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第2回がんとの共生のあり方に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和元年7月31日(水) 16:00〜18:00

場所

厚生労働省 3階 共用第6会議室

議題

(1) 緩和ケアの提供体制について
(2) がん患者・家族に対する意思決定支援について
(3) 患者や家族等が安心して相談できる体制の整備について
(4) その他

議事


しろまる事務局 定刻となりましたので、ただいまより、第2回「がんとの共生のあり方に関する検討会」を開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
事務局を務めます健康局がん・疾病対策課の成田と申します。よろしくお願いいたします。
初めに、本日の構成員の出欠状況でございますが、木澤構成員より御欠席の連絡を受けております。鈴木構成員は、ウェブ上での御出席となっております。接続状況により、画像・音声が乱れる場合がありますので、あらかじめ御承知おきいただきますようお願い申し上げます。
今回より構成員の交代がございましたので、事務局より御紹介させていただきます。
日本緩和医療薬学会 加藤裕久構成員に代わり、塩川満構成員です。
しろまる塩川構成員 よろしくお願いいたします。
しろまる事務局 日本看護協会 川本利恵子構成員に代わり、荒木暁子構成員です。
しろまる荒木構成員 荒木でございます。よろしくお願いいたします。
しろまる事務局 よろしくお願いいたします。
また、本日は、参考人として、国立がん研究センター 藤森麻衣子先生にお越しいただいております。
しろまる藤森参考人 よろしくお願いいたします。
しろまる事務局 また、事務局側で人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。
江浪がん・疾病対策課長です。
しろまるがん・疾病対策課長 よろしくお願いいたします。
しろまる事務局 山崎相談支援専門官です。
しろまる事務局 よろしくお願いいたします。
しろまる事務局 改めまして、課長補佐の成田です。よろしくお願いします。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
ほかの事務局員については、座席表をもってかえさせていただきます。
それでは、資料の確認をさせていただきます。
まず、
議事次第
座席表
資料1 前回の議論の整理
資料2 緩和ケアの提供体制
資料3 遺族調査および地域緩和ケア連携調整員について(加藤構成員提出資料)
資料4 がん患者・家族に対する意思決定支援について(藤森参考人提出資料)
資料5 がん患者の意思決定支援について
資料6 患者や家族等が安心して相談できる体制の整備について
最後に、参考資料として、「がんとの共生のあり方に関する検討会」開催要綱
をおつけしております。
また、構成員のみの資料として、机上資料 がん患者さんへの質問促進リスト(藤森参考人提出資料)を準備しております。
以上、資料の過不足等ございましたら、事務局にお申し出ください。
報道の皆様には、ここでカメラ撮りは終了とさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
この後の進行は、西田座長にお願い申し上げます。
しろまる西田座長 西田です。よろしくお願いします。
前回開かれたのが前年度最後の3月だったと思います。久しぶりになってしまったので、当時の議論が十分に頭の中に私自身も残っていませんし、先生方の中にも十分に残ってない、或いはもしかしたらうろ覚えのこと等あるのではないかなということで、事務局で、前回の論点の整理していただいています。そこから始めていきたいと思いますので、事務局で、前回どういう議論があったかというのをまとめていただければありがたいです。
しろまる事務局 事務局より、資料1の御説明をいたします。
第1回「がんとの共生のあり方に関する検討会」における主な議論の整理となります。
スライド2枚目に、緩和ケアの質の向上に関して、ピアレビューや第三者評価の活用をすべき。実地調査に当たっては、パイロット調査等で調査の負担を評価し等の御意見をいただきました。
緩和ケア外来のあり方については、主治医だけではない連携の必要性や地域の実情に応じた取組の必要性について御意見をいただきました。
スライド3枚目について、相談支援及び情報提供の質の向上に関して、がん専門相談員の育成について、継続的な研修体制の必要性、全てのがん相談支援センターで持つべき機能や対応の範囲について、役割分担等の必要性について御意見をいただきました。
また、地域における相談支援については、ピアサポーターについて、活動の場の整備に至っていないというところや地域統括相談支援センターの役割を明確にする必要があるという御指摘をいただきました。この点については、本日も引き続き御議論いただきたいと考えております。
以上です。
しろまる西田座長 少し思い出していただきましたでしょうか。最初のところで、何らかの形で質の高い緩和ケアを提供するために、外の目、第三者の目を入れていこうということに関して、皆さんに了解いただいたように思います。どういうやり方をしていくかは、もう少し詰めなければいけないと思います。
全体を通して、追加で、いや、こんなことを言った記憶があるのだけれどもというのがあれば、意見をいただければいいのですけれども、何かありますでしょうか。
相談専門員のところは、高山先生、何か追加で言うことはございませんか。現状を、多分、そのときには説明いただいて、問題点を挙げていただいたかと思うのです。
しろまる高山構成員 大きくはいいかと思います。
しろまる西田座長 ほかはよろしいですかね。
では、皆さん方、頭の中はある程度こういう形で整理されたということなので、次に行きたいと思います。本日の議題でございますけれども、「緩和ケアの提供体制について」と、議題の第1項目をやりたいと思います。
では、事務局から資料2を用いて、まず簡単に説明をお願いしてよろしいですかね。
しろまる事務局 資料2をお手元に御準備ください。緩和ケアの提供体制の概要について御説明させていただきます。
スライド2枚目にありますように、緩和ケアについては、がんとの共生の中の1つに盛り込まれて推進していくこととしています。
スライド3枚目、4枚目については、がん対策推進基本計画の中で、緩和ケアについて真ん中の列の「取り組むべき施策」として記載されている事項、及び、右列の「具体的な推進方法」について整理しております。本日の論点に関するところを赤枠でお示ししております。
続きまして、スライド5枚目ですが、こちらは緩和ケアの質の向上に向けた戦略についてお示ししております。上段の国・厚労省、国立がんセンター、医療機関、学術団体等は、これらの調査の結果等から得られた結果を下段にあります「質の向上に向けた取組」につなげていただき、互いの成果を還元しながら、患者・家族の苦痛の軽減につなげていくとことしております。
続きまして、スライド6枚目は、患者体験調査並びにスライド7枚目にも加藤構成員を中心に進めていただいている遺族調査の概要となります。これらの調査によって、がん患者・家族の方の療養生活や医療の実態把握を進めております。
続きまして、スライド8枚目、9枚目には、西田座長を中心にとりまとめていただきました平成30年7月の「がん診療連携拠点病院の指定要件の見直し」について、緩和ケアに関する項目を抜粋したものになります。アドバンス・ケア・プランニングを含めた意思決定支援の提供体制が追加され、高度型においては、緩和ケアセンターの整備が定められております。
スライドの10枚目をごらんください。こちらは緩和ケアの質の向上を目指した評価について、同様の取組を整理したものになります。前回の議論を踏まえて、本年度に実地調査のパイロット調査を行っていき、来年度以降の全国の実施に向けて検討を行える作業を進めております。
スライド11枚目より、緩和ケアの人材育成についてお示しします。
スライド12枚目と13枚目は、緩和ケア研修会の概要について説明をしております。2の「目的」にありますように、基本的な緩和ケアについて正しく理解し、知識や技術等を修得し、緩和ケアが診断のときから適切に提供されることを目的としております。
木澤先生を中心とした日本緩和医療学会に「e-learning」のコンテンツを作成いただき、平成30年度から、医師以外の他職種へ、がん以外の疾患へ、また、がん拠点病院以外へ、各対象を拡大しております。
続きまして、スライド14枚目には、緩和ケアチームの課題について、こちらは第2期計画時に整理された論点をお示ししております。各チームの取組における格差や各チームに所属する職種の格差が指摘されておりました。
スライド15〜17枚目に関しては、緩和ケアチーム実地研修の概要と研修後のアンケートの結果になります。この研修においては、目的として、診療機能の高い緩和ケアチームが、ほかの病院の緩和ケアチームを受け入れて実地研修を行うというところで、緩和ケアの質の向上を行っております。
17枚目にありますように、おおむね、受講した施設からは高評価をいただいており、自院に戻った際の協働や連携の改善に役立ったというフィードバックをいただいております。
続きまして、スライド18枚目には、緩和ケアにおける連携体制についてお示ししております。
スライド19〜20枚目のところには、がん診療連携病院で、がん診療連携拠点病院(高度型)には、緩和ケアセンターの整備が求められており、ジェネラルマネージャーを初め各種人員配置や主な活動内容が定められています。
また、スライド21枚目をごらんください。緩和ケアについては、緩和ケアチームと緩和ケア病棟、さらに、在宅緩和ケアにおける連携を進めております。患者さんが望む場所で緩和ケアが受けられるように、入院施設の整備だけではなく、在宅医療を受けている方に対しても、バックベッドとしての役割を医療機関には求めております。
スライド22枚目には、地域緩和ケア連携調整員についてお示ししております。後ほど、加藤構成員から御発表いただきますが、地域の医療機関等のネットワークを築いていく人材の育成を目的としております。
また、最後3点目になりますが、スライド23枚目より緩和ケアにおける苦痛のスクリーニングについてお示ししております。
スライド24枚目にありますように、患者体験調査、遺族調査(予備調査)の調査結果からも、一般のがん患者さんが、体や気持ちのつらさを抱えており、迅速かつ適切なケアの提供を推進することが求められております。
スライドの25〜26枚目には、苦痛のスクリーニングについて、以前の資料をお示ししております。拠点病院の指定要件の中に、施設全体として苦痛のスクリーニングを行うことが記載されておりますが、対応が必要な患者さんへのフォローアップという点で取組を強化していく必要性がうかがえます。
最後に、本日の論点をお示ししております。
1つ目に、緩和ケア研修会について、基本的な緩和ケアを実践できる人材育成として受講率も上がっているところでございますが、今後の研修会の継続や新たな専門的緩和ケアの必要性についてどう考えるか。
2つ目に、拠点病院等と地域との連携において、緩和ケアセンターや地域緩和ケア連携調整員の活用や、加藤構成員の御発表も踏まえまして、具体的な役割などについてどう考えていくかになります。
3つ目に、苦痛のスクリーニングについては病院全体で取り組むこととなっておりますが、その現状と改善への取組、または、共通のスクリーニングツールなどが必要であるかどうか等について御議論いただきたく、よろしくお願い申し上げます。
以上になります。
しろまる西田座長 ありがとうございました。
最後のところで、きょう議論しなければいけないところをまとめていただいていると思います。
この後、次に行きたいのですけれども、その前に、先ほど話がありました2番目のところですね。患者体験調査とか遺族調査をやられていて、地域緩和ケアの連携調整員の役割について比較的お詳しい加藤先生から、引き続いてお話を伺ってから議論をしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
では、加藤構成員よろしくお願いいたします。資料3ですね。
しろまる加藤構成員 わかりました。資料3を御用意ください。時間も限られているかと思いますので、私からポイントを中心に御説明しまして、不足などがありましたら、ぜひ御質問いただけたらと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
遺族調査および地域緩和ケア連携調整員ということでお話ししていきますが、まず最初に、「がん患者の療養生活の最終段階における実態把握事業」ということで、いわゆる遺族調査の報告からまいりたいと思います。
3枚目のスライドをごらんください。背景でございますが、人生の最終段階に受けた医療の実態は、患者さん本人から伺うことはできませんので、遺族の方を対象に調査を行うというのが、世界的に標準的な方法となっております。これまで国内では、代表性のある対象に調査を実施できていなかったという課題があり、2018年から厚生労働省の委託を受けて、国立がん研究センターでこちらの全国の実態調査を開始しております。
4枚目にありますが、がん患者さんの7割以上の方が病院で亡くなっているにもかかわらず、この方々の療養状況の実態が把握できていなかったというのが課題でした。その実態を把握するためにということで、今回、厚生労働省の委託を受けて調査が行われました。
5枚目にありますように、初めて人口動態調査を活用するということもございましたので、2018年に予備調査という形で行い、それを踏まえて2019年に本格調査を行っております。今回は予備調査の結果を報告してまいります。2018年の予備調査は、6ページにありますように、およそ5,000人を対象に行った調査となっております。
7ページにありますが、5割を超える方々から御返信いただいたという、本当に貴重なデータでございます。
では、8ページにありますが、結果です。死亡前1カ月間の療養生活の状況についてですが、1つ目の棒グラフにあるように、「痛みが少なく過ごせた」という問いに対して、下の囲みにあるように、「全くそう思わない」から「あまりそう思わない」が25%、「どちらともいえない」まで含めると36%という結果であり、がん患者さんのうち、痛みがある状態で過ごしていた患者は3割程度と考えられる結果でした。
また、3つ目の棒グラフになりますが、「穏やかな気持ちで過ごせた」という問いに対しては、「全くそう思わない」から「あまりそう思わない」が21%、「どちらともいえない」まで含めると35%でした。気持ちのつらさを抱えている患者は3割程度という状況でした。
続いて、9枚目へいきまして、死亡場所で受けた医療の質、全般的な満足度でございます。下の囲みに書いてあるように、がん患者さんでは8割程度の方が、苦痛症状に医療者は速やかに対応していた、そのように感じていました。そして、亡くなった場所で受けた医療に対する満足度は高いということが示されてはいるのですが、ただ、満足が得られなかったという方々もいます。こういった方々は自由記述でいろいろと書いてくださっております。たとえば、丁寧な診察がなされなかった、医療者から患者が人として十分に丁寧に扱っていただけなかったなど、いろいろな思いが記述されており、医療を改善する対策はまだまだ必要だということもうかがえるような状況でした。
