1地域再犯防止推進モデル事業
(再犯防止等推進調査地方公共団体委託事業)
募集要領
(平成31年度事業開始分)
※(注記) 本事業は,平成 31 年度政府予算案が成立し,示達されることを前提に実施するものです。
1 調査の趣旨
平成 28 年 12 月に施行された「再犯の防止等の推進に関する法律」
(以下「再
犯防止推進法」という。
)では,国だけでなく,地方公共団体においても,再犯
の防止等に関する施策を実施する責務があること(第4条第2項)や,国及び地
方公共団体は,
再犯の防止等に関する施策が円滑に実施されるよう,
相互に連携
を図らなければならないこと(第5条)のほか,再犯防止対策は,起訴猶予等と
なった者や満期釈放者も含む従来よりも広範となる
「犯罪をした者等」
を対象に
実施されるべきものであること(第2条)が規定されている。
再犯防止推進法の責務を果たすためには,検察庁,刑務所や少年院などの矯正
施設,
保護観察所といった刑事司法関係機関の取組を充実させるとともに,
刑事
司法手続を終えた犯罪をした者や非行少年に対する支援や保護司・協力雇用主等
の民間協力者による再犯防止に向けた活動の促進など,
国と地方公共団体が連携
して取組を進める必要がある。
こうしたことから「再犯防止推進計画(平成 29 年 12 月閣議決定)
」では,
「地
方公共団体による再犯の防止等の推進に向けた取組の支援」
として,
地方公共団
体において取組を進める上で必要となる地域の実態把握や地域のネットワーク
の構築等の取組を支援すること等が盛り込まれた。
以上の背景を踏まえ,1地域の実態調査と支援策(事業計画)の策定,2当該
計画に基づくモデル事業の実施,
3モデル事業の効果検証といった一連の取組を
地域再犯防止推進モデル事業として実施することを通じて,
国と地方公共団体の
協働による地域における効果的な再犯防止対策の在り方について検討するため,
本調査を実施する。
2 募集内容
公募により広く提案を募集する。応募された提案の中から,法務省に設置する
審査委員会において,本要領に定める評価方針に基づく審査を行い,優れたもの
を選定し,応募者へ調査を委託する。なお,複数のテーマについて応募すること
もできる。
募集する取組のテーマは次のとおりとする。
(1) 性犯罪をした者等の再犯防止に関する取組
ア 問題意識
性犯罪は,被害者の人格や尊厳を著しく侵害する犯罪であり,国民が身近2に感じる犯罪として,社会的関心が高い。また,社会に対して強い不安感を
与える 13 歳未満の年少者に対する性犯罪の被害者数は,平成 22 年以降,
1,100 人前後で推移し,取り分け,近年,重大事件が発生するなど社会問題
ともなっている。こうしたことを踏まえ,性犯罪をした者に対する再犯防止
対策を強化する必要がある。
イ 取組例
○しろまる 刑事司法関係機関と地域の保健医療・福祉機関等とが連携し,性犯罪を
した者の抱える問題性に応じた支援の実施に関する取組
(2) 犯罪をした者等の居場所の確保に関する取組
ア 問題意識
満期出所者のうち約5割が適当な帰住先が確保されないまま刑務所を出
所しており,こうした者の再犯期間は他と比較して短いことなどから,社会
において安定した生活を送るための住居を確保することは,
再犯防止を図る
上で重要である。
一方で,住居等を確保する上で,身元保証人を得ることが困難なことや家
賃滞納歴があること等により民間家賃保証会社を利用できないなどにより,
適当な住居の確保が難しいなどの課題がある。
イ 取組例
○しろまる 公営住宅への入居における特別な配慮の実施に向けた取組
○しろまる 空き家等の既存の住宅ストック等を活用するなどした多様な自立準備
ホームの更なる確保に向けた取組
(3) 薬物依存のある犯罪をした者等の再犯防止に関する取組
ア 問題意識
覚せい剤取締法違反による検挙者数は毎年1万人を超え,
新たに刑務所に
入所する受刑者の約3割が覚せい剤取締法違反によるものであり,
2年以内
再入率も 19.5 パーセントと他の罪名と比較して高い。
薬物事犯者は,犯罪をした者等であると同時に,薬物依存症の患者である
場合もあるため,刑事司法関係機関における指導だけでなく,薬物依存症は
