ルールづくり
単元設定の趣旨第1
「ルールづくり」
の単元は,
「法は共生のための相互尊重のルールであり,
国民の生活をより豊かにするため
に存在するものであるということを,
実感をもって認識させるために,
ルールをどのようにして作るのか,
ルー
ルに基づいてどのように紛争を解決していくのかについて主体的に学習させる」
(報告書第3の1(2)ア)ものとして位置付けられている。
具体的な学習場面では,
ルールづくりを通じて,
上述の内容を認識させるとともに,法が多様な人々が共生するための相互尊重のルールであり,
守ることの大切さを理解させることを目指し
ている。
本教材の特徴は,
生徒に身近に感じられる紛争状況を設定し,
この紛争状況を解決するための解決策
(ルール)づくりを体験的に行わせる点にある。
解決策
(ルール)
を体験的に作成する過程においては,
生徒がそれぞれ合理的な意見を持ち,
生徒間の討論を
経た合意形成に基づいて紛争を解決することが必要となるが,
こうした体験的な作業は合意形成や建設的な批
判の能力の育成にもつながると考える。
また,
生徒の身近な紛争状況を設定することにより,
作成したルールもまた身近なものであると意識付ける
ことが可能となるし,
作成体験を通じて,
自分たちで合意したルールを守るという規範意識の涵養,
状況の変化
に応じてルールを作り変えるといった,
主体的なルールを作成し利用するという意識を育む教育にもつながる
と考える。
1学習指導要領の内容 「ルールづくり」
について,
中学校学習指導要領
(社会科[公民的分野])では,
大項目「(1)私たちと現代社
会」
の中項目「イ 現代社会をとらえる見方や考え方」
に位置付けられており,
「人間は本来社会的存在である
ことに着目させ,
社会生活における物事の決定の仕方,
きまりの意義について考えさせ,
現代社会をとらえる見
方や考え方の基礎として,
対立と合意,
効率と公正などについて理解させる」
際に,
「個人の尊厳と両性の本質
的平等,
契約の重要性やそれを守ることの意義及び個人の責任などに気付かせる」
こととされている。
中項目
イにおいては,
「人間は社会集団を形成し,
その一員として所属する集団や所属員にかかわる問題
(トラブル)
の解決について,
どのような決定の仕方が望ましいのか,
決定したことを,
『きまり』
として守ることにどのよ12
法教育における
「ルールづくり」の学習の必要性
「ルールづくり」
に関する
学習指導要領や教科書の記述006 うな意味があるのかを考えさせること」
とされており,
「例えば,
学校や地域の自治会において何か問題
(トラ
ブル)
が生じ,
その解決のために何をすべきかを決定する際,
全員が参加して話し合って決めたり,
多数決で決
めたり,
あるいは代表者が集まって決めたりすることが考えられる」
(文部科学省「中学校学習指導要領解説
-社会編-」,以下
「解説」
という。)との記述も見られる。
また,
解説には,「『きまり』や『取り決め』は,それを守
ることによって,
だれの何を保障するのかを考えさせることが必要である。
その際,
『契約の重要性やそれを守
ることの意義及び個人の責任などに気付かせる』
としているのは,
社会生活で人々がきまりを作ったり取り決
めを行ったりしている活動を改めて『契約』
という概念でとらえ直し,
それを守ることによってそれぞれの権
利や利益が保障されること,
また,
互いが納得して受け入れられたものである限りその結果について責任が伴
うことに気付かせることを意味している」
との記述も見られる。
また,
解説には,「『社会生活における物事の決定の仕方,
きまりの意義について考えさせる』
ことを通して,
『現代社会をとらえる見方や考え方の基礎として,
対立と合意,
効率と公正などについて理解させることが必要
である』」との記述がある。
解説では,
「対立と合意」
については,「『対立』
が生じた場合,
多様な考え方を持つ人
が社会集団の中で共に成り立ちうるように,
また,
互いの利益が得られるよう,
何らかの決定を行い,
『合意』に至る努力がなされていることについて理解させる」
としている。
また,
「効率と公正」
については,
「合意の妥当
性」
を検討する際の「代表的な判断の基準」
と整理されており,
「公正」
については,
「手続きの公正さ」
「機会の
公正さ」
「結果の公正さ」
などが例示されている。
なお,
ここでは,
社会科における「ルールづくり」
学習に絞り,
まとめた。
中学校段階では,
他に,
特別活動にお
ける
「ルールづくり」
学習が想定される。
本単元と特別活動における
「ルールづくり」
の関係は後述する。
2教科書の記述
教科書における「ルールづくり」
学習については,
前述した学習指導要領の内容を踏まえ,
学校で発生する
問題を「効率や公正」
の観点から評価し,
解決策を作り出そうとする「ルールづくり」
の授業や,
自治会で発生
する問題に対処するため,
自治会の規約を見直す際に,
ルールを評価する視点
(目的の合理性と手段の相当性,
「効率や公正」
の視点など)
を用いて,
自治会規約を見直し,
きまりが変更される可能性があることを指摘し,自分たちで作ったきまりだから,
自分たちが守っていく責任があることに言及している記述も見られる。
ルールづくり007 単元第2大項目 「(1)私たちと現代社会」
中項目
「イ 現代社会をとらえる見方や考え方」123単元の構成
単元の目標
単元の位置付け
小単元1
「ごみ収集に関するルールを作ろう」
(2時間:第1プラン)
の構成
第1時
「ごみ収集に関するルールを作ろう」
第2時
「ごみ収集に関する町内会規約を作ろう」
小単元2
「マンションのルールを作ろう」
(3時間:第2プラン)の構成
第1時
「ルールの機能と望ましいルールの要件は何か」
第2時
「マンションの紛争を解決するルールを作ろう」
第3時
「ルールについて評価し討論しよう」
(注記)第1プラン又は第2プランの内容を選択的に利用することを想定している。
1ルールについての関心を高め,社会生活におけるルールの意義について考える態
度を養う。
2ルール作成による紛争解決を通じて,社会生活における取決めの重要性,集団内の個人の自由を保障する
ためのルールの必要性,それを守る意義について考えさせる。
3事例の望ましい解決策(ルール)を作成し表現させる。
