平成11年4月20日(火)
○しろまる 生活環境審議会廃棄物処理部会に設置された特定家庭用機器処理基準等専門委員会においては、昨年9月より、特定家庭用機器廃棄物(エアコン、テレビ、冷蔵庫及び洗濯機)の処理・リサイクルに関する基準について検討を行ってきたところであるが、このたび、別添のとおりその結果をとりまとめ、廃棄物処理部会に報告し、了承された。
○しろまる 厚生省では、この報告を受けて、特定家庭用機器廃棄物について、廃棄物処理法に基づく廃棄物処理基準の改正、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)に基づく再商品化等(リサイクル)の基準等の設定を行う予定としている。
2.再商品化等と一体的に行われるべき事項 (特定家庭用機器再商品化法関係)
3.廃棄物処理基準 (廃棄物処理法関係)
1.特定家庭用機器廃棄物のリサイクルの基本的方向
・ 特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法:以下「新法」という)の本格施行当初(平成13年度)においては、再商品化等(リサイクル)の義務が課せられる製造業者等の施設整備・委託先の確保等様々な準備が必要であること、料金に対する排出者の受忍限度を十分考慮する必要があること等の状況を考慮し、実現可能な妥当な水準をもって再商品化等の基準及び廃棄物処理基準(以下、両者をあわせ「再商品化等・処理基準」という。)とすることが適当。
・ しかしながら、新法の本格施行後におけるリサイクルの水準の向上、リサイクルし易い製品の設計及び製造の促進を図る観点から、将来における再商品化等・処理基準を示し、新法の本格施行後のリサイクルの進展状況、処理施設の整備状況等を踏まえつつ、新法の本格施行当初の水準から段階的に引き上げていくことが適当。
2.具体的方策について
(1) 金属類
(2) ガラス類
(3) プラスチック類
【再商品化(マテリアルリサイクル)】
【熱回収(サーマルリサイクル)】
(4) フロン類
3.再商品化等の基準等、廃棄物処理基準の設定
(1)再商品化等の基準 (特定家庭用機器再商品化法(新法)関係)
(1) 新法の本格施行当初(平成13年度)
(2) 将来的な再商品化等の基準
(2)再商品化等と一体的に行われるべき事項(特定家庭用機器再商品化法(新法)関係)
・ 新法の施行当初においては、エアコン、冷蔵庫の冷媒に使用されているフロン類の回収及び処理とすべき。
・ 冷蔵庫の断熱材に使用されているフロン類は、新法の本格施行後できるだけ早急にその回収・処理を義務付けることとすべき。
(3)廃棄物処理基準 (廃棄物処理法関係)
・ 市町村等廃棄物の処理を行う者の従前どおりの処理(資源回収を行わない破砕処理、直接埋立等)を認めると、廃棄物の減量・適正処理の効果・向上が確保できない上、処理費用の格差等の理由により特定家庭用機器廃棄物が製造業者等に引き渡されることなく処理され、新法の目的とする製造業者等による再商品化等の実施が困難になる事態が考えられる。
・ このため、市町村、廃棄物処理業者等の製造業者等以外の者が特定家庭用機器廃棄物の処理を行う場合についても、製造業者等が義務付けられる再商品化等と同程度の水準の処理が行われるよう廃棄物処理基準の整備を行うことが必要。
(参考)
○しろまる 特定家庭用機器処理基準等専門委員会のこれまでの検討経過
第1回(平成10年9月29日)
第2回(平成10年11月2日)
第3回(平成10年12月11日)
第4回(平成10年12月25日)
第6回(平成11年2月25日)
第7回(平成11年4月6日)
○しろまる 特定家庭用機器処理基準等専門委員会委員名簿
50音順、敬称略 ○しろまる印は委員長
(照会先) 水道環境部リサイクル推進室 室 長 泉 真(内線4071) 担当補佐 北波 孝(内線4072)
(1)特定家庭用機器再商品化法における小売業者及び製造業者等の義務について
3.特定家庭用機器再商品化法施行当初に対象となる家庭用機器をめぐる状況
(1)エアコンディショナー
(2)テレビジョン受信機
(3)電気冷蔵庫
(4)電気洗濯機
(1)基本的方向
(2)具体的方策について
(1)再商品化等の基準
(2)再商品化等と一体的に行われるべき事項
(3)廃棄物処理基準