適切な治療・支援により回復することができる病気であるという認識を持た
せ,回復に向けた治療・支援を継続的に受けることが必要であるため,刑事
司法関係機関と地域の保健医療・福祉関係機関,回復支援施設や民間団体等
と連携した取組が必要である。
イ 取組例
○しろまる 刑事司法関係機関と地域の保健医療・福祉機関,回復支援施設や民間団
体等とが連携した薬物依存からの依存症回復に向けた支援の実施に関す
る取組3(4) 犯罪をした者等の特性に応じた効果的な支援の実施等のための取組
ア 問題意識
再犯防止のための指導等を効果的に行うためには,
犯罪や非行の内容はも
とより,
対象者一人一人の経歴,性別,性格,年齢,心身の状況,
家庭環境,
交友関係,経済的な状況等の特性を適切に把握した上で,その者にとって適
切な指導等を選択し,
一貫性を持って継続的に働き掛けることが重要である。
一方で,
対象者の特性や処遇ニーズを的確に把握するためのアセスメント
機能や,刑事司法関係機関や民間団体等における指導・支援の一貫性・継続
性が不十分であるなどの課題がある。
イ 取組例
○しろまる 例えば,ストーカー加害者,暴力団関係者,少年・若年者,女性,発達
上の課題を有する者,
ギャンブル・アルコール等への依存を有する者など,
その特性に応じた支援等を要する者を対象とする取組
(5) その他犯罪をした者等の再犯防止に向けた取組
高齢又は障害のある犯罪をした者等に対する支援,
犯罪をした者等の就労の
確保など,上記(1)から(4)までに該当しないものの,地域において支援等を実
施することにより効果が期待できる取組。
3 事業期間
平成 31 年度から平成 32 年度までとする。
4 委託期間
契約締結日から平成 33 年3月 31 日までとする。
5 委託の要件と事業の進め方
(1) モデル事業実施計画書の策定・・・要件1
契約締結日から3月以内に地域の実態を踏まえた具体的な支援の内容等を
盛り込んだモデル事業実施計画書を策定し,その実施に係る経費積算資料とと
もに法務省に提出すること。
なお,提出するモデル事業実施計画書は,事前に当該事業の実施に関係する
機関・団体等と協議し,その同意を得たものでなければならない。
【進め方の例】
ア 刑事司法関係機関から提供された情報や地方公共団体が保有する行政資
料の分析,対象者本人のヒアリング等の方法により,地域における犯罪をし
た者や非行少年の実態や支援ニーズを把握する。
イ 犯罪をした者等の処遇や支援等の実績がある刑事司法関係機関や社会福
祉法人の職員,
保護司や協力雇用主等の更生保護関係者からのヒアリング等4により,支援する側のニーズを把握する。
ウ 対象者の支援ニーズ及び支援者のニーズ等の地域の実態を踏まえた取組
の実施に向け,国・地方公共団体・民間団体等の関係者で検討・協議し,具
体的な支援内容やその実施体制等を盛り込んだモデル事業実施計画書を策
定する。
※(注記) 別途地域の実態を把握している場合には,ア,イの調査は不要である。
※(注記) 提出されたモデル事業実施計画書の内容とその経費の妥当性について
法務省で審査し,これを承認した後に,当該モデル事業を実施することに
なる。
(2) 地域再犯防止推進会議(仮称)の設置等・・・要件2
モデル事業の実施に当たり,当該地方公共団体において,関係する地方公共
団体の職員,刑事司法関係機関の職員,支援等を行う民間団体等の職員等を構
成員とする当該地域における「地域再犯防止推進会議(仮称)」(以下「推進会
議」という。
)を設置し,これを定期的に開催することにより,事業の実施状
況・課題の把握や対策の検討等を行うこと。
なお,推進会議の運営等は受託者となる地方公共団体が行うこと。
※(注記) 推進会議は,上記(1)の地域の実態調査・モデル事業実施計画書の策定
など,モデル事業の検討段階から設置することもできる。
(3) モデル事業と中間評価の実施・・・要件3
ア モデル事業は,モデル事業実施計画書の承認を受けた後,速やかに開始す
ること。
イ 受託者となる地方公共団体は,
定期的に地域再犯防止推進会議を開催する
こと等により,モデル事業の実施状況やその課題の把握,解決策の検討を行
うなど,適切に事業の進捗を管理すること。
