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生徒指導提要の作成に関する協力者会議(第3回) 議事要旨

1.日時

平成21年7月21日(火曜日) 15時〜17時

2.場所

文部科学省3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 生徒指導上の課題・子どもをめぐる状況等に関するヒアリング 1.影山孝 東京都児童相談センター児童福祉相談専門副参事 2.市川宏伸 東京都梅ヶ丘病院長
  2. 共通理解を図るべき事項についての発表「発達障害」 笹森洋樹 国立特別支援教育総合研究所総括研究員
  3. 生徒指導提要に掲載すべき項目(案)
  4. 関係団体への意見照会について

4.出席者

委員

森田座長、麻畠委員、石井委員、市川宏伸委員、市村委員、
大橋委員、尾木委員、小笹委員、影山委員、梶谷委員、
 木下委員、櫻橋委員、笹森委員、杉原委員、角谷委員、
竹内委員、野原委員、諸富委員、横山委員、渡邉委員

文部科学省

徳久大臣官房審議官、磯谷児童生徒課長、岸田生徒指導室長
高橋児童生徒課長補佐 他

5.議事要旨

開会

議事

(1)事務局から資料について説明があり、その後ヒアリング、討議が行われた。

(2)次回、掲載すべき項目案について、委員の意見と関係団体の意見照会の結果を踏まえ事務局から修正案を示すこととなった。また、執筆分担等について議論することとなった。

【委員】虐待相談の対応状況については、全国で4万2,662件と、過去最高の虐待相談件数が寄せられている。東京都の数字で3,229件であり、横ばい状況が続いてる。相談元は、近隣知人、子ども家庭支援センター、家族、学校等という順番である。小・中・高校生で、学校等からの通告割合が10%台であり、もう少し学校からの通告があっても良いのではないか。虐待が疑われる場合には学校から積極的に市町村あるいは児童相談所に通告することを、ぜひ生徒指導提要などの中でも徹底していただきたい。児童虐待は、子どもにとってその行為が有害なのかどうかといった視点から判断していくことが必要である。学校あるいは学校の教職員は、「児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない」と虐待防止法の中でも明記されている。

非行相談の対応状況については、東京都は1,672件であり、横ばい状態が続いている。警視庁等あるいは警察庁等の触法の統計を見ると、少年非行は近年減少傾向にあると述べられているが、児童相談所における対応状況はほぼ横ばい状態にある。相談対応状況の経路別として、学校が2%と非常に低い数字になっている。非行についても、学校と連携しながらやっていく必要がある。

東京都では、非行相談を受けた約25%が過去に虐待を受けていた経過がある。ほかの調査だと、児童福祉施設は5割から6割が過去に虐待を受けていた、あるいは少年院の入所児童については、過去に約7割が虐待を受けていたという結果もでており、虐待を予防していくことが少年非行の予防にもつながっていくと考えられる。学校で対応しきれなくなってから相談を寄せられることがあるが、もっと前の段階から連携していきたい。

一時保護について、児童相談所長の職権として児童相談所が子どもを一時保護できることになってる。一時保護の必要性がある場合としては、緊急保護としては一番目には棄児、迷子、家出など、現に適当な保護者又は宿所がないため緊急に子どもを保護する必要がある場合、二番目には、虐待、放任等の理由により、その子どもを家庭から一時引き離す必要がある、三番目には、一定の重大事件に係る触法少年として、警察から要保護児童通告又は触法少年送致があった場合に分けられる。また、一定期間預かる中で行動観察し生活指導を行う場合、さらには短期入所指導として短期間の心理療法、カウンセリング、生活指導等が有効と判断された場合がある。鑑別所の場合は基本的に基本的には非行行為等を要件としているのに対して、児童相談所の一時保護については、本人の理由だけにはよらない。保護者の養育できない状況、あるいは保護者のもとに置いておくことが不適当である場合、虐待の場合など、子どもには直接的に起因しなくても預かるということを学校の先生方にも理解してほしい。一時保護期間は、法的には2カ月を超えてはならない。2カ月という長い期間で一時保護中の教育をどうするか苦慮してきた。一時保護所から在籍校又は一時保護所所在地の学校へ通学する、あるいは一時保護所に教員OBの方を採用して中で勉強を教えてもらう、又は一時保護所へ教員の方に出向してもらってそこで学習をするなどいろいろなパターンを各都道府県で模索している。できるだけ本人の気持ちを酌み、不利益にならない教育を受けさせるべきである。

