-1-社会資本整備審議会総会・交通政策審議会総会 合同会議
平成31年2月6日
【高桑総合政策局総務課長】 定刻となりましたので、ただいまより社会資本整備審議
会総会及び交通政策審議会総会の合同会議を開催させていただきます。
委員の皆様方には、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがと
うございます。私は、本日事務局を務めております国土交通省総合政策局総務課長の高桑
でございます。本日は、しばらく私が議事の進行を務めさせていただきますので、よろし
くお願いをいたします。
事前にご連絡をさせていただきましたとおり、本日の会議につきましては、ペーパーレ
スにて実施をさせていただいております。委員の皆様には、会議資料は配付せず、お手元
のタブレットを用いましてご説明をさせていただきますので、ご理解とご協力をよろしく
お願い申し上げます。
なお、お手元にタブレットの操作方法についての注意事項がございます。恐縮でござい
ますが、特に右にあるバッテン、これを押してしまいますとプログラムが終了いたします
のでご注意いただければと思います。なお、操作方法等につきましてご不明な点がござい
ましたら、委員の後ろにおります事務局の担当者にご遠慮なくお申しつけいただければと
思います。
また、本日、委員の皆様からご発言をいただく際には、こちらの机上札を立てていただ
ければと思います。立てていただいた方を順にご指名をさせていただきます。
続きまして、両審議会の会長と会長代理をご紹介させていただきます。
まず、三村明夫社会資本整備審議会会長でいらっしゃいます。
【三村社整審会長】 どうぞよろしくお願いします。
【高桑総合政策局総務課長】 続きまして、古賀信行交通政策審議会会長でいらっしゃ
います。
【古賀交政審会長】 古賀でございます。どうぞよろしくお願いします。
【高桑総合政策局総務課長】 続きまして、木村陽子社会資本整備審議会会長代理でご
ざいます。
【木村会長代理】 よろしくお願いいたします。-2-【高桑総合政策局総務課長】 続きまして、竹内健蔵交通政策審議会会長代理でござい
ます。
【竹内会長代理】 竹内でございます。よろしくお願いいたします。
【高桑総合政策局総務課長】 なお、両審議会委員のご紹介につきましては、時間の都
合上、委員の名簿によりかえさせていただきます。また、本日ご出席の委員の皆様につい
ては座席表のとおりでございます。
次に、議事の公開について申し上げます。両審議会の運営規則によりまして、両審議会
は原則として公開することとされております。本日の会議も公開で開催しておりますので、
あらかじめご了承いただければと思います。
それでは、会議の開催に当たりまして、塚田国土交通副大臣よりご挨拶申し上げます。
【塚田副大臣】 国土交通副大臣の塚田一郎でございます。三村社会資本整備審議会会
長、古賀交通政策審議会会長をはじめ委員の皆様には、大変お忙しい中、社会資本整備審
議会総会及び交通政策審議会総会の合同会議にご出席いただき、まことにありがとうござ
います。また、日ごろより国土交通行政の推進に多大なご協力を賜り、厚く御礼を申し上
げます。
改めて申し上げるまでもなく、我が国の社会経済情勢は、急速な人口減少、少子高齢化、
頻発・激甚化する災害とインフラの老朽化、そしてICT、AI等の技術革新など、過去
に経験したことのない大きな課題に直面しております。国民の暮らしに深くかかわる国土
交通行政においても、こうした諸課題を乗り越え、情勢変化に的確に対応していかなけれ
ばなりません。本日は、最新の社会資本整備・交通政策をめぐる動きや課題について、各
分野の担当からご報告をさせていただきます。委員各位には、忌憚のないご意見をいただ
き、国土交通省の施策の充実に生かしてまいりたいと考えております。
両審議会におかれましては、今後とも幅広い見地から一層のご指導を賜りますよう、よ
ろしくお願い申し上げてご挨拶といたします。よろしくお願いいたします。
【高桑総合政策局総務課長】 ありがとうございました。
これより議事に入りたいと思いますので、カメラによる撮影はここまでとさせていただ
きます。報道の皆様にはご協力をお願いいたします。
それでは、以降の議事進行につきましては、社会資本整備審議会会長でいらっしゃいま
す三村会長にお願いいたしたいと存じます。三村会長、よろしくお願い申し上げます。
【三村社整審会長】 それでは、議事に入りたいと思いますが、古賀さんと一緒に共同-3-司会ですな、きょうは。
【古賀交政審会長】 よろしくお願いします。
【三村社整審会長】 よろしくお願いします。
きょうは、説明をまず国土交通省からいただきますけれども、久しぶりというか、ほと
んど初めての総会でございますので、私としては、私が議長をやるときに大体委員の皆様
の意見を全員述べていただくことにしております。ただ、今回は合同会議であり非常に人
数が多いということで、できるだけ皆さんに意見を述べていただけるよう、これは皆さん
のご協力を得てそのように進めたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、議事に入りますが、議題(1)及び(2)については、事務局より説明をお
願いいたします。
【廣瀬河川計画課長】 水管理・国土保全局でございます。最初の資料1「大規模広域
豪雨を踏まえた水災害対策のあり方」につきまして説明をさせていただきます。
平成30年の7月豪雨に対しまして、社会資本整備審議会河川分科会のもとに小委員会
を設置いたしまして、総合的なご検討をいただきましたので、それについてご報告をさせ
ていただきます。
課題及び論点を真ん中のブルーのところに示しておりますけれども、アンダーラインが
今回の豪雨の特徴でございます。今回の豪雨は非常に大量な雨でございましたけれども、
地球温暖化による水蒸気の増加が寄与したのではないかという専門的なご意見が出ており
ます。また、現象といたしましては、バックウォーター現象ということで、本川と支川の
合流部での氾濫であったりとか、洪水と土砂が同時に氾濫する土砂・洪水氾濫という複合
的な災害が起こりました。
人的被害としては、死者・行方不明者が230名を超える甚大な被害になりましたけれ
ども、逃げ遅れる人的被害が非常に発生したというのがその特徴かと思います。
また、社会経済では、ライフライン、交通インフラの被災により、経済活動が停止せざ
るを得なくなり甚大な被害が発生いたしました。
小委員会のメンバーの方々、スケジュールは以下に示すとおりでございます。
次の2ページでございます。今回、非常にさまざまな現象が発生しましたので、その現
象ごと、ダム、土砂等の現象ごとの検討会、それから、緑で示しております現地での検討
会、情報がうまく伝わらなかったということで、マスメディアやネットメディアにも参加
いただいたプロジェクトとしても実施いたしました。また、内閣府や各県の検討会とも連-4-携を図って進めております。
次のページでございます。今回の答申のポイントでございます。平成27年の関東・東
北豪雨を踏まえまして、「施設では防ぎ切れない大洪水は必ず発生するもの」へと意識を
変革して、社会全体で洪水に備える「水防災意識社会」の再構築を進めておりましたけれ
ども、その取り組みをさらに加速するようにご指示をいただきました。
具体的には、下の絵でございますけれども、赤いところ、これは命を守る、人命を守る
取組、青色のところ、社会経済の被害を減らす取組、黄色いところ、気候変動への対応、
一番下、緑のところ、技術研究開発の推進というものにつきまして、それぞれ具体的な対
策についてご指示をいただきました。
次のページが、人命を守る取組についての具体的なものを記載してございます。象徴的
なものといたしまして、一番左でございます。従来までは、住民目線のソフト対策という
ことで打ち出しておったのでございますけれども、今回逃げ遅れが非常に多かったという
こともありまして、住民主体のソフト対策ということで、住民それぞれに具体的な避難計
画、マイ・タイムラインの作成等の推進を図るべきだというようなご指摘をいただいてご
ざいます。
我々といたしましては、この答申に基づき、後でご報告もさせていただきます3か年緊
急対策等を通じて、多層的な対策を推進してまいりたいと思っております。
以上でございます。
【森気象庁企画課長】 では、資料2に基づきまして気象庁からご説明させていただき
ます。「2030年の科学技術を見据えた気象業務のあり方」についてでございます。
本件につきましては、近年、AI、IoT技術の進展が著しい中、科学技術を基盤とし
ている気象業務について、今後10年程度を見据えた進め方について、交通政策審議会気
象分科会においてご審議をお願いしたものです。分科会長は新野先生でございます。
昨年1月から5回にわたってご審議をいただき、昨年8月にご提言をいただきました。
ここで、「気象行政」ではなくて「気象業務」としておりますのは、気象等の観測・予測
やその利活用は、気象庁のみではなくて、民間事業者、大学、自治体等でも行われている
ところでありまして、産学官一体となった業務のあり方についてご審議いただいたという
趣旨でございます。
ご提言のポイントとしましては、「重点的な取組事項」というところに記載されており
ますとおり、最新の科学技術に対応した、「1観測・予測精度向上に係る技術開発」を進-5-めるとともに、データや情報は社会で使っていただいてこそ価値があるということから、
「2気象情報・データの利活用促進」ということを柱としまして、これらを車の両輪とし
て進めていくというものでございます。この2本柱につきましては、基本的に産学官、さ
らには国際的な連携により進めることとしております。これに加えまして、この2本柱を
効果的に活用することにより、「3防災対応・支援の推進」を図ることとし、気象業務に
おいては、国の機関である気象庁が中核となって取り組むこととされております。
次に、それぞれの柱の具体的な取組事項でございます。「観測・予測精度向上に係る技
術開発」のところにつきましては、実況の監視から、集中豪雨、台風に関する予報、季節
の変化、さらには、数十年後から100年後の温暖化に関する予測まで、最新の観測機器
や予測技術を用いて精度を上げようというものでございます。
地震や火山については、気象に比べて予測の困難性というものがございますけれども、
その活動などを評価する技術を向上させるべきとされております。
また、「気象情報・データの利活用促進」につきましては、気象情報・データの取得・
利活用環境の整備というものに加えて、防災気象情報等の理解・活用力の向上にも取り組
んでいくこととされており、産学官が連携しまして、一層の生産性の向上といったものに
も貢献するということが求められているところでございます。
さらに、下のところの「防災対応・支援の推進」でございますけれども、これについて
は、平時から気象台職員が自治体等に出向いて「顔の見える関係」を構築して、緊急時に
は、気象台が持つ危機感を市町村に直接電話で例えば伝える、すなわち首長へのホットラ
インといったものを通じて着実に共有するとともに、住民自らが「我が事」感を持って避
難行動等に結びつく取り組みを進めるということとされているところでございます。
気象庁といたしましては、本ご提言を踏まえた取り組みを計画的かつ着実に進めていく
こととしております。特に、地域における気象防災業務ということにつきましては、先ほ
どの資料1にもございましたけれども、7月豪雨の課題、防災気象情報が住民の避難行動
に必ずしも結びついていなかったということを踏まえまして、気象庁においては、昨年1
