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令和7年11月14日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ
「科学の再興」に関する有識者会議提言案、デフリンピックの開催意義と選手への期待、ユネスコ・ニューロテクノロジーの倫理に関する勧告、理系の知識を持った人材の育成と文理分断からの脱却
令和7年11月14日(金曜日)に行われた、松本洋平文部科学大臣の記者会見の映像です。
令和7年11月14日松本洋平文部科学大臣記者会見(※(注記)「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
冒頭、私からは1件です。昨日13日に開催されました有識者会議におきまして、研究力の抜本的強化による「科学の再興」に関する提言案が示され、座長一任という形で了承されたところであります。本提言案では、科学を再興し科学を基盤として我が国の将来を切り開くべく、我が国の基礎研究・学術研究の国際的な優位性を取り戻すために必要な取組などをまとめていただいているところであります。具体的には、日本の研究者がアカデミアだけではなく国内外の民間企業や政府関係機関から常に認識されるとともに、優秀な人材が日本に集結するダイナミックな国際頭脳循環のハブとなることを目指し、我が国全体の研究活動の行動変革をもたらす研究システムの刷新、研究大学の経営・マネジメント強化による組織の機能強化、官民投資の拡充などに取り組むよう御提言をいただいているところであります。先日ノーベル賞を受賞されました坂口先生、北川先生にお話をお伺いした際に、基礎研究力の抜本的な強化に向けて政策を総動員する必要性を大変強く感じたところであります。今回の提言案では、その強化に向けまして有識者の皆様から重要な御指摘をいただいたものと考えております。文部科学省としては、今後取りまとめられる提言の内容を来年度から始まる次期「科学技術・イノベーション基本計画」に反映するよう、関係府省と連携して議論を進めつつ、科学技術関連施策の推進を全力で進めてまいります。私からは以上です。
記者)
明日、東京デフリンピックが開幕いたします。日本では初めての開催になりますが、その開催の意義であったり、あとは選手に期待されることがあれば教えてください。
大臣)
いよいよ明日から12日間にわたりましてデフリンピックが東京を中心に開催されます。日本で初開催となる今大会は、記念すべきデフリンピック100周年の大会でもあります。これまで大会の準備に携わってこられた全日本ろうあ連盟や東京都をはじめ、関係者の皆様方には心から感謝を申し上げたいと存じます。本大会を契機に、デフスポーツを含む障害者スポーツの理解啓発や環境整備など、スポーツを通じた共生社会の実現に向けた取組が一層促進されることを期待しております。日本からも21競技の全てに代表選手が出場予定であります。これまでの努力の成果を存分に発揮していただくことを大いに期待しております。私自身も陸上競技をずっと学生時代やっていた人間でありまして、1人の個人として、国民として大変今回の大会をワクワクしながら迎えているところでもあります。スケジュールが整うなら私としてもぜひ競技を観覧したいと思っておりますし、選手の皆さんに私も声援を送りたいと思っておりますので、どうぞ国民の皆さんにもこの大会に注目をしていただきますようにお願いをしたいと思います。
記者)
人間の脳や神経の活動を読み取るニューロテクノロジーについて伺います。ユネスコ総会において、思想の自由ですとか尊重、不当な干渉からの保護が欠かせないとする初めての倫理勧告が採択されました。この技術はALSなどの病気の人に、障害のある人にとっては非常に支援技術として期待される一方で、これまで守られてきた心とか考えがAIの急発達によって読まれるのではないかという恐れについて国際的な注意喚起がなされた形です。文部科学省、文部科学大臣としてこの倫理勧告へのお考えを聞かせてください。また、政府として国内でどのような対策が必要かについてもお考えを聞かせてください。
大臣)
ご指摘のニューロテクノロジーでありますけれども、医学であったり教育など幅広い分野に実装が期待をされる、そういう先端技術でもあります。一方で、脳波等を測ることによるプライバシーの侵害や労働の場での利用などによって人権や民主主義を脅かすリスクも指摘されているというふうに承知をしております。このような点を踏まえますと、今回のユネスコ総会でニューロテクノロジーに関する勧告が採択されたことは時宜を得たものと考えているところであります。文部科学省としては、倫理面に配慮した研究を引き続き推進をしてまいりたいと思います。令和3年には文科省、厚生労働省、経済産業省で倫理指針をすでに策定をさせていただいているところでもあります。今回の勧告採択を受けまして、研究現場で適切な対応が取られるように関係省庁とも連携をし、今後の対応について検討してまいりたいと存じます。
記者)