ウ モデル事業開始後,
おおむね6月経過後に法務省と協力してモデル事業の
中間評価を行うこと。そのため,受託者となる地方公共団体は,モデル事業
の実施経過報告や法務省職員による実地調査の受入等を行うこと。
※(注記) 中間評価の結果によっては,
法務省からモデル事業の内容の見直し等を
求めることがある。
エ ウの中間評価の結果を踏まえたモデル事業実施計画書の見直しを行うと
ともに,平成 32 年度中に実施する効果検証の手法等を盛り込んだ効果検証
実施計画書を作成し,その内容について法務省と協議,承認を得ること。
(4) 効果検証の実施・・・要件4
ア 受託者となる地方公共団体は,
効果検証実施計画書に基づく効果検証を平
成 32 年度中に実施し,
平成 32 年度末までに本事業の成果等を地方再犯防止
推進計画又は調査結果報告書として取りまとめ,法務省に提出すること。5 イ 効果検証の実施に当たっては,
モデル事業の実施状況を取りまとめるだけ
でなく,地域再犯防止推進会議の開催等により,モデル事業の実施を通じて
明らかとなった運用上の課題とその解決策について検討すること。
なお,解決策等の検討に当たっては,客観性を担保する観点から可能な限
り学識経験者等から意見を聴取することが望ましい。
(5) 成果の普及への協力・・・要件5
受託者となる地方公共団体は,法務省の求めに応じ,事例集の作成,他の地
方公共団体への調査内容の発信,各種会議等での発表等,モデル事業の成果の
普及に協力すること。
6 応募主体
地方公共団体とする。
7 応募方法について
(1) 次の応募書類を提出すること。
ア 企画提案書 ・・・・・・様式1
イ 事業スケジュール ・・・・・・様式2
ウ 経費積算の根拠資料
(旅費,
謝金規程の写しなど,
積算根拠が分かるもの)
エ 取組内容の補足資料(任意)
(2) 応募書類の提出期間
平成 31 年1月 31 日(木)から2月 25 日(月)17 時まで
(3) 応募書類の提出方法
応募書類は,次の提出先に電子メールにより送信すること。
なお,提出した後には,次の担当係まで電話で連絡すること。
【提出先及び問合せ先】
〒100−8977 東京都千代田区霞ヶ関1−1−1
法務省大臣官房秘書課企画再犯防止推進室
電話 03−3592−7007
E‐mail saihanboushi@moj.go.jp
saihanboushi@i.moj.go.jp (アドレスが lg.jp 以外の団体)
8 経費について
(1) 事業規模の目安
本事業の事業規模(予算)は,
「再犯防止等推進調査地方公共団体委託事業」
の予算の範囲内で決定する。
(2) 委託経費
本事業の実施に要する経費として認めるものは,人件費,諸謝金,旅費,借6料及び損料,印刷製本費,消耗品費,会議費,通信運搬費,雑役務費,消費税
相当額及び再委託費とする。
なお,本事業により措置する経費は,提案のあった取組の実施に直接必要な
経費であって,かつ,国からの調査委託費(国庫委託金)として措置すること
ができるものに限ることとし,以下の経費は対象から除く。
ア 各府省が所管する補助金,委託費等の支給を受けている取組に関する経費
イ 事業の実施に係る関係行政機関の恒常的職員に係る人件費
ウ 施設整備や修繕に係る経費その他恒久的な施設の設置費
(3) 再委託
実態調査や効果検証,モデル事業の一部について,受託者から他の団体等へ
再委託を行うことは可能である。
再委託しようとする場合,受託者は,地域再犯防止推進モデル事業委託要綱
(平成 30 年大臣官房秘書課長決定)に基づき,再委託承認申請書を法務省に
提出し,事前にその承認を得る必要がある。
なお,本事業の全部を一括して再委託することやモデル事業の進捗管理,協
議会の運営など本事業の主たる部分(事業における総合的企画,業務遂行管理
等)を再委託することはできない。
9 選定(審査)方法等について
(1) 選定方法
審査委員会において,
提出された企画提案書の内容について書類審査を行い,
当該審査結果に基づき,委託先を選定する。その際,提案内容の一部のみを採
択することや実施内容の充実を前提に採択することがある。
なお,審査に当たっては,企画提案者に対して,審査に必要な資料の追加提
