05/12/20 第9回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会議事録 第9回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会議事録 1 日 時 平成17年12月20日(火)10:00〜11:25 2 場 所 厚生労働省専用第21会議室 3 出席者 【委 員】公益委員 今野部会長、石岡委員、勝委員、武石委員 労働者側委員 加藤委員、須賀委員、??石委員、??橋委員、 中野委員、横山委員 使用者側委員 池田委員、川本委員、杉山委員、竹口委員、 原川委員、前田委員 【事務局】厚生労働省 青木労働基準局長、松井審議官、 前田勤労者生活課長、名須川主任中央賃金指導官、 山口副主任中央賃金指導官、梶野課長補佐 4 議事次第 (1) 今後の最低賃金制度の在り方について (2) その他 5 議事内容 ○しろまる今野部会長 ただ今から、第9回「労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会」を開催いたしま す。本日は田島委員、中窪委員がご欠席です。 本日の議題は「今後の最低賃金制度の在り方について」です。前々回お示しした公益 委員試案を、前回労使からいただいたご意見を踏まえて修正いたしました。労使には、 事前にお送りしてあります。その内容について私から説明をさせていただき、それでご 意見をいただくことにいたします。 資料1−1は修正(案)です。資料1−2が前回の試案です。前回の議論を踏まえ、 かつ、公益委員とも相談をさせていただき、資料1−1の修正(案)を作成いたしまし た。資料1−1は資料1−2の2頁目以降に差し替えると考えていただければと思いま す。資料1−1の変更部分については、点線のアンダーラインを引いてありますので、 本日はその辺を中心に説明させていただきます。 細かい内容に入る前に、修正案は全体の構成を変えましたので、その構成についてお 話をさせていただきます。資料1−2の2頁からの「産業別最低賃金等の在り方につい て」、4頁からの「地域別最低賃金の在り方について」の2つの構成は、最初に「基本 的考え方」という項目を用意し、その次に大きな2で「具体的方向」という項目を用意 し、3頁の大きな3で「運用に係る事項」という構成をつくっておりました。 特に「産業別最低賃金制度の在り方について」の2頁から3頁辺りで「基本的考え方」 については、本日お示しした修正案でも構成は変わっておりません。ただ、前回は2の 「具体的方向」のところに、法改正に係る事項と運用に係る事項が混在していて、大変 わかりにくい内容になっておりましたので構成を変えました。「具体的方向」の中の法 改正に係る事項については、資料1−1の1頁の2「具体的方向」のところでまとめさ せていただきました。古い案の「具体的方向」の中にあった(2)の(運用に係る事項) と、古い案の3「運用に係る事項」をもう一度まとめ直しました。それで、運用の基本 方針に係る事項を、修正案の2頁の(2)の「運用の基本方針」のところでまとめさせ ていただきました。さらに運用の詳細について、つまり改正法施行までに引き続き検討 することが必要な事項については、修正案の2頁の(3)の「運用の詳細」にまとめさ せていただきました。このように構成を変えさせていただきましたので、その点につい てご理解をいただければと思います。それが全体の話になります。 個々の内容に入ります。資料1−1に沿ってお話させていただきます。1「基本的考 え方」については前回と変わっておりません。大きな2の「具体的方向」についての(1) 基本的な枠組みの(1)「職種別設定賃金」のところにかなり変更があります。(1)の部分に ついては、前回使用者側から、内容をもう少し具体的にしてほしいというご意見があり ましたので、それを踏まえて枠組みを具体的にイメージできるように、条文に近い形で 変更させていただきました。さらに、現行の最低賃金法第11条、これは労働協約の拡 張適用方式に係る条項ですが、それと産業別最低賃金に係る申出に係る第16条の4の 2つをミックスしたようなイメージで作成させていただきました。 (1)の最初のポツは申出の手続に関する部分です。「労働者又は使用者の全部又は一部 を代表する者は、労働協約の適用状況等が一定の要件を満たす場合に、厚生労働省令で 定めるところにより、厚生労働大臣又は都道府県労働局長に対し、職種別設定賃金の決 定を申し出ることができる」としてあります。 その次のポツは、決定の手続に関する部分です。「厚生労働大臣又は都道府県労働局 長は、上述の申出があった場合において必要があると認めるときは、最低賃金審議会の 意見を聴いて、一定の職種の労働者(適用対象労働者)についての下限となる賃金(職 種別設定賃金)の決定をすることができる」としてあります。 その次のポツは、職種別設定賃金の民事効に係る部分ですが前回と変わっておりませ ん。ただ、はっきりさせるために一番最後の(民事効)にアンダーラインが引いてあり ますが、新たに挿入してあります。(2)の労働協約拡張方式については前回のままです。 (3)その他については、前回使用者側の意見として、移行期間の期限を明確にしろ、あ るいは5年、10年の移行期間だと規制改革の概念に反するというお話がありました。 それを踏まえて(3)のその他のポツのところでは「改正法施行後3年程度」とさせていた だきました。これは、旧産業別最低賃金から新産業別最低賃金への移行のときが3年だ ったので、それを参考にしたということです。 もう1つこのポツに関して、前回使用者側から、移行期間中に産業別最低賃金の新設 をすべきではないというご意見がありました。それで、ここでは移行期間中の産業別最 低賃金の取扱いについて新設はできない、ただ改正は行える、という文章にしてありま す。これも、昭和43年の業者間協定方式が廃止されるときの経過措置と同じ扱いにし てあります。 (2)運用の基本方針については6つのポツがあります。1番目のポツは前回と変わ っておりませんのでアンダーラインはありません。 2番目のポツで、「『職種別設定賃金』決定の申出は、賃金に関する労働協約が一定程 度以上締結されている場合に、一定数以上の労働者又は使用者の申出により行うことが できるものとする」としてあります。要するに、決定の申出の手続についてここに書い てあります。