4作成したルールについて,合理的に考察し評価することができる。 「ルールづくり」の単元は,学習指導要領(社会科[公民的分野]
)の大項目「(1)私たちと現代社会」の中項目「イ 現代社会をとらえる見方や考え方」で実施する。
学習は2〜3時間で編成しており,第1プランと第2プランの2種類のプランを作成した。
第1プランは,
「ごみ収集に関するルールを作ろう」と題して2時間で構成し,第2プランは,
「マンショ
ンのルールを作ろう」と題して3時間で構成した。008 4 単元の指導計画
❶「ごみ収集に関するルールを作ろう」の概要
ア 第1時
「ごみ収集に関するルールを作ろう」
第1時の授業では,
「ごみ収集に関するルールを作ろう」というテーマのもと,ルールのもつ機能(秩序維
持機能・紛争解決機能)について学んだ上で,ルール作成時の視点を踏まえ,町内会で起こった,ごみ収集
場所をめぐる紛争の解決策を考える。
具体的には,
実際に,
ごみ出しの経験をした後,
架空の町内会を設定して,
利害が対立するいくつかの立場に立って,ごみ収集場所をどこにするか考える学習を行う。
実際の学習の流れは次のようになる。
1ごみ出しについて自分の経験を発表する。
2ルールが何のためにあるかを考える。
3よいルールの条件を考える。
4ごみ収集場所をどこにするかをいくつかの立場に分かれて考える。
イ 第2時
「ごみ収集に関する町内会規約を作ろう」
第2時の授業では,
「ごみ収集に関する町内会規約を作ろう」というテーマのもと,第1時の立場をばらし
て編成したグループごとに,それぞれの立場の意見を踏まえながら,話し合い活動を行って望ましい町内会
規約を検討する学習を行う。
実際の学習の流れは次のようになる。
1話し合い活動を行い,グループとしての規約案を検討する。
2グループごとに,作成した町内会規約を発表する。
3グループの町内会規約が望ましいルールかどうか評価する。
4ルールの機能,望ましいルールの要件を確認する。
ルールづくり009 単元第2❷「マンションのルールを作ろう」の概要
ア 第1時
「ルールの機能と望ましいルールの要件は何か」
第1時の授業では,
「ルールの機能と望ましいルールの要件は何か」というテーマのもと,日常生活に見ら
れるルールの中で受け入れることのできるルールとは,どのようなものかを考える。具体的には,生徒が日
常生活の中で出会うトラブルを解決するルールを想定し,その適否を考えることを通して,ルールの機能と
望ましいルールの要件を考える学習を行う。
実際の学習の流れは次のようになる。
1ルールは何のためにあるか考える。
2ルールの具体例を検討する。
3それぞれのルールの問題点を考える。
4ルールの問題点をどのように改善すればよいか考える。
5ルールが適正となる要件を整理する。
イ 第2時
「マンションの紛争を解決するルールを作ろう」
第2時の授業では,
「マンションの紛争を解決するルールを作ろう」というテーマのもと,架空のマンショ
ン住人間の紛争を設定し,解決のためのルールを考える。具体的には,マンションでのペットの飼育につい
て紛争が発生していると想定し,その紛争を解決するルールを考える学習を行う。
実際の学習の流れは次のようになる。
1マンションでのペットの飼育について住人間に紛争が生じていることを確認する。
2ペットを飼育している住人や隣接する部屋に居住する住人の状況を確認する。
3グループに分かれて解決策を考える。
4各グループで考えた解決策を生徒各自で評価する。
5各グループで考えた解決策について話し合う。
ウ 第3時
「ルールについて評価し討論しよう」
第3時の授業では,
「ルールについて評価し討論しよう」というテーマのもと,第2時の授業で決定された
解決策が適正かどうかを評価する。具体的には,第1時で学習した,
「ルールが適正となる要件」をもとに解
決策を評価する学習を行う。
実際の学習の流れは次のようになる。
1第1時の授業で学習した,
「ルールが適正となる要件」を確認する。
2グループで決定した解決策を生徒各自が受け入れることができるか検討する。
3新たな問題状況を設定し,現在の解決策で問題が解決されない場合の対応を考える。010 中学校学習指導要領(特別活動)第5章の第2の〔学級活動〕の2「内容」及び
その解説にも,ルールづくりに関連した指導内容が示されている。
「ア 学級や学校に
おける生活上の諸問題の解決」を実施するにあたっては,生徒自身が集団の一員で
あるという自覚と責任感をもち,その中で生まれてくる様々な問題を話し合って解
決したり,役割を分担し合って処理したりすることが必要であり,そのための組織や係が生徒会活動とも連
携を図りながら,自発的,自治的な活動を進めていくことが大切とされている。また,
「イ 学級内の組織づ
くりや仕事の分担処理」,「ウ 学校における多様な集団の生活の向上」を実施するにあたって,その指導の工
夫の一つとして,
「ルール」に関する題材の設定が例示されている。
本教材を活用して実施された法教育の授業と,上記した特別活動の実施とを関連させることで,
「実社会で
のルールづくり」とつながることを生徒に実感させることも期待される。
ルールづくり
5 特別活動と本教材を活用した授業との関連付け011 学習内容 学習活動
(教師の指示・発問と生徒の予想される答え) 指導上の留意点
単元の指導計画第3❶ごみ収集に関する
ルールを作ろう
第1時 ごみ収集に関するルールを作ろう事前準備
生徒は,
1週間程度ごみ出しを体験し,
感想を簡単
なレポートとして提出する
(1枚程度)。・ ワークシート1導 入
みんなが提出してくれた,
「ごみ出し」
レポートを発
表しよう。
・ルールを作る上での視
点についても触れ,
評価
の視点となることを伝
える。
手段の相当性=目的に
対して手段が適切か。
・明確性=いく通りにも
解釈されることはない
か。
・平等性=立場を替えて
も受け入れられるか。
・手続の公平性=みんな
が参加しているか。
指名された何名かの生徒が,
ごみ出しの感想レ
ポートを発表し,
ごみ問題の切実さを確認する。
これから,
「ルールをみんなで作ってみよう」
という
学習をします。
この学習に関わる次のことに答えて
みよう。
ワークシート
1に記載する。→「ルールは何のた
めにあるか」
1秩序を守らないと安全に暮らしていけないから
(秩序維持機能) 2紛争を解決しなければ社会が安定しないから
(紛争解決機能) といったルールの機能について説明する。展 開日常生活におけ
