統一適性試験の在り方に関する
調査検討結果報告
平成28年3月15日
中央教育審議会 大学分科会
法科大学院特別委員会
法科大学院全国統一適性試験の在り方に関する
検討ワーキング・グループ
資料2-3
目次
1.統一適性試験の趣旨、現状と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
(1)統一適性試験の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
(2)統一適性試験をはじめとした入学者選抜を巡る現状と課題・・・・・・ 2
2.見直しの基本的考え方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
3.改善方策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
(1)法学既修者の選抜について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
(2)法学未修者の選抜について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
(3)その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
4.実施スケジュール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
5.おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
参考資料集・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
委員名簿、審議経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
1.統一適性試験の趣旨、現状と課題
(1)統一適性試験の趣旨
しろまる 法科大学院の入学者選抜における統一的な適性試験(以下、
「統一適性試験」という。
)は、公
平性、開放性、多様性という法科大学院の基本理念に基づき、すべての出願者について、法律
学の学識ではなく、法科大学院における学修の前提として要求される資質を判定する試験とし
て設計され、平成15年から導入されたものである。
(これまでの検討の経緯等)
(注記)法科大学院(仮称)構想に関する検討会議の報告書(H12)・「法科大学院の入学者選抜に当たっては、公平性、開放性、多様性を確保すべき」・「法科大学院における法学教育の完結性を前提とし、入学試験の開放性を徹底するならば、法学既修者
として入学を希望する者と法学未修者として入学を希望する者とについて同一内容の試験を行うこと
が考えられる。その内容は、性質上、法律学についての知識を試すのではなく、法科大学院における
履修の前提として要求される共通の資質、すなわち判断力、思考力、分析力、表現力などを試すこと
を目的とする適性試験となろう」・「2すべての出願者について適性試験を行い、法学既修者として出願する者には併せて法律科目試験を
行うとする考え方、3法学未修者として入学を希望する者には適性試験、法学既修者として入学を希
望する者には法律科目試験を行うとする考え方があり得る」ところ、
「公平性、開放性、多様性とい
う法科大学院に関する基本理念からすれば、法学既修者として出願する者にも適性試験を課する方が
より適合的だと考えれば、3よりも2が妥当ということになる」
(注記)司法制度改革審議会意見書(H13)・「入学者選抜は、公平性、開放性、多様性の確保を旨とし、入学試験のほか、学部における学業成績や
学業以外の活動実績、
社会人としての活動実績等を総合的に考慮して合否を判定すべきである。
もっ
とも、これらをどのような方法で評価し、また判定に当たってどの程度の比重を与えるかは、各法科
大学院の教育理念に応じた自主的判断に委ねられる。」・
「多様なバックグラウンドを有する人材を多数法曹に受け入れるため、
法科大学院には学部段階での専
門分野を問わず広く受け入れ、また、社会人等にも広く門戸を開放する必要がある。」・
「入学試験においては、法学既修者であると否とを問わず、すべての出願者について適性試験(法律学
についての知識ではなく、
法科大学院における履修の前提として要求される判断力、
思考力、
分析力、
表現力等の資質を試すもの)を(中略)行うという方向で、各試験の在り方を検討する必要がある。
その際、適性試験は統一的なものとすることが適切である」
(注記)中教審答申「法科大学院の設置基準等について」
(H14)・「法学既修者と法学未修者との別を問わずすべての出願者について、適性試験を実施」・「法学未修者の選抜において、法律科目試験を実施することは認められない」
(注記)法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律第2条・「入学者の適性の適確な評価及び多様性の確保に配慮した公平な入学者選抜」1 (注記)専門職大学院設置基準第20条・「法科大学院は、入学者の選抜に当たっては、入学者の適性を適確かつ客観的に評価するものとする」
(注記)学校教育法第110条第2項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令第4条・「大学評価基準が、
(中略)次に掲げる事項について認証評価を行うものとして定められていること
ロ 入学者の選抜における入学者の多様性の確保並びに適性及び能力の適確かつ客観的な評価に関
すること」
(注記)中教審法科大学院特別委員会の報告書(H21)・「法科大学院の入学者選抜においては、
他の成績と合わせた総合判定の考慮要素の一つとして、
または、
もっぱら入学最低基準点として、適性試験を重要な判定資料として活用することが求められる」・「適性試験を課している制度趣旨を無意味にするような著しく低い点数の者を入学させないよう、統一
的な入学最低基準点を設定する必要」があり、
「総受験者の下位から15%程度の人数を目安」とす
る旨の指摘がなされている。
(2)統一適性試験をはじめとした入学者選抜を巡る現状と課題
しろまる 統一適性試験は、平成15年度の導入当初は、独立行政法人大学入試センターと適性試験委員
会(財団法人日弁連法務研究財団・社団法人商事法務研究会)の2機関により別々に実施され
ていた。その後、平成23年度から、現在のように適性試験管理委員会が唯一の実施機関とな
り、
「法科大学院全国統一適性試験」として年2回(5〜6月)実施されている。1
しろまる 平成27年度の統一適性試験受験者の実人数は、適性試験管理委員会が唯一の実施機関となっ
た平成23年度と比較して、半数程度に減少している。2
しろまる また、法科大学院志願者数(同一者の複数校受験を含む)は、この10年間で、4分の1程度
に減少している。3
しろまる 法科大学院入学者数もこの10年間で4割弱に減少している。そのうち、特に、社会人や法学
未修者については、いずれも2割程度となっており、減少が顕著である。41統一適性試験の実施状況
・実施場所:全国14カ所(ただし3カ所は1回のみ)
(平成27年度)
・受験料:16,200 円(平成27年度)
・平成28年度は、法科大学院志願者が著しく減少している現状等に鑑み、統一適性試験を継続的・安定的
に実施するとともに試験会場数を維持・拡大すべく(2014 年より1回のみ実施としていた金沢、岡山会場
について2回に拡大)
、受験料を21,600 円に見直し2統一適性試験受験者の実人数: 7,249 人(H23) → 3,621 人(H27)
(参照:制度創設時(H15)大学入試センターの試験35,521 人、適性試験委員会の試験18,355 人)3法科大学院志願者数: 40,341 人(H18) → 10,370 人 (H27)4・法科大学院入学者 5,784 人(H18) → 2,201 人 (H27)
うち、社会人 1,925 人(H18) → 405 人 (H27)
うち、法学未修者 3,605 人(H18) → 770 人 (H27)
うち、法学部以外の者 1,634 人(H18) → 351 人 (H27)
(注記) 「社会人」、「法学未修者」、「法学部以外の者」の計上では、重複を排除していない。
・学部時代に法学以外の学問を履修した者の割合 34.5%(H16) → 15.9%(H27)
・法科大学院の定員充足率 69.5%(H27)2 しろまる 法科大学院入学者のうち、法学未修者(以下、
「未修者」という。
)と法学既修者(以下、
「既修
者」という。
)の割合は、平成18年度においては、未修者が62%、既修者が38%と、未修
者の割合の方が大きかったが、
平成23年度より逆転し、
平成27年度では、
未修者が35%、
既修者が65%となっている。5
しろまる 経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない
者にも法曹資格取得のための途を確保するため、
平成23年に司法試験予備試験が導入された。
司法試験予備試験を経て司法試験を受験する者には統一適性試験が課されていない。予備試験
の受験者数は増加傾向にあり、特に、学部在学中の受験者は一貫して増加し、合格者に占める
割合は4割程度となっている。
しろまる 入学者選抜における競争倍率については、平成27年3月の認証評価に関する文部科学省通知
(学校教育法第百十条第二項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令の一
部を改正する省令の施行等について)において、2倍という目安が示されるとともに、同通知
において、
この目安を下回っている場合には、
「競争的環境の下での入学者選抜が十分に機能し
ているとは言いがたいなど、
入学者の質の保証への影響が懸念される」
とされている。
しかし、
平成27年度の法科大学院入学者選抜全体の競争倍率は1.87倍にとどまったため、文部科
学省では、各法科大学院に入学者の質の保証を更に促すため、平成29年度予算から「公的支
