大臣会見

中野大臣会見要旨

2025年3月7日(金) 9:01 〜 9:22
国土交通省会見室
中野洋昌 大臣

主な質疑事項

冒頭発言

(大臣から)「鉄道事業等及び自衛隊における人材確保の取組に係る申合せ」の締結について

(大臣)

本日の閣議案件で、特に私から報告するものはありません。
このほか、私から1点報告があります。
退職予定自衛官の再就職等の促進についてです。
本日、国土交通省、防衛省、JR7社及び鉄道事業者団体との間で、退職自衛官の円滑な再就職の支援などについて一層の連携強化を図るため、「鉄道事業等及び自衛隊における人材確保の取組に係る申合せ」を締結いたしました。
これは、昨年末の「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議」があり、ここにおいてとりまとめられた基本方針に基づき、全国各地での退職予定自衛官を対象とした就職説明会の開催等の取組について防衛省と連携し、鉄道事業への再就職を後押しすることを申合せるものです。
自衛隊においては、多くの自衛官が30代半ばから50代半ばまでに退職しており、退職自衛官の再就職支援が急務となっています。
また、鉄道においては、近年、ローカル鉄道を中心に、担い手不足による減便や終電の繰り上げ等も発生しているところで、この申合せを契機に、防衛省との連携を深め、鉄道事業への再就職を後押ししていきたいと考えています。
同様の申合せは、昨年6月に自動車運送業等、他の団体との間でも締結していますが、今後、国土交通省が所管する他の業界においても申合せを締結するなど、防衛省と連携する業界を拡大していきたいと思います。
後ほどプレスリリースをします。
また、防衛省からも、本日発表しますので、詳細は事務方にお問い合わせください。私からは以上です。

質疑応答

東北新幹線における連結分離事案について

(記者)

昨日(6日)、走行中の東北新幹線はやぶさ・こまちの連結部分が外れて停車しました。
幸い怪我人はいませんでしたが、ダイヤが乱れ、本日の運航にも影響が広がっています。
運輸安全委員会も今回のトラブルを重大インシデントと認定して調査を開始し、国土交通省もJR東日本に原因究明と再発防止を指示しましたが、東北新幹線での連結の分離のトラブルは昨年9月以来2度目となりました。
改めまして今回の事案に対する大臣の受け止めと、再発防止に向けて何が必要とお考えか、お聞かせください。
また、昨年明らかになった輪軸の検査不正など運輸の安全を脅かす問題も相次いでいます。
この点に関してもお考えをお聞かせください。

(大臣)

昨日(6日)午前11時30分頃、東北新幹線の上野-大宮駅間において走行中の列車が分離する事案が発生しました。
JR東日本からは、走行中の下り列車、これは、こまち21号とはやぶさ21号ですが、これが分離し、非常ブレーキにより停車し、負傷者はいないと報告を受けたところです。
御指摘のとおり、東北新幹線では、昨年9月にも同様の列車分離が発生しており、車両を保有するJR東日本及びJR北海道からは再発防止のための暫定対策は措置済と報告を受けていたところですが、国土交通省としては、昨日(6日)、今回の事案を踏まえてその対策の効果を含めて、両社に対して原因究明及び再発防止策の検討を指示したところです。
また、本事案について、本日(7日)より、運輸安全委員会が調査を行うことになっています。
国土交通省としては、昨年9月にも同様の事案があったという中で、今回このような事象が起きたということは重く受け止めています。
JR東日本及びJR北海道からの、もう指示はしていますけれども、報告等を踏まえて、鉄道の安全・安定輸送の確保に向けては、事業者を適切に指導していきたいと考えています。
そして輪軸の話も含めて運輸の安全、鉄道の安全ということの信頼が揺らいでいるのではないかという御指摘もあったかと思います。
輪軸の組立作業時の不正行為も含めて、鉄道輸送の安全確保を、この不正行為というのは根底から覆す行為でしたので、私は大変遺憾であると今までも申し上げていまして、こうした結果を踏まえて、鉄道の安全、そして安定輸送の確保に向けては厳正に対処していかないといけないと改めて思っています。
やはり、輸送の安全確保というのが鉄道事業者にとって最も基本的ですが、しかしこれは最も重要な使命ですので、安全性向上に向けた取組というのを国土交通省としてしっかり講じてまいりたい、また、各鉄道事業者においてもやはり安全輸送の確保に万全を期していただきたい、これを改めてお願いしたいと思います。

