健 康 マ ッ プ の 概 要
平成11年4月
1.目 的
この「健康マップ」は、昭和58年12月の公衆衛生審議会の答申「保健事業の推進方策について」に基づき、保健事業の推進のため、市町村ごとの事業の進捗状況を把握し、比較検討を行うとともに、それが一目でわかるように指標化を行い、市町村関係者等の事業推進に当たっての目安を示すことを目的として、昭和59年度から作成・公表してきたところである。
なお、平成6年度からは「健康マップ作業委員会」(委員長 川口 毅:昭和大学医学部公衆衛生学教授)を設置し検討を行っている。
今回の健康マップについては、平成8年度の健康診査(基本健康診査、肺がん検診、乳がん検診、大腸がん検診)の受診率と、脳血管疾患、肺がん、乳がん、大腸がんの標準化死亡比を市町村ごとに指標化した。
2.結 果
(1)健康診査受診率
○しろまる 農山村部の基本健康診査受診率が都市部に比較して高い。
- ・ 全国市町村別に基本健康診査の受診率の分布をみると、東北から北関東にかけて受診率の高い市町村が多い。
- ・ また、富山県並びに岐阜県、中国及び九州の山間部に受診率の高い市町村が集中している。
- ・ 逆に、北海道の南部、南関東、甲信、紀伊半島、四国の太平洋沿岸及び北九州の一部に受診率の低い市町村が多い。
○しろまる 大都市圏の肺がん検診受診率が低い。
- ・ 全国市町村別に肺がん検診の受診率の分布をみると、大都市圏に受診率の低い市町村が多い。
○しろまる 都市部の乳がん検診受診率が低い。
- ・ 全国市町村別に乳がん検診の受診率の分布をみると、都市部に受診率の低い市町村が多い。
- ・ 反対に、東北、中部、中国に受診率の高い市町村が多い傾向がみられる。
○しろまる 都市部の大腸がん検診受診率が低い。
- ・ 全国市町村別に大腸がん検診の受診率の分布をみると、都市部に受診率の低い市町村が多い。
- ・ 反対に、東北、中部、中国及び九州の一部に受診率の高い市町村が多い傾向がみられる。
(2)標準化死亡比(SMR)
○しろまる 脳血管疾患標準化死亡比の高い市町村は、東北地方を中心に多い。
- ・ 脳血管疾患標準化死亡比は、男女とも全国平均の範囲に属する市町村が多い。また、全国平均より4割以上高い市町村は、男では東北から北関東にかけて集中しており、女では東北から北関東、中部にかけて集中している。
○しろまる 肺がん標準化死亡比の高い市町村は、全国に散在している。
- ・ 肺がん標準化死亡比の高い市町村は全国に散在しているが、低い市町村は中部及び中国並びに九州の山岳部に一部集中しており、高い市町村は沿岸部に散在している傾向がみられる。
○しろまる 乳がん標準化死亡比の高い市町村は全国に散在している。
- ・ 乳がん標準化死亡比の高い市町村は、関東、中部及び近畿の都市部にやや集中傾向が認められるが、全体としては全国に散在している。
○しろまる 大腸がん標準化死亡比の高い市町村は全国に散在している。
- ・ 大腸がん標準化死亡比の高い市町村は全国に散在しているが、一部、東北地方から信越地方にかけて高い市町村が集中している地域がみられる。
照 会 先
老人保健福祉局 老人保健課
課長補佐 関 英一(内3941)
主 査 大原純子(内3944)
TEL 03-3595-2490(直 通)
〈参 考〉
標準化死亡比(SMR: Standardized Mortality Rate)について
○しろまる 異なる地域の死亡率を比較するには、各地域の年齢構造の違いを補正することが必要。
(※(注記) 一般に、高齢化の度合いが高いほど死亡率は高くなるため。)
○しろまる ... ... 40〜44歳、45〜49歳、... ... 60〜64歳、65〜69歳、70〜74歳、... ...など、5歳きざみの年齢階級別に死亡率を比較すれば、こうした人口の年齢構造の差に影響されることなく地域間比較ができるが、設けた年齢階級の数だけ死亡率の数値を並べなくてはならず、煩雑となる。
○しろまる 簡便のためには、1つの指標で死亡率の地域間比較ができることが望ましく、そのための代表的な方法がSMRである。
○しろまる 当該市町村の年齢階級別の人口構造が全国の平均的な人口構造と同じであったとした場合の死亡率の高さを表す。