出やヒアリングを求めることがある。
(2) 審査の観点
ア 本調査の趣旨との整合性
提案された取組の内容が本調査の趣旨に合っており,国として取り扱うべ
き重要なものであること。
イ 取組の先導性,汎用性
現在取り組まれている事例は少ないものの,多くの地域でも応用可能であ
るなど,今後他の地域へ広がることが期待されるものであり,調査で得られ
た成果が,
国又は他の地域における取組を進める上で参考となることが期待
できること。なお,平成 30 年度に受託した地方公共団体におけるモデル事
業の内容と類似の企画提案は,先導性や汎用性が乏しいものとされる可能性
があることに留意すること。
ウ 取組の実現性
取組を実施するための計画が適切に立てられていること,また,必要な経
費が適切に見積もられており,
必要な実施体制の構築が予定されていること。7また,
モデル事業の効果の検証や成果の可視化等の方策が具体的に想定さ
れているか。
※(注記) 本要領2(1)記載の性犯罪をした者等の再犯防止に関する取組に係る企
画提案について,アからウまでの審査の観点を踏まえた上で具体的になさ
れている場合には,加点評価する。
(3) 選定結果の通知
選定終了後,企画提案者に選定結果を通知するとともに,法務省ホームペー
ジにおいて,選定された地方公共団体の名称と調査名を公表する。
10 契約手続について
提出された企画提案書の審査の結果,契約予定者となった地方公共団体は,
平成 31 年度から平成 32 年度までの事業計画書等の書類を作成の上,
法務省に提
出し,その内容を基に契約条件について調整する。
なお,契約金額については,事業計画書等の内容を勘案して決定するので,
企画応募の際に提示する金額
(見積額)
と必ずしも一致するものではない。
また,
契約条件等が合致しない場合には契約締結を行わない場合がある。
※(注記) 契約締結の際に必要な書類
・事業計画書 ・・・様式3
・委託事業経費内訳書 ・・・様式4
・再委託に係る委託事業経費内訳(再委託を行う場合のみ)
・・・様式4
・委託事業経費(再委託に係るものを含む)の積算根拠資料(謝金単価表,旅
費支給規程,見積書など) 11 委託費の支払い等
(1) 法務省は,毎年度,委託費の額の確定後,受託者の請求により支払う。ただ
し,受託者が事業の完了前に必要な経費の支払を受けようとする場合は,概算
払請求書を法務省に提出し,法務省が必要であると認めたときに,契約額の全
部又は一部を概算払するものとする。
なお,概算払の請求は,予算決算及び会計令(昭和 22 年勅令第 165 号)第
58 条ただし書に基づく財務大臣との協議が調った日以降とする。
(2) 受託者は,委託費の支払の額が確定したときには,地域再犯防止推進モデル
事業委託要綱(平成 30 年3月 29 日法務省大臣官房秘書課長決定)に規定する
事業完了(廃止等)報告書と併せて本事業の実施に係る支出を明らかにした書
類を法務省に提出すること。
12 事業完了の報告等
(1) 事業完了(廃止等)報告
ア 本事業を受託した地方公共団体は,毎年度,事業完了報告書とともに,帳
簿及び支出を証する書類の写しを法務省に提出すること。8また,事業の廃止,解除又は中止(以下「廃止等」という。
)の承認を受
けたときは,事業完了報告書に代えて,事業廃止等報告書を法務省に提出す
ること。
イ 事業完了報告書の提出は当該年度に当省の指定する日までに,
事業廃止等
報告書の提出は,事業が廃止等したその日から起算して 30 日を経過した日
又は当該年度の3月 14 日のいずれか早い日までとすること。
(2) 成果物
平成 32 年度末までに本事業の成果等を地方再犯防止推進計画又は調査結果
報告書として取りまとめ,成果物として法務省に提出すること。
また,成果物以外に本事業の実施に伴い作成した資料(例:事業実施マニュ
アル,
活動事例集,
モデル事業評価指標,
広報啓発資料など)
がある場合には,
当該資料も提出すること。
なお,法務省は,本事業の内容の一部又は全部を法務省ホームページにて公
表することを予定している。各地方公共団体のホームページにも掲載するなど,
成果の普及に努めること。