05/08/29 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会第17回議事録 第17回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会 日時:平成17年8月29日(月)15:00〜17:00 場所:経済産業省別館1028号会議室(10F) ○しろまる出席委員 石井みどり委員、加賀谷淳子委員、加藤陸美委員、菊田信子委員、 北村惣一郎委員、木村隆次委員、坂本雅子委員、澁谷いづみ委員、高橋滋委員、 多田羅浩三委員、土屋隆委員、富永?ハ民委員、中村丁次委員、久道茂委員、 松本和夫委員、村田昌子委員、渡邊昌委員(17名) ○しろまる厚生労働省出席者 (健康局)中島健康局長、岡島審議官、梅田参事官、石井総務課長、 中島参事官、矢島生活習慣病対策室長、北地域保健室長、 野村保健指導室長 ○しろまる次第 I 開会 II 議題 (1)生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会中間とりまとめ(案)に ついて (2)今後の生活習慣病対策の推進について(中間とりまとめ(案)) (3)その他 III 閉会 石井総務課長 それでは、御案内申し上げました時間が参りましたので、ただいまより、第17回にな りますが、厚生科学審議会の地域保健健康増進栄養部会の開会をお願い申し上げます。 議事にお入りいただきます前に、少しお時間をいただきまして、私ども厚生労働省で 先週末、26日に人事異動がございましたので、その関係で事務局を務めますメンバーに も異動がございましたので、紹介を申し上げたいと思います。 まず、新しく健康局長に就任いたしました中島でございます。 中島健康局長 中島でございます。よろしくお願いいたします。 石井総務課長 次に、健康担当の大臣官房参事官の梅田でございます。 梅田参事官 梅田でございます。よろしくお願いいたします。 石井総務課長 梅田は、これまで瀬上参事官がこちらの事務局でいろいろ説明させていただいており ましたが、瀬上の後任に当たります。 続きまして、健康・社会保険担当の大臣官房参事官の中島でございます。 中島参事官 中島でございます。よろしくお願いいたします。 石井総務課長 中島は、皆さん御案内のとおり、これまで生活習慣病対策室長として事務局に加わっ ておりましたが、今後は、今紹介申し上げました健康担当大臣官房参事官の立場で引き 続き事務局に参画をいたします。 続きまして、新しく生活習慣病対策室長に就任いたしました矢島でございます。 矢島生活習慣病対策室長 矢島でございます。よろしくお願いいたします。 石井総務課長 以上、事務局の変更でございます。 では、ここで、新しく健康局長に就任いたしました中島から簡単にごあいさつを申し 上げます。 中島健康局長 ただいま御紹介いただきました新しく健康局長になりました中島でございます。よろ しくお願いいたします。 既に先生方はご承知のように、これからの生活習慣病対策、そしてまたこれに伴いま す保健指導の在り方につきましては、今後の健康政策上、大変重要な課題と認識してお ります。厚生労働省を挙げまして、来年に予定しております医療保険制度改革の中でも 重要な位置を占める課題と認識をしておりますので、この点につきましても十分慎重な 御議論・御検討をよろしくお願いいたしたいと思いますし、また、ぜひその改正にこの 中身が乗っていくことができますように、御協力をお願いいたしたいと思います。 以上、大変簡単でございますが、私からのごあいさつとお願いでございます。よろし くお願いいたします。 石井総務課長 なお、大変恐縮でございますが、中島局長は、この後、公務により中座をさせていた だきますことをお許しいただきたいと思います。 それから、本日の先生方の御出欠の状況でございます。座席表にございますが、本日 は18名の先生方から出席の御連絡をいただいておりましたけれど、田中委員は急遽御都 合が悪くなられたということで、欠席の御連絡をいただいております。 また、配付資料でありますが、本日は大きく3種類の資料をお手元に御用意いたしま した。右肩に四角で囲んでおります資料1と資料2−1と資料2−2でございます。御 確認をいただきたいと思います。 それでは、この後の進行を、部会長、よろしくお願い申し上げます。 久道部会長 それでは、議事を進めますが、その前に、土屋委員の方から発言が求められておりま すので、どうぞ。 土屋委員 お許しいただきましたので、簡単に、厚生労働省の担当局あるいは担当課としての御 見解を伺っておきたいことがございます。 8月14日の毎日新聞の報道によりますと、「健康診断、効果に疑問」という5段抜き の見出しで、健康診断の項目の大半が有効性の証拠が薄いとされております。今回の記 事では、あたかも現在の健診は科学的な根拠がないといった印象を与えておりまして、 読者に誤解を与える可能性が高いといえます。私ども健診に実際に当たり、あるいは推 進してきた立場の者といたしましては、これは看過できない点でございまして、本日、 厚労省としての明確な見解を正しておきたいと思いますので、よろしくお願いいたしま す。 矢島生活習慣病対策室長 生活習慣病対策室長の矢島でございます。今、先生から御指摘がございました8月14 日付の毎日新聞の記事でございますが、「健康診断、効果に疑問」というタイトルで、 その研究結果についての記事がなされているわけでございます。 御指摘の研究は、既存の文献を用いまして、現在考えられ得る最も厳格な科学的な方 法にのっとりまして健診の有効性の評価を行ったところでございますが、これにつきま しては、ある一面ということでございまして、疫学のいろいろなデータなどを、主に海 外のものなわけでございますが、そういうものを評価をしたということで、それだけで 健診の有効性が即座に否定されるものではないと認識をしております。 効果的な健診の実施というものは重要であると考えておりまして、個々の健診項目の 有効性につきましては、今後さらに検討をさせていただきたいと考えているところでご ざいます。 以上でございます。 久道部会長 土屋委員、よろしいでしょうか。 土屋委員 はい、わかりました。これは厚生労働省の科学研究費の研究班の報告が論文として出 ておりまして、これに基づいてこういう記事が書かれたものと考えられます。これは国 民を誤解させ、これから我々が健診・保健指導事業を推進していく上において障害にな ってはいけないと思いますので、その本当の意味はどういうことなのかということを機 会あるごとに皆さんお役所の方からも、私ども医師会の方からも、国民に向かって理解 を求めるようにいたしてまいりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。あり がとうございました。 久道部会長 どうもありがとうございました。大変大事なことでしたので、議事の冒頭に発言をし ていただきました。同じようなことは、平成10年にも、私はがん検診のことで、同じ新 聞社で誤解を招くような報道がされたという経験がありますが、これはやはり中身をき ちんと整理して国民にもわかるように説明していく必要があるのかなと思います。 それでは、早速、議題に入ります。 1番目でありますが、「生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会中間とり まとめ(案)」について、中島参事官よりお願いいたします。 中島参事官 中島でございます。「メタボリックシンドロームの概念を導入した生活習慣病健診・ 保健指導への転換」ということで副題を付けました、資料1でございますが、「生活習 慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会中間とりまとめ(案)」という資料を用意 させていただいております。 前回の本部会において、藤井健康フロンティア対策室長の方から、第1回のこの検討 会の概要につきまして説明を申し上げたところでございます。藤井は先週末の人事異動 で異動になりましたので、私が今回説明を申し上げます。 この習慣生活病健診・保健指導の在り方に関する検討会につきましては、前回の部会 で報告及び紹介をさせていただきましたように、7月に第1回を開催させていただいた ところでございます。資料1の10ページに、本検討会の構成委員のリストを載せており ます。 この検討会は、前回の部会で報告いたしました後、委員及び外部の関係者より具体的 な健診・保健指導の事例に関しましてヒアリング等を行わさせていただきまして、先般 の金曜日、26日に「中間とりまとめ(案)」ということで開催をさせていただいて、そ の場でこの資料1をもとに御議論をいただいたところでございます。 そのポイントにつきましては、資料1の一番最後でございますが、イメージ図がござ います。キーワードといたしましては、一番左側にございますように、今後の健診・保 健指導については「メタボリックシンドローム」という概念を導入してはどうかという ことが一つでございます。 そして、今後、保健指導や治療を要する対象者をきちっと確実に抽出していくために は、健診機会を重層化していくということ。それから、健診内容を重点化していくとい うことが必要ではないかということ。 そして、その結果、保健指導なり治療が必要とされる対象者といったものを、その度 合いに応じて階層化を図って保健指導につなげていくことが必要ではないかというこ と。 そして、レベルに応じて内容・密度を変える保健指導を行っていく際には、その保健 指導プログラムというものの標準化を図っていく必要があるのではないかということ。 そして、そうした健診・保健指導を一連のものとして、一番下でございますが、的確 に効果を評価していくということが必要ではないか。 そういった基本的な考え方を整理をしていただき、今後の方向性について御提示いた だいたということでございます。このことにつきましては、前回の部会でも報告をした ところでございますし、その後の「中間とりまとめ」におきましても、こうした基本的 な骨格は変わっておりません。 ただ、26日のこの在り方に関する検討会では、メタボリックシンドロームという概念 を導入することについては、生活習慣病対策の充実に大いに寄与するものの、非肥満型 の生活習慣病というものも存在するわけで、メタボリックシンドロームの概念を導入す るだけで生活習慣病のすべてに対して有効なものではないということもしっかり明記し ておくべきではないか。