1月から「防災気象情報の伝え方に関する検討会」を開催してきているところでございま
して、先ほどのご紹介にありました「大規模広域豪雨を踏まえた水災害対策検討小委員
会」とも連携させていただいて、急ぎ検討をしているところでございます。
ご説明は以上でございます。
【岡村技術調査課長】 続きまして、両審議会のもとで技術部会を設けてございます。-6-ここで国土交通省の技術政策を議論していただいておりまして、平成29年には、国土交
通省技術基本計画を策定させていただきました。
その後、さまざまな技術の進展等を踏まえまして、技術政策の推進に当たって、重要テ
ーマごとに議論を深化させ、この取り組みを加速化しようということでございまして、左
下にございますテーマ、モビリティですとか、温暖化を踏まえた防災、メンテナンス、都
市・地域マネジメント、こういったテーマごとに議論をするという場を設けてございます。
これが基本政策懇談会という懇談会を設けまして、石田先生を座長に会議を開かせていた
だきました。右下にスケジュールがございますけれども、昨年の6月から9月まで、4回
開催をいたしまして、昨年の11月に中間取りまとめを発表させていただきました。
その中間取りまとめの概要でございますが、マトリックスになっておりますけれども、
右方向に、横方向にテーマ別、そして縦方向に現状と課題、政策の方向性、具体的な政策
の提案という形でまとめてございます。
かいつまんでご説明しますと、真ん中の段の政策の方向性の太字をご紹介いたしますと、
モビリティにつきましては、MaaSと言われます新しいモビリティのサービスですとか
自動運転、こういった方向に進めていくべきであろうということでございます。また、防
災対策につきましては、最新の科学的知見・データに基づく防災対策、あるいは、総合的
な洪水リスクマネジメントという方向性。メンテナンスにつきましては、メンテナンス情
報のデータ化、あるいは利活用環境の整備ですとか、新技術、新素材の実装の推進。そし
て、都市・地域マネジメントにおいては、コンパクト・プラス・ネットワークの推進。そ
して、官民データと新技術活用によるマネジメントということで、スマートシティの推進。
こういった方向性をご議論いただいたところでございまして、これらをまとめて、一番左
になりますけれども、さまざまなデータが重要だということで、データ駆動型の行政を推
進したらどうかという方向性ですとか、部局間あるいは産学官の連携、そして技術の社会
実装の迅速化と、このような中間取りまとめをいただいたところでございます。
さらに、こういったテーマ、さまざまな深化をさせていく必要があると考えてございま
して、今月25日に第5回の会議を開催して、さらに議論を進めていくということで今後
進めていこうと考えてございます。
以上でございます。
【小善社会資本整備政策課長】 ×ばつハードで加速する防災・減災について。続きまして、第III部につきましては、老
朽化するインフラにつきまして、戦略的インフラメンテナンスを行っていくと。このよう
な構成で現在作成を取り進めているところでございます。
続きまして、資料5の「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」のご説明を
させていただきたいと思います。
昨年来、昨年の7月豪雨でありますとか台風21号、大阪北部地震、北海道胆振東部地
震などの災害が発生いたしました。それを受けまして、総理大臣より、インフラが災害時
にもしっかりと機能するように総点検するようにという指示がありまして、国土交通省を
含め政府全体で点検を行ったところでございます。その点検結果も踏まえまして、昨年1
2月14日にこの緊急対策を決定したところでございます。
2の取り組む対象の内容・事業規模の目途にございますように、緊急対策の項目として
は160項目、うち国土交通省は67項目でございますが、全体としては事業規模7兆円
ということで、Iの防災のための重要インフラの機能維持、砂防であるとか、ダムであり
ますとか、そういうものについて3.5兆円程度。IIの国民経済・生活を支える重要イン
フラの機能維持、道路でありますとか港湾、鉄道などにつきまして3.5兆円程度という
ことになっております。
3番、本対策の期間と達成目標でございますが、事業期間としましては2018年度か
ら2020年度の3年間ということになっております。初年度の対策として、速やかに着
手すべきというものにつきましては、今年度の2次補正予算で対応をしておりますし、2
019年度、2020年度につきましても臨時特別の措置を活用してこの緊急対策を実施
していくということにしておるところでございます。
説明は以上でございます。
【蔵持交通計画課長】 それでは、「新たなモビリティサービスの推進について」ご説-8-明いたします。資料6でございます。
1つがMaaS、Mobility as a Serviceの出現でございます。2014年にヘルシン
キにおいて、域内の自家用車を2025年までにゼロにするというロードマップが示され
まして、それをもとに、さまざまな公共交通機関を一括で検索・予約・決済できるアプリ
としてこのWhimというものがスタートしています。ここの下にございますけれども、
2つの地点、鉄道だけで行く場合、鉄道やトラムで乗り継いでいく場合、それからタクシ
ーで行く場合、検索ができるだけではなくて、右にユーロが書いてありますけれども、幾
らで乗れるかというのも出て、それでそのまま決済までできると、こういうものが出たと
いうことでございます。
もう少し具体的にご説明をいたします。このMaaSのサービスでございますが、利用
者に対して、その出発地から目的地までの移動を1つのサービスとして検索・予約・決済
ができるものでありまして、鉄道・バス・タクシーのみならずAIのオンデマンドバスと
かシェアサイクルという新しい乗り物も含めて一括でできると。さらに、小売とか宿泊、
それから病院の予約みたいなものも含めてサービスとして一括でやるものでございまして、
今、欧米を中心に各都市に広がっているというものでございます。国土交通省としても、
地方の交通手段の確保、都市の渋滞緩和、スマートシティの実現などに資するということ
で、この取り組みを進めていきたいと考えているところでございます。
ちなみに、このMaaSの効果でございますけれども、このヘルシンキのWhimで申
し上げますと、これを使い始めたユーザー、そもそもは半分が公共交通機関、4割が自家
用車の利用だったのが、ここの一番左にございますように7割が公共交通機関になると、
こういうことでかなり公共交通機関を使うようになってきていると。それだけではなく、
いろいろと得られたデータによって、その交通サービスの高度化も図れるようになるとい
う効果も持っているものでございます。
そういうことも含めまして、今、都市と地方の新たなモビリティサービス懇談会を開催
しておりまして、この日本版の、それから新たなモビリティのさまざまな乗り物について、
どのような形でこの社会実装をしていくのかと、こういうものを検討しておりまして、3
月までに中間取りまとめを行うこととしているところでございます。
ちなみに、その懇談会の中では、大きくこの4点について今検討を進めてございます。
事業者間のデータ連携をどうやって促進していくか。柔軟な運賃とか料金をどうやって実
現していくのか、パッケージ料金とかダイナミックなプライシングをどういうふうに検討-9-していくのか。まちづくり・インフラ整備、特に交通結節点であるとか道路空間をどうい
うふうに考えていくのか。それから、地方ごとにどういう形でそれを導入していくのか。
こういうことについて検討を進めているところでございます。
その検討を踏まえまして、来年度は新モビリティサービス推進事業ということで、各地
域で行われる実証実験、駅などでのオープンデータ化の推進に向けた実証実験、それから、
このMaaS、各事業者が行う取り組みの土台となる標準をガイドラインとして策定する
プロセスを実際に国主導で進めていく。そのための検討を進めることとしております。
最後に、この流れの中で、1月23日でございますが、スイスのダボスで行われた世界
経済フォーラム、このダボス会議で石井大臣がこのグローバル自動運転・都市交通カウン
シルに出席したので、そのご報告をしたいと思います。
このダボス会議、国土交通大臣として出席するのは今回が初めてでございまして、世界
のモビリティ分野における官民のリーダーたちが集まって、このグローバル自動運転・都
市交通カウンシルというものが今回結成されることとなりました。大臣は共同議長として
参加しておりまして、自動運転やMaaSについて我が国の立場を発信したということで
ございます。
発言といたしましては、その自動運転を前提とした新たな規制や制度を設計すべき。シ
ームレスな交通結節点の整備をすべき。それから、データの共有・活用を可能とする環境
整備をしていくことが大事だと。こういうことを踏まえて、官民連携、国際協調、利用者
を中心としたさまざまな対策を打っていくべきだ。そういうことを中心に考えていくべき
だということを説明した上で、この会議については、5月29日に第1回の正式会合が開
催されるということになって、今後定期的に検討が進められることとなっております。
以上でございます。
【高桑総合政策局総務課長】 続きまして、「社会資本整備、交通政策を巡る課題」で
ございますが、各種課題がございますけれども、本日のご議論のご参考となるよう、事務
局で7点ほどあげさせていただいております。
1点目が、人口減少・少子高齢化に向けた対応。また、2点目といたしまして、災害へ
の対応。3点目といたしまして、インフラの老朽化対策。また、4点目といたしまして、
生産性を向上させるためのインフラの整備・運営。また、同じく生産性に関するものでご
ざいますが、ICTを活用した生産性の向上。6点目といたしまして、訪日外国人旅行者
6,000万人を見据えた取組。最後、7点目が持続可能で多様性と包摂性のある社会の
-10-
実現について。
以上、大きく7つの課題をあげさせていただいております。本日のご議論の参考として
いただければと思います。
事務局からのまとめてのご説明は以上で終わりでございます。よろしくお願いいたしま
す。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。各分科会で非常に活発なご議論がなさ
れているということを聞いて、非常にうれしく思います。
それでは、これから皆様のご意見を伺いたいということですけれども、私からまず1つ
コメントをするとすれば、先ほど塚田副大臣が言われたように、国土交通行政を取り巻く
環境は非常に大きく変化しているということですけれども、その中でも今後の経済の持続
的な成長をなし遂げるためには、どうしてもストック効果の高いインフラを集中的に整備
することは依然として必要であると、このように考えられます。
それから、想定外の大規模災害がいろいろ出ておりますが、想定外なのか、想定内なの
か、これも1つの議論だと思っておりますけれども、これに対しては、ハード対策が大事
であると同時に、先ほどありましたように、住民主体のソフト対策も総動員すること、こ
れも大事であると、このように考えております。
それから、いま一つは、インフラの老朽化対策をどうしたらいいのかと、これがほんと
うに頭の痛い課題でありますが、幸いにしてICTやAIを活用した新技術の開発、これ
は非常に盛んになされておりますし、もう一つの大きな問題というのは、インフラの大部
