01/07/13 第3回社会保障審議会議事録 第3回社会保障審議会 ○しろまる日 時 平成13年7月13日(金) 9:30〜11:30 ○しろまる場 所 厚生労働省省議室(中央合同庁舎第5号館9階) ○しろまる出席委員 貝塚啓明(会長) (委員:五十音順、敬称略) 浅野史郎 阿藤 誠 糸氏英吉 岩男壽美子 岩田正美 翁 百合 奥田 碩 鴨下重彦 京極高宣 清家 篤 ??木 剛 高久史麿 中村博彦 長谷川眞理子 廣松 毅 堀 勝洋 若杉敬明 ○しろまる議事内容 1.開 会 河参事官 定刻になりましたので、ただいまから第3回社会保障審議会を開催させていただきま す。 議事に入ります前に、本日の配付資料を確認させていただきます。 資料1−1 社会保障をめぐる現状・課題 資料1−2 「今後の経済財政運営及び経済社会の構造に関する基本方針」(平成13 年6月26日 閣議決定) 資料1−3 最近の人口動向について 資料1−4 将来推計人口(平成9年1月)概要 資料2−1 社会保障審議会分科会について(報告) 資料2−2 今後の社会保障審議会の進め方について(案) そのほかに座席表、委員名簿、議事次第、参考資料として別冊2種類でございます。 資料は以上ですが、過不足、落丁等がございましたらお申し出いただきたいと思います。 次に、7月12日付で委員の交代がありましたので、ご紹介させていただきます。全国 市長会の赤崎義則委員が退任され、本日ご欠席ですが、全国市長会会長の高秀秀信委員 が就任されました。 なお、本日は稲上委員、小宮委員、永井委員、西尾委員、樋口委員、星野委員、宮島 委員、山本委員、渡邉委員がご欠席でございます。奥田委員は所用で少し遅れてご出席 というご連絡をいただいております。ご出席の委員が3分の1を超えておりますので、 会議は成立しておりますことをご報告申し上げます。 それでは、以後の進行を貝塚会長にお願い申し上げます。 2.社会保障をめぐる状況について 貝塚会長 本日はお忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。 前回までの議論では、この審議会として今後どのように審議を進めていくか、特に当 面する医療改革などの課題をどのように取り上げていくかということについて各委員か ら積極的なご意見がありましたが、要約して申せば、早くからやるべきであるというこ とです。前回以降、政府では色々な動きがありまして、政府・与党社会保障改革協議会 の「社会保障改革大綱」や、今回、資料が提出されております経済財政諮問会議の「基 本方針」など、社会保障をめぐって各方面から提案や基本的な改革方向が示されており ます。 この審議会といたしましても、各種の提案などを踏まえながら今後の社会保障改革の 個別課題や制度横断的な課題について議論をしたいと考えております。 本日の議題は2つに分かれておりまして、議題1は、資料1−1「社会保障をめぐる 現状・課題」、資料1−2「経済財政諮問会議の基本方針」の社会保障該当部分を受け まして議論をしたいと思います。 議題2は、今後この審議会をどのように進めていくかということですが、資料2−1 「社会保障審議会分科会について」、資料2−2「今後の社会保障審議会の審議の進め 方について」という事務局が整理した案が提出されておりますので、これを説明してい ただいて議論をしたいと思います。 それでは「1.社会保障をめぐる状況について」ですが、事務局から資料の説明をお 願いします。 河参事官 まず資料1−1「社会保障をめぐる現状・課題」ですが、関係各局が分担してご説明 させていただきたいと思います。 1ページの「1.我が国の人口の推移」のグラフですが、2000年では12,689万人、その うち2,187万人が高齢者で17.2%の高齢化率だったのが、2050年には総人口が減る一方、 高齢者の人口が増え、老年人口割合は増加すると見込まれています。このグラフのもと になったのは、人口問題研究所が平成9年に行った人口推計で、資料1−3、資料1− 4に実際の数字、推計の方法等が記載されておりますので、ご参考までにお配りしてお ります。 2ページは「社会保障給付費の推移」のグラフです。1950年から2000年までの社会保 障給付費、国・地方・保険料を全部足してですが、1970年には3兆5千億だったのが2000 年の予算ベースでは77兆8千億と伸びています。左上の表にそれぞれの内訳が書かれて います。国民所得に占める割合はA分のBですが、5.8 %から20.3%に増えています。 3ページは「社会保障の給付と負担の見通し」です。昨年1年間、総理のもとで行わ れた「社会保障構造の在り方について考える有識者会議」に、当時の厚生省が推計とし て昨年10月に提出した資料です。社会保障給付費は2000年度には78兆円だったのが、2025 年度には207兆円になると見込まれています。 推計の前提が注に書いてありますが、社会保障に係る負担として、保険料負担、地方 を含めた公費負担がそれぞれ記述されています。社会保障に係る負担は、国民所得比は 現在20.5%ですが、2025年には31%になると見込まれています。 以上は社会保障に係る全体のお金、保険料、税金を全部足した数字で見た過去と将来 ですが、国の会計だけを見た時にどうなっているかというのが5ページ、6ページです。 5ページ、「平成13年度の一般会計予算」は全体で83兆円ですが、そこから「国債費」、 「地方交付税交付金等」を除いたものが「一般歳出」です。黒い枠で書いてあるところ ですが、48兆6,500億です。その中に「社会保障」として17兆5,500億が計上されていま す。 6ページは「社会保障関係費の内訳」です。一般歳出の中に占める「社会保障関係費」 17兆5,500億の内訳は、医療費国庫負担分が7兆2千億、年金が5兆3千億、介護が1兆4千億、 その他生活扶助などが3兆7千億となっています。 保険局総務課長 次のページから医療関係の資料を若干ご説明させていただきます。7ページは国民医 療費の推移のグラフです。国民医療費は11年度には30兆9千億に達し、そのうち老人医 療費が11兆8千億で、約3分の1を占めています。また、国民医療費は国民所得の伸び を上回っており、国民所得の約8%を占めるに至っています。 12年度からは介護保険が入りましたので、予算ベースでは国民医療費が少し減ってい ますが、12年度の実績見込みとしては、この予算よりは若干増高ぎみという状況です。 国民医療費、老人医療費、国民所得の3つを対前年度伸び率で比較したのが7ページ の下の表です。国民所得の伸び率0.2%に対して国民医療費は3.7%、老人医療費は8.4% と高い伸び率を示しています。 それをグラフにしたのが8ページの6です。グラフ自身の説明は省略させていただき ますが、左下の四角にあります過去10年間の平均伸び率を見ていただきますと、高齢者 数が4.1%と増えたために老人医療費が増えたということがおわかりいただけると思いま す。 その下の7は医療保険各制度の財政状況です。政府管掌健康保険、組合健康保険、国 民健康保険が大宗を占めているわけですが、3,700万人の加入者を擁する政府管掌健康保 険の財政状況について下の棒グラフでご覧いただきますと、13年度予算ベースでこれま での積立金をほぼ取り崩した状態となっており、来年度以降、大きな欠損が発生する、 医療費の支払原資が欠けてくるという大変厳しい状況にあることがおわかりいただける と思います。 9ページは国民医療費の内訳を示しています。左は国民医療費の財源別の負担ですが、 保険料が52.9%、国庫・地方を合わせて公費負担が32.2%となっています。 右は医療機関の費用構造ですが、医療サービス従事者の人件費が50.9%、医薬品費が 19.4%、医療材料が6.1%、委託費が5.2%、経費その他が18.4%となっています。 10ページは我が国の医療保険制度の概要です。一番大きな加入者数をもっているのが 市町村国保で4,200万人、次いで政府管掌健康保険、組合管掌健康保険、共済組合という 順番になっています。 下の表は市町村国保と政管健保と組合健保の比較です。給付率は市町村国保が7割、 他の2つが8割です。