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2018年8月23日
第2回困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会

子ども家庭局家庭福祉課

しろまる日時

平成30年8月23日(木)15:00〜18:00

しろまる場所

中央合同庁舎4号館共用第108会議室(1階)


しろまる出席者

構成員

大谷構成員 戒能構成員 近藤構成員 新保構成員
高橋構成員 橘構成員 仁藤構成員 堀構成員
前河構成員 松本構成員 水野構成員 村木構成員
横田構成員 和田構成員

参考人

廣瀬参考人


事務局

濵谷子ども家庭局長
藤原内閣官房審議官(子ども家庭局併任)児童虐待防止等総合対策室長
長田子ども家庭局総務課長
成松子ども家庭局家庭福祉課長
度会子ども家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室長
菅子ども家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室長補佐
佐々木子ども家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援推進官



オブザーバー
内閣府
法務省
警察庁


しろまる議題

困難な問題を抱える女性への支援のあり方について
(構成員からのプレゼンテーション等)

しろまる議事

しろまる 度会母子家庭等自立支援室長
それでは、定刻となりましたので、只今から「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会 第2回」を開催いたします。
構成員の皆様には、ご多用のところをお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
本日は、加茂構成員、菅田構成員、野坂構成員から欠席のご連絡をいただいております。なお、欠席された菅田構成員より、全国母子生活支援施設協議会の廣瀬常任協議員を参考人として参加させたいとのご希望があり、参加いただいております。
次に、事務局の異動がございましたので、ご紹介をさせていただきますが、座席表がお手元にありますが、子ども家庭局長の濱谷。それから、内閣官房内閣審議官の藤原が異動となっております。本日この検討会には遅れて出席となりますので、どうぞ宜しくお願いいたします。
第2回の検討会につきましては、ご案内のとおり、ペーパーレスで行うこととしております。本日の資料は、タブレットを操作してご覧いただくこととしていますので、資料の配布はございませんが、お手元には議事次第、それから座席表、構成員名簿、それからタブレット、タブレット操作説明書、婦人保護事業等における支援実態に関する調査研究報告書。黄色の冊子になります。それから、ハードファイルで第1回の資料という形で準備させていただいております。配布物に不足等ございましたら、事務局のほうへお申し付けください。
それでは、これからお手元の資料のタブレット操作説明書を見ながら、タブレットでの資料の確認方法及び資料のめくり方などについて説明をいたします。
まずタブレットを見ていただきますと、皆様の画面のほうには、今日の議事次第として、困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会の画面があると思います。この画面の左上。「マイプライベートファイル」こちらのほうを選択していただきますと、本日の資料が、このタブレットの中に入っているという形になります。
次に資料の選び方ですけども、01、資料1とされている、和田構成員提出資料のほうを選んでいただけますでしょうか。今、和田構成員の提出資料となっておりますが、タブレットの操作につきましては、表示を拡大縮小する場合は、2本の指を使っていただいて、表示の縮小拡大をすることができるという形になります。また、ページをめくっていただく場合は、現状では上のほうへスライドをさせていただくという形になります。
それから、もうひとつの方法としまして、タブレット操作説明書の2ページ目のところに、任意のページを指定して表示するという操作方法が載っております。今タブレットに出ております、資料のところを1回タップしていただきまして、左下に3本のマークが出ると思いますが、こちらのマークをタップしていただきまして、一番下の「ファイル・印刷に注釈を付ける」これをタップしていただければと思います。そうしますと、画面下に「ページ数」と、小さなページごとの部分が出てきますので、これに基づいて任意のページを選ぶことができるという形になります。また、この画面では、左側にスライドをしていただくと、ページが飛ぶという形になります。
それでは、一旦タップしていただいて、そうしますと左上に「閉じる」というのが出ると思いますので、これを閉じますと、「マイプライベートファイル」の資料の一覧に戻るという形になっております。
その他の操作につきましては、お手元のタブレット操作説明書のほうをご覧いただければと思います。
それでは、これより議事に入りますので、カメラの撮影はここまでとさせていただきます。傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の厳守をお願いいたします。
それでは、これより先の議事は、堀座長にお願いしたいと思います。宜しくお願いします。

しろまる 堀座長
はい。まず議事に入ります前に、前回の検討会でも意見のほうが出ておりました、検討会のスケジュール。そして、婦人保護事業等における支援実態等に関する調査研究。こちらに関しまして、改めて事務局より説明のほうをお願いいたします。

しろまる 度会母子家庭等自立支援室長
はい。前回ご提案しましたスケジュールですが、10月末を目途に論点整理を行っていただくこととしておりますが、論点整理で検討会が終わるということではなく、その後、論点整理に沿って、ご議論を重ねていくものと考えております。また、前回の検討会で任期のお話がありまして、任期を来年の3月までということでお願いしておりますが、今年度中に全て終了するということではなく、3月以降も議論をする必要があるということであれば、議論を続けていくことになりますので、ご理解いただければと思います。

しろまる 菅母子家庭等自立支援室室長補佐
続きまして、少しお時間をいただきまして、昨年度行いました調査結果の考察の部分を、一通り共有をさせていただきたいと思います。お手元の参考資料2という一番下の資料を開いていただけますでしょうか。開けましたでしょうか。こちら調査研究報告書の抜粋でございまして、4つの調査票のそれぞれの調査結果からの考察が整理をされております。この資料に沿いまして説明のほうをさせていただきます。
まず、1ページ、2ページ目に行っていただきますと、都道府県主管課での調査結果の考察になっております。
1としまして、都道府県主管課の組織体制。3行目にあります通り、婦人保護事業について専任職員の割合をみますと、課長級・補佐級で約3割、係長級・係員級で約4割ということになっております。
続きまして、婦人保護事業関係の予算の状況でございますが、3行目を見ていただきますと、各人口規模ごとに予算額の最大最小をみたところ、150万人未満の自治体ですと、最大で14倍ほど予算額に差がある。以下150万から500万の市で3.4倍、500万人以上で2.8倍というようなことになっております。
続きまして3番目、婦人保護事業の支援方針でございます。まず婦人保護事業の実施要綱を都道府県として作成していると回答があったところが全体の11自治体、約4分の1。なしという回答が全体の7割ということになっております。
少し資料のほう先にいきまして、4番目に婦人保護事業における支援課題でございますけれども、それぞれの支援対象の属性ごとに、支援課題として自由記述の回答として主立ったところが並んでおります。
若年女性については、公的な相談機関につながりにくいことが課題であって、広報の工夫等々検討が必要な状況でありました。
5行ほど下へ行きまして、児童を同伴する女性、それから同伴児につきましては、暴力被害等により、女性自身に休息が必要な場合や、養育能力に課題がある場合、女性を支援する体制や社会資源が乏しく、また、一時保護中に児童相談所に虐待通告しなければならない場合の女性への支援が課題という意見がありました。
また、面前DVによる心理的虐待を受けた子供への心理的ケア、保育学習支援についての体制。こういったところについて、課題として挙げられております。
妊産婦につきましては、一時保護にあたり、妊婦検診を受けた病院に通院できないことから、医療機関を新たに確保する必要があること。生活の場として設備が整っていないこと等の課題がございます。
次のページに行きまして、障害者・高齢者。こちらにつきましては、支援体制、物的な面も含めた支援体制について課題があるというような意見が出ております。
また、性的少数者につきましては、実績やノウハウが乏しいことから、ニーズ把握等が十分でなく体制整備がされていない。さらに外国籍の方につきましては、コミュニケーションや通訳の確保が困難等の課題が挙げられております。
5番目としまして、婦人保護事業の課題。これについては、大きく3点の設問を設けておりました。国、県、市町村の役割と連携については、根拠法令である売春防止法に市区町村の責務・役割についての規定がないことから、女性が中長期的に地域生活に必要な支援を利用できる体制にないことが課題とされております。
また、民間団体との連携に関しましては、地域差が大きく、連携する団体がそもそもないという自治体と、連携先はあるんだけれども、民間団体への支援が乏しいことが課題であるという自治体に分かれておりました。
最後に、婦人保護事業の体制整備については、改正前の売春防止法の規定により、婦人相談員が非常勤である自治体が多く、支援スキルの構築が困難。また、一時保護件数や複雑な支援ニーズ等、実状に見合った配置基準に見直すことが必要といった課題が挙げられておりました。
次に婦人相談所、一時保護所の結果からの考察でございます。
まず、所管部署につきましては、全体の約7割が福祉部門、それから、残り3割が男女共同参画部門ということで分かれてございます。
3〜4行ほど下っていただきまして、所管部門が異なることによって、情報発信元の違いや流れの違いがみられ、各都道府県において、同じ婦人相談所でありながら、違った仕組みで業務を行っている状況があるということでございます。
少し飛びまして、(3)設置状況でございます。
まず、設置形態につきましては、全ての婦人相談所が配暴センターの機能を持っております。また、それら婦人相談所につきまして、単独で、婦人相談所単独として設置されているところは、49か所中11か所となっております。
続きまして、2名称でございますが、現在も婦人相談所という名称を使っているのは2か所となっております。
大きな2つ目ですけれども、婦人相談所の体制の現状でございます。
まず、婦人相談員の数でございますけれども、全国に配置されている婦人相談員の数は合計240人、1か所平均で5人となってございます。
それから、次に職員の体制、3でございますけれども、相談業務と一時保護の業務の分離がされていないとした婦人相談所が27か所ございました。
夜間の体制でございますけれども、最も多い体制は、非常勤による宿直であります。宿直については、常勤職員や警備員が行っているところもあります。また、夜勤を行っているところは11の自治体で、うち常勤職員が行っているのは2つの自治体のみであります。
少し先に参りまして、6専門職の配置でございます。4行目にありますけれども、医師の配置について、13か所の相談所で医師がいないということであります。また、配置されているところも、常勤、非常勤、専従、兼務、様々な形態がみられております。
次のページにいきまして、看護師についても、配置されていないところが31か所ございました。配置されているところでも、常勤は5か所となっております。
心理判定員については、4か所で配置がされていないということでありました。
大きな3番目でございますけれども、婦人相談所、一時保護所の支援の現状でございます。多様な年齢、主訴、属性への対応ということで、年齢についてみますと、相談、一時保護とも、15歳から75歳以上までまんべんなく対応がされている。4〜5行飛びまして、最も多い年齢層としては、30歳から40歳でありますけれども、例えば15歳未満から30歳までの人数を合計しますと、来所相談では約2割。一時保護においても、30歳から40歳までの人数を超えて、3割強ということになっておりまして、若年女性への対応が求められているということが示されております。
続いて主訴でございますけれども、夫からの暴力が大半を占めております。
ひとつ飛びまして、属性・課題、4でございます。来所相談、一時保護とも、課題を重複している方が多いとなっております。暴力被害以外では、精神疾患・障害が多く、その他被虐待体験、知的障害、妊産婦、社会的養護体験、性産業従事、一時保護では精神科病院退院が主な属性となっております。
ページの最後の段落ですけれども、どのような課題、属性でありましても、最も多い主訴は夫等からの暴力であります。これは婦人相談所が配暴センターとしての役割を担っているということが周知をされており、DV相談をするところと認知されていることが影響していると考えられます。
続きまして、ページを跨ぎまして、多様な関係機関との連携の状況でございますけれども、2行目、特に連携が深いとなっておりますのが、市区等に配置された婦人相談員であります。市区に婦人相談員が配置されているところについては、地域の女性支援の窓口として機能をしているということが表れております。
続きまして、一時保護でございますけれども、こちらは依頼元を見ますと、福祉事務所、婦人相談員、警察が多くなっております。その傾向は大都市になるほど強くなっております。一方で、本人自身からの依頼は、小規模な自治体において多い傾向にあります。
4番目、地域格差の現状でございます。5行目の最後でございますけれども、婦人相談員を設置している市区の数は348。29年4月現在ということでありまして、全ての市区の約42.7%ということになっております。
ページを跨ぎまして、保護件数の違いもそれぞれ婦人相談所においてございます。警察からの依頼がひとつもないという自治体が3自治体。福祉事務所からの依頼がないという自治体が15自治体ございました。
市区町村との連携につきましては、婦人相談所は、市区等に設置された婦人相談員を中心に、福祉事務所、所管課との連携が行われております。在宅サービスや経済的支援の多くは、市区町村が実施主体となっております。また、相談を受けた女性が地域で生活するにあたっての支援は、各市区町村の実施に委ねられることになるという現実を物語っています。
大きな5番目、他施策との役割分担等でございます。児童相談所につきましては、5行目の最後でございますけれども、婦人相談所は親権者への対応権限を持っておりません。これらの課題に対応するにあたって、親権者への指導の権限を持つ児童相談所と、対応スキルを有する婦人相談所がどのように連携し、役割分担をしていくか考えていく必要があります。
障害者の関係でございますけれども、次の高齢者と同様でございますが、支援ニーズに対応できる設備面が整っていないという意見が挙げられております。
大きな6点目、心理的ケアでございます。現在の対応状況でございますけれども、心理的ケアを一時保護において実施しているところが全体の98%。一方で、それでもなお不足しているというところが、22.4%ございました。
求められる対応でございますけれども、5行目でございます。最初に対応することが多い婦人相談所が、心理的なダメージや特性について的確に把握をし、その時点で必要な専門的な対応を適切に行うことが不可欠であります。その後の心理的ケアを継続していくにあたっての重要な起点であると考えられます。そのためには、心理判定員に加え、心理療法担当職員の専門性強化、判定に留まらない心理療法を行うための人員配置が必要であります。
7番目、若年女性の関係でございます。年齢が比較的若い女性であっても、夫等からの暴力、それから親からの暴力等、暴力被害を受けていること。18歳未満は18歳以上の女性と比べて、妊娠・出産の問題や、帰住先なしの主訴が多いということが、結果から示されております。
ページを跨ぎまして、ポツで4つ並んでございますが、かような支援が必要であると考えられます。
8番目に、同伴児を抱える女性の関係でございます。3行目でございますけれども、一時保護につながらないケースとしては、同伴児のいる女性が、若年女性の次に多かった結果が出ております。一時保護の同意が得られなかった理由としては「同伴児と一緒に入所できない」「同伴児が転校または休校しなくてはいけない」が挙げられております。
同伴児童の実態でございますが、婦人相談所で保育士が配置されているのは24か所でございます。半数以下ということでございます。また、心理職についても、対応可能な人員配置とはなっておりません。
続きまして、ページを跨いで9番目でございますけれども、一時保護の現状と入所に至らない理由でございます。現状でございますが、あらゆる年代、属性、主訴、課題を有する人達が入所し、生活をしております。夫等からの暴力を含め、暴力被害者は多い一方で、一定程度、帰住先なしの人達も入所しております。
入所に至らない理由(2)でございますけれども、これまでの生活と変わらない生活を続けたいというニーズが、結果から伺われております。現在の生活においては通信機器が必須であり、持たないことで不安を持つことにもつながっております。しかしながら、DV被害者が多い一時保護所の中では、機器の制限は必須であります。危機管理のために必定と考える環境条件と、入所者の生活上の希望にギャップが生じている現状があります。
続いて若年女性についてでございます。特に若年女性の場合は「同意が得られない」が入所に至らない理由の9割となっております。集団生活であること、通信機器が使えないことについての抵抗感が挙げられております。これらの点については、現状の仕組みを変えない限り、一時保護は困難である一方で、最後ですけれども、その女性の特性、成育歴に合った説明の方法により、「同意を得られない」の割合を減らすことができるのではないかと考えられます。
次に婦人保護施設への入所に至らない理由でございます。これも「同意が得られない」が多くを占めておりますけれども、一方で、支援する側が、様々な理由により入所させられないと考えていることが伺えます。
続きまして、若年女性でございますけれども、こちらも一時保護と同じように「本人の同意が得られない」が80%で多くなっております。同様の理由で同意が得られないということになっておりまして、今後、これは検討の必要があります。
最後に、これからの婦人相談所のあり方でございますけれども、まず1つ目がハード面でございます。3行目、他施策との役割分担や、お互いの支援強化が必要であるものの、当面の間は現状の中で対応が求められます。幅広い福祉関連の知識を持ち、それぞれの女性の持つ課題、特性等を見抜き、かつ支援につながっていくような面接技術が必要であります。
2行飛びまして、また、それぞれの年齢、属性等に沿って、ハード面の改善、充実が必要であります。
ページを跨ぎまして、専門性の強化でございますけれども、幅広い福祉分野の知識、それぞれの背景、特性を迅速に見抜き、適切な対応ができる人材が求められます。加えて、精神疾患を有する方へのニーズを考慮し、医師、看護師等の配置が必須であります。
市区町村との関係につきましては、婦人相談所は都道府県設置であります。一方で、在宅サービスの多くは、市区町村が管轄をしておりますので、市区町村との連携が必須となっております。
他施策との役割分担でございます。2つ目の段落ですけれども、今後、障害、高齢部門が、障害の程度に合わせた暴力被害に対するケアのスキルアップを図っていく必要があります。一方で婦人相談所としても、女性であり、かつ暴力被害者であるという側面から、障害を持つ方、高齢者への支援強化を行い、連携、役割分担を考えていく必要があります。
次に、若年女性への対応強化でございます。調査の中で行いましたBONDプロジェクトへのインタビュー調査から、様々な実態が明らかになっております。ページを跨ぎまして、今後これら民間団体による活動を支援しつつ、行政機関として適切な支援を行っていく必要があります。
同伴児童についてでございますけれども、5行目でございますが、児童に対する支援は、児童福祉法に則って行われるものでありますけれども、売春防止法を根拠とする婦人相談所での支援においては、迅速、的確に児童福祉法上の支援が活用できない実態があります。婦人相談所をはじめ、婦人保護事業で対応する児童について、児童福祉法と、その関係機関が実施する支援を的確に活用できる体制づくりが求められております。
続いて、地域連絡協議会等の関係でございますけれども、2つ目の段落でございます。同伴児童、障害者、高齢者においても、地域の連絡会議があります。それぞれの機関がお互いの業務を知り、支援についての役割分担を行っております。女性相談を市区町村の責務とした上で、課題を共有し、支援が必要な女性についても、様々な機関が協力、連携して支援を行っていく体制が必要であると考えられます。
次に、婦人保護施設の調査結果からの考察でございます。まず1点目、多様性でございます。一言で婦人保護施設といっても、実状は大きく異なっております。単身のみを対象とする施設、同伴児を受け入れ、母子での利用が可能な施設等々あります。同じ状況にあっても、ある自治体では保護対象になりますけれども、別の自治体ではならないという現状が存在します。
次に女性の範囲、支援対象となる女性の範囲でございますけれども、婦人保護施設には一定程度20歳未満の若年の方、児童福祉法対象の方が入所をしております。一方で、65歳以上の方の入所もあり、幅広い年齢層の方が入所をされております。
5行下りまして、入所をされている女性は、年齢にかかわらず多様な暴力にさらされ、行き場を失い、様々な困難に直面をしております。全般的に見ると、主訴は「夫等からの暴力」がおよそ半数。次いで「帰住先なし」でありますけれども、その背景にある支援課題は、多様かつ重複をしております。
大きな3番目、現状と課題でございます。47施設中23の施設が、心理的ケアについて「十分でない」と回答しております。特に、若年の方に対する心理教育を実施している施設は半数程度となっております。主訴ではなくても、女性本人の状況を詳しく理解していく中で、様々な形の暴力被害を受けていることが少なくないことがわかっております。自分が受けていたことが暴力だとは思わずに生活を続けていた場合も多く、入所者への心理的ケアの必要性が高いといえます。
性暴力被害でございますけれども、入所者には、入所前に性暴力被害経験のある女性が少なくなく、さらに、そうした方の抱えるニーズは複合的であります。一方で34%の施設では、支援として対応できていないと回答がされております。理由の9割以上が「専門性の不足」を挙げております。
続きまして、外国籍の方でございますけれども、こちらも十分に対応できていないと答えた施設が3割ありました。同様に「専門性の不足」を理由として挙げております。外国籍の方に対しては、多文化への理解など、「多文化ソーシャルワーク」が求められております。そうした点での研修やスーパービジョンも課題となっております。
次に若年女性でございますけれども、全ての施設で「児相との協議・情報交換」が実施されているわけではありません。また、児相と連携が取れていると回答した施設は全体の3割弱と、わずかでございました。
ページを跨ぎまして、同伴児童の関係でございますけれども、同伴児童の受け入れ実績がない施設が15施設ございました。これは、措置権を持つ婦人相談所や基礎自治体の方針によっても異なっていると思われます。
続きまして、(7)アフターケアの関係です。2行目にありますが、退所後支援について十分に対応できていないという施設が3割以上ございました。
大きな4番目、支援の質向上にあたっての課題でございます。1つ目は、人員配置、専門性の観点からの課題でございます。2つ目には、アセスメントの実施、充実ということで、本人の心身の状況や、今後の方向性についてのアセスメント。全ての施設で実施されているわけではないという現状がございます。さらに、秘匿性の確保と通信機器の使用というところも大きな課題となってございます。
ページを跨ぎまして、運営主体による支援機能の相違でございます。2つ目の段落になりますが、都道府県が運営している施設には、一時保護所を兼ねてシェルター機能の比重が高い施設があります。その場合、措置入所者の生活ルールが一時保護所の基準に準拠することとなりまして、施設内での生活ルール等制約が生じます。このような併設型施設については、支援ニーズに対応した機能分類、あるいは一時保護機能と施設機能が両立できる施設のあり方など検討が望まれます。
続きまして、大きな5番目に権利擁護の取り組み、それから、その他として性的少数者への支援。こういったところを今後の課題として考察がされております。
長くなって恐縮でございますが、次に、婦人相談員への調査結果からの考察でございます。婦人相談員の73%が非常勤となっております。また、平均の勤務年数は5.5年というのが、この調査結果からは出ております。
下のほうの段落でございますが、現在対応している業務内容をみますと、婦人相談員は、コーディネーターとしての役割を果たしていることが結果から示されております。具体的な支援内容の中では、家庭訪問が33.6%と少なく、地域の巡回については1.9%と、極端に少なくなっております。アウトリーチが不十分な現状にあり、相談員の業務が変化していることを物語っていると考えられます。
続きまして、婦人相談員、婦人保護事業の連携強化でございます。2つ目の段落になりますけれども、相談者の属性別にみた支援実施上の課題ということでみますと、「本人が支援を求めない傾向が強い」「利用できる制度や社会資源がない」「関係機関・組織との情報共有」が、若年女性、同伴児のいる女性等で共通して挙げられておりました。
最後の段落ですが、婦人保護事業における関係機関の連携強化を進めるためには、本人が支援を求めない傾向が強い若年女性、同伴児のいる女性について、啓発活動の強化や、ニーズに沿った支援体制の整備等が必要となっております。
大きな3番目でございますけれども、一時保護、措置入所につながらないケースでございます。一時保護、措置入所につながらない主な理由は、支援ニーズと支援体制が合致していないということが、回答として挙げられておりました。特に若年の方、同伴児のいる方が、割合としては高くなっておりました。
大きな4番目でございますけれども、婦人相談所との情報共有、連携強化のあり方でございます。婦人相談所と婦人相談員の情報共有、連携に関する評価では、婦人保護事業の中心となる3機関との連携。婦人相談所、一時保護所、婦人保護施設との連携は、婦人相談員側からは十分取れているという回答が、調査結果からは示されております。
最後の段落ですが、一時保護の後、婦人相談員が婦人相談所と連携して情報を共有し、地域で支援が継続される場合は、婦人保護施設の入所にも婦人相談員が関わることができると思われます。婦人保護施設への入所は、一時保護を経なければできない仕組みになっておりまして、婦人相談所長が措置を決定します。婦人保護施設が未設置の県もあることから、広域での連携体制が強化されることが必要であります。
次に、法的機関との連携強化でございますけれども、調査結果からは家裁、地裁、それから法テラス等との連携が不十分であることが示されております。今後も連携強化に向けた対策が求められます。また、支援場面において、法的機関との連携が上手くいかない状況については、関係機関会議等で情報共有することも大切な取り組みといえます。
最後に、支援対象の範囲でございますけれども、2つ目の段落でございます。婦人保護事業の所管課、それから婦人相談所、婦人相談員等が、共通して支援体制を強化すべきと考えている対象は、若年の方や同伴児のいる方、障害を有する女性でありました。属性からみえてくる複合的な課題を考えますと、婦人相談員には高い専門性が必要とされていることがわかります。今後さらに研修等が実施されることが望まれております。かような考察になってございます。
以上が、4つの調査票ごとの調査結果からの考察でございまして、これらに共通の課題として最後に総合考察ということで考察をいただいております。
大きく4点ございますが、まず1点目が運用上の課題でございます。まずソーシャルワーク実践に関わる課題ということで、これにつきましては、体系的な研修やスーパービジョンの実施について指摘がされております。
続きまして、支援プログラムということで、例えば母子並行プログラム等の、プログラムの開発、実施の必要性が指摘をされております。
次に、物的な面でありますけれども、環境整備についても、今後検討が必要な課題とされております。
大きな2点目、制度上の課題でございますけれども、こちらにつきましては、まず1つ目は人員配置の問題でございます。ページの最後ですけれども、婦人相談所、一時保護所の職員の配置基準は職種名のみであり、併設の施設と職務の共通するものについては兼務可能となっております。こうした設置のあり方や、職員配置基準の検討が必要といえます。また、専門職の配置に関する補助事業も検証が必要となっております。
次に、ナショナルスタンダードの欠如ということで、下から5行目でございますけれども、都道府県が実施要領や属性ごとの支援方針を提示することは重要であるが、そのためには国としての基本方針の提示が必要であります。現行の国の婦人保護事業実施要領には記載されていない、対象者の属性に即した支援課題に対して、制度間調整、支援調整などの支援方針を明記していくなど、実施要領の見直しが課題とされております。
婦人保護施設入所に関わる体制、下から5行目でありますけれども、婦人相談員が婦人相談所と連携して情報を共有し、地域で支援が継続されるような場合、婦人相談員が所属する福祉事務所から直接入所依頼できるような体制構築への検討が指摘をされております。
それから、市区との連携でございます。下から3行でございますけれども、婦人保護事業における市区の業務範囲や、都道府県との役割分担など、市区をどのように制度として位置づけるかの検討は、重要な制度的な課題であります。
連携の仕組みの構築、これも下3行でございますけれども、人的資源のレベル、それから物的資源のレベルの連携のあり方とともに、行政レベルでの連携体制を構築して、総合的な支援システムを確立することが求められます。
次に、4点目でございますけれども、売春防止法に関する課題ということで、5つほどポツで具体的に、売春防止法に関わる課題として考察のほうがされております。
調査結果の考察につきまして、一通りのご説明をさせていただきました。