すなわち、非肥満型の生活習慣病というものも存在し、それに ついてはメタボリックシンドローム概念の導入というもので解決できるものではないと いうことをしっかりメンションをしておくべきではないかという御意見が出されまし て、そうした文言の追加につきましては、座長の方に御一任をいただくということで、 座長との間で最終的な調整をさせていただくことになっております。 そして、本日は、このとりまとめの案につきまして、改めてきちっと報告をし、御審 議をいただければありがたいと思っております。後ほど、2つ目の議題でございます本 健康増進部会におけます中間とりまとめの案を本日紹介いたしますが、その中で、健診 ・保健指導のプログラムの在り方に関する部分というのは実は空欄にさせていただいて おります。それは後ほど説明いたしますが、「健診・保健指導の在り方に関する検討会 中間取りまとめ(案)」に対するこの本日の御議論も踏まえて、改めて健診・保健指導 のプログラムの内容については「中間とりまとめ(案)」に追加記入をさせていただい て、9月7日の本部会に提示を申し上げたいと思っておりますので、本日は何とぞ十分 な御審議をお願いできればと思っておる次第でございます。 それでは、2枚目の裏の目次のところでございます。まず、1はこの生活習慣病健診 ・保健指導の在り方に関する検討会の検討の背景、2は現状と課題の整理、3で今後の 方向性、4で残された今後の検討課題という形で構成をさせていただいております。 それでは、1ページから順に説明を申し上げます。 まず、1の検討の背景でございます。 1つ目の○しろまるですが、早急な生活習慣病対策の充実が求められている。 4つ目の・で、虚血性心疾患や脳卒中の重要なリスクファクターと考えられる糖尿 病、高血圧症、高脂血症の有病者及びその一歩手前の状態にある者(予備群・ハイリス ク群)が増加している現状にある。 5つ目の・で、今後、これらに対する対応を充実し、推進することが急務である。 そして、その下の※(注記)ですが、こうした生活習慣病対策は短期的な効果は必ずしも大き くないが、中長期的には国民の健康寿命の延伸、医療費の適正化等への重要な鍵であ る。 次に、○しろまる個人に対する継続的な生活習慣の改善支援が必要となっている。 1つ目の・で、糖尿病、高血圧症、高脂血症、高尿酸血症をはじめとする生活習慣病 においては、その発症予防や病態の改善のため、継続的に生活習慣を改善することが基 本となる。 2ページでございます。 一番上の・ですが、国民の多様なライフスタイルや考え方に対応しつつ、特に、現 在、こうした健康面に関心のない方や予備群に対して、適切な生活習慣改善への確実な 支援を行うことが重要なのだということです。 そして、その下の○しろまるですが、そうした対策は、国民にわかりやすく、かつ、受け入れ られやすいものであることが必要だということです。 2つ目の・ですが、近年、内臓脂肪の蓄積が糖尿病等の発症に深く関係し、これらの 重複が多いほど、心疾患や脳血管疾患の発症リスクが高いという、メタボリックシンド ロームの概念が受け入れられつつある。 下の※(注記)です。2005年4月には、関係8学会からメタボリックシンドロームの定義と診 断基準も公表されているところであるということでございます。 そして、その下の・ですが、今後、このメタボリックシンドロームの考え方を取り入 れた対策というものを推進していくことが期待されるのではないかということでござい ます。 そして、次の○しろまるでは、現状を踏まえた健診・保健指導の再整理が必要であるというこ とで、2つ目の・ですが、現在、社会保障全体の在り方の検討において、生活習慣病対 策の充実が求められている。先ほど私どもの局長の方からごあいさつ申し上げたところ でございますが、今後、予定されている医療制度改革も念頭に置いた健診・保健指導の 在り方の検討が必要となっているということでございます。 3ページでございます。 上から2つ目の・ですが、2行目の後半、メタボリックシンドロームの考え方を取り 入れ、内臓脂肪の減量を目的とした保健指導の対象者の明確化や指導内容の充実など、 健診・保健指導の対象や内容を再整理することが必要であるということでございます。 そして、その下の○しろまるですが、このため、本検討会においては、今後の方向性をとりま とめるということでございます。 こういう基本的な認識のもと、それでは、現在の生活習慣病対策に係る健診・保健指 導の状況はどうなのかということで、2でございます。 1つ目の○しろまるですが、後半からでございますけれど、国民全体の行動変容に確実に結び ついているとは言いがたいのではないかという基本認識でございます。 3つ目の・の※(注記)であります。特に、地域で生活しておられる方、すなわちサラリーマ ン本人でない方、具体的には、被用者保険の被扶養者の方や国保の被保険者、自営業者 等の方々については、被用者本人と比べて受診率が低い、また、希望をする方を中心に 健診が行われているということもあって、リスクを抱えておられる保健指導や治療の必 要性の高い方が必ずしも健診を受けておらず、保健指導・治療に結びついていないケー スが多々みられるのではないかということでございます。これは、健診・保健指導の中 身、プログラムの議論とともに、だれがどうした財源で国民に対する健診・保健指導の 責任を担うのかという仕組み、システムの問題にもかかわってくる論点でございます。 次の4ページでございます。 一番上の・でございます。それとともに、健診の実施に重点が置かれている場合が多 く、すなわち、健診の受けっぱなしといったものが散見されるのではないか。したがっ て、健診結果に基づいた適切な保健指導が不十分という状況にはないのかということで ございます。 そして、その背景には、1つ下の※(注記)でありますが、健診は、大部分が民間機関、すな わち健診機関や医療機関等への委託により実施をしておりますけれど、その後、ハイリ スク者等への保健指導については、主として市町村や産業保健分野における保健師さん 等の限られたマンパワーにより実施されているという、ある意味では保健指導を担う場 なりマンパワーといったものの不足があるのではないかといったことから、必要性の高 い者に対して保健指導というものが徹底しない一つの背景ともなっているのかもしれな いということでございます。 そして、次の○しろまるでございます。それとともに、健診・保健指導の実施効果について、 評価や体系的整理が行われていないのではないかということでございます。 1つ目の・でございます。先ほどの土屋委員からの御質問にも関連しますが、医学的 根拠に基づく検証といったものが不十分な点がありはしないか。 2つ目の・でございます。事業主体、すなわちこれは老人保健事業でありますと市町 村、医療保険者の保健事業ですとそれぞれの保険者、事業主健診ですと労働安全衛生法 に基づく健診・保健指導の責任を担う事業主ということですが、そうした事業主体によ って保健指導の内容や対象者を選ぶ方法に差があるのではないかということでございま す。 そういうことから、3つ目の・ですが、健診結果に基づく保健指導や治療等につなげ る要否の判断、それから保健指導の実施方法等が個々の医師や保健師等の資質、経験等 に委ねられている傾向があり、標準化やノウハウを共有する取り組みといったものも必 要なのではないか。 そして、4つ目の・ですが、効果の把握といったものが必要ではないかということで ございます。 一番下の○しろまるにつきましては、プログラム、システム、先ほど申し上げた両方にかかわ る問題でありますが、健診・保健指導を積極的に受けよう、健診・保健指導サービスを 積極的に提供しようという面において、国民や事業主体等にインセンティブといったも のが働かなくなっているのではないかという問題点も御指摘をいただいているところで ございます。 5ページでございます。 こうした基本認識、そして現状の課題を整理をさせていただいた上で、今後の生活習 慣病健診、そして保健指導の在り方についての方向性を整理をしていただいておりま す。 1つ目の○しろまるですが、特に予備群に対する保健指導の徹底、そして保健指導を通じた行 動変容といった形のサービスとして、健診・保健指導を体系化していくべきではないか ということでございます。 1つ目の・ですが、健診によって、保健指導を必要とする方、特に予備群をスクリー ニングし、確実な行動変容を促す保健指導につなげるという基本的な点を再確認し、健 診及び保健指導を一連のサービスとして体系化していくことが必要ではないか。それ を、仮称でございますが、「生活習慣病改善支援サービス」ということで言っておりま す。 そして、その下の・ですが、健診で異常を指摘された方を適切な保健指導や医療に確 実につなげることは当然重要でありますが、必ずしも異常を指摘されなかった方につい ても、健診を受けていただくという機会を最大限に活用し、日常生活においてきちっと した行動、生活習慣を身につけていただくという動機づけの機会として、健診の重要性 というものを再認識することも必要ではないか。 具体的には、その下の※(注記)ですが、問診等を通してみずからの生活習慣を振り返り、改 善への動機づけの機会とするという観点も大変重要ではないか。すなわち、リスクの発 見ということにとどまらない、動機づけという観点からの意義も健診にはあるのではな いかということでございます。 次の○しろまるでございます。メタボリックシンドロームの概念を導入し、対象、目的を明確 にすべきではないかということでございます。 1つ目の・の3行目の後半から、メタボリックシンドロームの概念を導入して、内臓 脂肪型肥満の有病者及びその予備群に対する内臓脂肪の減量を目指した生活習慣改善の 支援を充実・強化していくということが基本ではないか。 そして、次の・ですが、国民が、メタボリックシンドロームの発生機序等に対する考 え方を理解し、運動習慣の徹底、食生活の改善といったことを通じて、内臓脂肪を減量 するということが重要である。そして、そうした内臓脂肪からの高血糖、高血圧、高脂 血の重複のリスクファクターといったものを改善することで、虚血性心疾患や脳卒中発 症のリスクが低減し、発症予防につながるのだということを、国民の間の共通認識とし て有していくということが重要である。 一番下の・ですが、喫煙についても、やはり運動・栄養と並んで禁煙支援等を行って いくということが重要ではないかということでございます。 