援見直し強化・加算プログラム」における基礎額設定の指標に、競争倍率を導入することとし
ている。(「法科大学院公的支援見直し強化・加算プログラム」の見直しについて(平成27年
12月11日文部科学省高等教育局長通知)参照)
しろまる 一方で、法科大学院入学後の修了者の質の保証のために、各法科大学院において進級判定や修
了認定の厳格化が進められており、標準修業年限修了率は、平成18年度が81%であったと
ころ、平成26年度は68%に低下している。また、法科大学院が共通して客観的かつ厳格に
進級判定等を行う仕組である共通到達度確認試験(仮称)については、平成30年度を目途に
本格実施に移行すべく、
法科大学院関係者を中核としつつ、
法曹三者の理解と協力を得ながら、
本年3月には第2回試行試験が実施されたところである。
しろまる 本ワーキング・グループにおける審議のために、文部科学省が平成27年10月に実施した各
法科大学院に対する調査では、統一適性試験の各法科大学院入学者選抜における有用性につい
て、未修者については肯定的・否定的の双方の回答がほぼ同数であった一方で、既修者につい
ては否定的な回答が大半であった。また、各法科大学院の実施する第1次日程の入学者選抜に
おける統一適性試験の考慮割合
(第1部から第3部)
は、
未修者では半数以上の法科大学院(62%)
で3割未満
(一方、
5割以上であったのは11%)、既修者では大半の法科大学院
(93%)
で3割未満(一方、5割以上であったのは5%)であった。さらに、統一適性試験の実施が、
志願者確保の上で障害になっている面があるとする回答が大半の法科大学院からあった。(22〜24頁参照)5未修者・既修者の割合 H18 未修 62.3%・既修 37.7%
H23 未修 47.1%・既修 52.9%
H27 未修 35.0%・既修 65.0%3 しろまる 本ワーキング・グループが実施した適性試験管理委員会からのヒアリングでは、統一適性試験
スコアと法科大学院成績・司法試験の合否に一定の相関関係がある旨の報告があった。6
2.見直しの基本的考え方
しろまる 統一適性試験の見直しに当たっては、公平性、開放性、多様性といった法科大学院制度創設時
の基本理念を堅持すべきである。
しろまる 一方で、法科大学院志願者がこの10年間で4分の1程度に減少するなど、法科大学院入学者
選抜を取り巻く状況は制度創設当時とは大きく変化している。特に、社会人や未修者の入学者
が2割程度にまで減少し、未修者と既修者の割合は、制度創設時から逆転して、既修者が多数
を占めるようになっている。このため、こうした入学者選抜を取り巻く状況の変化を踏まえつ
つ、法科大学院創設時の基本理念、特に入学者の多様性の確保の観点からの見直しが必要であ
る。また、現在では、ほとんどの法科大学院が、未修者と既修者について別枠で選抜を実施し
ていることや、教育成果が上がっている法科大学院を中心に入学者選抜に関する一定のノウハ
ウが蓄積されていると考えられる点も考慮すべき要素である。さらに、結果として、法科大学
院志願者の増加にもつながることが望ましい。
しろまる 法科大学院の入学者選抜に当たっては、入学者の質の適切な確保、保証が必要である。平成1
3年の司法制度改革審議会意見書で、法科大学院における履修の前提として要求される資質と
された判断力、思考力、分析力、表現力等の資質についての適確な判定が必要である。
しろまる 統一適性試験が法科大学院の入学者選抜に対してこれまで果たしてきた役割や、統一適性試験
に対する各法科大学院や適性試験管理委員会等の関係者の様々な見解も踏まえて、適切な結論
を出すことが必要である。
3.改善方策
しろまる 適性試験管理委員会からのヒアリングにおける指摘のとおり、統一適性試験は、公平性、開放
性、多様性という法科大学院の基本理念に基づき、平成15年の第1回目の実施以来、法科大
学院における履修の前提として要求される資質(論理的判断力、分析的判断力、長文読解力、
表現力)を試す全国一律の試験として、12年間にわたり、試験の専門的知見に基づく調査・
分析、翌年度の試験へのフィードバックを継続的に行いながら実施され、これまで、プロセス
としての法曹養成の中核的機関である法科大学院への入学者の質を確保するための統一的な最6適性試験管理委員会からのヒアリング概要(27.10.29)
・統一適性試験スコア成績と法科大学院における学業成績との間には相関関係がある。
・司法試験合格者の統一適性試験スコアは高い。また、司法試験に早く合格する者の統一適性試験スコア
は高い。
・経営面では、法科大学院志願者の急激な減少を受け、経費削減の努力を行っているものの、平成26年
度試験より収支がマイナスである。4 低基準点としての役割を含め、未修者と既修者とを問わず、一定の役割を果たしてきたと考え
られる。
しろまる しかし、法科大学院入学者選抜を取り巻く状況が制度創設当時とは大きく変化していることを
踏まえると、以下の改善方策を実施することが望ましいと考える。なお、現在、ほとんどすべ
ての法科大学院が、未修者と既修者について別枠で選抜を実施している状況に鑑み、それぞれ
について改善方策を提示する。
(1)法学既修者の選抜について
しろまる 既修者選抜における統一適性試験の有用性については、適性試験管理委員会から、既修者に対
しても司法試験の合否等との相関関係がある旨の指摘がなされた一方で、各法科大学院に対す
る調査では、他の試験方法による代替可能性や、受験生の負担感、法科大学院志願者の大幅な
減少による最低基準点の必要性の低下といった理由から、大半の法科大学院が否定的な見解で
あった。実際に、大半の法科大学院で、入学者選抜における考慮割合が3割未満にとどまって
いた。
しろまる こうした現状に加え、志願者数の大幅な減少により適性をみるための丁寧な入試が可能となっ
ていることや、教育成果が上がっている法科大学院を中心に入学者選抜に関する一定のノウハ
ウが蓄積されていると考えられること等に鑑みると、必ずしも統一適性試験を利用せずとも、
法律科目試験を通じて法科大学院における履修の前提として要求される資質を判定することは
一定程度可能と考えられる。
その上、
法律科目試験に加えて、
学部成績、
学業以外の活動実績、
志望理由書・自己評価書、保有資格や外国語の成績等を含めた能力証明資料等、各法科大学院
の工夫によって多様な観点を踏まえた入学者選抜とすることによって、法科大学院における履
修の前提として要求される資質を適確に判定することは可能と考えられる。
しろまる また、ほとんどすべての法科大学院が、現在、未修者と既修者について別枠で選抜を実施して
いる状況等に鑑みると、既修者について、統一適性試験を課さないこととしても、公平性とい
う基本理念に則した入学者選抜として許容されると考えられる。
しろまる このため、本ワーキング・グループとしては、既修者選抜において、統一適性試験の利用を各
法科大学院の任意とすべきであると考える。なお、利用を任意とした場合、受験者の減少によ
る収支上の問題から、そもそも実施主体が試験を実施することが困難となり、統一適性試験が
存続し得なくなる可能性があることについても考慮したが、この方向性で一致したところであ
る。
しろまる ただし、統一適性試験を利用しない場合は、各法科大学院において、受験者の適性を適確かつ
客観的に判定するため、以下の取組が必要である。また、認証評価機関において、各法科大学
院の取組を評価することにより、志願者の適性の適確かつ客観的な判定を担保すべきである。5 ・
法科大学院の履修の前提として要求される資質を判定するため、
法律科目試験においては、
特に憲法、民法、刑法に関する科目については、短答式問題のみでは不十分であり、論述
式問題を含め、資質を適確に判定しうる形で出題すること。
・また、資質を適確に判定するため、法律科目試験に加え、様々な方法・観点による入学者
選抜となるよう工夫すること(後述のガイドラインの一部を活用することも考えられる)
・各法科大学院においては、各選抜方法によりどのような能力を判定しているのかという点
に加え、出題の趣旨についても公表すること。
・また、選抜方法の特性を考慮しつつ、配点や採点基準等を、客観的な判定が可能となるよ
う明確に定めるとともに、これらについても可能な限り公表すること。
しろまる なお、統一適性試験の利用の有無にかかわらず、入学者の質の確保のため、各法科大学院にお
いて競争倍率を維持(目安:2倍)することが必要である。
(2)法学未修者の選抜について
しろまる 未修者選抜については、多様なバックグラウンドを有する人材を多数法曹に受け入れる観点か
ら、法律科目試験を課すことは不適切である。このため、法律科目試験以外の方法により、法
科大学院における履修の前提として要求される判断力、思考力、分析力、表現力等の資質を評
価することが必要である。
しろまる 未修者選抜における統一適性試験の有用性については、半数近くの法科大学院が肯定的な見解
であったことや、12年間にわたって実施されてきた統一適性試験の実績を踏まえると、各法
科大学院の指摘を踏まえた改善を図った上で、未修者選抜において引き続き統一適性試験を課
すことも一案としては考えられる。しかし、既修者選抜において各法科大学院の任意とした場
合には、統一適性試験について収支上の問題が生じることが推測されるため、未修者選抜のみ
統一適性試験を課すことは現実的な選択肢ではないと考えられる。
しろまる さらに、各法科大学院に対する調査においては、統一適性試験は、実施時期、実施場所、実施
回数等が受験生のニーズと比べ十分ではない、受験料が高額であるといったことに加え、社会
人経験者にとって得点を取りにくい試験であるといった理由から、志願者確保の障害になって
いるとの意見が大半の法科大学院から挙げられている。また、志願者数の減少により、適性を
みるための丁寧な入学者選抜を行うことが可能であり、必ずしも入学最低基準点を用いなくと
も対応可能と考えられるとの意見があった。加えて、半数以上の法科大学院において、入学者
選抜における統一適性試験の考慮割合が3割未満にとどまっており、教育成果が上がっている