- SMR100..................全国の平均なみ
SMR100より大.........全国平均より死亡率が高い
SMR100より小.........全国平均より死亡率が低い
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健康マップ作業委員会委員
(平成6年8月1日設置)
◎にじゅうまる
川 口 毅
昭和大学医学部公衆衛生学教授
箕 輪 眞 澄
国立公衆衛生院疫学部長
大 村 外志隆
埼玉県中央保健所長
田 中 平 三
東京医科歯科大学難治疾患研究所教授
永 井 正 規
埼玉医科大学公衆衛生学教授
三 浦 宜 彦
埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科教授
(注)◎にじゅうまるは委員長
[表1]基本健康診査
区 分
平成7年度
平成8年度
保健事業第3次計画目標受診率
50.0%
当該年度目標受診率
42.0%
44.0%
当該年度全国平均受診率
36.5%
37.4%
当該年度市町村数
3,255
3,255
保健事業第3次計画目標受診率達成市町村数
1,239
( 38.1%)
1,272
( 39.1%)
当該年度目標受診率以上で
保健事業第3次計画目標受診率未満の市町村数
488
( 15.0%)
365
( 11.2%)
当該年度4全国平均受診率以上で
当該年度目標受診率未満の市町村数
386
( 11.8%)
465
( 14.3%)
当該年度全国平均受診率未満で
前年度受診率よりも増えている市町村数
524
( 16.1%)
582
( 17.9%)
当該年度全国平均受診率未満で
前年度受診率よりも増えていない市町村数
618
( 19.0%)
571
( 17.5%)
[表2]胃がん検診
区 分
平成7年度
平成8年度
保健事業第3次計画目標受診率
30.0%
当該年度目標受診率
22.0%
24.0%
当該年度全国平均受診率
13.8%
13.5%
当該年度市町村数
3,255
3,255
保健事業第3次計画目標受診率達成市町村数
928
( 28.5%)
961
( 29.5%)
当該年度目標受診率以上で
保健事業第3次計画目標受診率未満の市町村数
675
( 20.7%)
457
( 14.0%)
当該年度全国平均受診率以上で
当該年度目標受診率未満の市町村数
812
( 25.0%)
1,011
( 31.1%)
当該年度全国平均受診率未満で
前年度受診率よりも増えている市町村数
318
( 9.8%)
274
( 8.4%)
当該年度全国平均受診率未満で
前年度受診率よりも増えていない市町村数
522
( 16.0%)
552
( 17.0%)
[表3]子宮がん検診
区 分
平成7年度
平成8年度
保健事業第3次計画目標受診率
30.0%
当該年度目標受診率
22.5%
24.5%
当該年度全国平均受診率
15.1%
14.8%
当該年度市町村数
3,255
3,255
保健事業第3次計画目標受診率達成市町村数
698
( 21.4%)
721
( 22.1%)
当該年度目標受診率以上で
保健事業第3次計画目標受診率未満の市町村数
572
( 17.6%)
399
( 12.3%)
当該年度全国平均受診率以上で
当該年度目標受診率未満の市町村数
913
( 28.1%)
1,099
( 33.8%)
当該年度全国平均受診率未満で
前年度受診率よりも増えている市町村数
332
( 10.2%)
385
( 11.8%)
当該年度全国平均受診率未満で
前年度受診率よりも増えていない市町村数
740
( 22.7%)
651
( 20.0%)
[表4]肺がん検診
区 分
平成7年度
平成8年度
保健事業第3次計画目標受診率
30.0%
当該年度目標受診率
23.1%
24.8%
当該年度全国平均受診率
21.4%
21.4%
当該年度市町村数
3,255
3,255
保健事業第3次計画目標受診率達成市町村数
1,825
( 56.1%)
1,900
( 58.4%)
当該年度目標受診率以上で
保健事業第3次計画目標受診率未満の市町村数
247
( 7.4%)