申出の要件として、重要な点の第1点は、賃金に関する協約が一定程度締 結されていることを要件として、ここで明示してあります。したがって、協約がない場 合には申出はできないことになろうと考えています。さらに、先ほど読みましたように、 申出は一定数以上の労働者又は使用者の申出によりできる、としてあります。 3番目のポツには、アンダーラインが2カ所あります。「全国」とか、2行目の「一 定の地域の」という文面を追加しております。これは、適用対象労働者が地域限定でも 可能ですよ、ということを明示するために追加してあります。 4番目のポツの「また、職種については」の文章のところは職種の定義の部分ですが、 ここは前回のままになっております。 5番目のポツは、最低賃金審議会の審議についての部分です。「『職種別設定賃金』の 設定に係る最低賃金審議会の審議については、現行の産業別最低賃金のように必要性審 議と金額審議を分けて行わないこととする」としてあります。先ほど言いましたように、 労働協約の一定程度の締結が申出の必要要件としてありますし、そういう点では労使の 自主的な取組みが基本ですので、行政の関与は少なくするという趣旨から、必要性審議 と金額審議を分けて行わないことにしてあります。 6番目のポツは、「厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、最低賃金審議会の労使が 合意した場合に、『職種別設定賃金』の決定を行うものとする」ということです。基本 としては、大臣・局長が最低賃金審議会の意見を聴いて決定することになりますが、労 使の自主的な取組みが基本ですので、審議会で労使が合意した場合に決定することにし てあります。この趣旨については、前回の試案と同じです。 「運用の詳細」の部分では、下の2行全部にアンダーラインが引いてあります。「下 記に掲げる運用の詳細に関しては、改正法施行までの間に、引き続き関係審議会におい て検討し、具体的内容を決定するものとする」ということにしました。特に、ここでは 「関係審議会」という言葉を使っております。これは、省令等の制度改正に係る運用事 項の場合には、たぶんここの部会で議論することになると思いますし、純粋な運用事項 だったら中央最低賃金審議会で議論することになるでしょうということです。審議内容 によって、議論する審議会が異なるということを明確にするために、ここでは「関係審 議会」という言葉を入れております。 その下の4つのポツが具体的な内容になります。この4つが、運用の詳細に係る検討 事項だということです。1番目のポツは「申出要件に係る『一定程度以上』及び『一定 数以上』については、厚生労働省令で定めることになるが、その内容」を検討するとい うことです。これは、上の(2)の2つ目のポツの決定の申出の手続の部分で「一定程 度以上」とか、「一定数以上」という言葉が使ってありますので、その点について検討 する必要があるということです。 2番目のポツは「『職種別設定賃金』の最低賃金審議会における審議に係る労使の合 意を含めた取扱い」ということです。これも上の(2)の一番最後のポツの1行目に「最 低賃金審議会の労使が合意した場合に」と書いてありますので、労使が合意したという 取扱いをどうするか。つまり全会一致にするのか、それ以外の合意にするのかを検討す る必要があるということです。 3番目のポツは「適用対象労働者の範囲や職種別設定賃金の水準の設定・改正に係る 手続」、あるいはその次のポツの「移行期間中における産業別最低賃金と職種別設定賃 金の適用の在り方」の2つについては、前回使用者側からご意見をいただきましたので、 その点について検討する必要があるだろうということで、ここに検討事項として追加し ております。以上が、産業別最低賃金の改正内容です。 今申し上げたことをイメージしていただくために、資料2と資料3を用意いたしまし た。資料2は、職種別設定賃金の「決定の流れのイメージ」図です。職種別設定賃金は 新しく作る制度ですので、その決定の手続を今後議論していただくことになりますが、 一応現段階でのイメージを資料2にまとめさせていただきました。 この資料の下半分に(参考)として、現在の「労働協約拡張方式」に基づく最低賃金 と産業別最低賃金の決定の流れ図も付けております。職種別設定賃金は、賃金に関する 協約が一定程度締結されている場合に申出を行うことができるということで、労働協約 があることをベースにしていることから、決定の流れとしては現行の労働協約拡張方式 に基づく最低賃金に近いイメージとしております。 審議会では、「『職種別設定賃金』の設定要件を満たしているか否か、適用対象労働者 の範囲をどうするかの審議」を行う。さらに「労働協約の賃金水準をそのまま拡張適用 させるか、一定程度調整して適用させるかどうかの審議」をすることにしてあります。 特に後者の審議である「労働協約の賃金水準をそのまま拡張適用させるか、一定程度調 整して適用させるかどうかの審議」をするという場合は、異議の申立ての手続は答申の 後になるようにそのイメージ図は作ってあります。なお、現行の産業別最低賃金につい ては、一番下の図にありますように、運用上必要性審議を分けて行っていますが、その ような形にはしないとしております。 資料3は「職種別設定賃金の適用対象労働者のイメージ」図です。今までは、どうい う労働者が対象かがわかりにくいというご意見がありましたので、イメージ図を作りま した。図の左側が、現行の産業別最低賃金で、右側が職種別設定賃金です。産業別最低 賃金は左にあるように、それぞれの産業で適用除外となる者以外に適用されることにな っています。職種別設定賃金については、適用対象労働者は、例えば一番上にある電機 産業を例に取れば技能職、一番下にある小売業を例に取れば販売職。これも職種として は例示ですが、こういった当該産業の職種に限定して、さらに一定程度以上の技能を有 することを要件とするというイメージになるだろうと思います。以上が、職種別設定賃 金についてです。 資料1−1の3頁は、「地域別最低賃金の在り方について」の部分です。ここは先ほ ど申しましたように、構成は変えましたが、内容上大きな変更点はありません。一部変 更がありますので、その部分についてのみ説明いたします。 「基本的考え方」の(2)「社会保障政策との整合性を考慮した政策を展開する必要 がある」のところで、一部にアンダーラインを引いております。