経済産業省/トランジション・ファイナンス
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トランジション・ファイナンス

新着情報

<クライメート・トランジション・ボンドに関するお知らせ>

  • 日本政府は、世界初の政府によるトランジション・ボンドとして発行される「クライメート・トランジション・ボンド」について、「クライメート・トランジション・ボンド・フレームワーク」を策定しました。
  • 我が国が推進するGX投資については、今後10年間で150兆円超の官民投資が必要とされており、これらの支援に必要な資金について20兆円規模の「脱炭素成長型経済構造移行債(GX経済移行債)」を発行していくこととなりました。
  • GX経済移行債は、これまでの国債(建設国債・特例国債・復興債等)と同一の金融商品として統合発行することに限らず、国際標準への準拠について評価機関から認証(Second Party Opinion)を取得した「クライメート・トランジション・ボンド」を個別銘柄として発行します。
  • クライメート・トランジション・ボンド・フレームワーク(2025年6月改訂)(日本語)PDFファイル(英語)PDFファイル
  • Second Party Opinion DNV (日本語)PDFファイル (英語)PDFファイル
  • Second Party Opinion JCR (日本語*)PDFファイル (注記)英語版も後日公開予定
    *GX政策に関する記載(1項)において一部事実と異なる点があり、令和7年8月14日付けで評価機関が修正しました。
  • クライメート・トランジション・ボンド 令和5年度発行分 資金充当レポート(日本語)PDFファイル(英語)PDFファイル
  • クライメート・トランジション利付国債(財務省)外部リンク
  • (参考)我が国のグリーントランスフォーメーション政策(日本語)PDFファイル(英語)PDFファイル

1.トランジション・ファイナンスの概要

  • 「脱炭素社会」は地球規模で目指すべき将来像であり、多額の資金供給(ファイナンス)が必要です。
  • 我が国においても、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、再エネ等の既に脱炭素の水準(グリーン)にある事業への取組に加えて、温室効果ガス(GHG)多排出産業を中心に省エネ・燃料転換等を含む着実な脱炭素化に向けた移行(トランジション)への取組に対するファイナンスが重要となります。技術面及びコスト面の双方において、すべての国・地域や産業が一足飛びに脱炭素化が可能なわけではなく、トランジション段階にある技術を導入することで最大限排出削減を進める必要があるからです。
  • トランジション・ファイナンスとは、脱炭素社会の実現に向けて長期的な戦略に則り、着実なGHG削減の取組を行う企業に対し、その取組を支援することを目的とした新しいファイナンス手法です。

2.クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針

(1)基本指針の策定(2021年5月)、改訂(2025年3月)

トランジション基本指針の画像
  • 基本指針は、企業が脱炭素に向けた投資を行う際に、「トランジション・ボンド/ローン」等とラベリング(名付け)して資金調達を行うことを可能とするために、事業会社、証券会社、銀行、評価機関、投資家等に示した手引きです。
  • 2021年5月、黎明期にあったトランジション・ファイナンスを普及させ、その信頼性を確保することで、特に排出削減困難なセクターにおける脱炭素に向けた資金調達手段としてその地位を確立し、より多くの資金導入により我が国の2050年カーボンニュートラル実現への貢献を目的として、金融庁、環境省とともに策定しました。
  • 2025年3月、策定から3年超が経過し、国内での調達実績が進んできたことや、ICMAハンドブックの改訂、国際社会でのトランジション・ファイナンスの重要性についての認識の高まり等、諸般の情勢変化を踏まえ、基本指針を改訂しました。世界に先んじてトランジション・ファイナンス市場の環境整備を進めてきた日本として、本基本指針の考え方について、「日本モデル」として発信していきます(注記)詳細については「基本指針改訂のポイント」もご参照ください。
(注記)基本指針は、グリーンボンド原則等を公表している国際資本市場協会(ICMA)が2020年12月に発表、2023年6月に改訂した「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」という国際原則を踏まえ、策定されています。

(2)基本指針の概要

  • ICMAと同様に開示が推奨される四要素(戦略とガバナンス、マテリアリティ、科学的根拠、透明性)について、開示に関する論点、開示事項や補足、第三者レビューに関する事項についてまとめています。
  • 基本指針において、トランジション・ファイナンスは、資金充当の対象のみに着目するのではなく、脱炭素に向けた企業の「トランジション戦略」やその戦略を実践する信頼性・透明性を総合的に判断するものとしています。
  • また、トランジション戦略は、科学的根拠に基づいたものであるかを示す必要があり、国際的に認知されたIEA等のシナリオに加え、本指針ではパリ協定と整合的な各国のNDC、分野別ロードマップ等の参照も可能としています。
トランジション基本指針のポイント トランジション・ファイナンスのイメージ