192
( 5.9%)
当該年度全国平均受診率以上で
当該年度目標受診率未満の市町村数
59
( 1.8%)
112
( 3.4%)
当該年度全国平均受診率未満で
前年度受診率よりも増えている市町村数
744
( 22.9%)
401
( 12.3%)
当該年度全国平均受診率未満で
前年度受診率よりも増えていない市町村数
385
( 11.8%)
650
( 20.0%)
[表5]乳がん検診
区 分
平成7年度
平成8年度
保健事業第3次計画目標受診率
30.0%
当該年度目標受診率
20.0%
22.5%
当該年度全国平均受診率
12.0%
12.1%
当該年度市町村数
3,255
3,255
保健事業第3次計画目標受診率達成市町村数
587
( 18.0%)
645
( 19.8%)
当該年度目標受診率以上で
保健事業第3次計画目標受診率未満の市町村数
723
( 22.2%)
470
( 14.5%)
当該年度全国平均受診率以上で
当該年度目標受診率未満の市町村数
914
( 28.1%)
1,134
( 34.8%)
当該年度全国平均受診率未満で
前年度受診率よりも増えている市町村数
490
( 15.1%)
411
( 12.6%)
当該年度全国平均受診率未満で
前年度受診率よりも増えていない市町村数
541
( 16.6%)
595
( 18.3%)
[表6]大腸がん検診
区 分
平成7年度
平成8年度
保健事業第3次計画目標受診率
30.0%
当該年度目標受診率
15.6%
19.2%
当該年度全国平均受診率
13.0%
13.7%
当該年度市町村数
3,255
3,255
保健事業第3次計画目標受診率達成市町村数
802
( 24.7%)
914
( 28.1%)
当該年度目標受診率以上で
保健事業第3次計画目標受診率未満の市町村数
1,108
( 34.0%)
776
( 23.8%)
当該年度全国平均受診率以上で
当該年度目標受診率未満の市町村数
275
( 8.5%)
527
( 16.2%)
当該年度全国平均受診率未満で
前年度受診率よりも増えている市町村数
711
( 21.8%)
518
( 15.9%)
当該年度全国平均受診率未満で
前年度受診率よりも増えていない市町村数
359
( 11.0%)
520
( 16.0%)
[表7] 健康診査受診率の上・下位5都道府県
基本健康診査
胃がん検診
順位
都道府県
受診率
順位
都道府県
受診率
1
山形県
59.6
47
広島県
23.9
2
群馬県
59.2
46
福岡県
24.0
3
秋田県
55.8
45
和歌山県
24.0
4
富山県
53.0
44
北海道
25.8
5
大分県
51.6
43
長崎県
27.4
順位
都道府県
受診率
順位
都道府県
受診率
1
山形県
38.2
47
大阪府
6.0
2
岡山県
30.2
46
埼玉県
6.1
3
福島県
26.5
45
京都府
6.3
4
青森県
26.3
44
東京都
6.5
5
宮城県
26.0
43
神奈川県
7.5
肺がん検診
子宮がん検診
順位
都道府県
受診率
順位
都道府県
受診率
1
岡山県
63.6
47
滋賀県
3.6
2
山梨県
53.8
46
東京都
5.3
3
宮城県
51.2
45
大阪府
5.9
4
大分県
50.0
44
奈良県
7.0
5
静岡県
48.5
43
埼玉県
8.8
順位
都道府県
受診率
順位
都道府県
受診率
1
宮城県
30.3
47
埼玉県
7.5
2
山形県
30.1
46
三重県
7.9
3
静岡県
25.4
45
東京都
8.3
4
秋田県
25.2
44
兵庫県
10.3
5
佐賀県
24.5
43
京都府
10.7
乳がん検診
大腸がん検診
順位
都道府県
受診率
順位
都道府県
受診率
1
山形県
26.3
47
埼玉県
5.4
2
静岡県
25.1
46
三重県
6.9
3
秋田県
24.9
45
東京都
6.9
4
岩手県
24.1
44
兵庫県
7.2
5
青森県
23.8
43
大阪府
7.6
順位
都道府県
受診率
順位
都道府県
受診率
1
山形県
32.5
47
京都府
5.5
2
岡山県
30.5
46
大阪府
6.6
3
秋田県