保険料率については、市町村国保と組合健保は各保険者によりま すが、政管健保は8.5%です。組合健保は8.5%と書いてありますが、これは平均的とい う意味です。これは10年度の数字ですが、11年度は平均8.51%となっており、政管健保 の保険料率水準を突破してしまったというのが実績です。 加入者の年齢は市町村国保は非常に高く、政管健保、組合健保の順になっています。 国庫負担については、市町村国保は給付費等の50%、政管健保は13%、組合健保は定額。 このような状態ですが、ぞれぞれ大変厳しい状況にあるということです。 11ページは医療保険制度の構造です。各医療保険制度の中で支出面が最も伸びている のが70歳以上の老人医療費の支出部分です。70歳以上の老人医療費については国民皆保 険で国保、健保が全部をカバーしているわけですが、70歳以上の方については、さらに その上に乗る形で市長村長が運営する老人保健制度というものがかぶっておりまして、 そこに各医療保険から拠出をするという形で市町村を中心に資金が動いています。 その関係を図示したのが12ページです。今年度の予算ベースで老人医療費は11兆円と 見積もっていますが、患者の一部負担を除いて約10兆円を、医療保険者の賄う部分の70 %と、国・県・市町村の賄う30%に分けてあります。この医療保険者の賄う70%につい て、その下にありますように各医療保険制度からの拠出金という形で調達しているわけ です。こういうメカニズムを通じて高齢者の費用を医療保険加入者が公平に負担する。 こういう仕組みを動かしているわけです。7.1兆円という部分が各保険者に付加されてき ますが、その部分が伸びの著しい支出費目となって、それが保険財政を圧迫する主な要 因となっています。 13ページは当面の医療保険制度改革をめぐる状況を簡潔に整理したものです。これま でも累次にわたる医療保険の改革をしてきましたが、これまでの改革で残された課題と して様々ある中で、とりわけ高齢者医療制度の見直しが大きな課題となっています。 左下にありますように、高齢者医療制度との関連もありますが、医療保険財政が収入 面でも保険料の収入の伸び悩みが著しく、そうした中で財政が非常に悪化しております ので、保険料、給付、両面にわたる見直しをしなければならないような危機的な状況に あると認識しております。 併せて、従来の例で申しますと14年度は診療報酬の見直しの年にあたるということか ら、この部分との関連も十分踏まえながら当面の医療保険制度改革を進めていかなけれ ばならない。この3つの課題を同時並行で処理していくことが最低限求められていると 考えております。 14ページは、これまで積み残されてきた課題の最も典型的な高齢者医療の見直しの視 点ですが、先般公表したパンフレット等でもこのように表示しています。 第1に、高齢者が受ける医療そのものが適切で効率的なものであることが前提条件で あろうと思っております。そのために、高齢者の心身の特性を踏まえた適切な医療の提 供をさらに模索していく必要があると同時に、老人医療費が、支える側にとっても納得 できるような適正なものであることが大前提になろうかと思います。 第2に、内容面、費用の規模面でご納得いただけるような前提に立ちながら老人医療 費の公平な分担ということが求められてくると思われます。その場合、老若の公平な分 担と、制度間あるいは財源の種類別の公平な分担、こういうことが論点としてあろうか と思っております。 老若の公平な分担という意味では、高齢者の範囲は今は70歳以上としていますが、そ の範囲の在り方について、高齢者自身の負担能力に応じた窓口での一部負担の在り方に ついて、高齢者自身の保険料負担の在り方について、様々な論点があります。 制度間の公平な分担についても、先ほどご覧いただきましたように3割を公費で直接 負担し、残りの7割を医療保険制度が支えるという費用構造になっていますが、公費と保 険料の分担の在り方も大きな論点であると理解しています。皆保険体制は国民健康保険 という地域保険と被用者保険で成り立っていますが、双方に大きな影響をもつ高齢者医 療制度について国保と被用者保険の分担の在り方が問われてきます。いずれに対しても 運営困難という事態を引き起こさないよう適切な配慮が必要であると考えております。 以上、医療保険関係について申し上げました。 年金局総務課長 次に年金の関係です。15ページの表題に書いてありますように、長期的に安定した信 頼される年金制度の構築ということがテーマであると考えております。 まず、年金制度の考え方です。 公的年金につきましては、世代間扶養の仕組みにより、現役時代からみて遠い将来の 高齢期の生活の基本部分を、どんなに長生きしても終身にわたって確実に支える機能を 担うものであると考えております。 給付の水準は、全国民の給付として基礎年金、月額67,017円。被用者に対しては、基 礎年金に加えて報酬比例の給付を行い、両者併せて、現役世代期の手取り年収のおおむ ね6割を確保する。 年金を受給しはじめる時点で、過去の報酬を現在の価値に再評価して年金額を計算す る、いわゆる賃金スライドと、物価スライドにより実質的な水準を維持しています。世 代間扶養の仕組みをとらなくては賃金スライド、物価スライドの部分は保障できないと いうことです。 私的年金につきましては、多様化する老後のニーズに応え、より豊かな老後の生活を 確保するために、公的年金を補完するという位置づけです。 次に課題と方向性です。 公的年金は持続可能で安定的な制度の確立という観点から申し上げますと、1点は、 保険料の引上げが現在凍結されていますが、これを解除する必要があります。11年以来、 国民年金の保険料は13,300円、定額です。厚生年金は年収ベースで申しますと、労使折 半ですが、13.58%ということです。 少子高齢化が進行する中で、段階的に保険料を引き上げることにより、長期的に給付 と負担の均衡をとっているため、凍結解除が遅れれば遅れるほど、あとの世代の負担が 大きくなります。本年3月の社会保障改革大綱においても早期に解除することに取り組 むとされております。 2点目は基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げです。現在は3分の1という ことになっていますが、12年の改正法附則において「平成16年までの間に、安定した財 源を確保し、国庫負担の割合の2分の1への引上げを図るものとする」と規定されてい ます。社会保障改革大綱においては「安定した財源確保の具体的方策と一体として鋭意 検討」ということになっております。 国庫負担割合を2分の1に引き上げることにより、国民年金の保険料水準を、ピーク 時(2020年)の25,200円から18,500円に引き下げることが可能であるという計算をして います。3分の1から2分の1に引き上げる際の所要財源は13年度で2兆4千億円、37 年度に3兆8千億円の追加財源が必要とされます。安定した財源確保の具体的方策と一 体のものとして検討していく必要があると考えています。 3点目は「支え手を増やす」取組みです。平成16年には次の財政再計算を予定してい ますが、急速な少子高齢化の影響を可能な限り緩和するため、高齢者や女性の就労を含 め、将来に向けて支え手をいかに増やしていくかという検討が必要ではないかと考えて います。昨年の有識者会議の報告、社会保障改革大綱にもこのような観点から記述がさ れていますが、政府部内では規制改革の関係、男女共同参画といった観点からも高齢者 や女性の就労といった点が議論されています。 4点目は公的年金の考え方の広報・普及の強化と徹底した保険料収納対策です。国民 年金の未納者が増えています。一方、若者をはじめとして、将来、年金がもらえるんだ ろうかという不安、誤解がありますが、文部科学省とも連携をとりながら、また、いろ いろな媒体を使って、若年層をはじめとして公的年金の考え方の広報・普及を強化して いきたいと考えています。これは実施庁の管轄になりますが、徹底した保険料収納対策 に取り組んでいきたいと考えているところでございます。 