平成8年度社会保険事業の概況
平成8年度社会保険事業の概況
社会保険庁運営部
企画・年金管理課
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I.社会保険事業の給付の規模
社会保険庁は、国民年金、厚生年金保険、政府管掌健康保険及び船員保険の事業を行っており、平成8年度の給付の規模は30兆3千億円となっている。
表1 社会保険事業の給付の年次推移
表1 社会保険事業の給付の年次推移 解説:対前年度増加率 4.8%、対国民所得 7.7%
II.公的年金制度の概況
(1)適用状況
国民年金被保険者数(公的年金加入者数)は、平成8年度末現在で 7,020万人となっており、前年度末に比べ24万人(0.3%)増加している。
国民年金の第1号被保険者数(任意加入を含む)は、前年度末に比べ25万人(1.3%)増加し、平成8年度末現在で1,936万人となっている。
第2号被保険者数(厚生年金保険及び共済組合の被保険者)は前年度末に比べ18万人(0.5%)増加し、平成8年度末現在で3,882万人(うち厚生年金保険3,300万人、共済組合583万人)となっている。
第3号被保険者数は、前年度末に比べ19万人(1.5%)減少し、平成8年度末現在で1,202万人となっている。
図1 国民年金被保険者数の推移(年度末現在)
図1 国民年金被保険者数の推移(年度末現在)
表2 男女別国民年金被保険者数
表2 男女別国民年金被保険者数
(2)給付状況
公的年金受給者数(延人数)は、平成8年度末現在で3,394万人となっており、前年度末に比べ158万人(4.9%)増加している。
また、厚生年金と基礎年金を併給している者の重複分を控除した場合の公的年金受給者数(延人数)は、平成8年度末現在で3,035万人となっており、前年度末に比べ87万人(3.0%)増加している。
公的年金受給者の年金総額は逐年増加しており、平成8年度末現在では、33兆1千億円となっており、前年度末に比べ1兆3千億円(4.0%)増加している。
図2 公的年金受給者数の推移(年度末現在)
図2 公的年金受給者数の推移(年度末現在) 解説:平成8年度末 国民年金 1,561万人、厚生年金保険 1,432万人、共済組合 368万人、福祉年金 33万人
注.内は厚生年金と基礎年金を併給している者の重複分を控除した場合の受給者数である。
表3 公的年金受給者の年金総額の推移
表3 公的年金受給者の年金総額の推移 解説:平成8年度末 国民年金 84,028億円、厚生年金保険 169,731億円、共済組合 76,001億円、福祉年金 1,326億円
III.国民年金
(1)適用状況(第1号被保険者)
平成8年度末現在の国民年金第1号被保険者数(任意加入を含む)は1,936万人であり、男子は936万人、女子は999万人となっている。
表4 国民年金第1号被保険者数の推移
表4 国民年金第1号被保険者数の推移
平成8年度末の免除率は17.6%、平成8年度における検認率は82.9%となっている。
図3 国民年金保険料免除率及び検認率の推移
図3 国民年金保険料免除率及び検認率の推移
(2)給付状況
*注国民年金受給者数は年金制度の成熟を反映して着実に増加してお
り、平成8年度末現在で1,561万人に達している。そのうち、自営業者等の受給者数は、1,178万人となっている。
国民年金の平均年金月額は逐年増加しており、老齢年金の平均年金月額は平成8年度末現在で4万6千円となっている。自営業者等の受給者については4万1千円となっている。
なお、平成8年度新規裁定者についてみると、5万円となっている。
表5 国民年金受給者数の推移
表5 国民年金受給者数の推移
表6 国民年金受給者の平均年金月額の推移
表6 国民年金受給者の平均年金月額の推移 解説:平成8年度末 老齢年金 50,328円、通算老齢年金 17,291円、遺族年金 75,548円、障害年金 80,296円
*注) 国民年金受給者:旧法国民年金の受給者と新法基礎年金の受給者の合計であり、基礎年金受給者には被用者年金を上乗せして受給している者を含む。
老齢年金の繰上げ受給率は、平成8年度末現在では60.8%、平成8年度新規裁定者では34.2%となっている。
その推移をみると低下傾向にある。その低下幅は、年度末現在では平成5年度1.1、平成6年度1.2、平成7年度1.3、平成8年度1.4であり、新規裁定者では平成5年度4.0、平成6年度3.3、平成7年度2.8、平成8年度2.6となっている。
図4 国民年金老齢年金の繰上げ受給率の推移
図4 国民年金老齢年金の繰上げ受給率の推移
(3)収支状況
平成8年度決算における国民年金の収支状況は、収入が6兆9千億円、支出が5兆9千億円、収支差引残が9千億円となっている。基礎年金交付金を控除した実質的な収支状況は、収入が3兆8千億円、支出が2兆9千億円となっている。
平成8年度末現在の国民年金の積立金は7兆8千億円となっている。また、平成8年度の平均運用利回りは4.56%である。
表7 国民年金の実質的な収支状況
表7 国民年金の実質的な収支状況
