家にいました。
何が起きたのかわからなかったです。
地震から8年…
競輪選手の想いを
独占インタビュー
ニックネーム:たーちゃん、ウリボー
1995年2月17日生まれ
好きな食べ物:鮨
ニックネーム:ごーちゃん
1977年6月22日生まれ
好きな食べ物:蜂楽饅頭
ニックネーム:たいちゃん
1998年3月23日生まれ
好きな食べ物:焼肉、寿司
熊本競輪場のRe:スタートにあたって、熊本支部所属の3名にインタビューを実施いたしました。
熊本地震から現在に至るまで、どう過ごされていたのか、どんな心境だったのか、そしてご自身についてまで、さまざまなことをお話していただきました!
2016年4月14日と16日、熊本地震が発生した際は何をされていましたか?
僕はデビュー前だったんですけど、新幹線で松川選手と博多に行っていました。
その帰りで新幹線を降りて、ちょうど着いたぐらいかな。
その時に「がーっ」と、地震に遭いました。
2回目の時は寝室で寝てました。夜中1時くらいでしたっけ、本震。
1回目より、あのときの方がやばかったですね。
1回目の時は家のリビングにいました。
2回目の時は自分のマンションの屋上に上がる非常ハシゴに登っていました。
というのも、1回目の地震の影響で「給水タンクから水が漏れているかもしれない」と防災センターの人が来たので、ちょうど二人で上に登っていたんです。
防災センターの方は登りきっていたんですが、僕は登っている最中で・・・。汗
もうほんと振り落とされるかと思いましたよ。
地震後、初めて競輪場をみたとき、どんな心境でしたか?
地震のあと、車中泊をしていたんですが、それがあまりにもしんどくなって、、、
ちょっと気晴らしに競輪場行ってみたんです。
分厚いガラスがバンクに刺さっていて、ショックで、衝撃でした。
ガラスが地面にめり込むというか、埋まっていました。
それをみんなで取ったんですが、次々と地面からガラスの破片が出てきて、練習中によくパンクしていました。
地震のあとはどうされていましたか?
うちの実家はそこまでひどくなかったんですが、片付けなどをして2〜3週間後くらいから練習を再開しました。
練習ができなかったことが一番辛かったです。
練習できないもどかしさとかもあったんですけど、やっぱり家族とか身内の人が元気がなかったですね。
それが辛かったです。
日常生活で今まで当たり前だったことが当たり前にできなくなりました。
食事をしたりとか、喉が乾いたら水を飲んだり、お風呂、トイレとか、それが一番辛かったです。
あと、自分よりも子供が辛かったと思いますね。
寝る時も怖がるし。また余震がくるんじゃないかって。
地震から少し時間を空けて、徐々に復興も始まり、嬉しかったことは?
競輪学校に合格したときが嬉しかったです。
世間は競輪どころではなくて、僕はすぐに嬉しかったことはなかったです。
熊本競輪場が存続するかしないか、もしかしたらなくなるんじゃないかという心配がありました。
だから、本当に熊本競輪場が復活するって決まったときが、やっぱり個人的に一番嬉しかったです。
一緒です。
やっぱり僕は熊本競輪場で育ててもらったというか、ここでずっと練習して強くなっていったので、「若い選手にもここで走らせてあげたいな」という思いが強くて。
熊本競輪場が復活すると決まったときが一番、嬉しかったですね。
地震後、久しぶりにレースに出始めた頃の心境を教えてください
練習もそんなにできているわけではなかったので、不安な気持ちと、でも何かやらないといけない葛藤がありながらの参加だったような記憶があります。
レースに行けるから嬉しいとか、そういう気持ちはなかったですね。
4月に地震があって、7月にデビュー戦だったのですが、最初の1ヶ月くらいはみんなで清掃活動をしたりしながら、空いた時間で走れそうな街道を探して練習に行ったりしながら、試行錯誤していました。
デビュー戦までの3か月間ぐらいは熊本競輪場でみっちり練習できたという記憶は正直あまりないですね。
どこの競輪場に行っても「熊本は大丈夫か?」って、デビューした年から色んな選手が声をかけてくださって、それぐらいみんな心配してくれていました。
(地震の時はまだデビュー前だったので)
熊本県内で走れそうなところを探して、街道練習を行っていました。
街道練習では、大体どれくらいの距離を走るのでしょうか?