前回の案では、「社会 保障政策と整合性のある政策」という表現でした。前回「社会保障政策との整合性を考 慮して」という表現の方がいいというご意見がありましたので、それを踏まえて今申し ましたような修正案にしてあります。 その次は、今の点と併せるようにして、2の「具体的方向」の(1)の(2)決定基準の 見直しの最初のポツのところも一部修正してあります。文章の後半から「生活保護との 整合性も考慮する必要がある」としてあります。これも前回の案では、「生活保護との 関係も考慮する」としてあったのですが、このように修正いたしました。 その頁の一番下の(4)の罰則の強化等については若干変更してあります。公益委員の基 本的な考え方として、罰金額の引上げは必要であるということについての考え方は変わ っていません。罰金額が高いの「高い」のところにアンダーラインが引いてありますが、 前回は「厳しいものとする」となっていました。罰金額が厳しいというのはおかしい、 額は高いものだということで修正しました。地域別最低賃金についての修正案は以上で す。 この修正案をベースにして、労使からご意見をいただき、公益委員としては年内に答 申ができるように最大限努力したいと考えております。以上、我々がどう修正したかを 理解してもらうために少し丁寧に説明をさせていただきました。 ○しろまる加藤委員 質問と意見です。中には、前回公益委員試案を示していただいたときに質問すればよ かった点もあろうかと思いますが、ご容赦いただきたいと思います。 2頁で質問です。(3)その他で「産業別最低賃金等」とありますが、この「等」という のはどういうことを指しているのかを教えてください。 2点目は移行期間の問題です。3年程度ということですが、ここで「改正法施行後3 年程度」ということにしてあります。今の説明だと、これについては旧産業別最低賃金 から、現行の新産業別最低賃金への転換のときの移行期間を参考にしたといいますか、 イメージしながらここに盛り込んだということでした。ここでいう「改正法」というの は、おそらく最低賃金法改正法なのかとは思うのです。ちょっと疑問があるのは、前回 の旧産業別最低賃金から新産業別最低賃金に移行したときには、法改正がなくて、最低 賃金法の枠の中での運用方針の見直しだったわけです。今度の場合は、最低賃金法の中 から産業別最低賃金に関する条文を削除して、新しい根拠法に基づいてそちらに職種別 設定賃金を移す、という形で新しい枠組みを作って誕生させることになるわけです。そ うすると、ここは改正法施行後なのか、あるいは別の根拠法を施行されてからなのかと いうことは非常に重要だと思うのです。 極端なことを言うので失礼があったらお許しいただきたいのですが、例えばこの3年 間に別の根拠法が施行されなかったということになったとすれば、移行とは何なのだと いうことになるのではないかと思っております。職種別設定賃金というのは、改正最低 賃金法をもってスタートするわけではなく、最低賃金法とは別の根拠法が施行されて初 めて機能することになるのだろうと思っております。したがって、現行産業別最低賃金 からの移行期間は、当然ながら最低賃金法とは別の根拠法施行後3年程度と認識するの が妥当だろうと思っておりますが、その辺の意見をお伺いしたいと思います。 これと関連して付加的に意見を申し上げます。もしそうであるならば、そのようにし ていただけるのであるならば。 ○しろまる今野部会長 それは、根拠法後ということですね。 ○しろまる加藤委員 ということにしていただけるのであれば、別の根拠法が施行するまでの間というのは、 新しい枠組みとしての職種別設定賃金が創設される土台がまだできていない段階であ るわけですから、当然その間は現行産業別最低賃金については改正のみならず、新設の 申出についても当然認められるべきではないかと考えております。意見と質問が交じっ ておりますけれども、その辺をよろしくお願いいたします。 もう1点は、「必要性審議と金額審議を分けて行わないこととする」ということにな っています。その下のポツのところで、「最低賃金審議会の労使が合意した場合に、『職 種別設定賃金』の決定を行うものとする」と。決定については、金額決定も含まれるわ けでありますけれども、現行の産業別最低賃金の場合には、昭和61年答申のときの考 え方として、当該産業労使、つまりその産業や職業に従事する直接の労働者又は使用者 による審議会構成で、団体交渉の補完機能を持たせようという趣旨があったわけです。 したがって2段構えになるかもわかりませんが、本審議会とは別に、関係する労使に よる専門部会構成で団体交渉の補完機能を持たせるという役割を果たしたわけです。こ こでいう、金額審議と設定審議を分ける必要がないということについて異論があるわけ ではありません。ここでいう「審議会の労使」というのは、いわゆる審議会労使なのか、 当該産業労使の代表が入った審議会という構成なのか、その辺についても明らかにする 必要があるのではないかと思っております。 場合によって、これは運用の詳細事項の中でそういうことを含めて議論するというこ とであれば、「運用の詳細事項の中で議論する」ということが明確にされればいいので はないかと思っておりますので、その点は意見になるかもしれませんが申し上げておき ます。以上3点お願いいたします。 ○しろまる今野部会長 今の3点について、私の考え方をお話いたします。1番の「産業別最低賃金等」につ いては、協約拡張方式も入っているので、ここで「等」としてあります。 大きいのは、2点目の移行期間の問題ですが、この案を作ったときには最低賃金法の 改正が行われてから3年ということでイメージして作っております。この辺についてご 意見はあると思いますが、一応ここでの考え方はそのように考えているということです。 3点目の、必要性審議と金額審議を分けないということについて、趣旨は本審とは別 に当該労使が集まっている専門部会でもつくってそこでやるのかということですね。そ の辺は先ほど加藤委員もおっしゃられたように、運用の詳細事項で今後ここで検討する ということだろうと考えております。 ○しろまる加藤委員 1点目と3点目はわかりました。2点目については非常に分かれるところです。最低 賃金法だという見解はいただいたのですが、そうすると矛盾が生ずると思うのです。