平成21年10月20日
職業安定局 高齢・障害者雇用対策部
高齢者雇用対策課
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(夜間直通)03-3502-6822
平成21年6月1日現在の高年齢者の雇用状況について
〜希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は約45%と着実に進展〜
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「法」という。)により、年金(定額部分)の支給開始年齢(現行63歳→平成25年4月から65歳)までの高年齢者雇用確保措置を講じることが企業に義務づけられている。
厚生労働省では、高年齢者雇用確保措置を定着させるとともに、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合及び企業の実情に応じた何らかの仕組みで70歳まで働ける企業の割合を平成22年度末を目途にそれぞれ50%、20%とすることを目指し、取組を進めている。
今般、企業より報告された平成21年6月1日現在の高年齢者雇用確保措置等の状況を集計し、その結果を取りまとめたので、公表する。
《ポイント》
1 高年齢者雇用確保措置等の実施状況
〜ほとんどの企業が高年齢者雇用確保措置を実施〜
○しろまる 平成21年6月1日現在、31人以上規模の企業(注1)のうち、高年齢者雇用確保措置(注2)の実施企業の割合は、95.6%
(51人以上規模の企業で97.2%(前年比1.0ポイント増加))
うち、中小企業(注3)は95.3%(51人〜300人規模の企業で96.9%(前年比1.3ポイント増))
大企業(注4)は98.7%(前年比1.1ポイント減)
○しろまる 希望者全員が65歳以上まで働ける企業(注5)の割合は44.6%
(51人以上規模の企業で40.4%(前年比1.4ポイント増加))
うち、中小企業は47.0%(51人〜300人規模の企業で43.4%(前年比1.2ポイント増))
大企業は23.5%(前年比2.3ポイント増)
○しろまる 「70歳まで働ける企業」(注6)の割合は16.3%
(51人以上規模の企業で15.2%(前年比2.8ポイント増加))
うち、中小企業は17.0%(51人〜300人規模の企業で16.1%(前年比2.9ポイント増))
大企業は10.0%(前年比2.6ポイント増)
2 高年齢者雇用確保措置の義務化後の高年齢労働者の動向
〜高年齢者の常用労働者数が大幅に増加〜
○しろまる 60〜64歳の常用労働者数は約155万人
※(注記) 51人以上規模の企業では、雇用確保措置の義務化前(平成17年)に比較して、約78万人から約142万人に増加
○しろまる 65歳以上の常用労働者数は約61万人
※(注記) 51人以上規模の企業では、雇用確保措置の義務化前(平成17年)に比較して、約27万人から約54万人に増加
3 今後の取組
○しろまる 高年齢者雇用確保措置の未実施企業に対する強力な指導を行うことにより、引き続き、高年齢者雇用確保措置の定着を図る。
○しろまる 年金支給開始年齢の引上げも踏まえ、希望者全員が65歳まで働ける企業のさらなる普及を図るとともに、65歳までの雇用の確保を基盤としつつ、何らかの形で65歳を超えて70歳まで働ける企業の増加を図る。
1 高年齢者雇用確保措置の実施状況
(1) 全体の状況
高年齢者雇用確保措置(以下「雇用確保措置」という。)の実施済企業の割合は95.6%(130,654社)(51人以上規模の企業で97.2%(90,160社)、前年比1.0ポイントの増加)となっている。
一方、雇用確保措置を未実施である企業の割合は4.4%(5,951社)(51人以上規模の企業で2.8%(2,608社)、前年比1.0ポイントの減少)となっている。
このように、企業における雇用確保措置は着実に進展している(別紙表1)。
(2) 企業規模別の状況
雇用確保措置の実施済企業の割合を企業規模別に見ると、大企業では98.7%(13,941社)(前年比1.1ポイントの減少)、中小企業では95.3%(116,713社)(51人以上規模の企業で96.9%(76,219社)、前年比1.3ポイントの増加)となっており、大企業のほとんどが雇用確保措置を実施し、また、中小企業の実施状況も着実に進展している(別紙表1)。
[画像:雇用確保措置を実施した企業の割合](3) 雇用確保措置の上限年齢
雇用確保措置の上限年齢については、雇用確保措置の実施済企業のうち、現在の義務年齢である63歳又は64歳を上限年齢とした企業は13.2%(17,301社)(51人以上規模の企業で14.5%(13,112社))となる一方、法の義務化スケジュールより前倒しして65歳以上を上限年齢とした企業(定年の定めのない企業を含む。)は86.8%(113,353社)(51人以上規模の企業で85.5%(77,048社)、前年比6ポイントの増加)となっている(別紙表3−1)。