児童福祉法に基づいて各市町村に要保護児童対策地域協議会が設置されており、94.1%の設置率となっている。教育委員会が主導するサポート会議、警察等が主導するサポート会議に加え、要保護児童対策地域協議会についてもネットワークとして積極的に活用してほしい。対象児童として、要保護児童、保護者がない児童または保護者に監護させることが不適当な児童、要支援児童、保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童、直接学校とは関係ないが、特定妊婦などが対象となっている。虐待を受けた子どもだけではなく非行児童等も対象となっている。

【委員】虐待について、学校からの通告件数が非常に少ない原因を聞きたい。また、通告の件数の学校の中に「教育委員会等」が5件あるが、この5件は、学校とのかかわりではどのようになっているか教えていただきたい。

【委員】虐待の通告が少ない原因の一つには、保護者に対する躊躇がある。通告元を明らかにすることはないが、学校以外にあり得ないと想定されてしまう。虐待かどうか判断するのは児童相談所であり、学校は虐待の疑いがあれば通告を積極的にしてほしい。教育委員会等については、小中それぞれの学校が、虐待が疑われるとして教育委員会に相談をした上で、教育委員会の名前として児童相談所に通告をしたのがこの5件である。

【委員】学校から通告した後も、保護者と子どもを学校はつないでいかなければいけないことを考えると、通告義務があるが学校には一切責任がないなどとできないか。虐待で通告したときに必ず親は学校に来て、何で児童相談所に通告したのかと責める。直接子どもと接する担任にとったら非常に厳しい部分があることも知ってほしい。

関係機関の連携について、中学校の教頭が児童相談所の子ども支援専門官という地位で、児童相談所のケース会議などいろいろな形で参加している例がある。学校現場の情報、問題行動、虐待も含めてすべて委員会で集約したことが、その子ども支援専門官から児童相談所に流れるシステムがある。学校現場から直接通告する段階ではないような場合でも、一つの情報として共有する仕組みづくりが今後も必要である。各都道府県や政令市で、児童相談所に教諭等が何人か入るなど学校との連携をやっているが、行政の課長など管理職レベルが行き来するような情報交換ができたらいいのではないか。

【委員】実際に教員が人事異動で児童相談所に来て、数年、実際に児童福祉士として直接虐待等の対応に当たって、また教員に戻っていくことで、その後のお互いの関係がスムーズになるということがある。保護者の反応を恐れて通告を躊躇することで子どもの命が失われることがあってはならない。

【委員】3,229件の相談対応件数のうち、4種類の虐待の種類はどういう内訳になっているのか。

【委員】身体的虐待が37.6%、ネグレクトが34%、心理的虐待24.8%、性的虐待3.6%という割合になっている。

【委員】精神科医として、最近の子どもと接していて、感じる五つのことがある。一つ目は、親や学校の先生から子どもの注意の仕方について相談を受けることが多い。子どもを教育する、あるいは接することについての大人の自信のなさが感じられる。二点目は、今の子どもは権利の主張は上手いが、相手の主張を聞くことが苦手である。三点目は、便利な世の中となり、子ども同士が不便の中で活動するという体験をしなくなっている。四点目は、マスメディアなど、何か事が起きると必ず責任者を探して、みんなでつるし上げて喜ぶ風潮がある。結局、子どもから見ると結果ばかりを追求することになってしまい、努力する途中の過程を否定してしまう。五点目は、子どもは成長軸を持っており、時間をかけることが非常に重要であるが、時間をかけることに大人が待てなくなっている。子どもが不登校になった場合、いつになったらこの子はよくなるかという相談を先生から受けることがあるが、時間はある程度必要である。

最近、友達をつくるのが難しい子が増えている。コミュニケーションを持つのが苦手で、言葉の意味を取り違えていたり、大勢で話し合っていると混乱したりする。また、知的な問題と関係なく、学習上の困難を抱える子どもが増えてきている。自己コントロールが苦手で、衝動性が高いが、注意されても意味がわからないために自己評価が低下しやすい。まとめると、子どもは大人の作った社会の中に生きているのであり、大人がだんだん変わってきた結果として現在の子どもが存在する。