る紛争
ある町内会で,
ごみ収集場所についての問題が生
じている。
まず,
問題の状況を確認しよう。
・ ワークシート2-2の
「付近地図」
を黒板等に
掲示する。
ワークシート2-1の
「ごみ収集場所をどこに?」
を範読する。第1プラン 1時間012 学習内容 学習活動
(教師の指示・発問と生徒の予想される答え) 指導上の留意点展 開ワークシート2-3の
「各自の主張 」
を生徒が音
読し,
ごみ収集場所についての,
それぞれの住民の
立場を確認する。まとめ紛争解決のため
のルールづくり
立場に応じて班分けをし,
それぞれの班で解決策
を考えてみよう。
・ 資料1のような主張
が考えられる。
議論が拡散しないよう
ごみ収集場所は,
川上・山村・太田宅前の3か所
に限定する。
班ごとに役割演技に徹
しさせ,
役割分担をさせ
る。
自分たちの立場を理解し,その立場になりきっ
てこの問題の解決策を
考えさせ,
他者を説得し
得る案を提示させる。
罰金や罰則を設けるこ
とのみに論点を着目さ
せない。
各立場を明確にさせる
ため,
表示板を用意する
とよい。
ワークシート3に記載する。
ルールづくり
1週間程度
ごみ出し体験を
してみよう013
学習内容 学習活動
(教師の指示・発問と生徒の予想される答え) 指導上の留意点
単元の指導計画第3第2時 ごみ収集に関する町内会規約を作ろう導入・展開ルールづくりの
合意形成
ルールを作るに
当たっての条件
1ルールの
必要性
2ルールづくり
の合意形成の
方法
3ルール評価の
視点
それぞれの立場で検討した解決策
(町内会規約案)を発表してもらい,
どのような町内会規約を
作ったらよいかグループで議論しよう。
・それぞれの立場の意見
を発表で確認させ,
ワークシート4を活用し,問題点,
対立点を明
確にしながらグループ
で話し合いをさせる。町内地図を拡大するなど
して,
興味や関心が持続
できるようにする。
・町内会規約の検討に当
たっては 資料2のよ
うな論点が考えられる。
第1時のそれぞれの立場の班から発表させる。
それぞれの立場の解決策を踏まえ,
グループで望
ましい解決策
(町内会規約案)
を話し合ってまとめ
てみよう。
第1時の立場をばらして編成したグループで話し
合いを行う。
ワークシート4に記載する。
グループで話し合った結果を発表しよう。
また,グループで検討した解決策
(町内会規約案)が,本当
に望ましいルールかどうか評価してみよう。
・町内会規約案の論点が
拡散
(ごみ収集場所を
地下に設ける,
2階建
てにする等というように)するときは,
論点を
整理させる。
ルール評価の視点に基づき評価させる。
1手段の相当性=目的を実現するために適切な手
段だろうか。
2明確性=そのルールはいろいろな解釈ができな
いか。
3平等性
(公正さ)
=立場が変わってもその決定は
受け入れられるか。
4手続きの公平性=ルール作りにみんなが参加し,ルールを作る過程に問題はないだろうか。
・1手段の相当性は,目的を達成する手段とし
て個人の自由を必要以
上に制限していないか
などについて考えさせ
る。第1プラン 1時間014 学習内容 学習活動
(教師の指示・発問と生徒の予想される答え) 指導上の留意点まとめこれまで,
「ルールをみんなで作ってみよう」
につい
て学習し,
この学習の中で様々なことを学んでき
たが,
その上で,
もう一度,
みんなの考えを聞かせ
てほしい。
・ルールを作るに当たっ
ての条件を踏まえて考
えをまとめさせる。
ワークシート5に記載する。
ルールづくり
みんなの
意見も
聞かせてね !!
みんなが
納得できる
方法を考えよう015
くろまる ごみ収集に関するルールを作ろう ワークシート3年
( )組( )
番 氏名
「ルールをみんなで作ってみよう」事前質問
これから,
「ルールをみんなで作ってみよう」について学習します。この学習に関わる
次のことに答えてください。
1 周囲の人たちと考えや意見がくい違ったら,あなたはどのような行
動をとりますか。あなたがとるであろう行動に最も近いものを選ん
でください。
・ ア ─ 自分の考えに基づいて行動する。
・ イ ─ 相手の考えに合わせて行動する。
・ ウ ─ お互い納得するまで話し合ってから行動する。
・ エ ─ その他 ( )
2 様々な人たちがいる社会には,必ずルールがあります。あなたは,
ルールは何のためにあると考えますか。自分の考えに近いものを2
つ選んでください。
・ ア ─ いろいろな人たちの異なる考えや意見をまとめるため。
・ イ ─ いろいろな人たちが対等に生活できるようにするため。
・ ウ ─ 弱い立場の人たちを守るため。
・ エ ─ 犯罪を防いだり,
社会の秩序を守るため。
・ オ ─ その他 ( )
3 あなたが考える望ましいルールの決め方を書いてください。016 くろまる ごみ収集に関するルールを作ろう ワークシート3年
( )組( )
番 氏名
町内会規約を作ってみよう! 商店街にある空き地を山本不動産が買い取って5軒程度の建売住宅を売り出しました。
うち何軒かはすでに新しい住人が入居しています。
この商店街のごみ収集場所は,
川上さんという人の家の前にありますが,
ある日,
新しく
引っ越してきた山村さんが,
燃えないごみの日に間違えて生ごみを出してしまいました。これをきっかけに,
川上さんは,
「これまで長い間,
自分の家の前にごみ収集場所があるのを
我慢してきたが,
町内の住人が増えて,
ごみの量も増えている。
また,
商店街を通る人たちが,ごみを勝手に捨てていって,
ごみ収集場所は散らかっている。
生ごみの日は,
猫が入っ
てきて散らかし,
悪臭がすごい。
この機会にごみ収集場所を変えてほしい。」と言い始めま
した。
その両隣や向かいの人も川上さんに賛成しています。
他方,
古くからこの町内に住んでいる田中さんは,
「住人が増えて,
ごみの量が増えるか
らといって,
もとから住んでいる私たちが不利益を受けるのは困る。
もし収集場所を変える
なら新しい建売住宅地の中にしてもらいたい。」と言っています。
古くからの住人はだいた
い田中さんと同じ意見のようです。
しかし,
山村さんなど新しく引っ越してきた人たちは,
「ごみの量が増えるといっても,たいした量ではなく,
ごみ収集場所を変えるほどのことはない。」と言っています。
山本不動
産も,
「まだ売れていない建売住宅が売れ残ると困るので,