しろまる 堀座長
はい、ありがとうございました。検討会のほうにつきましては、今説明があったように、10月以降も論点整理に関しまして議論を続け、状況によって、引き続き3月以降も議論のほうを続けるということですので、構成員の皆様、ご理解とご協力のほうをお願いいたします。
それでは議事のほうに入っていきたいと思います。本日の議事ですが、配布した議事次第のほうにもあるかと思いますが、構成員からのプレゼンテーションを行っていただくことにしております。最初に和田構成員、それから松本構成員、横田構成員、仁藤構成員、前河構成員、水野構成員という順で、プレゼンテーションのほうをお願いいたします。時間の制約などもありますので、1人につきまして15分から20分。まあ20分厳守でしていただければと思いますので、お願いいたします。一通り説明いただいた後に、プレゼンテーションの内容あるいは先ほどの調査結果。こちらのほうの内容につきましても、含めて意見交換のほうをさせていただければと思っております。
それではさっそくですが、和田構成員のほうからお願いいたします。

しろまる 和田構成員
はい。1ページめくっていただきまして、婦人相談所長全国連絡会議会長、職務といたしましては東京都女性相談センターの所長をさせていただいております和田でございます。宜しくお願いいたします。
それでは、前回示されました、主な検討課題、事項案に沿って、婦人相談所の立場から述べさせていただきたいと思います。
(1)対象とする女性の範囲・支援内容についてという、そのような検討事項が示されました。その基本にあるのが、法律と法令だと私共は考えております。そこでまず、婦人相談所に関わる法令等の仔細についてお伝えをしたいと思います。
こちらに書かせていただいたとおり、根拠法令は売春防止法が基にあり、そこから、略させていただきますが、DV防止法、人身取引行動計画、ストーカー規正法等加わっていきました。DV防止法におきましては、配偶者暴力相談支援センターとしての役割を持っています。
次をおめくりください。そこでどのように具体的な仕事を行うかにつきましては、根拠法令が増えるごとに、それに合わせて国の関係通知等によって、知らされているのが現実です。
主なものを掲げさせていただきました。下線を引きました「婦人保護事業実施要領」が、その中でも要になるものですが、昭和38年に発出され、最終改正が平成16年ということになっています。この最終改正の日付は、一番下の「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等のための施策に関する基本的な方針」のこの後「基本的な方針」と略させていただきますが、これが発出された日付と同じです。このときに、これまでの要保護女子というのを中心としました、婦人保護事業実施要領の内容にDV被害者への支援が加わりました。
この中の6番目にある、「配偶者暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の施行に対応した婦人保護事業の実施について」については、DV防止法施行日の直前に発出されて、最終改正が、一番下の、同じく基本的な方針の平成20年1月11日の改正の日と同じです。ですので、ここでまた、その内容が加えられているというような状況です。
このように、元々の売春防止法による業務について、DV防止法改正に合わせて、業務内容が見直しされるというのではなくて、次々と発出されていく通知によって、単に加えられているというのが現状となっています。
このような変更ということもあって、全国の婦人相談所が、配偶者暴力相談支援センターとしての役割に重きを置かれているということの背景。これが現状であると思います。
次のページをおめくりください。その法令等についての、例えばですけれども、これが婦人保護事業実施要領等の、第一の目的のところですが、昭和38年のものは、要保護女子ということでしたけれども、この平成16年の最終改正のものには、DV被害女性を「暴力被害女性」として付け加えて、そして両方に共通する事業の場合については、「要保護女子等」というふうな言葉を作って示されているところです。
次のページをご覧いただきますと、実はこの、(1)のところが、業務内容の柱となるところですが、この括弧の中に、早期発見、赤い字であります。これは元々の昭和38年のときの、婦人保護事業実施要領に入っていたものが、この16年の改正では消えていて、そしてこの相談と調査のとき、ところで、それぞれのところに「早期発見」が入っていて、それぞれのところの「早期発見」の意味合いを、それぞれ違いを表そうとしているのではないかというような様子です。
そのときの、婦人保護事業実施要領(4)というページになりますけども、ここでも婦人保護事業であります、医学判定、心理判定、職能判定は、売春防止法による要保護女子だけに行うものになっていて、ただし、指導・助言については「要保護女子等」と、要保護女子と暴力被害女性両方について行うようにとされているところです。
次めくっていただきますと「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の施行に対応した婦人保護事業の実施について」ということになりますが、これが先ほどの、たくさん並べさせていただいたところ、一番下の基本的な方針の、平成20年の改正のときに合わせたものですけども、このとき配偶者暴力相談支援センターの職務として男性保護が入ったので、ですので婦人保護事業でありながら、婦人相談所は男性の一時保護についても行うということが書かれているということです。元々の要となるはずの婦人保護事業実施要領は平成16年に、そこまでで止まっておりますから、もちろん男性保護については書かれていないという現状になっています。
また、次のページめくっていただきますと、数々の通知の内に、現在婦人保護事業が対象とする人たち、どのような人が対象なのかというのが書かれているのが、この「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の施行に対応した婦人保護事業の実施について」ここの部分です。ここに、この6項目が書かれているということになります。この4のところに、家庭関係の破綻、生活の困窮等というところが書かれているので、ここでかなり幅広く女性の対象を広げたところですけれども、それでもこのように、項目分けがされているということですし、ここの赤字のところの「正常な生活を営む上で困難な問題を有しており、かつ、その問題を解決すべき機関が他にないために」といったところでは、この通知の後10年が経って、生活困窮者自立支援法や障害者虐待防止法、高齢者虐待防止法など、新しい法律ができる中で、それらも含めての役割分担が非常に不明瞭なままということになります。
また、婦人相談所は一時保護をしますけれども、自らが持つ一時保護所での保護と、民間シェルター等に委託して行う保護という方法があります。委託できる女性というのは、この「婦人相談所が行う一時保護の委託について」というふうな通知で決められておりまして、その中では売春をした者、おそれがある者、居所がない者については、委託ができないということになっています。
ここまでのことを全て総合してお伝えしますと、売春をしたり、売春のおそれがある女性が結婚してDV被害女性になるということもありますし、その逆もあります。ですから、この時々の支援を主訴によって要保護女子と暴力被害女性とに分けていて、1人の女性として一貫した支援ということが、この通知がいう要領の中では掲げられていないということになります。
私共、東京都女性相談センターの条例では、この1条のほうにこのように書かせていただいていますけども、それを基にですね、対象とする女性としては、今までのそのような法律に、それぞれの法律の項目を挙げるような形ではなくて、緊急の保護または自立の援助を必要とする女性及びその者の監護する児童ということで、その時々の保護の必要性や支援の内容に焦点を合わせた、その方のそのときの背景がどのようなことであろうとも、その必要性と支援内容といったところに焦点を当てた支援というのが、対象女性というふうに考えていっていいのではないかというふうに考えます。
それから、支援の実態ですが、先ほどの調査研究のご報告がありますけども、それを少し表示したものです。年齢別ですけれども、15歳以上から75歳まで。これは来所相談の年齢別ですが、様々な女性の年齢層に対応させていただいてますし、次のページの属性課題につきましても、様々な障害を持つ方、また、生活の背景を持った方への相談対応をさせていただくところです。
それから次が、一時保護ということですけども、一時保護につきましても、15歳以上18歳未満のところから75歳以上ということで、東京都の女性相談センターといたしましては、100歳の女性も保護したことがあります。この15歳以上18歳未満の一時保護ということになりますと、本来でありますと児童相談所の保護の対象となる年齢ですが、すでに結婚していたり、子供がいると、婦人相談所での対応が求められるということになっています。また、一時保護における属性についても、相談対応と同じように、障害のある方や様々な背景がある方、そういう方々がご一緒に生活をされるというような一時保護所での現実ということになります。
一時保護につながらないケースというのが、これからひとつ課題になっておりますけれども、若年女性というのが挙げられています。若年、この調査研究では、30歳までを若年女性としてますけども、約67%の婦人相談所が、若年女性がつながらないというふうに受け止めていて、その理由が「本人の同意が得られない」というのを、大きく捉えております。
同意を得られない中身が、先ほどの調査研究ありましたが、「携帯電話やスマホが使えない」、そういうことや「学校を休みたくない」「外出が自由にできない」「集団生活に不安がある」ということになります。
この後少し、婦人保護施設につきましても、婦人相談所が措置をするというところで、なかなかつながらないというふうに感じている。それは、一時保護所と同じような理由になります。少し、ちょっと飛ばさせていただきます。
それで若年女性の支援の課題についてなんですけども、確かに電話以外、現在の女性が主に利用するSNS等による相談体制ができてないのが現実でありまして、あとは、これはいろんな所長さんからのお話がありましたが、実は相談員の年齢層が高くて、なかなか若年の女性が相談しづらいのがあるのではないかということ、または、実際支援にあたっては、未成年の場合に保護者からの同意がなければ、口座手続きや就労の雇用契約など、自立に向けての支援が非常に困難であるという現実があるのも確かです。
また、一時保護利用者についてですけども、若年の女性の方の気持ちを汲んで支援してくということが、実は私共もなかなかまだ慣れていないところがあって、そこが難しいこと。それから、スマホについては、本当にDV加害者、DV被害者の女性のことを考えますと、お持ちいただけないというのが必須のことになりますのでそこのへんの課題。それから、虐待を受けている方が多いので、その方々への心理的なケア、日常生活上の配慮が必要であるということ。それから、日中の過ごし方についても、若年女性がどのようなことが困難なのかを十分に把握しきれていない。それから、集団生活になじまないという現状もあります。集団生活というところになりますと、実は私共も一時保護所におきましても、食事、例えば食事ですけども、1時間半の時間の中で、食堂に来て食べるというようなことを行ってますが、そもそも食堂でみんなが同じメニューを食べるとか、そういうことが嫌だというふうなご意見もいただいています。好きな時間に好きな物を食べたいというふうに言われて、私共としては、3食ある程度規則正しく、栄養のバランスの取れた食事を提供するというのが大切なことだろうと思って、支援をさせていただいてますが、その保護所の体制そのものが、なかなか合わないという難しさを感じているところです。ですので、対応といたしましては、若い女性への対応スキルの向上や、児童虐待に適切に対応するような心理ケアの充実。そして、例えばですけれども、現行の一時保護所とは別のところや、別の支援方法によって、保護をするならばなされる。そういうふうな場所が必要なのではないのかな、というふうに思わされているところです。
次に被害女性の心理ケアですけれども、2週間という短い入所期間の中で、私共が最初に出会う機関として、初期対応のケアとアセスメントを行って、その後の生活の場での息の長い支援の、切れ目なくつなげていくことが重要だと思っています。
また、同伴児童についてですけども、ご覧いただいたように、昨年の3ヶ月間ですが、一時保護所の本人の人数、女性の人数が1,155人に対し、子どもの人数が961人となっています。これだけのたくさんの子どもたちが、婦人保護所の中で生活をしているということになります。
その支援内容ですけれども、現実なところ、心理的、心理教育ですね。のところでは50%以下になっておりますし、一時保護所の中で。あとは、被虐待児のケアにつきましても、約3割といったところです。みんな虐待、被虐待の児童なんですけども、本体、児童相談所で対応すれば、多分、当然受けられるだけのこのような被虐待に対するケアをなかなか受けられていないというような現実があります。保育士につきましても、先ほどありましたように非常に少ない対応となっています。
ですので、同伴児童への対応についての課題としましては、発達や学習の遅れや精神的な不安定さ、問題行動とかを持って、非常に虐待の支援が必要な子どもたちですけども、そういうふうな支援に、的確に対応できていないと。特に心理ケアにつきましては、心理判定員、本人への心理判定員というのが、子どもたちにもなんとかしようということで、悪く言えば片手間になんとかしているというような状況になっています。
児童福祉法が平成28年に改正されまして、児童の権利条約に則った権利を有するとされました。ですので、児童が権利の主体となったわけですけれども、婦人相談所で支援するっていう子どもたちも、同伴という呼び名ではなく、主体として同様の支援の対象としてほしいなというふうに思っているところです。
他法他施策との関係や根拠法の見直しというところですけども、他法他施策との現状ですが、四角の真ん中以下のところにありますが、本来高齢や障害など、他の施策による認知症の支援や介護が必要な女性が、夜間休日に受け入れられないということで、婦人相談所の一時保護所を利用されることが求められることがあります。その不十分な体制ながら、他政策の補完機能を求められているといったところも現状としてあります。
また、婦人保護施設に入所した後に、障害者サービスや高齢者サービスにつなげる必要が出てくると、施設所在地のサービス窓口にお願いしますが、なかなかスムーズなサービス利用が難しいということがあります。ですので、婦人保護事業として支援をしていくと、地域の福祉のネットワークの中に入っていけないというのが、そのような壁があるのが、現状であると感じているところです。
それから、売春防止法の見直しにつきましては、様々な文言の整理が必要ですけども、その中でも、婦人相談所の名称にしても、女性という文言のほうに変えていただけたらと思います。先ほどもありましたように、婦人相談所と、もう使っているところもすでに2か所ということになっています。
また、婦人相談員の市町村への設置義務がポイントではないかと思います。また、婦人相談員は幅広い知識と多様な属性・課題への対応が求められていますので、資格を明確化して、それに見合った賃金の保障が必要だと思います。また、婦人保護施設の需要について、現在婦人相談所からの措置となっていますけれども、他の福祉サービスが市区町村による契約ということになっていますと、いわゆるその福祉サービスのネットワークの中に入れていただいて、契約に、市町村の契約ということも考えられるのではないかというふうに思うところです。
都道府県と市町村の役割ですけれども、支援する女性の生活のゴールは、地域生活になります。それで、ほとんどの福祉サービスは市町村にあって、保護中に地域のサービスにつないでいくことが必要です。けれども、現在婦人相談員の配置は、市区町村では義務にはなっておりません。「できる」ということになっています。そのため、仕組みとしては、婦人相談事業で対応する女性たちが地域サービスにつながる窓口が、準備されていないということになります。
そこでお願いしたいのが、婦人保護、女性支援を市区町村の責務として位置づけていただいて、在宅サービス、福祉の在宅サービスのネットワークの中に位置づけて、そのために婦人相談員の設置を是非義務化していただけたらということです。もちろん、これにつきましては、法整備と財政の確保が必要だと思います。
実際に婦人相談員の役割や機能の中でですが、婦人相談員の配置状況が、財政の背景がない中でも、42.8%のところが、市区町村でも、配置していただいておりますけども、この配置状況によって、実は婦人相談所における婦人相談員の仕事の中身も変わってきてるということになります。
そこでまず、婦人相談所の一時保護所についての機能についてです。市区町村において女性福祉や婦人保護を地域の福祉のネットワークに位置づけていただくとしたならば、その女性の課題に即して、市区町村による施設や民間シェルターでの一時保護を行うことができるのではと考えられます。
そうしますと、その女性の課題に合った生活が考えられたり、スマホの問題や外出の問題、先ほどの集団生活の問題が少し緩和される可能性があるのではと考えます。
その一方で、婦人相談所は、より困難な課題をもって、心理、精判。精神科判定が求められる女性、夫からの激しい追及が予想されるなど、危機管理が必要な女性。そして、夜間、休日の緊急保護。そのような、より専門的な支援を担って、その時々に求められる新しいニーズへの対応を、先駆的に検討していくというのが役割分担だと考えています。新しいニーズというところでは、これからLGBTの方の対応なども考えていかなければと思っているところです。
最後に、婦人相談所の全体的な役割、機能ということですけどれども、先ほどからお伝えしています、婦人保護や女性の支援を是非市区町村の中に位置づけていただき、その上で婦人相談所が専門性を強化し、本当にこの専門性の強化は、私共これから努力していかなければならないと思っておりますところですが、そこで、女性を支援する様々な関係機関の連携の要となって、コーディネーターとしても、広域的な役割を持っていく。そういうことが、私共の役割になっていくのではないかと考えているところです。以上です。ありがとうございました。