「十 分な移行期間の中で円滑かつ実務面で大きな混乱が生じることのないように」と書いて あります。最低賃金法を改正する段階では、職種別設定賃金の根拠となる法は新しい枠 組みができていないわけです。 ○しろまる今野部会長 そのとおりです。 ○しろまる加藤委員 極端なことを言うと、その3年間、果たして施行されるかどうかも定かではない。し かも、職種別設定賃金が機能するのは根拠法施行後です。やはり、そのように改めない と矛盾するのではないかと思っております。そこは、意見として申し上げておきます。 ○しろまる今野部会長 わかりました。大変懸念されている点だということで理解させていただきます。 ○しろまる中野委員 2、3質問させていただきます。1点目は、資料1−2の2頁の2の「具体的方向」 の(1)の基本的な枠組みの中で、「関係労使が公正な処遇の確保の観点から必要と認 める職種」ということで、前回は「公正な処遇の確保の観点」という言葉が入っていた のですが、今回は「申出」ということになって「観点」が削られているのですが、その 理由を教えてください。 2点目は、資料1−1の2頁の(2)の運用の基本方針の一番最後のポツで、最低賃 金審議会で行うにもかかわらず「労使が合意した場合」ということで、最低賃金審議会 の構成者である公益委員が抜けているのですがここはどういう意味でしょうか。 ○しろまる今野部会長 1点目の、資料1−2の2頁の2「具体的方向」の(1)の最初のポツのところにつ いて、私はこういうことだと思っているのですが、文章から抜けたということであれば、 表現はまた考えさせていただければと思います。こういうことではない、と思って削っ たわけではありません。それは、表現を考えさせてください。 2点目は、資料1−1の2頁の(2)の一番下のポツのところについては、労使が合 意するというのが最低の必要条件だということです。それを踏まえて審議会で公益委員 も含めてどうやって議論していくのかについても、今後検討事項としたいと考えており ます。したがって、公益委員は一切議論に参加しないということではありません。その 辺についても、運用としてどうするかをご議論いただきたい、ここで検討したいと考え ております。 ○しろまる中野委員 今のことにかかわってですが、資料1−1の1頁の「具体的方向」の(1)の(1)のと ころで、「労働協約の適用状況等が一定の要件を満たす場合に」ということで、ここで も「関係労使の合意」が求められております。同じことが申出に係る要件の2頁の(2) 運用の基本方針の2ポツのところで「賃金に関する労働協約が一定程度以上締結されて いる場合」ですね。したがって、申出の段階で労働協約が一定程度締結されている場合 には、一定程度以上関係労使の合意があるということになりますね。 ○しろまる今野部会長 はい、なります。 ○しろまる中野委員 一定程度以上の合意があって、なおかつ審議会でさらに関係労使の合意をまた求める ということで、合意が2回必要になっていますので、その理由をお聞かせください。 ○しろまる今野部会長 申出のときの「労働協約が一定程度以上締結」というのは、一定程度以上の労使が合 意したわけです。でも、一定程度以外の労使は合意していないですね。 ○しろまる中野委員 そうです。 ○しろまる今野部会長 今度は下で職種別設定賃金を決定したときには、一定程度以上の労使を超えて適用で す。 ○しろまる中野委員 そうです。 ○しろまる今野部会長 したがって、もう一度ここで合意ということです。 ○しろまる中野委員 しかし、それは金額審議の段階ならば理解できますが、必要性の審議との関係で。 ○しろまる今野部会長 合体して議論するわけです。 ○しろまる中野委員 合体して議論します。しかし、このイメージ図で見るとわからないので教えてもらい たいということで、意見を申し上げているわけではありません。 ○しろまる今野部会長 我々も、イメージ図を作っているわけです。 ○しろまる中野委員 (1)と(2)と分かれています。そうしますと、一括審議といいながら、まず設定要件を満 たしているか否かのチェックが入って、適用労働者の範囲をどうするかを審議して、そ れで水準の議論ということになりますね。(1)というのは、いわば今までの必要性審議を いっているということにすぎず、今までの必要性の審議は本審でやっていて、金額審議 は専門部会で産業別最低賃金をやっていたのを、同じ審議会でやりますよ、ということ にすぎないのではないか。 そうしますと、必要性の審議は残るしというふうに考えれば、分けて行わないという 話とも違いますし、それから労使が合意してというところの合意が、それでは必要性で 合意がいるのか、あるいは金額審議で合意がいるのかといえば、合意、合意、合意が必 要であって、今より余計に繁雑になるし、困難になってきているのではないかという認 識を少し持ったものですから、説明をしていただきたいということです。 ○しろまる今野部会長 これはあくまでもイメージ図ですので、今のところ我々の少ない知識で作ってみまし た。そういう問題点があれば、やはり今後はここで検討していって、運営の仕方として、 もう一度ここで検討して合意をしていくことになると思います。今おっしゃられたよう な問題点があるということについては議事録に残ると思いますので、それを頭に入れて おいて今後検討したいと思います。 ○しろまる杉山委員 今の点は重要事項だろうと思いますので、その点についてだけ意見めいたことを申し 上げます。今までの産業別最低賃金のやり方の仕組みは使うけれども、その根本の精神 は全く違うということが、「労使が合意」ということを繰り返し言っていることに示さ れているというふうに、公益委員の試案を考えて私は読んでいるわけです。したがって、 今のように再度その肝心なところを検討して変えるというようなことがあるならば、こ れは精神が変わるわけですから、非常に問題があると思います。 公労使三者構成で、これと似た公益の意見についての例をあげると、労働関係調整法 関係の、賃金の調停とかあっせんということがあります。そういう場合には、労使の委 員が、それぞれの意向を出して、中で意見を言って、それで案がまとまった段階でなけ れば案を提示しないということにおいて、前提として労使の合意が入っていると私は考 えております。この内容は、そういうことを言っているのではないか。実質的に労使が その最終案を作る過程において意見が一致していなければ、その案自身をあっせん案と して示さないということと同じではなかろうかと考えてこれを読んでおります。