子ども用(SOS-eメール)と大人用に分かれており,それぞれ,パソ
コンと携帯電話に対応している。また,平成28年3月からは英語及び中国語に対応した
受付窓口を整備し,さらに,平成29年3月からはスマートフォンに対応した窓口を設置
し,より利用しやすい環境の整備に努めている。
プライバシー
関係
1,683
18.8%
労働権関係
1,290
14.4%
住居・生活
の安全関係7127.9%
暴行・虐待5315.9%
強制・強要6066.8%
学校におけ
るいじめ4314.8%
教育職員関係4394.9%差別待遇4074.5%
その他
2,858
31.9%
平成30年
平成30年
インターネット
人権相談件数
8,957件
プライバシー
関係
1,874
17.5%
労働権関係
1,298
12.1%
住居・生活
の安全関係
1,080
10.1%
暴行・虐待8578.0%
強制・強要8347.8%
学校におけ
るいじめ5985.6%
教育職員関係5124.8%差別待遇4173.9%
その他
3,217
30.1%
平成31年・令和元年
平成31年・
令和元年
インターネット
人権相談件数
10,687件
- 1 -
(別添6)
インターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件について
1 法務省の人権擁護機関の取組について
法務局・地方法務局では,人権相談等により人権侵害の疑いのある事案を認
知した場合には,人権侵犯事件として調査救済手続を開始し,被害の実効的救
済に取り組んでいる。
インターネット上に流通する人権侵害情報は,一般に伝播性が高く,重大な
被害を生じさせるおそれがあることから,特に迅速な対応に努めている。具体
的には,人権擁護機関が被害者からの被害申告を受けた場合,速やかに該当す
るインターネット上の人権侵害情報を確認し,被害者自らが被害の回復・予防
を図ることが困難な事情がないか検討した上で,
そのような事情がない場合は,
被害者に対し,プロバイダ等への当該侵害情報の削除依頼等の具体的な方法に
ついて助言するなどの「援助」を行っている。これは,表現の自由との関係な
どから,国の機関の関与なく被害を回復することが可能であればその方が望ま
しいとの考え方によるものである。
一方,被害者自らが被害を回復することが困難な事情が存在すれば,必要に
応じて被害者や関係者から事情を聴くなどの調査を行うとともに,法令・判例
に照らして違法性を判断し,名誉毀損やプライバシー侵害などとして違法性が
認められる場合には,人権擁護機関から,プロバイダ等に対して当該情報の削
除を要請している。
なお,人権擁護機関に被害の相談があった場合の具体的な対応については,
下図のとおりである。
インターネットの書き込みによる人権侵害について
まず,最寄りの法務局へ人権相談を
名誉毀損罪等により犯人の処罰を希望される場合
最寄りの警察署,各都道府県警本部の
サイバー犯罪相談窓口等をご案内します
書き込みの削除を希望される場合
法務局職員又は人権擁護委員が
詳しくお話をおうかがいします
プロバイダ等への削除依頼等の
具体的方法を助言します
相談者ご自身で削除依頼をすることが困難である場合 又は 相談者ご自身で削除依頼をしたが応じてもらえなかった場合
法務局において,当該書き込みの違法性を判断した上で,プロバイダ等へ削除要請をします
(ただし,強制力を伴わない任意の措置にとどまります)
相談者ご自身で削除依頼をされる場合
法務局の削除要請にも応じてもらえなかった場合
裁判所に削除の仮処分命令の申立てをする方法をご案内します
(法務局が申立てを代行することはできません。相談者ご自身で申立てをするのが困難であれば,弁護士等に相談していた
だくことが考えられます。資力の乏しい方は,日本司法支援センター(法テラス)の民事法律扶助(弁護士等による無料法律
相談や弁護士費用等の立替え)をご利用いただくことができます。)
インターネットの書き込みにより,人権侵害の被害にあわれた場合
- 2 -
2 平成31年及び令和元年における人権侵犯事件の動向について
(1) 新規救済手続開始件数について
平成31年及び令和元年中に法務局・地方法務局において新たに救済手続
きを開始したインターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件は,前
年の1,910件を75件上回る1,985件(3.9%増加)となってお
り,平成29年に次いで,過去2番目に多い件数である。
なお,このうち,プライバシー侵害事案が1,045件,名誉毀損事案が
517件となっており,この両事案で全体の78.7%を占めている。
(2) 処理件数について
平成31年及び令和元年中に法務局・地方法務局において処理したインタ
ーネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件は,前年の1,805件を
