III. 調査結果の概要と今後の対応について
1. 調査結果の概要
(1) 中絶胎児に関する条例の有無
妊娠4か月(12週)未満の中絶胎児の取扱いに関する独自の条例を制定しているのは、7都道府県及び4保健所設置市と、全体の10.6%であった。
具体的な条例の内容としては、妊娠4か月(12週)未満の中絶胎児について、(1)許可を受けた収集処理業者による取扱いを定めたもの、(2)火葬場での取扱いを定めたものなどが見られた。
(2) 中絶胎児に関して火葬場での焼却許可を与える制度の有無
妊娠4か月(12週)未満の中絶胎児について、火葬場での焼却許可を与える制度をもつ市町村の有無を調査したところ、28道府県において1つ以上の市町村がこうした制度を有しており、また35保健所設置市において、こうした制度があった。
(3) 中絶胎児を廃棄物処理業者が取り扱うことの有無
廃棄物処理業者が、業務として妊娠4か月(12週)未満の中絶胎児を取り扱うことがあるのは、21県及び11保健所設置市と、全体の30.8%となっている。
(4) 廃棄物担当課による中絶胎児の取扱いに関する指導の有無
都道府県及び保健所設置市の廃棄物担当課により、妊娠4か月(12週)未満の中絶胎児の取扱いに関する指導がされているのは、3道県及び3保健所設置市と、全体の5.8%にとどまっている。
このうち、火葬場で取り扱うよう指導が行われている自治体は4か所、胞衣(えな)・産汚物等に係る条例に基づくよう指導が行われている自治体は2か所となっている。
2. 今後の対応
今回の調査結果によれば、妊娠4か月(12週)未満の中絶胎児の取扱いについて、現在、廃棄物処理業者が収集し、感染性一般廃棄物として焼却している実態があることが判明した。
中絶胎児については、妊娠4か月(12週)未満であっても、生命の尊厳に係るものとして適切に取り扱うことが必要であり、自治体によっては、
(1) 胞衣・産汚物に係る条例を定め、この条例により許可を得た収集処理業者が、医療機関から妊娠4か月(12週)未満の中絶胎児を廃棄物とは別に収集し、許可を受けた処理場で焼却する
(2) 胞衣・産汚物に係る条例を定め、この条例により許可を得た収集業者が妊娠4か月(12週)未満の中絶胎児を収集し、火葬場で焼却する。又は、この条例により医療機関が火葬場で焼却する
(3) 市町村の指導等により、医療機関が妊娠4か月(12週)未満の中絶胎児を火葬場で焼却する
といった取扱いがされていた。
厚生労働省及び環境省は、こうした(1)〜(3)の取扱いについて各自治体の参考とされるよう周知することとしており、また、すでに条例を定めている自治体においても、その適切な運用が図られるよう注意喚起を行うこととしている。