(3)基本指針におけるトランジション・ファイナンス

  • 基本指針においては、トランジション・ファイナンスを、 "気候変動への対策を検討している企業が、脱炭素社会の実現に向けて、長期的な戦略に則った温室効果ガス削減の取組を行っている場合にその取組を支援することを目的とした金融手法"としており、トランジション戦略の重要性に言及しているほか、 "事業を行う国・地域や属するセクターによって移行のスターティングポイントや過程は異なり、企業の移行の道筋(トランジション・パスウェイ)も多様でありうる"として、地域性やセクター特性への考慮の必要性にも言及しています。
  • 実際の資金調達の場面においては、"四要素"を満たす、資金使途特定型のボンド/ローン、資金使途不特定型のボンド/ローン、いずれも、基本指針の対象となります
  • 巻末に、基本指針を活用した事業会社や金融機関によるトランジション・ファイナンスでの資金調達事例などを、事例集という形で掲載しています。

3.トランジション・ファイナンス推進のためのロードマップ

  • 経済産業省では、GHG多排出産業の2050年カーボンニュートラル実現に向けた具体的な移行の方向性を示すため、ロードマップの策定を行っています。
  • ロードマップは、企業がトランジション・ファイナンスを活用した気候変動対策を検討するにあたり、本ロードマップを参照することを想定しています。
  • また、金融機関等においては、企業が資金調達を行う際に、脱炭素に向けた企業の戦略・取組がトランジション・ファイナンスとして適格かどうかを判断する際の一助になると考えています。

(1)経済産業分野

鉄鋼分野 日本語PDFファイル EnglishPDFファイル
化学分野 日本語PDFファイル EnglishPDFファイル
電力分野 日本語 PDFファイル EnglishPDFファイル
ガス分野 日本語 PDFファイル EnglishPDFファイル
石油分野 日本語 PDFファイル EnglishPDFファイル
紙・パルプ分野 日本語 PDFファイル EnglishPDFファイル
セメント分野 日本語 PDFファイル EnglishPDFファイル
自動車分野 日本語 PDFファイル EnglishPDFファイル

(2)その他の分野

他の産業分野においても、脱炭素化に向けた技術、方向性を示しているロードマップ等があり、トランジション・ファイナンスに活用できます。

4.トランジション・ファイナンスにかかるフォローアップガイダンス

(1)フォローアップガイダンスの位置づけ

フォローアップガイダンスの画像
  • 金融機関がトランジション・ファイナンス等を通じて実経済の脱炭素化に資する取組を促進するためには、資金調達者による信頼性が高いトランジション戦略の策定・開示とともに、資金供給者が資金調達者との対話を通じてその着実な実行を支援・促進することが重要です。
  • フォローアップガイダンスは、トランジション・ファイナンスの信頼性と実効性の向上を目的とし、特に、資金供給後のトランジション戦略の着実な実行と企業価値向上への貢献を担保するために、金融機関向けに示した手引きであり、金融庁、環境省とともに2023年6月に策定しました。

フォローアップガイダンスの位置づけ

(2)フォローアップガイダンスの概要

  • 排出削減困難なセクターによるトランジションの取組とは、その時点で最適な状況判断のもとでカーボンニュートラルという野心的な目標に向かってトランジション技術等に対して投資を続けることであり、動的に捉えることが必要です。
  • 資金供給者と資金調達者が対立構造にあるのではなく、双方の信頼関係を醸成し、脱炭素化に向けた次の適切な資金調達につなげていくため、金融機関がどのような視点でトランジション・ファイナンスにかかるフォローアップをするべきかという点についてまとめています。
  • 読み手としては幅広い資金供給者が想定読者になりますが、特に債券投資家に発行体との対話の重要性・必要性を訴求しています。対話の準備の仕方やポイントを網羅し、対話のタイミングややり方についても包括的かつ実践的な内容を記載しています。
  • フォローアップの際に留意する重要なポイントとして、業界特性をあげており、特に、フォローアップする対象企業や個別業界だけでなく、関連業界全体を俯瞰的に理解する必要性に言及している他、分野別技術ロードマップについても、ポイントを要約して付録しています。

資金供給者と資金調達者の関係

5.ファイナンスド・エミッションの課題解決に向けた考え方

(1)背景・経緯

ファイナンスド・エミッションの課題解決に向けた考え方についての画像
  • 主要な金融機関が賛同しているGFANZ等の国際的な金融アライアンスにおいては、投融資先の排出量(ファイナンスド・エミッション)を含めて金融機関自身の排出量をネットゼロにする目標が求められています。一部の金融機関では、Hard-to-abate産業への資金供給によって一時的にファイナンスド・エミッションが増加する可能性を懸念し、Hard-to-abate産業に対する投融資を控える行動が生じ得るという課題があります。
  • こうした問題意識のもと、2023年2月、経済産業省・金融庁・環境省は、グローバルに展開する金融機関等からの10名の委員で構成される「官民でトランジション・ファイナンスを推進するためのファイナンスド・エミッションに関するサブワーキング」を、トランジション・ファイナンス環境整備検討会の下に設置し、ファイナンスド・エミッションの具体的な算定・開示のあり方や、ファイナンスド・エミッション以外の指標の活用等、考えられるソリューションを検討・議論。2023年10月に「ファイナンスド・エミッションにかかる課題解決に向けた考え方」として取りまとめました。