10枚目にいきまして、家族の介護負担、死別後の抑うつ症状についてです。下の囲みにあるように、がん患者さんの御家族のうち、介護に負担を感じていた割合は4割程度、また、死別後の抑うつ症状については、一般人口よりも高い2割弱の方々でうつの症状を持っていることも明らかになっております。
考察ですが、11枚目にありますように、死亡前1カ月間の療養生活の中で、痛みがある状態で過ごしていた患者は3割程度、気持ちのつらさを抱えている患者も3割程度という結果で、まだまだ多くの患者さんが体の苦痛、気持ちのつらさを抱えているということが明らかになっており、緩和ケアのさらなる対策が必要だと考えています。
死亡場所の医療の質ということで、満足度は全般的に高い傾向ではありますが、満足は得られてなかったという方々もいますので、医療を改善するための検討はこれからも必要だと思っています。
12ページにいきまして、家族の介護負担、死別後の抑うつ症状に関しては、ここにありますように、負担4割、抑うつ症状2割弱ということであり、家族の介護負担やその後の精神的な負担は高いということに対する対応も必要です。
予備調査の結果として、回収率5割を超えるという多くの方がご協力くださった状況がございました。それを踏まえた本格調査を今実施しているというところになります。
引き続き、地域緩和ケア連携調整員のほうも説明をいたしますいいですかね。13ページにいきたいと思います。
14ページをご覧ください。地域包括ケアは着々と進んでいるというところで、これは、2014年のときに、私がやはり検討会に出した資料になります。記載の通り、地域包括ケアシステムは、認知症の高齢者など、慢性疾患を抱える患者さんたちが地域で生活していくのを支えていく、そういったことを中心に考えられたシステムであり、がん患者さんへの対応がどの程度できるのだろうかということは当時から課題でした。現状を見てみると、がん患者さんをしっかりと診れる診療所、訪問看護ステーション、ケアマネージャーさんがいらっしゃるような地域では対応ができるが、そういう方々が十分でないような地域では難しいところがあり、そのような地域ではネットワークを構築していくことで問題をどのようにカバーしていくのかということが現在課題になっていると思っております。
そのような中で、15ページにありますが、そういったネットワークが上手に構築できているところでは、どのようにその体制をつくっていったのか、そのプロセスを検討していったところ、図の左下のほうから始まるのですが、まず顔の見える関係ということで、地域内の関係者が顔を合わせていくところから始まり、そうすると、上のほうに進みますが、臨床活動がやりやすくなる。そして、右のほうに行って、だんだんと地域内のいろいろな問題を共有していくようになり、それを解決するための取組が始まっていきます。
そんなようなプロセスがわかってきましたので、16ページにあるように、一つのモデルとして、第一段階として「顔の見える関係づくり」、2つ目として「体制づくり」、3つ目としては「地域づくり」を作成しました。このようなモデルを意識しながら人材育成に取り組んでいます。
また、拠点病院の指定要件の見直しで先般加えられたように、地域に関する緩和ケアの連携会議を開催することが拠点病院に求められているわけですが、この会議をいきなり開催するのではなく、まずは顔の見える関係づくりを行っていくことが重要だということもよく指摘されております。
このモデルを17ページで見ていただくと、まず現場レベルの会議という形で、実際に患者さんを現場で診ている人たちが、患者さんがよりよい療養環境ですごしていくためにはどうすればいいのかという問題意識と解決方法について意見を抱えている。それをしっかりと問題解決できる場所で議論していくことが重要です。そのためには、例えばですが、拠点病院の院長や郡・市医師会の医師会長、または、医師会の中で緩和ケア、地域の在宅医療の責任者の方々などが参加するような会議を設定します。それを「体制づくり」と我々は呼んでいるのですが、そういった会議の場で現場から出てきた課題をどういうふうに解決していくのがいいのかについて話し合います。もちろん現場の方々も参加してもらいながら考え、そして、解決のためにつくり出されたルールなどの取り決めたことを地域の中でしっかりと普及させていく。このように問題解決していくことを「地域づくり」と呼んでいますが、こういったプロセスが1つモデルとしてあり得ると考えております。
そういった取り組みを進めていく人材について、「地域緩和ケア連携調整員」という名前を厚生労働省の事業でつけられておりますが、私たちは人材育成を進めています。18ページにありますが、地域緩和ケア連携調整員とは、地域内の関係者の連携体制を構築する、がん治療病院と在宅側とのネットワークの構築を促していく方々です。事務局的な役割を担っていく、そういった方を地域緩和ケア連携調整員としております。ただし、もちろんこういった方を病院内で専従で置くのは非常に難しいです。想定としては、拠点病院の地域連携室で、患者さん一人一人の地域連携のケースマネジメントなどを実際にしているような方々が地域緩和ケア連携調整員としての仕事をしていくことを想定しています。そういった方々が、これまでの業務に加えて、さらに地域の関係者をつなぐ、医療関係者や福祉に関する関係者をつないでいくためのネットワークを構築していく、そういった業務をやっていくということです。ネットワークを構築していく仕事も、病院の中で公的な業務として定め、病院の業務としてしっかりと評価し、認めていくということです。そういった体制を作ることで、地域のネットワーク構築がより進むように、人材育成を進めているところです。
19ページになりますが、この研修を平成28年度から行っており、759名の方々、拠点病院などからのチームの数で言うと243チームの方々が研修を修了しております。
その方々は研修を終えた後、さまざまな活動をしているのですが、例えば20ページにあるように、Aという地域ではから今回提示したようなモデルを意識して、地域緩和ケア連携協議会を立ち上げて、課題解決についてさまざまな取組を行っています。22ページにあるような、二次医療圏に拠点病院が複数あるというところでは、自分たちの課題として、まず拠点病院同士がしっかりと連携をとることを定め、拠点病院同士の連携を始めたというところもあります。24ページにあるような、例えば都市部の病院では、自分の病院がある地域の郡・市医師会だけではなく、その周辺にある地域の医師会にまで足を運び、自分たちが所在している区だけではなくて、さまざまな区の情報を集めて、それぞれの区の状況に合わせた連携体制をつくるということを始めています。このように研修参加施設は、自分たちの地域の状況に合わせて、自分たちの課題をさまざまに設定して取り組んでいるということが明らかになっています。
こういったことを踏まえて、26ページ、まとめになります。全国のさまざまな状況を踏まえて、継続した話し合いを地域の中で持っていくこと、そして、地域の状況に応じた解決策を考えていくことが必要だと思っています。
そのためには、3つ目にあるように、臨床現場で活動している方々が感じている課題や意見を、しっかりと責任を持って決めていくことができる立場の方が参加するような会議の場を作り、そこで解決策について話し合っていき、それを地域内に広げていくことが重要です。少し理想的かもしれませんが、そういったことをモデルとして意識した活動が広がっていくといいと思います。そういった活動を促していく人材として、事務局的な役割を担う地域緩和ケア連携調整員、こういった方々が地域の中で活動しやすい環境をつくることができたらいいと考え、事業のほうを担当させていただいているところです。
以上になります。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
これから、1つ目の「緩和ケアの提供体制について」御議論をいただくのですけれども、その前に、1つ座長から質問をさせていただいていいですか。
加藤構成員の遺族調査をされて、これは公的研究費の調査データという形で出していただいていると思うのですけれども、多分、日本で非常に大きくやったのは余りないのでしょうけれども、諸外国は既にやっているとは思います。これらの値が諸外国の報告に比べてどうなのかというのを、ちょっとコメントを入れておいていただけると、この数値がどうなのかがみんながわかりやすいのかなと思います。
しろまる加藤構成員 全く同じ項目で聞いているわけではないので、完全に比較ができるかというと、ちょっと難しいところはあるのですが、およそ同じような項目で聞いているところで見ますと、本当に大雑把な理解でお願いしたいのですが、イギリスなどと比べると、まだまだ症状緩和の取り組みは弱そうだというようなところはわかります。
ただ、先ほど申し上げたように、しっかりと比較できるような形で聞いているわけではないので、今後、そういったところもより意識した調査ができたらと思っています。日本がずば抜けて良い状況にあるというわけでは残念ながらないという状況です。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
では、資料2に事務局から挙げていただいた本日の論点3つありますけれども、最初のところは緩和ケア研修会をこの後どうしていきましょう、どういうふうに提供していくのがいいのかというところからお話をお聞きしたいと思うのですけれども、その中で、資料2の12ページ、座長から言うのもちょっと変なのですけれども、「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会」は、「等」がついていることはちょっと意識しながら見ていただいて、御意見を伺えればありがたいです。
緩和ケアに関して、志真先生、専門家で研修に関して何か御意見をいただければと思います。
しろまる志真構成員 私は研修会の立ち上げに携わって、5年ぐらい緩和ケア研修会の講師なども務めまして、最近は、「e-learning」に変わってきたということで、現場の研修会をやっている人たちの話を聞きますと、以前のような熱気がなくなってきて、何となくルーティン的に受けざるを得ないという人たちがふえてきているので、事例検討とかロールプレイなどに余り熱心でない、あるいは、余り参加できないというような人も見られるようになってきたと聞いています。
最初の5年間ぐらいは加藤先生とも一緒にやりましたけれども、この研修会の持っている意味が多くの人たちに関心も持たれましたし、そこで新しいことを勉強しようという姿勢があったのですけれども、10年もたってくると、そういうのがだんだん薄れてくる。仕方のないことと言えば仕方のないことですが、最近、その中でフォローアップ研修会をやっている都道府県では、その後の講師の養成とか、そういう医師の方たちのスキルアップとかそういうことが継続的になされているという例を聞いております。主に西側のほうの都道府県に多いようですが、残念ながら、フォローアップ研修が、講師クラスの人や1回研修会を受けた人がその後、もう一度それをブラッシュアップするために受けるというような仕組みができていない都道府県もあるので、今後の1つの方向性としては、研修会を引き継ぐ形のフォローアップ研修の仕組みを各都道府県がしっかりつくっていくのは大事ではないかと思います。
しろまる西田座長 御意見ありがとうございました。2つあったと思います。1つは、初期に一生懸命やろうという熱心な先生方から、どっちかというと全員が受けなければいけないので、病院長の命令で受けている人たちも大分ふえてきた。これは医師のレベルの話ですね。
もう一つは、1回やり切りではなくて、フォローアップもすべきではないか。それによってスキルアップあるいは情報アップができるのではないかと。そういうものが、また、熱意につながるのではないかという意見を伺ったと思います。
ほかは、構成員の方どなたか御意見をいただけますか。
高山構成員どうぞ。
しろまる高山構成員 国立がん研究センターの高山です。質問をさせてください。
先ほど加藤構成員から御報告がありました遺族調査のところにも関係するかと思いました。研修の目的は、あくまでも苦痛をなくすために、患者さんにどう届けるかというところだと思うのですが、11ページの予備調査のところで、緩和ケアのさらなる対策が必要である、あるいは、医療を改善するための対策を検討する必要があるということで、一部の抜粋かとは思うのですが、これを具体的に改善し得る対策というか、どこが課題であったのかというような質問項目は、この調査、今、既に終わっているのかもしれませんが、そこでとられているのかどうか、そのあたりを教えていただけますでしょうか。
しろまる加藤構成員 御質問ありがとうございます。
今回の遺族調査は、あくまでも遺族の方が答えているということもあり、例えば、苦痛や痛みがあったと回答したときに、何が原因でその痛みが残っているのかというところまでは遺族の方では評価できません。例えば、今の医療の技術では何があっても解決できない痛みなのか、それとも、適切に専門家が対応すればとれる痛みだったはずなのか、そもそも基本的な緩和ケアすらやられてない状況での痛みだったのか、その痛みの正確な理由まではわからないのです。それを明らかにするためには、別途、さらなる研究が必要になりますが、いずれにしろ、今回わかったことの1つとしては、終末期において3割の方が痛みを抱えているということです。別の調査ですが、患者体験調査でも、ある一定の数の患者さんが苦痛を抱えていることがわかっています。まずはがん患者さんを多く診る医療者の方々を対象に、基本的な緩和ケアを広げるということで、10万人以上の医師が緩和ケアの研修会を終えているというところです。今後必要な取り組みの一つとしては、がん患者さんを多く診ている方を中心に、さらなる何らかの研修が必要なのかもしれません。そうであるならば、研究には専門家に適切につなぐような内容をしっかりと含むとか、より高度な症状コントロールを含むような研修にするとか、目的をはっきりとさせないといけないと思います。なで、残されている痛みが取り切れていないのかまではわかりませんが、いずれにしろ、それを診ている主治医の先生、がん患者さんを診ている方々に対する緩和ケアの何らかの研修などはまだまだ必要なのだろうと思っております。
しろまる西田座長 多分、ここで研修が不十分でそこがカバーできてないことが問題なのか、実際は医療的にも痛みのコントロールが非常に難しいのかは、ちょっと判断が非常に難しいところがあるかなと思います。
話をもう一回元に戻します。教育のところをもう少し詰めていきたいと思います。羽鳥構成員いかがでしょうか。緩和ケア研修会をどうやっていくのがいいのか、医師会を代表して御意見をいただけるとすごくありがたいです。
しろまる羽鳥構成員 日本医師会では、『日医雑誌』という雑誌を毎月出していて、その中で、緩和ケアの特集を2年に1回このテーマを扱っています。
それから、特集号として、その保存版として、カラー版で100ページぐらいの冊子をつくっているということもあります。そういう冊子で勉強をされる方もいます。
それから、もう一つは、僕自身が地元の神奈川県の医師会で、在宅先進医療情報協会の会長をやっているので、在宅医療をされている方で、いわゆる緩和の先生たちが末期のみとりをされているような先生たちを対象に講習会をやっています。県内を9つのブロックに分けて、1年間かけて、そのブロックを一個ずつ回って、いろいろ講習会をやっています。最初の年は認知症で、2年前は骨粗鬆症で、今年はがんの末期のときの麻薬の使い方ということでやっています。
