情報通信機器の活用による在宅就業実態調査結果報告
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(別添)
平成13年度家内労働等実態調査結果の概要
〜情報通信機器の活用による在宅就業実態調査〜
平成13年度家内労働等実態調査〜情報通信機器の活用による在宅就業実態調査〜は、家内労働類似の働き方である在宅ワークを含めた在宅就業(パソコン、ワープロあるいはファックスなどの情報通信機器を使って自宅で請負・フリーの仕事を行うこと)の契約条件などの実態等を把握し、在宅就業対策の推進の基礎資料とすることを目的として実施したものである。
I 発注者調査
1 事業所に関する事項
業種別で最も多かったのは「情報サービス・調査」(34.1%)で、「出版印刷」(27.8%)、「デザイン・設計」(22.5%)がこれに続く。
常用労働者数別規模では「5〜29人」(58.7%)が最も多く、「0人」(2.1%)、「1〜4人」(21.6%)を合わせると、全体の8割以上が29人未満規模であった。
2 発注に関する事項
(1) 在宅就業者への発注開始時期及び理由
在宅就業者への仕事の発注を開始した時期は「1998年〜2000年」(23.5%)が最多で、「2001年以降」(6.6%)を含めると、1998年(平成10年)以降に発注を開始したものは、全体の3割を占める。「1995年〜1997年」(19.1%)を含めると、1995年(平成7年)以降に発注を開始したものは、全体の約半数に及ぶ。
在宅就業者への仕事の発注を開始した理由(2つ以内の複数回答)としては、「専門的業務への対応」、「繁忙期への対応」が多い。
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画像:図表2−1 在宅就業者への発注開始理由(2つ以内の複数回答)]
3 仕事を発注する在宅就業者の募集・選考に関する事項
(1) 在宅就業者の募集ルート・手段、選考方法
在宅就業者の募集ルートとしては、「社員からの紹介」、「募集せずに会社から直接依頼」、「本人の売り込み」、「退職(予定)者からの応募、申し出」、「在宅就業者からの紹介」、「取引先からの紹介」などが多かった。一方、「新聞広告、情報誌」、「インターネット」といった、不特定多数を対象とした募集媒体の利用率は低かった。
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画像:図表3−1 在宅就業者の募集ルート・手段(複数回答)]
在宅就業者の選考方法(複数回答)では「面接試験」(47.2%)が最多であり、「実技試験」(27.3%)、「書類審査」(24.4%)がこれに続く。
選考に当たって重視する点としては、「責任感、信頼性」、「当該職種の経験」、「高度な能力、熟練度」、「仕事への意欲、積極性」などが多かった。
[画像:図表3−2 在宅就業者の選考基準]
(3) 選考後の在宅就業者への仕事の発注形態及び取引停止の事前予告の状況
選考後の仕事の発注形態は、「恒常・定期的に発注」が38.6%、「仕事毎に選考、契約する」が30.9%、「登録型」が25.6%であった。
「恒常・定期的に発注」及び「登録型」としている者のうち、約半数が取引停止を事前に予告をしている。うち約半数が1ヶ月以上前に予告を行っていたが、直前に通告するものも見られた。
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画像:図表3−3 取引停止の事前予告の有無]
4 契約条件に関する事項
(1) 契約の締結方法
契約は、初回契約時は半数近くが書面(「契約書方式」、「伝票形式」、「メモ程度」)で交わす一方で、「口頭」も40.7%あった。「電子メール」による契約は11.2%であった。
一方、2回目以降の契約方法(複数回答)では、「電子メール」や「口頭」など、より簡便な方法へシフトする傾向が見られる。
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画像:図表4−1 初回及び2回目以降の契約方法]
(2) 報酬額の設定
報酬額の単位は、「出来高」(79.9%)が最多で、以下「実際の所要時間」(12.1%)、「出来高から換算した所要時間」(7.6%)であった。
報酬設定にあたり重視する事項(複数回答)は、「仕事の難易度」、「在宅就業者の実績、能力」、「同業者の地域相場」などが多い。