家族機能の変化も影響している。大家族から核家族になり、今では核家族ですらなくなって、崩壊家族という言葉が似合うものもある。

次に、子どもの精神科の外来における変化を挙げる。外来に来る新患者はこの15年間に3倍ぐらいに増えてきている。1992年は、小学校に入る前と中高生の受診者が多い。1997年ぐらいからは小学校低学年の受診者が増えてきた。特別支援教育の中で対象とした学習障害、高機能自閉症等、ADHDと言われる子がどんどん増えてきている。1997年は教育では学級崩壊が話題になり、統計では自殺の問題も変化が見られるなど、構造の変化があったと思われる時期である。1997年以前、約20年間にわたって病院に来る一番多かった理由は不登校であり、2番目が落ち着きのなさ、言葉のおくれ、こだわり行動、興奮や衝動性だった。98年から大きく変わり、2001年には一番多いのは落ち着きがないとか興奮や衝動性であり、不登校は4番目に低下している。対人関係がうまくつくれないとか、集中できない、社会的な逸脱行動が見られる、集団不適応もこの時期増えてきており、発達障害の人が増えてきたことを裏付けている。

世界的な精神科の診断基準で、10ある大カテゴリーのうちの最後の3つが発達障害であり、F7は教育では知的障害と呼んでいるもので、F8に高機能自閉症や学習障害も入っている。F9にADHDや他人の人権を繰り返して踏みにじっても平気である行為障害、チック、緘黙などが入ってくる。平成5年と平成20年を比較すると、私たちの病院に来る人は圧倒的に最後の発達障害で、倍ぐらいに増えてきている。逆に、大人の精神疾患が子どもの時期に生じたものは非常に減ってきている。

広い意味での自閉症である広汎性発達障害と注意欠陥・多動性障害ではICDとHDが増加している。外来初診者の40%が現在広汎性発達障害の診断を受けている。ADHDにほぼ近い診断が10%で、これに知的障害を入れると55%ぐらいになり、2人に1人以上は子どもになっている。特にADHDについては、平成12年ぐらいまでは25%ぐらいだったが、現在は10%になっている。これは統計上の数値の計上の仕方でこうなるだけで、二つの重なりを持っている子どもが非常に増えてきている。学校現場の先生も同様に感じているという話をきく。平成4年、5年、6年ごろは広汎性発達障害、広い意味での自閉症がほとんど知的障害を持つ人だった。これが平成12年からは逆転して、現在医療機関に来る多くの人が知的おくれを持っていない広汎性発達障害(広い意味の自閉症)の人になってきている。

もう一点考えるべきは、発達障害の概念が変化していることである。従来、発達障害とは、永続的心身機能不全があり、一生持続して、何らかの治療や支援を受ける必要があるもので、代表例は肢体不自由だとか視聴覚障害、知的障害だった。これらの障害の場合は、小さいころに障害であるかないかを診断して、教育では、通常教育か特殊教育という分け方をしていた。就学児指導委員会で決めていたと思う。最近、文部科学省が特別支援教育で取り上げた発達障害は、知的障害がほとんどないか、あっても軽微であり、発達期18歳までには明らかになるが、対応によっては将来的に支援・援助が不必要になることもあり、逆に対応がうまく行かないと思春期以降に社会生活が困難になるものである。この中に文部科学省は学習障害、高機能自閉症などをあげている。医学的にはより広く広汎性発達障害やADHDもあると考えられる

これらの発達障害の場合は、境目がはっきりしない、連続性のあるもので、だからこそ、文部科学省では通常教育と特別支援教育ということにして、その境目を埋めていっていたのではないか。この特別支援教育が必要とされた理由の一つには、通常学級における知的障害を伴わない発達障害を持つ子供が増加していることがある。学級分けには限界がある。通常学級、特別支援学級、特別支援学校の導入等、柔軟性ある指導体制が必要である。知能指数で分けるやり方を変えていかないと難しいのではないか。特別支援学級の中では情緒障害児学級が、今年の2月から自閉症・情緒障害児学級に変わった。情緒障害児学級とは昭和40年代の後半にできた言葉で、当時は自閉症は心因論(親御さんの愛情不足から自閉症になる)という、今では否定された考えに基づいていた。厚労省では、なるべく早い段階での検診システムの中で対応していこうと考え、1.5、3歳時健診を充実させていこうとしている。発達障害は不登校や引きこもりとも関係している。特にADHDの中でも、多動や衝動性が目立たない不注意優勢型の場合は、中学生の10%は不登校になっている。発達障害は、対人関係がうまくとれず、また、注意されても意味がわからずに同じ失敗を繰り返す。こういう状況が続くと、発達障害の症状が一段と顕在化してきて、さらに注意や叱責が続くと自己評価が低下して劣等感ばかり強まり、追い込まれてしまう。