私的年金につきましては、国民の自助努力を支援する仕組みということですが、この 点につきましては次の16ページをご覧いただきたいと思います。年金制度の体系につい て書いていますが、※(注記)1のところです。先般、通常国会において確定給付企業年金法が 成立しました。確定給付型の企業年金について統一的な受給権保護の仕組みを組み込む、 あるいは税制適格年金を廃止して企業年金の再編成をするという内容です。14年4月か ら実施することとされています。 ※(注記)2にありますように、確定拠出年金法、プレス等では日本版401Kと呼ばれている法 律ですが、これも先般の通常国会で成立しました。確定拠出年金法につきましては国会 審議、あるいは両院の委員会の附帯決議において、導入にあたっての労使合意を的確に 確認せよ、あるいは事業主等から加入者に対して投資教育、情報提供をきちっとせよと いうことでして、こういった点に心して施行にあたりたい。13年10月からの実施という ことです。 ※(注記)3ですが、公的年金の一元化の一端ということで、農林共済を厚生年金に統合する という法律が成立しました。これは公的年金の範ちゅうに入ることですが、これにつき ましても14年4月から実施したいと考えています。 そのほか数字等をいろいろ書いておりますが、ご覧いただければありがたいと思いま す。私からは以上です。 老健局総務課長 次に17ページ、介護保険の施行状況をご覧いただきたいと思います。 昨年4月から介護保険法が施行されていますが、サービス現場や市町村を始めとする 関係者の方々の多大な努力により、全体としてみれば大きな混乱なく実施されています。 介護保険導入前後のサービス量を比較すると、ヘルパー派遣の件数、デイサービスの 利用回数においても相当の増加がみられています。 半年遅れの昨年10月から第1号保険料の納付が始まっています。その最初の昨年10月 納期分の収納率は98.9%という非常に高い数字を示しています。こうした点から、全体 的にみればおおむね順調に推移していると理解しています。 しかし一方で、施行後、使い勝手の悪さ等を含めて現場の方々から、いくつかの運営 上の問題点の指摘がありました。こうしたご指摘を真摯に受けとめ、逐次、必要な改善 策を講じてきています。 改善措置の例として3つあげておりますが、2つ目に痴呆性高齢者等の要介護認定の あり方の検討とあります。今は要介護認定は1次判定、2次判定という2段階でやって います。1次判定はコンピュータシステムを使って行いますが、痴呆性高齢者について は要介護度の判定と実際の状態が若干食い違うケースがあるという指摘があります。 我々としてはこれを重く受けとめ、昨年8月から痴呆性高齢者の1次判定システムの見 直しを前提に検討会を開始しています。15年4月から新しいシステムを動かそうという 前提で作業を進めております。 基盤整備の充実と併せて、これからは介護サービスの質の確保が重要な課題になると 考えています。 介護サービスの質の向上に向けた取り組みの例として、介護サービスの評価手法等の 検討ということで、利用者の方々の便宜に供することのできるチェックリストを作成す る検討とか、「身体拘束ゼロ作戦」を推進しています。全国に3カ所、高齢者痴呆介護 研究センターを開設し、今年4月ごろから本格的に動いております。特別養護老人ホー ムにおける個室・ユニットケア化を進めたい。今年3月30日の規制改革推進3カ年計画 の中にも記載されていますが、居住環境の整備とあわせてホテルコストの見直しという 議論も進めていく必要があるのではないかと考えています。 今後の取り組みとしては、平成15年度からの第2期事業期間に向けた準備を進めてい く必要があります。 各市町村における介護保険事業計画の見直しとか、基盤整備の進捗状況に応じた次期 保険料の改定に向けた様々な作業、これと連動する形での介護報酬の見直しも進めてい かなくてはいけないと考えています。介護報酬の見直しに関しては、当審議会のもとに 設置される介護給付費分科会での議論ということになりますが、秋口ぐらいにはその分 科会が立ち上げられるように作業を進めております。給付費分科会での議論のためには 事業者の経営実態調査を実施する必要があろうと考えております。介護保険関係の資料 の説明は以上です。 雇用均等・児童家庭局総務課長 最後に少子化の問題についてご説明申し上げます。子どもをめぐっていろんな事件、 事故が報道されおりますが、地域において家庭、個人が孤立化する中で、子どもをめぐ る環境は非常に厳しいと私どもは認識しております。子どもをめぐる環境の変化にいか に対応していくかということが少子化対策のかなめではないかと思っております。 18ページでは、従来より実施している枠組みについてご説明申し上げたいと思います が、少子化に的確かつ迅速に対応する。そのために、子どもが健やかに成長する環境の 整備の推進ということで、平成11年12月に決定された「少子化対策推進基本方針」のも とでの具体的プログラム、12年度を初年度として16年度までの5年間のプログラムであ る「新エンゼルプラン」を着実に実施していくことが基本的なスタンスです。 そのために、(1)多様なニーズに対応した保育サービスの整備、(2)仕事と子育ての両 立のための雇用環境の整備など、下に書いてある5つのことを着実に推進しています。 (5)児童虐待防止対策の推進については、自治体とともに様々な手だてを講じていますが、 平成2年には虐待の相談件数が1千件であったのが11年には1万件を超え、12年度には 1万8千件になり、統計をとり始めてから10年間で20倍弱という状況になっています。 こうしたことにいかに的確に対応するかというのが大きな課題となっています。 19ページですが、今年に入っても様々な会議や協議会の中で、医療年金、介護ととも に子育てが大きな柱として議論されています。政府・与党社会保障改革協議会、経済財 政諮問会議、産業構造改革・雇用対策本部、男女共同参画会議でも、子育て、保育、放 課後児童対策というのが具体的プログラムとして大きな課題となっており、それらにつ いて、その下にあるような今後の取り組みの指針が出されています。 基本的には、子育て家庭を社会全体で支援する観点から、総合的な少子化対策を推進 するということで、3つの柱があります。 1番目は、子育ての不安の解消や虐待防止、地域交流の活性化など、働く女性、家庭 にいる女性を含めて子育てに不安をもっている方々に対する支援策の推進です。 2番目は、特に働く女性を中心に育児休業をとりやすく、職場復帰しやすい環境の整 備をするなど仕事と家庭の両立支援策を充実する。 3番目は、小泉総理の所信にも表明されましたが、規制改革を推進しつつ、多様な保 育サービスの充実、放課後児童の健全育成を推進する。来年度予算を含めて、保育所の 待機児童ゼロ作戦の推進や放課後児童の受入れ体制を整備することが具体的目標に掲げ られていますので、私どもとしてはこれを着実に実施したいと考えています。 河参事官 資料1−2として経済財政諮問会議の「基本方針」をお配りしていますが、ご承知の 方も多いかと思いますので、目次の構成をご説明することによって全体のご説明にかえ たいと思います。 目次をご覧いただきますと、〈新世紀維新が目指すもの−日本経済再生シナリオ〉と ありまして、1から4までありますが、これが総論という形で書かれています。そのう ちの2番目が構造改革のための7つの改革プログラムという表題ですが、その中の「(3) 保険機能強化プログラム」、ここに社会保障の関係の基本的な考え方が書かれています。 「(5) 生活維新プログラム」、この中で保育の話などが触れられています。 以下、6章から成っています。経済財政諮問会議は当初から4つの基本課題を議論す るということでしたが、第1章が「構造改革と経済の活性化」、これが一つ目の柱です。 第2章が「新世紀型の社会資本整備」、これが二つ目の柱で、公共事業等の社会資本整 備です。第3章が「社会保障制度の改革−国民の安心と生活の安定を支える」ですが、 ここに、いま課題として議論されたような課題が1から6まで記述されています。 