ごみ収集場所が建売住宅地の
中に移されるのは困る」
と言っています。
商店街の太田さんも,
「うちの前にごみ収集場所ができたのでは商売に影響が出るので
困る。」と言っています。
町内会長の佐藤さんと町内会の役員さんたちは,
この問題を解決するために,
町内のご
み収集場所に関する町内会規約を作らなければならなくなりました。
現在,
ごみの収集は,
この町内では,
毎週火
・金曜日の2回燃
えるごみの収集が行われています。
燃えないごみの収集は,毎週木曜日の1回だけです。
また,
ごみ収集車の通行上,
ごみ収
集場所に指定できる場所は,
川上さんの家の前,
山村さんの家
の前,
太田さんの家の前の3か所だけです。
ごみ収集場所をどこに?1燃やせるごみ017 不動産
新しい建売住宅(5軒)
古くからの住人の住宅地
川上家
(ごみ収集場所周辺の住人)
あすなろロード商店街
住宅地
住宅地
X商店街
Y商店街
Z商店街
W商店街
山村家
(引越してきた住人)
田中家
(古くからの住人)
山本不動産
太田家
(商店街)
佐藤家
(町内会長)
現在のごみ収集場所
=ごみ収集場所に指定できる場所3年( )組( )
番 氏名
付近地図2くろまる ごみ収集に関するルールを作ろう ワークシート町内会規約を作ってみよう!018
3年
( )組( )
番 氏名
各自の主張3A
川上さん
(ごみ収集場所周辺に住む住人)
の立場
ごみの量が増えるの
だし,
これまで我慢
してきたのだから,
別の場所にごみ収
集場所を変えるべき
である。
ごみ出しの
ルールを守らない人
もいる。B田中さん
(古くからの住人)
の立場
住人が増えてごみの
量が増えるのは,新しい住人が来るから
である。
新しい住人
の住んでいる周辺に
ごみ収 集 場所を作
るべきである。
ごみ
出しのルールを守ら
ない人もいる。C山村さん
(新しく引っ越してきた住人)
の立場
ごみの量自体そんな
に増えるわけではな
いのだから,
ごみ収
集場所の場所を変え
るまでもない。
ごみ
出しのルールをみん
なで 守れば 問 題は
ない。D山本不動産の立場
新しい建 売 住宅地
の中に,
ごみ収集場
所を作ってほしくな
い。
ごみ出しのルー
ルを徹底させるよう
にする。E佐藤さん
(町内会長)
の立場
古 く か ら の 住 人
も,今度来た新し
い住人にも,皆さ
んにとってよいよ
うな町内会規約を
作ってほしい。F太田さん
(商店街の商店主の一人)
の立場
ごみ収集場所は,
これまでどおり川
上さんの家の前で
よ い 。 ご み 出 し
ルールの徹底を図
ることとする。
くろまる ごみ収集に関するルールを作ろう ワークシート町内会規約を作ってみよう!019
3年
( )組( )
番 氏名
自分の班の立場は
自分で考えた発言内容
❶ごみ収集場所はどこに
❸1と2の理由
❷ごみ出しのルール1234
くろまる ごみ収集に関するルールを作ろう ワークシート町内会規約を作ってみよう!020
想定される各立場の回答事例
A川上さん
(ごみ収集場所周辺に住む住人)
の立場
B田中さん
(古くからの住人)
の立場
C山村さん
(新しく引っ越してきた住人)
の立場
主張
ごみの量が増えるのだし,これま
で我慢してきたのだから,別の場
所にごみ収集場所を変えるべきで
ある。ごみ出しのルールを守らな
い人もいる。
ごみ収集場所は,新しくできた建売住宅地の一角に作るべきであ
り,町内会員は期日とルールを守ってごみを出すようにするべき
である。
規約
町内におけるごみ収集場所の不利益は公平に負担するべきであ
る。町内の一人,もしくは一地域のみが負担するのは不公平であ
る。これまで長い間,私の家の前をごみ収集場所として提供して
きたのだから,今度は新しくできた建売住宅地の一角に作るべき
であり,これで公平になる。
理由
主張
住人が増えてごみの量が増える
のは新しい住人が来るからであ
る。新しい住人の住んでいる周
辺にごみ収集場所を作るべきで
ある。ごみ出しのルールを守ら
ない人もいる。
ごみ収集場所は,新しくできた建売住宅地の一角に作るべきであ
り,町内会員は期日とルールを守ってごみを出すようにするべき
である。
規約
町内におけるごみ収集場所の不利益は公平に負担するべきであ
る。町内の一人,もしくは一地域のみが負担するのは不公平であ
る。これまで長い間,川上さんの家の前をごみ収集場所としてき
たのだから,これからは新しくできた建売住宅地の一角に作るべ
きであり,これで公平になる。
理由
主張
ごみの量自体そんなに増えるわけ
ではないのだから,ごみ収集場所
を変えるまでもない。ごみ出しの
ルールをみんなで守れば問題は
ない。
ごみ収集場所は,これまでどおり川上さんの家の前とするべきで
あり,町内会員は期日とルールを守ってごみを出すようにするべ
きである。ごみ出しのルールの確認をもう一度行う。その上で,
もし,ルールを守らない町内会員には,一週間,ごみ収集場所付
近の清掃を担当してもらうこととする。
規約
今回,私の不注意で違う日にごみを出してしまい迷惑をかけた
が,これまでも川上さんの家の前のごみ収集場所で問題がなかっ
たのだから,これからもごみ収集場所は川上さんの家の前にして
もらいたい。ごみ出しの期日とルールを守れば問題はない。
理由
くろまる ごみ収集に関するルールを作ろう 資料 1021 想定される各立場の回答事例
D山本不動産の立場
E佐藤さん
(町内会長)
の立場
ごみ収集場所は,
これまでどおり川
上さんの家の前でよい。
ごみ出し
ルールの徹底を図ることとする。
F太田さん
(商店街の商店主の一人)
の立場
ごみ収集場所は,
これまでどおり川上さんの家の前とするべきであり,町内会員は期日とルールを守ってごみを出すようにするべきであ
る。
そのため,
ごみ出しルールの確認を回覧板で回し,
町内の掲示板
にも掲示することとする。
もし,
それでもルールを守らない町内会員
には,
一週間,
ごみ収集場所の清掃を担当してもらうこととする。
規約
主張
主張
主張
商売をしているため,町がごみで汚れているというのは困る。毎
朝,店を開ける前に掃除をしているが,ごみが氾濫する状況は何
とかしなければならない。川上さんのところで,これまで,あま
り問題がなかったのだからこれからも川上さんの家の前がよい。
ただし,今回のようなことがまた起こらないとも限らないので違
反者の出ないような対策は必要と考える。
理由
古くからの住人も,今度来た新
