平成10年9月29日
1. 平成10年7月1日から8月末日までの間に、医師から各都道府県知事、指定都市市長、中核市市長に報告されたエイズ患者は39件、HIV感染者72件であった。
患者39件、感染者72件の内訳は、
2. 患者39件、感染者72件の報告のうち、患者16件、感染者32件が異性間の性的接触によるものであった。このうち、日本人の報告は男性が患者12件、感染者16件、女性が患者2件、感染者8件であり、男女合わせると、患者14件、感染者24件(表1−1、1−2)であった。
また、外国人患者及び感染者の性別内訳は男性患者7件、感染者16件、女性患者3件、感染者8件であった。
3. 今回12名の死亡報告があり、「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班」からの報告と合わせ累積死亡報告数は1,069名となった。
4. 平成10年1月から8月末日までの献血件数4,058,945件のうちHIV抗体陽性件数は38件であった。
1−1 性別・感染原因別患者数 (単位:件)
1.日本のエイズ患者の届出状況 (単位:件)
注:※(注記)1日本の患者数は1998年6月末現在
平成10年9月29日
2) 今回の報告の特徴は、患者・感染者の報告が111件と過去5番目と同数、日本人患者・感染者の報告数が77件と過去5番目に多く、うち異性間性的接触による報告数が38件と過去4番目と同数であり、また日本人女性の患者・感染者の報告数も12件と過去4番目と同数であったということです。
3) 今回、推定される感染の原因が国内の輸血と記載されたHIV感染の報告が1例ありましたが、詳細については担当部局において調査しているところであります。
4) 平成10年9月25日付で、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が可決・成立し、平成11年4月1日付で施行されることとなりました。この法律により、「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」は廃止され、エイズは4類感染症の一疾病と位置づけられることとなるわけですが、患者・感染者が増加傾向にある現状においては、エイズ対策の充実・強化はますます重要であり、対策の基本であるエイズ動向調査は今後とも継続し、エイズ対策に生かしていくこととなっております。 平成10年9月29日(火)
平成10年9月29日
2.前回報告のHIV感染例の遡及調査について
3.本日報告のHIV感染例について
本日のエイズ動向委員会に、推定される感染の原因が国内の輸血と記載されたHIV感染例が1例報告された。当該症例は、昭和57年に輸血を受けたとされており、現在調査中である。
2−1 性別・年齢別患者数 (単位:件)
3−1 性別・感染地域別患者数 (単位:件)
1−2 性別・感染原因別感染者数 (単位:件)
2−2 性別・年齢別感染者数 (単位:件)
3−2 性別・感染地域別感染者数 (単位:件)
エイズ患者等の届出状況等 〔平成10年8月末現在〕
2.HIV感染者の届出状況 (単位:件)
3.累積死亡者数 1,069名
(参考)
・凝固因子製剤による感染を除く患者・感染者等の状況
・性別・年齢区分別・感染地域別患者・感染者数(法施行後) (単位:件)
(参考)世界のエイズ患者の状況(1998年6月20日現在、WHO報告)
(54カ国)
686,256 人
タンザニア
ケニア
ジンバブエ
97,621 人
78,765
70,669
23,126 千人
21,433
10,412
(45カ国)
889,465
アメリカ合衆国
ブラジル
メキシコ
641,068
120,399
35,119
248,709
146,825
81,249
(42カ国)
101,429
タイ
インド
日本
83,357
6,252
1,799
54,532
846,302
126,220
(40カ国)
207,890
スペイン
フランス
イタリア
50,155
47,953
41,627
39,433
56,634
59,103
(16カ国)
8,744
オーストラリア
7,571
16,850
都道府県別感染者累積報告状況
都道府県名
感染者
報告件数
(件)
構成割合
(%)
ブロック別
報告件数(件)
構成割合
(%)
東北
38
1.4
関東・甲信越
2,150
77.5
北陸
18
0.6
東 海
216
7.8
近 畿
230
8.3
中国・四国
46
1.7
九州・沖縄
62
2.2
( )内は今回報告件数(平成10年7月〜8月分)である
都道府県別患者累積報告状況
都道府県名
患者
報告件数
(件)
構成割合
(%)
ブロック別
報告件数(件)
構成割合
(%)
東北
33
2.7
関東・甲信越
869
72.0
北陸
12
1.0
東 海
107
8.9
近 畿
101
8.4
中国・四国
19
1.6
九州・沖縄
42
3.5
( )内は今回報告件数(平成10年7月〜8月分)である
山崎委員長コメント
1) 今回(平成10年7月から8月末日まで)のエイズ動向委員会への報告は、患者39件(前回40件)、感染者72件(前回79件)であり、うち転症例は1件(前回3件)でした。
前回と比較して、日本人患者が3件増、外国人患者が4件減、日本人感染者が7件減、外国人感染者が同数であり、トータルでは患者が1件減、感染者が7件減となっております。
今回はHIV抗体検査導入以前の症例ではありますが、感染の可能性があると思う人には献血を控えるよう注意喚起するとともに、献血時の問診などによるチェックの徹底をはかる必要があります。
照会先:保健医療局エイズ疾病対策課
担当者:池田(内2358) 大澤(内2355)
TEL:[現在ご利用いただけません](代表)
3595-2249(直通)
献血件数及びHIV抗体陽性件数
( 検 査 実 施 数 )
陽性者数
( )内女性
10万人
当たり
(昭和62年)
8,217,340
11
( 1)
0.134
(昭和63年)
7,974,147
9
( 1)
0.113
(平成元年)
7,876,682
13
( 1)
0.165
(平成2年)
7,743,475
26
( 6)
0.336
(平成3年)
8,071,937
29
( 4)
0.359
(平成4年)
7,710,693
34
( 7)
0.441
(平成5年)
7,205,514
35
( 5)
0.486
(平成6年)
6,610,484
36
( 5)
0.545
(平成7年)
6,298,706
46
( 9)
0.730
(平成8年)
6,039,394
46
( 5)
0.762
(平成9年)
5,998,760
54
( 5)
0.900
(平成10年1月〜6月)
4,058,945
(速 報 値)
38
( 2)
0.936
照会先:医薬安全局血液対策課
担当者:河 原,近 藤
TEL:[現在ご利用いただけません](内線)2905,2904
03-3595-2395(直通)
輸血が原因と推定されるHIV感染例の報告について
1.平成10年5月報告のHIV感染例の遡及調査について
同じ血液からは赤血球製剤5バック、血小板製剤1バックが製造され、そのうち 赤血球製剤1バック、血小板製剤1バックについては使用されず廃棄されていた。残りの赤血球製剤4バックについては平成2年当時、卸売販売業者を通じて医療機関に供給されたが、卸売販売業者から医療機関への供給記録が既に廃棄されていたため、関係自治体等の協力により、当時卸売販売業者が供給していた116の医療機関に対し、投与の有無の確認等を行っているところである。
同じ血液からは各々血小板製剤と新鮮凍結血漿が製造されていたが、血小板製剤は4剤とも期限切れで他の患者には輸血されていなかった。また新鮮凍結血漿は血漿分画センターへ送付された後、原料血漿として血漿分画製剤製造業者で使用され、不活化処理を行い、グロブリン製剤及びアルブミン製剤が製造された。また、原料血漿プールの保管検体について核酸増幅検査を実施したところ、陰性であった。該当する製剤は全て平成5年末に有効期限が過ぎており、在庫は存在しない。また、当該製剤の卸売販売業者への出荷記録も既に廃棄されている。
厚生省医薬安全局血液対策課
照 会 先:河原、伊藤
内 線:2905、2908
夜間直通:03-3595-2395