廃棄物のリサイクルについては、平成10年6月、廃家電品等の廃棄物の減量及びリサイクルを強力に推進するため、特定家庭用機器再商品化法(以下「新法」という。)が制定された。新法は、同年12月にその一部が施行され、その対象機器を家庭用のエアコンディショナー、テレビジョン受信機、電気冷蔵庫、電気洗濯機とされた。また、製造業者等による再商品化等の実施等の新法の本格施行は平成13年度(新法公布後3年以内)を予定している。
本委員会は、新法の本格施行に当たり必要となる事項について検討を行うため平成10年7月生活環境審議会廃棄物処理部会において設置が了承されたものであるが、まず、新法の本格施行の中核である再商品化等の基準及び併せて強化することとされている廃棄物処理基準について検討を行うこととした。
本委員会では、製造業者団体、自治体、廃棄物処理業者といった関係者からの意見聴取を含め7回にわたり検討し、特定家庭用機器廃棄物の処理についての意見をとりまとめた。
(1)特定家庭用機器再商品化法における小売業者及び製造業者等の義務について
新法は、特定家庭用機器廃棄物について小売業者に引取り及び製造業者等への引渡し、製造業者及び輸入業者(以下「製造業者等」という。)に引取り及び再商品化等の実施を義務付けるものである。また、当該義務は、平成13年度に予定されている新法の本格施行から開始される。その仕組みは以下のとおりである。
(2)再商品化等の基準
新法に基づき政令で定められる「再商品化等の基準」は、製造業者等が引き取った特定家庭用機器廃棄物について、毎年度、特定家庭用機器廃棄物ごとに再商品化等を実施すべき量を表すものである。
「再商品化」
再商品化等の基準は製造業者等が義務として行う範囲を規定したものである。再商品化等を行うための具体的な手法は、新法では規定されておらず、その効率性の向上等については、製造業者等の創意工夫に委ねられるものである。
(3)再商品化等の実施と一体的に行うことが特に必要かつ適切である事項
「再商品化等の実施と一体的に行うことが特に必要かつ適切である事項」は、製造業者等が特定家庭用機器廃棄物の再商品化等を行うときに、生活環境の保全に資する事項であって、再商品化等の実施と一体的に行うことが特に必要かつ適切であるものであり、製造業者等が義務として行わなければならないものである。
(4)市町村、廃棄物処理業者等の処理
新法は、特定家庭用機器廃棄物の製造業者等による再商品化等を基本とするものである。このため、新法においては、市町村は、粗大ごみ収集などにより特定家庭用機器廃棄物を収集した場合、製造業者等に引き渡すことが原則である。
(5)廃棄物処理法における廃棄物処理基準の強化
廃棄物処理法に規定される廃棄物処理基準は、廃棄物の処理を行う者全てに適用される。また、廃棄物の個々の処理行為について遵守すべき事項を定めたものであり、(2)で述べた新法における再商品化等の基準(義務履行の範囲を年度単位で規定するもの)とは性質が異なるものである。
新法の対象機器については、平成10年11月同法施行令が公布され、以下の4つの家庭用機器が対象とされた。同法の本格施行当初(平成13年度)においてはこれら4品目について収集運搬・再商品化等が実施されることとなる。
(1)エアコンディショナー
ユニット形エアコンディショナー(ウィンド形エアコンディショナー又は室内ユニットが壁掛け形若しくは床置き形であるセパレート形エアコンディショナーに限る。)
ユニット形エアコンディショナーは、ウィンド形(一体型)及びセパレート形(分離型)に分類することができる。セパレート形エアコンディショナーは、室内機・室外機から構成され、それぞれ構造・組成が異なる。また、エアコンディショナー生産量全体に占めるウィンド形の比率は約5%程度である。
(2)テレビジョン受信機
テレビジョン受信機(ブラウン管式のものに限る。)
テレビジョン受信機本体は、主として、ブラウン管(CRT)及びこれに付属する部品、筐体(キャビネット)及びプリント基板を中心とする電子回路部分により構成される。ブラウン管はブラウン管ガラス(前面部の電気ガラス及び側面(ファンネル)部・ネック部の鉛ガラス)、偏向ヨーク(主たる素材は銅)、電子銃(鉄等)、防爆バンド、内部磁気シールド及びシャドウマスク(主たる素材は鉄)により構成される。基本的な構造は、型式等に関わらず差異はない。
(3)電気冷蔵庫
電気冷蔵庫
電気冷蔵庫は、主として、筐体及びドア(外箱部の鉄、ウレタン断熱材及び内箱部のプラスチック)、内装品(プラスチック又はガラス)及び冷凍サイクル部分(コンプレッサー(鉄)、冷却器配管等(銅、アルミニウム))により構成される。