分を管理する地方公共団体への財政的・人的支援、これをどうするかという問題もあると
思います。
事務局において、先ほど具体的な各分科会の説明もありましたし、最後の資料7で課題
を大きく7つの柱で整理しておられますけれども、本日の会議では、こうした網羅的な課
題について、まとまらなくても結構ですから、各委員の日ごろ持っている問題意識、ある
いは、国土交通省の運営に対するいろいろな意見についても自由にご意見をいただければ
幸いだと思っております。
ここで、古賀さんから一言よろしくお願いいたします。
【古賀交政審会長】 ただいまの報告をお伺いし、感じたことを申し上げます。1つは、
問題が非常に多岐にわたることを改めて実感いたしました。同時に、災害をはじめとする、
日本が直面している新たな現象を所与のものとして受け入れたほうがいいのではないかと
-11-
も感じました。一方、将来を考えると、先ほどご紹介があった新しいモビリティサービス
に代表される新技術や新たな対策手法が登場してきていることも事実です。
もう1点意識しなければいけない社会の潮流は、我が国の少子高齢化が進行し、労働人
口の絶対数が減っていくことです。この流れは何かの政策により急変することはないと思
います。したがって、例えば、インフラの老朽化や交通網の在り方を考える際、我が国で
起こりがちなことを申し上げると、追加的に新たな建造物をつくる、あるいは新しい機能
を追加するといった「足し算」の動作に終始することを危惧しております。新たに何かを
建設するのであれば、既存のものを縮小する、ないしは無くすという動作を大胆に実行し
ていかないと、管理しなければならないインフラが増え続け、我が国全体が回らないとい
う事態が起こりえます。
したがって、新たな交通網を考えるのであれば、新しいサービスを導入するだけではな
く、既存のサービスを縮小していく、また、この動作が円滑にできるような体制を構築し
ていく、そういう政策をぜひご検討していっていただきたいと思う次第です。現時点での
コメントは以上です。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
それでは、あと1時間あります。大体30人の方がしゃべることになると思いますが、
単純計算で一人あたり2分でございます。こちらからご発言を止めるようなことはいたし
ませんので、どうぞ自主管理をよろしくお願いしたいと思います。
先ほど申し上げましたように、どうぞ発言を希望される方は机上札を立てていただき、
順にご指名したいと思います。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
と言うと、大体最初はなかなか手が挙がらないので、石田さん、2分でお願いします。
どうぞ。
【石田委員】 ご指名でございます。簡潔に説明していただきまして、ありがとうござ
います。2つばかり申し上げたいと思います。
1つは、気象庁と河川局から、激甚化あるいは強靭化ということについてのすごい成果
の報告をいただきまして、ありがとうございます。これからは、地球温暖化問題というの
はまず焦眉の課題になってくると思います。その中で、ミチゲーション、CO2を削減す
るという政策と、アダプテーション、より強靭な国土にしていくという政策の両方を施策
体系に持っているのは、実は国土交通省と農林水産省だけですので、さらにこの勢いを貫
いていただいて、経済産業省と環境省の一角に割り込むというぐらいの覚悟でやっていた
-12-
だければと思います。
あと1分ありますので、私、参画させていただいております国土交通技術行政の基本政
策懇談会と新しいモビリティなのですけれども、これは、非常に局を横断する、あるいは
全省的な取り組みでございまして、議論が非常に活発で、非常にいい試みだと思っており
まして、私自身も一生懸命やらせていただいております。今までは議論だったのですけれ
ども、これからは、この政策展開を民間も巻き込む形でどう貫いていくのか。そういう中
で、今、古賀会長からありましたけれども、めり張りをどうつけていくのかということが
問われておりますので、成果を出した後もモニタリングとかレポートということをよろし
くお願い申し上げたいと思います。2分たちました。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
それでは、飯尾委員、よろしくお願いいたします。
【飯尾委員】 時間節約のために、隣にマイクがあるときに札を上げました。
大きなことで最初に申し上げますが、今のご説明を聞いて、さまざまな取り組みがある
ということ、大変前向きになっていることに大変感銘を受けました。その上で3つのこと
を気がつきましたので、ご参考までに申し上げます。
第1は、変化への対応というのはものすごく重要で、各分野でそれぞれやっておられる
と思いますが、そのときに重要なことは、変化に対応して各分野が適切に対応するだけで
はなくて、これまでの行政の考え方を少し考え直すということも時々必要になるのではな
いかと思われます。
例えば、先ほど例に挙がってきた新モビリティサービス、MaaSみたいなことをする
と、さまざまな交通手段が一元的に扱われる。そうすると、これまで分野別にやっていた
規制の考え方というのは変わる可能性がございます。そうすると、MaaSができてよか
ったというのではなくて、それまでの行政の枠組みを考えてみる必要はないか。もちろん
これまでどおりのこともあろうかと思いますけれども、そういう取り組みが必要なのでは
ないかというのが第1でございます。
第2は、そのこととも関係しますが、分野横断的な対応をどうするのかということでご
ざいます。例えば、インフラの老朽化という話が出てきましたし、人口減少もそうですが、
それぞれの分野では、人口は小さくなるからどうしたものかという検討をするのですけれ
ども、例えば、インフラによっては代替性があったりいたします。そうすると、どちらか
片方の手段に寄せるためにはどうかということがあります。それぞれの分野で精いっぱい
-13-
頑張っているだけではなかなか解決しない。もうここは、この分野は、この地域について
は、自分たちは手を放すというふうなこともあり得るということをどういうふうに議論を
したらいいのか。ここの会もそれぞれ分科会が分かれておりますからなかなかそういう議
論がしにくい。計画部会というのはそのためにあるわけですが、そんな大きなところに行
ってはいきなりできない。これは地方公共団体にとっても同じだろうと思いますから、そ
の議論の仕方をどうしたらいいのかということの工夫が必要なのではないか。第2でござ
います。
第3は優先順位。そうは言っても、それぞれの分野の中での優先順位ということになっ
てくると、今、両会長からお話があったように、それなりに課題は大きくなってくるとい
うことになると、例えば、災害に対応するインフラということ、優先順位は災害の規模が
大きいもの、起こりそうなものに対応しないといけないのですがどうするのか。あるいは、
これまでストック効果と言ってきましたけれども、ストック効果は大きければいいよとい
うことになっていて、どうしても面倒くさいもの、難しいものは後回しにしてきたのでは
ないか。そういう点で言うと、優先順位が高くて難しいものをどうやったらある一定期間
内にできるのかという検討が必要になってくる。一般的な優先順位はもうつけておられる
と思いますけれども、その上、実現の優先順位をどういうふうに考えていくのかというこ
とは必要なのではないかと思いました。
以上でございます。ありがとうございます。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
後ほど、事務局から、今の質問、非常に基本的な質問だと思いますので、答えていただ
きたいと思います。
次は勝間委員、よろしくお願いします。
【勝間委員】 すみません、3点お話ししたいと思います。
1点目は非常に簡単なことです。今、富士通のタブレットが配られているのですけれど
も、これがWindowsタブレットで私は心底驚いたのですよ。技術的なことを今議論
していると思うのですけれども、こういう皆さんで会議で物を共有するときに、タブレッ
トとして、実は、Windowsというのはオーバースペックで高くて使いにくいのです。
なので、単純にこれは一事例なのですけれども、国として何が技術として最適で、こうい
う場においてコストパフォーマンスが一番いいものは、どのような機器や、どのようなO
Sや、どのような技術を使うべきかということが、どういうプロセスでされているのかと
-14-
いうことに私は非常に疑問を感じました。これが1点目です。
ちなみに、私のWindowsは、割り当てられたものは年中通信が切れてよく見えな
くなりました。これは、大体市価で同じスペックのAndroid端末を買うのに比べる
と3倍から4倍すると思います。これは皆さんへのインフォメーションです。
次、2点目です。技術革新がさまざま進みまして、いろいろなことができるようになっ
ているのですけれども、例えば、海外では、キックボードってわかりますか、電動キック
ボード。あれが結構モビリティとしてはやっていまして、アメリカとか、ヨーロッパとか、
中国とかに配られていて、その辺にシェアサイクルみたいに乗り捨てられていて、お金を
払って、チャージはまた別の人たちが勝手にやって、1台運営者が幾らもらうみたいな形
で民間運営になっているのですよ。これ、もちろん日本で導入したいと思っている市町村
は多いのですけれども、当然これは道路交通法の規制でできない。なぜかというと、原付
扱いになりますので、まず原付のクリアをするために免許がないといけない、ナンバーが
ないといけない、ライトがないといけない、椅子がないといけない。私、これを実際自分
でつくったことがあるのですよ。とても不便でした。すぐにやめてしまったのですけれど
も、いずれにせよそのような形で、世界ではこういうことができるのに、日本のガラパゴ
ス規制のためにこういうことができないということが結構あると思うのですね。そこをき
ちんと新しいものを積み上げる前に、今バリアになっているものについてはしっかりと洗
い直すべきだと思います。これが2点目です。
最後、3点目なのですけれども、いろいろなインフラをつくるアーキテクトとして、国
全体が税金という形で金銭でお金を集めて、それをある程度いろいろな官僚の方やみんな
が一生懸命考えて再配分するというアーキテクト自身は、もちろんこの先も生きるのです
が、それ以上に重要なのが、民間や市民のリソースをどのように提供してもらって、それ
をお金ではなく、サービスとか情報という形でシェアをするかという部分のインフラのア
ーキテクトの姿の全体像が私には見えないのですよ。その部分について、どのように今後
発展させていくかという、もう1段、今個別の話をたくさんいただいているのですけれど
も、もう一つ上の全体像が必要ではないかと思います。
以上、3点です。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
次は太田委員、よろしくお願いします。
【太田委員】 ありがとうございます。
-15-
公共政策の執行には国民の理解が必要であります。国民の理解のためには説明の資料が
必要なわけです。その拡充をぜひ考えていただきたいと思います。つまり、統計の問題で
す。2000年以降は、公務員定員の削減や予算の削減で、まず真っ先に統計部局にかな
りのしわ寄せが来たと思います。政策に直接すぐに反映されないだろうということで削ら
れてきたように思っております。総合政策局が中心になって、情報関係、統計を扱ってい