法科大学院を中心に、適性試験以外の方法による入学者選抜についての一定のノウハウがすで
に蓄積されていると考えられる状況も鑑みると、未修者についても、統一適性試験の利用を法
科大学院の任意とすべきであると考える。その場合、各法科大学院において、統一適性試験を
利用せずとも、受験者の適性を適確かつ客観的に判定することが必要である。6 しろまる このため、文部科学省において、未修者の入学者選抜についてのガイドラインを策定し、各法
科大学院と法科大学院を対象とした各認証評価機関に提示し、認証評価機関において、当該ガ
イドラインを踏まえた各法科大学院の取組を評価することで、上記を担保すべきである。
しろまる ガイドラインに記載すべき主な内容としては、以下のようなものが考えられる。
・ 入学者選抜に当たっては、公平性、開放性、多様性の確保を旨として、履修の前提と
して要求される判断力、思考力、分析力、表現力等の資質を、適確かつ客観的に試す
ことが必要であること。
・ その際、各法科大学院が創意工夫をこらし、アドミッションポリシーに基づく入学者
選抜を行うことが重要であること。
・ 各法科大学院で統一適性試験の過去の問題を活用するなどして統一適性試験に類する
試験を作成することも考えられるが、
これらを実施しない場合は、
小論文・筆記試験、
口述・面接試験、書面審査(学部成績、活動実績、志望理由・自己評価、能力証明資
料等)等を組み合わせて実施するなど、各法科大学院の創意工夫により、履修の前提
として要求される資質を適確に判定することが必要であること。この際、口述・面接
試験については、単なる人物審査にとどまらず、コミュニケーション能力を含め履修
に必要とされる資質を判定することが望ましい。
・ 各法科大学院においては、各選抜方法によりどのような能力を判定しているのかとい
う点に加え、出題の趣旨についても公表することが必要であること。また、選抜方法
の特性を考慮しつつ、配点や採点基準等を、客観的な判定が可能となるよう明確に定
めるとともに、これらについても可能な限り公表することが必要であること。
・ 各試験において、複数の者により採点を実施するなど、客観性を高める工夫が必要で
あること。その際、法科大学院間での連携や、学外有識者の参画を求めることも考え
られる。
しろまる ガイドラインの在り方については、今後、各法科大学院の意見も踏まえながら、別途の会議体
において、より具体的な検討を行うことが必要である。
(3)その他
しろまる 各法科大学院においては、各選抜方法と入学後の成績や司法試験の合格状況等の相関関係を分
析し、入学者選抜における判定精度の向上に努めることが必要である。その際、これまでの入
学者選抜における統一適性試験の成績とその他の選抜方法との相関関係についても分析を行う
ことが望ましい。また、得られた結果を法科大学院間で共有する等により、入学者選抜の精度
の一層の向上に努めることが望ましい。
しろまる また、入学段階での選抜のみならず、入学後においても、厳格な進級判定や修了認定の実施が
必要である。7 4.実施スケジュール
しろまる 法科大学院の入学者選抜を巡る状況の変化に速やかに対応するため、改善方策の実施は可能な
限り早期であることが望ましい。一方で、改善方策の実施に当たっては、ガイドラインの作成
や、ガイドラインを踏まえた法科大学院や認証評価機関の準備のための期間を考慮することが
必要である。また、受験生が混乱することがないよう、各法科大学院の新たな入学者選抜の在
り方についての適切な周知期間の設定が必要である。特に、外国語の成績の提出を新たに求め
るような場合には十分な周知期間が必要と考えられる。仮に、各法科大学院で十分な周知期間
がとれないような実施スケジュールであると、短期間の周知に対応できず志願を取りやめる者
が出ることを懸念し、法科大学院が本来であれば望ましいと考える選抜方法を採用できない可
能性がある。
しろまる 今後、法科大学院特別委員会において本報告書について議論が行われること、ガイドラインに
ついては別途の会議体において検討が必要であること、一方で、夏頃から法科大学院の入学者
選抜が順次実施されていること、といった事情も考慮すると、実施時期としては、平成31年
度入学者選抜(平成30年夏頃から各法科大学院において順次実施)からということも考えら
れる。
いずれにせよ、
今後の法科大学院特別委員会における議論や適性試験管理委員会の見解、
法科大学院志願者数の動向等も踏まえ、適切な時期が各法科大学院で共通のものとして設定さ
れるべきである。
5.おわりに
しろまる 法科大学院を巡る状況は大きく変化しているが、質・量ともに豊かな法曹を養成するため、今
後とも法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度を発展させていくことが必要で
ある。このため、法科大学院創設時の基本理念を踏まえつつも、状況変化に対応した改革を早
急に実施していくことが求められる。
しろまる 「法科大学院は、
入学者の選抜に当たっては、
入学者の適性を適確かつ客観的に評価する」(専門職大学院設置基準第20条)ことが求められており、これまで各法科大学院が統一適性試験
を利用することで本規定は担保されてきたが、本規定は、
「適性を適確かつ客観的に評価する」
方法として、統一適性試験以外の方法も許容しているものと解せられる。
しろまる また、本ワーキング・グループとしては、適性試験管理委員会からのヒアリングを通じ、統一
適性試験がこれまで果たしてきた役割や改善の方向性を確認したところであるが、法科大学院
が直面している諸課題に対応していくためには、
早急な抜本的見直しが必要との認識に至った。
しろまる こうした点を踏まえ、本報告書では、入学者選抜の在り方について改革の方向性を提示したも
のである。8 9
参考資料集
統一適性試験に関する検討の経緯等 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 12
法科大学院入学者選抜等を巡る現状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 16
統一適性試験についての法科大学院の見解 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 22
実施団体等からの意見書等 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 3010 11
統一適性試験に関する検討の経緯等
法科大学院(仮称)構想に関する検討会議のまとめ(抜粋)
-法科大学院(仮称)の制度設計に関する基本的事項-
(平成12年9月 法科大学院(仮称)構想に関する検討会議)
3 法科大学院の基本的枠組み
(3)入学者選抜
(イ)入学試験
入学試験の基本的考え方としては、法科大学院における法学教育の完結性を前提とし、入学試験の開放性を徹底するなら
ば、法学既修者として入学を希望する者と法学未修者として入学を希望する者とについて同一内容の試験を行うことが考えら
れる。その内容は、性質上、法律学についての知識を試すのではなく、法科大学院における履修の前提として要求される共通
の資質、すなわち判断力、思考力、分析力、表現力などを試すことを目的とする適性試験となろう。・・・(中略)・・・他方、法学
既修者として入学を希望する者と法学未修者として入学を希望する者の入学前の学修状況の相違に配慮し、これらの者を分
けた試験を行うことも考えられる。その内容は、法学既修者として入学を希望する者については、法科大学院の基礎科目の履
修を省略できる程度の学力を備えているかどうかを判定する法律科目試験となり、法学未修者として入学を希望する者につ
いては、適性試験となる。
入学試験は、・・・(中略)・・・制度上の標準修業年限は3年とし、併せて短縮型として2年での修了を認める場合(併存制)に
は、1全ての出願者について適性試験を行い、入学を認めた上で、修業年限短縮希望者にはさらに修業年限短縮試験として
の法律科目試験を行うとする考え方、2全ての出願者について適性試験を行い、法学既修者として出願する者には併せて法
律科目試験を行うとする考え方(1との違いは、入学定員の中に法学未修者枠と法学既修者枠を予め設定するか否かにあ
る。)、3法学未修者として入学を希望する者には適性試験、法学既修者として入学を希望する者には法律科目試験(実質的
には適性試験の性質を持つことも考えられる。)を行うとする考え方(2と同様に、入学定員の中に法学未修者枠と法学既修
者枠を予め設定する。)があり得る。・・・(中略)・・・公平性、開放性、多様性という法科大学院に関する基本的理念からすれ
ば、法学既修者として出願する者にも適性試験を課する方がより適合的だと考えれば、3よりも2が妥当ということになる。
また、試験の実施の具体的方法については、各法科大学院の自主的判断に委ねるとの原則に立つとしても、法科大学院
が連合して試験内容を検討し、統一的に試験を実施する方式と、各法科大学院が独自の試験を実施する方式とが考えられる。
この点については、法科大学院が全国的規模の法曹養成機関として位置づけられる以上、客観性・公平性を確保する必要性
が特に高く、個別法科大学院の試験のみに委ねるのは適当ではないとの理由から、統一的に試験を実施する方式を支持す
る意見もあった。他方、法科大学院が学問の自由を基盤として多様な学風をもつ大学に設置される大学院として構想されるこ
とにかんがみ、各大学の判断に委ねることを基本とするべきであるとの意見もあった。12 司法制度改革審議会意見書(抜粋)
-21世紀の日本を支える司法制度-
(平成13年6月12日 司法制度改革審議会)
III 司法制度を支える法曹の在り方
第2 法曹養成制度の改革
2 法科大学院
(2)法科大学院制度の要点
ウ 入学者選抜
入学者選抜は、公平性、開放性、多様性の確保を旨とし、入学試験のほか、学部における学業成績や学業以外の活動実
績、社会人として活動実績等を総合的に考慮して合否を判定すべきである。もっとも、これらをどのような方法で評価し、また
