〜運輸月例データ等からみた我が国の景気動向について〜
・運輸関連企業景気動向や出国日本人数等の運輸月例データは、我が国の景気動向を鋭く反映。
・将来的には、運輸関連データによる景気動向指標も検討。
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運輸省情報管理部では、先日発表した運輸関連企業景気動向調査の指数や運輸経済月例報告の各指標を用いて、現在、実質GDP伸び率等の主要経済指標との相関関係を調査している。
元来、運輸産業は、我が国経済の中では生産・消費等が行われる場合にはじめてサービスの提供がなされることから、実質GDP伸び率をはじめとする主要経済指標との関係では遅行的・従属的であると考えられていたところである。
しかしながら、バブル経済崩壊後の国民の消費形態に変化が生じたこと等もあり、運輸関連の指標のうち、いくつかのものは実質GDP伸び率の変動と一致的に動いていることがわかる。今回のトピックスでは、これらについて紹介する。
- 1.運輸関連企業景気動向調査と実質GDP伸び率との関係(図1参照)
・運輸関連企業の売上高等の見通し、景況感は、我が国景気動向とほぼ一致。
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運輸省では、半年に1回、運輸関連企業500社を対象に、景況感や売上高、経常収支等の現況及び今後の見通しについてアンケート調査を実施し、その結果をDI(ディフュージョン・インデックス)としてまとめ、発表している。
今年3月に実施した調査では、景況感DIは−72.5と相変わらず低いものの、売上高DIは−17.3、経常収支DIは−11.8と、いずれも前回調査より数値が改善しており、運輸関連産業における回復の基調が伺われる結果となっている。
各DIと実質GDP伸び率(対前年同月比)とを比較すると図1のとおりであり、各企業の売上高や経常収支の見通しについては、景気動向とほとんどタイムラグがない状況になっている。
- 2.運輸経済月例報告の各データと実質GDP伸び率との関係について(図2−1、図2−2参照)
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今回の調査では、月例経済報告の各指標の中で、実質GDP伸び率(対前年同月比)との相関が高かった指標として、旅客分野からJR定期外及び出国日本人数を、貨物分野から宅配貨物の分野を取り上げ、グラフに示した。
このうち、出国日本人数は特に相関が高い。これは、国内総生産の約6割を占める消費の傾向が海外旅行の指向と強く結びついていることを示すものであり、我々の生活の中で海外旅行が浸透していること等によるものと考えられる。
また、宅配貨物についても、取扱商品の多様化や時間帯別配送サービスの充実等サービスの多様化が進められており、国民生活の消費傾向と合致した傾向が出てきていること等によるものと考えられる。
情報管理部では、現在、これらの各運輸関連月例報告の各データと景気動向との関係を整理しているところであり、将来的には運輸関連データによる景気動向指標の策定を行うこととしている。
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