図5 国民年金の積立金及び平均運用利回り
図5 国民年金の積立金及び平均運用利回り
IV.厚生年金保険
(1)適用状況
厚生年金保険の被保険者数は、平成8年度末現在で3,300万人となっており、前年度末に比べ20万人(0.6%)増加している。男女別にみると、男子の被保険者数は2,204万人(対前年度末比11万人、0.5%増)、女子の被保険者数は1,096万人(対前年度末比8万人、0.7%増)となっている。
標準報酬月額の平均は31万1千円(うち一般男子36万円、女子21万4千円)であり、前年度末に比べ1.2%増である。
育児休業期間中の保険料免除者数は、平成8年度末現在で3万7千人であり、前年度末に比べ4千人(10.8%)増加している。
被保険者の年齢構成をみると、一般男子は、45〜49歳及び25〜29歳階級でピークとなっており、女子は、20〜24歳階級で最も高く、30歳台で低くなり、40歳台になると再び上昇するM字型の構成割合となっている。
表8 厚生年金保険の適用状況の推移
表8 厚生年金保険の適用状況の推移
図6 厚生年金被保険者の年齢構成
図6 厚生年金被保険者の年齢構成
(2)給付状況
厚生年金保険の受給者数の推移をみると、年金制度の成熟を反映して着実に増加しており、平成8年度末は厚生年金保険全体で前年度末に比べ70万人(5.2%)増加し、1,432万人となっている。うち、老齢年金の受給者数は671万人である。
受給者の平均年金月額をみると、平成8年度末現在では老齢年金で17万1千円となっている。
表9 厚生年金保険受給者数の推移
表9 厚生年金保険受給者数の推移
表10 厚生年金保険受給者平均年金月額の推移
表10 厚生年金保険受給者平均年金月額の推移 解説:老齢年金 170,825円、通算老齢年金 48,181円、障害年金 102,413円、遺族年金 87,214円
新規裁定の老齢年金受給権者の平均年金月額は18万1千円であり、被保険者期間20年以上の男子では、
平均20万2千円となっている。
表11 厚生年金保険老齢年金受給権者の新規裁定の状況
表11 厚生年金保険老齢年金受給権者の新規裁定の状況 解説:平均年金月額は前年に比べ男子5千円、女子2千円の低下
表12 厚生年金保険老齢年金受給権者(被保険者期間20年以上)の新規裁定の状況
表12 厚生年金保険老齢年金受給権者(被保険者期間20年以上)の新規裁定の状況
平成8年度末現在の在職老齢給付(老齢年金及び通算老齢年金)の受給権者数は、84万人となっており、前年度末に比べ4万人(4.6%)の増加となっている。
表13 厚生年金保険在職老齢給付の状況
表13 厚生年金保険在職老齢給付の状況
(3)収支状況
平成8年度決算における厚生年金保険の収支状況は、収入が39兆4千億円、支出が32兆7千億円、収支差引残が6兆7千億円となっている。制度間調整交付金及び基礎年金交付金を控除した実質的な収支状況は、収入が27兆6千億円、支出が20兆9千億円となっている。
平成8年度末現在の厚生年金保険の積立金は118兆5千億円となっている。また、平成8年度の平均運用利回りは4.99%である。
表14 厚生年金保険の実質的な収支状況
図7 厚生年金保険の積立金及び平均運用利回り
図7 厚生年金保険の積立金及び平均運用利回り
V.政府管掌健康保険
(1)適用状況
平成8年度末現在の適用事業所数は151万事業所であり、前年度末に比べて4万事業所(3.0%)増加している。
被保険者数は、平成8年度末現在で1,998万人となっており、前年度末に比べ25万人(1.3%)増加している。男女別にみると、男子の被保険者数は1,257万人(対前年度末比14万人、1.1%増)、女子の被保険者数は741万人(対前年度末比11万人、1.5%増)となっている。
標準報酬月額の平均は29万1千円(男子33万9千円、女子20万8千円)であり、前年度末に比べ1.0%増である。
育児休業期間中の保険料免除者数は、平成8年度末現在で1万8千人であり、前年度末に比べ1千人(8.0%)増加している。
表15 政府管掌健康保険の適用状況の推移
表15 政府管掌健康保険の適用状況の推移
(2)給付状況
平成8年度の保険給付費は総額で4兆7,501億円で、前年度に比べて3.8%の増加となっている。
保険給付費のうち、診療費(入院時食事療養費は含まれていない)は3兆9,434億円で、伸び率は3.9%増となっている。
診療費について入院、入院外、歯科別に内訳をみると、入院1兆2,888億円、入院外2兆642億円、歯科5,904億円となっている。伸び率は、入院4.0%増、入院外3.0%増、歯科6.8%増となっている。
薬剤支給は2,345億円で、伸び率は12.5%増となっている。
表16 政府管掌健康保険の保険給付費の推移
表16 政府管掌健康保険の保険給付費の推移
保険給付費の内訳をみると、被保険者は3兆492億円、被扶養者は1兆6,982億円であり、伸び率では被保険者3.6%増、被扶養者4.2%増と被扶養者の伸び率が高くなっている。
図8 政府管掌健康保険の保険給付費の内訳
(単位:億円)
図8 政府管掌健康保険の保険給付費の内訳