生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者実態調査)の 基本骨格(案)について 1.調査の目的 障害者自立支援法廃止後の制度の谷間を生まない「障害者総合福祉法」(仮称) の実施等の検討の基礎資料とするため、在宅の障害児・者(これまでの法制度では 支援の対象とならない者を含む。)の生活実態とニーズを把握する。 2.調査の方法等 <調査の目的、内容等の広報> しろまる 調査の意義、目的、内容等について事前に幅広な広報を行う。 【考えられる広報】 ・厚生労働省HPでの広報、マスコミへの周知 ・ポスターを作成し、市役所等での掲示を依頼 ・自治体の広報紙等においてお知らせすることを依頼 <相談窓口の整備> しろまる 本調査に関連して質問・相談できる窓口を自治体において設置する。また、相 談窓口があることを調査対象者に周知する。 <「調査への協力のお願い」の事前配布等> しろまる 訪問の一定期間前に「調査への協力のお願い」の文書を調査地区内の全世帯に 配布する。当該文書において、調査の目的、調査の重要性、秘密保持、回答の任 意性、拒否の権利とそれによる不利益を被らないこと、目的外使用はしないこと について、より丁寧に説明する。 また、各自治体において、訪問自体を拒否したい場合には上記の窓口まで連絡 していただくことを依頼する。また、希望に応じて調査票を郵送等で取り寄せら れるようにする。 <訪問調査員の質の確保> しろまる 調査の手引きにおいて、調査にあたって特に留意する点として以下の内容を提 示する。 ・調査の趣旨を十分に説明し、調査対象者はいないと言われたら対象としない。 ・調査は無記名であること。 ・調査票は、本人が自ら記入し、郵送により回収することが原則。 ・答えたくないことは、無理に答えなくてもよい。 ・個人の秘密は絶対に守る。 ・調査票に記入した内容は統計上の目的以外に使用しない。 ・調査によって、現在受けているサービスについて、回答者の不利益になること はない。 しろまる 訪問による調査票配布に伴い起こりやすいトラブルを具体的に検討し、その場 合にどのように対応するか、対応例を作成し、調査の手引きに掲載する。 <調査方法> しろまる 調査員が調査地区内の世帯を訪問し、本調査の対象者が、身体障害のある方、 知的障害のある方その他生活のしづらさなどがある方(日常生活に支障が生じて いる方)であることを説明し、調査対象者がいる場合には、調査票を手渡し、記 入及び郵送による返送を依頼する。(自計郵送方式。) しろまる その際、調査の目的、調査の重要性、秘密保持、回答の任意性、拒否の権利と それによる不利益を被らないこと、目的外使用はしないことについて、より丁寧 に説明する。 <適切な記入の支援の実施> しろまる 調査票は原則、調査対象者本人が記入する。 しろまる 必要に応じて、適切な記入の支援を実施。また、支援が受けられることについ て、丁寧に説明を行う。 ・ 視覚障害者の方に対して、希望に応じて点字版または拡大文字版の調査票を 配布 ・ 調査対象者が聴覚・言語・音声機能障害者である場合は、手話通訳者の派遣 について配慮 ・ 障害の状況により本人が記入できない場合、本人の希望に応じて、代筆 3.調査の内容 (1)調査の内容を検討するに当たっての考え方 今回の実態調査については、新しい総合的な福祉制度の対象者が明らかでない ことから、その調査対象となる範囲を幅広く設定することが適当である。また、 このような調査の基本的な性格の下で、障害の状況に対応したサービス提供のあ り方の検討に資する調査とするためには、障害の状態その他の調査対象者の基本 的な属性と必要とされる支援内容との関連について分析が可能となるような調 査項目の設定が必要である。 (2)具体的な調査項目とその必要性 [1]回答者の基本的属性に関する調査項目 【調査項目】 障害の状況 【具体的な調査内容】 ・障害の状態及びそれに伴う日常生活又は社会生活上の支障について一定程度 分類した選択肢を示して選択(障害の重複状態についても調査) ・障害の状態及びそれに伴う日常生活又は社会生活上の支障の程度について 分析するために必要 【調査項目】 障害の原因等 【具体的な調査内容】 ・障害の原因について選択肢を示して名称を選択 (名称の例:脊椎損傷、統合失調症等) ・発作など症状が断続的に生じるものについてはその頻度 【必要性】 ・障害の状況を分類するために必要 【調査項目】 日常生活又は社会生活上の支障が生じた年齢 【具体的な調査内容】 ・障害に伴う日常生活又は社会生活上の支障を生じることとなった年齢 【必要性】 ・障害の継続期間により、福祉サービスの利用状況や利用希望等に差がある のか検証するために必要 【調査項目】 日常生活又は社会生活上の支障の発生頻度 【具体的な調査内容】 ・日常生活又は社会生活上の支障が発生する頻度を選択 (毎日、週しろまる回、等) 【必要性】 ・日常生活又は社会生活の制限の程度の目安として確認が必要 【調査項目】 年齢及び性別 【具体的な調査内容】 ・年齢(しろまる歳)及び男女の別 【必要性】 ・調査対象者の年齢構成等について把握することが必要 【調査項目】 居住形態及び同居者の状況 【具体的な調査内容】 ・居住形態(自宅、GH・CH等の別)、同居者の本人との関係 【必要性】 ・居住形態、同居者の状況と福祉サービスの利用状況との関係等の検証を行う ために必要 【調査項目】 障害者手帳等の種類 【具体的な調査内容】 ・身体障害者手帳(障害の種類、等級別)、療育手帳(程度別)、精神障害者 保健福祉手帳(程度別)、特定疾患医療受給者症、小児慢性特定疾患医療受診 券の有無 ・障害程度区分又は要介護認定の状況 【必要性】 ・障害のある者がどの程度、現行制度による支援の対象となっているか等に ついて検証するために必要。 