以上2 点です。 ○しろまる今野部会長 ご意見として伺っておくということでよろしいですか。 ○しろまる杉山委員 はい。 ○しろまる中野委員 今の点で、私は少し違う意見を持っておりますので、申し上げておきたいと思います。 中央労働委員会なり地方労働委員会なりの、今の調停なりあっせんなりの話がございま したけれども、今回の職種別設定賃金なり現行産業別最低賃金との法的性格の違いがあ るのではないかというふうに考えております。調停なりあっせんということは、労働基 本権をきちんと付与されて、それを権利として行使している労働組合がそこに持ち込む 問題、あるいは最近は個人も出ておりますけれども、そういう所であります。 したがって、基本的には労働組合があって、団結権も、団体交渉権も、労働協約締結 権も、あるいは争議権すらも行使ができるということで、一方の対等性が確保された中 においてうまくいかない、問題が起こったので申請をした場合と、最低賃金なり職種別 設定賃金のように、基本的に権利を行使し得ない労働者を対象として制度を作っていか なければならないという所では、やはり基本的な性格は異なるのではないか。 公益の性格としては、そこにおける労使の対等性を確保するために、委員会方式なり 審議会方式なりでやられているわけであって、諸外国においても公益の役割というのは 非常に大きいだろう、という意味で民主的な運営である審議会で考えられるのではない かというふうに思っております。 したがって、これは私の理解はそういうことだということで申し上げますが、今、使 用者側の委員がおっしゃいましたことは確かにそのとおりだと思いますけれども、適用 する領域が少し異なっているのではないかと私は感じておりますので、その点だけ申し 上げておきたいと思います。 ○しろまる川本委員 事前に修正案をお示しいただいたわけですが、時間が限られていて到底使用者側でも 意見調整ができていない状況ですので、それぞれ個々の立場で本日は意見を言わさせて いただいている状況であることを、まず申し上げたいと思います。 その上で、本日配付していただきました「公益委員試案修正(案)」、これは先ほど言 いましたように事前にいただいたわけですけれども、早急に地方へも送り意見を集めて いるところで、まだ集約できていない状況です。地方の人たちも皆さん多忙な方たちで すので、なかなか意見集約できていない状況であることを、まず申し上げたいと思いま す。 その上で意見を申し上げたいと思います。今回は法律改正と運用事項に分けて整理さ れたということで見やすくなったかと思っております。まず最低賃金法の改正部分につ いてです。ここにつきましては前回も申し上げましたけれども、私どもはすべての労働 者を対象に地域別最低賃金が設定されている中で、屋上屋を架す形で別途設定されてい る産業別最低賃金については廃止をすべし、ということを従来から主張してきたわけで す。 今回の試案につきましては、「最低賃金法を地域別最低賃金に特化する」という表現 でありますけれども、産業別最低賃金を廃止するという考え方が示されている点は評価 をさせていただいているところです。 ただし、前回も何点かこの法律改正事項の部分についても意見を申し上げております けれども、特に地域別最低賃金のところについては、「生活保護との整合性も考慮する 必要があることを明確にする」という表現があります。この部分については地方からは 大変反対があります。労働の対価である最低賃金と関係ないではないか、ということで 反対が出されております。したがって、ここの部分の表現は非常に反対である、という ことを意見として申し上げておきます。 一方、(別の法律で措置する事項)という書き方になっていて、この「職種別設定賃 金」という名称になっておりますけれども、これを設けるという考え方が示されており ます。ここにつきましては、屋上屋を架すということには変わりがない。前回も申し上 げましたけれども、こういう中で地方からは様々な意見が出されているところです。 今後とも地方の意見を聞きつつ、1頁の大きなIの1の(2)「産業別最低賃金は」 というところからいき、「別に法的根拠を設け、円滑な対応ができるようにする」とい うところが職種別設定賃金につながっていくところだと思いますけれども、この部分、 あるいは2以降に書いてあります「職種別設定賃金」の様々な部分がありますけれども、 この職種別設定賃金そのものの設置の是非も含めて、今後議論していきたいと思ってお ります。 いずれにしても、前回も申し上げましたけれども前の試案、それから今回の修正案に ついても、この内容では到底賛同できる内容になっておりません。したがって、時間を かけて議論していきたいと思っておりますし、その過程で私どもも地方の意見をいろい ろ、様々聞きながら反映していきたいと思っております。 ○しろまる原川委員 今、川本委員がおっしゃった地方との関係については、私どもも考え方は同じです。 1つ質問兼意見というようなことで申し上げたいのは、屋上屋という問題で資料1−1 の2頁の移行期間のところにも関係するのですけれども、移行期間中は職種別設定賃金 の別の法律が施行された場合に、従来の産業別最低賃金と、新しい職種別設定賃金のダ ブりの問題、3階建てという話の問題はどうかということ。もう1つは、移行期間後に おいても、従来の産業別最低賃金を設定している産業が、新しい職種別設定賃金を設定 するような場合に、職種別設定賃金の対象外となった従来の産業別最低賃金の適用者・ 対象者は新しい職種別設定賃金の対象から外れることになります。事実上は、その移行 期間が終わった後は最低賃金法の保護は受けられなくなりますけれども、従来の産業別 最低賃金のレベルは実質的に担保されるのではないか。これは、もし間違いがあったら 指摘していただきたいのです。 不利益変更は、なかなかこういう理由では認められないと思います。そうすると、実 質的に移行後もかなりの期間産業別最低賃金のレベル、従来の産業別最低賃金適用者に ついては、かなりの期間そのレベルが保障される。なおかつ、新しい職種別設定賃金が できるということになると、その職種別設定賃金の額と、産業別最低賃金の従来の額が 同じであれば従来と変わりないと。要するに、従来の産業別最低賃金の中に、職種別設 定賃金というのは包含されるものと考えられますから、従来と変わりないということに なります。 