Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism
各国・団体における
GHG削減対策の検討状況
国土交通省 海事局
海洋・環境政策課
平成31年4月21.GHG削減戦略に基づく新たな短・中・長期対策3提案国 規制対象 概要
日 本 設計燃費
1燃費性能の算定(EEDIベース)と、2エンジン出力制限等
による燃費改善を義務付け、証書で認証。
丁・独・西 年間平均燃費(実績)
毎年、年間平均燃費実績を提出させ、規制値を満たすことを
義務付け。(不適合の場合は証書無効化)
フランス
年間平均速度(実績)
or 年間平均燃費(実績)
毎年、i) 年間平均速度又はii)年間平均燃費実績を提出させ、
規制値を満たすことを義務付け。(罰則は不明)
CSC 年間平均速度(実績)
毎年、年間平均速度実績を提出させ、規制値を満たすことを
義務付け。(罰則は不明)
ICS 各船/各社が決定
各船/各社に効率改善目標(効率の定義は各船/各社が決定)
を記載させ、毎年、主管庁が確認。
WSC 年間燃料消費量(実績)
毎年の燃料消費実績に応じ、研究開発基金への拠出を義務
付け、研究開発支援ファンドを創設。(コンセプトを提示)
GHG短・中・長期対策に関する各国からの主な提案
(参考)欧州における運航データ報告制度
EU-MRV
IMO-DCS
(現行) (改正)
貨物量 実貨物量 DWT DWT
個船情報 公表 公表 非公表
• 2015年、EUは、船舶に対してEU域内を発着する航海の運航データの報告義務を課す
EU独自の制度(EU-MRV制度)を導入する欧州規則を採択。2018年1月より開始。
• 報告すべきデータの内容が、IMOに基づく国際的なデータ報告制度(IMO-DCS)と整合し
ておらず、船舶側の負担となっているため、我が国から、IMO制度への整合化を強く申し
入れ。
• 本年2月4日、欧州委員会は、報告すべきデータの内容をIMO制度に整合させる改正案を
発表。
※(注記)現時点では、行政府である欧州委員会として採択した状態であり、今後、欧州議会及び理事会による審議・プロセス
に入る予定。これら二者の採択及び署名を経て、EU規則として公布される。
日本提案「現存船の燃費性能規制」52030年までに国際海運全体の平均燃費40%改善達成
・IMOでは、本年5月の会合から、GHG戦略の実現のための国際枠組の策定に向けた国際交渉を開始予定。
・日本は、燃費性能の改善や燃費性能の良い新造船への代替を促す国際枠組を提案。
新造船への代替インセンティブの不足により、海運全体の
GHG排出削減が停滞する恐れ
現存船(燃費の悪い船)に対する規制が必要
船の種類、大きさ等により基準値を設定
対策の必要なし
エンジン出力制限
(最高速力低下)
新造船に代替
(大幅に燃費向上)
省エネ改造等
(燃料転換、機器等)
燃費性能
の評価
基準値クリア
基準値未クリア
現存船に対する日本提案
• 現存船に一定の燃費性能
を達成することを義務化
• 新造船への代替インセン
ティブを確保することで、新
造船への代替を促す
燃費規制 GHG排出量
スピード性能
(市場競争力)
新造船 あり
2013年〜開始
少 低
現存船 なし 多 髙
さらに、老朽船の新造船へのリプレースを促進する効果も期待
【現 状】
SEEMP作成後の更新・管理は、各船舶に委ねられて
いる。運航効率に対する規制は設けられていない。
【提案内容】
各船舶に対し、SEEMPに個船の効率目標を記載させ、
目標達成を義務付け。
目標値は、船種・サイズ毎にIMOが下限値(最低限設定
すべき値)を設定。
主管庁は、毎年提出されるSEEMP・DCSパートにより、
年間平均燃費(目標達成/非達成)を確認。
目標不達成の場合、IEE証書を無効化。但し、気象・海象等の外部要因の影響を考慮し、
微小な不適合であれば罰則の減免も示唆。
【備考・論点】
年間の実平均燃費については、気象・海象等の外部要因の影響を受けるほか、規制不適合
時の改善措置や罰則の取扱いに課題が残る。
デンマーク・ドイツ・スペイン提案「年間平均燃費規制」6SEEMPによる年間平均燃費規制
フランス提案「年間平均速度/燃費規制」7【現 状】
SEEMP作成後の更新・管理は、各船舶に委ねられて
いる。運航速度/効率に対する規制は設けられていない。
【提案内容】
コンテナ船等、一部の船種には、年間平均速度規制を設定。
RORO船等、大幅な減速が困難な船種には、年間平均燃費
規制を設定。企業単位での平均燃費も認める方針とする。
いずれも、主管庁が、毎年提出されるSEEMP・DCSパートにより、
年間平均速度ないし燃費(目標達成/非達成)を確認。
目標不達成の場合の罰則や監督方法については不明。
【備考・論点】
年間の実平均燃費や平均船速については、気象・海象等の外部要因の影響を受けるほか、
規制不適合時の改善措置や罰則の取扱いに課題が残る。
SEEMPによる年間平均速度/燃費規制
Speed
LimitORCSC提案「年間平均速度規制」8【現 状】
運航速度に対する規制は設けられていない。
【提案内容】
船種・サイズ毎に、運航が認められる最大の年間平均速度(制限速度)
を設定。減速の影響が大きい冷凍船は除外する模様。
具体的な減速幅(規制値)は不明。
主管庁が、毎年提出されるSEEMP・DCSパートにより、年間平均速度(規制適合/不適合)を
確認。
規制不適合の場合の罰則は、各主管庁に委任(罰金が最も現実的との由)。
【備考・論点】
年間の実平均燃費や平均船速については、気象・海象等の外部要因の影響を受けるほか、
