福岡大臣会見概要
(令和7年9月30日(火)10:37〜10:58 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
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- 大臣:
- 冒頭私から3点ございます。まず、令和7年版労働経済の分析についてです。本日の閣議において、令和7年版労働経済の分析、いわゆる労働経済白書について報告いたしました。今年の白書では、生産年齢人口の減少による人手不足が経済成長の制約となる懸念があること等を踏まえて、「労働力供給制約の下での持続的な経済成長に向けて」をテーマとして、労働生産性の向上に向けた課題、社会インフラを支える職業の人材確保及び柔軟な雇用管理といった観点から分析を行いました。厚生労働省としては、今回の分析も踏まえ、労働力供給制約の下での持続的な経済成長を実現するため、必要な取組を着実に進めてまいります。2点目です。赤い羽根共同募金運動についてです。赤い羽根共同募金運動が10月1日から全国でスタートいたします。本日の閣議で、各大臣に共同募金へのご協力をお願いしました。この募金は、地域での見守り活動やこども食堂をはじめとした居場所づくりなどの社会福祉活動を推進するために実施されており、災害時のボランティア活動などの支援にも役立てられています。街頭だけでなく、職域、学校、自治会等を通じた募金活動が行われます。また、インターネットを通じたオンライン寄附もございますので、国民の皆様のご支援とご協力をお願いいたします。3点目です。我が国の風しんの排除認定の報告についてです。9月26日、WHOより、我が国における風しんの排除が認定されましたのでご報告いたします。風しん排除に向けてこれまでワクチン接種にご協力いただいた国民の皆様や関係者の皆様に感謝申し上げます。厚生労働省では、風しんの排除状態を維持するために、引き続き、風しん対策の推進に努めてまいります。国民の皆さまにおかれましては、麻しん・風しんワクチンの定期接種の対象となっている方には、お住まいの市区町村から案内がなされていると思いますので、積極的に接種を受けていただきますようお願い申し上げます。
質疑
- 記者:
- 米国の医薬品関税について伺います。トランプ大統領の100%なる発言もありましたが、ここ何日かの様子をみるに、日本は15%が上限という認識が固まりつつあるようにもみえます。この点の大臣の受け止めをお聞かせください。
- 大臣:
- 米国による医薬品への関税については、今般の共同声明においては、仮に将来、分野別関税が課される場合も、我が国が第三国・地域に劣後しないとされており、EU・米国間の共同声明においては、医薬品への関税は15%を超えないよう迅速に確保する旨が明記されていると承知しています。先般のトランプ大統領がSNSに投稿した医薬品に対する100%の関税について、日米共同声明やEU・米国間の共同声明との関係性が明らかになっているわけではありませんが、日本を含め、米国と医薬品に関し合意を結んでいる国は適用除外となる旨の報道があることは承知しています。いずれにしても、米国よる正式な発表がなされておらず、現時点で予断をもってお答えすることは困難です。引き続き、米国の動向をよく注視し、今般の日米間の合意との関係を含め、今後明らかになる措置の具体的内容や我が国への影響を十分精査しつつ適切に対応してまいりたいと思います。
- 記者:
- 75歳以上の後期高齢者医療制度をめぐって、窓口負担が2割の人を対象に設けられている負担軽減の配慮措置が今月末ということで、今日で終了します。来月以降、負担が増えるケースも出てくるかと思いますが、今月の閣議後会見でもご発言がありましたが、改めて厚生労働省として、この件に関してどのように周知や理解を図っていくか、お考えをお願いします。また、高齢者の窓口負担割合の見直しなど、他にも求められている改革、医療保険制度改革に関するメニューがあるかと思いますが、どのような観点を重視して進めていくお考えか併せてお願います。
- 大臣:
- ご指摘の配慮措置の終了に当たっては、これまでに、保険者である後期高齢者医療広域連合において、資格確認証送付時にチラシを同封する、医療機関においてポスターを掲示するなどにより周知していただくとともに、厚生労働省においては、配慮措置の終了も含めた後期高齢者医療の制度改正に係るコールセンターを設置するなどの取組を行ってきており、後期高齢者の方々のご理解を得るべく引き続き周知に努めてまいりたいと考えています。また、医療保険制度改革については、年齢に関わらず負担能力に応じて皆が支え合う全世代型社会保障の構築に向けて、一昨年末に取りまとめられた改革工程なども踏まえ、現在、社会保障審議会医療保険部会においてご議論いただいているところです。引き続き、高齢者の方々に対する必要な保障が欠けることのないように留意しながら、制度の持続可能性を確保するために、医療保険部会におけるご議論も踏まえた上で丁寧に検討を進めたいと考えています。
- 記者:
- 今回の配慮措置終了ということですが、高齢者の負担が増える一方、現役世代の負担については軽減されるという側面もあるかと思います。そのあたり、改めて大臣から、配慮措置、3年間という期限があらかじめ決まっていたということもあるかと思いますが、今回終了することの狙いを改めてお願いできますでしょうか。