判定に当たってどの程度の比重を与えるかは、各法科大学院の教育理念に応じた自主的判断に委ねられる。
入学試験においては、法学既修者であると否とを問わず、全ての出願者について適性試験(法律学についての知識ではな
く、法科大学院における履修の前提として要求される判断力、思考力、分析力、表現力等の資質を試すもの)を行い、法学既
修者に対して修業年限の2年への短縮を認める法科大学院にあっては、法学既修者としての入学を希望する者には適性試
験に加えて法律科目試験(法科大学院の基礎的な法律科目の履修を省略できる程度の基礎的な学識を備えているかどうか
を判定するもの)を行うという方向で、各試験の在り方を検討する必要がある。その際、適性試験は統一的なものとすることが
適切であるが、法律科目試験についても、統一的に実施することが考えられる。適性試験や法律科目試験に加えて小論文や
面接等を組み合わせるかどうか、組み合わせる場合の配点比率をどうするか等は、各法科大学院の自主的判断に委ねられ
る。
法科大学院の設置基準等について(答申)(抜粋)
(平成14年8月5日 中央教育審議会)
2 設置基準関係
(3) 入学者選抜
法科大学院の入学者選抜に当たり、公平性、開放性、多様性の確保を旨として、各法科大学院においては、アドミッション・
ポリシー(入学者受入方針)を明確化し、入学試験のほか、幅広い分野における学業成績や学業以外の活動実績、社会人と
しての活動実績等を総合的に考慮する。
入学者選抜方法のうち入学試験に関しては、法学既修者と法学未修者との別を問わずすべての出願者について、適性試
験(法律学についての学識ではなく、法科大学院における履修の前提として要求される判断力、思考力、分析力、表現力等の
資質を試すもの)を実施し、それに加えて、法学既修者として出願する者に対しては、各法科大学院の自主性に基づき、法律
科目試験(法科大学院の基礎的な法律科目の履修を省略できる程度の基礎的な学識を備えているかどうかを判定するもの)
を実施する。
法律科目試験については、法律学の基礎的な学識を有しているかどうかの判断は各法科大学院が行うべきものであるが、
各法科大学院が、独自の法律科目試験に代えて、若しくは独自の法律科目試験と併せて、又は第一段階選抜の方法として、
共同で法律科目試験を実施し、その成績を法学既修者としての判定資料として用いることも考えられる。なお、法学未修者の
選抜において、法律科目試験を実施することは認められない。13 法科大学院の入学者選抜に関する主な規定
だいやまーく 法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律(平成14年法律第139号)
(法曹養成の基本理念)
第2条 法曹の養成は、国の規制の撤廃又は緩和の一層の進展その他の内外の社会経済情勢の変化に伴い、より自由かつ
公正な社会の形成を図る上で法及び司法の果たすべき役割がより重要なものとなり、多様かつ広範な国民の要請にこたえ
ることができる高度の専門的な法律知識、幅広い教養、国際的な素養、豊かな人間性及び職業倫理を備えた多数の法曹が
求められていることにかんがみ、国の機関、大学その他の法曹の養成に関係する機関の密接な連携の下に、次に掲げる事
項を基本として行われるものとする。
一 法科大学院(学校教育法(昭和22年法律第26号)第99条第2項に規定する専門職大学院であって、法曹に必要な学識
及び能力を培うことを目的とするものをいう。以下同じ。)において、法曹の養成のための中核的な教育機関として、各法科
大学院の創意をもって、入学者の適性の適確な評価及び多様性の確保に配慮した公平な入学者選抜を行い、少人数による
密度の高い授業により、将来の法曹としての実務に必要な学識及びその応用能力(弁論の能力を含む。次条第3項におい
て同じ。)並びに法律に関する実務の基礎的素養を涵養するための理論的かつ実践的な教育を体系的に実施し、その上で
厳格な成績評価及び修了の認定を行うこと。
二・三 (略)
だいやまーく 専門職大学院設置基準(平成15年文部科学省令第16号)
(法科大学院の入学者選抜)
第19条 法科大学院は、入学者の選抜に当たつては、文部科学大臣が別に定めるところにより、多様な知識又は経験を有す
る者を入学させるよう努めるものとする。
第20条 法科大学院は、入学者の選抜に当たつては、入学者の適性を適確かつ客観的に評価するものとする。
だいやまーく 学校教育法の一部を改正する法律等の施行について(平成15年3月31日文科高第162号)
第4 専門職大学院設置基準(平成15年文部科学省令第16号)
(7) 法科大学院
3 法科大学院は、多様性の確保等、入学者の選抜に当たっては、多様な知識又は経験を有する者を入学させるよう努め
るものとするとともに、入学者の適性を適確かつ客観的に評価するものとしたこと。(第19条及び第20条)
なお、この規定は、新たな法曹養成制度の理念の実現に向けてのものであることを踏まえ、各大学においては、その重
要性を十分認識し、実効性ある措置を講じるなど不断の努力を図る必要があることに留意されたいこと。
法科大学院認証評価に関する規定
だいやまーく 学校教育法第110条第2項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令(平成16年文部科学省令第7号)
だいやまーく 認証評価機関における大学評価基準(抜粋)
(法科大学院に係る法第110条第2項各号を適用するに際して必要な細目)
第4条 第1条第1項及び第3項に定めるもののほか、専門職大学院設置基準第18条第1項に規定する法科大学院(以下この項及び次項において単に
「法科大学院」という。)の認証評価に係る認証評価機関になろうとする者の認証の基準に係る法第110条第3項に規定する細目のうち、同条第2項
第1号に関するものは、次に掲げるものとする。
一 大学評価基準が、第1条第3項の規定にかかわらず、次に掲げる事項について認証評価を行うものとして定められていること。
ロ 入学者の選抜における入学者の多様性の確保並びに適性及び能力の適確かつ客観的な評価に関すること。
大学評価・学位授与機構 大学基準協会 日弁連法務研究財団
第6章 入学者選抜等
6-1 入学者受入
6-1-4:重点基準
入学者選抜に当たっては、法科大学院において
教育を受けるために必要な入学者の適性及び能
力等が適確かつ客観的に評価されていること。
解釈指針6-1-4-1
入学者選抜に当たっては、適性試験を用いて、
法科大学院における履修の前提として要求され
る判断力、思考力、分析力及び表現力等が、適
確かつ客観的に評価されていることが必要である。
解釈指針6-1-4-2
入学者選抜において、適性試験の成績が適切
に利用されていることを確保するため、次の各号
に掲げる措置が講じられていることが必要である。
(1)適性試験において著しく低い点数の者を入
学させないよう、各法科大学院において、入学
最低基準点を設定する必要がある。
その際、入学最低基準点については、総受
験者の下位から15%を基本とする。
(2)入学最低基準点は、各法科大学院の募集
要項等に明示するなど、受験者に周知するこ
とが必要である。
解釈指針6-1-4-3
法学未修者に対して、法律学の知識及び能力
の到達度を測ることができる試験(法学検定試験
等)の結果を加点事由とすることは適切ではない。
4 学生の受け入れ
4-2 学生の受け入れ方針に基づき、入学者の
適性を適確かつ客観的に評価するための選抜方
法及び選抜手続を設定し、事前に広く社会に公
表しているか。(「専門職」第20条)。
4ー3 入学者選抜に当たっては、学生の受け入
れ方針・選抜基準・選抜方法に適った学生を適確
かつ客観的な評価によって受け入れているか。
(「専門職」第20条)。
【留意事項】
学生の受け入れに当たっては、以下の点に留
意する。
(1)法学未修者入試に際して、法学の知識の有
無が分かる資料によって配点していないこと。
4-4 学生募集方法及び入学者選抜方法は、法
科大学院の入学資格を有するすべての志願者に
対して、入学者選抜を受ける公正な機会を等しく
確保したものとなっているか。(「専門職」第20
条)。
4-5 適性試験の結果に基づき入学者の適性
の適確かつ客観的な評価を行い、著しく適性を欠
いた学生の受け入れを行っていないか。
【留意事項】
適性試験の得点下位15%を基本とした最低基
準点を下回る者を受け入れないことをあらかじめ
公表し、該当者を受け入れていないことに留意す
る。
第2分野 入学者選抜2-11.評価基準
にじゅうまる 入学者選抜において、適切な学生受入方針、選抜基準及
び選抜手続が明確に規定され、適切に公開された上で、選抜
が適切に実施されていること。
(注)
1 「適切な選抜基準及び選抜手続」とは、学生受入方針に
適合しており、かつ公平、公正であるとともに、法曹養成とい
う法科大学院の目的に照らして、入学者の適性を適確に評
価することのできる選抜基準及び選抜手続をいう。・・・(後
略)・・・。
2 「適切に実施されている」とは、選抜基準及び選抜手続
に従って入学者選抜が実施され、入学者の適性が適確に評
価されて、法曹養成という目的に照らし、当該法科大学院へ
の入学を認めることが相当な者が選抜されていることをいう。
3.解説
(2)「法曹養成」という目的に照らし、当該法科大学院への入
学を認めることが相当な者を選抜することが求められるが、具
体的に選抜基準・選抜手続においてどのような要素をどのよ
うにして試すかは、各法科大学院の創意工夫に委ねられる。
ただし、適性試験は選抜において適切に使用するものとする。
6.評価判定の視点
(4)学生受入方針、選抜基準及び選抜手続が適切な時期に
適切な方法で公開されているか。
(7)適性試験の結果につき、選抜において適切に使用されて
いるか。14 法科大学院教育の質の向上のための改善方策について(報告)(抜粋)
(平成21年4月17日 中央教育審議会法科大学院特別委員会)
第1 入学者の質と多様性の確保
2. 適性試験の改善
<適性試験の在り方>
法科大学院の入学者選抜では、適性試験、小論文、面接などの総合判定で合否が決定されているが、適性試験の成績と