(2)概要

  • 本文書では、カーボンニュートラル達成に向けた金融機関に期待される役割とファイナンスド・エミッションの特性について整理した上で、脱炭素に向けたイノベーションやHard-to-abate産業のトランジションに向けた資金供給が適切に評価され促進されるよう、ファイナンスド・エミッションの課題に対するソリューション案を(1)ファイナンスド・エミッションの算定・開示手法、(2)ファイナンスド・エミッション以外の指標の開示手法の2つに分類して整理、提示しています。

6.トランジション・ファイナンスモデル事業・補助金事業

(1)概要

  • 経済産業省では、トランジション・ファイナンスを普及させるため、基本指針に整合し、モデル性を有するファイナンス事例について、情報発信、第三者評価費用の負担軽減を行う事業を実施しました。詳細は下記の募集要領等をご参照ください。
  • 2022年度以降は補助金事業として、モデル事業と同様に第三者評価費用の負担軽減を行う事業を実施しています。本補助金の執行は一般社団法人低炭素投資促進機構へ委託しており、公募要領等については一般社団法人低炭素投資促進機構のHPをご参照下さい。
  • 尚、他者のトランジションに資金供給する金融機関(Enabler)がトランジション・ファイナンスにより資金調達する場合の補助金事業における考え方については以下資料をご参照下さい。

(2)モデル事例

第三者委員会(モデル性審査委員会)にてモデル事例として、選定された案件は下記の通りです。

2021年度
1.日本郵船 概要PDFファイル OverviewPDFファイル 第三者評価外部リンク Second Party Opinion外部リンク
2.商船三井 概要PDFファイル OverviewPDFファイル 第三者評価外部リンク Second Party Opinion外部リンク
3.川崎汽船 概要PDFファイル OverviewPDFファイル 第三者評価外部リンク Second Party Opinion外部リンク
4.JFEホールディングス 概要PDFファイル OverviewPDFファイル 第三者評価外部リンク Second Party Opinion外部リンク
5.日本航空 概要PDFファイル OverviewPDFファイル 第三者評価外部リンク Second Party Opinion外部リンク
6.住友化学 概要PDFファイル OverviewPDFファイル 第三者評価外部リンク Second Party Opinion外部リンク
7.東京ガス 概要PDFファイル OverviewPDFファイル 第三者評価外部リンク Second Party Opinion外部リンク
8.JERA 概要PDFファイル OverviewPDFファイル 第三者評価外部リンク
第三者評価外部リンク
Second Party Opinion外部リンク
Second Party Opinion外部リンク
9.IHI 概要PDFファイル OverviewPDFファイル 第三者評価外部リンク Second Party Opinion外部リンク
10.大阪ガス 概要PDFファイル OverviewPDFファイル 第三者評価外部リンク Second Party Opinion外部リンク
11.三菱重工業 概要PDFファイル OverviewPDFファイル 第三者評価外部リンク Second Party Opinion外部リンク
12.出光興産 概要PDFファイル OverviewPDFファイル 第三者評価外部リンク Second Party Opinion外部リンク

(3)補助金事業

指定審査委員会が評価を行い、採択された個別案件の概要は下記の通りです。

2022年度
第一回審査委員会(2022年8月開催) 北陸電力 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
第二回審査委員会(2022年9月開催) 東邦ガス 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
第三回審査委員会(2022年10月開催) 東京ガス 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
第四回審査委員会(2022年11月開催) キリンホールディングス 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
第五回審査委員会(2022年12月開催) 日本航空 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
第六回審査委員会(2023年2月開催) 太平洋セメント 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
川崎汽船 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
三菱HCキャピタル 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
適合書簡(LOC)外部リンク
北海道電力 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
2023年度
第一回審査委員会(2023年8月開催) 川崎重工 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
第二回審査委員会(2023年9月開催) 三菱マテリアル 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
第三回審査委員会(2023年10月開催) 中部電力 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
第四回審査委員会(2023年11月開催) 商船三井 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
第五回審査委員会(2023年12月開催) JFEホールディングス 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
マツダ 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
第六回審査委員会(2024年2月開催) 関西電力 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
2024年度
第一回審査委員会(2024年9月開催) 山陽特殊製鋼 発行体都合により取り下げ
(SA:みずほ証券)
非公表
(格付投資情報センター)
第二回審査委員会(2024年11月開催) 帝人 概要PDFファイル 第三者評価外部リンク
2025年度
第一回審査委員会(2025年8月開催) 未公表 未公表 未公表
未公表 未公表 未公表

7.トランジション推進のための金融支援制度

トランジション・ファイナンスの促進を目的として、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律に基づき、成果連動型の利子補給制度を設置しました。詳細は下記をご覧ください。

8.研究会等における検討状況

トランジション・ファイナンスに関する研究会等における検討の状況は下記をご覧ください。

(関連リンク)

お問合せ先

経済産業省 GXグループ 環境金融室
住所:東京都千代田区霞が関1-3-1
電話:03-3501-1770
メール:bzl-transition-finance@meti.go.jp
担当:小川・秋田

最終更新日:2025年9月30日

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