しい住人にも,皆さんにとって
よいような町内会規約を作って
ほしい。
〔司会なので特にない〕
規約
これまでも町内会では,ごみ収集のルールを守ってきた。これま
でどおり川上さんの家の前でもよい,新しくできた建売住宅地の
一角でもよい。いずれにしてもごみ出しのルールを守らないと,
今回のようなことが再び起こるので町内会規約を作るに当たっ
て,今後,このようなことが再び起こらないように,よく検討し
ていただきたい。
理由
新しい建売住宅の中に,ごみ収
集場所を作ってほしくない。ご
み出しのルールを徹底させるよ
うにする。
ごみ収集場所は,これまでどおり川上さんの家の前とするべきで
あり,町内会員は期日とルールを守ってごみを出すようにするべ
きである。そのため,ごみ出しルールの確認を回覧板で行うこと
とする。もし,それでもルールを守らない町内会員には,一週
間,ごみ収集場所の清掃を担当してもらうこととする。
規約
まだ売れていない建売住宅が売れ残ると困るので,ごみ収集場所
が,建売住宅地の中に移されるのは困る。これまでも川上さんの
家の前のごみ収集場所で問題がなかったのだから,これからもご
み収集場所は川上さんの家の前にしてもらいたい。ごみ出しの期
日とルールを守れば問題はない。
理由
くろまる ごみ収集に関するルールを作ろう 資料 1022 くろまる ごみ収集に関するルールを作ろう ワークシート3年
( )組( )
番 氏名
町内会規約を作ってみよう!1ルールづくりにみんなが参加
し,ルールを作る過程に問題は
ありませんか?
2立場が変わってもその決定は受
け入れられますか?
3そのルールはいろいろな解釈が
できませんか?
4ごみ収集場所の問題を解決する
という目的を実現するために適
切な手段ですか?
1ごみ収集場所は
とします。
2その理由は
です。
ルール評価の項目 評価結果 BかCにしろまるを付けた理由
A B C
A B C
A B C
A B C
1 グループで決定した町内会規約とその理由
2 1の町内会規約を各自で評価してみよう。
3 授業を通して,ルールについて,どのようなことを考えましたか。A:はい B:どちらでもない C
:いいえ023 議論の論点例
ごみ収集場所の近隣住民の被
害は,
ごみ収集場所を変更しな
ければならないほどのものか
どうか。1ごみ収集場所を変更する場合,場所選定にあたり,
公平性
を期すためには,
どのような配
慮が必要なのか。2ごみ収集に関わるルール(ごみ出しの期日,
場所,
時間,
種別
など)
を守らない場合,
罰則を
科す必要があるのかどうか。3ごみ収集場所への通行人の投棄,ごみに対するカラスや猫へ
の対策などが必要かどうか。4????くろまる ごみ収集に関するルールを作ろう 資料 2024 くろまる ごみ収集に関するルールを作ろう ワークシート3年
( )組( )
番 氏名
「ルールをみんなで作ってみよう」事後質問
これまで,「ルールをみんなで作ってみよう」について学習し,この学習の中で様々
なことを学んできました。その上で,もう一度皆さんの考えを聞かせてください。
1 周囲の人たちと考えや意見がくい違ったら,あなたはどのような行
動をとりますか。あなたがとるであろう行動に最も近いものを選ん
でください。
・ ア ─ 自分の考えに基づいて行動する。
・ イ ─ 相手の考えに合わせて行動する。
・ ウ ─ お互い納得するまで話し合ってから行動する。
・ エ ─ その他 ( )
2 様々な人たちがいる社会には,必ずルールがあります。あなたは,
ルールは何のためにあると考えますか。自分の考えに近いものを2
つ選んでください。
・ ア ─ いろいろな人たちの異なる考えや意見をまとめるため。
・ イ ─ いろいろな人たちが対等に生活できるようにするため。
・ ウ ─ 弱い立場の人たちを守るため。
・ エ ─ 犯罪を防いだり,
社会の秩序を守るため。
・ オ ─ その他 ( )
3 あなたが考える望ましいルールの決め方を書いてください。025 学習内容 学習活動
(教師の指示・発問と生徒の予想される答え) 指導上の留意点
❷マンションの
ルールを作ろう
第1時 ルールの機能と望ましいルールの要件は何か導 入身の回りのルー
ルの存在
ルールの正当性
を示す根拠
(社会
統制機能・紛争解
決機能)
身の回りにはルールがあることを確認する。
ワークシート1-1に書く。
以下の発問につい
て, ワークシート1-
2に書く。
・答えられない場合は教
師の方で例示する。
・授業時間の関係上左記
内容は事前にカード等
に書いておくとよい。
社会統制機能といった
言葉を挙げて説明する
必要はない。
ルールは何のためにあるのか。
1秩序を守らないと安全に暮らしていけないから
(秩序維持機能)
2紛争を解決しなければ社会が安定しないから
(紛争解決機能)
といったルールの機能について説明する。展 開この二つの機能の実現を目指してルールは作られ
ることを確認し,
以下のような目的で作成された
ルールの適否について検討する。
1授業中は静かにする,
2部活はみんなで頑張り
ましょう,
3みんなで掃除をきちんとやろう。
前述の目的に沿って作った以下に示すルールを受
け入れることはできるか,
できないか。
(そう選んだ)理由は何か。
教員は,(A)〜(C)を板書する
(もしくは事前に
カードに書いておく)。生徒は, ワークシート1−
3を書く。
第2プラン 1時間
単元の指導計画第3026
ルールづくり
学習内容 学習活動
(教師の指示・発問と生徒の予想される答え) 指導上の留意点展 開ルールが適正と
なる要件
(手段の
相当性
・明 確 性・平等性・手続の公
平性)(A) 授業中いつもうるさく勉強ができないので,
「授
業開始のベルが鳴ったら50分の授業のうち40
分間目を閉じる」
というルールを教師が作った。(B) キャプテンは部員の意見をまったく聞かず,「部内の雰囲気を乱した部員は,
キャプ
テンからどんな制裁でも受けなければなら
ない」
というルールを作った。(C) 男子が掃除を,
いつもさぼっていて,
男子と
女子がけんかをしているので,
「掃除は男子
生徒のみとする」
というルールを作った。
「受け入れられない」
との答えの理由として,(A) 授業中,
静かにするために40分間目を閉じ
るということは,
結果として授業時間を大
幅に減らすことにつながり,
授業時間の確
保が十分できないといった点で適切なルー
