平成11年6月30日
緊急安全性情報
塩酸チクロピジン投与による血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
1.医薬品名
一般名:
塩酸チクロピジン
販売名:
パナルジン錠、パナルジン細粒10% 他(別紙参照)
(承認:1981年6月)
(発売:1981年9月)
製造・販売:第一製薬株式会社 他21社
販売実績:
年間約500億円
推定使用患者数:
年間約100万人
2.経緯
(1)塩酸チクロピジンは、血管手術や虚血性脳血管障害等に伴う血栓・塞栓の治療や慢性動脈閉塞症に伴う症状の改善などに使用されている抗血小板剤であり、米国、EU各国等海外でも広く使用されている。
(2)血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は、血小板減少、溶血性貧血、精神神経症状、発熱、腎機能障害の5主徴を呈し、早期に適切な診断・治療が行われない場合には致死率の高い疾患である。塩酸チクロピジン投与に伴うTTPについては、海外文献を基に平成7年6月に「海外での重大な副作用」として注意喚起を行ったが、その後、国内においても同様の症例が報告されたため、平成8年9月に「重大な副作用」の項に記載を行った。更に、その後、塩酸チクロピジンによるTTP発症に関する論文や米国での添付文書改訂が行われたことから、平成10年9月に使用上の注意をより詳細に記載する措置を講じてきた。
(3)しかし、平成10年10月以降にTTPの症例が新たに11例(うち死亡2例)の報告があり(合計22例、うち死亡6例)、副作用報告の増加が見られたことから、今般、添付文書に「警告」欄を新たに設けるとともに、緊急安全性情報の医療機関への配布を行い、医療現場への情報提供の徹底を図ることとした。
なお、従来より副作用情報に掲載するなど、度々注意喚起を行ってきた無顆粒球症および重篤な肝障害についても併せて「警告」欄に記載することとした。
(4)「警告」欄に記載した主な内容は、次のとおりである。
- (1)TTP、無顆粒球症、重篤な肝障害等の重大な副作用が主に投与開始後2ヶ月以内に発現していること
- (2)投与開始後2ヶ月間は副作用の初期症状の発現に注意し、原則として2週に1回の血球算定、肝機能検査を行い、発現が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うとともに、本剤投与中は定期的に血液検査を行うこと
- (3)患者の状態から発現が疑われた場合には投与を中止し、必要に応じて血液像、肝機能検査の実施および適切な処置を行うこと
- (4)患者にあらかじめ副作用について説明し、初期症状があらわれた場合には、服用を中止し、医師等に連絡するよう患者を指導すること
3.今後の対応
(1)厚生省
- (1)第一製薬株式会社他塩酸チクロピジン製造業者に対し、上記の如く添付文書の改訂を行い「緊急安全性情報」の作成及び医療機関への配布を指示する。
- (2)「医薬品等安全性情報」において医療機関に対し、塩酸チクロピジン投与に伴うTTPについて情報提供を行う。
(2)塩酸チクロピジン製造業者
- (1)「緊急安全性情報」を医療機関に配布し、塩酸チクロピジン投与によるTTPに関する情報の速やかな伝達を行う。
- (2)添付文書を改訂し、TTPを始め無顆粒球症および重篤な肝障害に関する警告を記載する。
本件照会先
(1)第一製薬株式会社 広報室
03−3273−7107
担当:織田、高橋
(2)厚生省医薬安全局安全対策課
[現在ご利用いただけません]
担当:坂本(2750)
横手(2756)
別紙
製 品 名
企 業 名
アンブレート錠
堀田薬品合成株式会社
イパラジン錠
マルコ製薬株式会社
ジルペンダー錠
日新製薬株式会社(山形)
ソーパー100mg錠
日本薬品工業株式会社
ソロゾリン錠
小林化工株式会社
チクピロン細粒
沢井製薬株式会社
チクピロン錠
メディサ新薬株式会社
ニチステート錠、同細粒10%
日本医薬品工業株式会社
ネオピジン錠
オリエンタル薬品工業株式会社
パチュナ錠
東和薬品株式会社
パナピジン錠
日本ヘキサル株式会社
パラクロジン錠
株式会社三和化学研究所
ピエテネール錠
株式会社陽進堂
ピクロジン錠
太田製薬株式会社
ピクロナジン錠
大洋薬品工業株式会社
ヒシミドン錠
菱山製薬株式会社
ビーチロン錠
辰巳化学株式会社
ファルロジン錠
東洋ファルマー株式会社
プロパコール錠
日清キョーリン製薬株式会社
マイトジン錠
鶴原製薬株式会社
ロベタール錠
大興製薬株式会社