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公衆衛生審議会成人病難病部会の開催について

本日、下記により、公衆衛生審議会成人病難病対策部会が開催されましたので、お知らせします。

1.日 時 平成9年4月3日(木) 午後2時〜4時

2.場 所 厚生省特別第1会議室(7F)

3.議事及び審議内容

(1) 「特定疾患調査研究事業クロイツフェルト・ヤコブ病に関する緊 急調査研究班」の最終報告について(資料)

同研究班の調査研究結果について、佐藤班長から最終報告があり質疑が行われたあと、今後の対策等について検討が行われた。

(2) クロイツフェルト・ヤコブ病及び類縁疾患調査に実施について

平成9年2月13日にクロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会が開催され、クロイツフェルト・ヤコブ病及び類縁疾患調査の実施等について事務局から報告があり了承された。

(3) 難病対策専門委員会の開催について

特定疾患対策懇談会特定疾患治療研究事業に関する対象疾患検 討部会報告を踏まえて、今後の治療研究事業のあり方等について、 難病対策専門委員会(委員長:黒川東海大学医学部長)において検討を進めることが了承された。

(4) その他

公衆衛生審議会成人病難病対策部会委員名簿

氏 名 所 属
石 井 明 子
石 川 達 郎
太 田 和 夫
金 澤 康 徳
幸 田 正 孝
近 藤 健 文
杉 村 隆
杉 本 恒 明
鈴 木 宏
瀬 在 幸 安
高 石 昌 弘
しろまる高 久 史 麿
津久江 一 郎
寺 山 久美子
奈 良 勲
古 谷 章 恵
町 野 朔
宮 本 昭 正
山 口 規容子
山 谷 えり子 千代田区神田保健所長
(社)日本薬剤師会常務理事
東京女子医科大学腎臓病総合医療センター所長
自治医科大学教授
(社)全国社会保険協会連合会理事長
慶應義塾大学医学部教授
国立がんセンター名誉総長
公立学校共済組合関東中央病院院長
山梨医科大学学長
日本大学総長
大妻女子大学人間生活科学研究所長
自治医科大学学長
(社)日本医師会常任理事
東京都立医療技術短期大学教授((社)日本作業療法士協会会長)
広島大学医学部教授((社)日本理学療法士協会会長)
(社)日本看護協会(神奈川県平塚保健所保健衛生部長)
上智大学法学部教授
国立相模原病院名誉院長
母子愛育会総合母子保健センター愛育病院院長
サンケイリビング新聞社編集長
しろまる印は部会長



厚生省特定疾患調査研究事業
「クロイツフェルト・ヤコブ病に関する緊急調査研究班」
研究報告書概要


1997年4月3日

  1. 一次調査依頼診療科数 3,926+神経病理等 91 計 4,017
    (精神科、神経内科、神経病理等)
    一次回答診療科数 2,905(回収率 74.0%)
    患者有診療科数 496
    報告患者実数 832

  2. 二次調査依頼診療科数 445
    二次回答診療科数 347(回収率 78.0%)
    二次回答患者数 664

  3. 解析結果の概要

    解析結果の概要を図1〜2,表1〜表6に示した。

  4. 罹患率

    1) 罹患率

    男0.50 女0.77 (人口100万対年間)
    観察期間;1985年1月〜1996年5月の11年5ヶ月に発症した患者
    基準人口;1990年の国勢調査人口

    2) 年次別罹患率・死亡率の推移(図2)

    罹患数、死亡数共に増加傾向を示した。

  5. 新変異型CJDの有無について

    英国で1994年以降に報告された新変異型 CJDは牛海綿状脳症の感染が疑われているので、わが国での同様の患者が存在するか否かについて調査した。
    新変異型CJDは20歳前後の若年発症であり、経過が孤発型より遅く、脳波では典型的なPSDが認められない。脳病理ではkuru斑が多数存在するなどの特徴が記載されている。
    このような診断基準に一致する若年発症者は認められなかった。
    またわが国では近年、若年発症者の増加傾向も認められなかった(表2)。
    なお、現在生存中の15歳と42歳発症のCJD患者は、脳波の典型的なPSDの所見が英国例 と異なっているものの、念のため今後も経過を観察することとした。

  6. 硬膜移植歴を有するCJD患者

    CJD患者のうち、ヒト硬膜の移植を受けていた患者数は43例で、手術時期は1979年から1991年である(表5)。
    なお、硬膜移植後2ヶ月でCJDを発症した例が1例あったが、期間が短か過ぎるの で解析では硬膜移植例から除外してある。
    ヒト硬膜移植例の平均発症年齢は53.1歳であり、これを除く孤発性CJDの平均発症年齢 63.1歳と比較すると、若年発症の傾向が認められた(表2、表5)。
    硬膜移植を受けた43例の中で42例は1979年から1989年の間に水酸化ナトリウム処理過 程導入前のヒト硬膜が使用されたものと考えられるが、この時期に硬膜移植を受けた者 のCJD発症率は、一般集団の発症率よりも極めて高かった。
    1例(65歳)は1991年9月と10月の2回にわたる脳外科手術の際、硬膜移植が行わ れている。この患者に使用された硬膜の商品名は不明であり、水酸化ナトリウム処理が なされた製品であるかどうかの確認ができなかったが、水酸化ナトリウム処理がなされ た製品が使用された可能性も否定できない。