ルとは言えない
(手段の相当性の欠如)。(B)
雰囲気を乱すとはどういうことかはっきり
しない
(明確性の欠如)。キャプテンが部員
の意見をまったく聞かないのは公平でない
(手続の公平性の欠如)。(C)
女子だけが掃除をしないのは公平ではない
(平等性の欠如)。(C)
について,
「受け入れられる」
との答えが出
される場合は,
以下の発問を行う。
・左記の視点は以下のよ
うな意味である。
・手段の相当性=目的に
対して手段が適切か。
・明確性=いく通りにも
解釈されることはない
か。
・平等性=立場を替えて
も受け入れられるか。
・手続の公平性=みんな
が参加しているか。
立場を入れ替えてもルールを受け入れることはで
きるか。
・ 平 等 性 が 問 い や す い(C )について,
ここで
取り上げる。(C) 男子⇔女子 の立場の入れ替えを行う。
「受け入れられる」
ルールにするには,
どうすればよ
いだろうか。(A) 授業開始のベルと同時に1分程度目を閉じて,静かになってから授業を開始するなど。(B) みんなの意見を聞いて決める,
規定の意味をはっ
きりさせる,
キャプテンの独裁にしないなど。(C) 女子も平等に掃除をするなど。027 学習内容 学習活動
(教師の指示・発問と生徒の予想される答え) 指導上の留意点まとめ以下を ワークシート1−4に書く。 ・既出のカードを使って
整理してもよい。
・左記内容が生徒から答
えとして出てこなけれ
ば教師の方で説明を加
える。
ルールの正当性
を示す根拠・ルー
ルが適正となる
要件
どのようなルールであれば受け入れることができ
るだろうか。
社会の秩序を維持したり,
紛争を解決するルールは,その機能を果たす限りにおいて正当なルール
として我々は受け入れることができる。
また,
ルールが正しい目的のために作られている
ことのほか,(a)目的に対して,
適切なものになっている。(b)いく通りにも解釈されないものになっている。(c)立場を替えても受け入れられるものになっ
ている。
( d )
ルールを作る過 程にみんなが 参 加して
いる。
限りにおいて,
我々は正当なルールとして受け入
れることができる。
単元の指導計画第3受け入れられる
ルールを
考えてみてね
みんなが
納得するルールを
考えるのは
難しいね028 ルールづくり
学習内容 学習活動
(教師の指示・発問と生徒の予想される答え) 指導上の留意点
第2時 マンションの紛争を解決するルールを作ろう導 入前時の授業内容の内,
「どのようなルールであれば,受け入れることができるのか」
について確認す
る。展 開日常生活におけ
る紛争
本時から2時間かけて,
「マンションのルールづく
り」
の授業を行うことを提示する。
・連続した2時間で行う
のが望ましい。
あるマンションで,
ペットの飼育についての問題が
生じている。
まず,
問題の状況を確認しよう。
以下の問題状況を範読する。
いちょうさんは,
ペットのチワワと一緒に暮らして
いる。
マンションでは,
規則でペット禁止のルール
を決めているところもありますが,
いちょうさんの
住んでいるマンションでは,
ペット飼育が禁止され
ていない。
同じように猫や犬を飼っている世帯が何
軒かある。
しかし,
マンションに住む人たちの中には,犬のほえる声がうるさいし,
フンの悪臭もひど
い。
ペットの飼育は迷惑なので,
何とかしてほしい
と要望が出されている。
さて,
どのように問題を解決すればいいのか。
第2プラン 1時間029 学習内容 学習活動
(教師の指示・発問と生徒の予想される答え) 指導上の留意点展 開クラスを6班に分ける。
以下の
「マンションの図」を示す。
・事前に
「マンションの
図」
をクラス全員に見え
るように模造紙等で作
成しておくとよい。
資料1
ペットの飼育について,
それぞれの立場を確認し
よう。
A〜Fの立場に班分けを行い,
自分たちの状況(事実),事実に基づく主張
(自分の希望する状況),主
張の理由
(それを希望する理由)
について,
各班ご
とに話し合い, ワークシート2-1に記入する。
生徒から予想される回答は以下のとおり。
A 事実:
チワワと一緒に楽しく遊んでいる。
主張:
ペットの飼育を認めてほしい。
理由:
チワワを生きがいにしていて,
生活に
欠かせない。
B 事実:
猫のフンがくさい。
主張:
猫の飼育を禁止してほしい。
理由:
フンの臭いがしない環境にしてほし
い。
C 事実:
犬のフンの処理はしっかりしているが,朝,犬がほえる。
主張:
犬の飼育を禁止しないでほしい。
理由:
迷惑をかけているのは分かるが,
仮に
飼育を禁止しても,
今飼っている犬を
捨てるわけにはいかない。
しつけをき
ちんとするように頑張る。
・机間指導を行い,
適宜
アドバイスをするとともに,時間をしっかりとり,
想定される事実を整理
して記入させる。
マンションの入居者一覧
4F 住人
チワワを飼っ
ている
「いちょ
う」
さん
〈A〉
〈E〉
さん
3F 住人 〈B〉
さん
猫を飼ってい
るがフンの処
理をしない2F朝ほえる犬を
飼っている
「か
えで」
さん
〈C〉
子どものいる
「もみじ」
さん
〈D〉
住人1F 住人 住人
管理人
(中立)
〈F〉
単元の指導計画第3030
ルールづくり
学習内容 学習活動
(教師の指示・発問と生徒の予想される答え) 指導上の留意点展 開D 事実:
Cの家の犬はうるさい。
主張:
犬の飼育を禁止してほしい。
理由:
朝,
犬がほえるとうるさい。
子どもが怖
がっている。
E 事実:
チワワの鳴き声がうるさい。
主張:
ペットの飼育を禁止してほしい。
理由:
安眠妨害である。
なお,
Fは中立的な立場で答えを考え,
第3時は司
会の役割を担う。
各班がワークシートの内容
(事実・主張・理由)
を発
表する。
生徒は,
各班が発表した内容を ワーク
シート2-2にメモする。
ワークシートにメモした内
容を踏まえて,
各班に対して質問をする。
・左記A〜Eに示すような
意見が出ない場合は教
師の方で意見を例示す
る。まとめ紛争解決のため
のルールづくり
それぞれの班で,
解決策を作成してみよう。
それぞれの立場に立った解決策
(ルール)
について
各班で議論する。
ワークシート2-3に記入する。
・罰則を設けることのみ
に着目させない。
解決策
(ルール)
はいく
通りもあることを意識
付けるようにする。
解決策は
いろいろ
あるんだね!