6ページでございます。 一番上の○しろまるですが、そうしたことをやっていくには、まずサービスを必要とする者を 効率的にピックアップをし、これらの方々に確実にサービスが提供されるようにしなけ ればいけないのではないかということでございます。 1つ目の・ですが、すべての者、広く対象者をとらえ、スクリーニングを行うことを 基本として、対象者の年齢や性別、ライフスタイル等を考慮したその後詳細な健診を受 けていただき、そして保健指導の機会を提供していくということから、必要性に応じた 検診、保健指導等について、検査項目、頻度、判定基準、保健指導の内容等を設定する ことが必要ではないかということであります。 そういう意味では、1つ目の※(注記)ですが、高齢者に対する健診や保健指導の内容といっ たものは、青壮年者に対するものとは必ずしも同じではないのではないかという点。こ れは介護予防との関連というものをどう捉えるかという問題提起でございますし、2つ 目の※(注記)では、現行の老人保健事業は40歳以上の者を対象としているということも念頭に 置きつつ、生活習慣病予防の観点からは、40歳未満の者に対しても健診・保健指導が積 極的に提供される必要性が生じているのではないかといったことでございます。 その下の・ですが、そうしたサービスを必要とする者を効率的に抽出し、そうした者 に確実にサービスを提供すべき一つのキーワードとして、「健診機会の重層化」という ものを図っていくことが必要ではないかということで、健診につきましては、対象者に 過度の負担をかけず、これまで受けていない方々にも受けやすく、しかし一方で、保健 指導等が必要な者を見落とさないという手法として、簡便な健診、健康チェックとでも 呼ばせていただくようなものを詳細な健診の前の段階に設定をして、そこで幅広く多く の方に健康チェックを受けていただき、そこで問題が発見された方について詳細な健診 を受けるという形に進んでいただくという、「健診機会の重層化」というものが必要で はないかということであります。 1つ目の※(注記)ですが、現在の健診・保健指導では、呼びかけに応じた者を中心に、一部 の者にのみ繰り返し健診・保健指導が実施されているような現状にあるのではないか。 必要性が高いにもかかわらず、現実には健診・保健指導を受けていない方がかなり存在 するという問題把握が前提にございます。 2つ目の※(注記)ですが、先ほど申し上げたような被用者保険の被扶養者、国保の被保険 者、自営業者等の方々についても、より容易に健診にアクセスしていただくということ が重要だということでございます。 3つ目の※(注記)ですが、ただ、健康チェック、詳細健診という重層化といっても、詳細な 健診については、必ずしも健康チェックで引っかかられた方だけというのではなく、数 年ごとの節目健診として、一定の年齢の方には、すべての方にこの詳細な健診をきちっ と受けていただくということも、合わせて必要ではないかということでございます。 こうした「健診機会の重層化」というものと、もう1つが、次の・ですが、「健診内 容の重点化」ということでございます。健診の内容については、メタボリックシンドロ ームの概念を導入して項目や判断基準を再整理をして重点化を図っていくことが有効で はないかということでございます。 7ページでございます。 2つ目の※(注記)でございます。生活習慣のアセスメント、そして個々人の行動変容に向け ての準備状況等を把握するためには、問診を充実させるということが重要である。そう いう観点では、問診そのものが行動変容の動機づけともなるという認識、先ほど申し上 げたようなことがここで改めて書かれております。 2つ目の・ですが、保健指導でございます。保健指導については、健診を受けたすべ ての者に個人の状況や必要性に応じたサービスを提供することが重要である。メタボリ ックシンドロームの概念を取り入れたリスクファクターの重複状況、個々人の行動変容 の困難さといったものの度合いを指標にし、「保健指導対象者の階層化」を図っていく ことが重要ではないか。保健指導の内容・密度といったものを階層化していくことが必 要ではないかということであります。 1つ目の※(注記)ですが、保健指導の必要性が高い方には、優先的に密度の高い保健指導サ ービスを提供するとともに、保健指導の必要性が必ずしも高くない方にも、適切な生活 習慣の維持に向けた健康情報の提供等のサービスといったものを提供していく。いわゆ るポピュレーションアプローチ的なものになるかもしれませんが、そうしたことも必要 ではないかということでございます。 次の・でございます。こうした保健指導の内容について、ある程度標準化を図ってい く必要があるのではないかということでございます。生活習慣の改善の必要性等に応じ た一定レベルの保健指導の量と質を確保するため、「情報提供・普及啓発」にとどまる レベル、「動機づけの支援」をするに至るレベル、さらには、「積極的・具体的な生活 習慣改善支援」を講じなければならないパターンなど、サービスの類型化なりサービス の提供のやり方といったものを示し、そのプログラム内容を標準化していくということ が必要ではないかということでございます。 そして、一番下の・ですが、そうした観点からは、集団的、画一的、抽象的な保健指 導ではなく、対象者の特性に応じて確実な動機づけ、確実な行動変容を促す新たな手法 の開発・導入が必要ではないかということでございます。 8ページでございます。 こうした階層化・重層化から標準化に至る流れとともに、1つ目の○しろまるですが、こうし た健診・保健指導については的確な評価をし、サービスの改善につながる仕組みを内包 していくべきではないかということでございます。 評価という点では、事業主体ごとの評価といったものが重要ではないかということが 1つ目の・でございます。 2つ目の・では、個人として、または健診・保健指導を受ける集団としての効果の評 価といったものが重要になってくるのではないか。 3つ目の・ですが、そうした評価がサービス提供者の質の向上、さらには健診・保健 指導の内容そのものの見直し等にも活用できるのではないか。 そして、こうした評価結果を、都道府県、国レベルで集約し、制度そのものの在り方 の改善等に活用できるようにすべきではないかということでございます。 そして、次の○しろまるでございますが、保健資源の整備状況を考慮して、効果的かつ効率的 なサービスを提供すべきという観点からは、・ですが、個人のニーズに対応した保健指 導が提供される体制を整備するためには、関係機関の医療機関・健診機関、さらには保 健指導に携わられる方々の有機的な連携を図るとともに、民間事業者も含めたサービス 提供者間に質で選ばれるための競争原理を働かせることが重要ではないか。 そのためには、1つ目の・ですが、IT技術の活用等による効率化も重要でありまし ょうし、かと言って、2つ目の・ですが、保健サービス提供の基本的な考え方、評価基 準を明確にして、サービスの質をやはり一定レベルに担保していくということは、当然 のこととして必要ではないかということでございます。 9ページでございます。 この検討会は、以上、説明いたしましたような方向性を示したということでございま して、こうした方向性に沿って対策を打っていくには、まだこうした検討課題が残され ているということを9ページに列挙しております。 1つ目が、社会全体への普及・啓発、すなわちポピュレーションアプローチというも のと一体性をとったハイリスクアプローチである健診・保健指導の在り方でなければい けないよということでございます。すなわち、メタボリックシンドロームの概念等につ いて、国民全体の理解を深めていくということが重要ではないでしょうか。 2つ目、「生活習慣改善支援サービス(仮称)」ですが、その具体的な内容を検討し ていく必要がある。健診機会の重層化、健診内容の重点化、保健指導の階層化、プログ ラムの標準化等々を申し上げてきましたが、実はその具体的内容というものについては 今後しっかり検討していく必要があるわけであります。健診の対象年齢、性別、ライフ スタイル等の特性に応じた健診、健康チェックと称するもので何をするのか、詳細健診 で必要なものは何なのかといった健診の具体的項目、実施頻度、保健指導に進めていく 際のリスクファクターに応じた判定基準、階層化の方法、そして保健指導プログラムの 標準化といったものについては、今後さらなる検討が必要ではないか。 そして、当然、健診・保健指導を通じた精度管理の徹底ということも重要ということ でございます。 それとともに、4つ目の○しろまるでございますが、こうした健診・保健指導の中身、プログ ラムの検討とあわせて、こうしたメタボリックシンドロームに着目した健診・保健指導 サービスを提供していく仕組み、システムについても検討していく必要がある。すなわ ち、健診・保健指導を実施する責任、どうした費用負担でやっていくのかという意味で の制度設計というものが大きな課題としてあります。老人保健事業の見直しの必要性が 指摘され、また、医療保険者がより保健事業に取り組んでいただくという必要性も指摘 されている。さらには、職域において、事業主と医療保険者がどのような役割分担でサ ラリーマンの方に健診・保健指導をやっていくのかということも課題として残されてい る。または、それぞれの関係者の連携の必要性も問われている。そうした検討が必要で ある。 そして、本部会でも御議論をいただいてきたところですが、こうした関係者間をしっ かり総合調整していただくという都道府県の役割というものの強化が必要であろう。 それから、良質な健診・保健指導サービスを提供していただける機関の育成といった ものも課題になるだろうということでございます。 そして、その下でございます。この検討会では、ハイリスク者の中でも、予備群、境 界領域期の方にターゲットを絞った施策を重点化していくべきではないかということで すが、それと合わせて、有病者に対して、医療機関において行われる保健指導も一層充 実していただく必要があるのではないかといったことも、合わせて重要な課題としてメ ンションさせていただいておりますし、また、一番最後、健診データを体系的・経年的 に管理していくシステムも要るだろう。生活習慣改善支援サービスを、個人のキャリア ラダー等に応じてきちっと管理をし、評価していくような仕組みといったものの構築も 重要だろうと。