るわけですけれども、結局各現局で局ごとにより詳しいデータを集めているように思えま
す。分野横断的な政策を打つためには、もう少し統計データの拡充が必要なのかなと思い
ます。アメリカは、90年でしたか、交通統計の局をわざわざつくったということもあり
ますので、今ちょうど旬の話題でもありますので、この機会にぜひ統計の拡充を進めてい
ただきたいと思います。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
次は篠原委員、よろしくお願いします。
【篠原委員】 2つばかり。
1つは、防災・減災、国土強靭化です。これをもうどんどん進めるというのは私も大賛
成なのですけれども、こういうものにえてしてある傾向が出てきます。各役所でこの国土
強靭化とか防災・減災という名目がつけば何でも予算がつくというような、そういう流れ
がこれまでも見られました。だから、ここは各省庁あるいは地方の自治体も含めて、きち
んと選別して真に必要なものに集中的に投資をすると、こういうチェック体制をしっかり
つくって、監視の目を光らせる必要があるのではないかなということが1点です。
それから、もう一つは訪日外国人の6,000万人の問題です。おそらく2020年、
4,000万人というのは、今のトレンドから言うと達成されるのではないかと思います
けれども、この6,000万人ということになると、そう簡単ではないのではないかなと。
そこで私の意見です。インバウンドばかりが強調されますが、アウトバウンドとの相乗効
果ということにもそろそろ目を向ける必要があるのではないかと。つまり、アウトバウン
ドとインバウンドが両方活発になることによって全体のシナジーが生まれて、それで全体
の人数も質も引き上げていくというふうに私はなると思っていまして、現に台湾や韓国の
人がたくさん来てくれていますけれども、日本からその両国へ行く人はインバウンドほど
は多くない。特に台湾とは、大きなインバランスが生まれていて台湾側からも相当不満が
出ていると聞いています。シナジー効果を考えるという意味で、例えばJNTOというの
はこの1つの推進力になると思うんです。法律の立てつけ上インバウンドしかできないよ
-16-
うになっていますが、これをアウトバウンドもできるような法律改正も含めて検討してい
く必要があるのではないかなと、こう思っています。
以上です。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
次は住野委員、よろしくお願いします。
【住野委員】 ありがとうございます。3点について簡潔に意見を述べたいと思います。
まず1点目は、防災・減災、国土強靭化のための対策ということで、いろいろ治水を中
心的な対策というのは出ているように思われますが、治水を生かす上では、治山対策もし
っかりとここの中で取り組んでいく必要があるのではないかなという点がまず1点です。
2点目は、「未来につなげるインフラ政策」についてでありますが、私どもは陸・海・
空・観光サービスで従事しているものですから、新幹線の全国ネットワークということは
非常にありがたいという計画ではありますけれども、先ほども出ておりましたように、こ
れから急激な人口減少が進む中で、ほんとうにコスト面がしっかり担保できるのか、ほん
とうに持続可能な新幹線ネットワークができるのだろうかということを老朽化対策も含め
て非常に危惧をしています。ですから、ある意味、今あるストックをどう改良し、改善し
ていくことも必要なときではないかなと思っていますので、例えば、ほんとうに300キ
ロの新幹線の速度が要るのかという地域もあって、例えば、200キロでも改良すればフ
リーゲージトレインのように運行できるのではないかと、私どもはそう考えておりますの
で、そういったこれからの将来を見据えた視点でそういうことも議論をしていくべきでは
ないのかなといったことが2点目です。
3点目は、コンパクトシティとか、地方創生とか、都市のあり方、まちづくりをどうし
ていくかという視点で言えば、先ほども出ておりましたように、この社会資本整備の計画
と交通政策の計画、きょうは一体的に議論をしていますから、特に思うのは、どう一体的
に財政も含めてマッチングができるかということが今後一番重要になってくるのだろうと
思いますし、各自治体の財政状況なり、それぞれ各自治体がどこを重点的にまずは進めて
いきたいかということを、しっかりとフォローができるということが一番大事なのではな
いかと思っています。とりわけ交通関係ですから、道の駅とか、コンパクトシティとか言
われていますが、財源的にもどういうふうにマッチングをして早くスピーディにそれを生
かしていくのか。海陸一貫輸送もそうです。モーダルシフトとか言われていますが、結局
部分的なことはありますが、どうそれをつなげていくのかということがこれから求められ
-17-
てくるのではないかと思いますので、そういった視点もぜひ皆さんで今後話し合っていけ
ればありがたいと思っています。
以上です。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
少し整理させていただきますけれども、たくさんの札が立っていますから、次のような
順番でお願いしたいと思っております。次が楓委員、その次が鈴木委員、その次が田中委
員、よろしくお願いします。それから中村委員、大串委員、加藤委員、上村委員。それか
ら新野委員、齊藤委員、原田委員、河野委員と、こういう順番で進めさせていただきます
ので、よろしくお願いします。藤沢委員がその次。ありがとうございます。
それでは、今までのところで国土交通省から何かコメントはありますか。
【高桑総合政策局総務課長】 行政全般についてご指摘いただきましたところは、しっ
かり受けとめて検討を進めていきたいと思います。まず、委員の他の皆様からもご意見を
いただければと思います。
【三村社整審会長】 わかりました。
それでは、今申し上げましたように楓委員、よろしくお願いいたします。
【楓委員】 先ほどのアウトバウンドのお話に関連して、観光に特化してお話しさせて
いただきます。
2030年に訪日外国人のお客様、6,000万人をお迎えするということは、観光に関係
する私たちにとっても大きな目標であり、施策を進めているところでございますが、実は
日本人の方の国内旅行が決して活発とは言えないのも現状です。例えば、京都ですと明ら
かに日本人のお客様が減っていますので、課題の中では、アウトバウンドの推進と共に、
日本人の国内旅行、これを活発化させていく、そのためにはどうしたらいいのか、このこ
とも課題の1つとして認識していただきたいと思います。
次に、「未来につなげるインフラ政策」という資料4についてです。今後内容を精査さ
れる段階と思いますが、第I部のインフラ政策の、道路、新幹線、リニア、港、それから
第II部の防災・減災について、この2つは観光と密接な関係にあります。第I部は観光の
推進に、第II部は安全な観光につながります。観光への効果をそれぞれに書き込んでくだ
さいとは申し上げませんが、この報告書に「序」や「はじめに」というような文章が入る
のであれば、ぜひ観光との関連性を丁寧に書き込んでいただきたいと思います。
もう1点は、49ページのインフラツーリズムの個所ですが、ここだけ「インフラツー
-18-
リズムに参加してくださいね」といった書きぶりになっているのにやや違和感があります。
インフラツーリズムの素材である工事現場やインフラ施設は、観光の貴重なコンテンツで
あることは確かですが、一番大事なのは、国や地方自治体などのそのインフラの整備や管
理者、それから現場の方たちが、いかにこのインフラ整備の意義を一般市民の方たちに理
解してもらい、わかってもらう、そのためにはどうしたら良いかの工夫を重ね、受入の準
備をするところにあります。今まで、課題となっていたインフラPRの効果的な手法のひ
とつではないでしょうか。これがインフラツーリズムの大きな意義だと思いますので、そ
のあたりもぜひ書き込んでいただけたらと思っております。
以上でございます。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
鈴木委員、よろしくお願いします。
【鈴木委員】 交通政策審議会の鈴木でございます。私から交通行政ということに関し
て幾つかお願いしたいことがございます。
1つは、先ほどMaaSというお話がありまして、これは大変すばらしい取り組みであ
ると思うのですけれども、現状、どうしてもローカルな話になりがちなのですけれども、
これは、日本全土をモーダルを超えて自由に行き来できるような、そういった交通体系を
目指していただきたい。どうしても行政の縦割りというものがあって、セクショナリズム
でよその行政となかなかうまく進まないというところがあります。航空、鉄道、道路、船、
これらがシームレスに使えるような社会を築いていくということが、少子高齢化、またイ
ンバウンドの人がふえてきたときに、移動を容易にするという意味で重要かと思います。
それから、2つ目は、行政のコストを下げる必要があるということは当然なのですけれ
ども、そのためには、民間の利用、民間の活用というのをもっと積極的に進めていただく
ような取り組みも進めていただきたいと思います。先ほど、勝間先生からキックボードの
話もありましたけれども、私の関係では、例えばドローンですとか、空飛ぶ車とか、そう
いった新しい技術がどんどんこれから出ようとしているのですけれども、制度的、政策的
に改善していかなくてはいけない、改革していかなくてはいけないというときに、どうし
ても行政だけではスピードについていけないということがございます。
アメリカでは、大統領令で、民間の活力をもっと有効に使うようにということで、民間
団体がそうした新しい技術の政策、技術基準を策定して提案するという、それを行政が採
用するというような新しい取り組みが行われています。そうした仕組みを日本でも検討し
-19-
ていくということが必要なのではないかと思いますので、お願いしたいと思います。
以上です。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
田中委員、よろしくお願いいたします。
【田中委員】 田中でございます。ご説明をありがとうございました。
きょうの説明を伺っても、少子高齢化の厳しい状況の中で、これから戦略的なインフラ
メンテナンスをやらねばというところになりますので、ここで言う戦略とは、国としての
大きな方針を踏まえた上で、住民が主体である認識を強く持って進めるということが重要
ではないかと思います。そのときに、地域に適したインフラ整備というのがあるかと思い
ますので、ぜひ住民の方々が、よく防災の観点では、自助・共助・公助と言われますけれ
ども、どうしても公助を受けて共とか自で動くというふうに何となく順番がこれまであっ
たような認識でいるのですけれども、今後は、同時進行で公も共も自助も一緒に動くとい
うふうな感じで、広域で議論をして連携できていくかというのがポイントになるかと思い
ますので、ここには大変情報の発信が重要になってくるかと思いますので、それによって、
社会資本整備を主体に、交通政策を主体に、連携ということを各地域も考えられるような、
そういう流れがとれればと思うところでございます。
もう一つは、これからAI、IoT等が進められて、これからの整備の中では、ここに
多くの大変な知見が集約されていくかと思いますので、今の国土交通省の働きがいとかや
りがいという人づくりのところにも支援をされているところでございますので、こういう