[画像:雇用確保措置の上限年齢](4) 雇用確保措置の内訳
雇用確保措置の実施済企業のうち、「定年の定めの廃止」の措置を講じた企業は2.9%(3,744社)(51人以上規模の企業で2.0%(1,830社))、「定年の引上げ」の措置を講じた企業は15.1%(19,707社)(51人以上規模の企業で12.8%(11,575社))、「継続雇用制度の導入」の措置を講じた企業は82.1%(107,203社)(51人以上規模の企業で85.1%(76,755社))となっている(別紙表3−2)。
[画像:雇用確保措置の内訳](5) 継続雇用制度の内訳
継続雇用制度を導入した企業(107,203社)のうち、希望者全員の継続雇用制度を導入した企業は41.8%(44,854社)(51人以上規模の企業で38.0%(29,140社))、対象者となる高年齢者に係る基準を労使協定で定め、当該基準に基づく継続雇用制度を導入した企業は43.6%(46,724社)(51人以上規模の企業で48.4%(37,162社))、労使協定の締結に向けて努力したにもかかわらず協議が調わず、法に基づく特例措置により就業規則等で基準を定め、当該基準に基づく継続雇用制度を導入した企業は14.6%(15,625社)(51人以上規模の企業で13.6%(10,453社))となっている(別紙表3−3)。
[画像:継続雇用制度の内訳]2 希望者全員が65歳以上まで働ける企業等について
(1) 希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合
希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は44.6%(60,886社)(51人以上規模の企業で40.4%(37,478社)、前年比1.4ポイントの増加)となっている。
企業規模別に見ると、中小企業では47.0%(57,567社)(51〜300人規模の企業で43.4%(34,159社)、前年比1.2ポイント増加)、大企業では23.5%(3,319社)(前年比2.3ポイント増加)となっている(別紙表4)。
(2)「70歳まで働ける企業」の割合
「70歳まで働ける企業」の割合は16.3%(22,227社)(51人以上規模の企業で15.2%(14,082社)、前年比2.8ポイントの増加)となっている。
企業規模別に見ると、中小企業では17.0%(20,809社)(51〜300人以上規模の企業で16.1%(12,664社)(前年比2.9ポイント増加)、大企業では10.0%(1,418社)(前年比2.6ポイント増加)となっている(別紙表5)(2頁(注6)参照)。
3 雇用確保措置の義務化後の高年齢労働者の動向
(1) 常用労働者数の推移
・ 60歳〜64歳の常用労働者数は155万人(51人以上規模の企業で、雇用確保措置の義務化前(平成17年)に比較して、78万4千人から142万人に増加(80.8%の増加))
・ 65歳以上の常用労働者数は60万6千人(51人以上規模の企業で、雇用確保措置の義務化前(平成17年)に比較して、26万5千人から54万4千人に増加(104.9%の増加))と、大幅に増加している(別紙表6)。
[画像:年齢別常用労働者数(51人以上規模企業)](2)定年到達予定者のうち継続雇用予定者の動向
定年到達予定者のうち継続雇用される予定の者の数(割合)は32万7千人(71.3%)(51人以上規模の企業で29万7千人(70.4%))と、雇用確保措置の義務化前(平成17年)に比較して大幅に増加(別紙表7)。
4 今後の取組
(1) 雇用確保措置の定着に向けた取組
51人以上の規模の企業における雇用確保措置は着実に進展しているが、51人以上の未実施企業が2,608社あり、新たに調査対象とした31〜50人規模の企業についても未実施企業が3,343社あることから、引き続き、各都道府県労働局、ハローワークによる個別指導を強力に実施し、早期解消を図る。
(2) 希望者全員が65歳以上まで働ける企業の普及
平成25年度には、年金の支給開始年齢の定額部分が65歳に引き上げられ、報酬比例部分の引上げが始まることも踏まえ、60歳代前半の雇用確保を図るため、希望者全員が65歳以上まで働ける制度の導入に取り組んでもらうよう、企業に積極的に働きかけを行う。
(3) 「70歳まで働ける企業」の普及・啓発
少子・高齢化の進行、将来の労働力人口の減少、団塊世代の65歳への到達等を踏まえ、年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向け、「定年引上げ等奨励金」の活用等により、65歳までの雇用確保を基盤として「70歳まで働ける企業」の普及・啓発に取り組む。
[別紙]
表1 雇用確保措置の実施状況
以上 90,160 (90,351) 51人