それぞれの
意見をまとめ
られたかな031 学習内容 学習活動
(教師の指示・発問と生徒の予想される答え) 指導上の留意点
第3時 ルールについて評価し討論しよう導入・展開解決策を考える
ための視点
1手段の相当性
2明確性
3平等性
4手続の公平性
第2時に作成した解決策
(ルール)
について評価を行う。 ・Fへの指示終了後,
机間
指導を行い,
適宜アドバ
イスする。
今日は,
A〜Eの班が作成した解決策について,まず自分で評価してみよう。
その後,
A〜Eの立場をばらしたグループを編成
し, 考える視点シート に沿って解決策
(ルール)
を検討させる。
その間にFの生徒は司会の役割を
担うので,
教師は,
Fの生徒に対して, 司会進行
シート に沿って,
グループ内の討論の進め方につ
いて指示する。
それでは,
グループで,
それぞれの立場が作成した
解決策について確認し,
どのような解決策が望ま
しいか議論してみよう。
・Fの進行に対して適宜
アドバイスを行う。
「考える視点シート」の項目については,第1時の展開「指導上の留
意点」
を参照。
・左記論点が生徒から出
されない場合は,
教師
が例示する。
それぞれの立場の解決策を ワークシート3-
1に記入する。
Fの生徒は, 司会進行シートに
沿って司会・討論を進める。
それぞれの立場の解
決策
(ルール)
及びその理由を発表し合い,
また,
その主張に対して質問を受ける。
その後,
グループとしての解決策をまとめて
ワークシート3-
2 に記入する。
なお,
解決策
(ルール)
を議論する際の論点は以
下のとおり。
1ペットの鳴き声は,
住民の受忍限度
(犬のほえる
声の大きさ,
時間帯を考慮)
を超えるものなのか
どうか。
2ペットのフンの悪臭は,
住民の受忍限度を超え
るものなのかどうか。
第2プラン 1時間
単元の指導計画第3032
ルールづくり
学習内容 学習活動
(教師の指示・発問と生徒の予想される答え) 指導上の留意点展 開3ペット禁止をルール化するとして,
以前から飼っ
ていたペットをどうするのか。
4飼育を認めるとして,
ペットの種類を制限するか
どうか。
5飼育を認めるとして,
フンの処理を飼主がしなく
てよいのか。
6ペットの飼育を認めるとして,
ペットに関わる費
用負担
(消臭剤・しつけにかかる費用等)
を誰が
負担するのか。
生徒からの予想される解決策
(ルール)
は以下のと
おり。
A ペットの飼育を認める。
ただし,
消臭剤等の費
用はペットの飼主が負担する。
また,
飼主はペッ
トのしつけを徹底する。
B ペットの飼育を原則禁止にする。
ただし,
希望
する人に対して申請書を出させ,
その都度,自治会で審議する。
以前から飼っていたペットは
特別に許可する
(しつけは徹底する)。・不合理な回答
(例えば
「ペットを飼っている住
人にマンションから出
て行ってもらう」
「迷惑
している人たちが,
マン
ションから出て行く」等)は教師の方から,理由を明示し避ける。
などが考えられる。まとめそれでは,
各グループの解決策を発表してみよう。 ・評価する理由をしっか
り書くよう机間指導す
る。
「理由の適切性 」
も大事
なポイントなので,
生徒
が考えるには難しいよ
うなら教師の方で回答
する。
「マンションの問題を解
決するという目的を実
現するために適切な手
段ですか」
→個人の自
由を,
必要以上に制限し
ていないか等について
考えさせる。
各グルー
プの決定した解決策を発表させる。
ルールが適正と
なる要件
それぞれのグループの解決策を評価してみよう。
第1時の,
ルールが適正となる要件について確認し
ながら, ワークシート4に記入する。033 3年
( )組( )
番 氏名
2 ルールは,何のためにあると思いますか。自分の考えを書いて
みよう。
身の回りにあるルールについて考えてみよう!1 自分の身の回りにあるルールを,いくつか書いてみよう。
くろまる マンションのルールを作ろう ワークシート034
3年
( )組( )
番 氏名
3 提示された(A)・(B)・(C)のルールを,
あなたは受け入れることができ
ますか。
その理由も書いてください。
受け入れられない場合,
受け入れ
られるルールに変えるにはどのようにすればよいですか。
改正案を書い
てください。
4 私たちは,どのようなルールであれば,受け入れることができるの
でしょうか。
身の回りにあるルールについて考えてみよう!理 由(A)改 正 案
受け入れられる
受け入れられない(B)受け入れられる
受け入れられない(C)受け入れられる
受け入れられない
くろまる マンションのルールを作ろう ワークシート035 2F1F
いちょうさんは,ペットのチワワと一緒に暮らしています。マンションでは,
規則でペット禁止のルールを決めているところもありますが,いちょうさんの住んで
いるマンションでは,ペット飼育が禁止されていません。同じように猫や犬を飼って
いる世帯が何軒かあります。しかし,マンションに住む人たちの中には,犬の
ほえる声がうるさいし,フンの悪臭もひどい。ペットの飼育は迷惑なので,何とかし
てほしいと要望が出されています。
さて,どのように問題を解決すればいいのでしょうか。
マンションの入居者一覧
〈E〉
さん
チワワを
飼っている
「いちょ
う」
さん
〈A〉
朝ほえる犬を
飼っている
「かえで」
さん
〈C〉
子どものいる
「もみじ」
さん
〈D〉
猫を飼っているが
フンの処理を
しない
住 人