それをやっていて感じるのは、麻薬はくすりの開発スピードが早く最近物すごく進歩してきたのはいいのですけれども、余りにも種類が多くなって使いこなせていないなというような感じです。それから、全てが院内薬局ではないので、薬局の薬剤師さんの力を借りなければいけないのですけれども、薬剤師さんが、患者さんは急変しますから、急変したときにこの薬剤がないと言っても、その薬剤を調達できないというような状況があるので、何か、また、方法を考えていかなければいけないなというのが現場での悩みです。地元で実際の患者さんを診ていらっしゃる先生たちの話を聞いていると、悩みは深いなと思います。
しろまる西田座長 今、羽鳥構成員がおっしゃった1つは、知識のアップデートは多分要るだろうというのが1つと、もう一つは、現場は知識だけの問題ではなくて、実際にドラッグがあるかとかそういった問題もあるよということをおっしゃったのかなと思うので、そういう理解でよろしいですね。
しろまる羽鳥構成員 はい。
しろまる西田座長 では、岸田構成員。
しろまる岸田構成員 検証についてですけれども、「e-learning」の効果といったところで志真構成員がおっしゃったように、現場では、「e-learning」を受けてから結構時間が空いて実地研修に行かれる方もいらっしゃるということなど、現場が混乱しているということを伺っています。
あと、「e-learning」にしたというのは、おそらく、医師たちが2日というのは難しいという様々な諸事情があってだと思うのですけれども、「e-learning」にしたからと言って、今回、効果が出たのかどうかといったところをしっかり把握しないといけないなということは患者として思っています。ただ受けたという形だけで良いとなれば、困るのはその先の患者さんなので。
あと、実地研修をしたときに、例えば外部の人だったり、患者さんだったりとか、講師の人を呼ぶといったことがあったと思うのですけれども、それを、今は院内の人員だけで完結してしまっているというようなことを伺っています。患者さんなりほかの方なり、ちゃんと外部の目がないと、病院の中の人だと、発言に配慮しなければならない環境になってしまっている可能性もあるので、そういった目はしっかり入れてほしいなということを研修のときには思います。
以上です。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
その効果をどう見るか。これはなかなか難しいところはあるのですけれどもね。
前田構成員、何か御意見はございますか。
しろまる前田構成員 高知県では、医師等に対する緩和ケア研修会以外に、地域の在宅医の先生、ケアマネさんを中心にして、緩和医療に向かう場面、あるいは、在宅医療を推進する場合のカンファレンスを実際に体験する研修会を年4回程度行っています。毎回50名以上の方が参加されて、この数年間活発に活動されているのですが、やはり医師の参加がいくら頑張っても伸びないという現状があります。拠点病院の緩和ケア研修会はみんな受けていて、課題があることは伝わっているのですが、来るのは在宅医の先生たちが中心で、自組織も含めて肝心の拠点病院がなかなか出てこない実態が少なくとも高知県にはあります。受けなければいけないから、しなければいけないということにシフトすることに課題があるのかなというのを印象として持っております。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
さっきの志真構成員が言われた、熱意が冷めた人たちがふえていたというところとつながる部分があるかなと思います。一方で、これは緩和ケアをやるのは医師だけではないですよね。もっと多職種が関わらなければいけないなと思っています。多職種の緩和ケアは、一部ではもう既にやっていますけれども、それに対して、荒木構成員とか塩川構成員は、薬剤師あるいは看護師の立場からいかがお考えかと、御意見を伺えればありがたいなと思います。
しろまる塩川構成員 薬剤師は地域の中に今必ず関わっておりますし、この医師の研修会にも結構出るように勧めております。ですが、やはり明確に参加に対してはなっていないものなので、ここを明確化して、薬の立場からだけではなく、総合的にチームとしてどう考えるかということを学ぶ上でも、医師等ではなく、そこの構成員をもう少し明確にした研修会にしていただいたほうがいいかなということと。
あと、特に薬とかはかなりいろいろな薬が最近ふえてきておりますので、そのフォローアップという意味でもきちんと「e-learning」等を通して今はアップデートを常にしていかなければいけないのかなというように感じております。
しろまる西田座長 荒木構成員どうぞ。
しろまる荒木構成員 看護の場合ですと、恐らくこういった患者さんに多く関わる病棟からは、専門性の高い看護師を育成しようという方向で、認定看護師や専門看護師研修への派遣といった資格保持者の育成や採用にもつながっていくと思います。チームで関わっていく上では、病院、つまり、送り出す施設のほうでチームで構成していただいたときに、看護師もメンバーに入れていただいて、具体的に戻ってきてからの活動の支援とかを施設にしていただくと、研修の出やすさ、また、戻ってからの活動しやすさというのが出てくるかなとより高まると感じます。
以上です。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
そのほか、御意見はありますでしょうか。
いろいろな意見をいただきました。本当を言うと、座長としては木澤構成員が緩和医療学会をやられていると思うので、そのへんの意見を聞きたかったのですけれども、今日は欠席されているので、また、後ほど聞かせていただきます。
その中で、今、皆さん方から聞いた範囲では、1つは緩和ケア研修会をやるときのやり方ですよね。「e-learning」をして来なさいと言うだけでは十分ではない。ちゃんと勉強をしてから、本当にフェース・ツー・フェースの研修を受けてくださいというのを、岸田構成員が指摘されましたし、それが一回やり切りではとてもだめでしょうと、もうちょっとスキルアップが要る、情報アップデートも要るというのを志真構成員や羽鳥構成員からもいただきました。
そういうことを入れながら、今後もやっていかなければいけないですし、それから、現在は、医師がマンダトリーですけれども、がんに関わる、あるいは、緩和ケアに関わる多職種もやはり入って行ってチームとしてやるほうがいいのではないかなという意見を伺ったと思います。実際には、緩和ケアを実地に持っていくところには、羽鳥構成員がおっしゃったように、もう一つハードルがあるように思います。いろいろなファシリティの問題とかいっぱいあると思います。
加藤構成員どうぞ。
しろまる加藤構成員 皆さんのお話を伺って思ったのですが、緩和ケア研修会を10万人を超える方々が受講してきたということで、この仕組みというか、このプラットホームはすばらしいものであり、それは本当に関係者の努力によるものだと思っています。これはある意味緩和ケア関係者の財産みたいなものだと思っていますが、次にどう発展させるかというのが重要だと思っています。先ほども少し申し上げましたが、誰を対象に、何を目的にやっていくかということをよく考えるべきです。今あるプラットホームをそのまま使うのであれば、臨床研修を始めるような方々が使っていくということでは問題ないでしょうが、より高度なさらなる症状緩和を目指すということになるのであれば、フォローアップのような形で別のものがいいかもしれません。例えば、これから進んでいくであろうアドバンス・ケア・プランニングなどを考えれば、がんの薬物療法などを主治医としてやっている先生方にターゲットを絞り、対象にあったより専門的な研修のほうがいいかもしれませんし、今、医師会の先生方が進めていらっしゃるような、終末期のことをしっかりと診ていらっしゃる先生方に焦点を当てたものも良いかもしれませんし、チームを対象としたものにするということもあるかもしれません。狙い次第でいくらでも方法が変わりますので、何を優先するかということを本当に考えていかなければいけないと思います。あれもこれもできればとは思いつつも、全てを一遍にはできないので、本当に課題は多くありますが、一番優先すべきところは何かなということは少し時間をかけてでも絞っておいたほうがいいと思いましたので、発言させていただきました。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
ほかはよろしいですかね。
どうぞ。
しろまる志真構成員 これは国の事業として始まったというところが一番大きなメリットで、それで、緩和ケア普及の力が増したというところがあると思うのですね。そういう意味では、今、加藤構成員からプラットホームという言葉が出ましたけれども、例えば、薬剤師とか看護師にしても、このプラットホームを使った形で研修を行うということは可能だと思うのですね。学術団体レベルですけれども、例えば、緩和医療学会でELNEC-Jをやっておりますし、緩和医療薬学会ではPEOPLEをやっていますし、小児科医を対象としたCLICというのもございます。それは学術団体レベルの研修会ではありますけれども、そういったものを活用して国のプラットホームに載せていく。これらの教育プログラムにそれだけの価値があるということであれば、それも一つの方法かなと思います。
しろまる西田座長 ありがとうございました。
社会のリソースとうまく協調しながらやっていくことは非常に重要だと思いますので、志真構成員の御指摘も考えていかなければいけないと思います。もう一回繰り返します。計画的にやっていかないといけない。一回だけ研修して終わりというのは多分ないだろうと言うこと。それは情報やスキルのアップデートも含めてやらなければいけないと。エンドポイントは、先ほど加藤構成員が出された、患者の苦痛の部分が少しでも少なくなって、グラフの右側に寄せられて、いいと思う人がふえるというのが多分エンドポイントだと思うので、お医者さんだけではなくて、多職種も入れるような会議にする。社会のリソースとどう協調してやっていくかというのをもう少し議論をさせていただければありがたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
次のいただいた課題に移りますけれども、先ほど加藤構成員にお話しいただいたところが主になるかと思いますけれども、拠点病院と地域との連携に関して、皆さん方の御意見を少し伺いたいと思います。ここのところは、病院だけで全て完結するわけではない、特に医師会の先生方とも協力しなければいけないと思いますし、それから、在宅でやれるものがあれば、在宅にもっていきたい、地域包括ケアに持っていきたいという思いがあると思いますので、いかがでしょう。志真構成員から御意見がございましたらよろしくお願いします。
しろまる志真構成員 このスライドで言いますと、21〜22枚目のスライドですね。「求められる地域連携の取り組み」と「地域緩和ケア等ネットワーク構築事業」というこの2つの図がございますけれども、私の理解では、「求められる地域連携の取り組み」というこの上のほうの図は、どちらかというと専門的な緩和ケアのネットワークというふうに理解できると思います。ここには書いてないのですが、実はこれ全体を統括するのが拠点病院の緩和ケアセンターの役割ではないかと私は思っておりまして。私の病院の緩和ケアチームも大体3年ぐらいかけて、今、緩和ケアセンターを地域連携の一つの役割を担えるような方向に持ってきております。ですから、これが専門的緩和ケアの緩和ケアセンターを中心とした一つのネットワークと考える必要があるのではないか。
もう一つのネットワーク構築事業ですが、これは地域緩和ケア連携調整員をこの真ん中に置くのは非常に負担が大きいのではないか。これはちょっと気の毒だなと。私どものところにも、加藤先生のところの研修を受けたメンバーがおりますが、その人にこれを全部やらせるのはなかなか大変である。このネットワークは、要するに、地域包括ケアのネットワークですよね。ですから、その中心にというか、地域の緩和ケアの中心になるのは緩和ケアセンターですので、緩和ケアセンターがどういうふうにそこの地域包括ケアのシステムとうまく統合というのか、連携ではなくて統合ですよね。統合していくかというところが重要なのではないかと思います。その中のキーパーソンとして地域緩和ケア連携調整員が働いてくれるといいなと。私のところは、緩和ケアセンターのジェネラルマネージャーがこれを受けておりますが、そういった人がこの緩和ケアセンターの動き方として地域を意識した形でこういう行政ともいろいろなところとネットワークをつくっていくという方向性で行ければいいのではないかと思います。
ただ、現実はなかなか難しくて、私は介護保険のほうの地域医療・介護連携推進事業の委員もやっているのですが、そう簡単にはいかないというのがこの4年ぐらいの実感であります。なぜうまくいかないのかというのは、なかなか一言では言えないのですけれども、どうも、がんの患者さんのところから出てきている地域緩和ケアの動きと認知症の患者さんを対象にした連携事業の動きはなかなかうまく連携がとれない。それは、ぜひ、いろいろな方の御意見をいただきたいと思います。
しろまる西田座長 羽鳥構成員どうぞ。
しろまる羽鳥構成員 地域包括ケアシステムは中学校区で1つですよね。そのレベルでこのメディカルセンターというか、緩和ケアセンターが全てにできるわけではないわけですから、そうすると、地域包括ケアは、認知症の方も、これから起きてくる心不全パンデミックの方もいるし、フレイルの方も、そういう人たちが対象になるので、志真先生たちがおっしゃっているような、いわゆる高度ながん緩和ケアと地域包括ケアシステムで扱う緩和ケアとは分けて考えていったほうが効率がいいのではないのかなと思います。もちろん、指導的な立場でいろいろな地域にいろいろな方を派遣して、月に一遍とかそういうところで地域包括ケアシステムの人たちを指導できるようにしていただければありがたいと思います。
しろまる西田座長 加藤構成員どうぞ。
しろまる加藤構成員 ありがとうございます。
今、まさに私が申し上げたかったことを羽鳥構成員がおっしゃってくださったのですが、例えば、私のほうの説明の資料の24枚目25枚目のC地域の取組が参考になりますが、いろいろな地域からこの研修会に参加している多くの方々の話を聞くと、市区町村の間といえばよいのでしょうか、そこの壁を越えるのは本当に難しいとおっしゃいます。研修に参加するチームの基本的な単位としては、拠点病院の地域連携室の方が中心に、その方々が普段連携をとっている周辺の医療機関、訪問看護ステーションなどの方々とチームをつくって参加しています。しかし、市区町村ごとに本当に地域の取り組み方の内容は様々なので、参加者のみなさんはそこをどう結びつけていくかということに本当に苦慮しています。拠点病院が、地域の方々を病院に呼んで集めるようなやり方をやっているところと、今回のこのC地域のように、むしろ、拠点病院側が地域に出ていくところがあります。地域連携でつながりのある複数のそれぞれの市、区のほうに出向いて行って、その区の状況に合わせた活動をやっていこうというところもあり、地域の状況、病院の考え方によって本当にさまざまなのだと思います。
この考え方は、それぞれの地域、病院のスタンスでいいと思ってはいるのですが、今、地域包括ケアのほうで進めているものに、このがんの連携を無理やり入れるのではなくて、どう調和を持って進めていくのかが本当に画一的では全くないといつも思うところです。したがって、そこをどう工夫するのかということを、地域緩和ケア連携調整員の方が考え、アイデアを出し、それを各郡・市医師会の方々や拠点病院の方々とすりあわせていくことが求められていると思います。そういった意味で、厚生労働省が用意した22ページの絵型は、地域緩和ケア連携調整員は関係者をつないでいくネットワークをつくる事務的な役割として真ん中に書いてあるだけで、患者さんを臨床で診ていくベースで考えたときの中心の役割ではまず絶対ないと思っておりますので、そのように理解してもらえればと思います。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