第4章「個性ある地方の競争−自立した国・地方関係の確立」、これが経済財政諮問 会議としての四つ目の課題です。そして第5章、第6章で今後の手順等に触れられてい ます。時間の都合上、目次のご説明でこの資料のご説明にかえさせていただきたいと思 います。 以上をもって事務局の資料に基づいた説明を終わらせていただきます。 貝塚会長 ありがとうございました。 11時ぐらいまで皆さんのご質問、ご意見を伺いたいと思います。どなたからでもご自 由にご発言ください。 清家委員 資料1−1の15ページ、長期的に安定した信頼される年金制度の構築のところですが、 課題と方向性の3番目に「支え手を増やす」取り組みということがあげられています。 これは「社会保障改革大綱」等の中でも強調されている部分の一つだと思いますが、こ の中で具体的に、例えば年金制度と就労との関係で、前回の有識者会議の中でも議論に なったわけですが、年金制度がもっている就労抑制的な部分にですね。ご承知のとおり アメリカでは年金の給付に伴う収入制限を廃止して、たしか今年の1月から発効してい ると思いますが、そのようなことととか、最近、就労形態が多様化してパートタイマー とか派遣労働者が増えてきているわけですが、必ずしもそういう人たちが社会保険の網 の中にうまく入ってこない。3号被保険者という形で参加しているといえばそうなのか もしれませんが、パートタイマーの多くの人たちが社会保障制度の中で保険料の負担者 として参加していないという問題があって、雇用の多様化が進むと社会保険制度が空洞 化してしまう可能性もあるわけです。 特に女性の就労との関係で、年金制度が支え手を増やすと言いながら、就労にネガテ ィブな効果を与えている面もありますので、次の年金制度の改定は厚生労働省になって から初めての改定でしょうから、雇用と年金との連携を強く意識した改定を行っていた だきたいと思っております。 年金局総務課長 2004年に次の改正が予定されておりますが、厚生労働省になってから最初の改正でご ざいます。高齢者につきましては60歳代前半に就労していると年金が2割カットされて しまいますので、これが就労抑制的に働いているのではないか、あるいは就労意欲を阻 害しているのではないかというご指摘があることは十分承知しております。 これは女性に限らないと思いますが、パートの労働者につきましては、健保あるいは 厚生年金の適用との関係で言えば、就労時間、日数の4分の3要件というものがあるわ けです。4分の3以下ということになりますと、今度は130万円の要件ということで、年 金の世界で申しますと、1号被保険者と3号被保険者に分かれることになっておりまし て、この点についても様々な指摘がなされています。 冒頭に申し上げましたように私どもは重要な課題であると受けとめておりまして、こ れから学識経験者の方々と一緒に研究をするといったことも含めまして、これについて の対応を考えていきたい。16年改正の大きなテーマであると認識しております。 京極委員 厚生労働省になって雇用と年金を一緒に議論するとか、議論の環境としてはいい環境 が出てきたと思います。社会保障の場合、給付の適正化を図るということを当然考える わけですが、所得控除等、減税支出との関係がありまして、財務省サイドといいますか、 国民にとって給付と減税支出を合わせてどれだけの恩恵を被っているかという点がどう しても見にくいわけで、勤労者の場合、高齢者は特にそうですけれども所得控除が有利 になり過ぎているとか、逆に中年層は非常に厳しいとか、いろんな状況があります。そ のへんが厚生労働省サイドで議論すると見えにくいところがあるのではないか。これか らは減税支出と給付、両方あわせて議論していくというスタンスをとっていく必要があ るのではないかと思います。 翁委員 先ほど清家委員がご指摘された点と関係するのですが、今日は非常に横断的なお話を 伺って大変参考になったのですが、年金制度の要請というのは女性の就労ということに なるわけですけれども、これと介護保険との関係になります。女性の就労をどんどん促 していけば、24時間での家での介護というのはだんだん社会的に難しくなっていくとい う方向が展望されるわけで、そうすると介護の担い手をどうしていくのか。それも社会 化していくことが徐々に必要になっていくのではないかと思います。 先ほど介護保険の話で、特別養護老人ホームなどについての質的な向上が重要な課題 になるとおっしゃいましたが、高齢化社会の中で量的にも圧倒的に少ないと感じており まして、社会保障の全体の枠組みの中で考えると量と質の確保ということは、大きな社 会保障という全体の枠組みの中で考えると非常に重要なテーマではないかと思います。 老健局総務課長 資料では介護サービスの質の確保というところを強調して書いておりますが、その前 提としての基盤整備は「ゴールドプラン21」に基づいて、平成12年から16年の5か年で 必要な基盤整備を進めております。そういう意味で量的な確保も進めつつ、あわせて質の 確保と両にらみで進めていかなくてはならないという意識は十二分にもっております。 浅野委員 特別養護老人ホームなどの基盤整備をやるという決意表明がありましたが、いいです と、厚生労働省がやらなくていい、というのは大きな論点なんですね。小泉構造改革と いうのは大変な構造改革なんですね。意識されてるかどうかわかりませんけど、厚生労働 省の仕事のやり方をガラッと変えろということに近いことを言ってると思うんですね。 資料1−2の「経済財政諮問会議の基本方針」ですが、4ページを見ていただきたい のですか、「(6) 地方自立・活性化プログラム」とありまして、その4行目に「"行政 サービスの権限を住民に近い場に"を基本原則として、国庫補助負担金を整理合理化す るとともに、国の地方に対する関与の縮小に応じて、地方交付税制度を見直す」とあり ます。 23ページの「個性ある地方の競争」の中に「(1) 国の過度の関与と地方の個性の喪失」 とあります。その中に「また、」以下で「教育や社会保障についても、国が仕組みや基 準を決めて、地方自治体は苦労しながらその実施にあたっている。国は、こうした関与 に応じて、補助金や地方交付税によりその財源を手当てし、全国的に一律の行政サービ スが提供されてきた」というのを見直して、そういうことをやめましょうと言ってるわ けです。 その下の(3)にも「地方が潜在力を自由に発揮できる仕組みに」と、それから24ページ には、「4.地方の自律的判断の確立」の(2) の(i) には「国庫補助負担金を、全国的、 広域的に便益が及ぶものや、国が国民に最低限保障すべき行政サービス水準の維持達成 など国の負担が特に必要なものに限定する」とあります。 今の小林総務課長の言葉尻をとらえて、基盤整備を国として進めるんですというとき の手段は、「新々ゴールドプラン」か何か作って、特別養護老人ホームの補助金の枠を ポンと取ると。私が言ったのは、それはやめなさいと。これに資料に沿えば。それはで すね、特別養護老人ホームの需要がないというところはないんですね。それは、ある意 味では定型化できるわけです。老人人口に応じてとかですね。それもあるんですが、せ めて交付税の中に全部入れればいいわけですね。本来ならば地方税源そのものでやって いくものとして再構成すべきですよ。昭和37年にできた、もう40年近くやってきてるん ですから、特別養護老人ホームをどう作るかとか、基準をどうするかとか、そういうこ とがわからない自治体は一つもありませんし、変な基準で作って困るのは国じゃなくて 自治体なんですね。使う人が一番困るんですけれども、文句がくるのは自治体なんです。 国もこういう形で言ってるんだから、これはやめましょうということです。 少子化対策もそうなんですね。保育所についても「待機児童ゼロ作戦」というのもお 金を出してということじゃなくて、どういう保育の仕組みがいいのか。スウェーデンで どういうような保育をやってるのかわかりませんから、そういうことを教えて下さい。 厚生労働省は。金はいいです、と。財源ごと地方に渡す。そうなると厚生労働省の仕事 の仕方がガラッと変わるんですね。私が揶揄的に言ってる補助金分配業という部分は失 業します。しかし、何も焦ることはないんです。