運輸経済月例報告 今月のトピックス

運輸経済月例報告 今月のトピックス 運輸経済月例報告 平成9年9月のトピックス



開港後3年を迎えた関西国際空港

空港の利用は、旅客・貨物とも順調に増大
空港アクセスでは、リムジンバスが好調

我が国初の本格的24時間空港として平成6年9月に開港した関西国際空港が、開港後3年を経過した。この間の利用旅客は、9年8月までの3年間で延べ 5,360万人、取扱貨物量は、同160万トンとなっており、順調に増加してきている。

(国際線)
関西国際空港に発着する国際線は、9年9月に最大の便数を記録し、35か国・地域の76都市との間に、637便/週の就航と、開港時の21か国・地域 44都市、338便/週に比べ、都市数、便数とも2倍近くに増加した。
この3年間の推移を見ると、利用旅客数は、開港後1年間の794万人が、2年目1,013万人、3年目1,133万人と着実に増加している。取扱貨物量も、開港後1年間の34万8千トンが、2年目42万6千トン、3年目57万6千トンと大幅な増加を続けている。この結果、国際航空における同空港の占めるシェアも拡大し、新東京国際空港への一極集中の是正が進んでいる。

(国内線)
国内線は、9年11月現在で、31都市との間に、519便/週が就航しており、開港時の24都市、468便/週に比べ、便数で10.9%増となっている。
この3年間の推移を見ると、利用旅客数は、開港後1年間の781万人が、2年目808万人、3年目830万人と、国際線ほどではないものの着実に増加している。取扱貨物量も、開港後1年間の7万9千トンが、2年目8万5千トン、3年目8万6千トンと僅かながら増加を続けている。
(早朝・深夜便の増加)
このような順調な乗り入れ便数の増加により、同空港の昼間の発着枠はほぼ満杯になっているため、早朝・深夜の乗り入れ便数も増加してきている。例えば、夜の22時台から朝の8時台までの発着数は開港時の2.3倍に増加し、9年9月時点で232発着/週に達している。
また、9年5月より国際旅客便が早朝・深夜の時間帯に就航したため、これにあわせてリムジンバスやJRのシャトル列車が運行され、アクセスの充実が図られている。
(空港アクセス)
同空港の主なアクセスは、「はるか」を中心とするJR、「ラピート」を中心とする南海電鉄、神戸、徳島等との間の旅客船及び各方面へのリムジンバスとなっている。
これら各アクセス機関のシェアを見ると、6年9月の開港時には鉄道利用者が83.5%(うち、南海電鉄44.5%、JR39.0%)を占め、旅客船が 6.1%で、リムジンバスは10.5%であった。9年9月には、鉄道は 75.8%(うち、南海電鉄34.7%、JR41.1%)と依然として大きいものの、大幅にシェアが低下した。特に、南海電鉄はシェアを約10ポイント落としている。旅客船は、神戸航路の利用者の減少により、4.4%とシェアを 1.6ポイント落とした。一方、リムジンバスは、19.8%と、約2倍にシェアを拡大した。
このシェアの変化は、鉄道では、ネットワークが広く、乗換の便利なJRがシェアを維持しているのに比べ、大阪市中心部から先の連絡に他の交通機関を利用しなければならない南海電鉄は、競争に不利になっていることによるものと考えられる。一方、シェアを着実に拡大しているリムジンバスは、所要時間では不利であるものの、料金の安さと、各方面と空港との間を直行することの便利さから、路線数の増加に伴い利用者が増加している。
アクセス機関の利用の動向を方面別に見てみると、
(1) 神戸方面は、旅客船の利用が大幅に減少し、バスの利用が増加している。これは、船舶の乗船時間は短時間であるものの、乗換と両端の陸上交通に時間が必要なことから、総所要時間で比較すると高速船の優位さが発揮できないこと、また、運賃が高いことによるものと考えられる。
(2) 京都方面は、JR利用者が圧倒的に多いと考えられるが、9年7月に運行を始めた京都市内とを結ぶバスも好調である。これは、バスの所要時間はJRより長いものの、運賃(JRは特急料金を含む。)が安いこと、京都駅前だけでなく、市内中心部との間の路線も設定されていることによるものと考えられる。
(3) 大阪方面でも、バス利用者の増加が著しい。これは、民鉄のネットワークが発達しているという地域特性から、地下鉄等を中継しなければならない鉄道間の乗換の煩わしさを避け、各ターミナルとの間を直行できるバスの利便性の評価が高いことによるものと思われる。


関西国際空港のアクセス機能の比較
方面
項目 神戸方面 京都方面 大阪市内方面
バス 旅客船 バス JR バス JR 南海
運 賃(円)
所要時間(分)
運行頻度(分毎) 1,800
75
20〜30 2,400
60
30〜45 2,300
105
30〜60 3,490
75〜98
30 1,300
50
12〜20 2,270
29〜48
30 1,400
29〜39
300
(注) 1. 神戸の旅客船は、三宮からのバス及び関空ジムジンを利用するものとし、乗換時間は考慮せず、また、運賃は「通海キップ」を使用するものとした。
2. 大阪市内方面は、JRは天王寺、南海及びバスは難波を起終点とした。
3. JRは「はるか」、南海は「ラピート」を利用するものとした。




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