(4)電気洗濯機
電気洗濯機
電気洗濯機には、洗濯槽及び脱水槽で構成される二槽式洗濯機と洗濯及び脱水を一つの槽で行う全自動洗濯機とが存在する。筐体、ふた等の外枠部(プラスチック類)、二槽式洗濯機の脱水槽、全自動洗濯機の洗濯・脱水槽に使用されているバスケット、モーター等の機械部(主に鉄)により構成される。バスケットについては、新法本格施行当初に廃棄の中心となる1990年製の製品では素材はプラスチック類、現在はステンレス製が主流である。また、バスケットにはバランサーとして塩水が使用されている。素材別の重量比では、製造業者によりかなり差が存在している状況にある(鉄の重量比は30〜60%)。 (表4参照)
4.特定家庭用機器廃棄物のリサイクルの在り方
(1)基本的方向
新法は、廃棄物の減量(廃棄物の適正な処理の確保)及び再生資源の十分な利用(資源の有効な利用の確保)の両方を目的とする。新法の本格施行により実施される特定家庭用機器廃棄物の再商品化等については、これら新法の目的にかなうものであることが必要である。あわせて、再商品化等の実施が有害物質の適正処理にも資するものであることが必要である。
(2)具体的方策について
新法の本格施行当初において対象となる家庭用機器4品目は、それぞれその組成及び構造が異なるものである。リサイクルに当たっては、金属部品の使用比率、解体の難易度等の差異を考慮し、個々の品目に最も適した方法であることが必要である。したがって、再商品化等・処理基準は個々の品目ごとに設定することが適当である。
2.特定家庭用機器再商品化法の仕組み等
小売業者が新法に基づき行う特定家庭用機器廃棄物の引取り及び引渡しについては、新法で規定する特定家庭用機器廃棄物管理票によりその適切な収集運搬を確保することとされている。
当該引取り及び引渡しについて、小売業者は料金を排出者(消費者・事業所)に請求することができることとされており、当該料金について小売業者は、事前公表等を行わなければならないこととされている。
製造業者等が実施する再商品化等については、新法に基づき政令で「再商品化等の基準」を設定し、一定水準以上の再商品化等を義務付けることとされている。また、再商品化等ではないが、生活環境保全上特に必要な再商品化等と一体的に行うべき事項を政令で定め、その実施を併せて製造業者等に義務付けることとされている。
製造業者等が再商品化等を実施するに当たっては、適正な再商品化等の実施及び義務履行の確保のため、主務大臣(厚生大臣及び通商産業大臣)の認定を受けなければならないこととされている。
当該再商品化等に関して、製造業者等は料金を排出者(消費者・事業所)に請求することができることとしており、当該料金について製造業者等は、事前公表等を行わなければならないこととされている。 (図1参照)
基本的には、1年間に製造業者等が引き取った特定家庭用機器廃棄物の量に対する1年間で再商品化等された量の比率として定められるものである。
「熱回収」
(2) 製品の部品又は原材料として利用する者に有償又は無償で譲渡し得る状態にしたものの量、
(2) 熱を得ることに利用する者に有償又は無償で譲渡し得る状態にしたものの量
新法において、熱回収は「再商品化された以外のもの」を対象とするものであり、特定家庭用機器廃棄物のリサイクルに当たっては、熱回収(いわゆる「サーマルリサイクル」)よりも再商品化(いわゆる「マテリアルリサイクル」)が優先されるものと考えられる。
なお、小売業者の行う特定家庭用機器廃棄物の収集運搬、製造業者等の行う再商品化等は廃棄物の処理として、「廃棄物処理基準」等廃棄物処理法の諸規定が適用となる。
当該事項は、廃棄物の減量・資源の有効利用を目的とする再商品化等とは趣旨が異なり、また、再商品化等の実施に必要な行為以外のものであるが、生活環境保全の観点から必要とされる事項である。当該事項は、特定家庭用機器廃棄物の特性・性状に応じて定められるものである。新法の本格施行当初に対象となる特定家庭用機器(エアコンディショナー、テレビジョン受信機、電気冷蔵庫、電気洗濯機)については、基本的にはエアコン及び冷蔵庫からのフロン回収・処理が想定されている。
一方、新法の本格施行後も、市町村は廃棄物処理法に基づき特定家庭用機器廃棄物の処理を行うことは可能である。