29.5
45
福岡県
7.8
4
奈良県
25.6
44
徳島県
8.7
5
青森県
25.5
43
三重県
8.7
[表8] 標準化死亡比の上・下位5都道府県
脳血管疾患(男)
脳血管疾患(女)
順位
都道府県
SMR
順位
都道府県
SMR
1
沖縄県
67.9
47
秋田県
129.4
2
熊本県
86.9
46
栃木県
128.2
3
大阪府
88.3
45
青森県
126.8
4
京都府
88.4
44
福島県
117.4
5
奈良県
88.6
43
岩手県
117.3
順位
都道府県
SMR
順位
都道府県
SMR
1
沖縄県
56.4
47
栃木県
127.8
2
熊本県
80.7
46
秋田県
125.5
3
福岡県
86.2
45
宮城県
120.7
4
大阪府
87.0
44
長野県
120.6
5
北海道
89.3
43
福島県
119.5
肺がん(男)
肺がん(女)
順位
都道府県
SMR
順位
都道府県
SMR
1
長野県
70.7
47
沖縄県
126.3
2
山梨県
80.9
46
大阪府
117.7
3
群馬県
85.7
45
滋賀県
114.6
4
静岡県
86.2
44
兵庫県
114.4
5
岐阜県
89.8
43
和歌山県
112.5
順位
都道府県
SMR
順位
都道府県
SMR
1
長野県
72.6
47
大阪府
128.6
2
山梨県
76.5
46
沖縄県
120.4
3
群馬県
81.9
45
福岡県
119.0
4
茨城県
81.9
44
北海道
113.4
5
静岡県
82.8
43
東京都
111.5
乳がん
順位
都道府県
SMR
順位
都道府県
SMR
1
鹿児島県
73.5
47
東京都
132.3
2
沖縄県
76.4
46
神奈川県
119.0
3
山形府
77.0
45
千葉県
108.6
4
島根県
78.1
44
大阪府
108.4
5
佐賀県
79.2
43
北海道
106.4
大腸がん(男)
大腸がん(女)
順位
都道府県
SMR
順位
都道府県
SMR
1
福井県
80.5
47
青森県
114.2
2
香川県
82.2
46
東京都
113.9
3
熊本県
82.4
45
秋田県
109.1
4
岡山県
83.1
44
佐賀県
108.4
5
愛媛県
83.4
43
長崎県
107.5
順位
都道府県
SMR
順位
都道府県
SMR
1
香川県
76.4
47
秋田県
114.7
2
宮崎県
76.8
46
岩手県
112.8
3
沖縄県
79.8
45
東京都
111.3
4
愛媛県
80.6
44
青森県
109.6
5
鹿児島県
84.2
43
岐阜県
109.5
[表9] 健康診査受診率の上位5市町村及び未実施市町村数
基本健康診査
胃がん検診
順位
市 町 村
受診率
1
秋田県 神岡町
98.7
2
秋田県 東成瀬村
97.9
3
秋田県 太田町
97.8
4
茨城県 関城町
97.6
5
熊本県 岡原村
96.9
未実施市町村数
0
順位
市 町 村
受診率
1
高知県 梼原町
92.9
2
秋田県 大雄村
91.5
3
熊本県 岡原村
88.0
4
岡山県 瀬戸町
87.4
5
静岡県 小笠町
86.4
未実施市町村数
3
肺がん検診
子宮がん検診
順位
市 町 村
受診率
1
静岡県 浅羽町
99.7
2
愛媛県 吉海町
99.6
3
宮城県 花山村
99.4
4
秋田県 東成瀬村
99.3
5
新潟県 津川町
99.1
未実施市町村数
230
順位
市 町 村
受診率
1
高知県 梼原町
84.9
2
滋賀県 甲南町
80.6
3
岡山県 奈義町
79.2
4
岡山県 邑久町
78.0
5
秋田県 十文字町
77.9
未実施市町村数
0
乳がん検診
大腸がん検診
順位
市 町 村
受診率
1
滋賀県 甲南町
98.0
2
秋田県 大雄村
94.2
3
高知県 梼原町
89.0
4
福島県 本宮町
88.4
5
山梨県 境川村
86.4
未実施市町村数
85
順位
市 町 村
受診率
1
京都府 和知町
99.8
2
岡山県 英田町
92.4
3
青森県 六戸町
92.0
4
岡山県 勝央町
91.0
5
北海道 美深町
90.0
未実施市町村数
48