【委員】LD、ADHD、高機能自閉症、アスペルガー症候群と知的にハンデがなく、通常の学級に在籍している子どもたちが、今回の生徒指導の提要にはとても大きくかかわる。個性か障害かという話があり、学習や行動、社会性等の問題が大きい小さいで考えると、その境目がとても微妙な障害の人たちである。特に乳幼児期は確定診断が難しい。LDとは何かなど診断の基準になるような行動チェックがたくさん出て来る中で、その診断のカテゴリーに確かに似た症状をとる子どもをがいるが、最終的に診断は医療の関係者により確定されるべきものである。発達障害の特性は生涯にわたる点と、症状が重なる場合がある点である。小さいときに診断がついた子どもは、将来にわたってまだ特徴が表にあらわれていない子たちもたくさんいるので、一人一人の特性を把握することが大事である。

発達障害の人たちは、人に合わせて活動することや因果関係の理解が苦手で、気持ちを上手く伝えられないなど、社会性の障害を抱えている。ただ、障害か個性かが実はとても微妙なラインになっている。発達障害の人たちは認知の問題や情報処理の問題があったり、注意記憶の問題があったり、得意不得意がはっきりしている。集団生活を経験するだけでは学んでいけない部分がある子どもたちと言える。

重ねて二次障害の問題がある。無理強いや注意叱責が重なるとストレスが高り、自尊感情が低くなる。結果、さらなる適応困難、不登校やひきこもり、反社会的な行動に出る場合がある。実際には暴力、いじめ、非行、虞犯行為といったものにも、二次障害の結果として結びついてしまうケースもかなりあるのではないか。学校で見られる多くの不適応行動や課題の多くは二次障害の延長線上にあると考えている。一次障害というのは個々の特性になるので、子どもの特性を理解し、支援の工夫をしないと、二次障害がこじれていく。

学校には、いじめ、不登校、虐待、家庭不和、貧困、非行、外国人の両親を持つ子など、様々に特別な支援が必要な子どもがいる。こういった子どもたちに発達障害という特性がもしかぶさっているとするならば、課題は大きくなっていく。発達障害の子の中には、表情からはつらさが分からないため、いじめの対象になったり、不登校に関しては、発達障害の子は一度行かないとなったら再登校が難しいケースがある。

学級崩壊に関しては、発達障害が直接の原因となって生じるのではなく、担任の先生が個別対応で精いっぱいになって、周りの子どもに対して十分に行き届かなくなる、支援が充実していかないと、子どもたちの不安や不満が悪循環として流れていくということで引き起こされるのではないか。

発達障害の子どもには、個への支援と集団への支援という考え方が大事である。個別的な指導を行うためには、それを可能とする学級づくりが大切になる。特別支援教育の体制整備としては、コーディネーターを指名したり、校内委員会を設置するなど、組織、チームでの対応が必要である。特別支援の必要な発達障害等の子どもに対しては、特性を理解して、「カウンセリングマインド」による支援の工夫が必要である。発達障害の子どもは、年齢によって特性に変化が現れることがあるため、早期から具体的な支援を進めていくことが大事である。例えば、連絡がずっと続いていくような相談支援ファイルを使った試みなど、幼保から小学校、中学校、そして高等学校への情報の引き継ぎと、関係機関との情報の共有化がとても大事になる。自治体で発達障害の実態調査を行っており、高等学校でも1〜3%の数字が挙げられている。進学校にアスペルガー症候群の生徒が在籍しており、成績はよくても行動面や対人面にとても大きな課題を抱えていたりする。 一方で、中途退学の比率がとても高い教育困難校では、かなりの割合で発達障害と思われる生徒がいると学校から聞いている。高等学校においても特別支援が大きなテーマになってきている。

【委員】二次障害を起こさないで、すばらしい大人になって、独特の発想ですばらしいことをする方が多く存在する。二次障害が起きないように、その前の段階で先生方にいいところを引き出してほしい。

【委員】結局、発達障害だから特別な支援が必要ということではない。極端に症状が目立っている子どもたちが発達障害という範疇の話になる。発達障害を切り取って特別な障害のある子どもの支援という考え方ではなくて、学級経営や授業改善などいわゆる生徒指導の全般の話の中で、発達障害かどうかではなくて、発達障害のような傾向のある子どもたちも含めて対応していかないといけない。発達障害に関して現場の認識は進んできたが、診断のつく子どもはもっと少ない。グレーゾーンの子どもに対する支援を考えるときに、発達障害ととらえた方が支援がしやすいという流れが少しある。支援が必要という意味で間違いではないが、障害としてくくってしまうことには疑問もあり、生徒指導全般の話になってくると思う。