しかしながら、製造業者等に再商品化等という、より高い内容の処理を義務付ける一方で、市町村等廃棄物の処理を行う者が従前どおりの処理(資源回収を行わない破砕処理、直接埋立等)を行うことを認めると、廃棄物の減量・適正処理の効果・向上が確保できない上、処理費用の格差等の理由により特定家庭用機器廃棄物が製造業者等に引き渡されることなく処理され、新法の目的とする製造業者等による再商品化等の実施が困難になる事態が考えられるところである。また、新法の対象となる特定家庭用機器廃棄物は、廃棄物の減量・再生資源の利用の観点から特に法的措置をもってリサイクルを進めるべきものと判断されたものであり、市町村、廃棄物処理業者等の製造業者等以外の者が特定家庭用機器廃棄物の処理を行う場合についても、製造業者等が義務付けられる
再商品化等と同程度の水準に廃棄物処理法の廃棄物処理基準を強化することが適当である。
新法の本格施行及び廃棄物処理基準の強化により、市町村は従前の処理を行うことができなくなる。新法において市町村から製造業者等への引渡の道を規定しているとしても、市町村は廃棄物処理法に基づく一般廃棄物の収集・処分等の責任を有するものであることを考慮し、新法の本格施行前に収集した特定家庭用機器廃棄物の処理等についての経過措置の設定等を行うことが適当である。(図2参照)
また、廃棄物処理基準は、年度単位の量の比率で表現される再商品化等の基準に盛り込めない事項についても、必要不可欠な処理方法として規定することは可能である。なお、市町村等のみならず新法における製造業者等も再商品化等の実施に当たっては、廃棄物処理基準の適用を受けることとなっており、廃棄物処理基準に規定された事項についても遵守しなければならない。
3.特定家庭用機器再商品化法施行当初に対象となる家庭用機器をめぐる状況
ユニット形エアコンディショナーの室内機は、主として、銅・アルミで構成される熱交換器及びプラスチック製の筐体により構成され、金属類とプラスチック類の重量は同程度である。
また、室外機は、主として、金属製の筐体の中に、圧縮機、熱交換器、冷凍サイクル用銅配管、ファンモーターにより構成され、金属類が8割程度を占めている。
室内機及び室外機は管により接続され、冷媒(フロン類等)が使用されている。
エアコンディショナーについては、近年は機器の軽量化のためプラスチック比率が上昇し、金属類の比率が低下している。(表1参照)
素材別の重量比では、筐体の軽量化、ブラウン管の大型化によりブラウン管ガラス重量の比率が増加しており、現在使用されている製品の中心帯である1980〜1990年代製造のテレビジョン受信機については、その比率は約60%である。
一方、1970年代から1980年代初めにかけて製造されたテレビジョン受信機については、木製の筐体を持つもの、足つきのものがあり、テレビジョン受信機本体の重量が重い一方、ブラウン管の重量比は30〜40%程度である。また、ブラウン管についてはシェルボンド方式(ブラウン管の爆縮防止のため、現在のように鉄製の防爆バンドを使用する方法ではなく、樹脂により固める方法)を取っているため、ブラウン管自体の分解が困難な状況である。
プラスチック製の筐体については、ポリスチレンを主体とする難燃性プラスチックが使用されている。また、難燃剤としては臭素系難燃剤、アンチモン等が使用されている。 (表2参照)
ブラウン管ガラスについては、破砕、ガラスカレット化により再度ブラウン管の原材料とする方法が検討されている。例えば、前面の電気ガラス部と側面の鉛ガラス部を分離しそれぞれリサイクルする方法、両者一括してガラスカレット化しリサイクルする方法等が検討されている。
素材別の重量比では、鉄及び鉄合金、プラスチック類がほぼ半分近くずつを占めており、残りが銅、アルミニウム、ガラス等である。電気冷蔵庫については、近年、金属類の比率は徐々に減少しており、プラスチック類の比率が上昇しつつある。
冷凍サイクル部分については冷媒(フロン類等)が使用されている。また、筐体及びドア部のウレタン断熱材については、発泡剤としてフロン類が使用されている。(表3参照)
新法の本格施行に併せて強化することとなる廃棄物処理法の廃棄物処理基準の設定に当たっては、新法の考え方にも合致したものであることが必要である。
また、再商品化等の基準の設定、廃棄物処理基準の強化が、製造業者等のリサイクルし易い製品設計・製造の促進、廃棄物となった場合に有害物質となるものの使用低減、実際に行われるリサイクルの水準の向上とその費用の低減に効果があるものであるべきである。特に、最終処分の対象となる廃棄物を減少させ、埋立処分を回避させるものであることが必要である。
一方、新法の本格施行に関しては、