しろまる 堀座長
ありがとうございました。続きまして、松本構成員お願いいたします。

しろまる 松本構成員
皆さんこんにちは。全国婦人相談員連絡協議会の会長の松本です。全国婦人相談連絡協議私たち全婦相というふうに呼んでいますけれども、全婦相は2020年に創立60周年を迎えます。全国の婦人相談員で構成する会です。売春防止法の成立のときに、婦人相談員となった東京の婦人相談員たちが、全国に呼びかけて立ち上げた組織です。
婦人保護事業は売春防止法からDV防止法、それから、根拠法がさらに加わった現場で、その時その時のニーズに対応し、支援してき婦人相談員たちです。でも法律と今ニーズとの乖離があり、また、全国の婦人相談員の約8割が非常勤というような中で、婦人相談員の雇用や身分も不安定な状況で、なかなか継続した支援にはつながらない場合もあります。
本日のプレゼンは、この全国の会員に対し、、全婦相が行っている売春防止法改正、婦人相談員の処遇改善、研修体系についてのアンケートを基に、この検討案に沿って意見を作成しました。
それでは、検討案に沿った意見を述べていきたいと思います。宜しくお願いいたします。
まず、対象とする女性の範囲・支援・内容についてです。包括的な定義及び具体的定義についてですが、今婦人相談員が相談現場で出会う女性の抱える問題は、ひとつとして同じものはなく、多種多様で複層的な問題も含んでおり、そこには女性に生きづらさを抱える人権問題だとか、差別、格差などの社会構造があります。社会福祉、法律、医療的支援の、社会支援等が必要です。婦人相談員は相談者の人権を尊重し権利擁護を図り、支援を要する女性を発見し、ソーシャルワークによる相談・支援を提供して、必要な関係機関との連携を図りながら、問題解決を担っているところです。今、いわゆるアダルトビデオの出演強要問題、JKビジネスの問題に関する対策、母子家庭の支援機関の婦人相談員への追加も加えられて対象範囲は広がっております。このような状況から、包括的な定義は、対象は困難な問題を抱える全ての女性とし、その人権を擁護し、一人ひとりの問題に関して総合的な社会支援を行うと提案します。
具体的支援の定義ですが、平成27年3月に作成された婦人相談員相談支援指針には、一人の女性が、子ども、若年女性、妊娠・出産、DV被害、身近な人や家族との関係性の中で起こる暴力被害など、ライフサイクルに応じて様々な困難を複合的に抱えていることが表れています。
婦人相談員は、若年、子育て世代、中高年、高齢と、年齢を超え、複合的かつ多岐にわたる相談を受けており、時には生命に関わる危険性をも含む対人支援を行っています。特にDVの相談に関わるときは、身の危険を感じ、これは警察の仕事ではないかと思うようなことの場面にも遭うことがあります。これらのことから、具体的な定義については、現代のニーズからあらゆる暴力の被害者、DV、ストーカー被害、性暴力の被害、売春、アダルトビデオの出演強要、JKビジネスなどの暴力の被害者。それから、日常生活を営む上での困難な問題を抱える女性たち、生活困難、借金、離婚、住宅、行き場所がない、妊娠、出産、外国人女性の問題、障害児・者の問題、それから精神疾患など医療の問題。それから、LGBTのマイノリティの問題を範囲として生活上の様々な困難を抱えた女性や、その子どもたちの一人ひとりの事情に合わせて、再出発のために社会資源をコーディネートし、問題解決及び女性の自己決定権を支えるなどの支援を行うとすると提案します。
若年女性、性暴力被害者のニーズに応じた支援についてです。、若年女性については、今回の婦人保護事業等における支援実態に関する調査研究で、婦人相談員の受けた来所相談で最も多い相談者は、30代から40代、次が40代から50代、3番目が若年女性です。この女性たちの中で、体制を強化する支援対象について最も多かったのは、先ほど読まれた資料にもありますように、若年女性、30歳未満が49.4%です。次いで同伴児のいる女性が44.6%、次いで障害児・者が31.7%、続いて高齢者が25.7%、妊産婦が22.3%、外国籍が20.1%と続いています。
20歳未満の若年女性については、法律的な狭間にあることが、困難さを増幅させていると思われます。児童か、婦人かというところで、法律が壁となっているところでもあります。通常の婦人相談員の資源やスキルでは難しい面があるということも事実です。先ほど親権者の問題もありましたが、親からの訴えがあったり、追求がある場合もあります。
一時保護についても、婦人相談員には権限がなく、行政の縛りがあることから、一時保護につながらない場合もあって、婦人相談員として限界を感じるところでもあります。このことについては社会資源が不足しており、一時保護にはルールや規則もあって、若年女性にはハードルが高いと感じられるところです。関係機関と連携して支援するにしても、婦人相談員に権限がないところから、「前言ったことが変わった」とか言われる場面もあります。これらの支援が全国一律でないということが、大きな問題でもあるといえます。若年女性については、抱える問題の内容によって、狭間が解消されるような支援のあり方を検討できればと考えています。
それから、性暴力の被害について。性暴力被害者支援のワンストップセンターが全国にできていますが、婦人相談員の支援実態、調査の結果をみると、婦人相談でも多く見られます。調査では、夫などからの暴力の被害者の中で、「性的暴力を受けた」が62.1%あり、「性的虐待経験」も45.1%あるとなっています。婦人相談員の相談窓口でも、過去の性暴力の被害について語る方は多くおられます。婦人相談員として関係機関と連携しながら、警察、医療機関、弁護士、裁判所などに同行支援をして、相談者に寄り添った支援をしていますが、相談員が二次受傷する場合も多くて、この問題についてはスーパーバイザーの体制が必要だと考えます。
次に、被害女性や同伴児への心理的ケアについてですが、母子の回復プログラム・並行プログラムのシステム化について提案したいと思います。
婦人相談員が受ける相談の中で最も多いのはDVであるということは、毎年の婦人保護事業実態調査報告でも、また今回の支援実態調査でも結果に出ております。婦人相談員として被害女性を支援していく中で、被害者はもちろんですが、同伴している子どもたちに大きな影響があり支援が必要だとの思いはどの相談員も感じているところです。現在、児童虐待防止法で、面前DV、心理的虐待として警察から児童相談所にどんどん通告があることから、児童虐待の件数がうなぎ上りに増えているところです。
児童相談所では、心理的ケアが必要ということで、支援を受けているDV被害者の同伴児は多くおります。このことから、DV被害者の母子が一緒に参加しての回復プログラムを支援の一環としてシステム化していただきたいと思います。虐待の研究で脳に大きな被害を受けるといわれておりますこの虐待の問題については、子どもたちの回復や、またここで親子関係も修復が必要な被害者が多くおります。その親子関係の回復にもつながると考えます。
10年以上前ですが、私はDV被害を受けた子ども2人を同伴した女性を支援したことがあります。女性も精神的に限界まできていましたけれども、2人の子どもが大変な被害を受けておりました。特に顕著な身体症状を示した子どものほうは、治療が必要でした。もう1人のお子さんについては、まあなんとかやっていけるだろうということで、そのままの状態で一応離婚が成立して、地元に帰っていかれました。10年経って、やっと落ち着きましたということで、遠いところから会いに来てくれたのですが、女性本人は必死に生きてきたので、なんとか元気になってますっということだったんです。子どもさんの2人のうち、治療したお子さんはもう元気で、高校も卒業ちょうどできましたということでしたが関わりをしなかったお子さんについては、その後ずっと不登校が続いて、高校もやっと2年遅れて卒業しましたとの話で、まだまだ回復に時間かかると思いますと、女性は言っておられました。、回復プログラムがあるということで、このような被害者と子どもも回復が容易になるのではないかと思うのです。
今後、親子回復プログラムは、民間への委託事項にするというのが適切ではないかと思います。なかなか行政ではできないプロジェクトであることですし、実績のある民間団体が、結構全国でもできていますので、是非とも委託事業として予算化していただきたいと思います。
それから、他法他施策との関係や根拠法の見直しについてです。他法他施策優先の考え方。これは削除をしていただけたらと思っています。1人の女性の性の傷つきは、他機関にたらい回しになることで十分な支援につながりません。正常な生活を営む上で困難な問題を有し、かつ、その問題を解決する機関がなく、現に保護、援助を必要とする状態にあると認められて、初めてつながる他法優先の婦人保護事業ではなくて、より柔軟に関係機関との連携を図って、年齢や管轄で区切ることのない一貫した支援のあり方が必要だと思います。
支援の現場では、連携の強化という姿勢はあるものの、他法他施策を優先されて、高齢者だからとか、18歳未満だからとひとつの属性で切り捨てられて、婦人相談員として、ひとりの女性に寄り添いづらいことが多々あります。必要があれば支援しようとする窓口と、それから、対象者を狭く取る窓口に分化して、実際の業務とのねじれ現象、窓口格差、地域格差が大きくなるのではと考えられます。
全婦相のアンケートの中には、他施策優先があるからこそ、忙しい業務の中でもなんとかやれているという県の相談員もおります。詳しく聞きますと、その相談員のいる県は、ほとんどの市に婦人相談員を置いていないということがわかりました。先ほど和田所長もおっしゃいいましたが、市に相談員がいるということで、県の相談員とも連携して業務ができ、一時保護の利用者の自立支援にも関わるなど、支援に大きな差が出ると考えることから、市には婦人相談員を、是非必置義務としていただきたいと考えます。そうすることで、他法他施策優先を削除することも可能ではないのかと思います。。
根拠法となる売春防止法第4章の見直しについてです。前回も少し話したのですが、 まず、第1章についてです。ここは女性の人権擁護を明確に位置づけていただきたいと考えています。売春防止法を根拠法として始まった婦人保護事業ですが、この根拠法の第4章のみを取り出して見直しを検討するということは、片手落ちではないかと考えます。売春防止法にある女性蔑視や差別に対し、根本を改正するところから始めるのが本筋ではないかと考えています。前提となる女性の人権を明確にしないままに見直しを進めるということではなく、その点を検討し直していただきたいと思います。
続いて、第2章5条、第3章を廃止するという点ですけれども、勧誘の名のもとに犯罪者として扱われ、処罰の対象とされていますが、婦人相談員が支援する対象は処罰の対象ではなく、支援の対象で、売春をしている女性は犯罪者でなく、被害者であると考えるからです。第1回に発言しましたように、刑法の範囲でありますが、第2章第5条、第3章を廃止することで、被害女性を転落女性とみるなどの差別的な表現を削除して、性の侵害を受けた女性の人権を擁護する法律となるよう改正を望んでいます。
全国で唯一残っている八王子の婦人補導院を見学に行ったことがあります。入所する方はほとんどいない状態で、平成になってからの入所者は10人に満たない、数字と聞いております。そこでは、夕方から独居房に入らなくてはいけないとなっていて、その独居房は刑務所と同じような狭い部屋に、トイレと布団とテレビがあって、食事は入り口から差し入れるという形でした。是非ともこの婦人補導院の廃止を検討していただけたらと思います。
それから、第4章の見直しについてですが、35条の2の「婦人相談員を委嘱することが出来る」を、都道府県と同じ「委嘱の者とする」と改正していただきたい。
それから、第35条の、「婦人相談員の要件」についてが、人権意識が高く、女性の支援に必要な経験、熱意を持ち、男女共同参画社会の実現を妨げる女性への暴力についての識見を備えた者のうちから委嘱するものとする。と改正をお願いしたいと考えます。
用語の見直しについては、そこに書いているように、婦人を女性、収容を入所、保護更生は自立支援、収容保護は入所支援、指導は支援、要保護女性は要支援女性。今の状況で考えると、このように直せるのかなというふうには思います。
次に婦人相談所・婦人相談員・婦人保護施設の役割や機能についてです。支援の実施体制、都道府県と市町村の役割についてですけれども、婦人保護事業の位置づけを市区町村の責務とする。調査検討の結果の考察にありましたように、売春防止法に市町村の責務、役割についての規定がないというところが、婦人保護事業の理解がなかなか進まないところと思われます。
婦人相談員の業務は、婦人相談員相談支援指針にあるように、多岐にわたっており、専門性を有する相談業務ですが、婦人相談員の所属する都道府県、市区が実施機関として婦人保護事業の一機関である婦人相談員の業務を理解しているのかという点については、なかなかこの婦人保護事業のわかりにくさというところがあるのではないかと思います。そのことが、婦人相談員の雇用の不安定な状況と重なるところがあると思います。一年契約で、毎年、来年も続けられるのかしらという不安で、不安定な雇用条件の下で仕事をしている婦人相談員がほとんどという現状があります。このことは、市町村での婦人保護事業の位置づけがないというところと重なっているように思います。
また、県の婦人相談員についても県によって業務内容が違うのです。指針が出されたのは全国の婦人相談員の業務が全国一律ではないということなのですが、婦人相談所も、そのときによって相談員の仕事は様々に変わっていっています。一時保護所の入所者の見守りだけだったり、中には調理の仕事も婦人相談員の業務というところもあります。
ですから、本当に、どのような形で婦人相談員の業務が位置づけられるのかというところを、もう少ししっかりこの都道府県と市町村の中の役割の中に入れていただきたいと思っています。
それから、全婦相が平成30年4月の調査結果によると、婦人相談員の勤務年数についてみますと、3年未満が37%、3年以上5年未満が24%、5年以上10年未満が21%、10年以上15年未満が9%、15年以上20年未満が6%、20年以上が3%となっており、実践経験の蓄積による専門性が育ちにくい現状がみえています。
ちなみに、東京都の市区の婦人相談員の経験年数は、3年未満が約70%というふうに聞いておりますので、全国とは大きな差があると思います。常勤職員の婦人相談員というところかもしれないのですが、3年未満ということになると、経験で培う専門性が必要不可欠である業務においては、難しいところがあると思いまです。
平成28年に、売春防止法第35条の「婦人相談員は非常勤とする」が削除されましたが、その後の婦人相談員の状況について、全婦相の本年4月の調査によりますと、常勤と正職員は違うというところで、正規職員は4%、その他は非常勤、嘱託職員、臨時職員、再任用となっており、勤務先により勤務形態、雇用形態が様々であることがわかりました。このような勤務実態の中で業務を行う婦人相談員は、どうしても行政の縛りがあります。行政のできることと、民間でできることとがあり、行政でできない部分を民間を立ち上げることで、やっている相談員もおります婦人相談員を明日の我が身を心配せずに、安心して働けるよう、検討をお願いします。婦人相談所、一時保護所、婦人保護施設の機能についてですがけれども、一時保護の機能を持つ婦人相談所との連携についてです。市区の婦人相談員にとって、婦人相談所は一時保護機能を持つ婦人保護事業の連携先です。一時保護所への入所については各地域に違いがあります。例えば私のところだと、県の外れで一時保護所に行くまでは、例えば午後に相談者が来て一時保護が決まるまでには夕方になり、着くともう夜になります。夕方に来られた方に関しても、9時10時に一時保護所に着くという形になります。まずは、一時保護所の規則を説明して、本人の意思の確認をします。ここのところでまず入所を断る相談者もおります。それから一時保護の依頼書を作成して、受理会議を開いてもらって、結果を待って一時保護所まで同行するということになりますので、今も話したように長い時間がかかることになります。一時保護された後、婦人相談所と婦人相談員が連携していきますが全国でやはり違いがあって、一時保護を依頼した福祉事務所の婦人相談員が、一時保護になった後もずっと同行支援を行ったり、一時保護所に行って支援するというところと、一時保護した後は、相談所の相談員が支援するというところ、。全国二分されています。大体半半ですね。婦人相談所との連携が上手くいっているとこの後の婦人保護施設の入所とか、母子支援生活施設の入所につながっていくと思います。
婦人保護施設の広域保護の利用についてですが、現在全国に婦人保護施設がない県が8県あります。広域での保護がなかなか難しい現況にあります。私の県も婦人保護施設がないので、婦人保護施設の検討会で初めて知ったのが、同伴児童も一緒に婦人保護施設に入っていいということだったんですね。そのぐらい婦人保護施設のないところは、婦人保護施設に関する情報が全くなくて、どうやって入所ができるのかというところもわからないのです。そういう状況ですので、婦人保護施設を利用するにあたって、福祉事務所からも母子生活支援施設と同じように、ストレートに入れるような依頼ができれば、上手くつながっていくのではないか考えます。とにかくお願いしたいケースはたくさんあったとしても、婦人保護施設がないばっかりにどうしようもない。今のところは婦人相談所に一時保護してもらう。で、所長が措置をしてくれるとなったときに、広域保護の予算がないとそっちの婦人保護施設には行けないという状況になります。このようなところ是非とも検討していただきたいと思います。
それから、婦人相談員の配置です。ここでは、市区では任意となっている婦人相談員について、必置義務とする。これは先ほどから何回も申し上げておりますし、また、構成員からも言っていただいたような状況です。そして、是非とも専門職として位置づけていただきたいと思います。
それから、婦人相談員の配置数です。全国婦人相談員連絡協議会の今年の4月に調査したところによりますと、婦人相談員の配置1名というのが36%で、全体の3割強となっています。婦人相談員1名体制のところは、婦人相談員不在時の相談体制の不安があるということで、研修にはなかなか参加できない要因のひとつにもなっています。市区の相談員は他県の研修にもなかなか行けない。全国の婦人相談員・心理判定員研究協議会の出席はほとんどできない状態です。各自治体で婦人相談員に対してどの程度予算化されているかわかりませんが、研修に参加できないという回答が、とてもたくさんありました。このことに関して、国が研修体系を計画的に義務付けていただきたい。全婦相としては研修を全国的な研修システムに、国の認定制度のような制度を作っていただきたいと考えています。
市区の相談員には兼務が多いということ。母子・父子自立支援員、家庭相談員との兼務が多いということで、婦人相談員の専門職としての配置が必要と思います。
それから、関係機関との連携ですが、婦人保護事業支援ネットワークの連携会議の設置が必要です。児童相談の分野において、要保護児童対策地域協議会があるように、婦人保護事業においても関係機関連携会議の設置が望まれます。
また、広域での関係機関との連携について。婦人保護事業の特徴のひとつには、DV被害者や性暴力の被害者の広域保護があります。それについては、大変苦慮するところがあることから、全国的な連携についても検討が必要であると思います。特に、婦人保護施設もですけれど、母子生活支援施設もなかなかDVの被害者を受け入れてもらえない難しい状況があります。5軒も6軒もお願いしてやっと見つかるというふうな状況です。
それから、民間団体との連携について。行政ができない部分、縛りのある部分において、民間団体と連携しながら支援することが必要と思います。民間団体の活動費に是非とも予算をつけていただきたいと考えます。以上です。すみません、長くなりました。ありがとうございました。
しろまる 堀座長
はい、ありがとうございました。それでは、横田構成員お願いいたします。