件上回る1,877件(4.0%増加)である。平成29年に次いで,過去
2番目に多い件数である。
当該事件の処理は,被害者に対しインターネット上の人権侵害情報を被害
者自らが削除依頼する方法を教示するなどの
「援助」
が半数近くを占めるが,
当機関がプロバイダ等に対し人権侵害情報の削除を求めるなどの「要請」を
行った件数は,395件であった。
658 636 6719571,429
1,736
1,909
2,217
1,910 1,985340318 355600739
1,041
1,189
1,1418491,045
211 179 227
342 345
485 50174666751705001,000
1,500
2,000
2,500
H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31・R1
インターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件(開始)
インターネット上の人権侵犯事件
うちプライバシー侵害
うち名誉毀損
- 3 -
(3) 具体的事例について
当機関が平成31年及び令和元年に措置を行った人権侵犯事件には以下の
ような事例があった。
[事例1] インターネット上のプライバシー侵害及び名誉毀損
インターネット上の動画投稿サイトに,小学生の息子の動画が複数掲載
されているとして,母親から法務局に相談がされた事案である。
法務局で調査した結果,当該動画は,公共交通機関内での被害者の様子
が無断で撮影されたものであり,被害者のプライバシーを侵害し,又は名
誉・信用等を毀損するものであると認められた。また,当該動画は,動画
投稿アプリに掲載されたものが拡散したものであることも判明した。
法務局から,本件動画投稿サイト及び動画投稿アプリの各運営会社に対
し,削除要請を行ったところ,当該動画の多くが削除された。
(措置:
「要
請」)[事例2]インターネット上のプライバシー侵害
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)において,なりす
ましアカウントにより被害者の氏名,住所,電話番号,学校名及び顔の画
像等が掲載されているとして,法務局に相談がされた事案である。
法務局で調査した結果,当該アカウントは,そもそもなりすましにより
作成されたものであることに加え,被害者のプライバシーを侵害するもの
と認められたため,法務局からSNSの運営会社に対し削除要請を行った
ところ,当該アカウントは削除されるに至った。
(措置:
「要請」)[事例3]インターネット上における識別情報の摘示
インターネット上の掲示板に,特定地域を同和地区であると摘示すると
ともに,当該地区の住民への差別を助長させるような内容が書き込まれて
いる旨,法務局に情報提供がされた事案である。
680 624 6738951,224
1,604
1,789
2,285
1,805
1,8777962 97
140 167214326568419 3950500
1,000
1,500
2,000
2,500
H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31・R1
インターネット上の人権侵害情報に関する人権侵犯事件(処理)
インターネット上の人権侵犯事件
措置「要請」
- 4 -
法務局で調査した結果,
当該書き込みは,
特定地域の地域住民に対して,
不当な差別的取扱いをすることを助長又は誘発するおそれがあり,人権擁
護上問題があると認められたため,法務局からサイト管理者に対して削除
要請を行ったところ,当該書き込みが削除された。
(措置:
「要請」)3 さいごに
法務局・地方法務局では,上記のようにインターネット上の人権侵害情報に
関する相談や被害申告等に対応するため,法務局での面談による相談窓口のほ
か,電話(みんなの人権110番:0570-003-110)
,インターネ
ット(https://www.jinken.go.jp/)でも相談に応じている。
また,インターネットによる被害を未然に防ぐため,
「インターネットを悪
用した人権侵害をなくそう」を強調事項の一つとして掲げ,各種人権啓発活動
を実施しており,啓発教材「あなたは大丈夫?考えよう!インターネットと人
権(三訂版)
」や,啓発ビデオ「インターネットと人権〜加害者にも被害者に
もならないために〜」等の啓発資料を法務省ホームページ等
(http://www.moj.
go.jp/JINKEN/jinken88.html)で公開している。
加えて,青少年を中心に深刻化するインターネットを悪用した人権侵害への
取組として,中学生などを対象に携帯電話会社等の実施するスマホ・ケータイ
安全教室と連携した人権教室を実施するなどの人権啓発活動に取り組んでい
る。

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