報酬の支払時期は、「1ヶ月に一度」(60.6%)が最多である一方、納品の都度(1ヶ月超)も15.0%見られた。報酬の支払いは、「銀行口座振り込み」(86.7%)が最も多い。
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画像:図表4−3 報酬設定に当たり重視する事項(3つ以内の複数回答)]
(3) 納期及び納品方法
納期は「業務上の要請に合わせ決定」(50.2%)が最多で、「管理者と在宅就業者が調整、合意の上設定」(33.9%)がこれに続く。文書入力作業に関し納品方法を尋ねたところ、ネット利用のイメージに反し、69.3%が「フロッピーディスク」と回答した。
(4) 成果物の評価
成果物の評価は、「定まったやり方で行っている」(10.0%)、「成果のチェックなどを通じて評価している」(66.7%)を合わせると8割弱が実施しており、報酬単価や次回の仕事発注にかなりの割合で影響を及ぼしている。
5 健康管理・能力開発
健康診断は、大多数が実施していなかった。
在宅就業者の能力開発については、85.6%が「関心がある」と回答したものの、実施主体については75.5%が「個人で行うべきである」としており、実際に能力開発を行っているのは26.5%に留まった。
6 トラブル対応
(1) 問い合わせ・苦情管理体制
在宅就業者からの問い合わせや苦情管理に関しては、「専任者を配置している」(19.7%)、「個々の業務担当者が管理している」(47.0%)であり、「特にいない」は33.3%であった。
在宅就業の管理台帳は、「備え付けてある」ものが40.3%で、半数強は備え付けていなかった。
7 在宅就業者への発注の将来展望
過去3年間の発注量の変化は、「増えた」(34.1%)、「変わらない」(33.5%)、「減った」(32.4%)が拮抗している。
今後の発注量見込みは「現状維持」(38.1%)が最多で、「拡大させる」(32.2%)と合わせると7割に及び、「減少させる」(7.6%)、「中止する」(0.6%)はあわせても1割に満たない。「わからない」は21.4%であった。
II 在宅就業者個人調査
1 在宅就業者に関する一般的事項
回答のあった在宅就業者の男女比は、男性29.3%、女性70.1%であった。配偶者の有無については、男性の65.5%、女性の76.0%が配偶者ありであった。
年齢構成は30代が43.7%、40代が33.3%で、平均年齢は41.2歳であった。男性は40代(36.4%)が最多で、平均年齢は44.5歳であったのに対し、女性は30代(50.2%)が最多で、平均年齢は39.8歳であった。
同居の子供については、回答者の60.8%が「ある」と回答し、末子が6歳までの未就学児である者の割合は26.1%であった。これを男女別で見ると、男性では同居の子供ありが48.2%、末子未就学が18.2%であるのに対し、女性では同居の子供ありが66.5%、末子未就学が29.7%と、いずれも女性の方が割合が高かった。
在宅就業を始めてからの期間は、「2〜3年未満」(23.5%)と「10年以上」(22.7%)がやや高い割合を示しているが、ほぼ全カテゴリに均等に分布していた。
在宅就業を始めた理由としては、男性は「自分のペースで柔軟・弾力的に働けるため」が最多であるのに対し、女性は「育児や介護等、家事と仕事の両立のため」が最多であった。
[
画像:図表1−1 在宅就業を始めた理由(男性)(複数回答)]
[画像:図表1−2 在宅就業を始めた理由(女性)(複数回答)]
2 在宅就業に関する事項
(1) 現在実施している主な職種
現在実施している主な職種としては、男性では「設計、製図、デザイン」、「システム設計、プログラミング」が多く、女性では「文書入力」、「設計、製図、デザイン」、「データ入力」が多い。
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画像:図表2−1 現在の主な職種]
(2) 在宅就業を始めるに当たっての準備内容
在宅就業を始めるに当たっての準備内容(複数回答)としては、「OA機器の購入」、ついで「ソフトウエアの購入」が多かった。また、女性で多かったのは「机等備品の購入」であった。
準備にかかった費用はばらつきが見られるが、全体的に男性の方がかかった費用は高く、100万円を超える者は男性29.1%、女性8.0%であった。
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画像:図表2−2 在宅就業を始めるに当たっての準備内容(複数回答)]