しろまる 横田構成員
はい。ご紹介にあずかりました、全婦連の会長をしております横田と申します。はじめに、全婦連としても長くこの検討会をおまちしておりました。長い間私はしてますけれども、この検討会です。この場で、婦人保護施設においてお伝えする時を得まして大変感謝申し上げます。
1つ目、婦人保護事業の対象範囲のところから入らせていただきますけれども、まず婦人保護施設の根拠法は売春防止法です。売春防止法は、女性を処罰する。先ほど全婦相のほうからもお話がございました。刑事特別法なんですね。そして62年間変わっていない法律。私たちは、その法律による実施要領に基づいて具体的な支援をしておりますけれども、現在私たちは、現状から捉えて、「売春防止法見直し検討会」(2008年)のときに対象をこのように決めました。「性的被害を中核として侵害を受けた全ての女性を対象にしています」ということで、要保護女子ということではなくってそのような言い方をいたしました。昭和62年、「婦人保護施設における要保護女子とその処遇に関する基本的な考え方」が出されておりますが、少し紹介させていただきたいと思います。
「要保護女子という言葉は、まだ日本国語大辞典に載っていない新しい日本語である。昭和31年に成立した売春防止法に初めて登場した専門用語である」ということは、要保護女子という言葉は、売春防止法だけにしか使われてないという言葉なんです。では、現在私たちの支援している女性たちの状態はどういうことであるかということで、女性たちの現状について伝えます。現在私たちの支援している、そして私たちの周辺にいる女性たちの状況です。暴力、性暴力、性虐待、貧困、心身の疾患・障害。ここに書き表してありますように、本当に居場所のない、行き場のない、そして社会的に孤立。その上、性的搾取をされた様々な社会的な被害を受けている女性たちです。そしてその支援は、大変困難を呈しています。また、制度の狭間に置かれている、障害や外国人女性たちですね。さらに複合差別と書かせていただきましたけれども、その方たちの支援、法制度ですね。社会資源も大変未整備の状態にあります。大きくは現代的な課題です。また、何回も出ておりますが、若年女性への性暴力ですね。ちょうど法の狭間に落ちている若年女性の問題、本来であれば婦人保護事業が取り組むべき対象者なんですけども、ここが取り残されているんですね。そして、しかも、この取り残された結果、性搾取の被害があり、また、SNSによる被害などもですね、拡大され、そしてさらに潜在化しているという、これはかなり深刻な実態です。私はこのへんは社会的な病理ではないかと思っております。
次に、婦人保護施設の設置・運営状況から見える課題です。婦人保護施設は任意設置なんですね。未設置県が7県。そして、休止県が1県。未設置県は、青森、奈良、富山、鳥取、島根、高知、熊本。只今熊本から、全婦相の会長からもご報告がありました、岡山県は休止県です。私も「婦人保護施設がない県ではどうしているのでしょうか」というふうに考えてみました。未設置県だからといって女性たちに問題がないわけではない。只今報告があったように、施設がないところでは、相談所、相談員の方々が大変頑張っておられます。現状では、民間の方々たちのご協力を得て努力をされていることのご報告も今受けました。このことは、もっともっと細かに、本当は精査しなければならないことだというふうに思っています。
また、形態の違いです。公立公営・公立民営・民立民営。これらの形態の違いが、全国の婦人保護施設にはございます。特に公立公営はDVの支援に特化して、行き場のない、居場所のない女性たちの支援。これが、零れていると思っております。しかしこの実態は、先ほどもお話ししましたように、今社会の大きな課題となっています。最近私は、「婦人保護施設は何するところ」という事をすごく感じます。入所時の目的は就労自立というふうにされておりますけれども、そうではない。私たちがすべきは、たくさんの被害を受けた、虐待を受けた女性たちに対して、きちっと心の回復支援を主軸にするべきだと考えております。
あと問題は、入所者の数の低下です。措置入所制度のために、ニーズがあってもたどり着かない制度の仕組み。これはとても大きな問題だと思います。思い切ってこの制度の仕組みを変えていかなければならないということを近々ものすごく感じております。現行利用の制度の権限を市区町村に移行したらどうだろうかとも考えてみたりしております。入所者の低下は、いま止まらない状態です。かつてこんなことありませんでした。それからもうひとつ。かつてはいわれていた婦人保護施設の老朽化の問題です。多くの施設が改築への努力をしてきました。しろまるしろまる寮という名前を変えまるでマンションのような名前が次々と生まれています。なぜかといいますと、少しでも若い女性たちに利用してほしいからです。施設は懸命に努力しているんです。なのに入所率は低下しているんです。
婦人保護施設による支援の課題のほうに移らせていただきます。何回も申し上げますが、利用者は複雑・複合的な課題を抱え、多様な困難を伴って入所に至ります。多分、皆さんがその一人の状況をお知りになったら想像を絶するというふうに思います。
また、一人ひとりその複雑な課題が違うんです。私たちは、その一人ひとりに対応しなければなりません。当たり前のことです。その当たり前に対応することすらも十分な事ができていない状況もあります。気持ちが削がれます。さらに、専門性が求められています。これだけ複雑・複合的な課題を抱え、しかも、暴力、性暴力を受けた女性たちに、支援に専門性があって当たり前です。婦人保護施設、女性支援に、さらに子どもの問題は欠かせません。自分が暴力を受け、母親の暴力を目の当たりにしている子どもたちですが。一時保護利用的、支援は途切れるんです。システムがないからです。その後、子どもたちがどうその影響を負っていくのか、私たちは知っています。見えています。でも、支援ができないんです。大人社会の欠如の責務と言えるのではないでしょうか。私は胸が痛みます。「私たち、僕たちを助けてくれなかったじゃない」と、もしかしたらのちのち子どもたちに石を投げられるかもしれません。でも、私たちは浴びるしかないんです。それでいいんでしょうか。私は、子供たちの問題は、婦人保護事業の大きな問題だと思っています。通学できない期間が、一時保護に入ってから、1から2ヶ月に及ぶ場合もあります。学習権の保障はどうなってるんでしょうか。
国に実態に応じた十分な運営指針がありません。全国での地域格差が大変大きいんです。どこにいても、どの人も平等な支援が受けられる、ナショナルスタンダードがないのです。
売春防止法を法的根拠とすることの限界について伝えさせていただきます。ここにも書いてありますように、24時間365日、婦人保護施設は対応しております。しかし、支援する職員が足りません。国基準では、支援員が2名です。法律制定当初、自立支援という考え方ではなく、看守、いわゆる「見ていればいい」という捉え方だったと推察いたします。そして、先ほども言いましたように、専門職が必要です。専門性が必要です。私は、人によって侵害されたものは、人によって回復する。長く支援を続けてしみじみとそう思っています。婦人保護施設の支援員は専門職です。支援員は、トータルソーシャルワーカー、あるいはゼネラルソーシャルワーカー。私はそう思っています。広い視野と専門性の高い支援が求められ、現に精一杯そのことに対応しています。一人の人の人生の自立に、それぞれのステージに共に歩みを進めているんです。寄り添いながら、そして見極める力を持ちながら、そして時間をかけて方向性を共に探ります。売春防止法にはない支援が求められているのです。もうひとつ、大きなことがあります。利用者の生活資金保障の不備です。本人支給金がないのです。生活保護法以下なんですね。婦人保護施設の貧困といえると思います。かつて、私たちの施設に、所持金二十数円で入ってきた方もありました。何ともやりきれない思いがします。行き場のない、居場所のない女性たちに、豊かさを育む場所。それが婦人保護施設でありたいと、切に願います。「生きてきたけれども暮らしてこなかった」人が、人としての尊厳を生活の中で取り戻し、そして自分らしく生きることを、人権の保障ありきで中長期に支援ができるということを求め、婦人保護施設の機能をそうありたいと願っております。
さらに施設基準の不備ですが老朽化に対しての改築というのがありましたけれども、現在のニーズに合った設備が整えられているかというと、それは残念ながらないです。そういう意味では、なんとかニーズに合わせたいと思いますが、最低基準ではまだ4人部屋なんですね。そのことも大きなことだとに思っています。
それから、次に、婦人保護事業等における支援実態に関する調査と同時に、もうひとつ今日は、用意されております。「婦人保護施設における性暴力を受けた被害者に対する支援プログラムに関する調査研究」として同時に行われました。婦人保護施設利用者の性被害の対応の未整理。ここにも課題にも出ております。いわゆる女性支援の中でも性的被害への対応が、非常に脆弱だということが明らかになったといえると思います。婦人保護施設の支援には、専門性が欠けないということは何度も申しておりますけれども、「心理的なケア」。これは本当に必要なことです。心理的支援について先ほども報告ありました、47施設のうち23施設ができていないと。そして性暴力の被害には、支援として対応できていないということが16施設。理由の多くは専門性の不足です。これでいいのでしょうか。私は、暴力を受けた女性たちは、どの人も等しく回復する権利を持つと思っています。専門性の不足、女性への支援は、その実態がわかっているわけですから、多くのことを取り入れた様々な支援要素が含まれて、私たちがこれに対応していくべきだと思っています。
それから、連携についてですけれども、婦人相談所と連携が取れていないという数値が、47分の43というふうに出ております。様々な問題が、少なくとも、相談所、相談員、婦人保護施設は、売春防止法の三本柱という重要な連携を必要なチームなのです。是非そのこともご周知いただきたいと思っています。
また、8ページになりますけれども、「なぜ女性か」、です。女性が抱える女性性の困難。私たちは、ここも大きい問題だと思ってます。大きくは暴力、性暴力の問題です。今DV防止法ではなく、売春防止法による入所者の入所理由のトップが、暴力被害なのです。暴力が蔓延しています。男性から女性への暴力です。もちろん女性から男性への暴力もあります。しかし、男性から女性への暴力が圧倒的です。施設にたどり着くDV被害者のほとんどが、支配と抑圧の中に巻き込まれています。子どもたちは怯えて入所に至ります。暴力から逃れて待っているのは生活苦、そして養育と女性と子どもの貧困です。逃れた後の支援のシステムがないのです。さらに、先ほども申し上げました、女性ゆえに妊娠という機能があり、予期せぬ妊娠・出産もあります。そして女性ゆえに、不安定な女性の雇用。様々なことが、女性が抱えている大きな問題、女性性の困難です。なぜ女性か。このようなことを挙げさせていただきました。
次に、なぜ新しい仕組み、支援の仕組みが必要なのかということです。売春防止法が、女性が処罰をされる法律です。売春防止法5条で処罰された女性。まだ今でもその逮捕に手錠を掛けられています。先ほども、全婦相お話ございましたが、女性たちは犯罪者ではないんです。むしろ、女性たちは福祉的な支援が必要な女性たちなんです。さらに売春防止法には、人権保障の概念がありません。自立をさせられる支援の仕組みがありません。専門性がありません。そして何よりも、一人ひとりを支える個別性が必要です。私たちは、これらの自立を支えるための支援の仕組み、そのために新しい支援体制を考えております。
10ページになりますが、今後の方向性です。当事者を中心にした当事者の意思、自己決定を尊重し、そして多様なニーズに応える自立支援を支える仕組み。さらに法制度の整備。これを私たちはイメージをしております。新しい支援体制に向けてです。62年間待ちました。日本は変わっていかなければならないと思っています。女性たちのために開かれていかなければならないと思っています。様々な複合的困難を抱えた女性たち、その子どもたちの尊厳を回復してゆきます。尊厳を奪われるということはどういうことでしょうか。時には生きることすら失うかもしれません。基本的な人権を尊重することを理念とすることを趣旨に、女性のニーズに応じた自立支援の仕組みをつくること。そして大事なことは、国及び地方公共団体の責務を明確にすることです。そして対象は先ほども言いました。全ての、これらの全ての女性及び同伴する子どもたちを主体的に捉えていかなければなりません。そして、当事者主体の支援体制、支援内容、当事者のニーズに応じた支援をコーディネートしていき、そして切れ目のない、中長期な自立支援が必要かというふうに思って考えております。どこでも利用できる豊富な支援サービスもナショナルスタンダードに考えていかなければいけないと思います。
それと、もうひとつ大事なのは、地域の多機関の、連携による継続的な支援体制です。地域支援ネットワーク、これはとても大事なことだと思いますが、その中核としての女性支援事業です。このことを是非構築していけたらと思っております。
国及び地方公共団体の責務です。国及び地方公共団体が、要支援女性とその子どもの支援に必要な措置を講じる責任を有する。私はこのことを切に願いたいと思います。売春防止法には、国の責務が明確にされていません。
最後になりましたけれども、いま私たちは、現行の婦人保護事業を超えた新しい枠組に是非取り組んでいきたいと思っています。女性自立支援法、いま仮称と称しておりますけれども、新しい法律が生まれていくべき時です。必要です。そして、売春防止法、62年間変わっていない刑事特別法は全面改正すべきと、切にそのように思っております。どうぞこの機をもって、新しい女性支援の波がですね、全体に巻き起こってくるように願って、終わらせていただきます。ありがとうございました。