理系の人材育成についてお伺いします。文科省としては、理系の人材育成にこれからかなり重点を置かれてやっていきたい方針だと思います。その中で、理系人材の育成についてはこれまでのいろいろな目標が立てられたりとか、取組というのは進められてきたと思うのですけれども、なぜそもそも理系の人材というのはなかなか増えないのか、この原因についてどうお考えかお教えください。また、文理融合というのも、文理分断からの脱却というのも今回のタスクフォースの中でもかなり議題に上がってくるかと思います。この点についても強調されていますけれども、やはり文理分断を脱却するためにこれまで文科省としてどのようなことに取り組まれてきたのか、その取組への成果と、あと課題についてお聞かせください。
大臣)
理系人材が増えていない要因といたしましては、数学的・科学的リテラシーが先進国の中でも突出して高い、実際、PISAなんかによりますと高校1年生段階の調査では非常に高い水準にあるということが結果として示されているわけでありますけれども、大学の理工農・保健系の入学定員が少なく、理系を学びたい需要に対応できていないこと、また高校の早い段階で文系・理系を選択し、理数科目から早々に離れてしまう状況があることなどが考えられております。こうした状況を踏まえまして、文部科学省としては情報、数学等を重視するカリキュラムを実施し、ICTを活用した探究的・文理横断的・実践的な学びを強化する学校に対する支援や文系・理系を問わずAI等を適切に活用できる素養を身につけるための数理・データサイエンス・AI教育の推進などの取組を進めてきたところであります。また、教育未来創造会議第一次提言を踏まえまして、理系学生の割合を5割程度まで高めるため、「成長分野をけん引する大学・高専の機能強化基金」を創設し、デジタルやグリーンなどの成長分野への学部再編等を促進してまいりました。その結果、これまで261件の取組を選定し、約2万人の理系分野の入学定員を増やすことに寄与してきたところであります。一方で、急速な人口減少に伴って社会・産業構造が変化をし、理工・デジタル系人材の圧倒的な不足が見込まれております。このため、文理分断の構造の転換に向けまして高校教育とも連動し、特に大都市の大学における理工デジタル系人材育成の強化や文系学部における理数的素養を伸ばす教育に対する支援などの改革に一期通貫で取り組む必要があると考えております。先日の日本成長戦略本部では、「未来成長分野に挑戦する人材育成のための大学改革」に関しまして、私が総理から取りまとめ担当大臣に指名をされました。これを受けまして、高校から大学・大学院に係る一期通貫での人材育成の検討課題を議論・検討する場として私の下に設置したタスクフォースを先日開催したところでもあります。文科省としては、引き続き強い経済の実現基盤となる人材育成の取組をしっかり進めてまいりますということなのですけれども、いろいろな要因が率直に言ってあるのだろうと思っております。先ほど言ったように、早い段階で文系と理系に分かれてしまうというようなところもあると思いますから、そこに横串を指すと言いますか、そういう意味でも文理を一体にしていくという、そうした取り組みを進めていくということも大変大事でありますし、やはり初等中等教育段階から高校、高等教育段階をやはりより一体的に考えていくということも進めていくことが極めて大事だということで、今回そうした方針を示させていただいたところであります。こうした取組というものを通じて理系人材、また文理融合によって文系に進んだ方でも一定程度の理系としての知識であったりとかをしっかりと身につけることができるような、そうした体制というものを作っていくということがあろうかと思いますし、また同時にやはり要は教育というものはもちろん子供たちの基礎的な学力を高めるということも極めて大事でありますし、社会としての規範を身につけるということも極めて大事でありますけれども、同時に社会に必要とされる人材をいかに供給していくのかという観点も大変大事だと思いますけれども、なかなかそこのところの産業界と教育現場との個々の連携というものが、これを進めることがなかなかできていない中で昨今そういう取組が進んできているということだと思います。ぜひそういう問題意識を持ちながら、これらの改革というものに取り組んでいきたいと思いますし、何よりも大切なことは子供たちの可能性を存分に広げてあげるということが我々にとっての主眼でありますから、そのことをしっかりと1番の根底に置きながら改革を進めてまいりたいと思います。
記者)
大臣御自身は文理融合というか、文理を超えた学びみたいなのというのはされてきたというか、できましたでしょうか。
大臣)
私は、大学時代は経済学部ということでありまして、多少なりとも数学は授業の中にありましたからそういうことを勉強してまいりましたし、また今から大学、もう30年前、30年以上前になりますけれども、そのときにあのときの授業の科目が何だったのか覚えていないのですけれども、いわゆるデジタル、パソコンを使うような授業を取ったことがありまして、それがやはり社会に出てからすごく役立ったなというのを自分自身の実感として持っていますので、そういう意味ではぜひ子供たちにもそういう様々な体験というものを通じて可能性を広げてもらいたいなと思います。
(了)
大臣官房総務課広報室