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令和7年11月20日
本年の受賞者としてベナン、ブラジル、パナマの3団体が選ばれ、2025年11月20日(木曜日)、パリのユネスコ本部における授賞式において発表されました。
本賞は、ESD(持続可能な開発のための教育)の優れた実践を世界に広め、さらなる挑戦を促すことを目的に、日本政府の提案により2014年に創設されたものです。2015年から2019年までは毎年、2021年以降は隔年で、毎回3団体が表彰され、今回の受賞団体を除き、これまでに累計21団体(※(注記))が受賞しています。
※(注記) NGO: 9団体 財団等:5団体 学校・大学:4団体 自治体等: 3団体
2025年は、ユネスコ加盟国59か国及びユネスコ公式NGOの9団体から推薦された120件の中から、以下の3団体が選ばれました。これは、過去最多であった2016年と並ぶ件数です。受賞者には5万米ドルが授与されます。
各受賞団体は、文化遺産の保護や持続可能な消費から、若者主導の環境再生に至るまで、多様な教育的背景とアプローチを体現しており、教育が社会の変革につながる取組となっている点が高く評価されました。
Culture at the Heart of Development(NPO)(ベナン)
ベナン南部にある聖なる森「オオクポ」の文化的・精神的意義を、環境保全、エコツーリズム、文化遺産教育を通じて守ることに取り組んでいる。この取組は、伝統的知識とデジタル広報を組み合わせて、地域社会が聖なる森の保護と地域振興を行う、文化遺産に根差したESDの革新的モデルである。
地域の文化の再生、デジタル革新、自然を基盤とした経済発展を効果的に融合させており、地域社会を変革する取組として高く評価された。環境保全、若者のエンパワメント、雇用創出など、地域全体に広がる恩恵は長期的な社会変革の基盤を築いている。
Akatu Institute(NPO)(ブラジル)(※(注記))
2013年に開始された教育プラットフォーム「エデュカトゥ」には、これまでにブラジル全土の約19,000人の小学校教師と数十万人の生徒が参加してきた。水・エネルギー・健康等、多様なテーマを扱いながら、意識的な消費と持続可能なライフスタイルを促進するため、ゲーム形式の教材と実践活動を通じて、持続可能な社会への意識を育んでいる。
オープン教材と現実世界での実践を融合させた革新的な教育手法が評価された。取組を通じて知識の共有、健全な競争、地域社会への参画を促進するとともに、教育機会の少ない地域におけるアクセス確保にも貢献している。
※(注記)ブラジルからの受賞は2回目。
Azuero Eco Foundation(NPO)(パナマ)
2010年からパナマの農村地域アスエロ半島で、環境保全と生態系の再生を目指して農村部の若者が参画。教育カリキュラムには森林の再生、希少なアスエロクモザルの保護などのテーマが設定され、実践的な学びが行われている。32校1万人以上の農村部の若者が参加し、次世代の環境リーダー育成の場となっている。また、農村女性が主導する苗木育成所等の設立の支援を通じた自立支援にも取り組む。
長期的な文化変革のための包括的かつ持続可能なモデルとして評価された。正規教育と非正規教育を組み合わせ、また、生態学的モニタリングや若者の育成制度を通して、環境に関する価値観やリーダーシップの育成に取り組んでいる。
ESDは、地球規模の課題を自らの問題として捉え、解決に向けて主体的に考え行動する力を育むと共に、新たな価値観や行動変容をもたらすための教育です。
日本では、学習指導要領において「持続可能な社会の創り手」の育成が明記され、全国の教育現場で着実に実践されています。
2002年のヨハネスブルグサミットで日本が提唱した教育理念であるESDが世界各国で実践され評価されていることは、我が国の教育理念が国際的な課題解決に寄与していることを示すものです。さらに、海外の先進的な取組や成果が日本に還元されることで、国内の教育現場に新たな知見や実践が取り入れられ、民主的で持続可能な社会を共に築く理念の実現につながることが期待されます。
文部科学省国際統括官付ユネスコ第二係
E-mail:jpnatcom@mext.go.jp
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