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令和7年11月18日(火曜日)
教育
財政制度等審議会における国立大学法人の運営費交付金等に関する議論に対する見解,中国教育省による日本への留学の自粛勧告,中国に在留している日本人児童生徒、学生等の安全確保,教師を取り巻く環境整備特別部会長による「緊急声明」の手交,不登校に対するスクールカウンセラー等の配置充実の効果,東大阪大学における留学生の入学者選抜における不正
令和7年11月18日(火曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年11月18日松本洋平文部科学大臣記者会見(※(注記)「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私からは1件です。先日11日、財政制度等審議会が開催をされまして、高等教育については国立大学法人の運営費交付金の在り方などについて議論が行われました。これに関して、文部科学省としての見解を申し上げたいと思います。国立大学は、法人化以降、運営費交付金が1,600億円以上削減されたことなどによりまして非常に厳しい経営状況となっている中、財政審からは運営費交付金から「競争的資金へのさらなるシフト」などが求められております。しかし、大学の知的創造性を引き出し最大化させるためには、基盤的経費である運営費交付金と科研費等の競争的資金のベストミックスによる支援が必要です。ところが近年、基盤的経費の一方的な削減などによりシステムに歪みが生じ、教育研究活動が阻害されているとの批判の声も上がっているところであります。なお、諸外国においては基盤的経費と競争的資金双方の充実によりまして大学の事業規模自体を成長させ、研究力を向上させているところでもあります。我が国においても同様の考え方に立ち、大学の知的創造を引き出すため安定的な運営費交付金の措置が不可欠であると考えているところであります。文部科学省といたしましては、我が国の成長の源泉である大学の教育研究の発展に向けまして、財政措置の充実に取り組んでまいります。なお、本件に関しましてはこの会見の後に事務方より詳細なご説明を行わせていただきます。私からは冒頭、以上です。
記者)
日中関係についてお伺いします。中国政府が自国民に対し、日本への留学を慎重に検討するように注意喚起を出しました。文部科学省としてどのように受け止めているのか、またこの件について文部科学省として何か御対応される考えがあればお聞かせください。
大臣)
御指摘の中国教育部による発表については承知をしており、また外務省においても中国側に対して適切な対応を強く求める旨の外交上の申し入れを実施しているものと承知をしております。特に在中国日本大使館が在留の日本人に対しまして、安全確保に努めるよう注意喚起を促したと承知をしており、私としても在留の日本人児童生徒や日本人留学生の安全確保の徹底について、外務省と連携のもと、本日中に注意喚起などの通知を発出するよう指示をしたところであります。文部科学省といたしましても、外務省とも連携しながら引き続き状況を注視いたしまして、適切に対応を行ってまいりたいと存じます。
記者)
冒頭で述べられた財政審での指摘で、特に国立大学の運営費交付金についてお伺いします。財政支援の指摘では、運交金から競争的資金へのさらなるシフトで大学の創意工夫を促すべきとの指摘がありました。もう一つ、高度な研究を行う大学については経営改革と公費依存の経過の目標を掲げて改革を促すべきとの指摘がありました。先ほどもありましたけれども、大臣は国立大学の現状についてどう捉えているでしょうか。改めてお伺いします。また、財政審の意見に対するお考えをもう少し詳しくお聞かせください。
大臣)
まず、国立大学に関する今回財政審から御指摘をいただいたところでありますけれども、私ども文部科学省の考え方とは相違があるというふうに認識をしているところであります。ちょっと冒頭発言とも重なる部分がありますけれども、お許しをいただきたいと存じますが、今御指摘をいただきましたように、総じて財政審での議論は運営費交付金を減じて競争的資金や外部資金を増やす必要があるとの指摘ということだと理解をしております。一方で、文部科学省としては国立大学が中長期的な見通しを持ち、人材育成や継続的な研究活動を着実に行うためにはその基盤を支える国立大学法人運営費交付金につきまして、近年の物価・人件費の上昇等も踏まえまして増額が必要というふうに考えているところでもあります。そういう意味では、競争的資金を増やしたから運営費交付金を減らせばいいという考え方ではなくて、これは両方ともしっかりとこれからの我が国の研究開発を進めていくためには必要だというのが我々文部科学省の考え方でありますし、また先般もこの記者会見の場で申し上げましたけれども、坂口教授、北川教授が今回ノーベル賞を獲得されて私のところにもお見えになり、いろいろと意見交換をさせていただきましたけれども、基礎研究の充実であったりとか、また若手研究者が研究にしっかりと取り組むことができるような環境整備をしてほしいという御発言から見ても、やはり我々といたしましてはこの運営費交付金、運交金につきましてもしっかりと予算措置をしてそうした大学の研究者を支えるとともに、大学の研究環境を整備していくということも合わせてしっかりとやっていくことが必要だと考えているところであります。我々としては、このことをしっかりと財政当局に伝えて理解を得るように努力してまいりたいと思います。
記者)