こういう形で整理をされているわけでございます。 こういう形で「中間とりまとめ(案)」を26日に御審議いただいて、基本的には、メ タボリックシンドロームの概念といったものが非肥満型の生活習慣病には該当しない、 非肥満型には別途きちっとした対策が要るということを明記するという、一部、文言修 正を踏まえて、基本的には御了承いただいたということでございます。 なお、口頭になりますが、事前にこうした議題を本日取り上げるということで、本 日、御欠席の市長会の北海道深川市の河野市長さんから、座長及び委員の先生方にお伝 えくださいということで、2つ、御意見をいただいております。 1つが、40歳未満から健診・保健指導が必要だということが前回のこの健診・保健指 導の検討会のペーパーでは出ていたが、その際には、財源や方法や内容についてしっか りした仕組みなり専門的な支援が要るのではないかということであります。すなわち、 現行では老人保健事業が40歳以上を対象にしているということなので、40歳未満もやる ということであれば、改めてきちっとした仕組みをつくらなければいけないのではない かということでございます。 2つ目の御意見は、現在の老人保健事業等は、無料で行っていても、受診者が一部に 限られているということから考えると、健康チェック・詳細健診という形で2段階にし たら2度足を運ぶことになるのだとすると、実際的に受診者が増えるのだろうかという 危惧もあるという御意見をいただいております。実はここも大変重要な点であります。 健康チェックといったものをどこまで簡便で、しかし正確なものにし得るのかというと ころの課題だと思っております。すなわち、国民が受けやすいということを満たす必要 がある一方で、予備群、さらには治療が必要な者を確実にとらえ得るということを両立 させなければいけないわけでありまして、そういう点においては、健康チェック、さら には詳細健診の具体的な在り方については当然検討が必要かと思っております。 ただ、この検討会での報告では、今までのような、ある意味、重装備というと言い過 ぎかもしれませんが、かなり重い健診をすべての方に最初から一律にということだけで は、ハイリスク者の把握がなかなか難しいのだろうという問題意識から出ているわけで ありまして、その意味では、国民が簡便にまずは受けて、そしてそこでリスクが発見さ れた人には、さらに次の詳細な健診に進んでいただくと。そのことによって確実に危な い人をピックアップできるという観点に立っておりますので、いずれにいたしまして も、この御指摘も踏まえて、健康チェック、詳細健診の中身というものについては、国 民の受けやすさというものと、的確にハイリスク者をピックアップするということをい かに両立させていくかということは、今後の課題になろうかと思っております。 私の方からの報告は以上でございます。 久道部会長 どうもありがとうございます。健診と保健指導の在り方に関する検討会の中間まとめ を説明いただきました。まだこれから検討課題として残っているものがあろうかと思い ますが、今の説明の範囲内で御質問や御意見がございましたら、どうぞ。 富永委員 ただいま、中島参事官から、「生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会中 間取りまとめ(案)」の骨子をわかりやすく御説明いただきました。それで、私が特に コメントしたいのは、9ページの4の今後の検討課題の2つ目の「「生活習慣改善支援 サービス(仮称)」の具体的な内容の検討」に関することでございまして、これにつき ましては、10ページの後の横長の資料に詳しく出ております。 横長の資料の3ページ、「健康審査」についての下の方をごらんいただきますと、 「健康チェック」と「詳細健診」の2つの大きなグループに分かれております。そし て、「健康チェック」の中に例として、問診、行動変容度チェック、身体計測、簡便な 血液検査とございますが、特に重要なのは問診のところでございまして、問診と一言で 書いてありますけれども、この中には、主な自覚症状、どのような病気に今までかかっ たか、現在かかっているか、治療を受けているかどうかとか、そのほかに、ここの中に は生活習慣チェックを入れるべきだと思います。 これまでは、健康診断はいろいろありますが、簡単な問診はございますけれども、生 活習慣がどうかというところまでは踏み込んでいません。せいぜい、たばこを吸ってい るか、酒を飲んでいるか程度で、運動とか食生活のことはほとんど聞いていないと思い ます。この生活習慣病対策のアプローチは、できるだけ早期にメタボリックシンドロー ムのような状態を見つけて、的確な保健指導、生活習慣の指導を行って、悪化しないよ うに、あるいは虚血性心疾患などを予防するという作戦ですけれど、理想的には、生活 習慣が最初から非常によくて、そのような異常な状態にならない、異常検査所見も出な いというのが一番いいのですが、そういう点ももう少し努力した方がいいと思いますの で、私の具体的な提案というよりも要望は、9ページの「生活習慣改善支援サービス」 のところにぜひ具体的に生活習慣のアセスメントを入れていただかないと、行動変容の 難易度などは判断できないので、そこをきちっと入れてほしいと思います。 久道部会長 ほかにございませんか。 中村委員 中島前室長から大変詳しい御説明を受けて、私はこれは大変すばらしい報告書だろう と拝見しました。それで、私どもから、食事とか栄養という観点からちょっと御意見を させていただきたいのですが、9ページを開いていただきたいのですけれど、「生活習 慣改善支援サービス」の具体的な内容になりますと、やはり食生活の改善、運動の改善 ということが中心になると思いますので、ぜひこの支援プログラムの中には食生活の改 善を重点的に入れていただきたいと思っております。 それから、精度管理の徹底のところで、「保健師等、専門職員の質の確保」というこ とがありますけれど、できましたらこれに「管理栄養士」も入れていただきたいと考え ております。といいますのは、御存じのように、現在、食事とか栄養に関する情報が大 変混乱しておりまして、結局、国民がだれのことを信じたらいいのか、何を信じたらい いのかわからない状況で、「結局、こんなのだったらだれも信じられない、何もやらな い方がいいわ」というような状況も生じておりますので、情報の高い質の管理を担保す るという意味で、専門家の質の確保をしたいと考えております。 それから、もう1点お願いしたいことがあるのですが、イメージ図の4ページでござ いますけれど、(2)積極的支援の中に、「保健師、管理栄養士等の関与により、直接的 に行動変容の支援をする」と書いていただいております。そして、次のページを見てい ただきますと、もしそういうことでございましたら、この右下の「積極的支援」のとこ ろは、「保健師による面接」ということだけではなくて、「積極的支援」でございます ので、「管理栄養士」も入れていただければありがたいと思います。 坂本委員 この考え方の中で、健診と保健指導というのが2つに分かれているわけですが、9ペ ージの「生活習慣改善支援サービス」というのは、多分この健診と保健指導を1つにと らえたものだろうと思うのです。従来の老健法の場合は、健診は健診、保健指導・健康 教育は健康教育という形になっていましたので、健診はどこかに委託する、そして健診 の中に保健指導が1つの概念としてとらえられていなかったということは大変大きい課 題だったような気がします。 私どもが市町村として健診を委託していくというときに、保健指導がついた健診とい う形では委託していなかったと思います。費用負担の問題とも関係してくると思います が、健診の中に既に保健指導が入っていると、特に重層化した最終的な詳細健診の中に 保健指導が入るという考え方の方が、効率的なのではないかと思います。 それで、費用負担のときにぜひ健診と保健指導を1つにとらえて、生活習慣改善支援 サービスとしてまとめられるといいと思います。現在は、産業保健の分野でも委託する ときには健診だけを委託しているという気持ちが強い受信者も検診のみを受けると思っ ているのではないかと思います。 松本委員 市町村の立場で申し上げたいと思います。先ほど中島参事官の方から市長会のことも 言われましたが、市町村にとっては財政が非常に厳しくなってきているんです。医療費 にいたしましても、介護費用にいたしましても、年々増加しております。そういうこと で、我々も健康づくりとか介護の予防などに努力してきていますが、なかなか大変な時 期になってきたのではないかという感じがいたします。 その中で、老人保健事業の健康審査は、私の町では基本健診として、胃がん、子宮が ん、乳がん、肺がん、大腸がんなどを行っておりまして、そして糖尿関係におきまして は平成11年から13年にかけてモデル地区に指定されました。そういうことで、それを継 続しながら、重点目標として取り組んでいるわけでございます。そして、食生活改善推 進事業ということで実施しております。また、保健指導等においては、健康相談、健康 教育、訪問指導を実施しておりますが、受診率はなかなか高くないんです。これはばら つきがあると思いますが、町として受診するように皆さん方に申し上げるのですけれ ど、本当にそれは少ないんです。これを高めていかないとだめではないかという感じを 持っております。 それから、今回提案されました健康審査、また保健指導の考え方で、リスクの高い人 を確実に把握した上で栄養指導を行うことについて、私のところでは栄養指導はさっき 言いました食生活改善推進事業として栄養教室を開いたり、運動指導として健康体操の 教室を開いたり、介護予防事業として取り組んだりもしているわけでございますが、今 後の問題として、保健指導を徹底していく上で、市町村としては公務員として保健師並 びに管理栄養士の大幅な増員というのはなかなか大変だと思います。そういうことで、 良質な民間事業者を育成するとともに、医療保険者への取り組みも一層強化していただ くようにお願いしたいと思います。 久道部会長 ありがとうございました。 それでは、とりあえず議題2の方に参りまして、その後、時間ができると思いますの で、全体の議題に戻ってまた御意見や御質問をいただきたいと思いますが、一たんここ で1番目の議題を閉じた上で、次に参りたいと思います。 議題2の「今後の生活習慣病対策の推進について(中間とりまとめ(案))」を中島 参事官から御説明をお願いいたします。 