全国交通系ICカードの機器更新に対する補助について

(記者)

全国交通系ICカードのことについてお尋ねしたいと思います。
全国交通系ICカードの機器について、単純更新がこれまで国の補助対象じゃないということで、熊本県内の事業者が利用停止しているのですが、熊本市から昨日6日、国が補助対象を拡充するという説明が議会でなされています。
この事実関係と、事実であればその拡充の理由、また新たな制度の内容等について教えてください。

(大臣)

熊本市内の交通サービスについては、ICカード機器の更新費用が高額であるなどの理由により、令和6年11月16日より市内のバスと熊本電鉄電車については、全国系ICカードの利用が廃止されて、令和7年2月24日にクレジットカードなどのタッチ決済が本格導入されたところです。
こうした新たな決済手段の導入については、その費用の一部が国費による補助対象となっている、こういう今までの制度です。
国土交通省としては、キャッシュレスサービスにおける利用者利便の向上に資する取組への支援を引き続き行っていきたいと思っています。
御指摘のあった機器更新等の費用についても、令和7年度より補助対象に含めることにしていきたいと思っています。
予算の範囲内で必要な事業に対し、できる限り支援を行っていきたいと考えています。
御質問の制度の詳細については、内容が決定次第お知らせをしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

引越時期の分散について

(記者)

大臣が以前からおっしゃっている引越時期の分散に関してお伺いします。
国土交通省で新たに赴任期間を延ばすという取組を始めたと聞きましたが、狙いと、どのくらい分散が進むと見ているか期待をお願いします。
また、発令日をずらしたり、内示を早めたりといった他の取組は今後お考えでしょうか。よろしくお願いします。

(大臣)

前回も御質問いただきまして、私の方でも国土交通省の取組ということで何ができるかということを、状況も確認しながら対応してきたところです。
改めてですが、「物流の2024年問題」も踏まえて、国土交通省としてできる限り引越の混雑時期を避けていただくよう国民の皆さまにもお願いしているという中で、職員に対しても、できるだけ混雑時期を避けて引越を行うように協力を呼びかけているところです。
御指摘の通り、職員としての選択肢を増やしていこうという観点から、新たに、4月期の転居を伴う人事異動に関しては、発令日から赴任までの準備期間である「赴任期間」を、単身赴任・家族帯同のいずれの場合も「14日間」とする内規の改正を行ったところです。
従来もう少し短い期間でしたが、これを14日間としました。
職員に対しては、こうした制度に加えて、赴任後に引越を行うことなども含めて、特に4月第2週目以降の引越を検討するよう、協力を呼びかけてまいります。
なお、職員が異動や引越の準備をなるべく余裕をもって行えるように、職員に対する引越を伴う異動の内示についても、できる限り早期に実施できるように取り組んでおり、本年は、4月期で最も多くの異動が見込まれるのは4月1日付ですが、異動の内示について昨年より1週間程度の前倒しを行っており、内示も従来より少し前倒しをして、赴任期間も従来より少し長めに取っていくということで、引越時期の分散化ができる限り可能になるようにこういう取組を行ったところです。
その効果がどのくらいかは、なかなか現時点で定量的にお示しするのはまだ難しいかと思います。
これは公務の状況や家族の事情もありますので、そこに支障の無い範囲内でできるだけ協力をということで考えています。
どういう効果がというところはなかなかお示しするのが難しいかと思います。

車体整備事業者による適切な価格交渉を促進するための指針について

(記者)