ほか、御意見はございますか。
どうぞ。
しろまる荒木構成員 私も、がん診療連携拠点病院と地域包括ケアをどうやってつないでいくのかというところは本会の中でも検討したのですが、得策がない中で、圏域の違いは非常に大きいと感じております。しかし、治療を継続しながら地域生活を送る患者さん、利用者さんも介護サービス利用者においても増えており、また、看取りには訪問看護等も関わっている中で、医療介護連携事業のどこかにこういった支援員のような方、調整員のような方が会議などにも顔を出して、いろいろな体制整備に向けた発言や提案をしていくなどで、何らかの具体的な形で医療・介護というつながりの中に緩和ケアを入れていく方策が必要だと考えております。
以上です。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
よろしいですか。
岸田構成員どうぞ。
しろまる岸田構成員 こちらに関しては、顔が見える関係を構築していくというのはすごくいいなということは思います。
ただ、今は、院内では緩和ケアといったところがうまくネットワークをつくれてないところもあるという状況もある中、退院カンファ的なところで、受け入れ側の人たちとしっかり顔を見て会う機会があるのかどうか。患者さんにとってそこに。何を申し上げたいかというと、緩和ケアが受けることができるといったところを、そこはちゃんと安心できるところなんだというところを患者さんも知らないといけないし、もちろん病院側も送り出す側だったら知らないといけない。そんな中で、今、そういったところがしっかりできているのであればいいのですけれども、今、退院カンファも院内だけで行ってしまっているのではないかなという危惧があります。緩和ケアも早期から必要といったところで、終末期とかいろいろなときにそういうところに行く選択肢もあるよといったところを初めから言っておかないといけないと思うので、そういったところもちょっと考えてほしいなと思っています。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
いろいろな意見を伺いました。志真構成員がおっしゃいましたように、事務局が提示していただいた21の図全体を多分ガバナンスという言葉が正しいかどうかわからないのですけれども、本当はとりまとめてくれるのが緩和ケアセンターなのだろうなと私も思います。
なぜならば、がんの患者さんは今の状態がずっと続くわけではない、急変することも当然あるわけです。それを全体としてまとめようと思ったらそこしかないかなと。地域だけでは解決しない問題があるなと思います。
一方で、その中に、羽鳥構成員がおっしゃったように、地域の先生を中心として、かつ、それを助ける形で地域緩和ケア連携調整員がアシストして、非常に細かいところ、フェース・ツー・フェースのところはそこでやるというのが本当のあるべき姿ではないかと思います。実際にできるかどうかというのは図に描いたとおりには必ずしもいかないかもわからないけれども、そういう形で調整できればいいかなというふうに、皆さん方の意見は聞こえたのですけれども、大体そういうイメージでよろしいですかね。
志真構成員、何か追加があれば、どうぞ。
しろまる志真構成員 羽鳥先生が言われた、分けたほうがいいのではないかということですけれども、今、出た地域緩和ケア連携会議と地域包括ケアで、例えば、圏域連携別ケア会議とかやられていますよね。それはもう一応別と考えて、地域包括ケアは地域包括ケアの中で進めていけばいいし、例えば拠点病院を中心にした地域緩和ケア連携会議はそれとは別にやったらどうですかという、そういうような意味合いで受け取ってよろしいのでしょうか。
しろまる羽鳥構成員 いや、そんなことはなくて、一緒にやって全然構わないのですけれども、センターは必ず必要だと思っていますし、いざとなるとそこに頼ることはあるのですけれども、そのセンターを全てのところで、例えばの話、中学校区で全部持つのは難しいでしょうから、それは二次医療圏に1つぐらいのイメージでつくるとしたら、中学校区というのは100個ぐらいあるわけですから、それに対して指導できるような先生たちを派遣していただく。現場の先生たちは、余りにも範囲が広いので、がんのことに全て習熟しているわけではない。ただ、基本的なことは全員ができなければいけないことだと思うので、その基本的なことを実地の中でお教えいただくのがいいのではないかなと思ったということであります。
しろまる西田座長 逆に言えば、地域の先生は、そこにあるいろいろな細かい社会的な問題も全部把握されているので、緩和ケアセンターがわからない部分も多分カバーできると思うので、そういったリソースも一緒に使って、使えるものがあれば一緒にやろうという考えで、使えなければ緩和ケアのところで、センターのほうで行こうという考え方でいいですよね。
しろまる羽鳥構成員 はい。
しろまる西田座長 大体おおむねそういうような形で明確ではないのですけれども、御意見をいただきました。最後の課題の「苦痛のスクリーニング」について、もう少し御議論をいただきたいと思います。
私どもも、苦痛のスクリーニングかどうかは別にして、患者スクリーニングをやらなければいけないなと思っているのですけれども、このスクリーニングに関して御意見はございますでしょうか。まず患者さんの立場から岸田構成員、何かあればどうぞ。
しろまる岸田構成員 苦痛のスクリーニングに関してですけれども、これはすごくもっと進めてほしいということは思っています。
ただ、このスクリーニングが病院単位で偏ってしまっているといったこともあると思いますので、病院でオリジナルものは全然いいのですけれども、普通のスクリーニングのときに、初めてやる病院とかがやりやすいように、フォーマットとかそういったものを学会などでも用意してもらえないかなというのは思っています。しかも、それも1種類だけでなく、何種類か、その病院に合うようなものを用意するべきであって、そうすると、患者さんもそういった地域によって具体的なものができるかなと思っております。
しろまる西田座長 ネットで参加されている鈴木さん、何かありますか。
しろまる鈴木構成員 医療者側の連携はもちろん大事ですけれども、患者側の視点で言うと、医療者側が連携しているかどうかは別として、患者や家族ががん緩和ケアを受けられる権利があり、受けていいのだよということを知っているかどうかというところでも、まだまだすごく課題があると思っていて、病院と地域の連携以外にも、先ほど岸田さんがおっしゃいましたけれども、必要となったときには、本当にいつでもそこにアクセスしていいのだよと。そのアクセスはこんな方法でできるのだよということを事前に周知しておくということがすごく大事で、患者側・家族側がそれを知っていれば、いろいろな痛みとともに緩和ケアにたどり着けないということが減るのではないかなと常々思っています。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
そこはスクリーニングとも関係するのですけれども、次のセッションで少し議論をしたいと思います。
しろまる鈴木構成員 わかりました。
しろまる西田座長 木庭構成員、何か御意見はありますか。
しろまる木庭構成員 ちょっと前の連携のところに戻ってしまうのですけれども、志真先生と同じ茨城県なので、背景の状況を。
しろまる西田座長 簡単にお願いします。
しろまる木庭構成員 茨城県の状況としては、志真先生あるいは羽鳥先生からもあったとおり、地域包括ケアのシステムはネットワークとして県内市町村で基盤は整備されてあるのですけれども、そこになかなか緩和ケアというのが乗ってこない。それには地域ケアを運営されている方々に、緩和ケアには専門的な対応が必要という思いがあり、心理的なハードルが大きいようだというのが、課題として県としても認識しています。何ができるかというのは、いろいろこれから考えなければいけないことがあると思います。
しろまる西田座長 では、もう一回スクリーニングに戻します。スクリーニングに関して、現場の先生の意見も聞きたいのですけれども、志真構成員と前田構成員、いかがですか。
しろまる志真構成員 1つは苦痛のスクリーニングがなぜ始まったのかというところをもう一度確認する必要があると思うのですね。緩和ケア研修会が進んでいって、そして、現場の先生方がある程度緩和ケアを基本的のスキルとか知識を身につけられるようになって、しかし、患者さんの中で苦痛を抱えている方をどういうふうに見つけていくか。そのためには広くスクリーニングをしたほうがいいのではないかという、そういう発想で多分始まったと思うのですね。
ところが、これはこれまでの海外の研究結果でもそうなのですが、スクリーニングというのは現場の医療従事者に非常に負担になる。つまり、労力がかかる。それをうまく例えば専門的な緩和ケアに結びつけたり、あるいは、主治医がそれをきちんと取り上げて、苦痛の緩和をしたりというところに結びつけるのが、また、非常に大変だということもわかってきているわけですね。それから、先ほど岸田構成員が言われた標準的な方法が確立されていないというのが、もう一つの大きな問題だと思います。
ですから、もう一度原点に戻って、もしやるのだったら、いわゆるアンメットニーズ、「みんなが気がつかない、そういう患者さんたちの苦痛のニーズ」をどうやって拾えるのかというところにもう一遍戻って、標準的なスクリーニング・ツールや、スクリーニングの方法を確立することと、それをどういうふうに具体的な対応方法に結びつけていくのかというところをもう一度洗い直さないと、現場サイドは負担が多くて、その割に成果がないというか、具体的にそれによって何か大きく変わったなという実感がないというのが多分実態ではないかと思います。
前回も申し上げたのですが、私の法人の病院では、今、見直しをするようにしております。見直しの時間が半年ぐらいかかっているようですけれども、そこらへんはそれぞれの各施設で問題点として見つかっているのではないかと私は思います。
しろまる前田構成員 実践の話になってしまうのですが、私のソーシャルワーカーの立場で関わるとすると、スクリーニングの中で、例えば家族機能の喪失だったり、就労の機会の喪失であった場合の、社会的な苦痛の質問項目を挙げているのですが、そこに課題がある、不安があると出されたとしても、直接的な支援の介入を希望するかというと、かなりの方が「希望されない」というのにチェックされていて、不安や苦痛があるということをおっしゃっていても、介入してないという実態になっています。結局、患者さんの不安が紙面に少しでも出たわけなので、そこを各医療者が直接対面して拾うという取組が必要だと思いますので、スクリーニングを行った後、それを現場がどう生かすのかということについて課題が残っていると思っています。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
高山構成員どうぞ。
しろまる高山構成員 前田構成員にも関わるかと思うのですが、あと、労力が非常にかかるという課題は、非常に医療現場は忙しくなっている中で、これは通常の何かルーティンの流れの中で対面もして、あと、適切な相談だったり、苦痛の緩和に結びつけられるような、それで、つなげた側の医療スタッフも何か成果が得られるような、これがうまくいっているところもきっとあると思います。そういったところで実が本当にあるような方法を、改めて考え直すのか、あるいはそれを、広めていくということが必要なのかなと、伺っていて思いました。
しろまる西田座長 加藤構成員、どうぞ。
しろまる加藤構成員 今お話があったように、私もたまたま厚労省の委託事業で、拠点病院の緩和ケアの実施状況のピアレビューを支援するということでいろいろな病院へ伺っているのですけれども、必ずと言っていいぐらいスクリーニングの話題が出ます。本当に志真構成員がおっしゃったように、今、タイミングとしては、見直しをするいいタイミングなのだと思います。これが2010年だったでしょうか、拠点病院の指定要件に必須化されてから、いろいろな形で各病院が始めて数年がたち、今、自分たちの病院にとってこのスクリーニングがどういう意義があるのかということをちょうど見直していくのに、いいタイミングだと思います。
本当によく活用している病院もあります。単に患者さんのスクリーニングだけでなく、医療者の教育にも使う、特に看護師さんの病棟での教育に使っているところもあります。スクリーニングを通じて、症状のアセスメントの仕方、そして、介入の仕方、そういったことを学ぶ教育ツールとしてスクリーニングとして使っているという病院もあり、本当にいいシステムにしている病院もあります。しかし、病院によってさまざまな状況があるため、急性期に特化したある病院の場合、スクリーニングがむしろすごく活用していて、患者さんを次々と専門家に紹介していくためのツールとして活用しているところもあれば、スクリーニング結果を主治医だけが見ているようなところでは、なかなかうまく活用できてなかったりします。病院の機能や状況によってこのスクリーニングのあり方も少し違うのだろうなということを感じておりますので、今回、資料で紹介されている、恐らく木下先生の研究班によるスクリーニングの資料は情報が少し古くなってきているところもあるので、ぜひ、全国のスクリーニングの実施状況を改めて調査してもらって、いい事例を集め、各病院はそれを参考に、自分たちの院内のこれまでの取組を踏まえてどうやってより良く活用していくのか、見直す検討を始めてもらえたらいいと思いましたので、発言させていただきました。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
1つは、現場の負担感をそうふやさないスクリーニングで、しかも、次につなげられるものでなければいけない。それが、今決まった使えるものが必ずしもないという状況であると理解をしました。
それと、私の個人的な意見を言わせていただくならば、実は、患者さんの苦痛という表現が正しいかどうかはわかりませんけれども、ニーズはその時々で変わっていくので、1回スクリーニングしたら、じゃ終わりかというと、そうではなくて、半年たったときの要望は全然違うものになっているだろうし、病状が進めば当然違ってくる。だから、スクリーニングをやる、プラスアルファ次の課題である患者さんがいかにして医療者に自分の意思を伝えられるかということも非常に重要になるのではないか。そのへんを確保しながらスクリーニングをやらなければいけない。
多分、これをやりなさいと言うだけでは普通の病院はできないので、できたら、ある程度定型でミニマムリクワイアメントはこれらで、こういうのはスクリーニングに入れてほしいというのを作ったほうがいいですよね、志真先生。
しろまる志真構成員 はい。
しろまる西田座長 だから、共通項目は要ると思います。それがどこかというのはちょっと調査しないといけないかもわかりません。結論をここで出すのは難しいなと思いますけれども、そういったスクリーニングをやると同時に、患者さんが医療者にこういうふうにリクエストを出せる、こういうふうに言っていいのだよというようなリテラシーを上げていくという活動も重要ではないかなと思います。
ということで、今のところは漫然とした形になりましたけれども、(2)の次の課題に進みたいと思います。「がん患者・家族に対する意思決定支援について」ということで、鈴木構成員からも少しコメントをいただきましたけれども、藤森参考人から御説明をお願いします。