中島参事官 それでは、資料2−1と資料2−2として、本部会におけるこれまでの御審議の「中 間とりまとめ(案)」を配付させていただいております。資料2−1が「中間とりまと め(案)」、資料2−2が生活習慣病対策に関します基本的な資料集といった形で整理 をさせていただいたものでございます。 資料2−1でこれまでの経緯を改めて説明いたしたいと思っております。28ページを お開きいただきたいと思います。これまでの本部会におきましては、昨年の10月に再開 をいたしまして以来、今回、第17回まで御審議をいただいてきたところでございます。 いわゆる一次予防の在り方については、「健康日本21」の中間評価を中心に、そして今 日も含めまして、健診・保健指導の在り方という二次予防の在り方の議論、そして前回 重点的に御審議いただきましたが、国・都道府県・医療保険者、さらに市町村、民間事 業者等の役割という点での生活習慣病対策の推進体制という、こうした方向でこれまで 御議論をいただいてきたところでございます。 そして、第13回、第14回では、第8回以来の議論を改めて整理をさせていただきまし て、御議論もいただいたところでございます。 そして、前回の第16回では、これまでの議論を踏まえた中間とりまとめの骨格につい てということで、後ほど、再度簡単に紹介いたします本部会の「中間とりまとめ(案) 」の骨格についても御審議いただき、御了承いただき、本日、それにのっとって文章に させていただいたものを提出させていただいているところでございます。 また、前回は、中間とりまとめをしていくに当たって、必ずしも十分には御議論いた だけなかったかなと思われる論点を2つ−−健診・保健指導の中身の話、それは本日も 御議論いただいているところでございますし、それから、生活習慣病対策の推進体制に おける都道府県の役割の重要性ということについて、この2点については前回さらに議 論を深めていただいて、改めて前回の議論も取り込んで、本日ここに文章にいたしまし た「中間とりまとめ(案)」というものを提示申し上げたところでございます。 その基本的考え方といたしましては、資料2−1の本文の後に別添というものがつい ております。その次に別添1がございます。今後の生活習慣病対策の推進についてとい うことでございます。これは前回、中間とりまとめに着手するに当たって御審議・御了 承いただいたものでございます。 プログラム、システム、エビデンスといった形に整理をさせていただいて、まず一番 下ですが、エビデンスに基づく生活習慣病対策が重要だという点、そして一番上です が、プログラムとしてはポピュレーションアプローチ、ハイリスクアプローチ、それぞ れについてこうしたことに取り組んでいく必要があるのではないか。 そして、システムにつきましては、現在、省内で検討させていただいております。医 療保険者が今後保健事業にどのような形で取り組み強化をするのか、それを踏まえて市 町村を主体とする老人保健事業の見直しといったものはどのような形になるのか、議論 させていただいておりますし、都道府県が総合調整機能を果たしていただくという点に ついては前回しっかり御議論いただいたところでございます。 そういう観点から、健康増進法における健診指針の内容の充実、さらには健康増進法 に基づき都道府県に策定いただく健康増進計画の内容充実といった方向で生活習慣病対 策をしっかり強化していく。そのためには、国として当然、エビデンス、プログラム、 システムといったものをしっかり確立していく必要があるだろうということでございま す。 もとに戻っていただきまして、こうした考え方に基づきまして、プログラム、システ ム、エビデンスという形にはなっておりませんが、「中間とりまとめ(案)」という形 で、1〜2ページに目次として整理をさせていただいたところでございます。 後ほど、私どもの森田補佐より読み上げをさせていただきますが、まず、1章とし て、はじめにでございます。 そして、2章として、これまでの生活習慣病対策の現状と課題。これはこれまでの第 一次健康づくり運動から解き起こして今日に至るまでの生活習慣病対策の展開、そして 「健康日本21」中間評価−−富永先生に作業チームの座長をお務めいただいております が、16年度のデータが必ずしも今はまとまっておりませんので、とりあえず15年度の健 康・栄養調査までの実績値をもとにした現在の国民の健康状況、そしてそうした中から 浮かび上がった課題というものを整理させていただいております。 そして、第3章で、今後の基本的方向性としては、Iとして、予防の重要性・効果を 再認識すべきではないか。メタボリックシンドロームの概念の導入。 そして、IIとして、科学的根拠の集積の必要性。エビデンスに基づく施策展開と事業 の実績評価。これは多田羅委員の方から、実績というものをどのようにとらえるのだと いうことで、特にがん検診の際に御発言いただいたことも踏まえて書かせていただいて おります。 そして、IIIとして、生活習慣改善の効果的なプログラムの開発と普及という点で、 ポピュレーションアプローチにおける各種のプログラム、そしてハイリスクアプローチ における健診・保健指導の内容の見直し。 IVとして、個人の取り組みを社会全体で支える責任・役割の明確化という点で、都道 府県がしっかり役割を強化していただく、総合調整機能を働かせていただく。それとと もに、産業界も含めた形で国民が一丸となった連携を図っていくべきではないかという ことでございます。 そして、2ページ、4章でございますが、具体的な対応方針としては、ポピュレーシ ョンアプローチ、ハイリスクアプローチという形で、まず健康づくりの国民運動化とい うことで、メタボリックシンドロームの概念を普及・定着させていくべきだというこ と。そして、このたび、「健康日本21」につきまして代表目標項目を選ばせていただき ましたが、そこを重点的に普及・啓発していく。そして、具体的な施策プログラムの提 示ということで、「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」という中で、 いわゆるエクササイズガイド、食事バランスガイド、禁煙支援マニュアル等々の目標達 成に向けた具体的なプログラムの開発・普及の必要性。そして、民間企業等も巻き込ん だ形で国民運動としてこうした健康づくりに取り組まなければいけないということでご ざいます。 そして、IIとして、ハイリスクアプローチとしては、ここはこの報告後も御議論をい ただくことになると思いますが、本日の御議論も踏まえて記述を追加させていただきま すけれど、今申し上げたような健診・保健指導の内容の充実に向けての取り組みといっ たものを書かせていただきたいと思っております。 IIIで、糖尿病・循環器病対策。 IVで、がん対策。 Vとして、推進体制ということで、(2)医療保険者による取り組み強化。(3)都 道府県の総合調整機能の強化と都道府県健康増進計画の見直し。そして、(4)として 松本委員の方からも御発言がありましたが、市町村医療保険者が内部にマンパワーを抱 えるだけではなかなか難しいということもありますので、民間事業者へのアウトソーシ ングというもの。そうしたことについて生活習慣病対策の推進体制ということで整理を させていただく。 そして、5章として最後にということで整理をさせていただいております。 最初に申し上げますが、27ページを開けていただきますでしょうか。最後の○しろまるでござ います。現時点で残された主な検討課題ということも改めて整理をいたしまして、とり あえず中間とりまとめとしてはここまでとしまして、今後こうしたことを検討していか なければならないという点で、1つは、「健康日本21」の中間評価、いわゆる最終的な 中間評価というものを16年の健康・栄養調査のデータが明らかになった段階で、また、 富永先生のお力も借りて、きちっとやり遂げる必要がある。 そして、その中では、例えば、部会長の方からも御発言がありましたが、喫煙率の低 減目標みたいなものを新たに設定すべきかどうかといったことも恐らく議論されなけれ ばならないかなと思っております。 2つ目としまして、これについては省内の検討はなかなかスピードが上がり切ってい ないところもございますが、健診・保健指導の仕組み、システムの問題でございます。 医療保険者がどこまで取り組みを強化するのか、それを踏まえて、今の老人保健事業を どのように見直すのかといったこと、これも大きな課題として残ってございます。 3つ目と4つ目と5つ目としまして、きょう御議論いただいております健康チェック と詳細な健診の内容を具体的にどのように設定するのか。保健指導プログラムをどのよ うに標準するのか。保健指導をアウトソーシングするといっても、それはどのような条 件のもと進められなければならないのか。 6つ目としまして、都道府県の健康増進計画において、地域の実情に応じ、ぜひとも 県として目標値を設定していただきたいというものとして、「健康日本21」の代表目標 項目といったものを既に選んでおりますが、それと合わせて、メタボリックシンドロー ムの概念に対応した指標といったものも考えられないか。そして、そういったものを都 道府県の健康増進計画でもそれぞれの中において、メタボリックシンドロームに着目し た対策を進めていく上での目標値となり得ないかといったこと。 等々がまだ検討課題として残っているということを申し上げながら、ここに至るまで の基本的な今後進むべき方向性についてとりまとめをさせていただいたというのが、本 日段階での「中間とりまとめ(案)」ということでございます。 以下、私どもの森田の方から、本日用意させていただいた資料2−1を読み上げさせ ていただきますので、よろしくお願い申し上げます。 森田補佐 それでは、読み上げさせていただきます。 本文の1ページをお開きいただければと思います。 「今後の生活習慣病対策の推進について(中間とりまとめ(案))」でございます。 1はじめに ○しろまる 我が国の平均寿命は、戦後、公衆衛生の改善や医学の進歩により急速に延伸し、今 や我が国は世界有数の長寿国となり、健康寿命についても世界保健機関(WHO)の算 出では世界一となっている。 ≪以下省略≫ 久道部会長 これは28ページまで読むんですか。今、計算してみたら、今までのペースですと5時 20分までかかるんですよ(笑)。それで、きょう提示された案は次回のときに皆さんか ら御意見をいただくということで、説明だけにとどめるような予定になっていますけれ ど、その説明さえも十分に時間内にできないので、少し要点を絞っていただいて、この あたりはよく見てほしいとか、そういう形でしていただけませんか。