- 大臣:
- 激変緩和という観点も含めて3年間の経過措置を今回とった、その経過措置が今回終了するということですが、窓口負担等が変わることに対しても、皆様方に混乱が生じないようにしっかり周知を図っていくということは大変重要な観点だと思っております。併せて、先ほどおっしゃったように、増大する医療費をどうやって分かち合っていくか、全世代型社会保障の観点から、そういった議論についてもしっかり丁寧に進めていきたいと考えています。
- 記者:
- 現役世代の負担軽減というところには、今回の終了で何か資するところというのはあるのでしょうか。
- 大臣:
- 元々今回経過措置が終了することに伴ってご負担が増えられる方が生じるということであり、それは増大する保険料ということに対して、抑制する効果は当然あるということです。
- 記者:
- マイナ保険証に関して2点質問させていただきます。1つは、7月末で国保加入者が1,700万人、後期高齢者が2,000万人、健康保険証の有効期限を迎えましたが、8月のマイナ保険証利用率が34.32%ということで、前月比2.89ポイントの増にとどまりました。微増にとどまった要因というのはどのようにお考えでしょうか。2点目として、千葉県保険医協会の調査では、8月以降に9割超の医療機関で何らかのトラブルが発生して、72%が健康保険証、68%が資格確認書でトラブル対応しており、券面に資格情報が記載された書類の有用性が示されたと考えています。12月2日に被用者保険の保険証も使えなくなりますが、保険証復活や資格確認書の全員交付が必要ではないでしょうか。また、あるいは、12月2日以降のトラブルを防止するために、期限切れ保険証でも資格確認を可能とするような暫定措置を被用者保険にも適用すべきではないでしょうか。
- 大臣:
- 8月のマイナ保険証の利用率については、全体では34.32%であり、対前月比で約3%弱の増加にとどまったのではないかというご指摘でした。国民健康保険においては7月末に保険証の有効期限を迎えた自治体の利用率は7月から8月にかけて約10%増加しています。一方で、後期高齢者の医療制度については約0.4%の増加にとどまっていますが、これは後期高齢者制度の方には資格確認書を一律に送付している影響もあると受け止めています。今後も国民健康保険において順次保険証の有効期限を迎える自治体があるため、引き続きマイナ保険証への円滑な移行に向けて、医療機関の受診方法等について丁寧に周知を進めていきたいと思います。そして後段の質問については、マイナ保険証は、確実かつ電子的な本人確認のもと、本人の健康・医療情報を活用したより良い医療の提供に大きく寄与するものであるということは、これまでも再三申し上げてきたところです。従来の保険証や資格確認書を一律に交付するということは考えていません。一方で、医療機関等で円滑に受診できるということは大変重要であると考えており、8月の大多数の自治体での国民健康保険の保険証の切り替えでは大きな混乱はなかったと認識していますが、ご指摘があった12月の被用者保険の保険証の切り替えについても、適切に対応を進めてまいりたいと思います。
- 記者:
- 適切に対応するということで、以前お聞きしたのが、暫定措置の事務連絡が出たときに関連して、厚生労働省の担当課の方が健保連に対して、今回のような事務連絡は今後出さないということを小耳に挟んだのですが、こういうことは事実ではない、今後適切な対応を考えていくということでよかったでしょうか。
- 大臣:
- 今おっしゃったやりとりについて私自身把握しておりませんので、そのことについてのコメントを申し上げることはできません。今後の被用者保険の切替え等も含めて、適切に対応してまいりたいと思います。
- 記者:
- 東京23区の火葬料金が高騰している件についてお尋ねします。東京都の小池知事は24日の都議会で、「火葬場の経営管理に対する指導が適切にできるよう法の見直しを国に求めていく」と発言しました。政府としての現状認識、対応の必要性についてどう考えているかを教えてください。
- 大臣:
- 火葬場の運営については、墓地埋葬法に基づき、国民の宗教的感情に適合し、かつ公衆衛生等の公共の福祉の見地から、支障なく行われることが重要と考えており、これまでも火葬場の経営主体は原則として地方自治体等に限定されること等をお示ししてきたところです。現状において、東京都などで一部の火葬場が民間企業により経営されている中、特定の民間企業による火葬料金等の相次ぐ引上げ等の報道があったことを踏まえ、令和4年11月に地方自治体に対して、適正な火葬場の経営・管理について事務連絡を発出し、指導監督の徹底を依頼したところです。引き続き、全国主管課長会議などの場を活用し、繰り返し、趣旨の徹底を依頼していきます。また、火葬料金の指導等は、現行法の運用で可能と考えていますが、火葬場の運営が適切に行われない場合には、指導を行う主体である地方自治体と連携して必要な対応を行ってまいりたいと思います。
- 記者:
- 年齢調整死亡率の上昇について伺います。9月16日に人口動態統計確定数が公表されました。それによりますと、戦後年齢調整死亡率は下降し続け、新型コロナウイルス対策が始まった2020年に過去最低を更新しています。しかし2021年に反転上昇し、2022年〜2024年は2020年比で約10%近く高い死亡率が続いています。厚生労働省が公表しているコロナウイルス感染症の死亡数では説明できないレベルで死亡率の上昇が起きておりますが、この原因について厚生労働省はどのように考えているのか、また対応していることなどあれば、教えていただけますでしょうか。