しろまる 堀座長
はい、ありがとうございます。それでは仁藤構成員、お願いいたします。

しろまる 仁藤構成員
はい、Colaboの仁藤です。私はですね、民間支援団体としてどのように活動しているかということも、一緒に紹介いただければというふうに依頼をいただいたので、活動の紹介をしながら、婦人保護事業に対する要望などもお話ししたいと思っています。
まずですね、私たちは2017年から、全ての少女に衣食住と関係性を、困っている少女たちが搾取や暴力に行き着かなくてよい社会を作りたいということで活動しています。やっぱり、公的機関が夜間や休日は閉まっていますので、そういうときでも本人が駆け込めるシェルターを作って運営しています。年間100名以上の中高生と関わっています。
私たちが出会うのは、特に虐待とか生活困窮などを背景に家にいられないときに街で声をかけられたり、SNSを通して知り合ったりした相手から児童買春の被害に遭ったり犯罪に巻き込まれた女の子たちになります。
次のページに書きましたが、夜の街には買春者とか、性的搾取に斡旋する、そういう人達が溢れていてですね、新宿や渋谷などの繁華街では毎晩100人以上、そういうスカウトたちが子どもたちに声を掛けているという現状があります。そういう人たちが、スカウトたちがですね、どこに困っている子どもたちがいるのかっていうのを学んで知っていて、どう言ったら子どもたちの信頼を得ることができるのかということもよくわかっていて、その子どもたちの生活を否定しないような形で近づいています。例えば「仕事探してない?」「ここで何してるの?」「お腹空いてない?」「こんなところにいたら警察に補導されちゃうから、よかったら泊まっていきなよ」みたいな形で、さらには「仕事も紹介できるよ」と言って、食事や宿泊場所、寮や仕事を提供することを搾取の手段として近づいて、性的搾取などの犯罪に斡旋しています。危険に取り込まれる子どもたちが後を絶たないのは、困っている子どもたちが、支援につながる前に危険に取り込まれているという現状があるからだと思っています。
次のページなんですが、少女たちは様々な困難を背負わされていますが、特に家出とか性的搾取に関わると、学校や児童福祉の現場でケアの対象というよりも、非行少女として捉えられてしまうことがあります。これは、売防法でそこにいる女性たちが手錠を掛けられるようなことと同じような話だなというふうに思うんですが、そんな現状がありまして、中には障害があったり、知的障害とか精神障害、発達障害がある少女が狙われて搾取されているケースとか、幼い頃からの性虐待とか性被害というのも多くありまして、出会う少女たちが被害に遭った後、自傷行為とか自殺未遂を行うケースも後を絶ちません。そうやって、安心して過ごせる場所を持たないまま生き抜こうとする中で、特に性被害や性的搾取の被害に遭った女の子たちは、安定を手に入れたとしてもやっぱりトラウマを抱えて、精神的な不安を抱えながら生きていたりします。ですが、困難を抱えた少女たちが、自ら公的な機関に助けを求めるということは、かなり高いハードルがあります。
次のページにも書きましたが、公的機関の問題として、開所時間の問題とか、とにかくとりあえず今日、今すぐ体を休められる、泊まれる場所を提供するということが、かなり難しくって、先ほどの措置をされて一時保護に行けるまで、午後に相談すると夜になってしまうということで、本当に私たちも同行支援とかする中で、この何時間そこの役所で待たされたりするっていう、そういう状況がある限り、なかなかそういう、もう、本当は使いたいなと思っていても、支援を受けること、利用することを諦めてしまう女の子たちっていうのは、後を絶たないのではないかなというふうに思っています。そして、出会う子たちの多くが、自分から「助けて」とか言えない状況にあって、そもそも自分が何に困っているのかとか、助けを求めていい存在なんだということも思っていないですし、ましてや婦人保護事業のような、そういう事業があるという、支援を受けられるんだっていう、そういうことすら知らないという状況があるので、自分から「助けて」と窓口に駆け込んでくるっていうのは、かなり切迫した状況だったり、支援者との関係性があって、そういうところに一緒に来るとか、そういうことだと思うんですね。なので、もっと手前に、そういう早期の、早い段階で、その女の子たちにつながって、もっとアウトリーチをしていく必要があるというふうに思っていますし、窓口で待っているあり方ではなくて、施設で待っているのではなくて、出会いに行って「こういうものがあるよ」というふうに、スカウトたちのようにですね、私たちの側から提案していけるようになるべきだと思って活動しています。
活動について、資料を進めていただくと、こういうピンクの表紙のもので、活動報告書があります。その活動報告書の中の、左下にページ数が書いてあって、3ページのところになりますが、これは去年の活動報告書なんですが、去年は、私たちは184名の方から相談を受けまして、そのうち本人からの相談が130名ほどでした。年齢としては、中高生世代を対象ということを持ち出していますので、15歳から19歳くらいが毎年多くなっていて、特に友達の紹介で来るとか、最近は支援者、学校の先生とか、支援者の方の紹介というのも増えていますが、SNSを通してというのも多くなってます。友達の紹介で来るというのは、例えばシェルターをいっているんですけど、「一緒に泊まっていい?」とか、「今度ご飯食べに一緒に連れてっていい?」という形で、気軽に少女たちが友達を連れてくるような感覚で、「友達も困っているから」とか、「こういう場所、一緒に、この子もこういう場所があるといいと思うから」ということで連れてきてくれています。なので、そうやって気軽に来れる。とにかくハードルを下げて間口を広げて出会っていくということが大事かなと思っています。相談は全国から寄せられていまして、拠点は東京にあるんですけれど、全国各地の女の子たちと出会っていて、メールやLINEなどでの相談も行っています。
その次にですね、4ページのところですけど、出会った女の子たちに対しては、必要に応じて同行支援や各機関との連携などを行っています。役所に行って、生活保護の申請をしたりとか、DVシェルターに入れないか相談したりとか、警察に行ったり児童相談所に行くというようなこともありますし、その後施設に入所することになった場合も、その後もつながって、関わり続けるということで、接点の方面を、したりすることもあります。
次のページですね。私たちは、一緒にご飯を食べるということをすごく大事にしています。これは、相談のハードルを下げることにもすごく役立っているなと思っていまして、きっと大人の皆さんも何か困ったことがあったとき、相談窓口に相談するというより、まず友達に「今度ご飯に行かない?」とか「お茶しない?」って誘ったりすると思うんですね。そんな感覚で気軽に話してもらえるようにということで、私も夜の街での声掛けなども行っているんですけど、そこで出会った子たちに対して、「よかったら今度ご飯食べにおいでよ」というような形で声を掛けています。そうすると女の子たちも、何かあったときに「そろそろご飯したいです」とかっていうような形で連絡をしてくれることもあります。そのときに、「連絡があったから何かあったの?」とかって返すと、そのときは「別に何もない」とかって言うんですけど、実際には会ってご飯食べながら話してみると、「実はいま付き合ってる彼氏がすごいDVで」とか、そういうような本当は困ってることがあるっていうことを話してくれたりとかっていうふうにします。なので、ちょっとホッと一息つけて、なんとなく顔見て話せる場所っていうのを相談っていうとハードルがものすごく高くなってしまうので、食卓を囲むような形で、そういう時間を持つことで作っています。
必要に応じて一時シェルターでの宿泊支援や保護ということも行っています。ここは、本当に親から逃げたいとか、性暴力を振るう加害者から逃げたいとか、性売買をさせる売春宿のようなところから逃げたいとか、そういう保護っていう形での利用もあるんですが、それだけではなくて、「ちょっと今日はママの彼氏が家に来るから泊めて」とか、そういう利用もできるような場所にしています。また、例えば虐待があって、本来であれば保護されたほうがいいんだろうと、客観的には思うんですけれど、本人に今はその意思がないとか、無理にそこをやってもあまりいい方向にはいかないだろうというような場合もあるので、でも「ちょっと今日は泊めてほしい」とか、「家では寝れないから仮眠してほしい」とか、保護の覚悟がまだない段階でも、とにかく泊まって利用できるっていうような場所を作って運営しています。私たちも出会う中で、結局泊まれるところ、ご飯が食べれるところというのがないので、こういう場所を2015年に開設してやってきましたが、結局そこで一時保護してですね、本当に保護が必要な場合は、未成年なので、基本的には弁護士さんに代理人になっていただいて、弁護士を通して児童相談所などとやり取りをして、児童相談所とのケース会議とか学校との連携とか、そういうところで私たちも関わっていくんですけれど、どうしてもなかなか、特に性売買とか、性的搾取の被害に遭ったりする子どもたちが、児童福祉の中で、性非行とか、家出のそういう経歴があるとかっていうことで、非行少女として扱われてしまうんですね。虐待のケースというよりは非行ケースとして扱われてしまうところもあったりして、特にそういう性的搾取とか性売買に関わった少女たちは、一時保護所だとか、児童福祉の施設の中で、受け入れられるのが難しいというふうに、本当にはっきり言われてしまうこともたびたびあります。なので、本来であれば、その女の子たちが、もっと婦人保護施設を使えるようになってほしいということを切に願っております。なんですけど、なかなかその、いま入所のハードルを、婦人保護施設ものすごく高いので、結局なかなかそれだけの受け皿がないということで、私たちのほうでも、自立支援シェアハウスということで、敢えてシェアハウスという言い方をしてハードルを下げているんですけど、中長期シェルターのような形で暮らせる場所というのもやっています。ただ、そこは私たちも民間支援団体で、全て寄付、個人の方の寄付と、企業からの助成金でなんとか運営しているっていうような状況ですので、ここの中長期のほうは、24時間の見守りの体制が取れていません。なんですけど、ここに来る子というのは、様々な障害とか困難を背負わされている子たちなので、とても大人の見守りがない状態で普通に生活していけるような状況ではないということがありまして、もっとそういう、ちゃんと予算がついて、少女たちが安心して過ごせる、暮らせる、自立を目指していける場所っていうのが必要だなっていうことを思っています。
また、私たちの活動の中でですね、女の子たちが主体的につながって、関わるような活動っていうのも大事にしてまして、Tsubomi。サポートグループTsubomiっていうふうに書いているんですけど、誕生日のお祝いとか、成人式のお祝いとか、夏祭りで一緒にお店を出したりとか、あとはそういう人身売買に関する日本の状況についての調査に協力したりですとか、そういう活動をしています。
報告書の8ページに、「私たちは『買われた』展」という企画展ついて書きましたが、少女たちは児童買春について、日本では援助交際という言葉で、好きでブランド物欲しさにやってるんだろうっていうようなイメージで語られ続けていて、子どもの非行問題として捉えられていることに対して、私たちは買われたんだと。そこに行き着くまでにはいろんな背景があったんだということを本来守ってくれるはずの家や学校や、地域や福祉から零れ落ちて、教育からも零れ落ちた結果そうせざるを得なかったんだっていうような気持ちをですね、本人たちの言葉で伝えるというような活動もやっています。また、大人向けの啓発活動だったり、中高生や少年院に入っている子どもたちに対して、アウトリーチの意味も込めてですね、出会いに行って話をするということも大事にしています。そういう活動を通して出会った子どもたちからの相談っていうのもありますし、また、大人たちの研修、啓発活動ということで、まずは夜の街でどんな危険があるのかとか、どうやって少女たちが過ごしているのかというのを一緒に見て、現状を知るという街歩きのスタディーツアーというのをやっていまして、いろいろな支援者の方や警察関係の方などにも来ていただいています。
このような活動を2011年から17年まで続けてきたんですが、少女たち、もともとColaboの活動は夜の街での声掛けから始まったんですね。それも実は私が中高生時代に渋谷の町をさまよう生活をしまして、家には帰れないというような状況の中で段ボールを敷いてビルの屋上で寝たりですとか、した経験がありまして、そのときに声を掛けてくるのは、手を差し伸べようとする人ではなくて、やっぱり危険に取り込むような人しか本当にいなかったわけです。そこからもう十数年経った今でも、同じような思いをして私がいたのと同じようなベンチで、本当に一晩明かしたんだっていう15歳、14歳の少女たちとも出会っていまして、やっぱりそこに対して、出会っていく数はもっとやっていきたいなということを思っているんですが、シェルターの活動を始めてから、なかなか受け皿のほうを回していくのにいっぱいいっぱいになってしまって、人も支援職員はいま3人と、パートのスタッフ7名ぐらいでやっているので、とてもそんな人数でできるようなことではないということで、アウトリーチをする余裕が、最近ここ数年なくなっていたんですね。ですが、やっぱりちゃんとこの出会いの部分をやっていこうということで、私たち本年度秋からですね、アウトリーチを強化したいと思っています。それに関する資料が、夜間巡回バスを走らせたいというふうに書いてあるものなんですけど、1のところに写真がありますが、韓国での先行事例を参考に、日本でも夜間巡回バスを使ったアウトリーチをしたいと思っています。韓国ではこういうバスがですね、ソウル市だけで、行政機関を含む7団体が、食事提供や声掛けを青少年に対して行っているそうです。私たちは、渋谷区や新宿区と連携してこの秋から週1回程度、2拠点でアウトリーチを行いたいと思っています。繁華街にキャンピングカー仕様のマイクロバスを停車させて、バスの前にテントを置いて、椅子とかテーブルとか並べて、食事を取ったり、話ができるような場を作って、そこを拠点にスタッフやボランティアがチームに分かれて少女たちに声を掛けて、団体の活動とか、バスで受けられる支援を案内します。冬には体を温めるために、ホッカイロとか、スマホがない少女が緊急連絡用にということでテレホンカードを配ったり、食料とか生理用品などの物品、コンドームとか提供したりですとか、相談窓口の紹介が載ったカードやグッズを配布するなどしようと思っています。バスでは、食事が食べれるようにして、必要に応じて同行支援や緊急の保護を行いたいと思っているんですが、これまでは街で声を掛けて、連絡先を伝える方法でアウトリーチを行ってきたんですけど、それだけはなかなか少女たちも警戒したり、突然のことで驚いたりして、直接の支援にはつながるケースっていうのは少なかったんですね。そこで、より効果的な支援、つながるきっかけづくりを行うために、街中に停車したバスを拠点にして、「あそこにバスがあってご飯が食べられるよ」とか「何かあったらちょっと寄っていかない?」っていうふうに案内をして、とにかく少女たちに足を運んでもらいやすくして、その団体の雰囲気や活動を知ってもらって、連絡先を伝えて、顔の見える関係性になるということをしていきたいと思ってます。そうすることで、困ったときに気軽に連絡してもらえる関係性をつくることができると思います。
また、支援につながらない多くの少女たちが、やっぱり自分の困り事に気づいてなかったり、一緒に状況を整理してという大人が傍にいなかったり、相談するってことが思いつかなかったりする子たちが多くって、特に支援とか、相談っていう言葉自体に抵抗感を持つ人がすごく多いので、なのでこのアウトリーチでは、相談を目的としない場づくりをすることで、そういう少女たちに出会って利用してもらいやすい雰囲気を作りたいと思っています。出会いからの自立まではそうして、私たちの活動の特徴というのは、問題解決のみを目的としないということだと思っています。伴走する、共にいるっていう、それが一番大事で、それこそ目的かなというふうに思っていますが、そういうことをすることで、一時的な支援ではなくて、その人の人生そのものに寄り添って日常的な暮らしをさせていくようなことをしていきたいと考えています。
アウトリーチで接触する若年女性の数は、おそらく年間5,000人から20,000人ぐらいに、本気を出してやろうと思っているので、声は掛けることができるのではないかと思っています。ただ、先日厚労省のモデル事業も今年度から始まるっていう紹介がありましたが、そういうものが始まったとしても、やはり出会っても受け皿がなければ、習った責任が取れないというところを、私たちとしてもすごくどうしていくのかな、ここをなんとかしていかなければと思っています。
なので、最後に、婦人、民間団体と婦人保護事業の連携についての要望という資料を添付させていただきました。ちょっと誤字があって、婦人保護施設事業となってしまっているんですが、すみません間違いです。ここの課題については、他の方もご指摘いただいたり、厚労省の調査の結果を最初に紹介があったように、すでに同様の課題は調査などで明らかになっているんだなということをわかりましたので、そこをどう改善していくのかっていう段階なのではないかなっていうふうに思うのですが、私たちから見える支援、実態としてもやっぱり同じですね。厚労省の方からの、これまでの他の方の発表でも、利用者の同意が得られないということがもう一番なんだということを繰り返し出てきたと思うんですけれど、それは、つまり使いたいと思われていないということだと思うんですね。なので、そのためのルールの見直しだったり、国の運営方針というところはもう本当に見直していってほしいと思います。
(1)のところ書きましたが、18歳未満でも婦人保護施設を利用できるようになってほしいと思っています。これは、最初和田さんからのプレゼンでもそういう利用者もいるよということがあったんですが、結婚や子供がいる女性でなくってもですね、虐待のケースでDVではなかったとしても、もっと使える場所なんだということを、もっと打ち出してほしいし、現場の婦人相談員の方にも知ってもらいたいなというふうに思っています。支援者の面接の技術不足という課題も出ましたが、そもそもそういう若年の女性、10代の女の子たちが、婦人保護施設を入れる、利用できるんだという共通認識が、相談員の方の中にないように感じます。現場ではそういう、先日も都内でですね、相談に行ったとき、19歳の女の子に対して、「未成年は都女相が入れてくれないからダメなのよ」とかって、そういう言い方で、なんか婦人相談員の方が、もうそもそもそういう婦人保護施設という選択肢を持たずに話を聞いてくるっていうようなことが、本当にそのケースだけじゃなくてありますので、「そんなことないよ。もっと積極的に入れていくよ」っていうような方針をですね、打ち出してもらえると、そういう方々もちゃんと動いてもらえるようになるかなと思います。
また、各自治体での相談の対応の仕方も改善するところもっとあるなと思っていて、例えば先日横浜市に相談に行ったときに、支援者同席の下では相談が受けられないっていうふうに言われたんですね。婦人保護事業ということで、母子生活支援施設というのは、DV防止法に基づくものだから、一対一での相談しか受けられないというふうに言われて、そんなルール、そんなの初めて聞いたんですけど、その担当の方に根拠はどこにあるんですかとかって聞いたら、「横浜市としてはDV防止法をそう解釈してるんだ。これ以上のクレームがあるんなら、市のホームページに言ってください」とか、そのぐらいの、もう本当に、市にも確認してくださってですね、そういうこと言われてしまったんですね。その後、弁護士が一緒にまたその未成年の女の子と同じ窓口に相談に行ったら、弁護士に対しても同じような対応をしたということで、おそらくそういう対応が本当にルールのようになってしまっているような自治体もあるのではないかなと思います。なので、この女の子としては、役所が動いてくれないから支援者を連れて行ってるのになんでなの、というようなこともありましたし、実際に、そのシェルター、女性シェルターや、婦人保護施設を使えたってなったときに、相談員が脅すようなことを言う、怖いところであるかのような、厳しくて苦しくて、環境がすごく悪いところであるかのように、脅しだと、女の子の言葉ではですね、脅されたって感じるようなやり取りをしてしまって、入りたいって思えないようなことを言うっていうことも、本当にしょっちゅうそういうことに遭いますので、そうじゃなくて入りたいって思えるような支援をしていこうというようなそういう方針も入れていただければいいなということも思っています。
また、2番目のところで、婦人相談所を通さずに婦人保護施設を利用したり、見学やお試し入居ができるようになるといいなというふうに思っています。やっぱり顔の見える関係性の中で、「施設ならどう?」っていうような感じで紹介できるようになったらいいなっていうふうに思っています。また、夜間とか、平日の日中ではなくって、土日夜間の対応もしてほしいなって思います。今だと警察に駆け込むしかないっていうような、土日とか夜間ですね。シェルターに入るには、そういうこともあるので、なかなか、特に未成年で性売買とかに関わっていると、自分も捕まるんじゃないかとかっていう不安もあったりしますから、そうではなくて、夜間対応できるようにしてほしいということと、今は電話して予約して来所するっていうことのハードルは高すぎるので、予約しなくても、とにかくいま行くところがないっていうときに、緊急的に泊まれる場所として、婦人相談所のシェルターでは現状としてルールが厳しいしハードルが高いので、婦人保護施設である程度携帯を使えるなどの自由があるところがあれば、そういうところを使えるようにするなど、してもらいたいなというふうに思います。
また、入所する前提ではなくって、選択肢のひとつとして、こういう場所があるんだよっていうことを知っておいてもらうっていうことが、その後いざ施設を使おうっていうときに役立つと思いますし、選択肢を見せるということが大事だと思っていますので、入所の覚悟がない状態でもこういう施設があるんだよということを、見学ができたりとかすると安心して利用者が支援を選択できるようになるのではないかなというふうに思っています。現状ではそういうことができないので、危ないところに行ったり、泊めてくれる人を探したりっていうふうにしてしまう、そういうことをせざるを得なくなっている。そういう状況を作っているのは、この仕組みとか運用の問題だと思いますし、国の責任があると思っています。
また、今の家を失わずに、生活保護を利用しながら一人暮らしをしてる子がですね、婦人保護施設をちょっとお試しで入所できるとかっていうふうになるといいなと思っていて、どうしても今の家を失うような形でしか入所ができないというふうになってしまうと、今の生活を失うということは不安なので、そういう猶予期間、お試し期間みたいなものをですね、作ってもらいたいなと思っています。
あと最後に2つですね。1つは、公的な保護を求めない相談者に対しても、障害の診断とかトラウマ治療の専門家などの医療につなぐサポートをしていただけたらいいなと思っています。この子は軽度の知的障害かなとか、手帳が取れるかもしれないなと思ったときに、いい病院とか、そういう検査ができるような場所ということで、何か保護を求めていないんだけれど、本当はそういう支援が必要な状況にある子に対して、いい病院とか、連携しているところを紹介いただくようなことができればいいなと。私たちもいま手探りで、結局自分たちで探さなきゃいけなくて、生活保護を申請した女の子とかも、病院は自分で探してくださいと、どうしても言われてしまうので、そういうことができるといいなと思っています。
最後に、民間支援団体の資金援助をお願いしたいと思っています。私たちは、支援の業務に加えて、団代運営を継続させるための資金確保にも力を入れなければならなくてですね、そういう力がなければ民間で支援をするっていうこと自体ができないっていうような状況がありますので、本当はやりたいと思っている人がいてもお金をどこから持ってくるのかということがかなり大変で、そこに時間割かなければなりませんし、そのスタッフを育てていったり、スタッフをケアするということでも、やっぱり研修だったり、ケアのための予算というのは全くない状況ですので、私たちもスタッフもかなり二次受傷などを受けて、疲弊しながらですがギリギリのところで支援をしているというような状態があります。
また、弁護士さんにお願いするときの費用もですね、とても私たちのほうでは用意できないので、いまボランティアで全てお願いさせていただいております。そういう弁護士費用についても、民間に対しての支援が出るようになるといいなというふうに思っています。私たちにとっては、婦人保護施設の支援員の方々はとても専門性がある。私たちなんか、民間支援団体は何もないところから、とにかくやるしかないと思ってやってきたと思っていたところ、今日横田さんからも、専門性が不足しているというお話を聞いて、そうなのかと思ったんですけれど、やっぱり本気でそういう支援をしていくという人を育てていくということを、ちゃんと決めてお金も付けていただけるといいなと思っています。ありがとうございます。