今のペースです と、ページ数と時間を計算していくと確実に5時20分になってしまいますので。ですか ら、参事官、よろしくお願いいたします。 中島参事官 申しわけありませんでした。 それでは、8ページからです。(2)二次予防施策の課題でございます。 まず1つは、生活習慣病予備群の確実な抽出と保健指導の徹底が不十分だったのでは ないかということであります。そして、それは市町村・医療保険者等がそれぞれ実施し ているところから、被扶養者や自営業者の受診率等が低かったのではないか。 それから、若年期からの生涯を通じた健康管理が不十分であったのではないか。 それから、エビデンスに基づくプログラムのようなものがしっかりしていなかったの ではないか。 そして、健診・保健指導の精度管理といったものをより徹底していく必要があるので はないかということ。 それから、9ページでございますが、健診・保健指導について、生活習慣病の予備群 を中心にきめ細かく対応していくには、民間事業者の積極的な活用が必要ではないか。 ただし、一定の質の確保が必要であるということ。 それから、推進体制の課題としては、まず国については、具体的な戦略やプログラム の提示が不十分だったのではないかということ。 それから、医療保険者、市町村等の責任・役割分担が不明確だったのではないか。そ れぞれが一生懸命頑張りましょうということにとどまっていたのではないか。その最大 の問題が、健診対象者の正確な把握といったものが必ずしも行われていなかった、保健 指導も徹底していなかったということになるのではないか。 それから、そうした医療保険者、市町村がばらばらにやっていくということから考え ると、そういうところをしっかり総合調整するという点から都道府県の役割といったも のをもう一度見直す必要があるのではないかということでございます。 10ページでございます。エビデンスという点では、国民・県民の健康度を正確に把握 する、さらには施策の効果を評価するという意味での統計調査データといったものが必 ずしも十分ではなかったのではないかということ等、ここを論点として掲げさせていた だいているわけです。 そして、そういうことを踏まえて、基本的な方向性として第3章、具体的な取り組み として第4章という形で用意をさせていただいております。 そして、第3章として、11ページでございますが、まず「予防」の重要性・効果を再 認識していただくということで、これは先ほど健診・保健指導の在り方検討会で説明し たことでございます。メタボリックシンドロームの概念を導入して対策をしていくべき ではないかということであります。 それから、12ページでございますが、エビデンスに基づく施策展開と事業の実績評価 を確実にしていくべきではないかということでございまして、各種の研究事業をしっか り施策に反映させていく。さらには、統計調査の充実といった観点からは、都道府県単 位で健康・栄養調査等を今やっていただいていますが、そこについてさらなる充実、さ らには都道府県間比較ができるようにするための統計調査体制の整備が要るのではない かといったことでございます。 13ページでございます。IIIとして、効果的なプログラムの開発・普及という点では、 ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチという点で、2つ目の○しろまるでござい ますが、ハイリスクアプローチでは、健診は疾病の発見にとどまらず、リスクを早期に 発見するツールであるということ。そして、保健指導を中心に据えた一体的なサービス としての再整理が必要ではないかということ等々のことが書いてあるわけでございま す。 14ページでございますが、IVとして、個人の取組を社会全体で支えるためには、まず は都道府県が医療保険者、市町村等の役割を総合調整してもらうということ。それか ら、産業界も含めた形での連携をしていく必要があるのではないかということを言って おります。 15ページですが、それでは、こうした方向性について具体的にどういうことをやって いくのかということを各論として書いてございます。 1つ目が、ポピュレーションアプローチ、健康づくりの国民運動化という点で、(1 )メタボリックシンドロームの概念を普及定着させていくということが重要ではないか ということ。「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」ということで、内 臓肥満を抑えるには運動と栄養だということ。 そして、15ページの(1)の一番最後のパラグラフですが、具体的な施策展開に当た っては、肥満者の割合の高い30代、40代男性、そして喫煙率が高くやせ過ぎの割合も高 い20代女性といったものにターゲットを絞る。そのことが子育て世代でもあることか ら、子供たちへの健全な生活習慣習得にもつながっていくということでございます。 15ページの下で、代表目標項目として21の目標項目を設定させていただきましたが、 喫煙率低減目標の設定が必要といった意見もありましたということを、16ページの上の ところに書いてございます。 こうしたメタボリックシンドロームの概念を普及定着させて、「健康日本21」の代表 目標項目を選定していく。 そして、(3)として、具体的な施策プログラムの提示でございまして、まず、「1 に運動」ということで、運動施策については、現在、運動所要量と並んで運動指針を見 直させていただいております。 それから、先般、加藤委員から健康・体力づくり事業財団での取り組みについて御紹 介がありましたが、健康運動指導士の在り方についても検討を進めておりますというこ とでございます。 それから、栄養施策につきましては、本日は御欠席ですが、田中委員を中心におまと めいただいた「日本人の食事摂取基準」というものを昨年12月に5年ぶりに見直しまし たので、これを有効活用していくということ。 それから、17ページ、「食事バランスガイド」というものを普及啓発していく。 そして、17ページの2つ目のパラグラフでありますが、ファミレス、スーパー、コン ビニといった食品関連産業における情報提供、商品開発ということも重要であろうとい うことでございます。 それから、たばこ施策につきましては、枠組み条約の発効を踏まえ、関係省庁連絡会 議を設けてまいりました。「たばこ対策については」というところで、部会の議論で は、喫煙率低下目標の設定、未成年の喫煙防止のための自販機の大幅規制強化、受動喫 煙については取り組みが遅れている施設についての対策の強化、さらには公共の場にお ける禁煙・分煙状況の調査の推進、そしてたばこ価格・税を引き上げ、その財源を生活 習慣病予防に充当するということが指摘されております。このことは富永先生にシンポ ジウムのチーフをしていただいた本年5月の記念シンポジウムで、医師会、歯科医師 会、看護協会等からも同様の決議文がとりまとめられ、こうしたことに取り組んでいく 必要があるのではないかということでございます。 それから、18ページの(4)民間企業も巻き込んでいかなければならないという点で は、「エクササイズガイド」なり「食事バランスガイド」といったもの、さらには、運 動指導といったもの等について、やはり民間の食品関連産業、さらにはフィットネス産 業の方々をも含めた形での展開が必要であろうということでございます。 19ページ、次に、ハイリスクアプローチについてでございます。 (1)メタボリックシンドロームの概念の導入、(2)40歳未満からの健診・保健指 導の徹底が必要ではないかという問題提起。 20ページですが、本日、健診・保健指導の在り方検討会の柱となります健診機会の重 層化と保健指導の階層化、保健指導プログラムの標準化については、前回の御議論、本 日の御議論を踏まえて追加をいたしたいと思っております。 (5)健診項目の重点化、精度管理の徹底の必要性ということを書かせていただいて おります。 21ページでございます。生活習慣病対策の中で、個別疾病として糖尿病・循環器病と いうもの、後ほど22ページではがんを書いてございますが、糖尿病・循環器病といった ものはメタボリックシンドロームという観点からとらえ得る、そのためにも、各種の研 究が重要であって、糖尿病については、紹介したように、大規模戦略研究として本年度 から5年間実施をさせていただきたい。それから、糖尿病対策については、日本医師会 が関係学会・関係団体と3者でスクラムを組んで、糖尿病対策推進会議として推進をし ていただくとともに、栄養士会においても各都道府県に「栄養ケアステーション」を設 置していただいているという取り組みを紹介し、こうした関係団体と一丸となって糖尿 病対策に力を入れるべきであるということでございます。 22ページ、がん対策につきましては、健診による発見の後、生活習慣を改善していく ということとは別に、早期発見・早期治療という流れになるということから、生活習慣 病対策の中でメタボリックシンドロームと並ぶものとして別途の考え方、施策の展開が 要るのではないかということを整理させていただいて、とりわけがん対策の問題・課題 の1つであるがんの治療水準の均てん化については、均てん化の検討会における報告書 を踏まえて、3つ目の○しろまるの上から5行目ですが、地域がん診療拠点病院の機能強化と地 域の医療機関との診療連携の促進、それとともに、化学療法、放射線療法等に精通した がん専門医の育成等といったことが必要なので、それについては18年度から積極的に取 り組む必要があるということです。 それとともに、もう1つ、がん健診、特に多田羅先生の方から厳しい御指摘がありま した。これほどの大きな地域格差といったものは是認できないのではないか、地方の自 主性にゆだねるしかないということでは済まないのではないかと、そういう御指摘もあ ったということを書かせていただいておりまして、現在、大臣を本部長といたしますが ん対策本部を省内に設置しておりますので、そうしたところにもこうした御意見を伝 え、検討の促進をしていきたいと思っております。 23ページ、Vの生活習慣病対策の推進体制ということでございます。 まず、関係者の責務と役割といったものを改めて整理していくことが必要だろうと。 (1)国の役割としては、まず1つは調査研究によるエビデンスの集積、それからエビ デンスに基づくプログラムの提示といったものにより力を入れてやっていく必要がある のではないか。 (2)都道府県は、都道府県健康増進計画の策定を通じ、その地域における健康づくり 施策の総合的な企画立案を行うとともに、医療保険者、市町村等の関係者の役割分担と 連携の促進のために、総合調整機能をより発揮していただくことが求められるというこ と。 (3)市町村は、住民に最も身近な行政機関として健康づくり施策を総合的に推進する とともに、特にポピュレーションアプローチの中心的役割を果たしていただく必要があ るのではないか。 (4)医療保険者は、保健事業への取り組みを一層強化することが求められるのではな いか。まず、被用者保険の本人については、労働安全衛生法の事業者との連携が課題で ある。それから、これまで取り組みが十分なされていたとは言いがたいサラリーマンの 奥さん、さらには国保の被保険者である。自営業者等についての取り組みを医療保険者 として充実強化をしていっていただきたい。 24ページですが、(5)民間事業者については、健康食品のところでの御審議にもあり ましたが、正確な情報提供をしっかりしていただくとともに、企業間競争の中で国民に とって魅力ある安全で効果的な商品サービス開発提供に努めていただきたいということ であります。 (2)その中でもとりわけ医療保険者の役割、(3)都道府県の役割が大変重要にな ってくるのではないかということでございます。 医療保険者による取り組みの2つ目の・ですが、被用者保険の本人、サラリーマン本 人については特に保健指導についてこれまで不十分だったので、十分な取り組みが要る のではないか。 一番下の・ですが、老人保健法による市町村健診というものがございますが、今後 は、未受診者をどのように把握していくか、健診で抽出されたハイリスク者にどのよう に保健指導を徹底していくかということ。そして、そこでの保健指導といったものがそ の方の健康度の向上のみならず、医療費の適正化にもどのような寄与ができたのかとい った観点からは、対象者の把握、医療費適正化も含めた効果測定という意味では、医療 保険者に保健事業の取り組み強化を図ってもらうということが大変重要なのではない か。そして、その際には、健診の対象年齢も含めて検討を進めていく必要があるのでは ないかということでございます。 (3)健康づくりに関する都道府県の総合調整機能の強化と健康増進計画の見直しと いうことについては、前回御議論いただいたわけですが、25ページの上から4つ目の・ でございます。健康増進法に基づく県の健康増進計画を見直していただく。そういう方 向性としては、まず、「健康日本21」の21の代表目標項目のほか、メタボリックシンド ロームの概念に対応した目標項目について、職域も含めた県としての具体的な数値目標 をしっかり明記してもらいたいということ。 2つ目に、医療保険者、市町村等の役割分担と連携を促進するために、しっかり総合 調整を果たしていただいて、それぞれの取り組みを都道府県健康増進計画に具体的に記 入していただきたい。そして、その取り組みの進捗状況や目標の達成度を評価していた だきたいということを求めているわけです。 そのためには、その下の・ですが、どういう形で改定をしていくべきなのかというガ イドラインを国は策定するとともに、県が実情を把握するための統計調査マニュアルと いったものを提示していくことが必要なのではないかといったことを書かせていただい ております。 26ページ、(4)民間事業者へのアウトソーシングについては、本日の御議論を踏ま えて記述をいたしたい。 (5)保健サービスのアウトカム評価の実施の必要性というもの。 27ページ、(6)市町村の保健師、管理栄養士についても、野村室長の方から本部会 でも説明を申し上げましたが、市町村保健師、市町村における管理栄養士の在り方につ いて、今後、民間事業者へのアウトソーシングの状況、さらには、生活習慣病予防のみ ならず、介護予防、児童虐待など、さまざまなニーズが地域においては出てきておりま すので、そういうことも踏まえつつ、今後は個別の保健指導、栄養指導というものに携 わる市町村保健師、管理栄養士ではなく、健康づくり施策の企画・調整・評価等の業務 に徐々に重点を置いていく方向で体制強化を図っていく。そして、そうした在り方の検 討をしていく必要があるのではないか、ということをここに書かせていただいておりま す。 そして、最後にということで、以上、一言で申し上げれば、1つ目の○しろまるメタボリック シンドロームの概念を導入し、「健康づくりの国民運動化」としてポピュレーションア プローチを推進していく。それとともに、「網羅的・体系的な保健サービスの推進」と いう観点から、ハイリスクアプローチを徹底していく。そのためには、エビデンスに基 づく効果的なプログラムの開発・普及というものに国がしっかり努める必要がある。 そして、医療保険者、市町村等の関係者の役割分担と連携をしっかりする。そのため には、都道府県が県の健康増進計画の策定を通じ、しっかり総合調整機能を果たしてい ただく。そういうことが重要となってくるということを書かせていただいております。 そして、先ほど私が先取りをして説明いたしましたが、そうした方向性のもと、今後 の検討課題としては、ここに書いてございます(1)〜(6)といった大きなものが検討課題 として残されているということで記させていただいております。 ポイントだけざっと急ぎ足で説明をさせていただきました。 久道部会長 どうもありがとうございます。さすがに中島参事官の説明で非常に要領よく整理して いただきました。何も森田さんが悪いわけじゃなくて(笑)、森田さんは指示されたと おりにやったわけですが(笑)、いかんせん時間内に終わりそうもありませんでしたの で、失礼でしたけれども、座長権限で進行を変更させていただきました。 今、お手元に配付されておりますもので、前半は読み上げ、後半は要点を説明いただ きましたが、これは次回の9月7日にいろいろと皆さんから御意見をいただいて、章ご とに整理しながら文言をきちっとしていきたいと思っております。例えば、「管理栄養 士という言葉がない」とか、いろいろ出てくるだろうと思いますので、そのときまでに じっくり読んでいただいて、御意見をいただきたいと思います。 ただ、きょうはまだ10分ちょっと時間がありますので、次回にしっかりした御意見は いただきますが、この中間まとめについての確認を、「ここはどういうことになってい るのだ」とか、そういう意味での質問と御意見をいただければと思います。 渡邊委員 今回、メタボリックシンドロームに対する対策が全面に打ち出されてきていると思い ますが、その対策の評価をするためには、エビデンスがつくれるような仕組みが大事だ と思います。それには、人手の長期追跡調査、コーホート研究が一番ということになり ますが、日本で代表的な平山コーホートも10何年続きましたし、現在発している厚生労 働省の多目的コーホートももう15年続いているわけですね。 それで、メタボリックシンドロームのような疾患群の一次予防を本格的に効果をみよ うと思いますと、やはり20年、30年追跡するという覚悟が必要だと思うのです。ですか ら、それをぜひ先進的にこの中で取り組むようなことをお考えいただければと思いま す。 木村委員 内容は大変よくまとまっていると思います。それで、賛成したいのですけれど、大変 言いにくい話をします。 「メタボリックシンドローム」という言葉そのものが各学会から出て、その概念等々 が示されたのは十分承知して話をさせていただくのですけれど、今まで例えば成人病対 策とか生活習慣病対策とか、きょう個別の栄養のところですと「食事バランスガイド」 とか、運動のところでは「エクササイズガイド」とか、たばこのところでは「禁煙支援 マニュアル」と、それぞれの言葉は国民がスッと飲み込める言葉だと思うのですが、 「メタボリックシンドローム」というのは専門職の先生方、またはここにかかわる先生 方は当然承知しているわけですが、国民が「メタボリックシンドローム」という言葉を スッと飲み込めないという心配があります。提案ですが、違う言葉に置きかえてという より、「メタボリックシンドローム」というところに(○しろまる○しろまる)とか、もうちょっと国民 にわかりやすいようにすれば、これからこのことを進めるときにより進むのではないか なと思います。これは要望です。申しわけありません。よろしくお願いいたします。 高橋(滋)委員 1つは、先ほどの資料1の「生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会」の 中間報告で、いろいろと良質なサービス提供機関、民間事業者の育成等とかと9ページ に書いてありまして、この辺でどういうことを意味されるのかなということがちょっと よくわからなかったのですが、資料2の方の御報告を見ると、これは民間事業者へのア ウトソーシングということがどうも視点に入っていらっしゃるような気がします。そう すると、この両報告のトーンがはっきりしないというか、ちょっと整合的でないので、 こちらのトーンをわかりやすく明確にしていただきたいと思います。 それに関しまして、アウトソーシングということを具体的にやるということであれ ば、事業者の質をどのように確保していくのか、アセスメントの仕方であるとか、さら には表示の適正化の問題であるとか、いろいろとあると思いますので、その辺がまだ具 体的でないなというところが気がかりでございまして、アウトソーシングということを はっきりうたわれるのであれば、次回までに具体的に何らかのものをお出しいただきた いというのが第1点でございます。 第2点は御質問でございますが、25ページのところに、協議会の設置を17年度から2 年間で設置されるよう支援していくと書いてあるわけですが、これは具体的にどういう 形で支援していくのかということが私はよくわかりませんので、その辺、今何かござい ますれば、お教えいただきたいと思います。 以上、2点でございます。 久道部会長 最後の点は質問ですね。では、野村室長、お願いします。 野村保健指導室長 17年度の予算で、地域・職域連携協議会を設置し、それを運営していくという補助金 がついております。それは今年度は全国で30カ所ぐらいでできるような予算がついてお りまして、来年度は今予算要求中ですが、予算要求をしている状況でございます。そう いう補助金による協議会の実施の支援という意味でございます。 高橋(滋)委員 立ち上げの支援ですか、それとも恒常的な人件費などの支援でしょうか。 