以上 2,608 (3,535) 51人
以上 92,768 (93,886)
(注)( )内は、平成20年6月1日現在の数値。表1〜5において同じ。
表2 規模別・産業別実施状況
模
別 31〜50人 92.4% 7.6%
業
別 31人以上 51人以上 31人以上 51人以上
(注)( )内の−は、日本標準産業分類の変更により比較ができないため。
表3 雇用確保措置実施企業に関する状況
表3−1 雇用確保措置の上限年齢
(含定年制なし) (2)63〜64歳 (1)+(2)合計
以上 77,048 (71,808) 51人
以上 13,112 (18,543) 51人
以上 90,160 (90,351)
表3−2 雇用確保措置の内訳
の廃止 (2)定年の引上げ (3)継続雇用制度
の導入 (1)+(2)+(3)合計
以上 1,830 (1,899) 51人
以上 11,575 (11,262) 51人
以上 76,755 (77,190) 51人
以上 90,160 (90,351)
表3−3 継続雇用制度の内訳
以上 29,140
(29,812) 51人以上 47,615(47,378) 51人
以上 76,755
(77,190)
以上 37,162 (33,932) 51人
以上 10,453 (13,446)
※(注記) 301人以上規模の企業においては、継続雇用制度の対象者に係る基準を労使協定によらず就業規則等で定めることができるとする経過措置は平成21年3月31日が終期となっていることから、就業規則で基準を定めている企業(164社)については、雇用確保措置未実施企業とみなされるため、本欄には計上されていない。
表4 65歳以上まで希望者全員が働ける企業の割合
すべての企業
65歳以上
継続雇用
(1,823) 8,553
(8,101) 23,863
(23,685) 34,159
(33,609) 78,647
(79,688)
(2.3%) 10.9%
(10.2%) 30.3%
(29.7%) 43.4%
(42.2%) 100.0%
(100.0%)
(76) 743
(707) 2,489
(2,234) 3,319
(3,017) 14,121
(14,198)
(0.5%) 5.3%
(5.0%) 17.6%
(15.7%) 23.5%
(21.2%) 100.0%
(100.0%)
以上 1,830
(1,899) 9,296
(8,808) 26,352
(25,919) 37,478
(36,626) 92,768
(93,886)
(2.0%) 10.0%
(9.4%) 28.4%
(27.6%) 40.4%
(39.0%) 100.0%
(100.0%)
表5 「70歳まで働ける企業」の割合
すべての企業
70歳以上 基準該当者
70歳以上 その他の
制度で
70歳以上
(1,823) 369
(195) 1,916
(1,927) 6,163
(6,607) 2,473 12,664
(10,552) 78,647
(79,688)
(2.3%) 0.5%
(0.2%) 2.4%
(2.4%) 7.8%
(8.3%) 3.1% 16.1%
(13.2%) 100.0%
(100.0%)
(76) 8
(5) 141
(132) 744
(833) 438 1,418
(1,046) 14,121
(14,198)
(0.5%) 0.1%
(0.0%) 1.0%
(0.9%) 5.3%
(5.9%) 3.1% 10.0%
(7.4%) 100.0%
(100.0%)
以上 1,830
(1,899) 377
(200) 2,057
(2,059) 6,907
(7,440) 2,911 14,082
(11,598) 92,768
(93,886)
(2.0%) 0.4%
(0.2%) 2.2%
(2.2%) 7.4%
(7.9%) 3.1% 15.2%
(12.4%) 100.0%
(100.0%)
(注)「合計」欄の本年度の数値には、「その他の制度で70歳以上」(企業の実情に応じて何らかの仕組みで70歳以上まで働くことのできる制度)を含むが、( )内の昨年6月の数値には、当該制度を含まない。
表6 年齢別常用労働者
(51人以上) 24,610,869人(116.4) 1,418,603人(180.8) 543,700人(204.8)
(31人以上) 26,357,829人 1,554,218人 605,538人
(注)( )内は平成17年を100とした場合の比率
表7 定年到達予定者等の状況
(51人以上) 422,112人(100.0%) 297,325人(70.4%) 79,372人(18.8%) 7,276人(1.7%) 38,139人(9.0%)
(31人以上) 458,308人 326,612人(71.3%) 84,041人(18.3%) 7,777人(1.7%) 39,878人(8.7%)