人それぞれですが、長い距離乗る人もいれば、同じところを行ったり来たり、全力でやったりする人もいます。
長く乗る人は半日で100キロくらい乗る人もいます。一日やるなら200キロくらいは全然いけます。
200キロ、やってましたね(笑)
別府競輪場までの山道を、自転車で登りました。熊本から山を越えて別府まで行ったら、結構きついじゃないですか?
アップダウンがあって、上り坂が半端じゃないんですよ。
やまなみハイウェイを死ぬ気で登って、別府競輪場に到着したら試合を終えた選手の車に乗せてもらって帰るんですけど、へろへろで立てなくなって、足が曲げられなくなるんです。
力を入れると針で刺されたみたいな、ちくっとなるような痛みが走るんだよね。
でもずっとやっているとそれが普通になる。痛さが普通になって痛くなくなる。
3日目くらいが本当にきついんです。だから、全然降ってないのに雨の音が聞こえてくるんですよ。雨が降ったら、少し休めたりするんで。
でも、がっつり晴れやん、と(笑)
夢の中でももだえるくらい、本当にきつかったです。
雨はめっちゃわかる。
新聞配達のバイク音が聞こえた時に、「雨!?」って勘違いしたり(笑)
雨、期待はしてましたね。アマチュア時代のあるあるですね。
アマチュア時代は本当に地獄なんですよ。
嘉永選手のところもそうだった?
うちの師匠はどちらかと言えば優しかったですね。
自分次第って感じで。練習メニューは言うけど、手を抜こうが抜くまいが、自分のためだろうって感じでした。
プロの特別競輪場のトップって、本当に強いんです。
だから、ちょっとの練習くらいでは話にならないんです。
それくらい厳しい。
熊本競輪場の復活が決まった時の心境、その時の周りの反応を教えてください
本当に嬉しかったです。熊本競輪場のバンクも、地元記念も走ったことがないし、味わったこともなかったですが、やっと地元のお客さんの前で走れます。周りの人たちもよかったね、って言ってくれました。
僕も熊本競輪場の復活が決まった時、色んな人から連絡をいただいたんですが、それがすごく嬉しかったです。だから友達や身近な人たちに来てもらえるのが待ち遠しいです。
長かったな、というのが率直な気持ちです。周りの人たちも、「ずっと待ってるけど熊本競輪場、復活しないの?」という声が多かったです。
復活が決まった時は、周りの人達も喜んでいましたし、僕も嬉しかったです。
新しくなった熊本競輪場に対して期待していることはありますか?
どういう風に今後、競輪を盛り上げていきたいですか?