しろまる藤森参考人 よろしくお願いいたします。
私からは、「がん患者・家族に対する意思決定支援について」ということで、資料4を出させていただいております。現在、AMEDと厚労科研の研究の課題ということで取り組ませていただいていますものを紹介させていただきたいと思います。
スライド2枚目ですけれども、意思決定支援のためには、患者さんと御家族、医療者のコミュニケーションが必須になります。しかしながら、コミュニケーション、知識だけでは十分ではなくて、実際に振る舞ってみる、表情をつくってみるとか、言葉を発してみる、こういったトレーニングが重要になってきますので、これまで私どもは、厚労科研の研究におきまして、医師に対するCommunication Skills Trainingというプログラムを開発しまして、医師が共感的な行動をこのプログラムに参加することで改善することができる。そして、その医師の診察を受けた患者さんの抑うつが低い、そして、医師に対する信頼感が高いという観点から、こちらの無作為化比較試験で示しまして、世界に先駆けて報告させていただいております。
こちらの結果は、コクランでのシステマティックレビューにおいて引用されましたし、また、アメリカの臨床腫瘍学会におけます診療ガイドラインにおいても引用され、強く推奨されるということになっております。
また、2016年には、日本におきまして、がん治療認定医機構の申請のための学術ポイントとしても認められております。
スライド3に移りますけれども、こちらのコミュニケーション技術研修はこういったエビデンスが示されましたので、普及するという意味で、2007年より厚労省の委託事業ということで、全国開催を行っております。
また、追加ですけれども、台湾、韓国においても実践されているものです。
こちらのプログラムは、2日間医師がロールプレイを中心にコミュニケーションを 学習するというプログラムになりますので、お忙しい先生方はなかなか参加するのが難しい状況ではありますが、12年継続しておりまして、1,360名の方に御参加いただいております。
スライド3の図の中のピンクで網かけしたところがCommunication Skills Training(CST)プログラムの参加者ですけれども、その下には、先ほどまで話題に上がりました緩和ケア研修会でも3時間ほどのコミュニケーションの講義を中心としたプログラムが行われておりまして、こちらの参加者は10万人ということを考えますと、まだまだ非常に参加者は少ないといったところが課題として挙げられております。こちらのプログラムは、外部評価としまして、さまざまな患者会の代表の方に見学していただきまして、非常に高い評価を得ておりますけれども、参加していただきたい先生に参加していただくことが課題として挙げられております。
また、この普及という観点で、事業になりましたものに関して、実際に共感的な評価が上がるかどうかということも評価しまして、結果報告をさせていただいております。
スライド4枚目に移ります。今までは医師のコミュニケーションに対する取組について説明させていただきましたが、コミュニケーションというのは患者さんと医療者の相互作用となりますので、患者さん方にお話を伺いますと、患者さんとしても自分で何かできることはないかというお声を聞きますので、海外を見渡してみますと、質問促進リストといいまして、ほかの患者さんからよく質問をあらかじめリストアップしておくことで、それを患者さんが先生方との診察の前に目を通しておくことで、自分で知りたい情報を整理したりとか、先生方に伝えたい、自分で大事にしたいこととか、価値観、思考、考え方、そういったものを整理するということに使っていただくものになっております。
こちらも、事前に厚労科研の研究ということで、無作為化比較試験を行いまして、こちらのパンフレットを事前に渡して見ていただくことで、質問をしやすくなったとか、今後も利用したいといった患者さんからのお声を伺っております。
しかしながら、日本では海外と比べまして、海外では質問を10個ぐらい患者さんはされるということが報告されているのですが、日本では0〜1個ということで非常に質問が少ないということで、もう少しインテンシブな介入が必要であろうというのが、こちらの研究でも課題として挙がっておりました。
スライド5枚目に移らせていただきます。今回、特に標準的な抗がん治療の中止の後の療養に関して注目しているのですけれども、こちらのタイミングに注目した背景としましては、医師は特にこういった状況での話し合いの時期を、患者さんの心身の準備状況に合わせて行いたいと考えているのですけれども、多くの患者さんや御家族は病状の理解が難しく、話し合いの時期がおくれがちとなっております。こちらは欧米の調査の結果でも報告されております。
一方で、患者さん・御家族は大きなストレスを抱えておりまして、特に膵がんの患者さんのように、進行の早い疾患においては非常に受け入れの状況が難しいというような状況がありまして。特に医師からの強力な共感的な行動を求めているということが言われております。こちらも厚労科研の調査で行ったものの結果になっております。
また、同時に行いました調査の結果ですと、抗がん剤の治療中止を医師が伝えたと思っていても、患者さんがまだ伝えられていないと思っている患者さんが一部一定の割合で、3〜4割という割合でいらっしゃるということも示されておりまして、この時期の話し合いはなかなか難しいと考えられます。
こういった問題点が挙げられましたので、AMEDの研究としまして、医師に対しては2日のグループワークが非常に難しいということがありますので、グループでの要素を個別で行う時間に合わせて3時間程度のものを、そして、膵がんの患者さん・御家族を対象にしまして、質問促進リストを用いて、このパンフレットを渡すだけではなくて、一緒に医療者が考えを整理してあげるというようなコーチングを組み合わせる無作為化比較試験を現在行っております。
アウトカムとしましては、図に示しましたオレンジ色の真ん中、患者中心のコミュニケーション行動が実際にふえるかどうかということを主要評価としまして、中間アウトカムとしまして、患者さんがしっかりお話を理解できているかとか、治療同盟が構築できているか、生存とかQOLといった最終的な健康アウトカムを評価するということを現在取り組んでおります。
スライド7ですけれども、これは介入の内容を簡単に図示しております。行動変容技法を用いた介入になっております。患者さんに対しましては、机に置かせていただきましたこちらの冊子を用いまして、実際にこの中を見ていただいて、自分で知りたい情報とか、先生方に伝えたい内容を選んでいただくというようなことをしております。
こちらは、申しわけございませんが、まだ研究で使用しておりますものですから、後ほど回収させていただければと思います。
そして、医師に対しては、同様にCSTのテキストに基づいた標準化されたものを提供します。これを行うことによって、次の診察時に、実際に患者さんは聞きたいこと、伝えたいことをしっかり医師に伝えられているということを録音したデータを第三者が評定するという形で評価するというような研究を実際現在行っているところです。
研究2、厚労科研で取り組んでおります研究について御紹介させていただきたいと思います。こちらは進行期のがん患者さん・御家族に対して、このパンフレットを用いて医療者と一緒にコーチングを行うものですが、医療者、患者さん共に非常にお忙しいという状況の中で、病院にいる時間が限られているということになりますので、時間を調整することがなかなか困難になっております。
そこで、このリストのアプリケーションを開発しまして、これを実際に患者さん方に行っていただくという取組を行っております。この場合は、患者さんが自分で取り組んでいただくタイミングがおくれがちということを先ほど申し上げましたので、症状評価と組み合わせまして、症状が悪化したときとか、治療のレジメンが変わったタイミングで、このパンフレットが出るというようなことでアプリケーションの開発を進めているところでございます。
こちらは次のスライド9ですね。意思決定支援の課題について簡単に御説明させていただきます。これまで扱われてきました意思決定の課題を緑色の枠でくくらせていただいております。これらをこれまで扱ってきたのですけれども、さらに、さまざま課題がふえておりまして、例えば遺伝子パネル検査の結果、治療が見つかる方は非常に少ないと伺っておりますので、今、現状、特に支援するすべがないという状況の中、緩和ケアチームの方々が対応されているという現状がございますので、こういったところへの取り組みですとか、小児がん、AYA世代、高齢者といった世代別、がん以外の患者さん、身体的な障害や精神疾患を有する患者さんとの話し合い、自殺への対応、また、HTLV検査の結果などへの対応が求められているかと思います。
最後のまとめですけれども、「現状と課題」ということで、がん診療拠点病院において、標準的がん治療後の意思決定、療養の選択について、医療者も患者も困っているということが現状としては挙がっておりますが、しかしながら、しっかりとエビデンスのある有効な意思決定支援策がないということで、今後の方向性としましては、症状を自覚したときや治療レジメンが変更した際に、近い将来の療養選択を話し合うような、こういったパンフレットを用いたコーチングの開発・検証が必要であるというふうに考えております。
また、有効であるというエビデンスを示されましたら、全国のがん診療連携拠点病院に実装し、その評価を行っていきたいと考えております。
以上になります。
しろまる西田座長 ありがとうございました。
2つのコミュニケーションツールの開発は、医師側に向けたものと患者側に向けたものがあるかなと思います。主には、今回、患者側のほうに意思決定支援のツールとして使えるかどうかという議論をしたいと思いますけれども、事務局から、ここのセッションの課題について簡単に解説をお願いできればと思います。
しろまる事務局 事務局のほうからも、資料5をごらんください。
スライド2〜3枚目には、がん対策推進基本計画における取り組むべき施策として、今回のテーマが赤枠内に示されております。
最後のスライド4枚目に、本日の論点をお示ししました。がん患者の意思決定支援における場面は、年齢や立場、病状や治療内容などさまざまでございます。本日、藤森参考人より御発表いただいた内容も踏まえましては、まずは、日常診療における良好なコミュニケーションを図るために、質問促進リスト等のコミュニケーションツールの開発と、その普及の必要性について御議論いただきたく、よろしくお願いいたします。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
では、意思決定支援でどういうことができるかという議論をしたいのですけれども、お医者さんのほうは、2日間の研修会をやればコミュニケーションスキルが大分上がるという論文が既に出ているのですけれども、これは、受ける側からしたら結構大変は大変なのです。
しろまる藤森参考人 そうですね。
しろまる西田座長 ですから、できたらアクティブに患者さんのほうから声をかけていただけると、医師も非常にやりやすいのではないかなというふうに私自身は思っています。
では、これに関して御意見を伺いたいと思います。意思決定支援、これはなかなか難しい、状況も違うし、個性も違うから、いろいろな状況が考えられると思うのですけれども、まず患者さんの立場から岸田構成員どうぞ。
しろまる岸田構成員 ありがとうございます。
CSTについてもちょっと発言させていただいてもいいでしょうか。
しろまる西田座長 どうぞ。
しろまる岸田構成員 このCSTについて非常に効果が出たといったところは、患者としてもすごくうれしく思っています。こちらに関してこれだけ効果が出ているものであれば、この対象者は上級的な人たちを対象にされているという認識でよろしかったでしょうか。
しろまる藤森参考人 ありがとうございます。
こちらは、研究での対象は、がん専門病院におけるスタッフの先生、医師ということになっております。研修に関しましては、がん医療に3年以上携わる医師ということで、研修を行っております。
しろまる岸田構成員 ありがとうございます。
その中で、我々としては、CSTを限られたところではなくて、大変かもしれませんけれども、もっと広くやっていただきたいというのが本音です。なぜ、これをPEACEに例えば組み入れないのかだったりとかはちょっと疑問にはなるので、これだけ効果が出るのであれば、患者としてはすごくやってほしいわけなので、そういったところをもうちょっと汎用化できるようなものといったところも今後考えてほしいなと、そういったところもあります。しろまる西田座長 ほかに御意見はございませんか。
志真構成員、御意見はございますか。
しろまる志真構成員 今の岸田構成員の御意見もごもっともなのですけれども、当初、緩和ケア研修会が出発するときにその議論をいたしまして、本当に、時間的には半日程度の中で、CSTでやっていることを全部詰め込むのはなかなか難しいだろうという結論が出て、むしろ、医師に一度患者になってもらって、その体験したほうが、少しは患者さんの気持ちもわかるのではないかということで、PEACEの研修会は、医師のコミュニケーションスキルを高めるというよりは、ロールプレイを通じて患者体験をするということが非常に重要だということでつくられているのですね。それをさらにブラッシュアップするCSTということなのですが、方法論的に、非常に時間のかかるやり方になってしまうので、多分、受講人数がそんなには一気にふやせないという事情があるかと思うのですね。
ですから、そこは今後も工夫をしていくということだと思うのですけれども、御指摘のことは非常によくわかります。
しろまる西田座長 ほかに御意見はございますか。
高山構成員どうぞ。
しろまる高山構成員 ありがとうございます。
先ほどの議論にもありましたが、意思決定場面は、必ずしも先生と面しているだけではなくて、いろいろな場面で決めるということが医療の現場ではあるのかと思います。そうしますと、もちろん医師にきちんと伝えられるかというのは一番大事なところかとは思うのですけれども、いろいろな出会う医療スタッフがそれにいかに気がついていけるか。あと、相談の内容も必ずしも治療だけではなくて、治療にまつわるお金のこと、療養のこと、家族のことというようなことがあると思いますので、そういったことに気づける医療スタッフを、病院の中だけに限らないかもしれませんが、そういうスタッフを育てていくことが大事なのかなと思います。
そうしますと、これがQuestion Promptが医師だけにではなくて、いろいろなスタッフ、誰でも聞いてもいいのだよというようなメッセージが届けられるといいなと思って聞いておりました。
しろまる西田座長 前田構成員は、多分、相談員としてそういう矢面にも一部立たされることがあると思うのですけれども、いかがでしょうか。
しろまる前田構成員 この資料のパイロットモデルのものは、実はうちでも非常に活用させていただいておりまして、外来に置いて患者さんが先に見られるような体制をとったり、あと、がん相談にいらっしゃる人は、医師との重要な局面の面談に、医療者が同席できなかった場合に、よくわからなかったり、聞けなかったということで、相談に来られることがありますので、そういうときには、もう一度これを用いて、御自身の力で相談に行けるのか、聞き直すことができるのか、無理であれば、同席をというようなことを提示しています。