匠の技やスキル、技術というものがAIにラーニングされるような形で次世代に受け継が
れ、またここを支える人等、支援体制が、ほんとうに皆さんのモチベーションが上がるよ
うな、そういう体制がとれればと思うところです。技術とか、ビッグデータとか、現場の
声が互いにやりとりできる仕組みでよい流れができるように、この政策の課題を同時進行
で回る人への知見というのも強くふだんからメッセージできればと思います。
以上です。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
次は大串委員、よろしくお願いします。
【大串委員】 ありがとうございます。3点申し上げたいと思います。
MaaSのお話が先ほどから出ておりますけれども、できれば小型のスローモビリティ
などの活用も一緒に考えていただきたい。というのは、自分で動けるということに関して、
-20-
高齢社会においては、それは非常に大切な要素にもなってくると思いますし、もう一つは、
日本は自動車立国でもございますけれども、販売数は減っておりますし、なかなかチャレ
ンジングな試みができないような状態にもあるかと思います。先ほど、昨日か一昨日あた
りに、中国でナンバーの要らない小型電気自動車が爆発的に普及をしていて、非常な台数
が出ているという話がありました。いろいろな小型モビリティに限って言うとイノベーテ
ィブな動きがあるわけですから、ぜひそういったものが走りやすいインフラの整備という
視点を含めて議論を推進していただけるといいかなと思います。ですので、イノベーショ
ンを推進する施策として、スローモビリティ、小型モビリティもどうぞメニューに入れて
いただきたい。最近空飛ぶタクシーなども出てきていますよね。いろいろな多様な移動手
段等がこれからも出てくると思いますので、目配りをきかせていただきたいと思います。
それが1点目です。
2点目ですけれども、いよいよ6,000万人への高みということで、非常な躍進を遂
げるインバウンドの話が出ていますが、災害時に右往左往されている外国人の方がまだま
だ目につくというところで、昨年度であれば、関空で移動ができなくなったときに、日本
人に対しても情報が伝わらないような状態にあったとか、もしくは、新千歳空港でブラッ
クアウトが起こったときに、情報が何もないので大使館の情報などを見てすごしています
と、でもバッテリーが切れそうで心配ですみたいないろいろな声がありました。なので、
プッシュ的にどこに情報を出せばインバウンドの方たちが情報をとりやすいかということ
を検討しておくのも大事ですし、常日頃から各国大使館を含めた、例えば、中国人の方も
多いですけれども、シートリップとか、そういったメガの宿泊関係の業者の方たちにも、
ここの情報を見て自分たちの国の方たちに移動情報を取得してくださいというようなプル
ですね。プッシュだけではなくてプルも含めてふだんからの関係を築いておいていただき
たいなというのが2点目です。
3点目ですけれども、先ほどの関空にもかかわるものですけれども、損害賠償請求に関
しまして、例えばああいったインフラに損害が起こったときに、サービスもストップして
しまうわけで、非常に大きな損害を受けるわけですけれども、そういったときにきちんと
減収分を取り戻せるような法体系、整備されているのかなというところが少し不安であり
ましたので、そこら辺もできればお聞かせ願えれば幸いです。
以上です。すみません、長くなりました。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
-21-
次は加藤委員、よろしくお願いします。
【加藤委員】 名古屋大学環境学研究科の加藤といいます。
私は、公共交通の現場で、自治体さんとか事業者さんと一緒になって公共交通を立て直
すという仕事をやっていて、きょうで言うと、資料6のところの「新たなモビリティサー
ビスの推進について」がありますが、そこに鉄道・バス・タクシー事業者が入れさせてい
ただけるようにするにはどうしたらいいかということをやっています。いまのレベルでは
とても入れてもらえないと思っていますので、きちんと入れてもらえるようにレベルを上
げるということをやっています。
その観点から申し上げたいのですが、今、例えばMaaSであるとか、あるいはシェア
リングであるとか、自動運転であるとか、そういうことを考えたときに、決定的に自治体
だとか交通事業者の現場のところでは、IT化とか、デジタル化とか、そういったことは
もう全くできていなくて、紙とか、ファックスとか、そういう世界があるわけです。これ
をどう変えていくかということを考えたときに、最も簡単な方法がありまして、運輸局さ
んが事業申請や補助金申請の際に電子申請、それもオープンデータ、標準データで受けつ
けるようにしていただけると、やらなければ何もできないのでみんなやると思うのです。
今だと、申請は紙でやって、それとは別にMaaSだとかへの対応のためにデジタルデー
タをつくれとか言われても、それをやったってもうかるわけではないのでやらないわけで
すね。となると、結局MaaSは、今のまま行けば、大きい事業者の囲い込みだとか、地
域で予算がついたからやってみたとかという、全国至るところでそれぞれガラパゴスなも
のができて、結局全国でまとまらないということが、私の中ではとても危惧しているとこ
ろなのです。
なので、そういう意味では、国への申請というのは、弊害だと思われることもあるかも
しれませんが、逆にデータを収集できるとても大事な機会でもあると考えたら、電子化と
いうのはとてもいいことだし、そのことによって現場が省力化し、運輸局ならその出先の
ところで人が捻出されるとしたら、私がもう一つ取り組んでいるバスの安全対策、こちら
は人が足りない足りないと言っているのですが、そちらに回っていただくことができます。
また、紙ベースでの雑務のところをもっと電子化していけば、データ解析をいろいろでき
るようになり、国土交通省がシンクタンク的な機能を持つことができるのではないかとも
考えています。
国土交通省が出される公共交通に関する好事例でありますが、マスコミ等でも紹介され
-22-
るような決まりきったものが多くて、埋もれている好事例が見い出せていないのではない
か、見つけられていないのではないかと。その1つの原因として、せっかく申請という形
でデータを収集しているはずなのに、全く使えていないということがあると思っています
ので、こういう点をぜひ改善していただきたいなと思っていますし、現場の人間としては
そこに貢献できるようにしていきたいと考えております。
以上です。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
次は上村委員、よろしくお願いします。
【上村委員】 上村でございます。簡潔に3つのことを申し上げます。
まず、財源の問題です。未来につながるインフラ政策や、新技術や、自動運転や、防
災・減災、もうやらなければならないことはたくさん山盛りなわけですけれども、それを
全部予算化していくというのは大変でございまして、PPP/PFI推進アクションプラ
ンをもっと活用すべきと考えます。きょうの資料で見ておりましても、仙台空港とクルー
ズのターミナル施設、MICEの施設は出ておりますが、この数でいきますと、到底平成
34年までに21兆円をPPP/PFIで達成するという目標を上げておりますが、おぼ
つかないなと思っております。
やらねばならないことを全部予算化できないわけですから、事業性のあるものは、いか
に民間資金を投入していくか。人口20万人以上の地方自治体においては、優先的施策と
いうことで推奨はしておりますが、まだ義務化はされておりませんし、罰則規定もありま
せん。PPP/PFIに持っていきますように手続の簡素化とかそういうようなものも随
分進んでいるとは思うのですけれども、どうも本気になってどこまで国土交通省も、そし
て地方も首長をはじめみんなが、全部が予算化、税金でやることはできないのだというこ
とをもう少し腹に落として、このやらなければならないことをいかに民間資金も入れてや
るかということを真剣に考えてほしいと思います。先ほど、損害賠償の例がありましたけ
れども、今回も関西空港、台風21号で随分被害を受けましたが、民間の会社であればこ
そ損害保険に入れるのです。国は損害保険に入れないと思うのですけれども、今回の関空
も全額ではありませんが、一部おそらく損害保険で補塡というか、損害保険に入っていた
ことによって修理その他に回せたと思います。そのことが1点目です。
2点目は、先ほど楓委員もおっしゃいましたが、国民へのインフラ理解ということです。
同じく台風21号のときに、大阪地域には水門がありまして、安治川とか、毛馬とか、そ
-23-
れが30年ぶりでしたか、水門を閉めたことによって高潮被害は最小に防げたと思います。
ですからインフラがあってよかったということで、今まで公共事業の中で大分使われてい
なかったから随分この水門に対してもいろいろなご批判もあったと思うのですけれども、
あってよかったというインフラに関しては、あまり報道関係でも言われませんので、どう
いうふうに自ら広報していくかというのも難しいことですけれども、大切な防災に関して
はどこまでインフラで守るのか、どこまでソフトで守るのかというのはありますけれども、
そういったあってよかったインフラというものに対しては、この委員も含め、もう少し再
認識していろいろな場面で言っていく必要があるのではないかと思います。
3番目は、皆様もおっしゃっているように、分野横断で解決していかなければ、これか
らの未来につながるインフラ施策は、ほんとうに、あまりにもいろいろなジャンルにまた
がります。統合的、連携的にやっていきませんと実効していかないと思いますので、ぜひ
成長分野としての経済産業省や、防衛省や、そうした民間でサイバーを進んでやっていら
っしゃるところであるとか、サイバーセキュリティの問題であるとか、どういうところに
リスクがあるのか又、その他の問題も分野横断で進めていくべきであると思います。
以上です。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
それでは、次は新野委員、よろしくお願いします。
【新野委員】 気象分科会の担当をしております新野と申します。
気象分野は、地球科学の分野の中で唯一、実用的かつ客観的な予測が可能となっている
分野でありまして、これにはスーパーコンピュータの進歩、並びに関係者の努力があって、
年々予測精度が向上していると思っております。先ほど説明がありました分科会の提言で
は、2030年を目標にかなり挑戦的な目標を上げさせていただきました。例えば、集中豪雨
を起こす線状降水帯の予測については、暗くなる前に避難ができるようなタイミングで情
報が出せるように、また、強い台風が来る可能性があるときには広域避難が可能になるよ
うに、現在の1日前の予測ぐらいの精度で3日前から予報が出せるように、そういうこと
を技術的に可能にするようにという、提言を出させていただいたわけです。こういう情報
を携帯端末等で広く使っていただいて防災に役立てていただければと思っております。
この会議の前に、「未来につなげるインフラ政策」の案を拝見させていただきましたけ
れども、この中には外国人旅行者等への情報提供体制の確保ということが書かれてござい
ます。そこでは主に交通機関での対応が書かれてございましたけれども、現在では、山奥
-24-
の村にまで外国人旅行者等が入るような状況ですので、これらの方が時々刻々起きている
自然現象に伴う危険を的確に察知できることも必要かと思う次第です。例えば、気象庁が
