民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律
法務局における遺言書の保管等に関する法律
法務省民事局 平成30年11月
遺留分減殺請求権の行使によって当然に物権的効果が生ずるとされている現行
の規律を見直し,遺留分権の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生
ずるものとしつつ,受遺者等の請求により,金銭債務の全部又は一部の支払につき
裁判所が期限を許与することができるようにする。
第4 遺留分制度に関する見直し
1 配偶者短期居住権の新設
配偶者が相続開始の時に遺産に属する建物に居住していた場合には,遺産
分割が終了するまでの間,無償でその居住建物を使用できるようにする。
2 配偶者居住権の新設
配偶者の居住建物を対象として,終身又は一定期間,配偶者にその使用を
認める法定の権利を創設し,遺産分割等における選択肢の一つとして,配偶者
に配偶者居住権を取得させることができるようにする。
1 自筆証書遺言の方式緩和
自筆でない財産目録を添付して自筆証書遺言を作成できるようにする。
2 遺言執行者の権限の明確化
相続人以外の被相続人の親族が,被相続人の療養看護等を行った場合には,一
定の要件のもとで,相続人に対して金銭請求をすることができる制度(特別の寄与)
を創設する。
特別の寄与の制度創設に伴い,家庭裁判所における手続規定(管轄等)を設け
る。
相続させる旨の遺言等により承継された財産については,登記等の対抗要件なく
して第三者に対抗することができるとされていた現行法の規律を見直し,法定相続
分を超える権利の承継については,対抗要件を備えなければ第三者に対抗するこ
とができないようにする。
改正法の骨子
3 公的機関(法務局)における自筆証書遺言の保管制度の創設
(遺言書保管法)
平成25年9月 嫡出でない子の相続分についての最高裁違憲決定
平成25年12月 上記決定を踏まえた民法改正
→ 国会審議等において,民法改正が及ぼす社会的影響に対
する懸念や配偶者の保護の観点からの相続法制の見直しの
必要性等について問題提起
平成26年1月〜平成27年1月 相続法制検討WTにおける検討(法務省)
検討経緯
平成27年2月 法務大臣による諮問
平成27年4月 部会における調査審議開始
平成28年6月 中間試案(決定)
平成28年7月〜9月末日 パブリックコメント(中間試案)
平成29年7月 追加試案(決定)
平成29年8月〜9月22日 パブリックコメント(追加試案)
平成30年1月16日 部会(第26回会議)における要綱案決定
平成30年2月16日 総会における要綱決定・法務大臣への答申
平成30年7月6日 参議院本会議において法案の可決・成立
(7月13日 公布)
1 配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示推定規定)
婚姻期間が20年以上の夫婦間で,居住用不動産の遺贈又は贈与がされたときは,
持戻しの免除の意思表示があったものと推定し,被相続人の意思を尊重した遺産分
割ができるようにする。
2 遺産分割前の払戻し制度の創設等
相続された預貯金債権について,生活費や葬儀費用の支払,相続債務の弁済など
の資金需要に対応できるよう,遺産分割前にも払戻しが受けられる制度を創設する。
3 遺産の分割前に遺産に属する財産を処分した場合の遺産の範囲
相続開始後に共同相続人の一人が遺産に属する財産を処分した場合に,計算上生
ずる不公平を是正する方策を設ける。
○しろまる 施行期日
2019年(平成31年)7月1日(原則)
ただし, 第3の1 2019年(平成31年)1月13日
第1 2020年(平成32年)4月 1日
第3の3 2020年(平成32年)7月10日
新民法1037条-1041条関係
新民法1028条-1036条関係
新民法903条4関係
新民法909条の2関係
新民法906条の2関係
新民法968条関係
新民法1007条,1012条-1016条関係
新民法1042条-1049条関係
新民法899条の2関係
新民法1050条関係
新家事事件手続法216条の2-216条の5関係
昭和55年以来約40年ぶりの大幅見直し
第2 遺産分割等に関する見直し
第1 配偶者の居住権を保護するための方策
第6 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策
第5 相続の効力等に関する見直し
審議経過
第3 遺言制度に関する見直し