もし職種別設定賃金の方が高いということになると、しばらくの間、これはかなり長 い期間だと思いますけれども、実質的に保障される賃金というのは3階建てになるので はないかと考えられるのですが、その辺はどういうふうにお考えなのかをお聞きしたい と思います。 ○しろまる今野部会長 今の点は、問題点としてはよく理解いたしました。その点についてどうするかという ことについては別に成案があるわけではなくて、そういう点も含めて運用の詳細の中で 検討しなければいけないと私は認識しております。 ○しろまる池田委員 私は、商工会議所の立場の意見です。全体として、細かいことは別にして前にも申し 上げたように、今も他の委員も申し上げているように、産業別最低賃金を削除されるの は評価いたしますが、年内にこの論議をまとめるように努力はいたしますけれども、非 常に難しい問題があるということが1つです。 その1つの理由は、地域別最低賃金についても、生活保護の問題、罰則の強化、適用 除外の規定の削除といろいろ問題で、どちらかというと今よりも規制がきつくなる。地 域別最低賃金だけ取ってみても、今よりも規制緩和ではなくて規制強化になるのではな いかということがあります。同時に、ここで産業別最低賃金がなくなった場合に、新し い骨組みになったものが本当に規制緩和になるのか。経営者にとっては、かえって厳し いものになるのではないかという疑念を払拭するには、非常に時間が少ないという問題 があります。 日本商工会議所でも、労働小委員会を2度やりましたが、まだまだ産業別最低賃金と の比較が理解されておりませんし、アンケートも取っておりますが時間的に無理だとい うことです。単に通常国会を通したいということだけでは、全国の商工会議所を説得す るのは大変だという意見もあります。各種委員会を年末に開催するのは非常に大変だと いう意見もあります。先ほどお話した地域別最低賃金の規制の強化の問題と、時間的な 問題で年内にこれをまとめるのは非常に厳しい状況だということがあります。 根本的にこれを年内にまとめるという場合は、産業別最低賃金を廃止することは公労 使の合意事項とされても、基本的な骨組みとか運用の方針の問題は年内に結論が出るか というと、なかなか難しい問題があると思います。労働者側はわかりませんけれども、 労使の両論併記という形でしていただくというようなことになると、多少検討の余地は あるのではないかと思っておりますが、今ここで短時間で決められるとまだまだ疑念が 多いということです。 職種別設定賃金の問題点にしても、それができた場合に県内の同業各社が自動的にそ の対象になって、先ほど言われていましたように、産業別最低賃金ではかかわっていな い業種までかかわってくるのではないかということで、むしろ労使合意ではなくて、各 企業ごとの全会一致にするといったものがある程度織り込めるのであれば、検討の余地 もあるかということです。大勢として年内にこれをまとめるのはなかなか難しいという 状況を報告しておきます。 ○しろまる加藤委員 ただ今、使用者側の皆さんからのご意見がありましたけれども、私どもは産業別最低 賃金廃止ありきで、前回お示しいただいた公益委員試案を了としたわけではないという ことをまず申し上げておきたいと思います。公益委員試案は、基幹的職種に応じた企業 横断的な処遇の確保を通じて、労働生産性の向上に資することを目的とする、というこ とが記載してあります。そういう目的で職種別設定賃金を従来の産業別最低賃金とは別 の枠組みとして設定することを謳っているわけです。 そのためには、運用の基本方針に書いてあるように、申出に係る要件などについては、 現行の産業別最低賃金の運用上の要件なども配慮した上で、実効が上がるようなものに することが新しい枠組みの前提条件になっているわけです。そのような構造設計の下に、 公益委員試案が出来上がっているものと我々は理解しているわけです。したがって、了 としたわけです。 ところで、現行の産業別最低賃金に関しては、昭和61年の答申以来、この20年近く にわたって2分の1、あるいは3分の1の合意など、申出要件の確保をはじめとして、 本当に汗をかいて設定と改正に努力してきたのは労働者側であるわけです。もちろん、 使用者側の各地方審議会における、使用者側の皆さんのご理解とご協力もいただきなが らここまで育ってきたのではないかと思っているわけです。 そんな中で我々としては、産業別最低賃金が廃止になることについては、前回須賀委 員から申し上げたとおり大変大きな痛手であることをまず感想として申し上げたわけ です。しかし、実効性の高い職種別設定賃金の創設を提起している公益委員試案に一定 の理解を示して了としたものであるわけです。 そのための今後の運用の在り方に関する、継続審議に臨むに当たっての基本スタンス は、これから詳細審議の中で議論すればいいわけですから、今決めろという意味ではな くて、その基本スタンスを前回須賀委員から労働者側見解として述べさせていただいた わけです。その考え方は、今時点でもいささかも変わるものではありません。 仮に、まず廃止を決めようということであれば、それは理解できない。また、仮に実 効性を下げるために鉄筋を何本か抜いて不安定な構造にするということをやるならば、 法体系の在り方も含めて原点から議論する必要があるのだろうと思っています。私ども は、この部会の中で何回にもわたって議論しながら積み上げてきた審議を尊重しながら、 そういう立場で見解をまとめたということについて改めて申し上げておきます。 ○しろまる須賀委員 先ほど、川本委員から気になる発言を加藤委員から労働者側の立場で紹介してもらい ましたが、2つありますので労働者側としての意見も述べておきたいと思います。今、 加藤委員が言った内容を、ある意味補足するようなことになるかもしれませんが、本日 の資料1−2の1頁で、この全体を取りまとめる意味での基本スタンスをまとめたもの で、この内容は今回の「公益委員試案修正(案)」でも変えられていないわけです。2 つ目の段落のど真ん中の一番最後の行の、「地域別最低賃金がすべての労働者の賃金の 最低限を保障する安全網として十全に機能する」というように、高らかとここに精神が 謳ってあるわけです。その精神を受けるものとして、紹介のあった生活保護との整合性 というものが、地域別最低賃金の安全網としての機能の、ある意味非常に大きな考慮要 素だと。