がん相談員としては、その患者さんの置かれた背景、そもそもがん以外のいろいろな疾患でコミュニケーションが困難な方もいらっしゃいますので、最終的には同席の支援も視野に入れなければいけないと思うのですが、そこは、診察場面に他職種が入ることをよしとすることに関しては抵抗のある先生方もいらっしゃいますので、今回の拠点病院の要件の中にも、重要な情報説明の場面には心理的なサポートができる職種の同席等を求めることがあったと思うのですが、そのへんをもう少し強制力があるといいますか、しなければいけない業務としてもっと評価されるといいのかなというような思いがあります。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
加藤構成員、何かありますか。
しろまる加藤構成員 こちらのツールが完成して、本当にいいものだということで普及していくことになるのであれば、少し議論を聞いていて思いましたが、地域連携クリニカルパスを広めようと思ったときになかなかうまくいかない地域がある理由として、せっかく拠点病院側からクリパスを書いても、受け取り側の診療所の先生がこれが何か知らないという状況ではなかなか利用してもらえず普及しなかったという議論があったことを少し思い出しました。もし、これを拠点病院の中で広げていくということであれば、医師側がこういうものがあることを知り、患者さんがこれを使って医師からいろいろと話を聞きたいと思っているのだということを強く認識していくことが大事だと思います。
こういったものを広めていくときに、患者さん側にもちろん広げていくとともに、拠点病院の医療者を中心に、患者さんに対して、こういったものを院内で配付しているので、こういったものを使って患者さんが質問してきたときには、それに対して真摯に答えていきましょうというような、そういった医療側への周知もあわせてやっていく。両方からよりコミュニケーションが深まるような取組があれば進んでいくと思いました。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
多職種のほうから何かありますでしょうか。塩川構成員。
しろまる塩川構成員 先ほど、いろいろなスタッフが同じ場面にという、まさに薬剤師とかは薬の決定については多々ありますので、先ほど、ツールといったものはやはりあったほうが共通認識できるので、そのツールは必要かなと思って聞いておりました。
しろまる荒木構成員 看護でも、高山構成員がおっしゃっていただいたように、いかに気づいていけるかというところでは、日ごろのその患者さんの様子の中で症状が何かあるか、あるいは、不安があるかというところは見ていると思います。ただ、忙しい中で、なかなかそこまで目の届かない、あるいは、気づいても、適切な対応ができないというところも否めないと思います。今、身に付けるべき看護実践能力の評価指標であるクリニカルラダーの中に、意思決定を支えるを位置づけています。中小規模施設では研修などを実施しにくい学習内容でもありますので、オンデマンド研修等を通して、普及していく必要があるかなと思います。
苦痛のアセスメントと患者・利用者の関心事については、情報が継続していくことがとても大事だと思います。がん病院だけでなく、その後方病院やがん拠点病院から訪問看護ステーション等へ、患者・利用者がこれまでどういうところに関心があったのかということを、継続して情報提供していくことが重要と思います。ありがとうございます。
しろまる西田座長 鈴木構成員、何か意見があればどうぞ。
しろまる鈴木構成員 2点あります。質問促進リストはすごくいいと思うのですが、この中で1つは、例えば62番では、何が原因でこの病気になったのでしょうかとか、患者側は小さいけれども、医療者の答えによっては、逆にすごく不安になってしまったりとかあると思うのですけれども、質問リストにあることが、質問される側の医療者が均一的にいい答えができるかどうかがすごく心配で、質問したのに納得いかないというかということが起きないのかなというのが1つ素朴な疑問としてありました。
また、質問促進リストについては、スライド9の今後の意思決定支援の課題の中に、小児がん患者と話し合うとか、AYA世代がん患者と話し合うとか入っていますけれども、きょういただいた資料で見た中では、例えば、AYA世代とかの場合に、認容性の話とかあって、私もすごく聞きづらかったのですけれども、当時、治療した後、妊娠できる可能性について聞いていいのかとか、性生活についてどうなのかとか、そういう質問も入れていただけたらいいなというふうに思いました。
そして、もう一点目は、意思決定にすごく大事な情報についてですけれども、藤森先生の資料の中にも、標準的がん治療後の意思決定やいろいろな計画について医療者に見放されたと書いてありますが、本当にこれもすごく問題だと思っていて、整理された情報だけではないだけに、インターネットで探してしまって、全くエビデンスのない治療を受けてしまわれている方をこんなにたくさん見てくる中で、今、私、ヨーロッパにいるのですけれども、例えば、昨日まで見ていたイギリスなどでは、NHSでは再発を告知したり、そのたびにちゃんとその人に合った冊子が渡されて、この情報以外は見ないでくださいという情報の検索リストまで渡されるようになっているらしいのですね。そういう医療側のリソースが整理されてないと書いてありますが、本当にその人が使えるリソースがまとまった資料が国としてつくれないのかなというのを、昨日それを見て、すごく思っていたところだったので、それはすごく必要なのではないかなと思います。
長くなって済みません。以上です。
しろまる西田座長 患者さんの希望がよくわかりました。ありがとうございます。
ちょっと情報提供の話が出て、脇道にそれてしまいますけれども、高山構成員何かコメントがあればお願いします。
しろまる高山構成員 まさに、今後の課題のところに、さまざまな遺伝子パネルとか、新たに枝葉と言ったらいけませんが、こういった情報は増えてきます。まずは標準的な治療なりの情報、正常な状態の情報がわかっていて初めて異常がわかったりとか、ほかの治療の選択肢ができるということになると思いますので、どういう順番で情報を知るかというものには、ネットの情報は非常にあちこちに行っているので、理解がよけい難しくなっている状況があるのかなというのを、我々、がん情報サービスを運営する立場でも思っております。
ただ、そのネット情報が第一のツールにはなっているという現状もあるので、先ほど鈴木構成員がおっしゃっていましたように、まずはこの情報を見てくださいというようなメッセージなり情報提供が、信頼できる、かかっている先生、もしくは、先生から紹介された周囲の医療スタッフから渡されてというのがあってというのが1つ、情報提供では大事なのかなと思っております。
ちょっとまとまりませんが、済みません。
しろまる西田座長 それに関しては、高山構成員を中心に、がん情報対策センターのほうでもいろいろなことを考えてくれていますので、少し時間をいただきたいと思います。そういったところで正しい情報を発信していくことは考えていきたいなと思います。
羽鳥構成員、これは先ほど主には病院だと思うのですけれども、病院でない部分も先ほども荒木構成員から少しコメントをいただきましたけれども、医師会の先生の代表、地域の先生の代表として、こういった患者さんの支援ツールは、地元に戻っても、こういうのが本当に可能なのだろうかというあたりも含めて御意見をいただければ幸いです。
しろまる羽鳥構成員 僕たちも患者さんと身近に接するので、できるだけニュートラルで正しい情報を伝えることを努力しています。最近、インターネットの情報でも、ニュートラルな情報を出せるようなところまで、名前を出していいかどうかわかりませんけれども、メディカルノートというところは、がんセンターとか国立循環器病センターとか、きちんとした情報が出せるところをトップページに持ってくるような仕組みをヤフーという会社と提携してやっている。そういうような仕組みもつくっているところもあるので、そういう意味では患者さんにもし何か聞かれたときには、それも一つの選択肢ですよと説明しています。
ただ、先ほど言われたように、情報を国立がんセンターのほうから、ほかのセンター病院のほうから、こことここの情報は見てもいいけれどもということを制限できるなら、それはそうしてほしいし。ただ、難病とか希少疾患などで、何を検索しても出てこない場合があるので、そうすると、キーワードで探してくればいいというので、気をつけていかなければいけないと思います。
もう一つ、患者さんにとっての意思決定支援ということですけれども、これを余り前面に押し出していくと、今回は共生ということでいいのですけれども、一番最初の入り口からもできるだけたくさんの情報を患者さんにさしあげようとすると、どうしても最初の治療から日本で一番いい病院に行きたい、がんセンターに行きたい、がん研有明病院に行きたいとか、そういうことになってしまって、全国から患者さんが集中してしまうこともあると思います。逆に、地方に行って、センター病院と言われる、あるいは、拠点病院と言われているところでも、適切な施設が十分にない、人がいないというようなこともありますので、情報の提供の仕方というか、人的な配置とかいろいろなことを考えると難しい面がたくさんあるだろうなと思います。
しろまる西田座長 ありがとうございました。
ほか、御意見ございませんかね。いろいろな意見をいただきました。
私自身は、実は、これはバイアスが入った意見だということで聞いてください。今、がんと言われて、病院にある患者さんが入ったときに、結構な進行した肺がんだと言われて、じゃ、スクリーニングを受けて、お医者さんとコミュニケーションツールというのでこんなのがありますよと言って、あと、いろいろな資料を渡されたら、全部それが把握できるかというと、多分、ほとんどの患者さんはそれどころではない、とりあえず今は自分のがんはどうしたらいいのというところがあると思うのですね。少し落ち着いてくると、こういうのがぜひ必要だということが解ってくるから出てくるのではないかなと思います。最初にがんと言われて混乱しない人はそれほどいないのではないかなと個人的には思っています。
ですから、どこかのタイミングではスクリーニングや患者さんの課題を聞くことは要る。ただ、病院に訪れたときに必要か。今、羽鳥先生もおっしゃいましたけれども、大きな立派な病院でしか提供できないような医療ではだめで、ある程度どこでも提供できるようなところまで落として、誰もがそれを受容できる範囲でやろうと思えば、多分、スクリーニングしている最中に、あなたがここで使えるリソースはこういうものがありますよという紹介をしておかなければいけないと思います。これは静岡のがんセンターはしっかり結構やられていますね。そういうのをわかっていただいて、そのリソースの中にこれがあり、ほかのもありというのがあるべきなのではないかな。一度にたくさん情報を与えられると、多分、とても受け入れられないような気がします。
こういった患者さんの質問を促進するようなツールは、多分、日本人には特に要るような気がするのです。本当にこれがポジティブな結果を生むかどうかは研究結果を見ないとわからないと思います、まだ研究段階なので。このパンフレットが本当にいいかどうかわからないのですけれども、でも、何かそういった支援をするものは要るだろうな、日本人は特にと、個人的には思っています。
どうぞ。
しろまる岸田構成員 本当に西田座長がおっしゃるように、最初は、患者さんはすごくパニックに陥ることも多々あると思います。そのために、西田座長がおっしゃったスクリーニングを何度もするというふうなところだったりとかというのが患者さんにとっては有益だと思っているのです。そこで、1点確認させてください。
ここに関してはアドバンス・ケア・プランニング(人生会議)については、ここでは取り上げない状況でしょうか。
しろまる西田座長 きょうの会議は一応そこまでは行かない予定です。とりあえずここでは、先ほど申し上げた意思決定支援をどうする、先のスクリーニング等をするのかという話にしたほうがいいかなと思います。全体像は、また、別途のところで少し考えたほうが整理しやすいと思います。
しろまる岸田構成員 ありがとうございます。
私も、今回、緩和ケアについてすごく大事なところだと思うので、ACP(人生会議)についても別途、議論をしていただきたいなと思ったので、そういったお言葉を聞くことが出来、幸いです。
しろまる西田座長 ほかに追加で御意見はございませんか。よろしいですか。
そうしますと、この研究結果がどうなるのかというのに多少は影響されるかとはと思うのですけれども、患者さんに医療者と、その医療者もリソースはいろいろありますよね。医者もあり、MSWもあり、看護師さんもあり、薬剤師もあり、そういう人たちにどこにリソースがあって、どこの誰にどういう尋ね方をすればいいかというような意思決定支援をするようなツールはどこかで提供できるようにはしたい。そのタイミングに関しては、今後ちょっと要検討かなと。本当にこれがいいかどうかは、藤森先生の研究結果を見て、また、考えるとして、そういうところが落としどころではないかなと思います。ちょっと厚労省が困るような漠然としたまとめ方をして申しわけないのですけれども、多分、ここのところはこれぐらいしかまとまらないなと、聞きながら思っていました。
ほか、追加で御意見はございますか。
どうぞ、前田構成員。
しろまる前田構成員 皆さんの御意見を伺っていまして、患者の背中を少し押してあげる場面が必要だと思いますので、がんに関しては各拠点にがん相談支援センターが設けられていて、かつ、がん相談支援センターがあることを最初にかかった医師がきちんと伝えることが求められると思いますが、そこは実際どこまでできているのかということも、自分の周囲を見ても、100%全ての医師ががん相談センターの存在をアピールできているかというと、そうではないと思うので、自分たちの発信もしているし、病院、患者のほうにそれを求められるようなことも発信したいと思いました。
以上です。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
しろまる岸田構成員 済みません、何度も。
最後、今、緩和ケアについていろいろ調査といったところも多々行われていて、患者としては、今苦しんでいる人たちもいっぱいいると思うので、そのアクションの具体的な部分といったところを、この検討会なりで出していくといった必要性を感じています。なので、今後、そういったところについて議論をできれば幸いです。
しろまる西田座長 よろしいでしょうか。
今後、この会はまだ続きますので、また、そこでそういったことも取り上げていただくようにしましょう。
先ほどのセクションをまとめると、スクリーニングはある程度入れることが望ましいのではないか。ただ、負担にならない。しかも、なおかつ、これがいいという決まったものがないので、それは今後つくっていかなければいけない。なおかつ、そのスクリーニングをしたときに、その病院ないし患者さんが使えるリソースの情報提供をするとともに、できたら、その際に意思決定支援を補助するようなツールがあればいい。ただ、現時点ではその方法は確立はしていないと思います。
よろしいですかね。
では、まとまりのあるような、ないようなまとめ方になってしまいましたけれども、次に進みたいと思います。
(3)「患者や家族等が安心して相談できる体制の整備」ということで、これは資料6を用いて、事務局から説明をお願いします。
しろまる事務局 事務局の山﨑でございます。資料6をご用意ください。「患者や家族等が安心して相談できる体制の整備について」説明させていただきます。
まず、スライド2枚目は、基本計画における相談支援、情報提供の位置づけとなっております。
続いて、スライド3枚目、4枚目は、相談支援、情報提供に関わる施策と推進方法をお示ししたものでございます。