やるべきことはいっぱいあるんですか ら。 小泉構造改革の中ではっきり言われてることは、厚生労働省の医療保険とか年金以外 の部分はもう変えましょう、と。やり方を。というふうに受けとめるとすると、私はこ れは、やいのやいの言われてやるよりも、こちら側から自発的に、こういうふうに仕事 のやり方を変えるんだ、と。それはやはり、我々地方との役割分担の中で、財源の配分 も含めて、そういう仕組みを是非作ってやっていけば、すばらしい改革になるので、先 取りしてやっていただきたい。我々はやいのやいの言っていきますが、やいのやいの言 う前にやってほしいということです。 私がここに出てるのは全国知事会社会文教調査委員会委員長として出てるんですが、 今年から知事会の要望で社会文教調査委員会の分を変えました。表紙自体が今までは「要 望書」となっていたのを「提案・要望」として、補助金の、つまり国の財政的支援を増 やしてくださいというのは一切止めました。全部落としました。国の役割としてこうい うことを考えてほしいということに集約したつもりなんです。そのように世の中は急激 に変わっておりますので、今、すみません、言葉尻をとらえたのですが、政策目標を補 助金を増やすなり、それをきめ細かくすることで実現しようというのを大きく政策転換 すべきではないかと思い発言させていただきました。 貝塚会長 ただいまのご発言は大きな問題の一つの部分で、地方財政との関係がこれから変わる という中で、補助金その他について、政策統括官、いかがでしょうか。全体の話として、 こういう流れを厚生労働省としてどのように受けとめておられますか。 石本統括官 いま浅野知事がおっしゃったことはよく理解できます。厚生労働省が担うべき任務が 大きく変わらざるを得ない面があると思います。第2次臨調の時代から国と地方の役割 については補助金の簡素化を通じて旧厚生省としてもだいぶ努力して整理合理化を進め てきたと思っておりますが、さらに地方分権の関係の会議が内閣にできましたし、ご指 摘を十分に踏まえて、この審議会の場などでよく議論していきたいと思っております。 大切なご意見をありがとうございました。 中村委員 今の浅野委員のご質問と関連するんですが、少子化対策につきましても聖域なき構造 改革で指摘されているように、もう少し踏み込んでいただきたい。子育て支援部分で、 幼保一元化をどうしていくのか、また、公立保育所と社会福祉法人立の保育所、規制改 革が進んでいるように言っておられる方もいらっしゃいますけれども、民間と対峙でき るだけの社会福祉法人の規制改革がどうなされるのか、明確に出していくべきではない か。幼保一元化が叫ばれて久しいわけですが、文部科学省と厚生労働省の両省の関係が あろうかと思いますが、21世紀に入り、そういう議論もここで是非、問題提議してい ただきたい。 岩田委員 いろんな連携の問題が出ておりましたが、先ほどの浅野さんのご意見の国と地方とい うこともございますけれども、個人にサービスなり所得なりを給付するのか、それとも 事業体に、これは地方公共団体も含めてですけれども、そちらに付けるのかという大枠 の問題が一つあると思いますし、それから個人に給付する場合も所得保障でやるかサー ビス保障でやるかという大枠の問題があって、その再整理ということも出てくると思う んです。 それから、所得保障に関しまして、全体的な総合的な調整が必要だということはかな り指摘されておりまして、先ほど来、厚生労働省ということで雇用政策とのリンケージ の話も出ていたのですが、私は雇用保険と他の所得保障とのもう少し強いリンケージ、 それは労働政策が当然絡んでくるわけですが、それは例えば生活保護の問題にしても、 もう少しきちっと、調整というよりはリンケージといったほうがいいのではないかと思 うんですが、それぞれの所得保障の分野毎にやってますと、当然みんなお金が足りない。 ですから負担をということになっていきますけれども、負担する方は同一の個人、ない しは家計になりますので、その中での合理的な負担の原理を示さないと、なかなかこれ は難しいと思うんですね。 もう少し言いますと、先ほどホテルコストという話がありましたけれども、そうなりま すとかなり住宅政策とか住宅手当の問題も絡んでくるかなと思いながら聞いてました。 そういう大枠の問題がこの審議会自体では議論されて、今までの枠がこれは既成事実だ ということでは当然ないということになるのではないかと思います。 貝塚会長 ホテルコストの意味が正確にわからないんですが、滞在する時の費用をどうみるかと いう話ですか。 老健局総務課長 これはカチッとした定義はないですし、とらえ方が一致しているわけではないんです が、部屋代、家賃相当分というものもホテルコストという形でとらえる。そういう意味 で、ホテルコストとしてどこまで入れるのかということも含めて、これからの議論にな ってこようかと思っております。 貝塚会長 ただいまの岩田委員のご意見について、この審議会の任務は、経済社会が急速に変貌 していく中で、今の社会保障の制度はある意味では分立化しているわけですが、分立化 によりギャップがあるし、抜け落ちている、あるいはコーディネーションが行われてい ない。逆に、全体としてみると過剰になってる部分とか、そのへんの問題はかなり重要 で、しかも介護の話が入ってくると、もともと医療保険との関係は非常に深いわけです から、そういう話は相当重要だということは、そのとおりだと認識しております。 経済財政諮問会議の話がいろいろ出ておりますが、奥田委員、何か補足されることは ございませんか。 奥田委員 今回出したレポートは、こういう席で言っていいかどうかわかりませんが、相当トー ンダウンしてるんですね。一番最初に出ていたドラフトは相当具体的に書いたものであ った。ところが、今回のレポートは例えば見直しという形で、選挙を意識した表現みた いな形で出ておりますので、選挙が済んだ後、いろんな問題について具体的に見直すと いうことが細かいところまで入っている。そういう形になるだろうということをお考え になっていただきたいと思います。 阿藤委員 少子化の観点で一言お話ししたいと思うんですが、先進国で全般的に少子化が進んで います。そういう時に、一部の人口学者の間で、私も含めてですが、男女共同参画とい うことで女性が公的な世界、特に職業世界に進出する、それを政策的にも支援するとい うことで、例えばここにありますように育児休業制度とか公的保育サービスというもの を充実することによって、それを促進するということが進んでいるわけですが、女性の 社会進出、いわゆる職業世界への進出だけが一方的に進んで、もう一方で家庭における 男性の関与ということが変わらないという状況が続きますと、なかなか少子化という観 点からいうと大変厳しい状況なんだという認識がかなり強まっています。家庭における 男女の役割について政府が何かできるのかというと大変難しい問題はあるんですが、例 えばスウェーデンとかノルウェーでは育児休業について男も女も1か月とるということ を義務づける、そういうことも一つの制度なわけですけれども、そういうことをしてま でも男性の育児参加ということを政府として奨励するという事例が既にあるわけです。 日本の政府も男女の役割の見直しについて、もう一歩踏み込んで何かできるのかでき ないのか、そういうことをこれから考えていくのかどうか、私はそう願ってるんですが、 厚生労働省としてはどのようにお考えになられておられるのか、お聞きしたいと思いま す。 雇用均等・児童家庭局総務課長 そういう議論は常になされております。どういう段階でどういう手だてをとるかとい うのは企業の問題、労使の問題もありますので、私どもは一歩一歩、環境整備をしてい くとともに、そういう認識をできるだけ広げたい。今の育児休業制度でも産後8週間は 男女同時に取れる仕組みがあるんですが、あまり知られてない。そういう意味では普及 啓発と同時に、スウェーデンのようなクォータ制みたいなものも議論はされております。 それをいつどういう形でやるかというのは当事者の合意が必要だと思いますので、そう いう条件整備、環境整備を引き続きやっていきたいというのが私どもの立場です。 