等の状況が存在する。
新法の本格施行当初においては、これらの状況を考慮し、実現可能な妥当な水準をもって再商品化等の基準及び廃棄物処理基準(以下、両者をあわせ「再商品化等・処理基準」という。)とすることが適当である。
しかしながら、新法の本格施行当初の技術水準及び施設整備の状況に基づいた再商品化等・処理基準の設定のみでは、将来にわたるリサイクルの水準の向上、有害物質対策の更なる促進、より効率的かつ効果的なリサイクルの実施のためには十分とは言えない。
新法本格施行後におけるリサイクルの水準の向上、リサイクルし易い製品の設計及び製造の促進を図る観点から、将来における再商品化等・処理基準を示し、新法の本格施行後のリサイクルの進展状況、処理施設の整備状況等を踏まえつつ、新法施行当初の水準から段階的に引き上げていくことが適当である。
しかしながら、対象となる家庭用機器4品目は基本的に金属類、ガラス類及びプラスチック類により構成されるものであり、再商品化等・処理基準の設定に当たっては、4品目に共通するものとして、これらの物質ごとにその取扱いについて検討することが適当である。
その際、廃棄物の減量及び資源の有効利用の観点から、ある程度、製品に占める割合の大きいものから優先的に取り上げることが適当である。併せて有害物質対策の観点も視野に入れることが適当である。
また、新法の再商品化等の定義においても「機械器具が廃棄物となったものから部品及び材料を分離し」と規定されているように、より高度のリサイクルの実施、リサイクルの効率性の向上のためには、特定家庭用機器廃棄物についての部品又は素材ごとの分解・選別が不可欠である。これは有害物質に対する適正処理の確保にも資するものである。再商品化等・処理基準の設定に当たっても、このような処理を前提に検討することが適当である。
さらに、現在の廃棄物のリサイクルにおいて、金属等の素材を回収する場合、ある程度回収できない部分が存在する。今後のリサイクルに関する技術水準の向上等により素材回収・再資源化の効率(以下「素材回収効率」という。)を向上させていくことが必要である。新法施行後の再商品化等・処理基準の段階的な引上げに当たっては、この素材回収効率の向上を見込むことが適当である。
以下、素材ごとに検討する。
金属類は、他の素材に比して分離・再資源化が容易である。このうち、鉄、アルミニウム、銅については、製品に占める重量が大きく、リサイクルによる廃棄物の減量の効果も大きいものである。また、素材の回収方法・再資源化の手法も確立しており、新法施行当初からリサイクルの対象とすべきである。また、新法本格施行後においては、これらの金属類の素材回収効率の向上が図られるべきである。
また、金属類で構成される部品については、リサイクルの水準を向上させるためにも、破砕処理等を行う前に部品ごとに分解・取り外し、再資源化が行われるべきである。特に、冷蔵庫、洗濯機、エアコンに使用されているモーター、コンプレッサー等の大型部品については取り外し、再資源化されるべきである。また、平成7年の「シュレッダー処理される自動車及び電気機械器具の事前選別ガイドライン」に規定されているように、ニカド蓄電池が使用されている場合には、これを取り外し適切なリサイクルの経路に載せ、再資源化されるべきである。
金属のうち鉛については、再資源化による資源の有効利用の側面とともに、再資源化による最終処分対象物中の鉛の減少といった有害物質の適正処理という効果が存在する。したがって、新法施行当初からリサイクルの中で対応していくことが適当である。具体的には、他の3品目に比して重量・大きさともに大きいテレビジョン受信機の大型のプリント基板については、取り外し、鉛、スズ等の金属類を再資源化すべきである。テレビジョン受信機のブラウン管の鉛ガラスについても取り外し、再資源化されるべきである。また、その他3品目についてもプリント基板に使用されるはんだ鉛の適切なリサイクル又は処分が行われていくべきである。
また、これらの金属に比べ少量であるが、特定家庭用機器には、アンチモン、ニッケル等のさまざまな重金属及びその化合物が使用されているところである。鉄、アルミニウム、銅が再資源化された後の残渣(シュレッダーダスト)の内容について、特段の注意を払うとともに、必要に応じて適切な措置が講じられるべきである。今後、特定家庭用機器に使用されている重金属についての情報収集、資源としての重要性・環境に対する有害性についての検討を進めていくべきである。