野村保健指導室長 中身は会議の開催に要するものですので、メンバーの参加にかかわる旅費ですとか謝 金ですとか、中身的にそういう会議の開催に必要な経費で、30カ所1年間で、翌年、立 ち上げていないところというイメージですので、そういう意味では立ち上げに要する経 費ということになろうかと思います。それに加えて、実際に運用支援をしていくという 意味で、支援検討会というものを国の方で持っていまして、専門家が10数人、その人た ちが出向いて指導していくというものもあわせて、こういった連携の支援をしていこう としております。 中島参事官 野村室長の説明で尽きているのですが、基本的にその支援というのは予算上の支援だ けではなく、野村室長のところでこれまで地域・職域の連携の在り方についてさまざま な検討をし、そして、都道府県なり関係者の方も入れて、そのノウハウとかコツなどに ついての基本的なものもまとめさせていただいておりまして、どこまでお役に立ててい るかということはあるのですが、知恵とお金の両方の面で支援をさせていただいている ということでございます。 石井委員 本日の中島参事官の御説明の中で、健診項目あるいは保健指導プログラムの中身に関 しては今後の事だということでしたが、スケジュール的には、どの時点でどれが出てく るかということはわかりますでしょうか。 中島参事官 基本的にはかなり大きなテーマだと思っています。健診項目なり保健指導のプログラ ムの標準化、そして民間事業者のアウトソーシングをするといっても、その在り方の問 題。それで、一つひとつがかなり大きいのですが、これは今後の状況にもよりますけれ ど、来年の1月に医療制度改革に関係する法案を国会で御審議をいただくことになって います。その中では、無事国会等を通過させていただければ、平成20年度から新たな医 療制度、これは高齢者医療制度なり地域医療の整備といったものが施行するということ になりますので、できますれば、平成20年から健康づくりについても新たな健診・保健 指導のプログラムで、そして新たな都道府県健康増進計画のもとで、そして国が提供さ せていただく新たな目標達成に向けた各種プログラムの活用のもとでスタートできれば いいなと思っておりまして、事務方としてはそういう20年度からの新しい制度施行をに らみつつ検討をさせていただければなと思っております。 北村委員 今のお話で大体尽きるのかもしれませんが、日本を健康にしようというこの案では、 もうこれ以上のものはないくらいよく書けていると思うのですけれど、結局、健診とか 保健指導というのは対象者は非常に地域によるわけですね。ですから、国がこういう指 導的な意見を出しても、実行部隊は、都道府県よりも、市町村が中心になると思うので す。松本委員がおられますけれども、結局、これに伴って健診率を上げ、その内容を充 実して、保健指導者をつけてというと、財源について「どうするのか」はほとんど書い ていないのです。この報告書にはそういうものは要らないのかもしれませんけれど、健 康局としては、これを実行させるべき財源確保に向けて、先ほどちょっと補助金の話も 出ましたが、どのような方向を出すのかということが書いていないのではないか。これ はそれでよろしいのかということをちょっとお聞きしたいと思います。 中島参事官 あっ、痛たたという感じでございまして(笑)。本部会に課せられた課題としては、 私どもの省の中での整理というのは、エビデンス、プログラムだと思っています。こう いう生活習慣病対策というものが科学的に根拠があり、かつ、効果があるのだというこ とを。では、だれが責任を持ってどのお金で担ってもらえるのかというのは、基本的に は老人保健事業の在り方をどうするのかとか、医療保険者にどのように頑張っていただ くのかというシステムの議論になってまいります。 実はこの報告書の中で、読んでいただいてもう感じていただいていると思いますが、 健診・保健指導という点に関しては、対象者をどのように確実に把握できるのか。そし て、健診結果を踏まえて確実に保健指導が必要な人に保健指導をどのように徹底すれば いいのか。そして、その一連の流れがその人にとって健康度が充実したとともに、医療 費適正化効果まで含めてどのような効果が出たのかと。そういうことを考えると、この 報告書の中では、医療保険者がもう少し健診・保健指導といった保健事業について取り 組みを強化していただく方がいいのではないでしょうか、ということまで申し上げてい る話です。 では、医療保険者がどの程度まで取り組みを強化し、その財源はどうするのかという ことは大きな課題ですが、実はこれについては社会保障審議会の医療保険部会の方の一 つのテーマとして、「医療保険者における保健事業の在り方」というものがテーマにな っておりますので、そこには実際にお金を負担される各医療保険者の代表の方々が入っ ておられますので、そこでの議論に待ちたいと。 ただ、本報告書としておまとめいただいたものについては、きちっとその医療保険部 会の方に報告をするということはやりたいと思っております。 土屋委員 文言の解釈について伺っておきたいのですが、「民間の機関や民間の事業者等を積極 的に活用する」という文言がここそこ出てきますが、その違いはまずどうなのかという ことを伺いたい。 中島参事官 民間機関とか民間事業者というのは、必ずしも概念が統一されていないということを 御指摘されたのだと思います。まさにそのとおりでございます。ただ、ここでどういう 観点から民間事業者ということを言っているのか。ポピュレーションアプローチとハイ リスクアプローチでは若干考え方が違います。共通の点はあるのですが。 すなわち、保健指導をやるというときに、医療保険者が保健事業として健診・保健指 導をやった、その保健指導をやるというときに、それは医療保険者−−例えば、ある大 手企業の健保組合が抱えている施設、診療所、さらには保健師、管理栄養士で対応する というのが、ある意味では一つの責任の果たし方でありますし、市町村で老人保健事業 で健診・保健指導をやっているときは、とりわけ保健指導をする際には、市町村で雇っ ておられる保健師さん、管理栄養士さんに保健指導をやっていただくということが一つ の市町村の責任かもしれませんが、今後、保健指導を徹底し、その数が増えていく中で は、医療保険者なり市町村が自らマンパワーを抱えて、自らの手元の中で保健指導をや っていくには、対応が困難ではないか。 そういう意味では、市町村のやるべき保健指導の実施部隊を外部にアウトソーシング する。医療保険者が外部にアウトソーシングする。そういう観点から、民間事業者、民 間機関という概念で用いらせていただいております。 土屋委員 これは「検討会のまとめ」ですので、これに対して余分な口出しをしていいのかどう かとも思うのですけれど、「有病者に対する医療機関における保健指導の充実」となっ ておりますが、これは医療機関が民間事業者に入るのか、民間機関と厳密にそれを分け るのか。はたまた、今、公的な医療機関が株式会社を設立して健診事業を展開している という例が幾つかございますね。そういうものを指しているのか。 いずれにしても、そういうことをしないと保健指導は、医療機関にはどうもお任せで きないという意味なのか。医療機関で有病者といえばこれは患者さんですから、保健指 導なんていう言葉そのものはなじまないんじゃないですか。というのは、我々は、当然 この保健指導の中身に入っているようなことは、日常の診療の中でそれも含めてやって いることが医療なんです。ですから、前段のいろいろな文章を見ますと、例えば糖尿病 等の有病者でその予備群に対する云々と書いてございますので、ここに書くならば、 「有病者及び予備群に対する医療機関における保健指導」とでもしないと、これは何か とってつけたようなことになってしまいますので、この文章とあわせて、民間事業者な るものはどういうものを言うのか、そして民間機関というのはどういうものなのかとい うことを明確に整理して文章にしないと、誤解を招くと思うのですが。 中島参事官 御指摘のとおりだと思いますので、次回までに整理します。実は、民間事業者のアウ トソーシングの在り方については、本部会としての中間とりまとめ(案)からは白紙に しておりますので、本日、土屋委員からの御指摘も含めて、また、全体での「民間事業 者」、「民間機関」のワーディングも含めて、改めて整理をして、9月7日にお諮りし ます。 久道部会長 ちょうど時間が過ぎました。私の方からも1つですが、23ページの「生活習慣病対策 の推進に向けた関係者の責務と役割」のところで、国とか都道府県、市町村、医療保険 者、民間事業者とありますが、「国民の責任」というのはどこかに載っていましたっけ ? 中島参事官 健康増進法上、「健康増進に努めなければならない」という形で、法律上、努力義務 が国民には課せられております。 久道部会長 載っていますよね。 中島参事官 はい。 久道部会長 ここに載せなくてもいいかという話なのですが。 中島参事官 それも含めて、改めて検討します。 久道部会長 これから議論はいっぱいあると思いますが、もうきょうはそういう御意見をいただく 時間がありません。皆さんにお配りした資料をよく読んでいただいて、次回までに御意 見をいただければと思います。また、事務局としては、きょう出た要望が何件かありま すので、短期間で手直しできるものは、見え消しでも何でもいいですから、直していた だいて、次回のときに資料を出していただくということをしていただければと思いま す。 長時間にわたり貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。 最後に、今後のスケジュールについて事務局からお願いいたします。 矢島生活習慣病対策室長 今後の日程につきましては、次回の第18回は9月7日・水曜日、15時から17時に、本 日御議論いただきました「今後の生活習慣病対策の推進について(中間とりまとめ(案 ))」につきまして、御議論をいただきたいと考えております。なお、先生方には大変 恐縮ですが、ペーパーで事前に御意見をいただければと思っております。できれば今週 中にいただければ、大変幸いでございます。 以上でございます。 久道部会長 それでは、これで本日の会議は終了させていただきます。どうもありがとうございま した。 (了) ○しろまる問合せ先 健康局総務課生活習慣病対策室 調査総務係 主藤・松浦 電話 03−5253−1111 内線2346・2342