法科大学院の成績の間に強い相関関係は認められないため、年々、適性試験の成績の配点の比重を下げる法科大学院が
増えている。
適性試験は、法科大学院入学時に、法科大学院における学修の前提として要求される法律以外の能力を測るものであり、
法律そのものの試験ではないので、必ずしも法科大学院の成績や司法試験の成績と相関関係が強くないが、そこで測定され
る一定程度の判断力・思考力・分析力・表現力等は高度専門職業人として備えるべき資質・能力である。このため、法科大学
院の入学者選抜においては、他の成績と合わせた総合判定の考慮要素の一つとして、または、もっぱら入学最低基準点とし
て、適性試験を重要な判定資料として活用することが求められる。
<適性試験の統一的な入学最低基準点>
適性試験の得点も含む総合判定方式で合否を決定する場合であっても、適性試験を課している制度趣旨を無意味にする
ような著しく低い点数の者を入学させないよう、統一的な入学最低基準点を設定する必要がある。
統一的な入学最低基準点については、総受験者の下位から15%程度の人数を目安として、適性試験実施機関において、
毎年の総受験者数、平均点、得点分布状況や標準偏差など諸要素を考慮しながら、当該年度の具体的な基準点が設定され
るべきである。この目安については、将来的に、受験者の状況等を踏まえながら、適切な時期に再度の検証をすることが求め
られる。
認証評価において、各法科大学院における入学者の適性試験の得点状況を調査し、当該年度の入学最低基準点に照らし
て適切に運用されているか否かを評価することが必要である。
このような適性試験の運用の厳格化に伴って、適性試験の年複数回の実施などの工夫により、法科大学院の入学希望者
に幅広い受験機会を付与することを確保するとともに、将来的には、各年の試験の難易度を調整し、試験結果の複数年の利
用についても検討することが望まれる。
各法科大学院においては、入学者の適性試験の平均点や最低点などの状況を公表し、入学希望者や社会に対して適切に
情報を提供することが求められる。
法科大学院教育の更なる充実に向けた改善方策について(提言)(抜粋)
(平成24年7月19日 中央教育審議会法科大学院特別委員会)
III 今後検討すべき改善方策
4. 法科大学院教育の質の改善等の促進
<入学者選抜の改善>
適性試験については、既に本特別委員会としても、各法科大学院において適性試験の総受験者の下位から15%を入学最
低基準点として設定することを促すなど改善方策を打ち出しているが、さらに、文部科学省においては、入学者の質の確保を
一層強化する観点から、適性試験管理委員会と協力しながら、適性試験の結果と法科大学院入学後の学内成績や司法試験
の成績との相関関係を含め、その内容等について検証し、必要に応じて改善に向けた取組を促すことが適当である。
法曹養成制度改革の更なる推進について(抜粋)
(平成27年6月30日 法曹養成制度改革推進会議決定)
第3 法科大学院
2 具体的方策
(2) 教育の質の向上
しろまる 文部科学省は、確認試験の定着状況に応じて、当該確認試験と法科大学院統一適性試験や法学既修者認定試験の
在り方について検討する。15 法科大学院入学者選抜等を巡る現状
法科大学院全国統一適性試験について
1.目的
法科大学院の入学者選抜に当たっては、入学者の適性を適確かつ客観的に評価するため、法律学
についての学識ではなく、法科大学院における履修の前提として要求される判断力、思考力、分析力、
表現力等の資質を試す「法科大学院全国統一適性試験」を実施。
2.実施機関
適性試験管理委員会(平成23年度より)
(注記) 平成22年度までは、次の2機関でそれぞれ実施。
・ 独立行政法人 大学入試センター
・ 適性試験委員会(財団法人日弁連法務研究財団・社団法人商事法務研究会)
3.実施概要(平成27年度)
区分 第1回 第2回
試験実施期日 平成27年5月31日(日) 平成27年6月14日(日)
問題構成等
第1部(論理的判断力) 40分
第2部(分析的判断力) 40分
第3部(長文読解力) 40分
第4部(表現力) 40分
(注記)第1〜3部 多肢択一・マークシート式
第4部 論述式
受験料 16,200円(各1回)(平成28年試験より、21,600円)16 統一適性試験志願者数・受験者数の推移
<平成15年度〜平成22年度>
大学入試センター 適性試験委員会
志願者数 受験者数 志願者数 受験者数
平成15年度 39,350 35,521 20,043 18,355
平成16年度 24,036 21,429 13,993 12,249
平成17年度 19,859 17,872 10,725 9,617
平成18年度 18,450 16,680 12,433 11,213
平成19年度 15,937 14,323 11,945 10,798
平成20年度 13,138 11,870 9,930 8,940
平成21年度 10,282 9,370 8,547 7,737
平成22年度 8,650 7,909 7,820 7,066
<平成23年度〜平成27年度>
第1回 第2回 実人数
志願者数 受験者数 志願者数 受験者数 志願者数 受験者数
平成23年度 5,946 5,481 7,386 6,692 7,829 7,249
平成24年度 5,185 4,753 5,967 5,391 6,457 5,967
平成25年度 4,387 4,008 4,964 4,486 5,377 4,945
平成26年度 3,599 3,338 4,068 3,642 4,407 4,091
平成27年度 3,153 2,918 3,541 3,146 3,928 3,621
年度 志願者数 入学定員 入学者数
法学既修者 法学未修者
平成16年度 72,800 5,590 5,767 (99.7) 2,350 (108) 3,417 (94.8)
平成17年度 41,756 5,825 5,544 (95.9) 2,063 (94.7) 3,481 (96.6)
平成18年度 40,341 5,825 5,784 (100) 2,179 (100) 3,605 (100)
平成19年度 45,207 5,825 5,713 (98.7) 2,169 (99.5) 3,544 (98.3)
平成20年度 39,555 5,795 5,397 (93.3) 2,066 (94.8) 3,331 (92.4)
平成21年度 29,714 5,765 4,844 (83.7) 2,021 (92.7) 2,823 (78.3)
平成22年度 24,014 4,909 4,122 (71.3) 1,923 (88.3) 2,199 (61.0)
平成23年度 22,927 4,571 3,620 (62.6) 1,916 (87.9) 1,704 (47.3)
平成24年度 18,446 4,484 3,150 (54.5) 1,825 (83.8) 1,325 (36.8)
平成25年度 13,924 4,261 2,698 (46.5) 1,617 (74.2) 1,081 (30.0)
平成26年度 11,450 3,809 2,272 (39.3) 1,461 (67.0) 811 (22.5)
平成27年度 10,370 3,169 2,201 (38.1) 1,431 (65.7) 770 (21.4)
(注記)( )内の数字は、ピーク時を100としたときの割合
• 司法試験合格率の低迷等を背景に、法科大学院志願者数や入学者数が減少。
• 特に、法学未修者(主として社会人、法学部以外の出身者)が大幅に減少。
志願者数、入学定員及び実入学者数の推移17 40,810
30,310 29,592 31,080
31,181
25,804
21,319
20,497
16,519
12,390
10,267
9,351
9,192 9,681 10,006 9,877 9,564 9,216
7,790 7,108 6,522
5,624 5,139 5,0124.443.13
2.96 3.153.262.802.742.882.532.202.001.870.000.501.001.502.002.503.003.504.004.5005,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
40,000
45,000
H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
(人)
受験者数 合格者数 競争倍率
入学者選抜の競争倍率のこれまでの推移
法科大学院の入学者の質の確保に向けた取組
だいやまーく 学校教育法第110条第2項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令の一部を改正する省令の施
行等について(平成27年3月31日文科高第1130号)
2 留意事項
(3) 客観的指標として、次に掲げるものを活用することが適当であること。
1 入学者選抜における競争倍率(目安:2倍)
本指標が目安を下回っている場合には、競争的環境の下での入学者選抜が十分に機能しているとは言いがたい
など、入学者の質の保証への影響が懸念される。そのため、適性試験や個別の入学者選抜を通じて入学者の質の
確保がなされているかを重点的に確認する必要があること。なお、当該指標は教育の実施状況等、他の事項の評価
を行う際の判断に当たっても関係するものであること。
だいやまーく 「公的支援見直し強化・加算プログラム」の運用見直し(平成27年12月)
くろまる 基礎額の指標に、新たに入学者選抜競争倍率を導入し、法科大学院に対する入学者の質の確保を促進。
H28年度審査結果第1第2第3• 司法試験合格率
• 入学定員充足率
• 多様な人材確保
• 地域性・夜間開講
指 標
公的支援をメリハリ付け全法科大学院を分類新たに競争倍率に関する指
標を導入(29年度予算〜)
基礎額 90%
(13校)
基礎額 0%
(4校)取組内容に応じて加算
審査委員会による審査後
配分率を公表(H27.12)