【委員】子どもの抱える課題の連続性に関して、障害を抱える子の問題が、通常学級のすべての子どもにかかわる一般的な問題と重なる部分が大きい点が重要である。子どもの抱える課題の変化と、それに対して生徒指導はこれからそうした状況をどう織り込んで生徒指導の充実を図っていくのかが課題である。

【委員】支援の境目にある難しい子どもが通常学級にいる場合に、一部の保護者は学校に対して、何でこういう子を一緒に入れるのかと意見や苦情をいう。そういった反応に対して、的確な情報開示がどの程度のものなのか。学校と保護者、先生や専門の教員との連携がとれるような対応を考えてほしい。

【委員】学校によっては、ほかの保護者に説明することを要求する学校もあると聞くが、これは非常に問題である。子どもの悪いところだけ見ていくのでなく、いいところも担任の先生が引き出してクラス運営をやっているところはうまくいく。通常学級にもこういう子どもさんが一定の割合でいるとの前提に立てば、専門の先生を用意するよりは、通常学級の先生たちに発達障害のことを理解することが結局は近道になるだろう。

【委員】発達障害に関しては、障害名、診断名の理解を図るのでなく、発達障害という特性を理解してもらわなければならない。障害名、診断名が先に出ると、関係構築のためのリスクはとても大きい。子どもとも、保護者とも、支援の仕方、対応の仕方、困っている状況について共有をしていくべきである。

【事務局】生徒指導提要に掲載すべき項目案については、項目立てとして抜け落ち、漏れがないかを中心にご議論いただきたい。

【委員】昭和56年の生徒指導の手引では、自己指導という言葉が現場に大きな影響を与えた。従来はどちらかというと集団の力で、力づくで生徒指導していたのが、自己決定と自己指導という言葉により、子どもの気持ちや意思、選択を尊重していく方向に変化した。今回の案では自己指導という言葉がなくなっているので、目次の部分で残してほしい。

昭和56年から今の時点に至るまでの生徒指導にかかわる大きな変化には、特別支援の問題、キャリア教育の問題、カウンセリングについての考え方の変化などがある。この30年間の生徒指導にかかわる大きな変化が如実にわかるような項目立てにしてほしい。現場には教育相談部と生徒指導部と特別支援部にそれぞれトップがいて、考え方が全く違う。今回、概念的・組織的な整理をして、こうすればいいという一つの柱を示したい。

【委員】会津の什の掟という歴史的なものや、掟でなくても、家庭教育の中の家訓の例といったものを資料としてどこかに入れてほしい。

【委員】生徒指導は道徳教育やいろんな活動と連携して、総合的に見ていかなければいけない部分がある。徳育の部分との連動を図っていくことは必要だと思う。

【委員】資料として家訓を掲載するのであれば、心のノートの改訂版で家訓が幾つか入っていることを示せばいいのではないか。項目案で、「教科と生徒指導」となっているが、教科指導のときにこそ生徒指導のスピリットを持つべきであり、「教科指導における生徒指導」というほうがわかりやすいのではないか。

【委員】項目立てを考える上で、1人の生徒児童を扱うに際し、組織的な対応を考えるときに、学校と家庭・地域・関係機関との連携が必要で、学校教育という範疇だけではないということに注意が必要である。

【委員】個別の課題を抱える児童生徒への指導の項目について、自傷行為と摂食障害についても取り上げてほしい。

【委員】非行少年の保護処分と矯正という項目については、今回の提要の対象が小学校から高校までということを考えると、保護処分だけに限定せず、少年非行についての行政及び司法の対応という形で、網羅的に各年齢層ごとの対応について触れるべきではないか。

【事務局】生徒指導提要を活用する学校教育委員会の関係者にとってよりよいものになるように、この項目案の段階であらかじめ意見照会を行いたい。意見照会の観点は、時代の変化に対応した生徒指導を行うために必要な基本的なものになっているか、学校において組織的・体系的な生徒指導を行うために必要な観点が網羅されているかどうか、小学校段階から高等学校段階までの継続的な生徒指導を行うために必要な観点が網羅されているか、といった点である。意見照会の結果は、協力者会議の審議の材料としたい。

閉会

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室

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