しろまる 堀座長
ありがとうございました。それでは前河構成員、お願いいたします。

しろまる 前河構成員
はい。大阪府福祉部子ども室家庭支援課長の前河と申します。今日はどうぞ宜しくお願いいたします。一番最初のページの次のページ、右下に1とありますところをご覧ください。
私の方からは、大阪府における保護を必要とする女性のセーフティネットの再構築に向けた取り組みとして、大阪府社会福祉審議会新たな福祉課題検討専門部会専門分科会女性保護支援等検討専門部会における議論と提言を中心にご紹介させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
2ページをご覧ください。大阪府内自治体の状況です。推計人口は約880万人、自治体数、福祉事務所設置自治体数は、表のとおりで、婦人相談所は1か所、配偶者暴力相談支援センターは、府の設置が7か所、市の設置が6か所になります。
3ページをご覧ください。大阪府内配偶者暴力相談支援センターの設置状況ですが、府は婦人相談所に加え、6つの児童相談所に併設しています。これに加え、政令市に2か所、中核市に2か所、一般市に2か所設置されています。
4ページをご覧ください。大阪府女性相談センター(婦人相談所)における相談件数の推移ですが、相談件数は平成28年度までは増加傾向、29年度は減少となっております。また、DV相談は、ほぼ横ばいで近年減少傾向にあります。
次が、大阪府内全体の市部を含むDV相談件数の推移ですが、こちらについては増加傾向にあります。
6ページをご覧ください。一方、大阪府女性相談センター(婦人相談所)における一時保護件数・婦人保護施設入所者数の推移につきましては、近年減少傾向にあります。
7ページをご覧ください。大阪府における保護を必要とする女性を取り巻く現状と課題についてですが、市部を含む大阪府全体のDV件数は増加傾向にある一方で、大阪府女性相談センター(婦人相談所)の一時保護件数、大阪府立女性自立支援センター(婦人保護施設)の入所者数は減少傾向にあります。そこで、「保護を必要とする女性に適切な支援が提供されているのか」という課題認識のもと、大阪府社会福祉審議会新たな課題検討専門分科会に「女性保護支援等検討専門部会」を設置し、保護を必要とする女性への支援に関する実態調査を実施し、今年の3月に「大阪府における保護を必要とする女性への支援のあり方」について、ご提言をいただいたところです。
8ページをご覧ください。「大阪府における保護を必要とする女性のセーフティネットの再構築」に向けた検討として、本ページの4項目、1番目として、市区町村の相談体制。2番目として、施設の入所実態、3番目として、女性の支援ニーズ、4番目として、府と市町村・各施設種別の役割分担、連携体制の整理について実態調査を実施し、具体的に課題を分析することにより、「大阪府における保護を必要とする女性への支援のあり方」について、専門部会で検討いただきました。
9ページをご覧ください。大阪府における保護を必要とする女性への支援に関する調査の概要です。1として、市区町村窓口へのアンケート調査とヒアリング調査、2として、女性を保護する施設、具体的には婦人保護施設、母子生活支援施設、救護施設、一時保護所、民間シェルター等の一時保護委託先施設へのアンケート調査とヒアリング調査、3として、婦人保護施設に入所した事例について、婦人相談所とともに、母子支援、単身女性支援、妊産婦支援、施設の機能分担、市町村との連携等の視点から事例検討を行いました。
10ページをご覧ください。さらに追加調査として、一時保護における市区町村・施設等との連携について分析するために、婦人相談所へのヒアリング調査を行いました。なお、本調査の一部及び調査結果の分析につきましては、大阪府立大学に委託しております。
11ページをご覧ください。時間の関係上、調査結果からみた分析と課題についてポイントのみご説明させていただきます。1の相談体制及び一時保護へのつなぎについての課題については、婦人相談員の配置が約2割程度であることに加え、相談のバックアップ体制が不十分であるなど相談体制の課題、相談者のニーズと提供される支援とのミスマッチが生じた場合、継続的な相談につながりにくいこと、外出、携帯電話等の制約や、保護への覚悟の求め等、一時保護の際の要件等ハードルの高さ、精神的な不安定なケース等、集団生活への適応の問題や、生活保護受給の可否、一時保護後の見通しや他法他施策による支援との混乱等、一時保護やケースワーク上の困難さ、緊急保護の際の受診や服薬の問題、になります。
12ページをご覧ください。2の、一時保護中・入所中の支援についての課題はケースワークやアセスメントの標準化が必要であること、福祉事務所における対応の格差や、施設入所の際の判断の格差、母子生活支援施設入所の予算が確保されていない場合があること、一時保護後帰宅するケースへのネガティブな評価、支援の困難さ、施設入所の説明に際し、ルールや制約が強調され入所につながりにくくなっていること、施設種別ごとに入所者の特徴は見られているが、施設種別間の支援ノウハウは共有されていないこと、になります。
13ページをご覧ください。2の続きとして、妊婦の支援の困難さと市町村との連携の課題があること、子どもへのケアや支援、児童相談所、市町村児童家庭相談窓口との連携や、子どもの分離保護が必要と認められる場合の対応の整理が必要であること、障がいなど、何らかの心身の課題を抱える一時保護施設の利用者の割合は4割を超えており、支援の困難さが課題であること、一時保護、入所施設の変更など、施設間の移動が一定数みられるが、施設間連携方策が未整備であること、になります。
14ページをご覧ください。3の一時保護及び施設退所後の支援、地域における支援における課題は、一時保護や施設からの退所に際し、退所先施設との連携に課題があること、施設のアフターケアの体制(人員配置)やシステム、いわゆる仕組みが未整備であること、市町村において継続的に相談に応じ、行政サービスの活用をコーディネートする専門の相談員の配置や相談体制が不十分であること、になります。
15ページをご覧ください。調査結果・分析を踏まえた、大阪府における保護を必要とする女性への支援のあり方についての提言です。まず1点目の、市町村相談体制等については、市町村においては、継続した相談に応じ、福祉部局の中で、また福祉部局との連携において支援を行うとともに、一時保護等婦人保護事業の窓口となる専門相談員がどの市区にも配置されることが必要である。併せて、配置された専門相談員が孤立せず有効な相談が行えるよう組織として相談業務を支える仕組みが必要であるとして、具体的な方策として、四角囲み部分、婦人相談員の全市区への配置を目指す、市町村における継続的な支援ができるよう取り組む、支援スキルの向上のため対象者や目的に合致した研修を実施する、相談員がスーパービジョン(SV)を受けられるシステムを構築する、DV等、暴力被害者に必要な支援を届ける、になります。
16ページをご覧ください。次に、女性相談センター、(婦人相談所)につきましては、保護を要する女性のニーズと提供される一時保護の枠組みにミスマッチが生じている。また、一時保護の支援の詳しい情報が、女性相談センターあるいは施設から市町村職員に十分に伝わっていないことによって、その情報を提供された女性の側に一時保護の偏ったイメージが喚起され、一時保護への抵抗感を生じさせている側面も伺えた。その結果、保護を必要とする社会資源として活用されていない状況がみられた。時代に応じた一時保護の対象や枠組みの再検討、市町村に向け、一時保護の共通理解の熟成を図ることが必要となるとして、具体的な方策が四角囲み部分です。一時保護対象枠組みを見直し、実現するための条件を整理する、携帯電話や外出等のルールの考え方と説明方法を再検討する、市町村と一時保護、自立や避難に関する支援のメリットの共通認識、女性相談センター・施設・市町村の連携システムの検討・市町村の役割分担、女性相談センターの一時保護の整理をする、無料低額診療等医療とのさらなる連携方策の検討、になります。
17ページをご覧ください。施設(一時保護・入所)につきましては、女性相談センター及び施設のケースワークや支援で生じている困難な状況や課題を解消するために、困難ケースへの対応力の強化や困難な事象を解決できる関係機関等との連携方策の検討などが必要であるとして、具体的な方策は四角囲み部分です。複数課題を抱える女性に対する、女性相談センターや施設のアセスメント力、対応力の強化など、支援力の向上のため取組む、精神科医療機関との緊急時等の連携・確保、婦人相談所一時保護および女性自立支援センターにおいて、短期的に、妊婦、産褥期の母子、若年女性などを受入れ、社会的養護を補完する機能を果たす取組みを検討、市町村の継続した関わりを前提とした市町村との連携方策や役割分担を検討、一時保護や入所における、子ども・母・母子関係に関する支援向上の取り組み及び児童相談所や市町村との連携方策を検討、施設種別等にかかわらず、カウンセリング等、心理ケアを受けられる仕組みを検討する、女性保護を実施している各施設がお互いの施設機能を理解し、支援ノウハウの交換や共有できる仕組みを検討、になります。
18ページをご覧ください。婦人保護事業の全体を通してですが、在宅・一時保護入所等、いずれの段階でも、市区町村による切れ目のない支援と、女性相談センターによる女性を対象とした専門的支援が必要である。また、地方自治体の地域実情等による対応のみでなく、支援に必要な体制や環境整備のための法整備や財政措置について国に求めていく必要があるとして、具体的な方策は四角囲み部分です。市町村による切れ目ない支援提供に向けた相談体制整備、関係機関との連携や支援方策の客観性及び平準化を目指す共通シートの作成などに取組む、女性相談センターや女性自立支援センターは、より専門的な見地からのアセスメント、それに基づく個別支援の提供、各種専門プログラムの開発・実施、保護中のアセスメントや支援ノウハウを地域につなぎ直すことなどの役割を担うよう機能を強化する、府の地域実情や運用による取り組みのみではなく、必要な法改正やこれに伴う財政措置を国に求めていく、具体的には、婦人相談員の全市区町村への必置義務化、アフターケア事業の人員配置や対象者の拡大など制度の見直し、婦人保護施設や一時保護所における職員配置基準等の見直し、高齢者、障害者、児童、生活困窮者等の他法他施策との整理、市町村及び女性相談センター及び施設の役割分担の明確化に、なります。
最後に、提言を受けて、大阪府の今後の取り組みを少しご紹介させていただきます。外部アドバイザーを含むワーキング会議の開催を経て、市区町村の相談支援体制の強化、女性相談センターと市町村との連携体制の再構築、施設の機能強化、に取り組むこととしておりまして、現在実務ワーキングで、スライド下部に記載の検討内容について、取り組んでいるところでございます。私のプレゼンにつきましては、これで終わります。ご清聴どうもありがとうございました。