減額33校
【 100%未満 】
うち4校
【 0% 】
対象
43校
【 100%以上 】
基礎額 60〜80%
(26校)18 「修了認定の厳格化」の進捗状況
2,176
4,418
4,911 4,994
4,792
4,535
3,937
3,459
3,037
2,51192.680.6 80.078.675.973.668.7 68.2 68.7 68.120304050607080901001,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
4,500
5,000
5,500
6,000
6,500
7,000
H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26(%)(人)
(年度)
修了者数 標準修業年限修了率
標準修業年限での修了認定状況 (既修者8割、未修者5割)
修了年度
標準修業年限
修了者数 法学既修者 法学未修者
平成17年度
2,176
(92.6%)
2,176
(92.6%)-平成18年度
4,383
(80.6%)
1,819
(90.0%)
2,564
(75.1%)
平成19年度
4,541
(80.0%)
1,972
(91.5%)
2,569
(73.0%)
平成20年度
4,537
(78.6%)
1,996
(93.0%)
2,541
(70.1%)
平成21年度
4,263
(75.9%)
1,871
(91.2%)
2,392
(67.1%)
平成22年度
3,931
(73.6%)
1,790
(89.6%)
2,141
(64.0%)
平成23年度
3,263
(68.7%)
1,650
(86.6%)
1,613
(56.8%)
平成24年度
2,814
(68.2%)
1,643
(85.8%)
1,171
(53.0%)
平成25年度
2,475
(68.7%)
1,514
(83.0%)911(53.5%)
平成26年度
2,005
(68.1%)
1,288
(79.7%)717(54.0%)
(注記)( )内は既修、未修ごとの入学者のうち修了者の割合19 だいやまーく 正誤式問題と多肢選択式問題を用いたマークシート方式
だいやまーく 「共通的な到達目標モデル(注記)」に則した出題
だいやまーく 57校の484名の学生が受験(対象811名)
だいやまーく 最高点・最低点・平均点、得点分布表、設問ごと
の正解・正答率の一覧等のデータを公表
第1回の試行のポイント
試験科目 試験時間 問題数(満点) 平均点 3科目合計平均
憲法 50分 30問(100点) 57.8点 217.6点
350点満点
得点率62.2%
民法 75分 45問(150点) 99.4点
刑法 50分 30問(100点) 60.3点
【第2回試行(平成28年3月14日)】 2年次学生(未修者・既修者)まで対象を拡大
だいやまーく 対象者を拡大( 1年次学生(未修者)に加え、2年次学生(未修者・既修者)も対象)
だいやまーく 各学年とも共通の問題(科目:憲法・民法・刑法)を用いて実施
だいやまーく 受験者の法科大学院における成績等との比較分析を行うためのデータを収集
【第1回試行(平成27年3月12日)】 1年次学生(未修者)を対象に、憲法・民法・刑法の3科目を実施
第2回試行のポイント(第1回試行からの変更点を主に記載)
【第3回試行(H29予定)】 7科目まで科目を拡大見込み
だいやまーく 刑事訴訟法・民事訴訟法・商法・行政法の4科目を追加した7科目で実施予定
(注記)すべての法科大学院において共通して学修することが求められる内容及び水準(ミニマム・スタンダード)を示すものとして、2010年に策定された。
しろまる 共通到達度確認試験(仮称)は、各法科大学院が共通して客観的かつ厳格に進級判定を行うことができるよう、
全法科大学院が共通の問題を用いて統一的に学生の到達度を確認するための試験。
しろまる 現在、平成30年度の本格実施に向けて、運営を担う大学(東京大学、一橋大学、京都大学)を中心に試行が
進められており、平成28年3月に2回目の試行試験が実施された。
今後 平成30年度を目途とした本格実施に向け、以降も検討・試行を重ねる。
【 法曹養成制度改革推進会議決定(平成27年6月30日) 第3法科大学院 2具体的方策 (2)教育の質の向上 より抜粋】
文部科学省は、法科大学院が共通して客観的かつ厳格に進級判定等を行う仕組である共通到達度確認試験(仮称)(以下「確認試験」という。)について、平成30年度を
目途に本格実施に移すべく、法科大学院関係者を中核としつつ、法曹三者の理解と協力を得ながら、試行を毎年度行い、その結果を踏まえ、出題内容や難易度等の改善を
その都度図るとともに、その試行対象者を法学未修者から法学既修者に順次拡大することとする。
また、文部科学省は、将来的に確認試験の結果に応じて司法試験短答式試験を免除することを想定し、前記試行と並行して、法務省の協力も得ながら確認試験の試行
データと受験者の司法試験短答式試験合格状況との相関関係を検証・分析し、その結果を踏まえ、出題内容や難易度等の改善をその都度図ることとする。
共通到達度確認試験(仮称)20 21
統一適性試験についての法科大学院の見解
(注記) 平成27年10月に文部科学省が各法科大学院に対して実施した、
「法科大学院の入学者選抜における適性試験の活用状況調査」の結果
統一適性試験の必要性や有効性についての法科大学院の見解
だいやまーく 法学未修者については、統一適性試験の有用性については肯定的・否定的双方の回答
があったが、法学既修者については、否定的な回答が大半を占めた。
<法学未修者> N=43
<法学既修者> N=43
肯定的
19校(44%)
否定的
24校(56%)
肯定的
6校(14%)
否定的
37校(84%)
【肯定的な意見】
「適性」の測定が可能
未修者の選抜には必要
著しく成績の悪い者を判別することが可能
【否定的な意見】
「適性」を測定する試験として機能していない
学内成績や司法試験合格率との相関が認められない
他の試験により代替可能
受験者の負担感
【肯定的な意見】
「適性」の測定が可能
著しく成績の悪い者を判別することが可能
【否定的な意見】
「適性」を測定する試験として機能していない
学内成績や司法試験合格率との相関が認められない
他の試験により代替可能
受験者の負担感
(平成27年10月 文部科学省調べ)22 入学者選抜における統一適性試験の考慮割合
だいやまーく 入学者選抜(第1日程)における統一適性試験(第1部〜第3部)の考慮割合は以下の
とおり。
・ 法学未修者では多くの法科大学院で3割未満(5割以上は11%)
・ 法学既修者では大半の法科大学院(93%)で3割未満(5割以上は5%)
0 10 20 30
10%未満
10%以上
30%未満
30%以上
50%未満
50%以上5校(11%)
23校
(51%)
11校
(24%)5校(11%)
<法学未修者> N=45 <法学既修者> N=44
(割合)
(校)
(注記) 法学未修者・法学既修者とも無回答が1校。
0 10 20 30
10%未満
10%以上
30%未満
30%以上
50%未満
50%以上
(割合)
(校)
13校
(30%)
28校
(64%)0校(0%)2校(5%)
(平成27年10月 文部科学省調べ)
統一適性試験の実施が志願者の確保に与える影響
だいやまーく 統一適性試験の実施が志願者確保の障害となっている面があるとする回答が大半(91%)。
だいやまーく 具体的な理由としては、実施時期、実施場所・実施回数、社会人経験者が得点を取りにくい
試験であること、受験料といった回答があった。
<改善点についての意見>
だいやまーく 2回目の試験を夏又は秋に実施して欲しい
だいやまーく 未修者に限定して実施すべき
だいやまーく 予備試験受験者にも受験を義務づけるべき
だいやまーく 受験会場を全国に万遍なく広げるべき
だいやまーく スコアを複数年有効とすべき
だいやまーく 制度の維持・持続的発展を考慮しながらスコアの有効期間を検討すべき
だいやまーく 統一適性試験を廃止すべき
だいやまーく 外国人を対象に、外国語試験を実施すべき
<統一適性試験が志願者確保の障害となっているか>
障害となっている面がある
41校(91%)
障害となっている面はない
4校(9%)
だいやまーく 統一適性試験の実施時期 36校(80.0%)
だいやまーく 統一適性試験の受験料 21校(46.7%)
だいやまーく 試験の実施場所や実施回数 30校(66.7%)
だいやまーく 社会人経験者が得点を取りにくい試験であること
22校(48.9%)
だいやまーく その他 11校(24.4%)
(具体的な理由) (注記) 複数回答可
(平成27年10月 文部科学省調べ)23 入学者選抜における統一適性試験の最低基準点の設定
だいやまーく 大半(91%)の法科大学院が、入学者選抜において統一適性試験の最低基準点を設定済。
だいやまーく 最低基準点を設けるべきでないと回答した法科大学院は27校(61%)。
0 5 10 15 20 25 30
入学最低基準点を
設けるべき
入学最低基準点を
設けるべきではない
17校(39%)
27校(61%)
(校数)
<入学最低基準点の設定> N=45
<入学最低基準点の設定することについての法科大学院の見解> N=44
1 設定している((注記))
41校(91%)
2 設定していない
4校(9%)
【1について、総受験者の下位から15%であった受験者の取扱い】
出願を認めている 23校(56%)
出願を認めていない 18校(44%)
【2について、総受験者の下位から15%であった受験者の取扱い】
合格させたことがある 4校(100%)
合格させたことはない 0校( 0%)
((注記)) うち、1次募集においては最低基準点を設定するが、2次募集においては最低基準点を設定しないと回答した法科大学院が1校あっ
た。
(平成27年10月 文部科学省調べ)24 法科大学院における適性試験の活用状況調査の結果の概要
募集停止・廃止校を除く法科大学院45校に対し書面により調査を実施したところ、
回答の概