スライド5枚目から、地域統括相談支援センターの機能について、前回の議論からもう一歩進める形で説明させていただきます。
スライド6枚目は、設置の背景でございます。がん相談支援センターとは別に、さまざまな相談にワンストップで対応する体制が求められ、平成23年度より都道府県事業を拡充いたしました。
スライド7枚目は、都道府県健康対策推進事業の全体像になりまして、地域統括相談支援センターは、がんに関する総合的な相談等の実施費用として活用いただいております。
スライド8枚目は、地域統括相談支援センターの概要でございます。
スライド9枚目をごらんください。創設後、地域統括相談支援センターの設置が十分進まなかったことから、事業の活性化と普及を図ることを目的に実施した事業でございます。その中で、左下の点線の枠で囲いました特殊機能が示されました。
スライド10枚目は、平成28年時点の各地での主な実施内容でございます。療養上の相談、がん治療等の情報提供や相談支援センターの広報は、多くのセンターで実施していただいていますが、それ以外については施設によって取組の差があることが見ていただけるかと思います。
スライド11〜13枚目は、取組例を挙げております。
まず千葉県につきましては、院内設置型となっております。左上の図のとおり、がん相談支援センターと協働し、ピアサポーターの養成研修等を行っています。また、ピアサポートの活動の場では、がん相談員がスーパーバイザーを務めるなど、患者・家族とピアサポーターを行政と病院がサポートする体制でございます。
スライド12枚目、13枚目は、三重県の取組です。左上の概要にありますように、庁舎に専門職とがん体験者を配置し、左下のグラフのとおり相談対応をしております。また、県内8カ所でサロンを開催し、患者等が落ち着いて生活を考える場を提供しています。
そのほか、がん教育の協力など、利用者やピアサポーターの声を聞きながら活動を広げている状況でございます。
続きまして、「ピアサポートの取り組みについて」説明させていただきます。
スライド15枚目、16枚目は、基本計画と整備指針上の記載で、活動の普及が課題となっております。
その対応として、スライド17枚目にありますように、昨年度より、日本サイコオンコロジー学会へ委託させていただきまして、プログラムの改定や研修会の開催等を行っております。
スライド18枚目は、前回、小川参考人より提供いただきました、各地の取り組みの調査結果で、研修後の情報管理やピアサポートの実施まで行っている県は少ないことがわかりました。
スライド19枚目は、委託事業においてまとめられたピアサポートの意義と活動です。今後、各地で研修の開催からフォローアップまでが行われることで、ピアサポートの普及と質の担保を目指しています。そのため、今年度は、県や地域統括相談支援センターを支援することとし、具体的には、プログラム・テキストの提供や、研修の企画・運営、養成後の活動機会の確保に関する助言等を行います。なお、研修の運営費用は、これまでどおり国庫補助の活用も含めた各県予算によるものでございます。
今後、全国でピアサポートを行うために必要な事項について、スライド20枚目にお示ししております。
スライド21枚目は、本事業において、支援を求めた県にアンケートをした結果をお示ししております。支援要望の多くは、研修会の企画・準備に関わることやピアサポーターのその後の活躍の場の確保についてでした。
スライド22枚目です。地域統括相談支援センターの機能について本日は御議論いただきたいと思います。これまで地域統括相談支援センターは、さまざまな分野に関する相談をワンストップで提供する機能を掲げ、地域の特性に応じて柔軟に活用できるものとしておりました。
一方、ここ数年で拠点病院等におけるがん相談支援センターや、また、地域包括ケアの流れから自治体レベルでの相談窓口の整備も進みつつあります。このような環境の変化を踏まえ、地域統括相談支援センターの機能を見直す時期にあるとの認識でございまして、事務局としては、現にピアサポーターの養成に取り組んでいる地域統括が半数程度あることに鑑み、当該機能を基本的な機能としてはどうか、ということを提案させていただきます。地域統括を設置していない都道府県もあること、県に1カ所の公的な場であることを含め、忌憚のない御意見を伺えればと思いますので、よろしくお願いいたします。
しろまる西田座長 ありがとうございました。
本来は、患者さんや家族が安心して相談できる体制を地域の中でどう築くかということですけれども、2つのテーマが出ています。1つは、地域統括相談支援センターの実現をどう考えるか。それから、もう一つ、その中で無理やりくっつけた感があるのですけれども、ピアサポートをどうするかという話が2種類あります。両方くっつけてはどうかというのが事務局案だというふうに御理解いただければいいのかなと思っています。多分、いろいろな意見が出るのだろうなと思いながら聞いていました。
高山構成員、いかがですか。
しろまる高山構成員 ありがとうございます。
実は、この報告資料の10ページにある現在の地域統括相談支援センターの調査を行ったときに、私もこちらの調査に加わっておりまして、13カ所あるうちの12カ所は実際に訪問をさせていただきました。そういった状況をもう少し情報提供できればと思うのですが、この当時と今が、それほど大勢として変わっていなければ、このうちで(経費は)2分の1補助ということで、県側が2分の1出すということになっていると思いますが、トータルとして3桁の予算額になっているのは1カ所で、それ以外は300万とか400万円とか本当にそういった予算でここにあげられる機能を運営しているというところがほとんどでした。あと、地域によって大分状況が異なるので、そのときの予算立てを何とか工面してこれをつくられているという、こちらでこういったことをしてほしいと言うはやすし、現場は相当な苦労をして、多分、これは現在も継続しているのではないかなというふうな思いがあって聞いておりました。それを考えると、いきなり機能を変えて大丈夫かなというのがちょっとお伺いしていて思いました。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
志真構成員、ちょっと一言お願いします。
しろまる志真構成員 済みません、これからちょっと海外へ行かなくてはいけないものですから、先に発言させていただきます。
統括支援センターについてはちょっと実情がよくわかっていないので、意見を差し控えたいと思いますが、ピアサポートについて言いますと、いろいろな都道府県で取り組みがされていて、うまくいっているところ、うまくいってないところはあると思うのですが、継続してやっていく必要があるのではないかなと思います。
私どもの病院も、今はピアサポーターの方々が7〜8人来てやっていらっしゃいますけれども、拠点病院の相談支援センターはかなりそういう方たちにもサポートしていますので、相談支援センターの一つの仕事としてそういうピアサポーター研修をやっていくことも今後考えていいのではないかと。つまり、統括というふうに限らないで、地域の拠点病院に設けられているそういう相談支援センターのリソースを活用していってもいいのではないかというのが私の意見です。
その上で、小川班などがつくられているいろいろなテキストとか研修の資材とか、それを提供していくというのは助けになるのではないかと思います。
以上です。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
順番に少し意見を聞いていきたいのですけれども、先に、前田構成員、MSWのお立場からどうぞ。
しろまる前田構成員 高知県にも地域統括相談支援センターはございますが、高知県の場合、ピアサポーターの養成は取り組んでおられないので、ちょっと実践の経験からは物が言いづらいのですが、恐らくピアサポーターの養成に関して、いろいろな場での活動が想定されていると思うのですが、院内の患者さんに対してピアサポートを行っていくということは大きな場の1つであると思うのですね。そういった場合に、医療機関としては全く関与しない、外部の方が養成されたピアサポーターの方を「どうぞ、うちの患者さんにお会いになってください」ということにしづらい。やはり院内で行う以上は、自分たちがピアサポーターの方にも傷ついてほしくないし、患者さんを傷つけてもほしくないしというところで、一定の関与をしていると思いますので、地域統括側にお任せしてしまうということではなくて、少なくとも拠点病院はそこの事業に何らかの形で関与することが必要ではないかと思ってまいりました。
以上です。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
それぞれ意見、両方に関して言わなくてもいいので、自分が意見がある範囲内で言っていただければいいと思います。
加藤構成員。
しろまる加藤構成員 ありがとうございます。
こちらは日本サイコオンコロジー学会が委託を受け、小川先生が中心になって進めておりますが、本当にさまざまな苦労をしながら進めていると聞いています。各都道府県によって、積極的に取り組んでいるところと、そういった取組までなかなか行き届かないところもある中で、方向性はある程度示していただくと、県としてもいろいろとしやすくなると思います。これが患者さんのためになる取り組みだということで皆が考えるのであれば、こういった場、もしくは、いろいろな場で厚生労働省として各県にこういったものの設置を求めたいということを強くメッセージとして出してもらえた方がいいと、このように考えております。
しろまる西田座長 木庭構成員いかがですか。同じ茨城県ですね。
しろまる木庭構成員 茨城県は、資料の10ページを見ると、地域統括相談支援センターが設置されていないということにはなっているのですが、地域がん診療連携拠点病院の相談支援センター以外の場として、県全体のがん相談支援の取組として、茨城県看護協会に委託をして、面談と電話による相談事業「いばらき みんなのがん相談室」を実施しているところです。平成28年から始めて、最初200件だったのが次の年には400件になり、昨年度は900件と対応件数もふえていて、非常にニーズの高い事業だというふうに理解をしております。
ただ、県看護協会の方で、ピアサポーターの養成や研修なども一括して担っていただくのはちょっと荷が重いということで、それは統括相談支援センターという組織にまではならなかったという状況だというふうに理解をしております。
一方で、ピアサポート事業につきましては、これはこれで非常に重要な事業だと認識しておりまして、地域がん診療連携拠点病院を中心に、それぞれの病院あるいは地域の実情に応じて実施をしているという状況です。県で標準化した研修会のマニュアルとかツールなどは非常に有用ですけれども、それらを相談支援の拠点のようなところでそれらの作成や教育等の統括もするというのは、茨城県の実情からすると、少し難しいかなというところがございます。
しろまる西田座長 多分、2つに分けて言っていただければいいと思うのですけれども、ピアサポーターをこれからどんどん進めていくのは本当にいいか考える必要がありますし、またピアサポーターに実際に入っていただくのは人によってはいろいろな問題がある。本人も傷つく場合があるし、逆に、患者さんが傷つく場合もあるから、やはりある程度スキルを持ってもらって、やり方を共有してもらって入るほうがいいだろうと思います。そういったピアサポーター人材にちゃんと教育をする、あるいは、そういう教育場をつくったほうがいいのかどうか。そして、それが地域統括相談支援センターなのかどうかという、多分そういった問題が1つはあると思います。
荒木構成員、何か御意見はありますか。
しろまる荒木構成員 私も申しわけありません、このがんのピアサポーターの方々と触れたことが余りないので、軽々に物は言えないのですが、ピアサポーターの専門職が関わる何らかの機会というところは重要かとは思います。しかし、スライドの17枚目のピアサポートに関する御指摘などを拝見しますと、その質を均質にする、あるいは、あらゆる場でやっていくことになるのかといったところの可能性は慎重にならざるを得ないかなと思います。
一方で、地域の中には通いの場としての訪問看護ステーションであったり、カフェなどのような患者・家族が気軽に通える場を使って、がんに関する専門職がいろいろな御家族の不安だとか御本人の不安にも応えている場面などもあったりしますので、それぞれの役割をもう少し明確にして考えていってもよいと思いました。
以上です。
しろまる西田座長 鈴木構成員と岸田構成員、患者の立場からお二人の意見を。どちらが先でも結構です。
しろまる鈴木構成員 まず、地域統括相談支援センターの役割をもっと具体的にするのはすごく賛成です。でも、ピアサポーター養成だけに限るのではなくて、相談支援は全ての地域統括相談支援センターでやっていると思うのですけれども、つなげる機能を持たせることに特化するというのはいいのではないかなと思いました。
ピアサポーターについては、研修をやっているとしても、医療者ではないので、私はピアサポーター独自での相談は危険なところがまだまだあるなというのをずっと感じているので、例えば、医療の専門家とセットで動ける仕組みの体制づくりだったりとか、資料の中にも書いてありますけれども、そのマッチングがうまくいく仕組みをつくらないと、ピアサポーターの資格を取っても活動する場所がないというのが余りに多いということと、あと、ピアサポーターの話を聞いてもらったところ、自分の治療のことを話されて余り参考にならなかったということがあったりということ、この2つが避けられるような上手な使い方を探っていかなければならない状況なのだろうなというふうに感じています。ただ、海外ではピアサポーターは、本当に病院に、がん発病の段階から病院で相談できる体制は、アメリカだったりとかはそういう病院が多いですけれども、そういう状況になれば、本当に仲間になりたいという気持ちは基本的にはあると思っているので、それがうまく生かされる方法を。海外を見ていても、例えば今の時代、インターネットなども使って登録を進めていくということを考えるようになるのではないかなと感じています。
済みません、ちょっとうまくまとまらなくて。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
では、岸田構成員どうぞ。
しろまる岸田構成員 ありがとうございます。
議論する前に一つだけ、別件なのですけれども、今、地域統括相談支援センターというのが、統括とか、包括とか、当初からあったと思うのですが、そういったところのネーミング的にすごく違和感があるので、ちゃんと患者さんがわかりやすいようなネーミングにしたほうがいいなというのは、別件で入れさせていただきます。
本論の方ですけれども、ピアサポーターと地域統括相談支援センターの役割について、ピアサポーターについては必要だと思います。ただ、鈴木構成員がおっしゃったように、そのピアで傷ついてしまうというような現状が、今、まだ、多々起こっています。そこはしっかり質の担保をしていかないといけない。そのためには、質の担保と言っても、患者同士が勝手に独学でやるのではなくて、しっかりと体系立った研修、そういったところができるのが、こういう地域統括相談支援センターのようなちゃんと構成を持ってできるのではないかといったところは思っています。
高山先生のところで相談支援センターについての研修をすごくやっていただいているので、そういったところの質はすごく上がっていると思います。ただ、それでも漏れているところといったところを、こういったところが拾い上げていけるのかなといったところはあると思うので、しっかり質を大事にして、このピアサポートはやってほしいということが1つです。