したがって整合性をとらせるのだということが謳われているのであって、反対 するか反対しないかはそれぞれの立場で結構ですけれども、これに反対するということ は基本的にこの審議会の見直しそのものに反対だということにつながるのではないか、 というふうに私どもは捉えたいと思います。 その中で併せて検討されています産業別最低賃金の削除についても、この審議会の審 議そのものを否定することになるのであれば、それも元に戻してもらいたいと考えてい ることをまず紹介しておきたいと思います。反対とおっしゃいましたので、あえて少し トーンがきついですけれども、そういう言い方をさせていただきたいと思います。 それから、職種別設定賃金の設置の是非を含めて検討すべしと。産業別最低賃金を、 最低賃金法から削除する代わりにという意味ではないと思います。公益委員試案は、改 めてこの是非を検討しようという提案ではないと思っております。ここについては公益 委員の意見も聞かせていただいた上で、設置の是非を含めての検討だったら私どもは最 初から今後の議論に乗るつもりはありませんので、そのことも踏まえて部会長の見解が あったらお聞きしておきたいと思います。 個人名を挙げて反論させていただいて申し訳ないのですが、原川委員のおっしゃった 取扱いについては、すべてのことは、ある意味私どもはいろいろな疑問点を持ちながら、 こういう枠組みを作ろうという努力をいただいた公益委員のご努力を無駄にしないた めにも、あまり余分なことは言わないという、そして具体的な審議の中で詰めていくべ きことは詰めていく。しかし、骨になることはちゃんと押さえておきたいという趣旨で これまでも対応させていただいたつもりであります。是非そのことをご理解いただいて おきたいと思います。 そういう意味で池田委員のおっしゃった、企業ごとの全会一致などというのは、今ま でにいろいろな労使関係上の制約をする、規制の強化にならないか、緩和にならないの ではないか、規制の強化になって緩和にならないという疑念がある、そのために時間が いるという意見だが、何でもかんでも規制を緩めていいというものではないと思います。 特に、社会的な安全網としてどう機能させるかという意味での規制なわけですから、何 でもいらない規制だというのであれば、それは社会として成り立たないということを是 認する部分ではないかと労働者側は考えます。 したがって、ここは時間が足らないとか足るという問題ではなくて、この規制緩和と いうことに関して私どもはそういう視点で見ていることを紹介したいと思います。企業 ごとの全会一致というのはあまりにも暴論すぎるのではないかと思いますので、この点 について労働者側としての見解を申し述べておきたいと思います。 いずれにしても、この運用の詳細については、全体の審議会等を通じてという先ほど の説明もありましたけれども、十分に時間をかけて、私どもも慎重に議論をする必要が あると思いますし、また、そうした意味でこれから先の議論については労使の意見をき ちんと開陳し合いながら、それで一致点を見つけていく努力をしたいと考えていること を表明しておきたいと思います。 いつも須賀が発言すると長いということになりますが、もう1つだけ別の法的根拠を、 先ほども加藤委員からも質問させていただきましたが、最低賃金法の改正・施行以降3 年程度の期間で移行するということで理解したとして、別の法的根拠の根拠づけがその 間にできなかった場合どうしていくのか。これは、いくらこの部会でまとめ上げたとし ても、当然まとめ上げた方向に基づいて新しい法案が作られ、最低賃金法が変えていか れた、その方向に行ったとしても、決めるのは国会です。このことをどうするのかとい うことについて私どもは大きな疑問を持っていますので、この点について、実際にこの 方向性で仮にまとまっていく、という前提に立てばどういうことになるのかということ について、事務方にお尋ねいたします。 もう1つは別の法的根拠の関係でありますけれども、本部会の親委員会である労働政 策審議会の労働条件分科会において、現在労働契約法の制定に関する検討がなされてお ります。仮に先ほど紹介したような形で職種別設定賃金が設定されるということになっ たとしても、その際の別の法的な根拠が、今はどうなるか分からない労働契約法を想定 しているのであれば、これについては労働者側としては断固反対しなければならない、 反対したいと考えておりますので、これは意見として申し述べておきたいと思います。 おそらく今の動向でいけば、法改正後3年以内に、私どもの感触としては労働契約法 そのものはできる状況にはないのではないかという見通しを持っておりますので、そう いう意味ではそれこそ労働契約法ではない別の法的根拠ということを、私どもとしては そういう対応にすべきだと考えていることを、これも意見として申し述べておきたいと 思います。 ○しろまる今野部会長 一番最後の点は、ご意見として伺っておけばよろしいですか。 ○しろまる須賀委員 はい。 ○しろまる今野部会長 4つぐらいありましたが、生活保護との関連についてどう考えるかということですが、 公益委員としては変わっておりません。表現は変わりましたが、我々の考え方は変わっ ておりません。最低賃金が生活保護を下回ることはないようにする、という我々の考え 方は変わっていません。 2つ目の、職種別設定賃金の設定の是非について公益委員はどう考えるのかというの は直球の質問です。今、日本の労働市場をいろいろ考えますと、大変流動化が進んでい る、パートタイム労働者が増えている、派遣が増えている、企業内の賃金決定が徐々に 仕事をベースにした方向に向かっているというように、先の労働市場の状況を考えると、 こういう職種別設定賃金を作ることは必要であると考えています。ただ、その具体的な 仕組みをどうするかということについては、それこそ労使のご意見をよく伺って、労使 が合意していただかないと動きません。その辺については、どういう仕組みを作ってい くかということについては、労使のご意見を十分にお聞きしたいと思っています。 ただ、最後の、先ほど言いました究極のご質問ですので、必要か否かと言われると、 それは先ほど言ったような意味で必要であると考えているので、こういう公益委員試案 を出したわけです。ただ何度も言いますが、中身については十分議論し、労使のご意見 の合意を得ながらしていきたいということです。 