若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム
2018 年2月 20 日
若年者への消費者教育の推進に関する
4省庁関係局長連絡会議決定
(改定:2018 年7月 12 日)
1.趣旨
民法の成年年齢引下げに向けた検討が進められていることを踏まえ、若年者
の消費者被害の防止・救済のため、また、自主的かつ合理的に社会の一員として
行動する自立した消費者の育成のための効果的な消費者教育の方策として、実
践的な消費者教育の実施が喫緊の課題となっている。成年年齢引下げを見据え、
実践的な消費者教育の実施を推進するため、関係省庁が連携し、2018 年度から
2020 年度の3年間を集中強化期間とする「若年者への消費者教育の推進に関す
るアクションプログラム」を推進する。
2.実践的な消費者教育の取組の推進
(1)高等学校等における消費者教育の推進
1 学習指導要領の徹底【文部科学省】
・ 学習指導要領の趣旨の周知・徹底を図り、社会科や家庭科を中心に各教科
等において充実した消費者教育を推進する(高等学校では、学習指導要領
に基づき、公民科において、消費者に関する問題を指導するほか、家庭科
において、消費生活の現状と課題や消費者の権利と責任、消費生活と生涯
を見通した経済の計画、契約、消費者信用及びそれらをめぐる問題や消費
者の自立と支援などを指導する。)。
2 消費者教育教材の開発、手法の高度化【消費者庁・金融庁・法務省・文部
科学省】
・ 実践的な能力を身に付ける消費者教育教材を活用した授業の実施を推進
する。実施に当たっては、消費者庁で 2016 年度に作成した高校生向け消
費者教育教材「社会への扉」を全国の学校に提供し、活用を促す(2017 年
度は、徳島県内の全高校で「社会への扉」を活用した授業を実施し、その
効果を検証しており、
2020 年度に全国で同様の授業を実施することを目指
して働きかけを行う)。(参考1)
・ 実践的な消費者教育の推進に当たっては、法務省で行っている法教育の取
組と必要な連携を行う。
・ アクティブ・ラーニングの視点からの手法等(参加型授業、模擬体験)を
用いた消費者教育により、実践的な知識の習得を推進する。
3 実務経験者の学校教育現場での活用【消費者庁・金融庁・文部科学省】
・ 実務経験者(消費生活相談員、弁護士、司法書士、金融経済教育の実務者1等)の有する知識や経験を活用するため、学校での外部講師としての効果
的な活用を推進する。
(活用の推進のため、独立行政法人国民生活センター等で研修を行うなど
して、消費者教育コーディネーターを育成し、都道府県等への配置を促進
する。)(参考2)
4 教員の養成・研修【消費者庁・文部科学省】
・ 若年者の消費者教育分科会による、大学の教員養成課程、現職教員研修、
教員免許更新講習等における消費者教育に関する取組についての取りま
とめ
(平成 30 年6月 29 日)
を受けた消費者教育推進会議における審議(平成 30 年7月9日開催)を踏まえ、別紙のとおり、教員による消費者教育の
指導力向上のための取組を推進する。
(2)大学等における消費者教育の推進
1 大学、
専門学校等と消費生活センターとの連携、
消費者被害防止に関する
情報提供、取組の普及啓発等を行う。
【消費者庁・文部科学省】
2 大学、
専門学校等と地元の消費生活センターとの連携を支援し、
出前講座
等を実施する。
【消費者庁】
3 大学における講義実施等を通じた正しい金融知識の普及【金融庁】
(3)その他
1 全ての都道府県、
政令指定都市において、
消費者教育の推進に関する法律
に基づく消費者教育推進計画・消費者教育推進地域協議会の策定・設置を目
指す。
【消費者庁】
(参考3)
2 大学等及び社会教育における消費者教育の指針を見直し、大学等及び教
育委員会に対して周知を行う。
【文部科学省】
3.関係省庁間の連携の推進
実践的な消費者教育の実施を効果的に推進するため、関係省庁は本アク
ションプログラムに沿って緊密に連携して各種取組を進めていく。
4.各施策の実施時期とフォローアップ(1)上記の各施策については、
いずれも各省庁が直ちに取り組むこととする。
(2)また、集中強化期間の間、各年度において、各施策の進捗状況のフォロー
アップを行い、本アクションプログラムの着実な実施を確保するとともに、
必要な施策について検討する。その際、必要に応じて消費者教育推進会議の
意見を聴く。
(以上)2教員による消費者教育の指導力向上のための