【調査項目】 収入の状況 【具体的な調査内容】 ・1ヶ月当たりの収入内訳を記載(就労収入しろまる円、公的年金しろまる円、手当しろまる円等) 【必要性】 ・収入の現状を把握するために必要 【調査項目】 課税状況等 【具体的な調査内容】 ・所得税・住民税の課税状況、生活保護受給の有無等 【必要性】 ・収入状況を補完する情報として必要 【調査項目】 支出の状況 【具体的な調査内容】 ・1ヶ月当たりの支出内訳を記載(医療費しろまる円、福祉サービス利用者負担しろまる円(う ち食費等実費負担しろまる円、サービス利用料しろまる円)、家賃しろまる円等) 【必要性】 ・収入に対する支出状況を把握するために必要 【調査項目】 日中の活動状況等 【具体的な調査内容】 ・日中の主な活動内容について例を示して選択(就労、就学、居宅等) ・外出の状況 【必要性】 ・日中の活動状況等の把握のために必要 [2]現在利用しているサービスと今後利用を希望するサービス等 【調査項目】 障害福祉サービス等の利用状況 【具体的な調査内容】 ・居宅介護、生活介護その他の障害福祉サービスや介護保険サービス等の利用の 有無及び利用量等 【必要性】 ・どのようなサービスを利用しているのか現状を把握するために必要 【調査項目】 障害福祉サービス等の希望 【具体的な調査内容】 ・利用を希望するサービスの内容及び量(居宅内の介護等の支援、外出時の支援 、日中の介護、就労の支援、生活の場等) 【必要性】 ・どのようなサービスにどの程度の利用希望があるのか把握するために必要 【調査項目】 その他 【具体的な調査内容】 ・今後暮らしたい場所、困っていること、相談相手等 【必要性】 ・今後どこで暮らしたいか等を把握するために必要 (3)調査票案について 調査票案については、平成22年度に厚生労働科学研究「障害者の生活実態及 びニーズ等を把握するための調査手法の開発に関する研究」研究班(研究代表 者:平野方紹日本社会事業大学准教授)により実施された試行調査の調査票(別 添)を基本とする。 (4)調査対象者の範囲について 障害者権利条約第1条を踏まえ、今回の調査の対象者については、以下のとお りとする。 【参考1】障害者権利条約第1条(政府仮訳抜粋) 「障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な障害を有するものであって、 様々な障壁との相互作用により他のものと平等に社会に完全かつ効果的に参加すること を妨げられることのあることのあるものを含む。」 しろまる障害者手帳をお持ちの方 しろまる手帳はもっていないが、長引く病気やけが等により生活のしづらさなどがあ る方(日常生活に支障が生じている方) <次のような方は、手帳をもっていない方でも調査の対象とする> [1]眼鏡等の機器を使用しても、見ることに困難(difficulty)を伴う [2]聞くことに困難を伴う [3]歩行や階段の上り下りに困難を伴う [4]思い出すことや集中することに困難を伴う [5]入浴、衣服の着脱のような身の回りのことに困難を伴う [6]音声による言葉を使用して、意思の疎通(例えば、理解したり、理解して もらうこと)に困難を伴う [7]ものの持ち上げや小さなものをつまむこと、容器の開閉をすることに困難 を伴う [8]日常的な脱力感、疲れやすさ、しびれ、痛みが継続する [9]金銭管理や日常の意思決定に困難を伴う [10]幻覚・妄想、そう・うつ、けいれん、薬物などの依存その他の精神の障害 がある [11]対人関係やコミュニケーションの困難さ、パターン化した興味や活動、読 み書き能力や計算力など特化された困難さ、不注意、多動・衝動的な行動 のいずれかがある [12]外出、登校、行事など人のいるところへ出かけることに困難がある [13]児童(18才未満)の場合、発達状況などからみて特別の支援や配慮を必 要としている 【参考2】 上記の例示は、ワシントングループが障害統計に関し国勢調査用等に作成した質問内容 (six question set)等を参考に例示した。なお、ワシントングループは、「国連障害測 定に関する国際セミナー(2001年6月)」において障害データが国際比較できるような統 計的・手法的作業が国際レベルで必要とされたことから、非公式・一時的に組織された市 民の集まり(CITYGROUP)であり、会合はこれまでに10回行われその概要が国連統計委員 会に報告されている。

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