平 成 12 年 9 月 22 日
「結核発生動向調査」は、全国の都道府県・政令市より保健所を通じて報告されている新規登録結核患者数、12月31日時点の結核登録者数等の状況をとりまとめたものである。
この度、平成11年1月1日〜12月31日までのデータを(財)結核予防会結核研究所において集計したので、概況として公表する。
なお、詳細については、今後「結核の統計2000」として公表する予定である。
平成11年の概況は以下のとおり。
○しろまる平成9年より3年連続で新登録患者数が増加。
増加スピードは加速している。(参考資料 4 参照)
前年に対する増加数は、
○しろまる世界との格差はさらに拡大した。(参考資料 1 参照)
日本の罹患率(38.1)は、オーストラリア(4.9)の7.8倍
(昨年は、6.3倍)
○しろまる結核による死亡率、死亡順位は上昇した。(参考資料 3 参照)
平成10年 死亡率※(注記)2 2.2、死亡順位 22位
平成11年 死亡率 2.3、死亡順位 21位
※(注記)2 人口10万人当たりの死亡者数
○しろまる高齢者の結核患者が急増している。 (参考資料 5、6 参照)
70歳以上の罹患率(人口10万対)
平成10年 116.1 → 平成11年 132.4
新登録患者全体における70歳以上のしめる割合
平成10年 36.0% → 平成11年 39.1%
○しろまる新登録結核患者数に占める菌塗抹陽性患者※(注記)3の割合は低下した。
平成10年 37.0% → 平成11年 35.6% (参考資料 4 参照)
※(注記)3 喀痰の中に結核菌を排出し、他者に感染させる可能性のある患者
○しろまる結核登録者数(平成11年末)は減少した。 (参考資料 8 参照)
平成10年 113,469人 → 平成11年 112,623人
(1)新登録患者数、罹患率
(注)罹患率とは、人口10万人当たりの新登録結核患者数のことをいう。
平成11年中に新たに結核患者として登録された者の数は48,264人で、前年より4,248人増加している(非定型抗酸菌陽性の者を除く新登録結核患者数は43,678人で前年より2,645人増加)。
また、平成11年の菌塗抹陽性肺結核患者数は17,190人で、これは前年より896人の増加であるが、新登録結核患者数に占める割合は35.6%で前年より1.4ポイント小さくなっている(参考資料 4 参照)。
罹患率は38.1であり、前年の34.8より3.3増加している。
これらの値は先進諸国の中では未だ高い状況にある(参考資料 1 参照)。
また、都道府県別に罹患率をみると、大阪府、兵庫県、和歌山県などが高く、長野県、山梨県、山形県などが低い状況にあり、罹患率の一番高い大阪府は、罹患率の一番低い長野県の4.3倍である。ただし大阪府の中でも大阪市と長野県では6.5倍である(参考資料 2、7 参照)。
(2)結核登録者数、有病率 (参考資料 8 参照)
平成11年末現在の結核登録者数は112,623人であり、前年より846人減少している。うち、活動性全結核患者数は54,743人であり、前年より1,002人増加している。
有病率は43.2であり、前年の42.5より0.7増加している。
平成11年中の結核による死亡者数は2,935人で、前年に比べ140人増加、死亡率は前年より0.1増加し2.3となっている。
死因順位は、21位となっている(前年より1位悪化)。
1.諸外国と日本の罹患率
2.罹患率の都道府県別おもな順位
3.結核の死亡数及び死亡率の年次推移
4.新登録結核患者数及び罹患率の年次推移
新登録結核患者数及び罹患率の年次推移
5.年次別・年齢階級別新登録患者数
(( )内は構成比)
年次別・年齢階級別新登録患者数(菌塗抹陽性肺結核患者数、再掲)
(( )内は構成比)
6.年次別・年齢階級別結核罹患率
(人口10万対)
年次別・年齢階級別結核罹患率(菌塗抹陽性肺結核患者、再掲)
(人口10万対)
7. 新登録結核患者数・罹患率 都道府県別・年次推移
山梨県
山形県
宮城県
栃木県
17.3
23.4
24.2
26.9
27.1
兵庫県
和歌山県
徳島県
大分県
74.9
53.0
50.0
49.4
48.4
* 非定型抗酸菌陽性を除いた新登録結核患者数および罹患率