教職課程、免許状更新講習及び教員研修に関する取組
実践的な消費者教育の実施に向け、教員による消費者教育の指導力向上を図
るため、
教員の養成・研修について、
関係省庁
(消費者庁、
文部科学省、
金融庁、
法務省)等が連携し、以下の取組を推進する 1。1.教職課程における消費者教育の内容の充実
公民科及び家庭科の教職課程において、
消費者教育に関する内容についての
実践的な能力を生徒に対して指導する力が身に付けられるよう、
大学に対し
て促す。
(文部科学省)
公民科及び家庭科における消費者に関する問題又は消費生活に関する事項
について、
教職課程で共通的に修得すべき資質能力を示す参考指針の策定等
の際に取扱いを検討する。
(文部科学省)
2.有機的に連携した継続的な体制の構築
教職課程における教員養成から現職教員に対する研修等まで有機的に連携
した一貫した体制を構築するため、
大学と都道府県教育委員会等との間で協
議する場として教員育成協議会の活用を、
大学並びに都道府県及び指定都市
に対して促す。
(文部科学省)
教員育成協議会に消費者教育について協議する分科会等を設け、
地域の消費
者行政担当部局を参画させることの検討を促す。
(消費者庁、文部科学省)
同協議会に参画する地域の消費者行政担当部局を支援するため、
消費者教育
の知見など必要な情報を提供する。
(消費者庁、独立行政法人国民生活セン
ター)
3.現職教員に対する講習、研修における講座の開設数の増加及び内容の充実
(1)免許状更新講習に係る取組
1 「必修領域」での消費者教育の取扱い
消費者教育を含む成年年齢の引下げに関する事項については、
免許状更新
講習の「必修領域」において取り扱うことができることを都道府県教育委
員会等及び大学に周知する。
(文部科学省)
1 本文書中、特に定義のない文言については、消費者教育推進会議「若年者の消費者教育
分科会」取りまとめ(平成 30 年6月 29 日)中の用語の例による。
別紙32 「選択領域」での講座開設数の増加等
免許状更新講習の「選択領域」における消費者教育に係る講習の開設数を
増加させ、また、講習内容についても、実践的な消費者教育を指導できる
内容となるよう促す。
(文部科学省)
3 新たな主体による講座開設
全国の教員に講習の機会を提供できるよう独立行政法人国民生活センタ
ー等が講習開設者となることを検討し、実施に向けて取り組む。
(消費者
庁、独立行政法人国民生活センター)
(2)教員研修に係る取組
1 研修開設数の増加
中堅教諭等資質向上研修等の教員研修において、消費者教育を扱う研修
を積極的に実施するよう、都道府県教育委員会等に対し促す。
(文部科学省)2 独立行政法人国民生活センターや地域の消費生活センターによる研修の
実施と都道府県教育委員会等との連携強化
都道府県教育委員会等の意向を汲みつつ、独立行政法人国民生活センタ
ーや地域の消費生活センターによる、教員向けの研修の実施に向け取り
組む。
(消費者庁、独立行政法人国民生活センター)
都道府県教育委員会等が、上記研修を教育委員会の法定研修等としても
積極的に位置付けるよう促す。
(文部科学省)
3 教員研修用講義動画の配信
独立行政法人教職員支援機構による、消費者教育に関する教員研修用講
義動画の配信など、
各地域における研修の充実に向けた、
コンテンツの提
供及び周知等に取り組む。
(文部科学省、独立行政法人教職員支援機構)
4 学校管理職に対する研修の充実
学校管理職における外部人材の活用や教科間連携の重要性に関する理解
のため、研修が適切に行われるよう促す。
(文部科学省)
4.外部人材等の活用及び育成
(1)外部人材の活用に向けた働き掛け、情報提供
教職課程、免許状更新講習及び教員研修において、大学及び都道府県教育委
員会等が、必要に応じて、外部人材を講師として活用するよう促す。
(文部
科学省)4 各種の団体と協議して、
教育現場で活用できる外部人材について情報収集を
行い、収集した情報をもとに人材バンクを構築する。
(消費者庁)
(2)消費者教育コーディネーターの業務遂行のための環境整備
消費者教育コーディネーター2
の質的保証のために、コーディネーターとし
て適した者の情報収集を行い、例えば認定制度を設けるなどして、認定され
たコーディネーターを人材バンクに登録し情報発信する。
(消費者庁)
コーディネーターの設置に向け、
都道府県及び指定都市に対して財源に係る
支援を行う。
(消費者庁)
独立行政法人国民生活センターにおいて開催するコーディネーター育成講
座の内容を充実させ、