要は以下のとおり。
(調査期間:10月27日〜11月10日)
1 入学者選抜方法
(1)法学未修者
・ 適性試験(第1部〜第3部)は全日程において、全ての法科大学院で活用されて
いる。
・ 適性試験(第4部)を活用する法科大学院が一定数存在する。
・ 大半の法科大学院において、小論文の比重が適性試験と同程度か、それよりも高
く設定されている。
(2)法学既修者
・ 適性試験(第1部〜第3部)は全日程において、全ての法科大学院で活用されて
いる。
・ 大半の法科大学院において、法律科目試験の比重が高く設定されている。
(3)法学未修者・法学既修者共通
1 平成 28 年度入学者選抜における適性試験の入学最低基準点の設定(回答数:45校)
A.設定している 41 校(91.1%)
B.設定していない 4 校( 8.9%)
2 1で「A.設定している」と回答した法科大学院のうち、総受験者の下位から15%で
あった受験者の取扱いについて(回答数:41校)
A.出願を認めている 16 校(39.0%)
B.出願を認めていない 15 校(36.6%)
C.その他 10 校(24.4%)
3 1で「B.設定していない」と回答した法科大学院のうち、総受験者の下位から15%
未満の受験者の取扱いについて(回答数:4校)
A.合格させたことがある 4 校(100.0%)
B.合格させたことはない 0 校( 0.0%)25 4 総受験者の下位から15%を基準として、適性試験の入学最低点を設けることについて
(任意回答・自由記述(回答数:44校))・意見の主な内容は以下のとおり
入学最低点を設けるべき 13 校
入学最低点を設けるべきだが、15%については検討の余地がある 4 校
入学最低点を設けるべきではない 27 校
5 入学者の適性を測る観点からの改善点について
(任意回答・自由記述
(回答数:18校))・ 適性試験の改善に関する具体的な意見(11校)の主な内容
問題量や試験時間等に関する内容 (3校)
長文読解力(第3部)や表現力(第4部)を測る問題に関する内容
(3校)
適性試験の出題内容に関する内容 (4校)
試験の運営方法に関する内容 (1校)
・ 適性試験の有用性自体を問う趣旨の意見(7校)
6 「適性」を判定する上での適性試験の必要性や有効性について
(任意回答・自由記述(回
答数:43校)
【未修者】
・肯定的な意見(19校)
「適性」の測定が可能
未修者の選抜においては必要
最低基準点としては機能する
・否定的な意見(24校)
「適性」を測定する試験として
機能していない
学内成績や司法試験合格率との
相関が認められない
他の試験により代替可能
受験者の負担感
【既修者】
・肯定的な意見(6校)
「適性」の測定が可能
最低基準点としては機能する
・否定的な意見(37校)
「適性」を測定する試験として
機能していない
学内成績や司法試験合格率との
相関が認められていない
他の試験により代替可能
受験者の負担感26 7 適性試験以外の選抜方法により、受験者の「適性」を客観的に判定することがどの程度可
能であると考えるか(任意回答・自由記述(回答数:44校))【未修者】
・適性試験が最も大切 (3校)
・小論文や面接等による選抜 (29校)
・科目等履修制度の利用 (1校)
・他の選抜試験で代替可能(具体的な方
法についての記述なし) (6校)
・そもそも入学者選抜において「適性」
を測定することは困難 (6校)
【既修者】
・適性試験が最も大切 (2校)
・小論文や面接等による選抜 (7校)
・法律科目試験や学部成績による選抜
(31校)
・他の選抜試験で代替可能(具体的な方
法についての記述なし) (6校)
・そもそも入学者選抜において「適性」
を測定することは困難 (3校)
(注記)複数の意見を回答している法科大学院が含まれるため、各項目の合計数と回答数は異なる。
2 適性試験の結果と入学後の状況との関係
1 入学者の適性試験の成績と入学後の成績、
司法試験合格状況等との相関関係を調査したこ
とがあるか(複数回答可(回答数:45校))A.適性試験の成績と入学後の成績の相関 22 校(48.9%)
B.適性試験の成績と司法試験合格状況との相関 12 校(26.7%)
C.他の選抜方法(注)と入学後の成績との相関 11 校(24.4%)
D.他の選抜方法(注)と司法試験合格状況との相関 7 校(15.6%)
E.相関関係について調査したことがない 20 校(44.4%)
注:法律科目試験、小論文試験、学部時代の成績、語学のスコア等
2 調査の結果、実際にどの程度相関関係が見られたか(回答数:25校)
・ 適性試験の成績と入学後の成績の相関(回答数:22校)
A.相関関係が強く認められる 0 校( 0.0%)
B.相関関係が一定程度認められる 4 校(18.2%)
C.相関関係がほとんど認められない 15 校(68.2%)
D.その他 3 校(13.6%)27 ・適性試験の成績と司法試験合格状況の相関(回答数:12校)
A.相関関係が強く認められる 1 校( 8.3%)
B.相関関係が一定程度認められる 3 校(25.0%)
C.相関関係がほとんど認められない 7 校(58.3%)
D.その他 1 校( 8.3%)
・他の選抜方法と入学後の成績の相関(回答数:11校)
A.相関関係が強く認められる 1 校( 9.1%)
B.相関関係が一定程度認められる 5 校(45.5%)
C.相関関係がほとんど認められない 1 校( 9.1%)
D.その他 4 校(36.4%)
・他の選抜方法と司法試験合格状況の相関(回答数:7校)
A.相関関係が強く認められる 1 校(14.3%)
B.相関関係が一定程度認められる 3 校(42.9%)
C.相関関係がほとんど認められない 1 校(14.3%)
D.その他 2 校(28.6%)
3 学生募集への影響について
1 適性試験の実施が志願者の確保に与える影響について(回答数:45校)
A.志願者確保の障害になっている面がある 41 校(91.1%)
B.志願者確保の障害になっている面はない 4 校( 8.9%)
2 1で「A.志願者確保の障害になっている面がある」とした法科大学院の具体的理由(複
数回答可(回答数:41校))A.適性試験の実施時期 36 校(80.0%)
B.適性試験の受験料 21 校(46.7%)
C.試験の実施場所や実施回数 30 校(66.7%)
D.社会人経験者が得点を取りにくい試験であること 22 校(48.9%)
E.その他 11 校(24.4%)28 3 法科大学院志願者の利便性向上の観点から、適性試験の実施時期やスコアの有効期間など、
改善すべき点について(任意回答・自由記述(回答数:36校))・ 実施時期に関する意見(25校)
2回目の試験を夏又は秋に実施して欲しい
・ 適性試験の対象者に関する意見(3校)
未修者に限定して実施すべき
予備試験受験者にも受験を義務づけるべき
・ 地理的な公平性に関する意見(3校)
受験会場を全国に万遍なく広げるべき
・ スコアの有効期間に関する意見(10校)
スコアを複数年有効とすべき
制度の維持・持続的発展を考慮しながらスコアの有効期間を検討すべき
・ 適性試験を廃止すべき(6校)
・ その他(2校)
外国人を対象に、外国語試験を実施すべき29 実施団体等からの意見書等
適性試験を巡る近時の意見・見解について (平成 28 年 1 月 19 日)
公益財団法人日弁連法務研究財団 ・・・・・・ 32
適性試験に関する検討状況についての意見書 (平成 28 年 2 月 29 日)
適性試験管理委員会 ・・・・・・ 39
適性試験スコアと法科大学院成績・司法試験合否との関連
(適性試験管理委員会事務局 提出資料) ・・・・・・ 4230 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41
適性試験管理委員会事務局 2015年10月29日
適性試験スコアと法科大学院成績・司法試験合否との関連
I) 適性試験と法科大学院成績の相関
II) 適性試験と司法試験(2006〔H18〕〜2015〔H27〕)の合否
a) 司法試験合格者の適性試験スコアは高い
b) 司法試験に早く合格する者の適性試験スコアは高い
III) (参考) 入試成績と学業成績の相関関係を分析するための前提
a) 日本とアメリカ合衆国の入学者選抜制度の違い
b) 法曹養成プロセスと各種試験
c) 相関係数の選抜効果
中央教育審議会大学分科会 法科大学院特別委員会 適性試験WG 提出資料1I) 適性試験と法科大学院成績の相関
既修者課程
未修者課程
両課程
適性試験成績と学業成績の相関係数(中央値)
1年次必修科目成績との相関 全必修科目成績との相関
*選抜効果を修正した相関係数
*法科大学院統一適性試験(JLF)採用の6校の2004(H16)〜2005(H17)入学生データ
0.361
0.657
0.480
0.234
0.688
0.534
出典:法科大学院協会『適性試験成績と法科大学院学業成績との相関関係に関する調査研究
報告書【追加分】』(2008年3月)
*中央値とは学校単位の相関係数を大小順にならべた場合に中央に位置する相関係数の値で
ある。偶数個の場合は中央の2つの値の平均をとる。
(注記)適性試験成績と1年次必修科目成績との相
関係数の中央値は「既修者」0.361、「未修者」
0.657であり、適性試験成績と学業成績との間
には相関関係がある。
(注記)相関係数は各大学で異なる値をとる。これは
入学試験制度やそこでの適性試験の重みなど
の違いに影響されていることも一因である。
(注記)合衆国の同種の研究でも適性試験と1年次
成績は、学校によって異なるが一定の相関を
示している。2合衆国適性試験(LSAT)成績と
学業成績の相関係数(中央値)
適性試験と1年次成績の相関
相関関係 0.39
出典:LSAC「LSAT(法科大学院統一試験)に関する相関研究
シリーズ-第1年次の成績に関する報告書例」適性試験委
員会編『法科大学院統一適性試験テクニカル・レポート2005』
(商事法務、2006年)
*Law School Admission Council(LSAC)の相関研究プロジェ