- 大臣:
- 人口動態統計における人口千人に対する年齢調整死亡率は、男性は令和2年が13.3、令和6年が14.2と0.9ポイント上昇、女性は令和2年が7.2、令和6年が7.8と0.6ポイント上昇となっています。年齢調整死亡率は令和3年から令和4年への上昇が大変大きく、新型コロナウイルス感染症を原死因とする死亡数の増加や、老衰による死亡数の増加などが要因となっていると考えられます。なお、現在、国立社会保障・人口問題研究所において、令和4年及び令和5年の死亡数増加について、新型コロナウイルス感染症以外の死因も含め分析しているところです。
- 記者:
- 老衰が増えているとおっしゃいましたが、年齢調整死亡率なので、高齢化を除外した死亡率にも関わらず老衰が増えているというのは、これは本来老衰と判定されるべき状態ではない方が老衰にされていると私は思っていますが、年齢調整死亡率の説明をされたときに老衰が増えているというのは、どういう理解でしょうか。
- 大臣:
- 老衰による人口十万対の年齢調整死亡率は、平成18年以降上昇傾向が続いており、男性は令和3年と令和4年の1年間の間に14.1ポイント上昇、女性は令和3年から令和4年にかけて12.6 ポイント上昇しているということです。これは、調整をしてもなお老衰による比率が高まっているという状況にあるということです。精緻な分析は、先ほども申し上げたように今やっているところなので、それをみなければ分かりませんが、1つ考えられるのは、長期的にみれば医療の技術の進展等により病気の治療がある程度進めば、ご高齢によって原疾患の治療が済んだ方がお亡くなりになる、そういった方の比率が高まるということは、考え方としては考えられると思いますが、そういったことも含めてどういう状況かということについて、先ほども申し上げたように、令和4年及び令和5年の死亡数の増加について分析を行っているところですから、その分析を待ちたいと思います。
- 記者:
- 分かりました。
- 記者:
- 新型コロナワクチンの感染予防効果について2点お尋ねします。9月16日の記者会見で同ワクチンに感染予防効果があることが確認されたのは、2021年10月28日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の資料であると大臣はおっしゃいました。しかし、この資料の14ページにあるグラフを見ると、時間が経つにつれて予防効果が逓減することが証明された研究と理解できます。効果がだんだんなくなっていることを示すデータを「効果がある」とする根拠に用いるのは不適切ではないのでしょうか。2問目です。新型コロナワクチンについてファイザー社は感染予防効果を認めているのでしょうか。モデルナはどうでしょうか。
- 大臣:
- 新型コロナワクチンについて、感染予防効果はありますが、持続期間に限界があるということについては、これまでもご説明してきたとおりです。今ご指摘のあった資料のグラフはそれを表したものです。効果が逓減することは、持続期間に限界があることを表しているものであり、効果がないことを表しているものではありません。審議会においては、このような持続期間にかかる知見も踏まえて、接種対象者等について議論がなされたものと承知しています。また、ファイザー社、モデルナ社が予防効果を認めているかどうかというご質問ですが、個別のワクチン製造販売業者がワクチンの効果をどのように認識しているかについては、私どもとしては承知していません。
- 記者:
- 1問目の質問に関してですが、2021年10月28日の審議会で感染予防効果を確認したということであるならば、河野ワクチン担当相が当時既に、「ワクチン接種は皆さんの大切な人たち、家族、友達、恋人をコロナから守ることにもつながる」と広報していたのは間違いだったということにならないでしょうか。この広報は2021年9月30日、約1ヶ月前からオンエアされています。いかがでしょうか。
- 大臣:
- 今ご指摘のあったご質問については、当時の河野大臣がどのような状況の下でどのような真意で発言されたのかということについて、私自身は今確認が取れませんので、この場でコメントすることは差し控えさせていただきます。
- 記者:
- 2問目についてもう1問関連でお願いします。承認したのは厚生労働省なわけですから、厚生労働省はファイザー社が感染予防効果を認めているかどうか、モデルナは認めているかどうかというのは、把握されるべきではないでしょうか。いかがでしょうか。
- 大臣:
- 先ほども申し上げたように、ワクチンについてどのように認識しているかということについては、それぞれの製造販売業者が確認されるべき話で、厚生労働省として把握すべきかどうかというところについては議論があると思います。1点あえて申し上げれば、2021年10月28日の審議会資料におけるファイザー社のワクチン感染予防効果に係る論文3本のうち、1本はファイザー社の社員が研究分担者に入っており、残りの2本はファイザー社に最終結果を報告したことが記載されているため、ファイザー社についてはこの論文の内容を承知していると考えられます。
(了)