平成17年3月23日
厚生労働省食品安全部
南 監視安全課長
担当:鶏内、柳沼
TEL:03-5253-1111(2447)
(平成17年8月26日一部改定)
厚生労働省食品安全部
南 監視安全課長
担当:鶏内、柳沼
TEL:03-5253-1111(2447)
(平成17年8月26日一部改定)
米国における安全性未審査の遺伝子組換えトウモロコシ種子の流通事例について
米国における安全性未審査の遺伝子組換えトウモロコシ種子の流通事例について
Q1.
米国におけるトウモロコシBt10の混入事例とはどのようなものですか。
A1.
本年3月22日付けのNatureのニュースによれば、シンジェンタ社が生産した遺伝子組換えトウモロコシBt11(デントコーン)の種子と混同して、安全性未審査の遺伝子組換えトウモロコシBt10の種子が流通し、栽培されていたというものです。なお、トウモロコシBt11は、日米両国政府いずれによる安全性審査で問題がないとされています。
Q2.
トウモロコシBt10とはどのようなものですか。
A2.
トウモロコシBt11と同じ害虫抵抗性のBtタンパク質発現遺伝子及び除草剤耐性マーカーのPATタンパク質発現遺伝子を組み込んだトウモロコシの一種です。
Q3.
トウモロコシBt11とトウモロコシBt10にはどのような違いがありますか。
A3.
シンジェンタ社(開発者)からの情報によると、両者は殺虫性を持つ同じBtタンパク質を発現しますが、その発現量に差があり、Bt10はBt11のおよそ250〜450分の1以下(溶解タンパク質当たり濃度)の発現量とされています。また、Bt10には、すでに日本で安全性審査の手続きを経たトウモロコシEvent176と同じアンピシリン耐性マーカー遺伝子が含まれています。
Q4.
トウモロコシBt10は安全ですか。
A4.
米国政府においては、シンジェンタ社から提出されたトウモロコシBt10の挿入遺伝子配列情報、Btタンパク質発現量情報などをもとに、農務省動植物衛生検査部(APHIS)、保健省食品薬品局(FDA)、環境庁(EPA)が安全性評価を行っています。その結果、トウモロコシBt10において発現するBtタンパク質がトウモロコシBt11で発現するタンパク質と同じであることに加え、重要な自然毒、アレルゲンを含まないことから、トウモロコシBt10の安全性に問題はないとしています。また、アンピシリン耐性遺伝子に関しては、トウモロコシBt10では発現しない(タンパク質を産生しない)とされています。
Q5.
米国政府ではどのような対応をとっていますか。
A5.
農務省動植物衛生検査部(APHIS)、保健省食品薬品局(FDA)、環境庁(EPA)が安全性の評価を実施し、トウモロコシBt10の安全性については問題がないとの結論を出しましたが、シンジェンタ社では、トウモロコシBt10の種子が混入したトウモロコシBt11の種子を回収し、廃棄しました。
Q6.
日本にトウモロコシBt10は輸入されていますか。
A6.
米国政府によれば、トウモロコシBt10の理論的な作付面積は、米国でのトウモロコシ作付面積の割合の0.01%程度であり、仮に日本に輸入されていたとしてもごくわずかであるとしています。
Q7.
トウモロコシBt10が混入している製品を食べても大丈夫ですか。
A7.
米国政府の評価によれば、安全性未審査であるものの、トウモロコシBt10を食用としても安全性に問題はないとしており、栽培されたトウモロコシやその製品の回収は行われていません。このため、仮に摂取したとしても、食品安全上の問題はないと考えられています。
Q8.
厚生労働省では今後どのような対応をとりますか。
A8.
米国政府の評価によれば食品安全上の問題はないとされていますが、我が国においては安全性未審査の遺伝子組換え食品は食品衛生法により販売等が認められていません。
このため、(1)トウモロコシBt10に対し、全船で輸入時検査を行い、トウモロコシBt10が混入していることが判明した場合には、食品衛生法に違反するものとして積戻し等の措置を行います。(2)また、米国に対しては、我が国に輸出されるトウモロコシにBt10が混入しないよう対応を要請するとともに、(3)シンジェンタジャパン社にはトウモロコシBt10の安全性を確認するために必要な資料を提出するよう要請しています。
なお、これまでの検査結果は以下のとおりです。
このため、(1)トウモロコシBt10に対し、全船で輸入時検査を行い、トウモロコシBt10が混入していることが判明した場合には、食品衛生法に違反するものとして積戻し等の措置を行います。(2)また、米国に対しては、我が国に輸出されるトウモロコシにBt10が混入しないよう対応を要請するとともに、(3)シンジェンタジャパン社にはトウモロコシBt10の安全性を確認するために必要な資料を提出するよう要請しています。
なお、これまでの検査結果は以下のとおりです。
米国産の食品用トウモロコシ(デントコーン)にかかるBt10の検査結果
(平成17年5月9日〜8月25日、速報値)
品目
届出件数
届出重量(t)
検査実施
件数 検査結果
判明件数 違反件数
件数 検査結果
判明件数 違反件数
とうもろこし
(非組換え) 264 1,280,399 82 78 0
(非組換え) 264 1,280,399 82 78 0
とうもろこし
(組換え) 21 117,097 8 8 0
(組換え) 21 117,097 8 8 0
とうもろこし粉
22
355
1
1
0
合計
307
1,397,851
91
87
0
(参考)
食品として輸入届出があったトウモロコシ(デントコーン)の輸入実績
(平成16年次の速報値)
品目名
生産国
届出件数(件)
届出重量(kg)
とうもろこし(遺伝子組換えでない)
アメリカ合衆国
575
2,960,886,127
中華人民共和国
24
93,791,265
ブラジル
4
37,570,330
アルゼンティン
5
5,000,000
フランス
28
2,163,000
オーストラリア
22
1,250,262
ペルー
3
7,525
メキシコ
1
9
小計
662
3,100,668,518
とうもろこし(遺伝子組換え)
アメリカ合衆国
57
666,140,827
とうもろこし(遺伝子組換え不分別)
中華人民共和国
68
92,235,850
ペルー
10
32,000
ブラジル
2
4,080
小計
80
92,271,930
総計
799
3,859,081,275
品目名・数値は輸入食品監視支援システム(FAINS)の検索結果による。
遺伝子組換え食品一般のQ&A
https://www.mhlw.go.jp/topics/idenshi/qa/qa.html