(注)1 平成19年については、定年到達予定者に内訳の確認出来ない 728人が含まれる。
2 平成20年から、定年到達予定者のうち継続雇用予定者かどうか未定の者については、別途計上することとした。それ以前の継続雇用予定者かどうか未定の者については、継続雇用予定者に含むこととしており、平成20年及び平成21年について、これと同様の算出方法とすると参考のとおりとなる。
[画像:改正高年齢者雇用安定による高年齢者雇用確保措置の義務付け]
高年齢者等職業安定対策基本方針の概要
(平成21年厚生労働省告示第252号)
高年齢者等職業安定対策基本方針(以下「基本方針」という。)は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号)第6条に基づき、策定されている。今般、昨年8月からの労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会における議論を踏まえ、平成21年度から平成24年度までの4年間を対象期間として、新たに基本方針を策定することとした。
基本方針の概要は以下のとおりである。
1 高年齢者の雇用の機会の増大の目標に関する事項
公的年金の支給開始年齢の引上げも踏まえ、平成25年3月末までにすべての企業において確実に65歳までの定年の引上げ、継続雇用制度の導入又は定年の定めの廃止(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかの措置が講じられるようにするとともに、希望者全員が65歳まで働ける企業(65歳以上定年企業等)の割合を平成22年度末を目途に50%とし、平成25年3月までにさらなる普及に努める。
また、65歳までの雇用の確保を基盤としつつ、団塊の世代が平成24年には65歳に到達し始めることを見据えて、65歳を超えて「70歳まで働ける企業」の割合を平成22年度末を目途に20%とするなど年齢にかかわりなく働き続けることができる雇用の場の拡大に努める。
高年齢者雇用施策の推進により、平成24年には、60〜64歳の就業率を56〜57%、65〜69歳の就業率を37%とすることを目指す。
2 事業主が行うべき諸条件の整備等に関して指針となるべき事項
(1) 事業主は、高年齢者の意欲及び能力に応じた雇用機会の確保等のため募集・採用に係る年齢制限の禁止、職業能力の開発及び向上、作業施設の改善、高年齢者の職域の拡大等、諸条件の整備に努めるものとする。
(2) 65歳未満の定年の定めをしている事業主は、高年齢者雇用確保措置の実施、高年齢者の雇用の確保に必要な場合における賃金・人事処遇制度の見直し等の推進に努めるものとする。
高年齢者雇用確保措置のうち継続雇用制度を導入する場合には、可能な限り希望者全員を対象とする制度とすることを検討することとし、対象となる労働者に係る基準を定める場合には、具体的かつ客観的な基準を労使協定で定める。また、基準を定めた場合には、随時、労使で対象となる労働者の拡大、希望者全員を対象とする制度への転換について検討する。
賃金・人事処遇制度の見直しを行う場合には、継続雇用制度を導入する場合における継続雇用後の賃金について適切なものとなるように努めること、短時間勤務制度など高年齢者の希望に応じた勤務が可能となる制度の導入に努めること、継続雇用制度を導入する場合で契約期間を定めるときには、むやみに短い契約期間とすることがないように努めること等に留意する。
(3) 事業主は、定年、解雇等により離職することとなっている高年齢者等が再就職を希望するときは、求職活動支援書の作成や、求職活動のための休暇の付与等を通じて積極的に支援すること等により、その再就職の援助に努めるものとする。
また、離職予定高年齢者等の有する豊富な職業キャリアの記載が可能な「職業キャリアが長い方向けのジョブ・カード」の様式を求職活動支援書として積極的に活用する。
(4) 事業主は、職業生活の設計に必要な情報の提供、職業生活設計を踏まえたキャリア形成の支援等を通じて、その雇用する労働者の高齢期における職業生活の設計について効果的な援助を行うよう努めるものとする。
この場合において、労働者が若いときから将来の職業生活を考えることができるよう、早い段階からの情報の提供等に努める。
3 高年齢者等の職業の安定を図るための施策の基本となるべき事項
(1) 高年齢者雇用確保措置が、各企業の労使の十分な協議の下に、適切かつ有効に実施されるよう、指針の周知徹底や、高年齢者雇用確保措置に係る助言及び指導、助成制度の有効な活用等の事項に重点をおいて施策を展開する。
(2) 高年齢者等の再就職の促進のため、指針の周知徹底、求職活動支援書に係る助言等、助成制度の有効な活用等を図る。
(3) その他、高年齢者等の職業の安定を図るため、高齢期の職業生活設計の援助に係る指導、職業能力開発の機会の確保のための援助、労働時間対策の推進、多様な就業機会の確保及び社会参加の促進等を図る。