出しております土砂災害警戒判定メッシュ情報等の危険度分布、それに土砂災害警戒区域
あるいは洪水ハザードマップみたいなものを重ねて、その中に自分のいる場所が表示され
るというようなシステムみたいなものが、国土交通省内の関連部署の協力で作られていく
とよいかなと思っております。もちろんこれらの情報は、日本人旅行者や住民の方にとっ
ても非常に重要なものとなると思います。
我が国の場合、セキュリティが高いという点が外国人旅行者の来訪しやすい理由の1つ
に挙げられておりますけれども、一方で自然災害が多い国ですので、災害のリスクに対し
て、外国人を含む旅行者が、自分のいる場所の危険度を的確に認識できるというシステム
作りを考えていただければと思っております。
少々テクニカルなお話になってしまいましたけれども、以上です。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
もう一度再整理させていただきますが、今札の上がっている方、齊藤委員、原田委員、
藤沢委員、河野委員、野尻委員、朝日委員、野川委員、中埜委員、藤田委員と、これだけ
上がっております。抜けはないでしょうね。中村委員はどの辺だろう。間違ってしまって
いるな、そうしたらもっと早くですね。
【中村委員】 後でいいです。
【三村社整審会長】 ということで、今回、時間があまりないので、これだけで打ち切
らせていただきますけれども、そうしたら、済みません、中村委員、僕が少し間違ってい
まして、先にお願いいたします。それから齊藤委員、よろしくお願いします。
【中村委員】 すみません。ありがとうございます。中村でございます。3点だけ。
特に交通サービスのところ、先ほどから多くの先生方がおっしゃっていた新しいモビリ
ティサービスのところですけれども、その動く、やる主体に民と官があり、民の中にも運
輸事業とそうではないものがあり、そのあたりをどうするかというのはいつも課題になっ
ているということと、それから、新しい話というのは昔からいろいろ出てくるけれども、
そのときに古いものとどう組み合わせていくのかというところの議論が、多分検討はされ
ているのですけれども、そこが要るなということを改めて感じました。
そして、さらにゴールの共有という言い方でいいと思うのですけれども、新しいと便利
になるとか、速くなるとかということよりは、例えば、社会的包摂がより進むであるとか、
-25-
災害復興時に、先ほど出ました、そういうところにこそMaaSの技術が回せるであると
か、あるいは、その先に全体の人々の生活の質につながるとか、そのゴールの部分、その
共有の部分とうまくつながっていくといいなというのが1点目です。
もう1点は、こういうものを具体的に実現していくときにスピード感はとても必要で、
その意味では、社会実験、実証実験等も含めたデモンストレーションがあるといいという
のは間違いなく、数々やっていただいているとは思うのですが、たまに非常に何のための
実験かわからないような実験に遭遇するときがあり、非常にこう、あまり格好よくないと
いうのは変ですけれども、ちんけというか、何というか、そのような実験が最近あるので
はないかという気もしています。なので、最終的にリーディング・プロジェクトとなる実
験を、実証実験がよりふえるといいなということを思いました。
最後に、こういうことをやっていくときに人材というのはすごく大事なのですけれども、
横に、交通は交通でも横に、交通、そして地域の生活、あるいは都市、そういうところに
つながるような人材というのがとても必要で、地方にそういう人がもっとふえればといつ
も思っているのですが、まだまだだなと思います。その中で、きのうぐらいに見つけた単
語なのですけれども、国際公共交通連合の中で、モビリティ・アーティストという言い方
をしていて、何のことかよくわからないのですが、クイズがあって、6問クイズを答える
とあなたはこういう人だなと出てくるのですけれども、移動全体をどうやって考えていく
か、いろいろな仕掛けがあり得ると思うのですけれども、そこのところでもう少し幅広な
人材育成があるといいと思いました。
以上です。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
それでは、齊藤委員、お待たせしました。よろしくお願いします。すみませんけれども、
全体的に少しスピードアップをよろしくお願いします。
【齊藤委員】 ありがとうございます。
私は、住宅や不動産を専門にしております。そこで、10年後に深刻になるであろうと
いうことで、でもなかなか解決の方策が見つかっていない問題に郊外住宅地の空き地・空
き家問題がございます。これは、もう市場での解決はなかなか難しいし、現制度のなかで
も難しいなと、両方の政策の中で考えている中で、きょう交通の技術の発達の可能性を聞
いて、もしかしたら明るい未来が来るのではないかという気がいたしました。何が言いた
いかというと、これらの問題は、住宅問題や不動産問題としてだけとらえるのではなく、
-26-
働き方改革も一緒に考えていかなければいけないので、問題解決・予防のために、交通政
策も一緒になって国土交通省の中では総合的な取り組みをぜひしていただきたい。そして、
すでに新しい交通の社会実験が行われているのもわかるのですが、10年後に確実に深刻
な問題になるということがもうわかっているわけですから、できるだけ早く、かつリーズ
ナブルな価格で実現できるということをぜひ総合的な取り組みという視点で実現をお願い
申し上げたいということでございます。
以上です。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
原田委員、よろしくお願いします。
【原田委員】 僕も交通ですので、モビリティサービスのところですが、Mobility as
a Serviceということの言葉というか、あまりゆっくりやっていられないのですけれども、
サービスを提供する、インフラも重要だし、車両も重要だし、新しい動的な運用システム
も重要だし、計画の規制やそういうことも、それから補助も、そういうところも全部重要
なのだけれども、結局最終的に利用者の目の前に非常にいいサービスが並んで、それを自
由に選んでその時々のベストなものが使えるという、そういう仕組みをつくろうという、
そういうことなので、その辺の基本的な考え方のチェンジというか、切りかえというか、
それはぜひやっていただきたいなというふうに思うというのが1つです。
それから、新しいモビリティサービスというのは、これは非常に便利なものですけれど
も、便利なものが来るとどうしてもマイナスの影響が出るということは、今まで繰り返し
やってきたことなので、例えばUberなどでも、ニューヨークでも、サンフランシスコ
でも、幾つかの大都市で混雑を悪化させていると、事後的にどうするかということを今議
論していて、プライシングを入れようなどということをやっている。それから、Mobility
as a Serviceに限らずですけれども、新しいモビリティサービスについては、労働力の面
についても、公平性の面についても、データのプライバシーの面についても、あるいは安
全、セキュリティの面についてもいろいろ問題だと言われていて、これについてはかなり
もう整理されてレポートがいろいろなところで出ている。そういう失敗例であるとか、既
に議論をされているものもぜひ参考に、マイナスがあまり出ないような仕組みというのは
ぜひやってほしいなと思います。
最後は、MaaSですけれども、これは公共交通網の大幅な改善ですので、地域公共交
通網形成計画を地方自治体が中心になって全体の責任を持って計画をして、モニタリング
-27-
をして、きちんとそのまちの公共交通をよくしていこうという仕組みを動かしてきた中で、
それとリンクしない手はないと思っているので、そこはぜひよろしくお願いしたいと思い
ます。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
では、藤沢委員、よろしくお願いします。
【藤沢委員】 ありがとうございます。3点申し上げます。
1つ目は、全てのインフラを見直す際に、もう一度コンパクトシティの思想に戻ってい
ただきたいということです。コンパクトシティを進めるときにも、過疎地域の方々から、
特に地域の議員の方々から、我々の地域がなくなるのかというような、インフラがなくな
るのかというご指摘はあったのですけれども、今回の北海道のブラックアウトを考えても、
交通網にしても、電源にしても、分散型というものを考えていくことというのは非常に重
要かと思いますので、その観点をもう一度、多分交渉はいろいろ調整いただくのは大変だ
と思いますけれども、そちらを進めていただきたい。
2点目は、4月から解禁されます外国人労働者のビザ解禁がございます。技能実習生の
状況を見ていても、建設業というのは外国人も大変避けております。一番トラブルが多い。
しかしながら、今、日本人の働きがいなどというのを建設のところでやっているわけです
けれども、外国人にも同じように。インバウンドも大事なのですけれども、長期的に日本
に住まい、消費をし、税金を納める人たちになるわけですから、この方々に対してきちん
とした受け入れ機関、きちんとした受け入れ企業というものに対する、現実問題をきちん
と見据えた上でのガイドラインと、それからモニタリングの確立をぜひしていただきたい。
これは観光も同じだと思います。宿泊も今回解禁になりますので、ぜひお願いしたい。法
務省は人手不足なので、任せても大変難しいかと思っております。
3点目、防災ではなくてデータ活用について、非常にすばらしいと思っているのですが、
まず集めるデータの精度にこだわり過ぎていらっしゃらないかなというのが1つ気にして
いるところであります。これからデータを活用していろいろするには、ベンチャーとのコ
ラボが必要で、今ベンチャーとお手伝いしていると、例えば、国土交通省の管轄で言えば、
気象データに関して、地上観測のデータが非常に不足しているのですが、この地上データ
の観測をするために複合気象センサを使おうと思うと、雷に弱いということで気象庁の検
定が取れないので、センサデータが全然使っていただけないというようなことがあります。
では、そうではなくて、いろいろなまだ、新しいセンサであっても使ってデータをとにか
-28-
くとれるようにとか、また、そういう地上データを正しく使い切れないときに衛星データ
を使っていろいろな予測をしようと思うと、今度は予報業務許可みたいなものもありまし
て、ベンチャーがこの業界に入っていくのに非常にハードルが高いわけです。なので、デ
ータ活用にはベンチャーは不可欠ですので、今、現実、実はデータをとるために阻害して
いるいろいろな厳しい精度を高める検定とか、認定とか、そういうものを見直していただ
けたらありがたいなと思います。
以上です。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
では、河野委員、よろしくお願いします。
【河野委員】 ありがとうございます。交通政策審議会で委員をさせていただいており
ます河野と申します。
本日見せていただきました資料について、1点だけコメントさせていただきます。この
資料は、国土の強靭化や防災対策を示すもので、どうしても視点が国内の視点に向きがち
だということはよくわかります。とはいえ、資料4の「未来につなげるインフラ政策」の
中には、国際的な視点に関わるものも若干見られるように思います。
日本にとりましては、これから先の未来につなげていくためには、国際競争力をどうい