開催地及び開催回数を増やすことを検討し、
実施する。
また、
独立行政法人国民生活センターの講座の開設や相互の意見の交換の場
を設けるなど、
コーディネーター自身に対する研鑽の場の提供について検討
し、実施する。
(消費者庁)
大学及び教育委員会等に対し、
外部人材との連携を行うコーディネーターの
制度を周知し、活用を促進する。
(文部科学省)
2 消費者教育を担う多様な関係者や場をつなぐため、間に立って調整をする役割を担う者
(消費者教育の推進に関する基本的な方針(平成 25 年6月 28 日閣議決定、平成 30 年3
月 20 日変更)参照)5161730
47 47
2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度182547 47
2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
すべての都道府県で全高校で実施
「社会への扉」を活用した授業の実施
⇒実践的な能力を身に付ける
すべての都道府県で配置
徳島県内の全高校で
「社会への扉」を活用した
授業を実施
(全56校/約6900人)
・「社会への扉」を活用した授業を実施する
教員向けの研修の実施、講師派遣
・消費者行政強化交付金を活用した育成・配置の促進
・国民生活センターによる研修を活用した育成
・消費者教育教材「社会への扉」の提供
16都道府県で配置済み(2017年4月1日現在)
・関係省庁(金融庁、法務省、文部科学省)との連携
・徳島県での実証結果について情報共有(活用手法等)都道府県数都道府県数
集中強化期間
集中強化期間
参考1
参考2
消費者教育コーディネーターの育成・配置
⇒学校教育現場における外部講師の活用(実務経験
者の有する知識や経験を有効活用)
※(注記)消費者教育コーディネーターとは、消費者教育を担う多様な関係者や
場をつなぐため、間に立って調整をする役割を担う者。
目標
目標6計画策定済及び地域協議会設置済 青森
計画策定済 秋田 岩手
地域協議会設置済 山形 宮城
新潟 福島
富山 群馬 栃木
石川 山梨 埼玉 茨城
福井 岐阜 長野 東京 千葉
島根 鳥取 兵庫 京都 滋賀 愛知 静岡 神奈川
山口 広島 岡山 大阪 奈良 三重
福岡 和歌山
長崎 佐賀 大分 愛媛 香川
熊本 宮崎 高知 徳島
鹿児島
沖縄
北海道
【現状】46都道府県で策定済み
香川
(平成30年1月現在)
計画策定済及び地域協議会設置済 青森
計画策定済 秋田 岩手
地域協議会設置済 山形 宮城
新潟 福島
富山 群馬 栃木
石川 山梨 埼玉 茨城
福井 岐阜 長野 東京 千葉
島根 鳥取 兵庫 京都 滋賀 愛知 静岡 神奈川
山口 広島 岡山 大阪 奈良 三重
福岡 和歌山
長崎 佐賀 大分 愛媛 香川
熊本 宮崎 高知 徳島
鹿児島
沖縄
北海道
【現状】45都道府県で設置済み
香川
(平成30年1月現在)
○しろまる消費者教育推進計画の策定状況
○しろまる消費者教育推進地域協議会の設置状況
大阪
和歌山
参考3
【注記】なお、平成30年3月末時点において、
・香川県でも計画策定済み ⇒協議会未設置県は大阪府のみ
・和歌山県でも協議会設置済み と確認。 (計画は47都道府県で策定済み)7若年者への消費者教育の推進に関する4省庁関係局長連絡会議について
平成 30 年 2 月 20 日
4省庁申し合わせ
1.趣旨
民法の成年年齢引き下げに向けた検討が進められていることを踏まえ、若年
者の消費者被害の防止・救済のため、また、自主的かつ合理的に社会の一員と
して行動する自立した消費者の育成のための効果的な方策として、実践的な消
費者教育の実施が喫緊の課題となっている。
この取組を推進するにあたり、関係省庁が緊密に連携して取組を推進するた
め、
「若年者への消費者教育の推進に関する4省庁関係局長連絡会議」を設置
し、若年者における効果的な消費者教育の実施、関係者の取組推進のための方
策等について検討する。
2.会議構成員
消費者庁 消費者庁次長
文部科学省 生涯学習政策局長
初等中等教育局長
法務省 大臣官房司法法制部長
金融庁 総括審議官
3.担当課長会議構成員
4省庁関係局長会議の下に、担当課長会議を置く。
消費者庁 消費者教育・地方協力課長
文部科学省 生涯学習政策局 男女共同参画学習課長
初等中等教育局 教育課程課長
教職員課長
法務省 大臣官房司法法制部 司法法制課長
金融庁 総務企画局 政策監理官
4.庶務
消費者庁消費者教育・地方協力課において処理する。
( 別 添 )