しろまる 堀座長
ありがとうございました。プレゼンテーションの最後になります、水野構成員。お願いいたします。

しろまる 水野構成員
はい。名古屋市の水野と申します。今回こうした機会をいただき、感謝を申し上げます。私のほうからは、住民に近い市の立場から感じていることを中心にお話をさせていただきます。話の中で若干周辺の事情に及んでしまう点もあろうかと思いますが、ご容赦ください。それではさっそく説明に入らせていただきます。
まず、1枚目ですね。本市における取り組み状況について説明させていただきます。上段、相談体制と件数。こちらに以下書いてありますように、名古屋市の女性福祉相談員は、いま31名配置されておりますが、DV防止法施行後の平成18年6月に配置されております。なお、本市では、婦人保護ではなくて、女性福祉と表現しておりますのでそういった形で進めさせていただきます。
相談員は、実質、任期は3年の非常勤の嘱託職員ということになっております。こちらにある表のですね、上の述べ件数は、電話、面接、出張を合わせた相談件数となっております。すみません、括弧書きがですね、注釈がなくて申し訳ないんですが、DVに関する件数の再掲ということになっております。本市では、何らかDVに関わっていればこちらにカウントするというような形をしております。
下段が体系的な研修の実施です。本市は、研修に結構力を入れているというふうに考えておりますのでご紹介させていただきます。相談員の上司である課長や係長は、2〜3年で異動になることが多い一方で、女性と、相談員の経験年数は、現在約4年4ヶ月という形になっております。一番長い方で、10年を超える方がおります。職員は異動によって定期的に変わってきますので、継続的な研修を実施していく必要があるというふうに考えております。女性福祉相談員の欄にですね、児童虐待対応との合同研修とありますが、これは女性福祉と児童虐待、それぞれの支援にあたっている職員が、ケースにアプローチする際の視点をお互いに学びあうことが必要と考え、平成28年度から実施しております。このほか、民間団体も含めた職務関係者研修も、複数回実施しておりまして、こちらにある平成29年度の延べの参加人数は640人というふうになっております。
次、ちょっとイメージ図を示させていただきました。私共が対応している相談のうち、DVが関係する事案は約8割ということになっています。女性福祉が担う範囲としては、他に売春ですとか人身取引、ストーカーといったものがありますが、相談の主訴としてはほとんど表には出てきません。実際にはストーカー事案をプロットしたような形で、複数の集合に重なるということが多いかと思います。
図でちょっとですね、女性福祉の枠からはみ出している部分がありますけれど、これは男性からの相談ということになります。今回の議論の対象からは外れますので深くは触れませんが、最近は増えてきているなあというふうに感じます。件数は年間30件前後と、今のところ少ないんですが、これまでは対象は女性という前提でしたので、十分な体制がないこと、あるいはなりすましを考慮した対応も想定しなくてはならない等全体への影響は大きいものがあります。
同伴児がいる割合ですが、DV事案の対象者だけでも8割こちらに該当してきます。全体でいいますと、3分の2以上になりますので、この図の点線で示している以上のボリュームが、実際はあるということになります。
DVと重なっていない部分はですね、若年妊婦ですとか、親からの暴力を受けている成人のケース等があります。親族から暴力を受けているという相談は、ここ数年、一貫して増えてきておりますので、例えばですね、住基の支援措置を求める方への対応についても、現場で苦慮しつつ対応しているというような状況です。
他法他施策との関係についてですね。松本構成員のほうから、必要があれば支援しようとする窓口と対象者を狭く窓口に分化するという話がありましたが、現場の感覚としてはまさにそのとおりだなというふうに感じます。また、前回の検討会では、木村構成員が仰ったように、総合支援法ですとか、生活困窮者自立支援法などの考え方を取り入れた法整備を望みたいと思います。
次に、私共で行っている、女性福祉における主な事業です。こちらに、11の事業を書いてありますが、上から3つ目の、これは市営住宅を活用している中期滞在支援事業になりますが、それ以外はですね、全て民間団体との連携の上で成り立っております。上から4つ目の、法律問題事業。こちらは愛知県弁護士会ということになります。こちらに委託しておるんですが、相談員が、電話や事務所に出向くなどして、弁護士から直接助言を受けるというようなことをやっております。相談員が利用しやすい仕組みとしておりまして、対応する弁護士の先生からも、早めに法的な相談につながることで、適切な対応が可能になると評価をいただいておるところです。
下2つはですね、今年度から実施しております。親子カウンセリング事業。こちらDVの被害から心理的な回復を目指すというもので、今ちょっと試行錯誤しながら進めているような状況です。こちらにある多くの事業はですね、DV防止法に基づく事業となっております。対象者も、DV被害者が対象ということになります。このあたりもちょっと、法的な位置づけが絡むような部分もあって、できております。
次にですね、現場の体制のイメージ図ということで、ちょっと見にくい部分もありますが、示させていただきました。女性福祉相談員、赤丸で囲んでおります。こちらの主査のラインにおります。同じ島にはですね、児童福祉司ですとか、児童虐待対応支援員、こちらは非常勤の嘱託職員になりますが、日常的に情報交換ができる環境となっております。児童福祉司は、児童相談所と兼務の正職員で、児童虐待の通告等への対応を行っているということで、児童虐待ラインがこの点線で、青の点線で囲んだ部分ということになります。
児童虐待については、要対協をはじめとする、国の通知に基づく構造的重層的な仕組みが整っている一方で、女性福祉に関しては、非常勤の相談員のみが担当しているということで、双方の支援方針が合致しないことも、ままあります。そういった場合にですね、どうしても体制がしっかりしている児童虐待の方針が優位となることがやはり多いようです。児童虐待は、子どもの命を守るために強制介入することもある一方で、女性福祉は本人の意思尊重が支援のベースとなっているものですから、周りからは支援の姿勢ですとか、方針がわかりづらいと。例えば、児童虐待の担当者からすれば、「なぜ本人の言いなりなのかですとか、施設退所させるべきでないのになんで引き止めなかったのか」というような発言につながっていくということがあります。
先ほど松本構成員によるプレゼンの中で、児童相談の要対協と対比したお話がありましたが、同じようなしっかりとした仕組みづくりは私も必要だというふうに同感します。
また、前河構成員のプレゼンのほうでですね、相談員が孤立せずという部分がありましたが、どうしても女性福祉の観点からの支援方針が理解されにくいということで、孤立感を感じやすいという部分があります。こういったことも重要な視点だというふうに考えます。
本市ではですね、下のほうに保護係というふうにありますが、DVと生活保護、こちらも結構重なるケースがあります。なかなか相談員がアウトリーチしにくい中でですね、生活保護のケースワーカーが代わりに出て行ってというようなところで、非常に有用な情報チャンネルとなりますけれど、一方でちょっと、加害者との遭遇リスクという部分の難しさというのも抱えているような状態です。
次にですね、相談員が行っている、具体的な情報提供についてちょっと1枚用意しました。これは実際にですね、どのような支援につないでいるかということで、この1月からちょっと数字を取り始めたもので、具体的な支援、この裏にですね、32項目あるんですが、これをちょっとざーっとプロットして、緊急性と生活という軸でちょっとプロットしてみたところ、大体ちょっとこういったですね、支援の分類になるのかなと。これは私の判断での分類になりますが、こういった形になっております。これ全部合わせると2,231件となりますが、65%が右下の安全対策に集中しておりまして、残りこのような数字という形になっています。下半分はですね、やはり欠かせない支援ということになりますので、やっぱり件数は多いのは当然なんですが、将来にわたっての生活を改善していくためには、左上の領域に力を入れていく必要があるのではないかなと、いうふうに思います。現場の相談員からは、加害者から離れようとすると、いわば急性期の支援を行っている時期には、相談者と接触する機会が多いんですが、自立に向けた生活を始めるステージになりますと、担当地区から離れていってしまったりとかですね、また、ご本人も仕事を始めるなど、時間的な余裕がなくなっていくということで、接触する機会自体が減ってこういった支援につなげていくことがちょっと難しいというようなことを聞いております。
子どもの貧困ではですね、子どもが生まれ育った環境によって将来が左右されないよう連鎖を断つという視点が掲げられておりますけれど、女性福祉においてもDVによる影響を克服し、連鎖を断つための回復的支援の領域に力を入れていく必要があるというふうに感じます。特に心理的ケアに関しては、子どもが大きくなっちゃうとですね、そんなものに行きたくないという意思表示が強くなったりして、どうしてもつながりにくくなってしまう部分がありますので、そういった支援を受けることは必要だという意識を広げていく工夫も必要なのではないかなというふうに思います。
ちょっとこの、プロットした項目に入ってません、女性福祉に係る事項としてですね、ちょっと課題と考えている事項が2点あるので、簡単に触れさせていただきます。
1つは面会交流ですね。面会交流は、裁判所が今、原則実施の方針というふうでやっておりますが、子どもの権利を尊重したものであってほしいなというふうに思います。また、実施が適当と判断した結果がどうであったのかということを事後検証したり、アフターフォローしたりすることも必要なのではないかなというふうに思います。
2つ目は、養育費ですね。養育費は単に生活の支えになるだけでなく、子どもの将来の選択肢や自尊感情にも影響するものですから、養育費の取り決めや確実な履行を確保する仕組みづくりに国として関わっていただく必要があるのではないかというふうに考えます。
ちょっと横道に逸れましたが、次ですね。最後ちょっと喋りばっかり多くなって申し訳ありません。まとめのスライドになります。
1点目は、DV防止法の対象者と、それ以外の対象者の相談対応ということで、対象者の個別性に応じた支援ができる環境づくりと書いておりますが、報告書でも触れられておりますように、この両者のセキュリティレベルや必要な支援というのは異なっております。児童虐待では、法改正によって児童相談所から市町村への送致が始まりまして、リスクアセスメントに基づいた連携が行われるようになっております。女性福祉においても同様に、DV等で加害者からの避難が必要なケースと、それ以外の自立支援につなげていくケースに分ける方策が必要ではないかと思います。
先ほどの和田構成員のほうからですね、婦人相談所の機能として、加害者から守る等危機管理体制が必要な女性の保護を役割分担としてはどうかという提案がありました。加害者から避難してリスクが低くなった後はどうするのかとか、いろいろちょっと考えていくことは多くありますけれど、是非実現に向けた検討をしていきたいなと思います。
また、DVの被害者が生活の全てを捨てて逃げなければならない一方で、加害者は何も失わない現状には非常に不条理を感じます。この検討会の範疇を超えるかもしれませんが、加害者の行為を抑制するために罰則規定を設けるとか、DV罪を設けないまでも、家庭内のことであっても罰則を適用していくとか、そういった踏み込んでいく必要があるのではないかというふうにも考えます。同時に、配偶者間、親族間であっても、暴力は許されないものだという、より一層の意識、社会規範の醸成を行っていくことも必要ではないかというふうに感じております。
2点目、一時保護です。本市の状況を、ちょっと受け入れ状況を示しました。割合としてですね、県が55%、市、独自事業につなげたのが40%、民間シェルターが5%という具合です。
また、この前段階としてですね、県に一時保護をお願いした、調整した結果についても、ちょっと調べてきましたのでご報告をさせていただきます。和田構成員からの一時保護につながらないケースとして報告あった内容とちょっと似たような内容になりますが、ちょっと数字を伝えさせていただきます。
調整したケースは全体で132件ありました。この資料の132件と偶然一致しておりますが、ものとしてはちょっと別物になっております。結果、入所したのは39件。入所に至らなかったのは93件。まあ、3割以下というような形です。入所に至らなかった93件のうち、施設面のハード、ソフトで対応できないと、県側の事由によるというものが13件。残る80件は、本人の事由ということで、その理由はやはり先ほども出ております、外出不可・携帯不可のルール等に耐えられないというのが35件。そこまでのつもりはなかったというような意識の違いが14件。その他、集団生活が無理などそういったものが、残り31件という数字です。こういった数字をみていきますと、最初から市が直接施設に入所依頼できたほうが、迅速かつ柔軟な対応が可能と思われますから、一時保護の必要性の判断と、それに伴う一時保護の責務や権限を明確にして、財源とともに下ろしていただきたいと意見申し上げたいと思います。
このほか、一時保護所については、プライバシーに配慮したユニバーサルな環境を整えていくことも必要です。無論、急に施設を整備する時間も財源もないと思いますので、例えば民間団体等の資源がある地域によっては、民間委託による一時保護先の確保に重点をシフトしてはどうかと思います。民間のほうが、利用者のニーズに柔軟に対応できますので、こうしたニーズに対して民間が行政からの委託の受け皿となるように、さらに取り組みを進めることで行政のスリム化と民間団体の財政的安定の両方を図ることが可能ではないでしょうか。
ただこの前提として、都道府県の判断に委ねられている入所基準を含め、施設面のハード、ソフト面にわたるナショナルスタンダードが必要だということは、報告書にもあるとおりだと思います。
3点目。民間団体との連携です。本市は先ほど紹介したとおり、民間の活動で成り立っている事業が大半ですので、民間団体がおかれている現状には相当な危機感を抱いております。民間団体への財政的支援については、DVに関する基本的方針にも記載されておりまして、着任した当初はかなり踏み込んだことが書いてあるなというふうに感じたんですが、現状を知っていくうちに、もっと踏み込んでいかないと立ち行かなくなってしまうのではないかと思うようになりました。
例えば、シェルターに関して申し上げると、通年受け入れ可能な環境を確保する必要があるものの、民間団体には実質的な稼動部分しか入ってこないとなれば、差分は持ち出しになってしまいます。国として基本的な方針に財政的資源を掲げる以上、本当に有効な国庫の出し方を考えていただきたいというふうに思います。また、自立支援に関しては、民間にも間口を広げて、補助や委託ができるように、正式に事業化していただくなど、民間団体の資源の積極的な活用と財政的支援をセットで考えていくことが必要ではないでしょうか。
先ごろ、民間団体の方と意見交換をした際に、気がかりな話がありまして、それは、以前はですね、多くの人が活動に加わりたいと手が挙がっていたんだけど、今は自分の生活さえ余裕がないのに、他人を支えることはできないというような風潮になってきたというふうに聞きます。担い手が高齢化してきて、後継者の育成が待ったなしの状況ではあるものの、育成される側でも、果たして自分の生活が成り立つのという疑問を抱くような状況では、やはり立ち行かないというふうに思います。財政的な基盤の確保と、人材の確保・育成は両輪で、どちらも欠かせないと思います。
報告書では、心理職の必要性についても言及されております。今回新たに公認心理士師の資格も設けられましたが、将来自分が活躍できるステージが見えてこないと、その分野で従事していくことは難しいというふうに思います。民間団体についても、行政にとって本当に必要な存在であれば、持続可能な協力体制を築き上げていく必要があるのではないでしょうか。
最後に、都道府県と市町村の役割です。改めて申し上げるまでもなく、市町村は市住民に近い部門。都道府県は広域的な行政サービスというのを担っております。自立支援については、市町村のほうが様々な選択肢を持ち合わせていますので、そういったお互いの強みを生かした効率的な役割分担を考えたいと思います。例えば、都道府県の役割としてお願いしたいのは、DVの男性被害者への対応が挙げられます。市町村レベルで体制を整えるのは効率的ではありません。直接女性を対象とした話ではないんですが、必要な対象に注力するために、脇を固めるのは重要なことだと思います。基本的な方針に、男性への対応も書かれておりますが、望ましいという表現ではなかなか事が動きませんので、実効性が担保されるよう望みます。市町村の役割としては、自立支援に馴染むケースを担うということで、これまでも話に出ているとおりだと思います。遠方に避難することが必要ないケースでは、例えば市が直接一時保護などの調整ができれば、わざわざ都道府県に1か所しかないような遠くの施設まで行かなくても済みます。ケースの個別性に応じた支援が提供できると思います。ただ、市町村といっても、規模や地域の状況は様々で、前回の検討会の後、いくつかの市と意見交換をしてまいりましたが、市によっては一律に法的な位置づけを与えられてもリソースがないので困るといったところもありましたので、例えば複数の市町村による連携を単位として考えるなど柔軟な考え方も必要になるかもしれません。
また、DVに限定したケースへの技術的な対応になるかもしれませんが、配偶者暴力相談支援センターの機能を有するところについては、都道府県と同様に扱うといった方法もあるかもしれません。
最後になりますが、女性福祉の分野、こちらにしっかり手当していくということは、ライフサイクルの観点から試算すれば、実は相当の波及効果があるのではないかというふうに思います。国におかれましては、相談員の手当、補助などの国庫補助ここ数年大変ご努力いただいているということでは、心より改めて感謝申し上げたいと思います。私自身、この検討会でより良い方向性を見出せるよう努めてまいりたいと思います。以上です。

しろまる 堀座長
はい、ありがとうございました。プレゼンテーションしてくださった構成員の皆様、ありがとうございます。まだまだ、ご説明、報告したかったところあったかと思いますが、時間の関係上、短くまとめていただきましてありがとうございます。予定時間になろうとしておりますが、30分程度延長させていただきまして、6時半を目処に、この後意見交換のほうをしてまいりたいと思います。 プレゼンテーションの内容などを含めまして、ご意見のある方は、挙手をしていただいて、意見のほうを言っていただければと思います。はい、戒能構成員お願いします。

しろまる 戒能構成員
大変中身の濃いご報告を、6人の方々にシェアいただきまして、本当にありがとうございます。ご指摘あったように、ほぼ問題点は、そこで出揃ったかなっていう感じはいたします。ただですね、それをどういう方向性で整理していくかということが、大きな課題だというふうに感じております。
例えば、市区等の婦人保護事業、あるいは女性支援の責務を明確にするというようなこととか、それから、市や区の婦人相談員の設置義務とかですね。今日はちょっと話が出てこなかったんですが、婦人保護施設は任意設置でいいかというのも、法的な問題だと思います。
それと、一番やっぱり私が大きいなというふうに思ったのが、なぜ売防法を根拠にした婦人保護事業だと限界があるのか。本当にニーズに対応しきれるような女性支援ができないのかというところを明確にしていかないと、その次のステップに進んでいかないかなと思うんですが、そのときに中核になるのは、支援という概念がないということですよね、売防法にはね。そこが女性支援という観点からいけば、一番重要なことだと思います。
それで、ちょっと質問としては、措置ということをどう考えるかっていうこともひとつ大きいと思いますね。それで、一番最初の和田委員のところで、非常に制度設計についてこういう方向で考えられるんじゃないかっていうことで、市区のことがひとつと、それからもうひとつは、これは若年と、それから同伴児のところが一番関係していますけども、児童福祉ですよね。そういうところでいえば、この検討会議に、警察庁も、それから法務省も内閣府も出席していただいてるんですが、実は同じ子ども家庭局の中の、一番関係のある児童福祉の部署等が制度的な婦人と児童っていう表現がありましたけれども、一番関わりのあるところだと思うんですが、そこをどうするかっていうことですよね。
それから、3つ目に、市区に責務がないことによって、地域の在宅福祉ネットワークに入れないっていうようなことでお話しになったんですけども、その市単位のところで、契約法理をお出しになっているわけですよね。それが極めて大きな論点かなと思いますね。だから、そっちをどう考えるかっていうところと、じゃあ将来的には、和田委員の提案っていうのは、措置をもうやめちゃって、契約法理にするのかっていうような、そこは非常に難しい問題になりますから、いかないといけないんですが、そういう軸も、今日だされたかなっていうふうに思っております。
それでそのときに、確かに福祉ネットワークとの連携は非常に重要だと思うんですが、そこでなぜ女性支援なのかということが問題になる。これは婦人保護施設の横田さんのご報告にありましたが、なぜその既存の福祉の中に入れ込んでいけばそれでいいのかっていうことではないのか、それともそうではなくて、やっぱり婦人保護施設のプレゼンでは、女性性というような言葉が出てきましたけれども、そこのところが、大きなもうひとつ論点になるのかなと。なぜその婦人、女性支援になんだっていうようなところですよね。
それから、今までは売防法ですから措置だったわけですよね。措置という言葉を使ってなくても、言わば行政処分というような形で支援サービスが提供されてきた。そこを、もう全く変えていくのか、どうかっていうようなことですよね。それが法改正の問題としても大きくあるのかなと思っております。
そして後は、運用というところで、今回は若年の問題が、非常に緊急性があるし、性暴力、性搾取ですね。非常に重要な問題なので、集中的に議論されると理解しております。重なる部分も多いんですが、報告にも出てきましたが、障害のある方とかですね。それから外国籍の方だとかですね、あとは、非常に実は多いかもしれないんですが、高齢の方とかですね、そういう方々に対する支援の問題も落ちないように議論をしていくべきだなと感じております。話の中には出てきましたけども、やはり、その女性性を考えたときに、若年にフォーカスしたときに、浮かび出てくる問題ですし、それから、若年だけではないわけなんですが、性暴力ですね。性暴力被害の支援について、もうちょっとそれぞれの立場から見解があってもよかったかなと思います。
もう終わりにしますけども、覚悟がないと婦人保護事業、女性支援を利用できないというのはおかしなことだと思います。非常に印象的でした。覚悟をしないと利用できないとか、全部捨てないと、現在を捨てないと利用できないとか、支援してもらえないとかって、そういう現状をどう変えてくのかが問題だと思いました。ありがとうございます。