うふうに考えていくかという視点がどういう資料にもおそらく必要ではないかと考えます。
特に国際コンテナターミナルやインフラの輸出といった議論をするときには、決して日本
の国内からの視点だけでは論じられないと思います。先ほどもいろいろな方が総合的とか、
省庁横断的ということをおっしゃいましたけれども、日本のこれからの国際競争力を考え
ていくためには、国全体としての経済政策の中で、国土交通省としてその持っておられる
技術、あるいは持っておられるインフラに関するノウハウをどれだけ日本の国際競争力に
結びつけていくのかという観点が必要ではないかと思います。減災とか防災とかといった
技術も、これは、実は国際競争力があればほかの国にも貢献していけるものだと思います
ので、ぜひそういう国際競争力、あるいは国際的な視点というものを入れていただければ
と思います。ありがとうございました。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
次は野尻委員、よろしくお願いします。
【野尻委員】 野尻でございます。
きょう、委員の皆様は、本日のテーマに沿ってといいますか、ご説明に沿ってご意見を
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述べられておられますが、私は少し論点が変わってしまって申しわけございません。私は
物流とかロジスティクスに関心を持って少し勉強をさせていただいております。物流分野
でも将来自動運転とか、AIとか、いろいろな将来構想がありますが、私の場合は、当面
する課題をどういうふうに乗り越えなくてはいけないかということで手いっぱいでござい
まして、物流の課題は山積しておりますが、要は労働力不足をどうしたらいいのかと。将
来的には、そういう機械、ロボット等が活用されるのでしょうけれども、昨年引っ越し難
民などという言葉とか、ロジスティクスのクライシスなどという言葉がありましたように、
すぐ数か月後にはそういうことがやってくる可能性がありますので、こういう直近の視点
も、問題も注意をしながら今後の議論をしていっていただきたいと思います。
いろいろ勉強をさせていただいておりますけれども、今のところ一番大きな課題、ある
いはこれから議論をしなくてはいけないなと思っているのは、取引の環境とか取引の条件
についてでございます。物流の場合には、荷主と呼ばれる方々と物流事業者の間でいろい
ろ契約に基づいて物流あるいは運送、保管等の行為が行われているわけですけれども、そ
こがなかなかブラックボックスになってわかりづらくなっております。もちろん全てでは
ありませんが、ケースによっては、取引上の立場の強弱がそうした契約上に非常に色濃く
反映されて、客観的に見てこれでいいのかというような事例もございますので、民間の契
約ですので、国の介入の仕方というのはいろいろ難しいと思いますけれども、今後何らか、
このまま放っておくと物流の隘路からなかなか抜け出せないということをひしひしと感じ
ているところでありますので、委員の皆様にもご指導いただきながら、その辺、私として
は勉強をさせていただきたいなと思っているところであります。よろしくお願いします。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
次は朝日委員、よろしくお願いいたします。
【朝日委員】 朝日と申します。2点です。
今までにも何人かの先生方からお話があったこともあるかと思いますけれども、財源と
いいますか、政策の効果の話です。3か年の防災・減災緊急対策のところの資料でも何兆
円という数字がそこだけでも並んでいて、効果を確実に出すということが大事かと思うの
ですけれども、その中でエビデンスに基づく政策ということがキーワードも出てきたかと
思います。全省庁が取り組まれていることかと思いますけれども、国土交通省については、
公共事業の評価であるとか、事前評価、事後評価、それからストック効果ということにも
注力してこられたので、そういった事業の評価ということについては、かなりきちんと取
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り組まれてきて有意性もあるのだなと思っています。
その上で、今後の効果をきちんと検証していくという視点でお願いしたいことは、よい
ことばかり言わないという点です。効果を出すというと、一般的には、こういう効果があ
るから事業の必要性があるのだということに使われるものかと思うのですけれども、何か
事業をやる、それから、特にこれからは、事業的にお金を出すということと同時に、先ほ
どからもお話があるように、規制緩和、規制を変えていくという場面が多くなると思いま
す。そうすると、再分配といいますか、得をする人もいれば損をする人もいるという場面
が今までよりも多く、今もそうですけれども、出てくることかと思います。そのような環
境の中で政策をきちんと進めていくためには、こういう効果がありますということのプラ
ス面だけではなくて、きちんとそのマイナス面についても説明するという責任がますます
大きくなってくると思っています。そういう意味で、きちんとほんとうの意味での意思決
定の支援になるような評価の活用ということを今までの蓄積を生かしてお願いしたいとい
うことが1点目です。
もう一つは、政策ツールという意味で、実際にその政策をする、実施していくに当たっ
ては、今までのお話でもあったように、自治体に補助金を出してとか、そういった形で進
めていく、それから、ガイドラインを整備して支援するといったことが典型としてあるか
と思うのですけれども、そういった形で自治体の状況などを見てみますと、補助があるか
ら、課題としては地域の課題を認識していたけれども、補助が出たから真剣に進められる
というふうな意味ではとても大きなインセンティブなのですが、逆にその補助事業がない
となかなか手がつけられない、人的に人もなかなかいないというような状況があるかと思
います。そういった意味で、支援という方向性と同時に、自治体にももう少しインセンテ
ィブを設けるといいますか、こういうふうな計画を出してくれたらきちんと評価するとい
うようなこと。もう始められているとは思いますけれども、そういった形で、民間活用の
話もありましたけれども、もう少し現地の工夫を引き出せるような形の政策ツールという
のをもう少し活用できたらいいのではないかなと思っております。
以上です。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
次は野川委員、よろしくお願いいたします。
【野川委員】 本日は、社会資本整備審議会と交通政策審議会がこれまで取り組んでこ
られた課題についての報告をそれなりに網羅的にいただきました。国土交通省が対象とす
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る領域は極めて広く、きょう報告された内容は、その一部ではありますが大変重要なもの
であって、これらについての意見を申し上げることも当然重要ではございますが、きょう
報告された内容のニッチの部分、きょう必ずしも直接には報告されていないことについて、
それなりの指摘を申し上げることにも一定の意味があると思われるところ、私は、労働法
学の研究者であり、かつ交通政策審議会では船員部会を担当しておりますので、この両者
にかかわる点についてご指摘を申し上げたいと思います。
先般、安倍内閣が成立させた働き方改革関連法において、最も主要な課題とされている
のがご案内のとおり長時間労働の抑制でございます。ところが、この長時間労働抑制のた
めに具体的に提示されている政策及びそれに伴って改正された法は、建設労働者であると
か、あるいはトラック、タクシー等の運輸業に携わる現業労働者は、別途の取り扱いがさ
れるということにされております。また、国土交通行政を担う重要な人材である船員につ
いては、もともとこの労働関係は厚生労働省の管轄ではございません。包括的に国土交通
省が船員については労働関係についても対応しております。このように、国土交通行政の
対象となる産業を担う労働者のほとんどは、実は厚生労働省の手に余る部分がある。技術
の高度化やITの進展というものに伴って今後進展していくこの産業分野において、現場
で働く労働者が健康で安全な環境で、十分な意欲を持って働き、生産性を上げていくとい
うことは、これは厚生労働省に任せることではなくて、国土交通省がむしろ積極的に考え
ながら対応していくべきことであると思いますので、船員にかかわらず他の建設、運輸に
かかわる労働者の環境についても、産業政策とのコラボレーションの形で考えていただき
たい。
それから、日本は島国であって、しかも全ての外国との国境を海で接している点が、同
じ島国のイギリスと違うところです。このような日本において、国際物流のほぼ全ては海
運が担っております。その海運で働く現場の船員さんの労働条件についても非常に大きな
問題が生じている。とりわけこの船員の不足、数が不足しており、かつ極めて高齢化して
いる。船員さんの平均年齢は既に60歳に近くなっているというような状況であり、また
船員さんの確保・育成ということについても非常に深刻な課題となっております。
このように、国際物流が枯渇すれば日本は生命線を断たれるというような重要な地位に
ある海運について、ソフトの面と、それからもちろんハードの面も含めて、本日は何ら報
告がなされませんでしたが、非常に大きな課題であるということをご指摘申し上げておき
たいと思います。
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以上です。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
時間は来ておりますが、最後まで行かせていただきますので、よろしくお願いします。
それでは、次は中埜委員、よろしくお願いいたします。
【中埜委員】 中埜でございます。2点申し上げたいと思います。
1点目は、関係するのは災害の対応の件でございますけれども、災害は、皆さんご承知
のように昨今非常に大規模化し、複雑化してきておりますけれども、一方で、災害が発生
したときに、スマホですとか、SNSですとか、それから音声データなども含めてで、非
常にたくさんの情報が集まるようになってきております。本日の資料では、生産性の向上
についてというところでICT、ビッグデータ、AIの活用というのは書いてございます
けれども、この防災に対する対応についても、こういうAIを駆使した対応というのを本
気で考えていかなければいけないのではないかなと。特に大規模災害、広域災害というふ
うになってまいりますと、なかなか人手だけではやっていけないだろうと思います。何で
もかんでもそのAIが使えるかというと、災害というのは新しいことが起こることもよく
ありますので、そうするとAIには手が出せないというようなことも起こるかもしれない
ので、そういった技術的な対応については解決していかなければいけない点が多々ござい
ますけれども、場合によっては民間の力も活用しながら、AIを駆使して判断を支援する
ような対策を実際に取り込んでいくというような対応が必要になってくるのではないかな
と思います。
2点目は、災害からどういうふうに回復するかという観点でございます。災害そのもの
は、もちろん事前に未然に防ぐというのが一番大事なことではあるのですけれども、それ
と同時に災害が生じたときに、いかに上手に回復するかということも大変大事かと思いま