原川委員と池田委員が言われたことについては、実際の運用については問題があると いうことは承知しておりますので、その辺については運用の詳細の段階で検討させてい ただければと思っています。 別の法的根拠ができなかったらどうするか、という辺りについても考えさせていただ きたいです。今後の議論の中で、そのときにどうするかということも、たぶん重要なテ ーマの1つにはなるだろうと思います。 最後の、できなかった場合はどうするのかを事務局に聞きたいというご質問でしたが、 私の今の回答でいいですか。 ○しろまる須賀委員 結構です。 ○しろまる勝委員 これは前回も言っていたと思いますし、先ほど池田委員が、今回の骨子案については、 むしろ規制が強化されているということで、今の規制緩和の流れとは矛盾するというご 意見があったわけです。その議論というのは、今回の改正の非常に重要な部分と関わる ので、一言だけ公益委員というか個人としての意見として申し上げます。 規制緩和の流れというのは明らかです。先ほど部会長が言われたように、特に雇用市 場の規制緩和というのは非常に急速に進んでいる。その場合の規制というのは経済的規 制ということで、市場機能を最大限に活用するということで経済の効率化が図れる、と いう意味で歓迎されるべきものではあるわけです。 そういう時代であるからこそ、最低賃金といった社会的規制、規制といってもいろい ろ規制があるわけです。その社会的規制の強化というのは必要不可欠だと。特に、セー フティネットを確保するということは、国民全体の安定といいますか、雇用市場という のは社会の基盤であるわけです。その部分でのセーフティネットの強化というのは、今 回の小泉政権での規制緩和の中で必要不可欠なものだと考えておりますので最低賃金、 特に地域別最低賃金の強化というところは、精神としてここにいる方々の皆さんのご理 解を得たいと思っております。 その上で、職種別設定賃金もこの部会ではかなり長く議論されていたわけですけれど も、これについてもそもそもの産業別最低賃金の精神に戻ったと。先ほど加藤委員が、 実効性の高い案とおっしゃられましたけれども、今までの産業別最低賃金というのは、 産業別最低賃金と地域別最低賃金がかなりかぶっていた部分があるわけで、もともとの 精神に戻ったという意味では、そこの部分を理解していただければと思っております。 その点からいうと、冒頭にいろいろ議論があった中で、労使の合意というものがかな り重視されて、公益委員の役割はないのではないかと。これは労働者側の委員で運用に 当たっての部分で意見がありましたけれども、これに関しても労使自治を重視すると。 これからも、公益委員の役割はあるわけで、今回の案に関してもそこの部分については 少し考えなければならない部分はあるかもしれないわけですが、そういう精神に戻ると いう意味において、労使が合意した場合というところが2回強調されていたのではない かと思います。その辺についてもご理解いただければと思います。 ○しろまる武石委員 私も、公益委員というよりも個人的な意見になるかもしれないのですが、今までの最 低賃金法というのは曖昧な法律であって、その中に地域別とか産業別といったいろいろ な考え方が入っていたと思うのです。それを今回きちんと整理するという中で、1つは 地域別最低賃金というのがセーフティネットとして、労働者の最低の賃金を保障する役 割を明確にするということで、最低賃金法のその部分を強化する形になったと思います。 先ほども使用者側委員から、労働の対価としての賃金というお話がありましたが、確 かに労働の対価という意味での賃金ということはよくわかるのですが、最低保障、安全 網ということを考えれば、一定の最低水準というものをどこかで担保しておく必要があ るだろう。その1つは生活保護というのは重要な水準といえるのではないかと思います。 ですから、地域別最低賃金に関しては、セーフティネットという役割をきちんと明確に して、その中で最低限の水準を決めていくという考え方。 もう1つの職種別設定賃金に関しては、労使の取組みを補完する役割が今回は強調さ れていると思います。これは屋上屋という話もあったのですが、実質的に屋上屋という 感覚になるのかもしれないのですが、あくまでセーフティネットは地域別最低賃金であ って、この職種別設定賃金は、その労使の取組みの補完という役割を明確に分ける、と いうのが今回の案ということで私たちはお示ししたのかと思っております。 ですから、労使の合意というのが非常に重要になるというのは、労使の取組みを補完 するという意味で、そこには欠かせないということではないかと思います。やはり、地 域別最低賃金と職種別設定賃金の役割が変わっていく、ということを押さえていただき たいということを申し上げたいと思います。 ○しろまる今野部会長 本日は、いろいろ貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。前回お願 いいたしましたように、暮れの押し詰まる27日にもう一度この部会を設定しておりま す。次回は、本日のご意見を踏まえ、法改正に係る部分について本部会としての報告書 を取りまとめるよう最大限努力したいと思っておりますので、労使の委員の方々にも最 大限の協力をお願いしたいと思います。 また、職種別設定賃金については、公益委員試案を足掛りに引き続き議論をしていく 必要があるのではないかと考えておりますので、報告の取りまとめについてもそれがで きるよう工夫する必要があるのではないかと考えています。いずれにしても、次回の取 りまとめに向けての報告書の案文を作り、労使の間で調整をしていただくということを していただければと思います。我々も、それに向けて最大限の努力をしたいと考えてい ます。労使間での調整については、事務局にお願いすることとしたいと考えております。 事務局より、次回の会議についての連絡をお願いいたします。 ○しろまる前田勤労者生活課長 次回は12月27日(火)の午前10時から開催を予定しております。また、正式に追 って通知させていただきます。 ○しろまる今野部会長 本日の会議はこれで終了いたします。本日の議事録署名人として、??石委員と杉山委 員にお願いいたします。本日はありがとうございました。 【本件お問い合わせ先】 厚生労働省労働基準局勤労者生活部 勤労者生活課最低賃金係 電話:03−5253−1111 (内線 5532)