(3) 仕事の依頼主の見つけ方
仕事の依頼主の見つけ方(複数回答)としては、「以前の勤め先」、「仕事仲間の情報、紹介」、「以前の勤め先関係の知人の紹介」など、知人等を通じて仕事の依頼主を見つける者の割合が高かった。一方、「求人広告への応募」、「仲介的な会社・個人」、「インターネットの情報」など、不特定多数を対象とした募集媒体の利用率はあまり高くなかった。
[
画像:図表2−3 仕事の依頼主の見つけ方(複数回答)]
3 仕事の実施状況
在宅就業による年収・年商の概算を男女別で見ると、男性は高所得層に、女性は低所得層にピークが存在しており、149万円までの層が男性では21.8%であるのに対し、女性では68.1%に及ぶ。また、500万円を超える層を男女別で見ると、男性26.4%に対し、女性では3.8%に留まり、男女間格差が大きい。
[
画像:図表3−1 男女別年収・年商概算]
[画像:図表3−2 男女別年収・年商概算(累計度数分布)]
平成14年2月中の在宅就業の仕事の実施状況を見ると、就業日数は「21日以上」(男性32.7%、女性20.2%)、「14〜21日未満」(男性42.7%、女性38.4%)で、男性の方が就業日数は長い傾向にあり、また、仕事をした日の1日当たりの平均就業時間は「10時間以上」(男性22.7%、女性9.5%)、「8時間〜10時間未満」(男性31.8%、女性11.8%)と、同じく男性の方が長い傾向にある。このように、1ヶ月当たりの就業延べ時間数にも男女間でかなりの格差が認められ、年収・年商レベルの格差の要因の一つになっている。
4 契約及び報酬に関する事項
仕事の契約方法(複数回答)としては、「口頭」が最多で、ついで「電子メール」であった。書面による契約(「契約書方式」、「伝票形式」、「メモ程度」)はどの方式も同程度であった。
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画像:図表4−1 仕事の契約方法(概数回答)]
仕事の報酬単位(複数回答)としては、「出来高」(67.2%)が最多で、「実際の所要時間」(22.9%)がこれに続く。仕事の報酬決定手順(複数回答)は、「依頼主が設定する」(53.1%)が最多で、「依頼主が設定し、必要があれば交渉」(31.5%)と「自分で提示し、依頼主と調整」(28.8%)が同程度であった。
6 健康管理及び能力開発に関する事項
(1) 健康管理
「肩こり」は、「かなり感じている」(男性18.2%、女性36.1%)、「やや感じている」(男性31.8%、女性35.7%)の両者を合わせると、男性の半数、女性の7割が自覚症状を訴えている。「眼精疲労」では、「かなり感じている」(男性25.5%、女性33.1%)、「やや感じている」(男性40.9%、女性43.7%)の両者を合わせると、男女とも4分の3が自覚症状を訴えている。「腰痛」では、「かなり感じている」(男性10.0%、女性13.7%)、「やや感じている」(男31.8%、女性30.0%)の両者を合わせると、男女とも4割が自覚症状を訴えている。
治療・通院率は「かなり感じている」グループの方が「やや感じている」グループより高いものの、大多数の回答者は治療・通院をしていない。
(3) 他の在宅就業者との交流
他の在宅就業者との交流の機会については、男性の64.5%、女性の53.6%が「必要だと思う」と回答した。「必要だと思う」と回答した者に対し交流への積極性を尋ねたところ、男性では「積極的」(14.1%)、「比較的積極的」(33.8%)の両者で半数近くを占めたのに対し、女性では「あまり積極的でない」(47.5%)、「消極的」 (19.1%)の両者で3分の2に及んだ。
交流に「積極的」、「比較的積極的」と回答した者に、仲間とどのように接触しているかを尋ねたところ、男性では「電話や電子メールによる接触」(50.0%)が主流であったが、女性では「仲間とグループを作って共同受注を行う等の活動をしている」(34.0%)が最多であった。
一方、「あまり積極的でない」、「消極的」と回答した者に仕事グループや人的ネットワーク等の交流に参加する条件を複数回答で尋ねたところ、「近くで行われる」(56.5%)が最も多く、ついで「インターネット上での交流」(38.9%)であった。
7 在宅就業に係る将来展望
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