岩男委員 一言だけ付け加えたいと思います。男女共同参画会議の方でこの問題をいろいろ議論 いたしまして、先ほどご紹介があったような提言をごく最近出しているわけですが、働 き方が変わらなければいけないことを強調したいと思います。働き方が変わらない限り 男性の家庭参画ができないという、肝心の働き方の部分を是非考えていただきたいとい うこと。それから、保育サービスに対するニーズがいろいろ出てきていますが、その中 で延長保育をという声が非常にあります。しかし、やはりヨーロッパなどの人々からの ご指摘は、日本は子どもにまで残業を強いるのかということです。私は、これは非常に 大切な視点であり厳しい指摘であるということで、ここを絶対に忘れてはいけない視点 だと思っております。それだけ申し上げておきます。 浅野委員 子どもに残業を強いるというのはどういう意味ですか。 岩男委員 要するに6時とか6時半という、まともな時間に親が子供を迎えに行かれないために、 延長保育で8時までとか、もっと遅くまで子どもを預かってほしいというニーズがたく さん出てるわけなんですね。しかし、大人の都合で子どもは疲れてしまう。5時まで預 けられるだけでも子どもにとっては本当に大変なことなんです。ヨーロッパに視察に行 った時に、日本は延長保育などということを考えてるのか、そんなことは通用しません よというご指摘なんです。 糸氏委員 平成14年度の抜本改革というのが一つの大きなテーマになっていたと思うんですが、 厚生労働省からはっきりした案が出ないで、9月か秋頃には出しましょうということに なっているのですが、そこへ今回の経済財政諮問会議の基本方針の中で「医療サービス 効率化プログラム」というのが、資料1−2の20ページにありますが、これを見ますと、 抜本改革どころじゃない、医療ビッグバンとも称すべき大きな改革が書いてありまして、 医療担当者の我々としては今後どう対応すべきか熟慮しているところでございますけれ ども、来年度の改革は高齢者の医療制度の改革、これが大きな問題として、来年度は是 非やらなくてはいけないということになっているのですが、経済財政諮問会議と、もう 一つは総合規制改革会議、これも今日の新聞等によりますと、かなりドラスティックな 改革を提言しております。 この「基本方針」の中で、例えば保険者と医療機関の契約をやりましょうということ になると、被保険者は自分がかかりたいと思っている主治医から離れざるを得なくなる のか。場合によっては、患者の主治医選択権は保険者によって否定されるのかどうか。 それは、保険者にとってはそれでいいかもしれませんが、保険料を払っている被保険者 の立場はどうなるのか。そこが大きな問題だろうと思っております。 公民ミックス、いわゆる公的医療保険はよろしい。それからは別に自由診療でお金を 出す治療、システムというものを別に作りましょう。公的保険ともう一つ、年金の2階 建てみたいなもので、お金のある人は別にこっちを使ってやって下さい。そして混合診 療をやって下さいということになりすと、医療の現場にいる我々にすると今までは患者 さんはなるべく平等に扱ってきたわけですが、あなたはお金がないから仕方がないです ね、あなたはお金があるんならこういう機器を使いましょうとか、こういう治療をやり ましょうということになって、患者の差別化につながるという我々医療担当者としては 非常に辛い、耐えがたいことが起こってくるわけですし、また、所得格差によって医療 の質も違ってくるということは非常に大きい問題にもなってくるし、当然、高齢者医療 等においてもこの問題が出てくるのではないかと心配しているわけです。 セーフティーネットとか持続可能な医療制度ということをおっしゃっています。持続 可能にしようと思えば、サービスを落としたり人件費を落としたりすれば何とか持続は できますが、ここでおっしゃる持続可能な医療制度というのは、どの水準の医療を持続 可能にするのか。その医療の水準が一番知りたいところですが、今のレベルを持続可能 にするのか、医療費の増加率をもっと落とした形で持続可能にするのか、もっとカット した形でやるのか、そこのところがはっきり見えてこないので私どもにとっては非常に 不安です。 セーフティーネットの水準とか持続可能な医療水準というのはどういうところに基準 を置いておられるのか、我々はどういうレベルに合わせるのか、そこがはっきり見えな いから、安心しろとおっしゃっても、そういうところがはっきりしないと安心どころか 不安をかもしだすことになりますので、そのへんを今後どのように出してくださるのか、 非常に気になっているところです。 厚生労働省にお尋ねすることは、来年度の抜本改革の中で経済財政諮問会議や総合規 制改革会議が提案していることをどの程度取り入れて、それも含めて改革をなさってい くのかどうか。また、それをいつごろ提示していただけるのか、お聞かせ願いたいと思 います。 保険局総務課長 ご発言の中にもありましたように、私どもは秋をめどに来年度の医療制度改革の枠組 みについて、たたき台を省としてまとめて提示していきたいということを述べておりま す。6月26日に閣議決定にまでなりました「基本方針」の記述につきましても内容を よく吟味しながら、来年度の改革の中で、ただちにということでないものについても、 どういう位置づけにするのかということを整理した上で、制度改革のたたき台を出して いく必要があると思っております。 制度改革案という場合、いわゆる法律制度の改革案というイメージを私どもは持つん ですが、基本方針でご指摘いただいております点は必ずしも法律制度の改革によらない ものもたくさん入っています。法律制度の改革のたたき台は提示させていただくつもり ですが、法律制度によらない様々な課題についても、基本方針を踏まえて、個々の内容 を吟味しながら、あるべき医療の姿という形で整理をし、あわせて提示していくことが 求められているのではないかと考えております。 先ほど保険者との契約という論点を例示されましたが、19ページの最後の2行目にあ りますように「国民皆保険体制と医療機関へのフリーアクセスの下で」ということで、 現在の皆保険体制をきちっと堅持していくという前提に立った中で、どういうことが可 能なのか。患者の立場に立って、どこの保険医療機関にもかかれるという構図が壊れな いような中で、こういう指摘がなされているのではないかと理解しております。 医療の水準につきましても、私どもは世界的にもレベルの高い医療水準を提供してい ただいてる、そういう体制になっていると思っておりますが、その向上、維持にも十分 に意を用いていかなければならないと考えております。 なお、これからの課題として、こうした様々な提言の中で見え隠れしていますし、私 どもも十分に留意しなければならない考え方として、質の向上と費用の効率化を二律背 反のものとして考えるのではなくて、これをなんとか両立可能なものにしていくという 視点が大切ではないか。個人的にはそのように考えている次第です。 貝塚会長 ただいまの糸氏委員のご発言は、医療保険部会で基本的な考え方も含めて議論してい ただくことになるのではないかと思います。私の個人的な印象でも経済財政諮問会議の 医療のところはかなり踏み込んで書いてあるような印象がありまして、奥田委員、何か 補足されるかご意見などございましたらお願いします。 奥田委員 私はあまり踏み込んでないと思うんですが、いずれにしても、この経済財政諮問会議 の「基本方針」は閣議決定されたということですから、閣議決定という重みを我々とし ては受けとめなくてはいけない。閣議決定に基づいて、今後、新たに設けられる医療保 険部会で「医療サービス効率化プログラム」、これは仮称ですけれども、こういうもの を策定するとか、医療制度改革について全般的に審議すべきだという提言をしているわ けでして、むしろ具体的にはあまり書いてない。秋以降、こういう部会で細かい話をす る、そういうことが閣議決定されたというふうに私は理解しています。 堀委員 経済構造改革とか、そういうことによってこれから非常に厳しい経済情勢になるとい う予測もあるわけですけれども、特に雇用問題について民間シンクタンクは厳しい予測 を出している。