  7. 治療歴

    CJD患者の中で何らかの手術歴を有する者は296例あり、その詳細については、表6 のとおりである。
    なお、文献的にCJDとの関連が指摘されている特殊治療歴については以下のとおり であった。

    1) 角膜移植 1例(文献例、手術日は1987年7月)
    2) 脳下垂体製剤の投与歴 なし
    3) 深部電極 なし

  8. 外国生活歴・旅行歴

    1985年以降の発症者で英国生活歴あるものは2例存在していたが、新変異型CJDと診断されるものはいなかった。


公衆衛生審議会成人病難病対策部会
クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会

北 本 哲 之 東北大学医学部教授
しろまる 佐 藤 猛 国立精神・神経センター国府台病院院長
品 川 森 一 帯広畜産大学畜産学部教授
祖父江 元 名古屋大学医学部教授
立 石 潤 九州大学名誉教授
端 和 夫 札幌医科大学教授
柳 川 洋 自治医科大学教授
山 内 一 也 東京大学名誉教授
しろまる印は委員長

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図1
表 1 プリオン病(広義のCJD)

性別 患者数 平均発症年齢
男 341 61.5±11.7
女 487 62.3±10.6
不明 1 ―
総数 829 62.0±11.1



発 症 年 齢
≦19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-84 85- 不明 年代別計













〜1985 1 1 5 5 8 12 13 20 18 7 2 2 3 97
86 1 1 1 2 2 9 5 5 3 2 2 33
87 3 1 4 4 7 9 10 9 2 1 1 51
88 1 1 1 4 11 8 10 9 4 1 1 51
89 1 1 2 2 2 3 10 10 10 10 5 2 1 59
90 3 1 2 3 5 6 10 14 7 4 1 1 57
91 2 1 3 3 4 9 13 9 8 7 5 2 66
92 1 3 5 4 12 12 16 12 5 1 1 1 73
93 1 1 7 5 21 12 16 14 2 2 1 82
94 1 2 2 4 13 13 21 18 19 8 3 2 2 108
95 1 1 1 6 10 13 22 22 21 12 3 1 1 114
96 1 1 4 3 4 1 5 1 1 21
不明 17 17
年齢別計 1 0 5 11 18 19 46 70 127 146 149 124 54 20 6 33 829

表 2 孤発性CJD(硬膜移植例を除く)
性別 患者数 平均発症年齢
男 280 62.8±10.9
女 424 63.2±10.0
不明 1 ―
総数 705 63.1±10.4



発 症 年 齢
≦19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-84 85- 不明 年代別計













〜1985 1 1 3 3 5 11 12 17 14 7 1 2 2 79
86 1 1 2 7 5 4 3 2 2 27
87 1 1 3 3 7 8 9 9 2 1 1 45
88 1 1 1 2 9 7 10 8 3 1 1 44
89 1 1 2 2 10 10 9 9 5 2 1 52
90 1 1 3 5 9 13 7 1 1 1 42
91 2 1 2 2 4 9 10 9 7 7 4 2 59
92 1 2 4 3 10 10 13 11 5 1 1 1 62
93 1 5 2 18 11 15 13 2 2 1 70
94 1 2 1 4 13 11 19 15 19 8 3 2 1 99
95 4 7 12 17 17 21 11 3 1 1 94
96 1 3 3 4 1 4 1 1 18
不明 14 14
年齢別計 1 0 4 4 11 9 33 55 113 127 129 118 48 19 6 28 705

表 3 家族性CJD + GSS(硬膜移植例を除く)
性別 患者数 平均発症年齢
男 44 56.7±12.7
女 37 57.7±11.5
不明 0 ―
総数 81 57.2±12.2



発 症 年 齢
≦19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-84 85- 不明 年代別計













〜1985 2 2 3 1 1 2 3 1 1 16
86 1 1 1 3
87 1 1 1 3
88 1 2 1 1 1 6
89 2 1 1 1 5
90 2 1 1 2 1 1 1 2 11
91 3 1 1 5
92 2 2 3 1 8
93 1 1 2 1 5
94 1 2 2 1 6
95 1 1 2 3 2 9
96 1 1
不明 3 3
年齢別計 0 0 0 3 4 7 7 8 11 15 10 6 4 1 0 5 81

表 4 硬膜移植例
性別 患者数 平均発症年齢
男 17 50.2±13.7
女 26 54.6±12.2
不明 0 ―
総数 43 53.1±13.2



発 症 年 齢
≦19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-84 85- 不明 年代別計













〜1985 1 1 2
86 1 1 1 3
87 1 1 1 3
88 1 1
89 1 1 2
90 1 1 1 1 4
91 1 1 2
92 1 1 1 3
93 1 1 2 1 1 1 7
94 3 3
95 1 1 1 1 1 2 3 1 11
96 1 1 2
不明 0
年齢別計 0 0 1 4 3 3 6 7 3 4 10 0 2 0 0 0 43

表 5 硬膜移植例 手術年代/発症年代


手 術 年 代
1979 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 計












1985 1 1 2
86 1 2 3
87 2 1 3
88 1 1
89 1 1 2
90 1 1 2 4
91 1 1 2
92 1 1 1 3
93 1 1 1 3 1 7
94 1 1 1 3
95 1 1 2 2 2 3 11
96 1 1 2
計 2 1 3 2 5 10 9 5 4 0 1 0 1 43

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