ブラウン管については、解体工程において部品として分離が比較的容易であり、ガラスとしてのリサイクルの対象とすべきである。また、その際、それぞれのガラスの材質に応じたリサイクルが行われるべきである。また、新法本格施行後においては、素材回収効率の向上が図られるべきである。
その他の品目についても、ガラス製の部品が使用されている場合は、これを取り外し、ガラスとしてリサイクルされることが適当である。
プラスチック類については、可燃物であるという性質から、新法にいう再商品化(マテリアルリサイクル)、熱回収(サーマルリサイクル)両方の対象となり得るものである。再商品化を優先する新法の趣旨から、再商品化される量の増加を図るべきであるが、現在使用されている特定家庭用機器に含まれる使われているプラスチック類は必ずしもマテリアルリサイクルを前提としてものでないことを勘案し、廃棄物の減量等の観点から熱回収も含め検討することが必要である。
また、特定家庭用機器に使用されているプラスチック類は多種多様であり、塩化ビニルが使用されているものも存在するとともに、難燃性プラスチックについては、難燃剤として臭素系難燃剤、アンチモン等が使用されている。これらのプラスチック類の処理に当たっては適正な処理を確保することが必要である。
現段階では、対象機器に含まれるプラスチック類全てについて、マテリアルリサイクルを義務付けることは困難である。
一方、容器包装リサイクル法におけるプラスチック製の容器包装廃棄物の再商品化が平成12年度から実施されることとなっている。新法本格施行までのプラスチックのマテリアルリサイクルの技術水準及び特定家庭用機器廃棄物のプラスチック類への当該技術の適用の可否、施設整備・受入能力の状況を勘案しつつ、再商品化等・処理基準の設定に当たっては、4品目に含まれるプラスチック類について一定量のマテリアルリサイクルを前提とすべきである。
新法本格施行後は、プラスチックのマテリアルリサイクルの技術水準・能力の向上に応じ、順次再商品化等・処理基準に反映させていくべきである。また、新法制定後に製造・販売された機器の廃棄が中心となり、マテリアルリサイクルに必要な条件が整備されると見込まれる新法制定後10年頃には、特定家庭用機器廃棄物に含まれるプラスチック類全般について、リサイクルの対象とすべきである。このため、製造業者におけるリサイクルを前提としたプラスチック類の選択・使用が不可欠である。
一方、熱回収の実施に当たっては生活環境保全上支障が生じないものでなければならない。特に、熱回収の結果発生する排ガス等については、ダイオキシン類の発生抑制等の生活環境保全の観点から適正な措置が確保されることが必要である。
製造業者等に義務付けられる再商品化等に熱回収を算定する場合については、マテリアルリサイクルへの動機付けが働く方法が取られるべきである。例えば、熱回収の対象量についてエネルギー利用率を乗じた値を再商品化を行った量に加算するなどの方法が考えられる。
冷媒用フロン類については、現在も市町村・小売業者等において回収が行われているところである。新法施行当初より実施を義務付けることが適当である。また、回収されたフロン類については、再度フロン類として使用する場合を除き、破壊処理を進めることが適当である。破壊処理については、各地で既にフロン類の破壊施設が稼働しており、実施可能と考えられる。
一方、断熱材フロン類については、断熱材発泡ウレタンを微粉砕し断熱材フロン類を回収する実証実験が行われているものの、このような断熱材フロン類の回収を行うための施設が極めて少ないこと、施設整備を含めた回収に係る費用が高く排出者の負担が高くなる可能性を考慮すると、新法施行当初から断熱材フロン類の回収を義務付けることは困難と考えられる。
また、焼却処理の一環として断熱材フロン類の破壊を行う取組も見られるところであり、プラスチック類のリサイクルの在り方との整理を含め検討する必要がある。
しかしながら、断熱材フロン類について何らの措置を講ずることなく埋立が行われ、大気中に放散することは望ましいことではない。断熱材フロン類の回収・処理について製造業者等が自主的にこれを実施することを促進するとともに、断熱材フロン類の処理に関する技術開発及び施設整備の状況、プラスチック類の取扱い(熱回収の基準の設定)を踏まえ、速やかにその回収・処理を義務付けるべきである。
なお、フロン類の回収・処理については、新法における再商品化等ではなく、再商品化等と一体的に行うべき事項として捉えられるものである。