財政審の関係でもう1点お伺いいたします。先日12日に中教審の教師を取り巻く環境整備や、中教審の部会で教師を取り巻く環境整備の緊急声明というのを部会長から大臣は受け取られたかと思うのですけれども、その緊急声明の中にスクールカウンセラーの配置、充実というのを求めていたかと思います。一方で、11日の財政審の資料の中を見ますとスクールカウンセラーについて、不登校の歯止めがかかっていないということで予算・人員の拡充ではなくて効果的な活用策を模索すべきではないかというような指摘もありました。スクールカウンセラーの拡充を巡ってどのように財務省サイドと交渉していくのかというところ、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
大臣)
先日、中教審の貞広部会長より中学校35人学級の実現に加えまして、スクールカウンセラーなどの支援スタッフの配置充実など、教師を取り巻く環境整備を求める緊急声明の御提言をいただいたところであります。私としても、この緊急声明をしっかりと受け止めまして、御提言いただいた内容について法律改正や予算確保に向けて全力を尽くしてまいりたいと思います。また、今お話がありましたように不登校児童生徒に関する財政審での指摘に関しまして、令和6年度の小・中学校における不登校児童生徒数が約35万4千人と過去最多となっており、極めて憂慮する事態が継続していると認識をしております。私もこの事態を大変重く受け止めているところであります。しかしながら、前年度に比べて増加率は減少するなど一定の傾向の変化も見られているというふうに考えております。この点については、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置充実を含みますCOCOLOプランに掲げた各種取組が総合的に寄与しつつあるものと考えているところでありまして、また例えばスクールカウンセラーの支援によりまして約7.3万件の不登校に関する課題が解決または好転をしたという効果も見られているところであります。先週開催された秋の行政事業レビューにおきましても、本事業がいじめや不登校の解決に向けた重要の施策であることをお認めいただいているところでもあります。文科省といたしましては、引き続きスクールカウンセラーなどの配置充実を含む必要な予算の確保に努めてまいりたいと存じます。当然、財政審から指摘されるまでもなくこうした取組をスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーなどのこうした配置を進めていく予算の確保、そして配置を進めていくことは進めていきますけれども、当然、より効果的な解決策、一体何があるのかということについて、もちろん我々として思考停止に陥っているわけではなくて、そこは現場の皆さんともいろいろと意見交換をしながら、我々としてもそれについては不断の研究調査、取組を進めているところでありまして、当然そうした本当に不登校をなくしていくためにどのような対策をしていくことがより効果的なのかということは、もちろん我々としては不断のそうした取組を進めてまいりたいと思います。並行してですね。
記者)
先ほどの幹事社さんの質問の関係でちょっと改めてお伺いしたいのですけれども、先程、外務省と連携してというところは、現地の教育機関に通う日本人の学生さんとかを念頭に置いた発言だったかなと思ったのですけれども、中国からの日本への留学希望者が日本への渡航をためらうような事情にも今回なっているのかなと思いまして、一方で日本の国内の学校では国際交流の促進とか、あるいは定員充足とかの観点で積極的に留学生を招き入れようという学校もあるかと思いまして、その観点での大臣のお考えですとか文科省としての対応というのがもしあれば教えていただけますでしょうか。
大臣)
まずは、我々といたしまして今回の事案を受け、また同時に過去においては中国で日本人の児童が殺傷されるという痛ましい事件もありました。まずはこうした事態というものを我々として何としてでも避けていかなければいけないという観点から、まずは中国にいらっしゃる児童生徒、また御家族、教職員、こうした皆さんの安全を確保するためにということで、今回こうした措置というものを講じるということにさせていただいたところであります。まずはこの点を我々文科省として万全を期してまいりたいと存じます。その上で、全体としての中国との関係につきましては、政府全体の方針というものもあろうかと思いますので、その中で議論をされていくということになっていこうかと思います。
記者)
東大阪大学の入学試験、留学生による入学試験で本年度、不公正な入試が行われたというような第三者委員会の調査がありました。こちらの中では、差別的な取り扱いで公正とは認められないという内容であったり、この影響で不合格となった2人についてさかのぼって合格を検討すべきだという指摘もありました。このような入試が行われたということについて、入試という制度についての部分でありますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣)
東大阪大学及び同短期大学部が令和6年度中に実施した留学生を対象とする入学者選抜におきまして、選抜プロセスの外で得た情報を考慮して一部の受験生に差別的な取り扱いがなされたこと、特定の者に正規の手続きとは異なる編入学試験を行っていたことなどの不適切な事案について、大学が設置をいたしました第三者委員会の報告によって判明をしたことは承知をしているところであります。まずもって文部科学省としての見解でありますけれども、今般の事案は公正・公平に行われるべき大学入学者選抜の信頼を大きく害するものであり、誠に遺憾であるというのが文部科学省としての見解であります。その上で現在、第三者委員会が設置をされ、そして報告をしていただいたところでありますけれども、これを受けて大学においても再発防止策の検討を進めているというふうに承知をしているところでもあります。文部科学省としては、引き続き大学の対応状況を確認しつつ、厳正に対処してまいりたいと存じます。
(了)
大臣官房総務課広報室