しろまる 堀座長
大谷構成員、どうぞ。

しろまる 大谷構成員
だいぶ時間が過ぎているので手短に。今日の皆さんのプレゼンを聞かせていただいた感想とこれからどのようにこれをまとめていくのかなという不安もあわせ、意見を申し上げたい。全て異論ないご意見でした。ただし、その方向性が、結局は今の状態が、売防法を根拠にしているがゆえに、いわゆる犯罪者としての面と、要保護として被害者としての面を有している女性を、一緒に扱ってる。ひとつの施設の中に、ふたつの側面を持った人が存在してる。これすごく、矛盾してると思うのですね。その結果、収容施設化してる。そのことが、携帯だとか、外出禁止だとか、施設の中の規範性が高いようにイメージ化されている。私も売春、売防の事件を5条違反でやりますけれども、せっかく執行猶予取ったのに補導処分として補導院に収容なんていうことがありました。。執行猶予取った女性がまた収容されるんです。我々弁護士にとってみたら、執行猶予で、これで社会に出せるかなと思ったら、また収容されるというのは納得できない場面になるのですが、売防ではそれが許されている。、今はもう、さすがに補導処分で補導員収容という人はいなくなりましたが、でも、結局若い女の子は補導されると鑑別所へ行く。ということで、少年保護とはいっても悪いことをした少女というレッテルも貼られ、その行き着く先が、婦人保護施設なんですね。
それと、「あ、こんなにたくさんの人を抱えちゃったんだ」とつくづく思います。この十数年の中で、純粋に被害者としての人も収容されてる。これがすごく今混乱してる。じゃあ、この混乱を解くために、売防の女の子と分けて被害者だけ集めようかということだって、可能です。だけどその方向じゃなくて、そもそも売法からおかしいんだと。本来だったら被害者であるはずの女性たちが、犯罪者のように扱われて収容されてくるのがおかしいのであって、そこをきちんと手をつけましょうと。だから今いる人たちは、全部手放さない。今いる人たちはここにいてもいいんだよと。だけれども、そこに色をつけられると、ちょっといろんな色合いが出てきてしまう。売防の施設、売防絡みの子たちが発する色は、もうあなたたちは犯罪者じゃなくて、犯罪の結果、補導された結果じゃなくて、被害者としてここにいるんだよっていう。そういう十分な色付けが、果たしてこのままでできるのかと。その点に関しては、松本委員、この前からも言ってくださっていると思うんですけれども、やっぱり売防1条、5条、3章、その建て付け自体が問題なんだということまで、本当は問題にしたいのですがそこは手をつけないで、ここの保護施設のあり方だけを問題にしようとしたときに、果たしてそういうように収容施設として外から見られてる色を消せるのかということに関して私は非常に懸念を感じてるのです。だから、結局はそこを、手をつけて、女の子たちは、もっとハードル低く、「来てもいいところだよ」というふうにするためには、「あそこに行ってもお巡りさんに怒られないよね」っていうような感覚にならない限りは絶対に行かない。これはもう仁藤さんが言ってくれたとおり、大丈夫だよっていうふうにするためには、まず少なくとも売防絡みの子をここに入れないっていうんじゃなくて、売防の子たちも含めて全部入れて、そして女性の保護、本当に自立支援法なり、どんな女の子でもどんな困難を抱えた人たちでも、みんな一緒に保護できるっていうか支援できる場所だよっていうふうにするためには、やっぱり売防が邪魔。どう考えたって売防5条がある限りは、今でも逮捕されてるんですから。立ちんぼとかで。それを、そのまんまに大丈夫かなと懸念を持ちました。
でも、今回この委員会の目的は、そこまで手をつけられるような体制になっていないとお聞きしましたので、としたら、少なくてもその方向性を感じながらふたつに分けて、保護施設としてすっきりさせるためには、売防から独立させて売防の子たちを来なくてもいいようにするというのもひとつ手なんだけど、それは絶対しないと。私はしない方向で、絶対やってもらいたいので、そうしながら、尚且つ安心して女の子が来れるような方法っていうのは果たして考えられるかどうかを是非とも私は論点として検討していただきたいと思います。たとえば収容施設になっているところをいろいろランク付けして、携帯持っていい施設と携帯は持って行けない施設と、分ける方法だって可能だろうと思いますけれども、そういうことじゃなくて、やっぱりここの婦人保護施設としてのあり方全体として、ここにいる人たちは別に犯罪とは一切関わりないということの安心感を与えるような建て付け。そこを今後どういうふうにしたら可能なのかっていうことを、是非検討していただきたいと聞きながら思いました。以上です。

しろまる 堀座長
どうぞ橘さん。どうぞ。

しろまる 橘構成員
結局その婦人保護施設に、直に入れれば一番いいんですよね。今日必要な子が、「空いてる?」って言って「空いてます」って言ったら、まあ一応情報共有して面談とかしないといけないとは思いますけど。制度を使わなくてもいいような子もいるから、そういう子は使えたりとかすれば、ねえ。それが一番いいと思う。そこから、もし制度必要になっていけば、つないでいくって、逆方向で。まず受け入れる。それから制度をつけるとか。そういう考え方でいいんじゃないかなって思います。

しろまる 村木構成員
意見ひとつと、それから、和田さんと水野さんに質問をしたいんですけれども、まず意見としては、戒能さんの問題意識、整理に全面的に賛成で、私も非常に重要なポイントを言っていただいて、そこを是非議論をしたいというふうに思っております。
それから、我が同僚ながら、大谷さんの意見にはほぼ賛成なんですけれども、ただ、売防法の基本的なところを見直すというのは、これ10年戦争になりますから、今それをやってる場合か、もっと緊急にやらなきゃならんことがあるんじゃないのというふうには思っております。その上で和田さんと水野さんにちょっと素人でよくわかんなくなったんで教えていただきたいんですけれども、お聞きをしていると婦人相談所の業務っていうのが、当たり前なんですけれども、婦人保護事業と、それからDV対策がもうほとんど一体になってる。言い方変えると、中心部分がDV対策になっていて、DV対策で整理できないものについて婦人保護事業になっているという印象を受けて、それでいいのかということと、それから、もしそうだとしたら、それが省庁は別々だ、予算は別々だ、法律は別々だっていうので、なんか面倒臭くないのか、別に構わんのかということ。それと関連をして、DV対策以外の婦人保護事業のところを進めていくにあたって、論点になっている要保護女子の定義ですよね。あるいは基本的な考え方のところが、何かこう支障があるのか、それとも、まああんなもんほっといて、必要な対策をやってますよということなのか。そのへんについて現場の感覚を教えていただければというふうに思います。

しろまる 堀座長
じゃあまず和田さんのほうから、和田委員のほうからお願いします。

しろまる 和田構成員
はい。上手く説明できるか、ちょっと自信ないんですけど。最初にお伝えしましたように、DV法ができたときに婦人相談所等について、配偶者暴力相談支援センターの役割を見直せるということが書かれていますので、それもあって婦人相談所がみんなDVの配偶者暴力相談支援センターというふうな看板を掲げているというのが現実で、先ほどお伝えしましたように、元々の売春防止法のところから様々な法律ができたところで、特にDV法の被害女性の支援が充実をしているんですね。保護命令のこととか証明書のこととか、また様々な地域での支援というのが充実をしているので、そこのところに向けての支援が一番やりやすいというのか、そういう充実しているがために、かなり明確な支援ができるといったところがあって、DV、まあそういうふうな役割はひとつあるというのと、非常に先ほどもお伝えしたように、そういうふうな看板が掲げてるがために、全国的には婦人相談所といいながらも、配偶者暴力相談支援センターだろうというような、こう世の中的な位置づけというか、そういうのも大きくなってきていて、婦人相談所というよりも本当に全国的にみたら正直いいますと、所長会の中でもほとんどDV対応ですというふうなことも。まあ残念ながらそういう現状ですね、地域によっては。そういうこともあるということが現実と思っています。仰るとおり、今お伝えしたように、DV被害女性とそうではない方との支援の中身が違うんですね。例えば、同じ暴力だとしても親からの暴力を受けてるのか、夫からの暴力を受けてるのかによって支援措置とか、そのようなサービスが違ってくるということで非常にやりにくいと私は思います。すいません、所長会の会長と地方の所長とちょっと立場同じかどうかわからないんですけど、私は非常にやりにくいと思ってます。先ほどお伝えしたように、DV被害女性がやむなく離婚をして、それで、離婚をしてなんとか自立生活をするんだけども、その中でなかなか生活が立ち行かなくなって、そして、仕事をするとなったら風俗で、そして5条違反で、今度は売春防止法の女性として婦人相談所につながると。その売春防止法でつながって5条違反の女性が、今度は何らかの形で結婚をして、そしたら今度は男性からの暴力を受けてDVの被害者となってまた今度は婦人相談所に来る。そうなると、本当に主訴によって、DV、同じ人なんですけど、人生で一貫してみれば同じ人なのに、その時その時の切り口によってサービスが違うと。これも非常に矛盾をしてるなというふうに考えながらの仕事をさせていただいているところです。
もうひとつは、先ほどそんなんで、ちょっと説明、まあ、本当に仰ったとおりに、後はですね。配偶者暴力相談支援センターの立場を取ると、内閣府のほうからの情報が、いろんな施策のこう、管轄が。婦人相談所になると厚労省なんですね。そこの二本立てのところからの情報とか、またちょっと立ち位置の違いとか。そういったところもあって、この二つ看板というところで、非常にやりにくいとは思っているところです。なので、本当に、私は決して、5条違反、皆さん仰ったとおり5条違反した人が犯罪者というよりも、本当にいろんな性的な被害者だと思っていますから、それぞれ女性がいろんな課題を持っていろんな課題解決のために婦人相談所に対応させていただくってことは、どんなことであってもその方が決して悪いということではなくて、その方に必要な支援をその時に行うっていうことだけで対応していくとするならば、本当にお話のあったような違いの中で仕事するっていうのは、非常にやりにくいといったところで、よろしいですかね。

しろまる 堀座長
あ、じゃあどうぞ。

しろまる 水野構成員
すいません、私はですね、まあちょっと今のご質問に上手く答えられるかあれなんですが、私もですね、昨年の4月から着任したところで、実は売防法とか婦人保護事業というのは、後から、まず日々の仕事がほぼDVのほうの8割方って先ほど言いましたけど、ほとんどもうDVの仕事をやっているような状況なもんですから、法の話ですとかそういった話はまさにこの検討会になって改めて勉強し直して認識したというぐらいの感じで、皆様の認識とかなり違うかなというような感じで入ってきているというようなところがあります。ですので、実はその婦人保護施設というのもですね、非常に縁遠くて、これはボトルネックがどこにあるかという話はあるんですけれど、やっぱり県通して間接的にしか関われない。相談員も、入所者にコンタクト取るのも、施設へ直接は連絡が取れない。県通してじゃないと話ができないというような感じがあって、非常に縁遠い。むしろ母子生活支援施設のほうが、市独自事業として何かあれば、4割受けてもらっていますので、本当にそっちのほうが身近なつながりがあるというのが実感です。
ちょっと省庁の話で面倒じゃないかというような話は今ありました。確かに内閣府のほうと厚労省という部分でありまして、端的にいいますと、例えば統計の話とかもですね、統計もファクトベースでいろいろ施策を考えていくには必要なんだと思うんですけど、内閣府さんのほうからの照会、厚労省さんからの照会、ちょっと似たようなあれだけど、若干定義が違う数字が求められるというとこでの、この違いなんだろうなというところの戸惑いというのは、やっぱりあったりはしますけれど、実際日々の中では、そこまで、婦人保護というようなところ、本当に意識をしてみていかないと日々の業務の中では、あんまり感じていないなというのが実感です。

しろまる 堀座長
じゃ、仁藤構成員お願いします。

しろまる 仁藤構成員
村木さんのご意見を伺って、私はですね、やっぱり根拠法がおかしいと。この売春防止法について思っていますので、この検討会の短い任期の中ですぐに変えていくというのは難しいとしても、やっぱり横田さんの先ほどの提案のように、女性自立支援法のような形で、そういう売防法やDV防止法に係らないというか、今現状私たちが出会う女の子をそこに入れるためには、DVって言わなきゃいけなかったり、そういう用語も女子なんですっていうふうに言わなければならないっていう現状がある限りそういうものを使いたくないっていうのも本当に大谷さんのご指摘のとおり思っていますので、是非その売防法の特に5条の部分についても声掛けに関して勧誘した罪というのが、女性にしか適用されない法律になっているというのは本当におかしいなと。現状に合っていないし、むしろ少女たちは、買う側の男性たちに声を掛けられてそういうところにつながっているのに、声を掛ける側は何もお咎めなしというような形で、挿入があったかということが問題にされていて、少女たちは「Twitterで売春募集しただろう」なんていう、買春相手を募ったとかっていうことで逮捕されることもあるということで、そもそもこの法律自体が女性差別的な目線っていうのは、ものすごく感じるものになっていますので、そういうものを根拠になっているということ自体も見直していく必要があると思っています。韓国では買春禁止法ということで、買春のほうを取り締まるという法律も始まったりしていますが、日本でもその売春防止法というのをすぐに改正するっていうのが難しいのだとしたら、女性自立支援法などの中で、そういう女性たち、困っている女性たち、あらゆる女性たちを支えていくっていうようなことを、せっかくこれが国の検討会として始まったので、私も是非そういうこと期待したいなと思っています。運用を変えるだけではやっぱり駄目で、緊急的にやるべきことをやった上で、10年かかってもやっぱりそこを目指してやっていきたいと思っていますし、今始めなければ、またその先、10年かかるのだとしたらですね、もっと遅れてしまいますから、是非この売防法についても、そういう女性差別的な目線っていうところと、支援について書かれてないっていうところを、ちゃんと変えていく必要があるなと。女性としても、支援者としても、10代の頃に私も街をさまよった当事者としても思っているところで要望したいと思います。

しろまる 村木構成員
すみません、ちょっと誤解されているようですけれども、私は売防法の神学論争は今しなくてもいいんじゃないかと言っているわけで、だから解決策は、事務局前にしてあれですけれども、シンプルじゃないかと思うんですよ。売防法は売防法で置いといて、ただ、すごく助けを必要としている女性たち女の子たちがいるのを、売防法の中で救おうとするというのは、もうちょっと限界だなということです。そこはちょっと誤解なきように。

しろまる 堀座長
廣瀬参考人、お願いします。

しろまる 廣瀬参考人
全国母子生活支援施設協議会の廣瀬です。今日は本当にお話を聞かせていただいて、大変に勉強になりました。その中で、戒能先生の、「なぜ女性を支援するか」の問いの答えを、児童福祉として母と子の支援をしていく立場として考えますと、負の連鎖を断ち切りたいということだと思います。子どもの成長を考えると、先を見据えた、予防的な支援が必要だと私は考えています。そこで先ほどいろいろな意見が出ていましたが、まさに入口のところで、なんとかこの若年の支援ができないか、受け皿になれないかと思います。10代後半の女子は、信頼できる大人の中で、もう一度やり直すことができるチャンスがあると思います。そこからまた子どもの希望や、未来が生まれてきますので、そこは是非母子生活支援施設でも支援したいと思っております。
同伴児は、市によって児童福祉の支援対象に位置づけるべきというご発言がありましたが、全くそのとおりだと思っております。次回母子生活支援施設協議会もプレゼンの機会をいただきましたので、そういうところのお話をしたいと思っております。ありがとうございました。

しろまる 堀座長
はい。そろそろ時間も少なくなってまいりましたが、追加でご発言の方いらっしゃいますでしょうか。よろしいでしょうか。まだまだ、おそらくいろんなご意見があるかと思いますので追加でありましたら、どうぞ事務局のほうにお寄せください。
本日、非常に重要な論点のほうもみえてきたところ、今後の方向性もみえてきたところもありますが、この後もさらに引き続いて検討会のほうを進めてまいりたいと思います。
はい、それでは事務局のほうに。はい、お願いします。

しろまる 長田総務課長
本日、大変活発なご議論いただきましてありがとうございました。直接の担当課長でございます家庭福祉課長が、ちょっと所用で退席をさせていただきましたので、私総務課長が、代わりにちょっと2点ほどコメントをさせていただければと思います。
まずひとつ、まさに今売春防止法の規定との関係というのはいろいろ出てまいりました。私共、厚生労働省の所管部分としては、「第4章保護更生」となりますので、前回申し上げたとおり、まさにその支援のあり方をどうしていくかということをご議論いただくというのが本旨であり、そこが我々としての限界領域ではございますが、当然その支援のあり方の構造を考えるに際して、2章なり3章との関係が、議論として出てくるというのは、それ自体は当然のことかというふうには受け止めておりますので、そういった構造的な背景みたいなことを共有した上で、まさに支援のあり方をどう組み立てていくかという流れの中で、今後論点整理を進めて、また、それに対してどういう方向性で臨んでいくのかということについて、またご検討ご議論いただければと思っています。それがひとつでございます。
それから、2点目でございますが、児童福祉部署との関係というご指摘がございました。家庭福祉課が、本件を所管させていただいておりますが、実はその家庭福祉課自体が、児童相談所とか、社会的養育の分野を担当している、即ち同じ課長が両方をみておりますので、児童福祉との関係性というものは、きちんと同じ者が受け止めさせていただいております。実はこの間、平成28年・29年と、かなり大きな児童福祉法改正があって、それを具体的に展開をしていく中で、やはり親子支援をどうしていくのかとかいうことも、児童養護の側からも問題提起がなされておりますので、それを最終的にどういった形でこなしていけるかというのは、当然ながら問題意識を持って考えていきたいというふうに思っております。


しろまる 度会母子家庭等自立支援室長
それでは、次回の日程についてですが、改めて皆様のほうにご連絡をいたします。なお、次回は、民間支援団体の立場から、近藤構成員、失礼しました。次回ですけども、近藤構成員、菅田構成員、高橋構成員、橘構成員、村木構成員から、プレゼンテーションをいただきたいと思います。

しろまる 藤原内閣官房内閣審議官
一言だけよろしいですか。子ども家庭局の審議官で7月の末日付で異動してまいりました藤原でございます。濱谷局長と同じく7月の末日付でこちらのほうに着任いたしましたので、冒頭でご挨拶できればよかったんですけれども、途中から入ってまいりましたので大変失礼いたしました。
本日は、プレゼンということで自治体の立場、それから、婦人相談所、相談員、そして婦人保護施設のお立場から、また民間の事業者の皆さんからは若年の女性の方々に寄り添って、支援をしていただいているという課題の認識も含めてお聞かせいただきました。本当にありがとうございました。
今総務課長から申し上げたように、厚労省主催の検討会ということもあり、検討範囲は支援を中心にしつつ、幅広いご議論をいただければと思っておりますので、また次回も委員からプレゼンをいただけるということですので、しっかり受け止めていきたいというふうに思っております。引き続きどうぞ宜しくお願いいたします。

しろまる 堀座長
それでは、本日の検討会は、以上で閉会いたします。ご出席の皆様、ありがとうございました。

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