夫婦
二人暮らし
社会人
一人暮らし
老夫婦
二人暮らし
大学生
一人暮らし
両親と子ども
三人暮らし
住 人 〈B〉
さん
住 人
管理人
(中立)
〈F〉
住 人
住 人4F3F
マンションの問題を解決しよう!くろまる マンションのルールを作ろう 資料 1
主張:ペッ
トの飼育を認めてほしい。
主張:猫の飼育を禁止してほしい。
主張:犬の飼育を禁止しないでほしい。 主張:犬の飼育を禁止してほしい。
主張:ペッ
トの飼育を禁止してほしい。036 (4)
そう主張する理由
(それを希望する理由)(3) 事実に基づく主張
(自分の希望する状況)(2) 事実
(自分たちの部屋の様子)(1) 自分の立場
(班)3年( )組( )
番 氏名
1 資料を読み,マンションの問題状況について班で話し合い,自分の
立場(班)について考えてみよう。
マンションの問題を解決しよう!くろまる マンションのルールを作ろう ワークシート037
3年
( )組( )
番 氏名
3 自分たちの班で議論して出てきた解決策
(ルール)
を書いてみよう。
2 各班から出てきた主張について整理してみよう。
事 実 主 張 理 由班自分の班マンションの問題を解決しよう!くろまる マンションのルールを作ろう ワークシート038
くろまる マンションのルールを作ろう3年( )組( )
番 氏名
考える視点シート
2時間目に考えた解決策
(ルール)を,次の視点から再検討してみよう!❶ その解決策で不利益を受けるのは誰か。
❷ その解決策では,どのような不利益を受けるのか。
❸ その解決策で利益を受けるのは誰か。
❹ その解決策で,どのような利益を受けるのか。
❺ その解決策は,どのような目的の達成を目指しているのか。
❻ その目的を達成するために,もう少し不利益の少ない方法はないのか。
❼ その解決策は,ルールとして明確か。
❽ 解決策(ルール)を作る過程に問題はないか。
❾ 解決策(ルール)は,みんなに平等であるか。
考える視点シート039
・ A ─ 解決策を明確に発表する。
・ B ─ 解決策の根拠としての理由を
明確に発表する。
くろまる マンションのルールを作ろう 司会進行シート司会進行シート
1司会担当の( )
です。(1)それぞれの立場の
「望ましい」
解決策
を発表してもらいます。
その際,
次の2点を
はっきりさせて発表してください。
・ 1 ─ Aさんの立場
・ 2 ─ Bさんの立場
・ 3 ─ Cさんの立場
・ 4 ─ Dさんの立場
・ 5 ─ E
さんの立場(2)では,次の順番で発表してください
(対立する主張のある人を順番に)。
1 司会班の自己紹介
2 解決策の発表
(管理人班専用シート)
Aさん Bさん
Cさん Dさん E
さん040 特にないようなら,しろまるしろまるさんはありませ
んかと,それぞれを指名する。
特にないようなら,まず,しろまるしろまるさんの主
張を支持する人はどうですか。逆に,しろさんかく
しろさんかくさんの主張を支持する人はどうです
か。と各人をそれぞれ指名する。
それでは,
Aさん,
Bさん,
Cさん,Dさん,
Eさんの立場から,
それぞれ質問
や疑問はありませんか。
(1)それでは,グループ全体で話
し合いたいと思います。自分の考え
のある人はいませんか。
(2)最後に,
「望ましい」解決策(ルール)を決定したいと思います。
しろまるしろまるさんの解決策に賛成の人は挙手してください。しろさんかくしろさんかくさんの解決策に
賛成の人は挙手してください。
(以下,いくつかある場合には続く。)賛
成多数のため,
??さんの解決策に決定します。
3 質疑・応答
4 解決策の検討
十分,審議を尽くし,簡単に多数決による
決定に持ち込まないよう配慮する。
司会進行シート (管理人班専用シート)
くろまる マンションのルールを作ろう 司会進行シート041
3年
( )組( )
番 氏名
2 グループでまとめた解決策(ルール)を書いてみよう。
マンションの問題を解決しよう!解 決 策 理 由班自分の立場
1 自分の立場と他の立場が作った解決策(ルール)を「考える視点
シート」に沿って,グループで話し合い,検討してみよう。そし
て,その理由を書いてみよう。
くろまる マンションのルールを作ろう ワークシート042
3年
( )組( )
番 氏名
1 解決策(ルール)について評価してみよう。
誰が読んでも同じように読み取
ることができる。
解決策を決定する過程でみんな
が参加している。
自分の置かれている立場が代
わっても,
受け入れることがで
きる。
マンション問題を解決するとい
う目的を実現するのに適切な手
段である。
ルール評価の項目 評価結果 BかCにしろまるを付けた理由
A B C1234
A B C
A B C
A B CA:はい B:どちらでもない C
:いいえ
2 1で評価した解決策(ルール)をあなたは受け入れられますか。
その理由も書いてください。
マンションの問題を解決しよう!くろまる マンションのルールを作ろう ワークシート043
3年
( )組( )
番 氏名
4 新しい入居者が入ってくるなど,このルールが適用できないような
新たな問題が発生したらどうしますか。
3 1で評価した解決策(ルール)をあなたは守りますか。その理由も
書いてください。
マンションの問題を解決しよう!くろまる マンションのルールを作ろう ワークシート044

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