クトに参加した全大学の2003年データ
*Law Schoolの1年次科目はほぼ必修科目のみ42 45.046.047.048.049.050.051.052.053.054.055.056.057.058.059.060.02003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
適性試験年度毎偏差値
適性試験受験年
司法試験合格者と非合格者の適性試験成績比較
合格者 非合格者
II) 適性試験と司法試験(2006〔H18〕〜2015〔H27〕)の合否
司法試験合格者の適性試
験成績の方が有意に良い
(注記)成績平均は年ごとに計算した偏差値である。受験生集団の年度間の等質性が保障されていない点に留保が必要である。
(注記)分析対象データは、2003-2010年のJLF適性試験受験者、2011-2012年の統一適性試験受験者、2006-2010年の新司法試験
合格者、2011-2015年の司法試験合格者である。
(注記)非合格者には,法科大学院非入学者,同非修了者,司法試験受験回避者,同不合格者に加え,法科大学院標準修業年限
前に予備試験合格者として司法試験を受験し合格した者を含む。
(注記)未修・既修別入学者数は、適性試験を受験した次年度の法科大学院の入学者数である。
a) 司法試験合格者の適性試験スコアは高い3適性受験年 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
適性試験
偏差値平均合格者(a) 57.4 57 55.7 56.1 56 56 56.5 57.1 57.9 58.3
非合格者(b) 48.8 48.6 48.6 48.2 48.2 48.1 48 47.9 48.3 49
(a)-(b) 8.5 8.4 7.1 7.9 7.8 7.9 8.5 9.2 9.5 9.3
次年度の
入学者数
未修 3417 3481 3605 3544 3331 2823 2199 1704 1325 1081
既修 2350 2063 2179 2169 2066 2021 1923 1916 1825 1617
既修入学者が多数
となった2010年以降
も同傾向48.049.050.051.052.053.054.055.056.057.058.059.060.061.0
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
適性試験年度毎偏差値
司法試験合格年
司法試験合格者の司法試験合格年別適性試験成績
2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
適性試験受験年
b) 司法試験に早く合格する者の適性試験スコアは高い4司法試験に早く合格する者の
適性試験の成績の方が高い
(注記)成績平均は年ごとに計算した「偏差値」である。受験生集団の年度間の等質性が保証されていない点に留保が必要である。
(注記)分析対象データは、2003-2010年のJLF適性試験受験者、2011-2012年の統一適性試験受験者のうち、2006-2010年の新司法
試験合格者、2011-2015年の司法試験合格者である(法科大学院入学後標準修業年限前に予備試験合格者として司法試験に合
格した者は除く)。
(注記)2006年司法試験合格者の出身学部別内訳は不明。
出身学部別合格者数 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
法学部 1439 1618 1617 1679 1689 1685 1582 1397 1385
非法学部 412 447 426 395 374 359 347 250 27943 III) (参考)入試成績と学業成績の相関関係を分析するための前提
a-1) 日本とアメリカ合衆国の入学者選抜制度の違い
Rolling Admission
(数か月〜通年で出願順に順次判定)
米国のロースクール入学者選抜(典型例)
学部成績,志願理由書,推薦状
LSAT(法科大学院統一試験)スコア
(年複数回実施、問題非公開、複数回受験の場合は等化済スコアの最も高いものを提出)
ロースクール
JD(法務博士)プログラム(3年)入学許可不許可出身学部は問わない(法学部はない)5a-2) 日本とアメリカ合衆国の入学者選抜制度の違い
日本の入試(典型例)
学業成績・社会的活動・資格等
適性試験スコア
小論文
(法律の知識は不要)
法律科目
(3〜7科目)
2年コース(既修者コース)
3年コース
(未修者コース)
小論文
(法律の知識は不要)
法律科目
(3〜7科目)
2年コース
(既修者コース)
3年コース
(未修者コース)合格
面接試験
面接試験
不合格A B法学部出身者 法学部以外 法学部出身者
学業成績・社会的活動・資格等
適性試験スコア
法学部以外
多段階選抜であり、
第1次選抜の成績を
第2次選抜以降も重
みを変えて判定に再
度用いることが多い
など、複雑な制度に
なっている。644
III) (参考)入試成績と学業成績の相関関係を分析するための前提
b) 法曹養成プロセスと本資料の
分析対象
(注記)本資料で用いたデータ
・ 法科大学院入学後の成績
・ 「非入学」「非修了」「非受験」「不合
格者」の適性試験の得点
・ 司法試験合格者の適性試験の得点(注記)入学試験の他要素、各法科大学
院による教育の効果、司法試験のテ
ストとしての精度などについては、こ
こでは扱っていない。
本資料I)の対応関係7本資料II)の対応関係
入学者選抜
適性試験
各法科大学院による教育
司法試験
面接試験
小論文
法律学試験
書類審査
司法修習
二回試験
法曹資格
入学
非入学
修了合格
不合格
非修了
非受験
非合格者
c) 相関係数の選抜効果
センター科目 平成7年度
英語 0.252
国語 0.336
社会 0.138
数学合計 -0.268
理科合計 -0.108
物理 -0.091
化学 -0.091
生物 -0.060
日本物理学会誌,Vol.55,No.8,2000,p.616
(注記)選抜効果により、専門と関連の
深い理系科目との相関がマイナス
ないしほぼ0になる場合がある。
日本の医学部入学試験各科目と
学業成績の相関係数の大きさの例0102030405060708090
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
入試
入学後の成績
選抜効果の概念図
合格
不合格
適性試験全受験者
入学後の成績のある者
相関計算に
使えるデータ8(注記)相関係数の計算に使えるのが学業成績のある入学者データのみのため、入学試験成績と学業成績の相関が
本来あるべき相関より低く見積もられることは理論的に証明されている(選抜効果)。したがって、入学試験の一部
である適性試験の予測的妥当性(学業成績との相関関係)を議論する場合にも、LSATと同様、すべての受験者が
入学したと仮定した場合の相関に統計的に修正する必要がある。45 第8期中央教育審議会大学分科会法科大学院特別委員会
法科大学院全国統一適性試験の在り方に関する検討ワーキング・グループ
委員名簿
にじゅうまる:主査、しろまる:主査代理
(専門委員) 6名
笠 井 治 弁護士
しろまる 樫 見 由美子 金沢大学大学院法務研究科教授
野 澤 正 充 立教大学大学院法務研究科委員長・教授
日 吉 由美子 弁護士
にじゅうまる 松 下 淳 一 東京大学大学院法学政治学研究科教授
山 下 徹 哉 京都大学大学院法学研究科准教授
(計6名)
* 発令日は平成27 年10 月29 日
* 笠井委員、樫見委員、日吉委員、松下委員の発令日は平成27 年5月11 日46 法科大学院全国統一適性試験の在り方に関する
検討ワーキング・グループの設置について
平 成 2 7 年 9 月 1 7 日
中央教育審議会大学分科会
法科大学院特別委員会決定
法科大学院特別委員会の下に、
「法科大学院全国統一適性試験の在り方に関する検討ワーキング・
グループ」
(以下、
「適性試験検討ワーキング・グループ」という。
)を次のとおり設置する。
1.所掌事務
近年の法科大学院入学者選抜の実施状況等を踏まえ、適性試験の在り方に関し、専門的な
調査・分析・検討を行う。
2.委員、臨時委員、専門委員
1 適性試験検討ワーキング・グループに属すべき委員、
臨時委員及び専門委員
(以下、
「委員」
という。
)は、座長が指名する。
2 適性試験検討ワーキング・グループに主査を置き、座長が指名する。
3 主査に事故があるときは、
適性試験検討ワーキング・グループに属する委員のうちから主査
があらかじめ指名する者が、その職務を代理する。
3.設置期間
適性試験検討ワーキング・グループの設置期間は、設置された日から平成28年3月31
日までとする。
4.法科大学院特別委員会への報告
適性試験検討ワーキング・グループの審議状況は、適時に法科大学院特別委員会へ報告す
るものとする。
5.その他
1 適性試験検討ワーキング・グループの庶務は、
関係各課の協力を得て専門教育課で処理する。
2 ここに定めるもののほか、
議事の手続その他適性試験検討ワーキング・グループの運営に関
し必要な事項は、主査が適性試験検討ワーキング・グループに諮って定める。47 審議経過
第1回:平成27年10月29日(木)
・議事の公開について
・適性試験の実施状況等について
・適性試験管理委員会からのヒアリング
第2回:平成27年11月18日(水)
・適性試験の活用状況調査の結果について
・適性試験の在り方に関する検討事項について
第3回:平成27年12月16日(水)
・適性試験の在り方に関する検討事項について
第4回:平成28年1月20日(水)
・検討結果の取りまとめに向けた議論
第5回:平成28年2月17日(水)
・検討結果の取りまとめに向けた議論
第6回:平成28年3月2日(水)
・適性試験管理委員会からのヒアリング
・検討結果の取りまとめに向けた議論
第7回:平成28年3月15日(火)
・報告書のまとめ48

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /