I 4都府県(埼玉県、東京都、石川県、大阪府)調査
出産後おおむね5日目、30日目、150日目、300日目の母乳を採取。
II 保存母乳調査(大阪府)
III 調査結果
本調査研究は2年計画で実施しているが、今年度実施した調査内容を中間的に取りまとめたところ、次のような結果が得られた。
1 4都府県調査
A. 対象地域・調査検体数
本調査研究においては、各地域の調査対象者数を10人としているが、今回、中間的に集計した検体数は第1回目が68、第2回は43で、地域別の検体数は(表1)のとおりであった。
B. 母乳中のダイオキシン類濃度・廃棄物処理施設からの距離
母乳中のダイオキシン類の濃度は、第1回目に採取した68検体の平均は、脂肪1g(グラム)当たり17.4pg(ピコグラム)、第2回目に採取した43検体の平均は脂肪1g当たり15.2pgであった(表2)。
廃棄物処理施設から居住地までの距離は、東京都、石川県では大都市又は廃棄物処理施設付近よりもその他の地域等の方が短くなっており、地域区分の評価に当たっては、その点を考慮する必要がある。
また、廃棄物処理施設からの距離と、1回目の母乳に含まれる脂肪1g中のダイオキシン類濃度及び母乳100g中のダイオキシン類濃度との間には相関はみられない(図1・図2)。
調査対象者の居住年数は当初10年以上を目標としたが、若い女性は結婚に伴う転居等が多く長期在住者を確保することが困難な地域もあり、検体の確保を優先したことから10年以上の居住歴を持つものに限定することはできなかった。
今回の調査結果は中間的な取りまとめであり、最終的な評価については当初予定した検体数の集計を待って行う必要がある。
2 保存母乳調査(大阪府)
各年19〜39検体(平均28.2検体)を混合し、各年1検体として測定。測定に使用した検体数は合計649。
母乳中のダイオキシン類濃度は1973年から1996年にかけてほぼ半分近くに減少しており、TEQ濃度の減少率はPCDDに比べPCDFの方が大きかった(表3・図3)。
また、Co−PCBはPCDD、PCDFよりも大きく減少していた(表3・図4)。
(表2)母乳中のダイオキシン類濃度・廃棄物処理施設からの距離
平均距離(km)
ダイオキシン類濃度の平均(第1回)
ダイオキシン類濃度の平均(第2回)
B.
1.9
4.0
20.9
16.5
40.8
49.7
18.0
14.0
74.3
58.0
B.
6.0
2.9
18.8
17.1
67.4
48.0
17.8
6.6
59.0
29.6
B.
7.7
2.1
12.7
16.5
34.5
61.5
13.0
14.5
45.6
67.1
B.
2.2
4.9
18.3
18.1
57.9
47.7
15.8
16.4
64.4
59.1
廃棄物処理施設からの距離と1回目の母乳に含まれる脂肪1g中のダイオキシン類濃度の関係の図
廃棄物処理施設からの距離と1回目の母乳100g中のダイオキシン類濃度の関係の図
(表3)保存母乳中のダイオキシン類調査
(TEQpg/g脂肪)
'74
'75
'76
'77
'78
'79
'80
'81
'82
'83
'84
'85
'86
14.3
14.6
15.9
13.6
12.8
13.6
13.0
11.6
12.7
13.3
14.1
14.4
12.2
11.4
11.4
17.5
14.3
12.3
13.7
13.0
13.5
11.8
9.8
10.3
10.1
10.2
9.1
8.2
25.6
32.1
30.2
25.9
26.5
26.6
26.4
23.4
22.5
23.7
24.2
24.6
21.3
19.6
31.4
31.4
28.0
23.0
22.2
25.3
20.1
16.6
15.6
15.0
16.4
12.7
11.1
10.9
'89
'90
'91
'92
'93
'94
'95
'96
13.4
14.1
12.3
11.1
10.9
11.0
11.8
9.3
9.5
8.3
7.4
8.9
7.4
6.7
6.7
7.0
6.3
6.8
21.7
21.5
21.1
18.5
17.5
17.7
18.8
15.6
16.3
12.7
11.5
10.8
10.7
8.6
8.8
8.3
7.9
7.8