雇用保険は1年間だけしか給付が行われないのですが、それで支えきれ るかどうか。生活保護がセーフティーネットの役割を果たすということですが、必ずし も日本ではその役割を十分果たしていない。外国を見ると、社会保険システムの失業保 険のほかに公的な失業扶助を設けたりしていますが、これは公的扶助よりも緩和された 形での給付です。今日の説明ではそういった部分についてあまりなかったんですが、今 後は是非とも、生活保護も含めて検討していただきたいと思っています。 貝塚会長 社会保障審議会の中には雇用保険は入ってないんですね。基本的には社会保障の中に 雇用保険が入ってるはずなんですが、従来、厚生労働省のファンクションがありまして、 先程来、清家委員のご発言も雇用の話というのは関係が深く、年金とも関係しますが、 直接は、やはり雇用保険です。そこのところを多少視野に入れて議論したほうがいいと 私は思っています。 岩田委員 税金からなされる公的扶助の種類はたくさんありまして、堀先生がおっしゃいました ように失業扶助とは言ってませんけれども、その機能を持たないことはなかったわけで して、さっきの住宅コストの問題も住宅扶助というのがありますけども、社会保険全般 がどうしても中心になりますが、当然、扶助の問題をセットで考えないと、セーフティー ネットの議論はできないということだと思います。ですから是非、社会保障の範囲の中 にそのことをきちっと入れた議論をしていただきたいと思います。 貝塚会長 今のご意見は全くごもっともです。生活保護の話を社会保障のところで議論しないと いうことになっているのは厚生労働省の所管の問題がまだあるようですが、今のように 経済情勢が深刻になると、そういう問題が出てきます。 3.今後の社会保障審議会の審議の進め方について 貝塚会長 まだご意見があろうかと思いますが、今後の社会保障審議会の審議の進め方について、 事務局からご説明いただきたいと思います。 河参事官 最後に出ましたご議論の関係で、広い意味での低所得者、あるいは今の生活扶助、失 業扶助の部分につきまして、副大臣のもとでプロジェクトチームを省内で作らせていた だき、検討を始めたところです。皆さん方に見ていただいて、ご批判を仰げるような状 況になれば、このような場でご報告して、ご意見を賜ることができればと思っておりま す。皆さん方がおっしゃった課題全部に答えられる自信はございませんが、事務局を仰 せつかっておりますので、そういう時がくればご批判を仰ぎたいと思います。よろしく お願い申し上げたいと思います。 資料2−1と2−2をご説明させていただきます。まず資料2−1につきましては、 分科会でございます。分科会につきましては、一番上に書いてございますように社会保 障審議会令第5条に基づき6つ分科会を設けることとなっております。 「年金資金運用分科会」、「福祉文化分科会」、「医療分科会」につきましては、そ れぞれ後のページにございますようなメンバーの先生方にご参画いただき、当審議会の ここにいらっしゃる先生にもご参画いただき、この3つの分科会はそれぞれ議論が始め られ、「年金資金運用分科会」につきましては前回の審議会でご報告させていただきま したが、意見集約をされて、既に2月の段階で答申を出されております。「医療分科会」 は6月15日に第1回が行われ、28日に第2回が行われています。 「統計分科会」については7月12日にメンバーの発令等がなされまして、7月30日に 第1回が開催される予定です。 「介護給付費分科会」につきましては、先ほど老健局から事務的な予定の説明があり ましたが、秋口ぐらいから開催したいということです。 以上が分科会についてのご報告でございます。6つのうちそれぞれ動き始めた、ある いは近く動く等のご報告をさせていただきました。 資料2−2は今後の社会保障審議会の審議の進め方について(案)でございます。 1.社会保障審議会(総会)は、年3〜4回程度開催し、社会保障全般、個別制度横 断的な課題等を取り上げる。 2.個別分野については「部会」を設置し、審議を行う。 分科会は既に政令で設置が決まっておりますが、基本的な問題を議論する部会を設置 して審議を行うということです。 (1) 前回の社会保障審議会において、「年金数理部会」、「福祉部会」、「障害者部 会」の設置を決めていただき、いまメンバーの人選をしております。 (2) 次の個別分野について、部会を新たに設置することとする。 ・ただし、部会の発足、審議会開始時期については総会での議論状況を踏まえたも のとする。 ・審議会委員の部会所属は、委員の意向を踏まえて調整していく。 社会保障審議会令第6条で、審議会が定めるところにより部会を置くことができると ありまして、ご決定いただくことが必要になっております。前回ご決定いただいた3つ の部会以外に、機も熟してきたようですので、次の5つの部会を設置したらいかがだろ うかと考えております。 1番目は「人口部会」です。 前回の人口推計は平成9年に行われましたが、これは平成7年の国勢調査を踏まえて 人口問題研究所が行ったものです。 平成12年に国勢調査が行われまして、その結果が今年の秋遅くぐらいに出ますが、そ の結果を踏まえて国立社会保障・人口問題研究所が行う次期将来人口推計作業の考え方 や推計前提の検証をこの部会で行う。 当面のスケジュールとしては、7月中に発足し、以降、年度内に4回程度開催し、推 計結果を報告するということを考えております。 2番目は「医療保険部会」です。 平成14年度に向けた医療制度改革の議論を行う。 夏ごろに発足を予定し、平成14年度の医療制度改革に向けて、高齢者医療制度の見直 し等必要な事項を議論していただく。 3番目は「医療部会」です。 医療を提供する体制の確保に関する重要事項の調査審議を行う。 今秋早い時期に発足させるため、具体的な人選を含めて、今日お認めいただけたらと 思います。 先の医療法改正から検討課題としている患者の選択に資する情報提供の推進、「平成 14年度の医療改革」に伴う所要の検討等必要な事項をご議論いただく。 4番目は「児童部会」です。 地域の子育て支援、保育施策、家庭福祉施策、母子保健施策などの児童や家庭の福祉 にかかわる事項の議論を行う。 秋ごろに発足予定です。 5番目は「年金部会」です。 平成16年までに実施される次期財政再計算に向けた年金制度全般にわたる議論を行う。 「女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会」が本年中 を目途に議論を整理することになっていますので、その状況を踏まえて発足予定として おります。 以上5つの部会の設置をこの審議会の場で認めていただければ、人選等は会長とご相 談した上で進めさせていただきたいと考えております。 具体的な議題としては、部会の設置についてご検討いただければありがたいと思いま す。よろしくお願いいたします。 貝塚会長 この審議会自体はあまり頻繁に開かないということですが、2の(2) に「審議会委員 の部会所属は、委員の意向をも踏まえ調整していく。」と書いてあります。この審議会 の委員はどこかの部会に所属するということですが、1カ所に集中して所属するのでは なく、いろいろな分野に分散して所属していただきたいと思います。この審議会の委員 の方は部会ではけっこう忙しくなるということだけ申し上げておきます。 「人口部会」、「医療保険部会」、「医療部会」、「児童部会」、「年金部会」の5 つですが、個々の部会の内容についてご質問、ご意見がありましたらご発言ください。 高木委員 介護保険はどういうことになるんですか。 老健局総務課長 先ほど私の説明の中で触れさせていただきましたが、介護給付費分科会を秋口ごろ発 足させて、15年度から新たに適用される介護報酬に向けての議論をしようと考えており ます。法律上、介護給付費分科会は介護報酬、在宅介護サービスの運営基準に関する審 議を行うということですが、いろいろ問題になるような点についてもご議論いただくと いう形で当面は進めていこうと考えております。 介護保険法附則で、法施行後5年を目途とした見直しを行うとしています。