規制不適合時の改善措置や罰則の取扱いに課題が残る。
年間平均速度規制
Speed
Limit
国際海運会議所(ICS)提案「SEEMPによる効率改善目標」9【現 状】
SEEMP作成後の更新・管理は、各船舶に委ねられている。
【提案内容】
SEEMPを、SOLAS条約に基づく安全管理システム(SMS)の一部に位置付けることで、主管
庁による定期検査の対象化とする。
各船舶に対し、SEEMPに個船又は企業単位の効率目標を記載させる。但し、効率目標の定
義は、各船舶/企業が自由に決めてよい。また、目標達成そのものは義務ではない。
目標達成の方法は、技術的手法と運航的手法の組み合わせが可能(例:バイオ燃料混合に
よって20%改善し、さらに、減速運航で20%改善など)。技術的手法の改善効果は、簡易的な
EEDIによって評価。
【備考・論点】
運航的手法による効率改善効果をどのように定量化するのかが不明確。また、技術的手法に
よる効率改善効果(EEDI改善幅)との整合性も不明。
目標非達成の場合の扱いも不明確。ICSは、目標達成自体の義務化には反対。
SEEMPによる効率改善目標
【現 状】
IMOの枠組に基づく国際的な研究開発の実施主体は設けられていない。
【WSCの検討内容】
国際的な海事分野の研究開発の実施主体「IMRB」を設置。
個別の船舶に対し、IMRBへの資金拠出を義務付け。
拠出額は、年間の燃料消費量に比例。
【備考・論点】
MBM(燃料油課金制度)に代わるスキームとして、課金という形を取らず、GHG排出削減に
ある程度の経済的インセンティブを付与する方策と考えられる。
ICS、BIMCO、INTERTANKO等と基本的なコンセプトを共同提案。
世界海運評議会(WSC)提案「国際海事研究開発委員会」10国際研究海事開発委員会(IMRB)112.新造船燃費規制(EEDI規制)関係
EEDI・フェーズ3規制: MEPC73(2018年10月)の決定事項12船種 開始年 規制値(基準値比%)
バルカー 2025年 Δ30%
タンカー 2025年 Δ30%
コンテナ船 2022年 大型はΔ40%、小型は引き続き検討
一般貨物船 2022年 Δ30%
ガス運搬船 引き続き検討 Δ30%
LNG運搬船 引き続き検討 Δ30%
クルーズ客船 引き続き検討 Δ30%
RORO船 2025年 Δ30%
→赤枠の船種について、引き続き、通信部会(CG)で検討を継続することとなった。13船種 開始年 規制値(基準値比%)
バルカー 2025年 Δ30%
タンカー 2025年 Δ30%
コンテナ船 2022年 各国・団体の提案を踏まえサイズ別の規制値を検討
一般貨物船 2022年 Δ30%
ガス運搬船
1.5万DWT未満:2025年
1.5万DWT以上:2022年
Δ30%
LNG運搬船 2025年 Δ30%
クルーズ客船 2025年 Δ30%
RORO船 2025年 Δ30%
EEDI・フェーズ3規制: 通信部会(CG)の検討結果14船種 開始年 規制値(基準値比%)
バルカー 2025年 Δ30% 【ブラジル・中国等】大型の基準値を緩和
タンカー 2025年
Δ30%
【INTERTANKO】大型の基準値を示唆(今後提案か)
コンテナ船 2022年
【WSC】DWT別に以下を提案:
1.5-4万:30%、4-8万:35%、8-12万:40%、
12-20万:45%、20万超:50%
一般貨物船 2022年 Δ30%
ガス運搬船
1.5万DWT未満:2025年
1.5万DWT以上:2022年
Δ30%
LNG運搬船
2025年
【ノルウェー】2022年
Δ30%
クルーズ客船
2025年
【ノルウェー】2022年
Δ30%
RORO船 2025年 Δ30%
EEDI・フェーズ3規制: MEPC74への各国提案
【現 状】
EEDI値の改善には、エンジン出力低下(設計出力低下)が効果的。
他方、一部船種(バルカー・タンカー)には、安全確保のため、一定以上の出力確保を義務付
ける「最低出力規制」が適用されている。
【提案内容】
エンジンにリミッターを取り付けて出力を制限
し、当該出力でEEDI計算することを認める。
悪天候時にはリミッターを解除し、最大出力で
運航することを認める(非常用出力)。
非常用出力を不正に使用されないよう、リミッター
解除記録を監視し、PSC等でチェック。
【備考・論点】
既に、一部の現存船では実施されている。
(日本提案の短期対策も出力制限を認めている)15出力制限・非常用出力
独・日・諾提案「出力制限・非常用出力」
Engine speed
Engine power
Light propeller curve
NMCR 105%NMCR
Available power
limited by EPLMCREngine speed
limited by EPL
Maximum
engine speed
Reserved available power
Engine limited by EPL
【現 状】
IMOは、船級協会から報告された新造船のEEDI情報を匿名データベース化している。
但し、船級協会からの報告は任意であり、全ての新造船がカバーされている訳ではない。
【WSCの検討内容】
主管庁・船級に対し、自国籍船のEEDI値をIMOに報告するよう義務付け。
IMOは、個船データを匿名化した上で、EEDI
データベースとして公表。
【備考・論点】
条約改正のため、最短で2021年末頃発効。16EEDIデータベース強化
WSC・日諾等提案「EEDIデータベース強化」