す。東日本大震災の後、国連防災会議というのがございまして、そこでは仙台フレームワ
ーク(Sendai Framework for Disaster Risk Reduction 2015-2030)というのが採択をさ
れていて、「ビルド・バック・ベター(Build Back Better)」というようなキーワード
もございます。ですので、そのようなことをやっていくためには、例えば広域災害のとき
には、どの地域から回復していくのがほんとうにいいのかだとか、あるいは、場合によっ
ては、業種としてはどういう業種から回復するのがいいのかといったようなこと、それか
ら、災害が起こるとよく仮設住宅、避難住宅というものができますけれども、そういうも
のをほんとうに建てるのがいいのか、あるいは、少し後ろ向きかもしれませんけれども、
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空き家対策ともうまくリンクできないのかなというようなことももしかすると考えられる
かもしれません。ですので、いかに上手に回復するかという視点も非常に大事なのではな
いかなと思いましたので、ご指摘を申し上げました。
以上でございます。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
では、藤田委員、よろしくお願いします。
【藤田委員】 社会資本整備審議会の藤田でございます。
3つほどほんとうは質問があったのですけれども、質問というか提案があったのですけ
れども、今、中埜委員からもお話があったので、1つわからなくて、質問みたいなもので
もよろしいですか。
資料5のものなのですけれども、この「取り組む対策の内容・事業規模の目途」という
ことで、幾つかの項目は、こちらの「未来につなげるインフラ政策」にも記載されていま
すし、モビリティの問題だとか、今お話があったのですけれども、例えば、この取り組む
課題のIIの「国民経済・生活を支える重要インフラ等の機能維持」というところに、電力
等エネルギー供給の確保というのがございます。確かに国民生活を考えると、この前の苫
東厚真でも、最近少し調べてないのですけれども、地震が終わった後、しばらくして報道
で1,300億円ぐらいの経済的損失につながっているという報告があったりして、電力
事業者だけの被害にとどまらず、電気がないととても生きていけない世界になっていると
思うのですね。これに関して、この項目が上がっているということで、資料4を見ても何
も出てこないのですけれども、これは、国土交通省としては取り立てて何か作戦があって
とか、国土交通省の立場からこの国民経済・生活を支えるインフラとして何か対策を打っ
ておくべきだという提言があるのかないのか。この辺は私もかかわれるところなのかなと
思っていたので、半分ご質問なのですけれども、させていただきたいと思います。
【三村社整審会長】 はい、結構です。後で事務局より答えてください。
それでは、最後になりますけれども、塩路委員。これで意見陳述は最後にさせていただ
きます。
【塩路委員】 すみません。ありがとうございます。
私は、自動車の排ガス低減だとか環境改善に関わっていて、今はちょうど燃費の基準を
どうするか、EV・PHVをどのように普及させるかというような、、目先のことで手い
っぱいなのですけれども。今日ご説明いただいたところの課題でまとめられている7項目
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というのは、みんな未来志向のアイテムで、それを中心にまとめられていると理解してお
ります。
こういう場では当然そうなのでしょうけれども、先ほど来、各委員からのいろいろなご
指摘があったように、まだ様々な取り組みにこれ以外の課題があると思っています。例え
ば、紙申請と電子化のミスマッチングであるとか、セキュリティ確保、サイバーセキュリ
ティをどう確保していくかというところであるとか、あるいは、先ほど来の海運の話もさ
れていましたけれども、何かここに書かれていない基本的な課題がいっぱいあるような気
がしていて、そのあたりをどう解釈したらいいのでしょうか。もちろん、ここに書かれて
いることでも、これくらいの少しの資料ではなかなか書き切れないとは思うのですが、い
ろいろ他にも含まれるべき内容もあると思っています。この7つ項目もみんなこれは並列
で見られませんよね、視点がいろいろなところに関連していて。そういうところでどうい
う意見を申し上げたらいいのか、もう一つよくわからないのですが、国土交通省というの
は、日本の基盤を確保するところですから、本当にいろいろな取り組みがあります。特に
私が思っているのは、地域のニーズというか、そういうものに根差した非常に多様な施策
があって、適材適所の考え方やコンセプトというのが絶対必要になってくると思うのです
けれども、それが少しここでは見えてこないなと思いました。
だから、ここでの全体の考え方やまとめ方をどう表現するのか。ここで示されたことの
もっと前にある課題というのがいっぱいあると思うのですが、それをどう記述するのか。
小さいところを切り捨てないように、適材適所で基盤を確保していくという課題をどうい
うふうに扱っていくのかということも考えなければいけないのではないかなと思いました。
長くなって済みません。
【三村社整審会長】 ありがとうございました。
それでは、事務局から一括してということと、それから、栗田局長、森次官よりお話が
あると聞いておりますので、簡潔によろしくお願いいたします。
【栗田総合政策局長】 総合政策局長です。改めて、大所高所のご意見、大変多くのこ
とを伺いました。時間を超過して申しわけありません。全部のことにとてもお答えできま
せんけれども、大変大きなご指摘を頂戴しましたので、幾つかについてのみお答えしたい
と思います。
変化への対応をしっかりしろ、そのときに足元、ストックもルールもきっちり見直して
いくべきというようなご指摘が共通しての1つのことだったと思います。過去にとらわれ
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ず見直すべきものは見直していきたいと思っています。本日見ていただいたパンフレット
もめくっていただくのも大変ですが、第III部の見出しには、集約とか、再編とか、そうい
う言葉を使っていたと思います。臆せず取り組んでいきたいと思います。
視点を原田先生から最後にまとめていただいて、MaaS絡みで、視点を利用者に持っ
ていくのだということが大変大事なことだというようなご指摘がありました。これはいろ
いろなことに通じていくと思います。MaaSにおきましての事業者とのリンクとか、ガ
ラパゴスにしないとか、そういうことにも通じていくと思いますし、インフラを整備する
ときに、利用者側から見て意味があることという意味で財源の多様化、こういったことも
そこから通じていくようなお話だなと改めて受けとめました。
横断的に、局横断的にというようなこととか、あるいは施策横断的にというようなこと
も1つのキーワードとして共通性があったのではないかと思います。国土交通省というよ
り統合された形になって、施設整備のところから統合効果をどうやって出すかと、こうい
う議論の中で、最近では、公共交通とまちづくりとか、政策をがっちり組んでというとこ
ろでそれなりに進んできたとは思いますけれども、改めてもう一段進めていくべきところ
があるかなというようにも感じながらお話を伺っておりました。
それから、きょうもIT化ということに関しましては、きょうもタブレットでペーパー
レスでチャレンジさせていただいておりますけれども、ますます進めていかなくてはいけ
ない。データを申請いただくときのデータ化ということも我々にとっての有用な手段だと
いうことで、これは統計についての、ある意味での、別の意味で今旬になっていますけれ
ども、そこについても関連するご指摘だなということで、データ駆動型行政、これは国土
交通省の言葉ではありませんが、その面を今どんどん推進しているところでご指導をまた
お願いしたいと思います。
5つ目、地域で戦略を持つということとか、実証実験も大事、それから、人材というこ
とも改めて着眼ということかと思います。これは、我々の仕事が現場で意味を持つ、実効
性を持つということにつながっていく大変大事な領域で、国土交通省が一番本旨とすると
ころだと思いますので、改めてきっちり認識を持って進めていきたいと思います。
また、個別にお尋ねをいただいたようなものもございます。この場でお答えできるよう
なこともありますが、時間もありますので、それはお返しの仕方はまた別に考えたいと思
います。
最後に、私から、両審議会には、これから社会資本整備重点計画ですとか、交通政策基
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本計画ですとか、そろそろ改訂に向けての本格的な準備期間に入りたいと思っています。
総会のご指導も得て、また計画部会とかそういう立て組みもつくりながら準備を進めてい
く、そういう段階に入っておりますので、またぜひ引き続きのご指導をお願いしたいと思
います。もろもろのお返しの仕方はまた別途考えたいと思います。
最後に、次官から一言申し上げます。
【森事務次官】 国土交通次官の森でございます。きょうはお忙しいところをありがと
うございました。また、十分な時間をしっかりととれずに、また短時間しかご意見をいた
だけなかったことは心苦しい限りでございます。
きょうを総じまして全体のご意見をいただいた中で、私が非常に感銘を受けたことは、
気をつけていかねばならないと思ったのは、施策の連携、あるいは事業の連携という、役
所の、本来であれば縦割りを排することのできる私たちであるにもかかわらず、そういっ
たところに関してかなりいろいろなご意見をいただいたことを心苦しく思っておりますし、
また、これについて気をつけていかねばならないと思っております。
役所でございますので、単なるひらめきの施策はいろいろ出てくるのですが、私たちも
非常にいつも悩んでおりますのは、実際事業の主体も国から自治体までございますし、ま
た、企業の方々との連携もございます。企業も大きな企業から、またスタートアップの企
業の方々もいらっしゃるということで、さまざまな方々とどのように進めていくか、進め
ていけるかというところが多分一番大きなポイントだろうと思っております。この進め方、
これを私どもとしてもどのように具体化していくのかというのをまた皆様方からいろいろ
お知恵をいただければと思います。
単純な、また1つ1つの分科会の中での議論の場のみならず、平時でも引き続きのご指
導をいただければ幸いというふうにお願いを申しまして、最後の言葉とさせていただきま
す。ありがとうございました。
【三村社整審会長】 どうもありがとうございました。
今日は、短い時間でしたけれども、各委員から非常に効率的にご意見を述べていただき
ました。お願いは、これについて、このまま放っておくのではなくて、何らかの意味での
フィードバックを国土交通省にはよろしくお願いしてこの場を終わりたいと思います。
事務局から何かありますか。
【高桑総合政策局総務課長】 ありがとうございました。
本日の会議の内容につきましては、後日委員の皆様方に議事録をご確認いただいた上で
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配付資料とともに国土交通省のホームページにて公開させていただきます。
本日は、どうもありがとうございました。
―― 了 ――