制度全般 の見直しが平成17年ごろあろうかと思いますが、そのころの状況に応じては、介護保険 全体の議論をするような部会も必要になってこようと思います。当面は介護給付費分科 会の場においてご審議をお願いしたいと考えております。 高木委員 今の話を聞いてると、具体的な基準などが決まったレールの上での議論をするのが分 科会ですよね。介護保険が動き出してみると、いろんな課題があるということが指摘さ れているので、いま総務課長が言われたような意味で部会的なところで議論するものも あるんじゃないかと思うんです。今の話だと5年後ぐらいの話だから、当座は分科会で やればいいんじゃないかというふうに聞こえるんだけど、私が申し上げたのは、そうい う意味ではない議論をする場がいるんじゃないかということなんです。 貝塚会長 今の制度自体の基本的な部分の見直しは、必要があれば少し先の時点でやる。介護保 険の給付費その他のことについて問題がいろいろありますから、その部分について分科 会を発足させる。その分科会では、いま高木委員がおっしゃったことは議論されるんじ ゃないかと思いますが。 中村委員 それと関連するんですが、高齢者医療制度の中に介護保険云々という話がありますよ ね。医療保険部会か医療部会かわかりませんが、これらの部会で介護保険および介護の 部分は議論されるんですか、されないんですか。それを知っておかないと、介護保険部 会、医療部会ではある程度触れざるを得ない部分もありますよね。このへんがどうなる のか。 保険局総務課長 医療保険制度、高齢者の医療制度について幅広くご意見を賜り、ご議論いただくとい う意味で、医療保険部会、医療部会、いずれにおいても現行の介護保険との関連を十分 踏まえた議論をしなければならない論点はあると思いますが、介護保険制度をどう評価 し、どう見直していくのかということについて併せて全部やってしまうという関係には ないのではないかと考えております。そのへんは十分留意しながら適切に議事を進行し ていくべきものと考えております。 中村委員 介護の部分に触れられるのなら、委員を選ぶ場合、それを前提にしてお願いしたいと いうことです。 貝塚会長 今のお答えのとおり、医療保険の問題を議論すると、先ほど資料にもありましたが、介 護保険ができたことによって医療保険がどう変わっていくかというか、特に財政負担の 影響を必ず議論しないと医療保険のことを議論したことにはならないと思いますので、 介護保険が具体的に医療保険に影響しているかということは当然議論の対象になると思 います。 高木委員 介護保険部会というのを作るんですか。 貝塚会長 いや、今の段階では作らない。ですから介護給付費分科会で議論する範囲と、もちろ ん医療保険のところに話は出てくるということです。 高木委員 医療保険のところで介護保険がらみの議論をするということですか。 河参事官 いま事務方からご説明させていたことをまとめますと、当面、介護給付費分科会があ りますので、具体的な費用の問題等については、そこで議論されるべきものはかなりあ るだろうというのが大前提です。先ほど老健局総務課長が申し上げましたとおり、具体 的な制度をどうするかという議論が必要になる時がくると思いますので、その時には改 めてこの場でご相談させていただきたいと思います。 先ほど申しました5つの部会につきましては、それぞれ議論の目的、範囲はここに書 かせていただいたとおり、おのずから制約されているところがありますが、いま医療保 険部会についてご議論がありましたように、介護というものが世の中に存在しているの は事実でありまして、それをも見ながら医療保険をどうするかという議論をする。見な いで議論することはできないだろうということを会長あるいは中村委員等がおっしゃっ たことと関連させれば、そういうのがあるということは見ていただいた上でご議論され ることだと事務局としては思っております。 介護につきましては、介護給付費分科会では、先ほど老健局が説明した資料でも、い くつかの検討課題の中に費用に関することもあるようですので、当面、そこについての ご議論を始めるということでご理解いただければありがたいと思います。 高木委員 分科会の議論の中で、こういう議論は分科会の範囲を超えていますという議論の縛り 方はしないでほしい。名称にこだわらず、制度の基準論だってなんだって制度の本質論 にかかわるわけだから、そのへんをよく押さえて運営をしてください。 老健局総務課長 高木委員のご指摘に沿うような形で運営を考えたいと思います。 京極委員 いくつかの部会ができて、具体的な議論ができる場が設定されたことは大変結構だと 思います。福祉部会は既に発足が決まっていますが、福祉というのは範囲が広いですか ら、介護サービスも入るだろうし、児童のサービスも入るだろうし、障害のサービスも 入ってくる。しかし障害者部会とか児童部会とかいろいろありますので、すみ分けが福 祉部会だけやりにくい感じなんですが、そのあたりはどう整理するのか。多少関連する ことは議論しながら、総括的な議論があってもいいような気もします。先ほど岩田委員 から出ましたようにサービス給付も、お金を個人に給付して、その方が施設を施設を利 用する時に使うのか、それとも施設にサービスを出すのか。全体のシステムのあり方に 関係する議論もありますし、なかなか絞りにくいところがあるので、お答えいただけれ ばと思います。 河参事官 前回、年金数理部会、福祉部会、障害者部会の設置をお認めいただきまして、いま委 員の人選を進めているところですが、福祉部会でご検討いただくポイントは、前回の設 置趣旨のところに2つ書かれていたかと思います。社会福祉事業法が改正されて社会福 祉法になったことに伴い、地域における福祉の総合的な計画を、必要な場合には自治体 で作るという条文がありまして、総合的な計画をどのように作ったらいいかという知恵 を出してみる必要があるのではないかというのが1つのポイントです。 もう1つは、低所得者に限らないと思いますが、広い意味で社会のネットワークから 排除されているような方々に対するサービス等を含めたもののあり方を、地に足をつけ て考える必要があるのではないかというご提案がありました。主にこの2つについて論 議していただく必要が差し迫っているのではないかというご提案を前回させていただき まして、それに基づいて福祉部会の設置をお認めいただいたわけであります。 先ほど高木委員のおっしゃったことを踏まえれば、これ以上のことを福祉部会ではや ってはいけないと事務方が申し上げるような筋ではないかと思いますが、前回、そのよ うな設置の趣旨をご報告させていただいたところでございます。 貝塚会長 部会がたくさんありますし、分科会もありますし、すごく複雑になってきてますので、 どうしても重複せざるを得ない部分があると思います。そこでいろんなご議論があって、 それぞれの部会、分科会の主張がぶつかりあうこともあり得るわけで、その際には全体 の審議会の役割が重要になります。今は予想は全くつきませんが、この会議においてそ ういう問題が重要になるだろうと思っております。 事務局の原案として、この審議会は年3回か4回開催する。部会につきましては5つ の部会を設置したいということでして、事務局提案の部会の設置をお認めいただければ ありがたいんですが、よろしいでしょうか。部会の委員、臨時委員、専門委員につきま しては私が指名することになっております。この親審議会におられる方々もそれぞれの ご専門に応じて部会あるいは分科会に所属していただくことになりますが、個別のご依 頼その他につきましては事務局が協力して皆様方にご了解を得るということにしたいと 思います。委員の皆様方も所属の部会が決まりましたら、部会の運営についてご協力い ただければありがたいと思います。 4.閉 会 以上で本日の議事は終わりましたが、その他何かございますか。 それでは、以上をもちまして第3回社会保障審議会を閉会いたします。どうもありが とうございました。 〜 以 上 〜 照会先 政策統括官付社会保障担当参事官室 政策第1係 代)03−5253−1111(内線7691・7692) ダ)03−3595−2159