若い人が熊本競輪場に来やすいようになったらいいなと思います。
今は年配の方が多いイメージですが、若い人が来やすくなったらもっと盛り上がるかなと。
地元では特に負けられないという気持ちでいます。
競輪自体を色んな人にもっと知ってもらいたい、というのが一番です。
それから「熊本競輪場があるんだ」と、やっぱり若い人たちにも知ってもらわないといけないと思います。
身近な存在でありたいなっていう気持ちもありますね。
競輪のポジティブなイメージを僕は発信していきたいと思います。
自分の口やSNSで発信して、競輪選手という職業があるってことや、その面白さを発信していきたいなと思ってます。
もっと選手の顔と名前を知ってもらいたいです。
顔と名前を知ってもらうと盛り上がり方が違うと思います。
ご自身の選手としての武器であったりアピールポイントを教えてください。
1発のまくりはそこそこ自信があります。ただ最近は、それ以外にももっと戦法の幅を増やしていきたいと考えています。
僕は追い込み選手で、嘉永くんの後ろについていくような選手なんで、前の選手と心中するような気持ちで、お前が駄目なら俺も駄目みたいな気持ちでやっています。
そういう信頼関係をもっと築き上げていきたいです。
チーム一丸となって、全国の強者達を倒しに行くぞという気持ちでやりたいです。
僕は、競輪脳がアピールポイントなんですが、うまく伝わらないからアピールできないんですよね。
競輪は「読み」が必要になるんですけど、これってとても伝えにくいんです。
お客さんからみた時にわかりやすいのは、人の後ろについた時の追走技術やその精度。
それも、「読み」がないと瞬時の判断ができないんです。
目指している自分の姿、目標を教えてください。
タイトル、G1をとるのが目標です。まだ力も足りないので、全体的に底上げをしたいです。
G1戦線に出はじめて、特にそれを意識するようになりました。
タイトルを取りたいというのは全選手が思っているけど、そんなに甘くないです。
でもタイトルを取る選手が熊本からたくさん出て、熊本王国を作っていけたらいいな、という願望があります。
そうですね、みんなが上にいれば戦いやすいです。
目標は、復活した熊本競輪場で、優勝することです。
競輪選手になったきっかけを教えてください
中学校の時、野球をしていたんですが、高校でも続けるか迷っていました。
その時、瓜生さんがインターハイで優勝されているのを見て、自転車競技を始めました。
僕も中学卒業まで野球をしていて、小さい頃の夢は野球選手だったんです。
でも体がちっちゃくて無理だなと。
それで何かないかなと模索してる時に、僕はママチャリをこぐのが速いことに気がついたんです。(笑)
それで、競輪選手目指してみようかなって思いました。
高校から自転車をやるって決めた時には、競輪選手になりたいなって思っていました。
僕は高校まで野球をやってたんですけど、所属していたチームがすごく強くて、僕が活躍しなくても勝つんです。
甲子園に行くのを目標にその高校に入ったんですけど、自分が活躍しなくても勝つと、楽しくなくなって、嫌になってきました。
それで、自分の力で勝負できるプロスポーツを目指したいなと思って選んだのが、競輪だったんです。
技術的に取り組んでいることがあれば教えてください。
この前ダービーで走って、勝負所になるまで足を使っていて、その足が足りないと感じ、強化してます。
特にウエイトトレーニングを重点的にやっていて、もう二回りくらい体を大きくしたいと思っています。
個人的なトレーナーを付けて、栄養面とウエイトトレーニングを始めました。
普段の生活で注意してることや試合前のルーティーンなどがあれば教えてください。
どこで誰がみているかわからないので、注意しています。
飲みに行こう、というお誘いが多いので、それに打ち勝てるように気をつけてますね(笑)
誘惑を断ち切るために。
レース前はストレスを溜めないようにしています。
競走の前にはお墓参りにいくようにしています。
落車が多いので、見守ってもらえるように。
レース前のメンタルは、直前はあまり意識していません。
それよりもその手前の時の準備がどれだけしっかりやるかを考えます。
直前はもうやり切っているので、あとはレースを頑張るだけです。
競輪が全くわからない方に、「ここを注目してもらいたい!」というところは?
(競技用の)自転車の音が、普通の自転車とは違って、すごく綺麗なので、その音を聴いてもらいたいですね。
レース最初の1、2周目、「シャー」っていう静かな音が綺麗なので、その音は聞いてほしいと思います。
それから、レースが動き出した時の「ゴーッ」という音。
初心者でレースがわからなくても、その音の変化は絶対にわかると思います。
合志選手、瓜生選手、嘉永選手、インタビューに答えていただき、本当にありがとうございました!
インタビュー中は、笑いが絶えず色んな話をしていただきました。
ついに、熊本地震から8年の刻を経て、熊本競輪場はRe:スタートします。
お三方をはじめとした熊本支部の選手の活躍を、新しくなった熊本競輪場でご覧ください!
これまでファンだった方も競輪初心者の方も、みなさまのご声援お待ちしております!!