専門的ですが、事故修理の際に、皆さん車の保険に入っていると思いますが、保険を使った修理、これを「協定」と言いますが、これについての質問です。
物流・自動車局自動車整備課は、今年いろいろと昨年来ですが一生懸命頑張ってくれていて、例えば最近では車両法の犯罪の抑止や、今、市場が広がっている出張整備、これもまだ正確に定まっていなかったものをルール化する、矢継ぎ早に整備業界の改革策を打ち出してくれて非常に感謝しています。
その前提で冒頭言いましたけれども、長らく「協定」、損保さんと修理工場若しくは保険の加入者さんで、見積もりがいくらですか、いくら払いますか、というのをやってきたわけですけれど、どうしても企業規模の大きい損保が主導して規模の小さい修理工場やあまり知識の無い加入者は後手を踏んできたと。
これに対して問題意識を長く持っていたのですが、今週、その指針、ガイドラインが当局から発表されました。
この狙いについて是非お話を伺えればと思います。

(大臣)

自動車整備業は、国民生活を支える非常に重要な産業であると私も思っておりますし、そのためには優秀な整備士、この人材を確保・育成が大事ですけれども、そのためには、どの業界もそうですが、労務費等を適切に価格転嫁する、賃金に反映させることが非常に重要だと思っています。
しかしながら、御指摘のように、事故車の修理に関しては、事故車の修理を行う車体整備事業者と、支払いを行う損害保険会社との間で、十分な対話が行われていないのではないか、その結果、労務費の転嫁を含む価格交渉が課題なのではないか、こういうことを考えています。
そのため、国土交通省では、事故車の修理に関して、車体整備事業者と損害保険会社との間の適切な価格交渉を促進していこうという狙いで、車体整備事業者が取り組むべき事項をまとめた「指針」を策定し、今月の4日(火)に公表したところです。
期待ということでは、車体整備事業者の皆さまにおいては、この指針を参考に損害保険会社との価格交渉に臨んでいただき、労務費等が適切に価格転嫁されていくことが必要ですので、そこを期待しているところですし、同時に、一般社団法人日本損害保険協会においても、損害保険会社が対話・協議を行う上で参考とする「ガイドライン」を策定・公表したとも承知しています。
今後とも、国土交通省として、しっかり関係省庁とも連携して、車体整備事業者と損害保険会社との間の価格交渉の状況を継続的に把握していきたい、必要に応じて、更なる対策を講じていきたいと考えています。

東北新幹線における連結分離事案について

(記者)

連結トラブルで影響を受けた利用者に話を聞きました。
JR東日本の件ですけれども、駅で列車の再開を待つ間に、利用者は「点検のため」という同じアナウンスを繰り返されて、その次にあったのは「再開予定が14時半頃である」ということで、経路選択の参考にすることができなかったと話しています。
幹部の会見でも、一部のメディアに限られていて、十分な説明がなされているとは言えませんでした。
安全・安心の説明は、こうした限定的なもので良いのか、一般論として構わないので教えてください。

(大臣)

私も、昨日の個別の詳細な状況を全てつまびらかに把握しているわけではありませんので、あくまで一般論でお答え申し上げると、こうした車両の分離の事案というのは、輸送の安全そして安定輸送の点について、非常に影響がありますので、運送事業者においては適切にしっかり情報を提供していくことが期待をされるのではないかと、一般論としては考えています。

(記者)

新幹線の分離の関係で、追加で御質問なのですが、昨日の事案、昨年9月から同様の事案が発生しているということで、専門家からは前回の原因ですとか対策というものが、そもそも間違っていたのではないか、誤っていたのではないか、というような指摘も現在出ています。
これについて、国土交通省の対応としても、前回のものが適切だったのかどうか、このあたりについて国土交通省として、今どのようにお考えになっていらっしゃるのか、今後どのように対応していくのかについてお聞かせください。

(事務方)

先ほど大臣から御発言いただきましたが、昨年の9月に発生した事案については暫定対策をJR北海道、JR東日本においてとっていただいています。
その効果も含めて、それが本当に適切に働いたのか、それ以外の原因がなかったのかも含めて、今、改めて調査を指示したところですので、その結果を踏まえてしっかり我々としても対応していきたいと考えています。

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