もう一つの地域統括相談支援センターのニーズについては、確かに、一気にこっちにシフトしてしまうと、今やっているところはどうしたらいいのとバタバタしてしまうと思うので、徐々に、本当に千葉のケースとか三重のケースは非常にうまくいっているケース。予算的なところも、どこでもできるかどうか鑑みないといけないですけれども、こういったところを患者としては増やしてほしいなというのが願いです。それから、啓発につなげていってほしい。がんに対しての偏見とかそういったものがないように、患者さんも、そのほかに対しても啓発をしていってほしいなと思っています。
以上です。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
そのほか、塩川構成員、御意見はございますか。
しろまる塩川構成員 僕は、ピアサポーターとか地域統括相談支援センターは、実は余り知らなかったので、今回、聞いて、これが本当に横の連携を持って機能していくのだったらいいと思うのですけれども、ここらへん、まだ、何とも見えてないので、意見とすると、本当に患者さんのためになるそういう活動になればいいかなということを感じたところです。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
ほかは。
では、高山構成員どうぞ。
しろまる高山構成員 これからピアサポーターの方が活躍する場は病院だけではなくて、今でもそうですけれども、地域の場というのもどんどん加わってくると思います。そういうことを考えるのと、あと、ピアサポーターはサポーターという名前がついていますので、支援者の役割、医療者の並びか、患者さんとの間の、でも、どちらかというと支援者側に立つ者として、もし事業として展開するのだったら責任を持って運営できるような体制を一方で支える。そのときに活躍の場は病院だけではないということを考えると、どこがいいのかなというのは、病院に限らないところで、かつ、地域の特性に合わせて担えるところが担っていくということが必要なのかなとも思いながら聞いておりました。
これについては、情報提供相談支援部会という都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会の下にある部会の中でも議論させていただいたところですが、今現在、拠点病院の相談支援センターがピアサポートをしたいとかサロンの運営をしているということもあって、先ほど前田構成員がおっしゃいましたように、何らか関わっていく必要はあるとは思うのですが、地域の中の今後の展開を考えるという必要性と、病院の中に置いた場合にも、相談支援センターだけではやはり荷が重いという意見が挙がっていました。それは病院に出入りする人を相談支援センターだけで決められない。病院として、出入りする人をどう責任を持つかということになると、病院そのものの理解が必要である。その理解をしてもらうのが非常に苦労されているというような意見がありましたので、病院が関わるとしたら、病院長がどういう判断をするかというところに持っていったほうがいいと思いますし、広くは地域の中でどう展開できるのかというのを考えてということになると、今現在の地域統括相談支援センターの運用を少しずつ変えながらということはあるのかもしれないです。病院ではない、地域の中ということになっていくかと思います。
しろまる西田座長 御指摘としては、病院では解決しない問題がやはり残っていると考えて良いですね。それに対して、もし地域統括相談支援センターがファンクションしてくれればいいと。ただ、それを全部の県につくってくれと言うほどではないという意見ですかね。
しろまる高山構成員 今までの状況でふえてこないというのは、県がつくるのがやはり難しいという背景があるのだろうなと思います。2分の1補助さえも難しい。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
では、地域の現場で医療をやっている医師の代表として羽鳥先生いかがでしょうか。
しろまる羽鳥構成員 スライド3にもあるのですけれども、相談支援事業はかなり細かく分かれているのですけれども、これを地域で展開していくとしたら、一人の人が10個ぐらいやらなければだめなのではないかと思うのですよね。こんなに細かく分ける必要は実際にあるのですか。これに、また、がんとの共生とか、就労支援とか、いろいろなのがくっついてくるわけですよね。これを一人ずつやっていって、それを最小単位の地域包括ケアでやれと言ったら、とても無理なわけで、もうちょっと整理して対応するのがいいのではないでしょうか。
あるいは、これもさっきと同じように、県内に1つセンターがあったとしても、その任に当たった人は、各地をぐるぐる回るという、毎日ぐるぐる回って指導するとか、そういうことをしていただかないと、実際には、でんとセンター病院に座っていて、あるいは、県庁に座っていて、何もしないということになってしまうのではないでしょうか。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
私も、地域統括相談支援センターにそんなに詳しくないのですけれども、そもそもつくられたころが、拠点病院の中に相談支援センターが十分機能してないという時期に、これは何とかしなければいけない。さっきお聞きしたら、一言で言えば、ワンストップで相談支援を解決したいというところで、そういう趣旨でつくられたと伺いました。ですから、そのワンストップで解決という趣旨自体は非常に重要なことだと思いますので、引き続き、それは持っていきたいなと思います。
一方で、今、拠点病院が大分整理されてきて、拠点病院の中の相談支援センターが相談支援を100%できているかと言われると微妙な問題があるかもわかりません。それでも、やはり相談支援がある程度はもう十分できてきている。特に大きな拠点病院では、二次医療圏ではトップの病院ではできるようになってきたと考えています。ですから、地域統括相談支援センターとちょっとダブリがあるのは事実だと思うのですね。ダブリを許容しながら、なおかつ、先ほど高山構成員がおっしゃったように、病院では提供できないものが本当に提供できる、あるいは、病院から次に地域につなぐようなところをやっていただくような形になれば一番いいのではないかなと、私自身はお聞きしながら思いました。それが具体的にこういうことだというのをちょっと考えないといけないのです。
皆さん方の意見を聞いていれば、ピアサポーターはあったほうがいいだろうと言うこと。あったほうがいいだろうけれども、介入の仕方によっては害にもなるし、本人の障害にもなるかもしれないので、ある程度のトレーニングと言うのが正しいかどうかはわかりませんけれども、ピアサポートでやる範囲をよく理解した人がやらないといけないなというのが皆さん方の意見かなと思いました。
それ以外で、何か御意見はありますか。その教育をするところが地域統括相談支援センターなのか、病院の相談支援センターなのか、県拠点なのかというのは、そこらへんは非常に難しいところだと思うのですけれども。これらが当然やってもいいと思いますし、実際に、さっき例として挙がっているのは三重県ですよね。三重県は比較的それでうまくいっている。私は前任が千葉県だったので、千葉県がんセンターが、これは院内設置型で比較的うまく、それなりに苦労されながらやられています。結構苦労されながらも、人を育ててきているというのも事実だと思います。だから、ファンクションしている所はファンクションしていると思いますので、統括センターの中にこういったファンクションを入れていただいてもいいと思います。地域統括相談支援センターに余り強制はできない、絶対やりなさいよというのはと言えないのは、そもそもは全ての県にないわけなので、なかなか難しいところがあるなと思っています。
どうぞ。
しろまる木庭構成員 ピアサポートがきちんとできるということを担保するという意味で、研修とか、いろいろなマニュアル、ツールは非常に重要ですし、例えば、今、茨城県では、県立中央病院が県のがん診療連携拠点病院なので、そこでフォローアップ研修などを企画してやっていただいていますけれども、それをやっているようなところをピアサポーターの教育等も含めた支援をするミッションを負った地域包括総合支援センターと呼ぶというような形にして、それに対して国も支援していただけるということであれば、それはそれで質の標準化といった意味から有意義なことなのかなとも思いました。
しろまる西田座長 ほかにございませんか。
これは、また、ピアサポーターの例えばさっき言った教育をする、あるいは研修ツールのようなものをつくろうと思ったら、おのおのの地域統括相談支援センターがそれぞれつくり出すと、多分、非常に無駄が多いですし、均一な良いものができないと思います。どこかアカデミアなんかと一緒にそういう共通のツールをつくっていったほうが現実的ではないかなというふうに個人的には思います。
加藤構成員、何か追加で御意見はございますでしょうか。
しろまる加藤構成員 そういった意味では、日本サイコオンコロジー学会で質をしっかりと確保できるように目指してツールをつくっております。まだ皆様に知ってもらえるような状況にはなっていませんが、できるだけ皆さんの期待に応えられるようなものをつくるようにしていきたいと関係者は思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
しろまる西田座長 ありがとうございます。
それと、学会との連携とやはり現場感がないといけないと思いますので、現場の相談支援センターの人とか、先ほど申し上げた比較的うまくいっている千葉県、三重県、そういった人たちも入って一緒にフィードバックをかけていただきながらつくっていければ一番いいのかなと思います。
ほかはございますか。
前田構成員、何か物を言いたそうですけれども。
しろまる前田構成員 特定機能病院としては、私自身が、例えば小児がんだったり、HIVだったり、難病のわらじを履きながら、がんのことにも携わっている中で、地域統括相談支援センターがどうかということではなくて、いわゆる地域でワンストップで一体的な、縦割りでなくて、横でつながる地域完結的なシステムをつくろうとしている中で、また、がんの領域に特化したもので、さらに、箱物だったり、機能が分断したものができること自体は、全体的な状況としては余り望ましいことではないと思うので、既にうまいこといっている地域のことをなくすことはないと思うのですが、地域統括相談支援センターを全国展開するみたいなことが前提でないほうが望ましいのだとは思います。
しろまる西田座長 行政的にも非常に難しいかなと思います。ですから、地域統括相談支援センターに関しては、今あるもので生かせる、ここの機能を生かすという意味で、ピアサポーターの研修所であったり、あるいは、さっき申し上げたように、病院で相談支援できない部分、あるいは地域で相談支援しなければいけないけれども、それがある県にはこういったリソースがあるので、これも使いましょうという感じで考えざるを得ないかなと思います。また、これも曖昧になって、事務局のほうには申しわけありません。
大体以上のような議論をいただきましたけれども、もう一度まとめますと、ピアサポーターに関してはやはり進めていければいいなとご意見伺いました。できたら、諸外国のような、そういったサポートできる人材をつくっていければいいと考えます。そのためには、ピアサポーターになる人材に関しては、ある程度そういった研修なり教育なり、言い方はちょっと微妙ですけれども、そういったプログラムはやはり受けていただくほうがいいであろうと考えます。それはピアサポートする人にとっても、される人にとっても良いと思います。相談支援センターや医療者が提供できないものも、多分、患者さんに提供できるのではないかなというふうに私たちは期待しています。
地域統括相談支援センターに関しては、それなりのファンクションを現時点でやっていると思います。その中にピアサポートの教育をやっているところもありますし、それから、やってないところもあると思いますけれども、そういったピアサポートの教育に取り組んでいただいてもいいと思います。ただ、全ての都道府県にあるわけではないので、それで全ての全国がカバーできるわけではないので、ない都道府県に関しては、都道府県の拠点病院の相談支援センター中心になってそういうことをやっていただくというのが非常に現実的な解決ではないかなと思いました。
まだまだこの緩和ケア共生の領域は、なかなかエビデンスが余りないところなので、こういったことを結果として出していかなければいけないですよねというのが、今議論してきた中で幾つかありました。紹介いただいたツール一つ一つとってもそうです。これを本当に使うのがいいのかどうか我々は知りません。実際にそれがいいという結果が出れば、患者さんに提供すればいいと思います。また、そういった少しエビデンスを出していきながら良いものをつくっていかなければいけない。実際にこれを提供したとしても、先ほど御指摘があったように、患者さんが医師に、あるいは、ほかの医療者に求めたときに適正な応えが出せるかどうか、そのスキルを持った医療者になっているかどうかというのは、また、別の問題があって、それは、また、別途に解決していかなければいけないかなと思います。
共生のところは、これから長い時間をかけて、それこそがんと共生するわけではないですけれども、「共生」と共生していくような形でやっていきたいと思います。
全体として、そういうふうなまとめにさせていただければありがたいと思います。私、個人的には、ピアサポートというのは、大事だと思っています。なぜ大事かというと、私は幸い今のところがんになっていませんけれども、がんになったことは非常に不幸だと思います。ならないで済むなら、ならないほうがいいとは思いま。でも、一方、がんになって、悪くなったところを乗り越えてきた人たちは、それなりのメンタリティーを持っていると思いますし、生き方に対する考え方も少し変わってきているかなと思います。そういうのを今度がんになった人にシェアできれば、それなりの効果があるのではないかと考えます。それは医療者がさすがに提供できないものではないかなと私自身は思うので、そういった医療者が提供できない部分をピアサポーターの優れた人格のある人ですかね、そういう人たちに提供していただければ、よりよい緩和ケアが提供できるのではないかと思って、私の座長の言葉として、最後に、事務局にマイクを返したいと思います。よろしいでしょうか。
しろまるがん対策推進官 事務局でございます。
本日は長いこと御議論をありがとうございました。かなり幅広い観点で、本日議題を詰め込んでしまったので、既に30分ほど超過してしまいましたことを、事務局を代表してお詫び申し上げます。次回以降は、この点、議論の時間を十分確保できるように設定させていただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
次回の検討会ですが、改めて、事務局から御連絡をさせていただきたいと思いますので、日程の確保等、その節はよろしくお願いさせていただければ幸いです。
本日は長いことありがとうございました。
しろまる西田座長 延長してしまって、済みません。最初のセクションを終わったところで、これはもう延長するなと覚悟を決めたので、もう落ち着いて最後までやってしまいました。申しわけありません。

照会先

健康局がん・疾病対策課

代表03-5253-1111(内線3826)

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